JP2001162965A - 熱的に転換可能な組成物並びにカチオン性ir色素を含有している像形成部材並びに像形成および印刷の方法 - Google Patents

熱的に転換可能な組成物並びにカチオン性ir色素を含有している像形成部材並びに像形成および印刷の方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光を熱に変換するのに非常に有効なIR色素
増感剤を含み、水または他の環境に好適な溶媒から塗布
することができる感熱性像形成部材を提供する。 【解決手段】 イオン性部分を有する感熱性親水性ポリ
マーおよび多数の第四級アンモニウム基を有する赤外線
感受性色素を含んでなる親水性像形成層を用いて、ネガ
型印刷版または印刷用シリンダー(on-press cylinder)
などの像形成部材を調製することができる。当該感熱性
ポリマーおよびIR色素は、水中または水混和性溶媒中
で調合して、感熱性が高い像形成組成物とすることがで
きる。当該像形成部材において、当該ポリマーが反応し
て、熱を供給または発生させるエネルギーに曝された領
域の疎水性を高める。例えば、電磁スペクトルのIR領
域のレーザー放射によって熱を供給することができる。
当該感熱性ポリマーは熱に応答して「転換可能(switcha
ble)」であり、湿式処理無しで平板画像を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、熱像形成
組成物、およびそれらから調製される平版像形成部材
(特に平版印刷版)に関する。本発明はまた、このよう
な像形成部材の像形成方法、およびそれらを使用する印
刷方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷の技術は油と水との不混和性に
基づいており、油性材料またはインクは像形成領域に選
択的に保持され、水またはファウンテン溶液は非像形成
領域に選択的に保持される。好適に調製された表面を水
で濡らし、次にインクを適用すると、背景または非像形
成領域は水を保持してインクをはじき、像形成領域はイ
ンクを受容して水をはじく。次に、このインクを、布、
紙または金属などの好適な基材の表面に転写させ、それ
により、画像を再現する。
【0003】非常に一般的な平版印刷版は、可視光また
は紫外線に対する感受性がある像形成層を担持している
金属またはポリマーの支持体を含んでいる。ポジ型印刷
版およびネガ型印刷版は両方とも、この様式で調製する
ことができる。露光時、および恐らく露光後の加熱時
に、湿式処理化学を使用して、像形成領域または非像形
成領域のいずれかが除去される。
【0004】感熱性印刷版はより一般的なものとなって
きている。このような版の例は、米国特許第5,37
2,915号(Haley他)明細書に記載されてい
る。それらは、可溶性ポリマーと赤外線吸収化合物との
混合物を含んでなる像形成層を含んでいる。これらの版
はレーザーおよびディジタル情報を使用して像形成させ
ることができるけれども、アルカリ性現像溶液を使用す
る湿式処理を必要とする。
【0005】IR吸収層にアブレーションを施すことに
よって平版印刷版を作ることができることが認められて
いる。例えば、カナダ特許第1,050,805号(E
ames)明細書には、インク受容基材、上にあるシリ
コーンゴム層、および自己酸化バインダー(例えばニト
ロセルロース)中のレーザーエネルギー吸収粒子(例え
ば炭素粒子)を含んでなる介在層を含む乾式平版印刷版
が開示されている。このような版を、Nd++YAGレ
ーザーを用いて集束近赤外線に露光させた。吸収層が赤
外エネルギーを熱に変換し、それにより、吸収剤層およ
び上にあるシリコーンゴムの部分的な緩和、蒸発または
アブレーションを起こす。レーザー放射を吸収してシリ
コーンゴムの上塗り層の除去を促進するための真空蒸着
金属層を有する類似の版が、リサーチディスクロージャ
ー(Reseach Disclosure)1920
1(1980年)に記載されている。アブレーションが
可能な印刷版が記載されている他の刊行物には、米国特
許第5,385,092号(Lewis他)、同5,3
39,737号(Lewis他)、同5,353,70
5号(Lewis他)、米国再発行特許第35,512
号(Nowak他)、および米国特許第5,378,5
80号(Leenders)の各明細書が含まれる。
【0006】ディジタル式の無処理印刷に使用される有
名な印刷版は、より一般的な感光性印刷版に勝る多数の
利点を有するけれども、それらの使用には多数の不都合
もある。アブレーションの過程でデブリおよび蒸発金属
が生じ、これらを収集しなければならない。アブレーシ
ョンに必要とされるレーザー出力は相当高いことがあ
り、このような印刷版の構成成分は高価であり、塗布が
難しく、または得られる印刷の質が不適格である。この
ような版は一般に支持体上に少なくとも2層の塗布層を
必要とする。
【0007】熱的に転換可能なポリマーは、印刷版にお
ける像形成材料としての使用について記載されてきた。
「転換可能」とは、当該ポリマーが、熱に曝された際
に、疎水性から比較的より親水性に、または逆に親水性
から比較的より疎水性になることを意味する。米国特許
第4,034,183号(Uhlig )明細書には、
高出力レーザーを使用して親水性の表面層を疎水性の表
面に変換することが記載されている。類似の方法が、米
国特許第4,081,572号(Pacansky)明
細書において、ポリアミド酸のポリイミドへの変換につ
いて記載されている。高出力レーザーの使用は、高い電
力を必要とし、冷却および頻繁な保守が必要であるので
望ましくない。
【0008】米国特許第4,634,659号(Esu
mi他)明細書には、疎水性ポリマーコーティングを像
様照射して露光領域をより親水性の性状にすることが記
載されている。この概念は、表面特性の変換の印刷版へ
の初期の応用の1つであるけれども、それには、長時間
(60分にも及ぶ)の紫外線露光を必要とし、かつ、版
の使用がポジ型方式のみに限られるという不都合があ
る。
【0009】米国特許第4,405,705号(Eto
h他)および同4,548,893号(Lee他)の各
明細書には、非熱的処理に使用される感光性材料のため
のアミン含有ポリマーが記載されている。ポリアミド酸
および第四級アンモニウム側基を有するビニルポリマー
を使用する熱的処理は、米国特許第4,693,958
号(Schwartz他)明細書に記載されている。米
国特許第5,512,418号(Ma)明細書には、感
熱性のカチオン性第四級アンモニウム基を有するポリマ
ーの使用が記載されている。しかしながら、この技術に
記載されている材料は像形成後に湿式処理を必要とす
る。
【0010】国際公開第 WO 92/09934号
(Vogel他)明細書には、光酸発生剤と、酸に対し
て不安定性なテトラヒドロピラニル基または活性化エス
テル基を有するポリマーとを含有している感光性組成物
が記載されている。しかしながら、これらの組成物を像
形成させると、像形成領域の性状が疎水性から親水性に
変換される。
【0011】さらに、欧州特許出願公開明細書第0 6
52 483号(Ellis他)には、IRレーザーを
使用して像形成可能であり、湿式処理を必要としない平
版印刷版が記載されている。これらの版は、熱に像様暴
露された際により親水性になる像形成層を含んでなる。
このコーティングは、熱または酸の下で反応してより極
性の高い親水性基を形成することができる側基(例えば
t−アルキルカーボネート)を有するポリマーを含有し
ている。このような組成物を像形成させることにより、
像形成領域が疎水性から比較的より親水性の性状に変換
されるので、印刷版の背景(一般により大きい方の領域
である)を像形成することが必要とされる。このこと
は、印刷版の端部を像形成させることが望まれる場合に
問題となることがある。
【0012】同時係属中の出願に記載されている感熱性
ポリマーのいくつか、特にオルガノオニウム基または他
の帯電基を含有しているポリマーは、有機色素もしくは
カーボンブラックとの物理的相互作用または化学反応を
受ける傾向を有し、それにより、ポリマーおよび熱吸収
材料の両方の効力に悪影響を及ぼす。特に、カーボンブ
ラックは、コストが低く、かつ電磁スペクトルの赤外領
域の隅々にわたる光を吸収するために、好ましい赤外線
吸収材料ではあるけれども、その使用はまた問題をも生
ずる。例えば、それは、選択した水またはアルコール系
溶媒から容易に分散して出てくることができない。しか
しながら、水分散性となるように設計されている(すな
わち、特別な表面官能基を有する)特別なカーボンブラ
ック製品は、イオン性基を含有しているポリマー(オル
ガノオニウムポリマーを含む)の存在下では、化学的相
互作用のために凝集することが多い。
【0013】有機色素塩は、本来、水またはアルコール
系コーティング溶媒に部分的に可溶性であることが多
く、従ってIR色素増感剤として好ましい。しかしなが
ら、このような色素の多くは、溶解性が不十分であるた
め、または帯電ポリマーと反応して地汚れのある画像も
しくは着色した画像を生ずることがある疎水性生成物を
形成するため、またはアルミニウム支持体を有する像形
成部材において不十分な熱増感しか提供しないために、
不適格であることが判っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、グラフィック
アーツ産業では、アブレーション、または既知の無処理
直接記録印刷版に関する上記の他の問題を伴わずに像形
成させることができる無処理の直接記録平版像形成部材
を提供するための代替手段が探求されている。露光を熱
に変換するのに非常に有効なIR色素増感剤を含み、水
または他の環境的に好適な溶媒から塗布することができ
る感熱性像形成部材を有することもまた望ましいであろ
う。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、a)親水
性感熱性イオノマー、b)水または水混和性有機溶媒、
を含んでなる熱像形成法に有用な組成物であって、水ま
たは上記水混和性有機溶媒に可溶性であり、少なくとも
2個の第四級アンモニウム基を有する芳香族赤外線感受
性色素をさらに含むことを特徴とする組成物により克服
される。
【0016】本発明はまた、上述の組成物から調製され
る親水性像形成層が配置されている支持体を含んでなる
像形成部材をも提供する。
【0017】なおさらに、本発明は、 A)上述の像形成部材を用意する工程、および B)上記像形成部材を像様露光させて、上記像形成部材
の像形成層に露光領域および未露光領域を提供し、上記
像様露光によって提供される熱により上記露光領域を上
記未露光領域よりも疎水性にさせる工程、を含む像形成
方法を含む。
【0018】さらにまた、印刷方法は、上記の工程Aお
よびBを実行する工程を含み、さらに、 C)上記像形成部材をファウンテン溶液および平版印刷
用インクと接触させ、当該印刷用インクを当該像形成部
材から受容材料に像様転写させる工程、を含む。
【0019】本明細書において使用されているように、
「イオノマー」という用語は、負または正に帯電してい
る反復単位を少なくとも20モル%有する帯電ポリマー
を指す。これらのイオノマーは、以下の開示において、
一般に「帯電ポリマー」と呼ばれる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の像形成部材は多数の利点
を有し、以前の印刷版の問題を回避する。具体的には、
印刷表面の露光領域をより親水性が低くなるように転換
(好ましくは不可逆的に)する(すなわち、加熱時によ
り疎水性になる)ことによって像形成層の親水性が像様
変化するので、アブレーション像形成(すなわち、表面
層の像様除去)に付随する問題および懸念が回避され
る。従って、当該像形成層は、像形成時も、像形成後
も、無傷のままである(すなわち、アブレーションがま
ったく起こらない)。これらの利点は、反復イオン性基
がポリマー主鎖内にあるかまたはポリマー主鎖に化学結
合されている親水性感熱性ポリマーを使用することによ
って達成される。このようなポリマーおよび基を下記に
より詳細に記載する。像形成層に使用されるポリマー
は、本明細書に記載されている手順を使用して、容易に
調製され、本発明の像形成部材は、像形成後の湿式処理
の必要性が無く、製造および使用が単純である。本発明
の像形成部材から形成され、結果として得られる印刷部
材は一般にネガ型の性状である。場合によっては、これ
らのポリマーは露光時に架橋され、像形成部材に高い耐
久性を提供する。他の場合および好ましい場合において
は、これらのポリマーは支持体への適用および硬化の際
に架橋される。
【0021】正に帯電しているポリマー(例えば、本発
明の実施にはオルガノオニウムポリマーが好ましい)は
概して水およびメタノール(これらの水溶性高分子塩を
容易に溶解させる溶媒)から塗布される。
【0022】本発明において使用される有機芳香族赤外
線感受性色素(本明細書における「IR色素」)は、レ
ーザープレートセッター(laser platese
tter)の使用波長(一般に700nm以上)のとこ
ろに極大吸収を有するように選ぶことができるので、熱
像形成部材のための望ましい増感剤である。そのうえ、
それらは溶解(すなわち分子的に分散している)状態で
塗布することができ、最大のエネルギー利用並びに最大
の画像解像能力を備えている。上記の正に帯電している
ポリマーを溶解させるのに使用される水およびアルコー
ル系溶媒はまた、上記有機IR色素の分子上の多数の第
四級アンモニウム基のために、有機IR色素をも容易に
溶解させる。従って、アルミニウム支持体を含む、いず
れのタイプの像形成部材でも、均質な組成物のコーティ
ングが可能である。そのうえ、本明細書に記載されてい
るポリマーおよびIR色素の相互作用に普通は伴う悪影
響は認められていない。
【0023】本発明の像形成部材は、支持体およびその
上にある、乾燥感熱性組成物を含む1層以上の層を含ん
でなる。支持体は、高分子フィルム、ガラス、セラミッ
クス、セルロース系材料(紙を含む)、金属もしくは薄
板紙、またはこれらの材料のいずれかの積層を含むいず
れの自立性材料であってもよい。支持体の厚みは様々で
あることができる。殆どの用途において、厚みは、印刷
に起因する摩耗に耐えるのに十分なものであり、かつ印
刷型(printing form)の周りに巻き付け
るのに十分薄くあるべきである。好ましい態様では、例
えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン
ナフタレートから調製される 100〜310μmの厚
みを有するポリエステル支持体が使用される。もう1つ
の好ましい態様では、100〜600μmの厚みを有す
るアルミニウム支持体が使用される。支持体は、使用条
件下での寸法変化に耐えなければならない。
【0024】支持体は、印刷機の印刷シリンダー並びに
印刷シリンダーに合うように作られた印刷スリーブを含
む円筒形の支持体であってもよい。円筒形の像形成部材
を提供するためにこのような支持体を使用することは、
米国特許第5,713,287号(Gelbart)明
細書に記載されている。印刷機の一体部分である円筒形
の表面に上記感熱性ポリマー組成物を直接塗布またはス
プレーすることもできる。
【0025】支持体に、1層以上の「下塗り」層を塗布
して、最終的な集成体の接着性を改良してもよい。下塗
り層の材料の例には、写真産業においてこのような目的
のために知られているゼラチン並びに他の天然または合
成の親水性コロイドおよびビニルポリマー(例えば塩化
ビニリデンコポリマー)、ビニルホスホン酸ポリマー、
アルコキシシランから調製されるものなどのゾルゲル材
料(グリシドキシトリエトキシシランおよびアミノプロ
ピルトリエトキシシラン)、エポキシ官能基を有するポ
リマー、並びに種々のセラミックスが含まれるけれど
も、これらに限定されるものではない。
【0026】支持体の裏面に、帯電防止剤および/また
は滑り層もしくは艶消し層を塗布して、像形成部材の風
合いおよび「感触」を改良してもよい。
【0027】しかしながら、像形成部材は、像形成に必
要とされる感熱性表面層を1層だけ支持体上に有するの
が好ましい。この親水性層は本発明の組成物から調製さ
れ、光熱変換材料として1種以上の感熱性帯電ポリマー
およびIR色素(両方とも下記に記載する)を含んでい
る。像形成層に使用される特定のポリマー(複数種であ
ってもよい)のために、この層の露光領域(像形成領
域)がより疎水性の性状になる。未露光領域は親水性の
性状のままである。
【0028】像形成部材の感熱性像形成層において、像
形成に必須なのは、1種以上の帯電ポリマーおよび1種
以上の芳香族IR色素だけである。帯電ポリマーは、一
般に、少なくとも20モル%がイオン性基を含む反復単
位を含んでなる。好ましくは、反復単位の少なくとも3
0モル%がイオン性基を含んでいる。従って、これらの
ポリマーの各々は、これらのイオン性基によって提供さ
れる正味の電荷を有する。好ましくは、イオン性基はカ
チオン性基である。
【0029】本発明の実施において有用な帯電ポリマー
(イオノマー)は、大きくは、以下の3種の材料のいず
れかであることができる。 I)正に帯電しているN−アルキル化芳香族複素環式側
基を含む反復単位を含んでなる架橋ビニルポリマーまた
は未架橋ビニルポリマー、 II)反復オルガノオニウム基を含んでなる架橋ポリマ
ーまたは未架橋ポリマー、および III)チオスルフェート(Bunte塩)側基を含ん
でなるポリマー。
【0030】各々の種類のポリマーを順に説明する。像
形成層は、各々の種類のポリマーの混合物、または2つ
以上の種類の1種以上のポリマーの混合物を含むことが
できる。種類IIのポリマーが好ましい。
【0031】種類Iのポリマー 種類Iのポリマーは、一般に、少なくとも1000の分
子量を有しており、必須の正に帯電している基を有する
多種多様な親水性ビニルホモポリマーおよびコポリマー
のいずれであってもよい。それらは、従来のいずれかの
重合技法を使用して、エチレン系不飽和重合性モノマー
から調製される。好ましくは、これらのポリマーは、2
種以上のエチレン系不飽和重合性モノマーから調製され
るコポリマーであり、これらのコポリマーの少なくとも
1種が所望の正に帯電している側基を含有しており、別
のモノマーが、架橋部位および場合によっては支持体へ
の接着性などの他の性質を提供することが可能である。
これらのポリマーを調製するのに必要とされる手順およ
び反応体は周知である。本明細書において提供されてい
るさらなる教示により、当業者は既知のポリマー反応体
および条件を変更して、好適なカチオン性基を結合させ
ることができる。
【0032】カチオン性基の存在により、このカチオン
性基がその対イオンと反応する際に、何等かの手法で熱
に曝された領域における像形成層の親水性から疎水性へ
の「転換」が明らかに提供または促進される。最終的な
結果は電荷の損失である。このような反応は、アニオン
の求核性および/または塩基性が高いほど容易に達成さ
れる。例えば、アセテートアニオンは塩化物アニオンよ
りも概して反応性が高い。アニオンの化学的性状を変更
することによって、感熱性ポリマーの反応性を変更し
て、十分な環境寿命と釣り合った所定の条件の組み(例
えば、レーザーのハードウェアおよび電力、並びに印刷
機の要求)について最適な画像解像度を提供することが
できる。有用なアニオンには、ハロゲン化物、カルボキ
シレート、スルフェート、ボレート並びにスルホネート
が含まれる。代表的なアニオンには、塩化物、臭化物、
フッ化物、アセテート、テトラフルオロボレート、ホル
メート、スルフェート、p−トルエンスルホネートおよ
び当業者に容易に明らかな他のものが含まれるけれど
も、これらに限定されるものではない。ハロゲン化物お
よびカルボキシレートが好ましい。
【0033】上述の熱活性化反応が像形成された印刷層
に所望の疎水性を提供することができるように、上記ポ
リマーの十分な反復単位に芳香族カチオン性基が存在す
る。これらの基はポリマーの主鎖に沿って結合されてい
てもよいし、もしくは高分子ネットワークの1つ以上の
枝分かれに結合されていてもよいし、またはそれらの両
方に結合されていてもよい。これらの芳香族基は概して
5〜10個の炭素原子、窒素原子、硫黄原子または酸素
原子(少なくとも1個は正に帯電している窒素原子であ
る)を環に有し、枝分かれもしくは枝無しで、置換また
は未置換のアルキル基が結合されている。従って、芳香
族複素環式基を含有している反復単位は、下記構造式I
によって表すことができる。
【0034】
【化5】
【0035】この構造式において、Rは、1〜12個
の炭素原子を有する枝分かれもしくは枝無しで、置換ま
たは未置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、メト
キシメチル、ベンジル、ネオペンチルおよびドデシル)
である。好ましくは、Rは、1〜6個の炭素原子を有
する置換もしくは未置換で、枝分かれまたは枝無しのア
ルキル基であり、もっとも好ましくは、置換または未置
換のメチル基である。
【0036】Rは、置換または未置換のアルキル基
(上記に規定されているもの、およびさらにシアノアル
キル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキ
ル基)、1〜6個の炭素原子を有する置換または未置換
のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、イソプロ
ポキシ、オキシメチルメトキシ、n−プロポキシおよび
ブトキシ)、6〜14個の炭素原子を環に有する置換ま
たは未置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、
アントリル、p−メトキシフェニル、キシリル、および
アルコキシカルボニルフェニル)、ハロ(例えばクロロ
およびブロモ)、5〜8個の炭素原子を環に有する置換
または未置換のシクロアルキル基(例えばシクロペンチ
ル、シクロヘキシルおよび4−メチルシクロヘキシ
ル)、または5〜8個の原子を環に有し、少なくとも1
個の窒素、硫黄もしくは酸素原子を環に有する置換また
は未置換の複素環式基(例えばピリジル、ピリジニル、
テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニル)で
ある。好ましくは、Rは置換または未置換のメチル基
またはエチル基である。
【0037】Z’’は、上記高分子主鎖に結合されてい
る5〜10員芳香族N−複素環を完成するのに必要な炭
素原子と、さらにいくつかの窒素原子、酸素原子、また
は硫黄原子を表す。従って、この環は、2個以上の窒素
原子を環に含むことができ(例えば、N−アルキル化ジ
アジニウム基またはイミダゾリウム基)、またはN−ア
ルキル化窒素含有縮合環構造には、ピリジニウム、キノ
リニウム、イソキノリニウム、アクリジニウム、フェナ
ントラジニウムおよび当業者に容易に明らかな他のもの
が含まれるけれども、これらに限定されるものではな
い。
【0038】Wは上述の好適なアニオンである。もっ
とも好ましくは、それはアセテートまたは塩化物であ
る。
【0039】また、構造式Iにおいて、nは0〜6であ
ると規定され、好ましくは0または1である。もっとも
好ましくは、nは0である。
【0040】上記芳香族複素環は環のいずれの位置で高
分子主鎖に結合されていてもよい。好ましくは、環には
5または6個の原子があり、そのうちの1個または2個
が窒素である。従って、上記N−アルキル化窒素含有芳
香族基は好ましくはイミダソリニウムまたはピリジニウ
ムであり、もっとも好ましくはイミダソリニウムであ
る。
【0041】上記カチオン性芳香族複素環を含有してい
る反復単位は、既知の手順および条件を使用して、未ア
ルキル化窒素含有複素環単位と適当なアルキル化剤(例
えばアクリルスルホン酸エステル、ハロ化アルキルおよ
び当業者に容易に明らかな他のもの)とを反応させるこ
とによって提供することができる。
【0042】好ましい種類Iのポリマーは、以下の構造
式IIによって表すことができる。
【0043】
【化6】
【0044】上式中、Xは、上記N−アルキル化窒素含
有芳香族複素環式基(HETによって表されている)
が結合されている反復単位を表し、Yは、種々の架橋機
構(下記に記載する)のいずれかを使用して架橋させる
ための活性部位を提供することができるエチレン系不飽
和重合性モノマーから誘導される反復単位を表し、そし
てZは、さらなるエチレン系不飽和重合性モノマーから
誘導される反復単位を表す。これらの種々の繰り返し単
位は、20〜100モル%のx、0〜20モル%のy、
および0〜80モル%のzによって表されるように、好
適な量で存在している。好ましくは、xは30〜98モ
ル%であり、yは2〜10モル%であり、そしてzは0
〜68モル%である。
【0045】上記ポリマーの架橋は、多数の方法によっ
て行うことができる。架橋のための非常に多くのモノマ
ーおよび方法が当業者によく知られている。代表的な架
橋方法の中には以下のものが含まれるけれども、必ずし
もこれらに限定されるものではない。
【0046】a)アミンまたはカルボン酸または他のル
イス塩基単位をジエポキシド架橋剤と反応させること、 b)上記ポリマー内のエポキシド単位を二官能価アミ
ン、カルボン酸、または他のルイス塩基単位と反応させ
ること、 c)二重結合含有単位(例えばアクリレート基、メタク
リレート基、シンナメート基、またはビニル基)を放射
線架橋またはラジカル開始架橋させること、 d)多価金属塩を上記ポリマー内の配位基と反応させる
こと(例としては、亜鉛の塩とカルボン酸含有ポリマー
との反応がある)、
【0047】e)クネーベナーゲル縮合反応によって反
応する架橋性モノマー(例えば(2−アセトアセトキ
シ)エチルアクリレートおよびメタクリレート)を使用
すること、 f)マイケル付加反応によって、アミン基、チオール
基、またはカルボン酸基をジビニル化合物(例えばビス
(ビニルスルホニル)メタン)と反応させること、 g)カルボン酸単位を多数のアジリジン単位を有する架
橋剤と反応させること、 h)多数のイソシアネート単位を有する架橋剤を上記ポ
リマー内のアミン、チオール、またはアルコールと反応
させること、
【0048】i)鎖間ゾル−ゲル結合の形成を含む機構
(例えば3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリ
レートモノマーの使用)、 j)添加されたラジカル開始剤(例えば過酸化物または
ヒドロペルオキシド)を使用する酸化的架橋、 k)アルキド樹脂に用いられるものなどの、自動酸化架
橋、 l)加硫、並びに m)電離放射線を含む方法。
【0049】架橋性基または活性架橋性部位(またはエ
ポキシドなどの架橋添加剤のための付着点としてはたら
くことができる基)を有するモノマーを、上記の他のモ
ノマーと共重合させることができる。このようなモノマ
ーには、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレ
ートまたはメタクリレート、アンナモイルアクリレート
またはメタクリレート、N−メトキシメチルメタクリル
アミド、塩酸N−アミノプロピルアクリルアミド、アク
リル酸またはメタクリル酸およびヒドロキシエチルメタ
クリレートが含まれるけれども、これらに限定されるも
のではない。
【0050】上記構造式IIにおける「Z」によって表
される繰り返し単位を提供するさらなるモノマーには、
親水性像形成層に所望の物理的性質または印刷特性を提
供することができるならば、いずれの有用な親水性また
は親油性のエチレン系不飽和重合性モノマーも含まれ
る。このようなモノマーには、アクリレート、メタクリ
レート、イソプレン、アクリロニトリル、スチレンおよ
びスチレン誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリル酸またはメタクリル酸並びにハロゲン化ビ
ニルが含まれるけれども、これらに限定されるものでは
ない。
【0051】代表的な種類Iのポリマーは下記のポリマ
ー1および3〜6である。これらのポリマーの混合物を
使用することもできる。下記のポリマー2は有用な種類
Iのポリマーの先駆物質である。
【0052】種類IIのポリマー 種類IIのポリマーもまた、一般に、少なくとも100
0の分子量を有する。それらは、多種多様な親水性ビニ
ルまたは非ビニルのホモポリマーおよびコポリマーのい
ずれであってもよい。
【0053】種類IIの非ビニルポリマーには、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリアミド−エステル、ポリアリ
ーレンオキシドおよびそれらの誘導体、ポリウレタン、
ポリキシリレンおよびそれらの誘導体、シリコン系ゾル
ゲル(ゾルセスキオキサン(solsesquioxa
ne))、ポリアミドアミン、ポリイミド、ポリスルホ
ン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリエーテルケト
ン、ポリフェニレンスルフィドイオノマー、ポリスルフ
ィドおよびポリベンゾイミダゾールが含まれるけれど
も、これらに限定されるものではない。好ましくは、こ
のような非ビニルポリマーは、シリコン系ゾルゲル、ポ
リアリーレンオキシド、ポリフェニレンスルフィドイオ
ノマーまたはポリキシリレンであり、もっとも好ましく
は、それらはポリフェニレンスルフィドイオノマーであ
る。すベてのこれらのタイプのポリマーを調製するのに
必要とされる手順および反応対は周知である。本明細書
において提供されているさらなる教示により、当業者は
既知のポリマー反応体および条件を変更して、好適なカ
チオン性オルガノオニウム部分を導入または結合させる
ことができる。
【0054】本発明において有用なシリコン系ゾルゲル
は、ジ−、トリ−またはテトラアルコキシシランから誘
導されるシリコンコロイドを含有している架橋高分子マ
トリックスとして調製することができる。これらのコロ
イドは、米国特許第2,244,325号、同2,57
4,902号および同2,597,872号の各明細書
に記載されている方法によって形成される。このような
コロイドの安定な分散系は、都合の良いことに、DuP
ont Companyなどの会社から購入することが
できる。好ましいゾル−ゲルには、架橋剤およびポリマ
ー層形成材料の両方として、酢酸N−トリメトキシシリ
ルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムが使
用される。
【0055】何らかの様式でポリマーに化学的に導入さ
れたオルガノオニウム部分が存在することにより、この
カチオン性部分がその対イオンと反応する際に、熱を提
供するかまたは発生させるエネルギーへの暴露時に、そ
の曝された領域における像形成層の親水性から親油性へ
の「転換」が明らかに提供または促進される。最終的な
結果は電荷の損失である。種類Iのポリマーについて上
記に記載したように、このような反応は、オルガノオニ
ウム部分のアニオンの求核性および/または塩基性が高
いほど容易に達成される。
【0056】上記ポリマー内のオルガノオニウム部分
は、三置換硫黄部分(オルガノスルホニウム)、四置換
窒素部分(オルガノアンモニウム)、または四置換リン
部分(オルガノホスホニウム)から選択することができ
る。四置換窒素(オルガノアンモニウム)部分が好まし
い。この部分は、好適な対イオンといっしょに、ポリマ
ー主鎖に化学的に結合させることができ(すなわち、側
基)、または何らかの様式で主鎖内に導入することもで
きる。いずれの態様においても、オルガノオニウム部分
は、上述の熱活性化反応が起こって、像形成層に所望の
疎水性を提供することができるように、ポリマーの十分
な繰り返し単位(少なくとも20モル%)に存在する。
側基として化学的に結合されている場合には、オルガノ
オニウム部分は、ポリマーの主鎖に沿って結合されてい
ても、もしくは高分子ネットワークの1つ以上の枝分か
れに結合されていてもよいし、またはそれらの両方に結
合されていてもよい。ポリマー主鎖内に化学的に導入さ
れている場合には、この部分は環式もしくは非環式の形
で存在してもよく、ポリマーネットワークにおける分岐
点を形成していてもよい。好ましくは、オルガノオニウ
ム部分は高分子主鎖に沿った側基として提供される。側
基としてのオルガノオニウム部分は、ポリマー形成後に
ポリマー主鎖に化学的に結合させることができ、または
既知の化学を使用してポリマー上の官能基をオルガノオ
ニウム部分に変換することもできる。例えば、第四級ア
ンモニウム側基は、第三級アミン求核剤によって「脱離
基」(例えばハロゲン)を置き換えることによって高分
子主鎖上に提供することができる。あるいは、オルガノ
オニウム基は、次に重合されるモノマー上に存在する事
もできるし、またはポリマー内に既に導入されている中
性ヘテロ原子単位(三価の窒素もしくはリン基または二
価の硫黄基)のアルキル化によって誘導することもでき
る。
【0057】オルガノオニウム部分は置換されて正の電
荷を提供する。各々の置換基は、オルガノオニウム部分
の硫黄、窒素またはリン原子に直接結合される炭素原子
を少なくとも1個有していなければならない。有用な置
換基には、1〜12個の炭素原子、、好ましくは1〜7
個の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル基
(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル、t−ブチル、ヘキシル、メトキシメチル、イソプロ
ポキシメチル)、置換または未置換のアリール基(フェ
ニル、ナフチル、p−メチルフェニル、m−メトキシフ
ェニル、p−クロロフェニル、p−メチルチオフェニ
ル、p−N,Nジメチルアミノフェニル、キシリル、
メトキシカルボニルフェニルおよびシアノフェニル)、
および5〜8個の炭素原子を炭素環に有する置換または
未置換のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シ
クロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルおよび3−メ
チルシクロヘキシル)が含まれるけれども、これらに限
定されるものではない。他の有用な置換基は当業者に容
易に明らかであろうし、明確に記載されている置換基の
いずれの組み合わせもまた企図されている。
【0058】オルガノオニウム部分は、種類Iのポリマ
ーについて上記に記載したいずれかの好適なアニオンを
含んでいる。ハロゲン化物およびカルボキシレートが好
ましい。
【0059】代表的な種類IIの非ビニルポリマーは下
記のポリマー7〜8および10である。これらのポリマ
ーの混合物を使用することもできる。ポリマー9はポリ
マー10の先駆物質である。
【0060】さらに、種類IIのビニルポリマーを本発
明の実施に使用することができる。非ビニルポリマーと
同様に、このような感熱性ポリマーは、1つ以上のタイ
プのオルガノオニウム基を有する反復単位を含んでな
る。例えば、このようなポリマーは、オルガノアンモニ
ウム基およびオルガノスルホニウム基を両方とも有する
反復単位を有することができる。すべてのオルガノオニ
ウム基が同じアルキル置換基を有することは必要ではな
い。例えば、ポリマーが1つ以上のタイプのオルガノア
ンモニウム基を有する反復単位を有することもできる。
これらのポリマーにおける有用なアニオンは非ビニルポ
リマーについて上記に記載したものと同じである。さら
に、ハロゲン化物およびカルボキシレートが好ましい。
【0061】オルガノオニウム部分は、上述の熱活性化
反応が起こって、像形成された印刷層に所望の疎水性を
提供することができるように、ポリマーの十分な反復単
位に存在する。この基はポリマーの主鎖に沿って結合さ
れていてもよいし、もしくは高分子ネットワークの1つ
以上の枝分かれに結合されていてもよいし、またはそれ
らの両方に結合されていてもよい。側基は既知の化学を
使用してポリマー形成後にポリマー主鎖に化学的に結合
させることができる。例えば、オルガノアンモニウム、
オルガノホスホニウムまたはオルガノスルホニウム基
は、三価アミン求核剤、二価硫黄求核剤または三価リン
求核剤による高分子鎖上の脱離側基(例えばハロゲン化
物またはスルホン酸エステル)の求核置換によって高分
子主鎖上に提供することができる。オニウム側基はま
た、スルホン酸アルキルエステルまたはハロゲン化アル
キルなどのいずれかの一般的に使用されるアルキル化剤
を使用して対応する中性のヘテロ原子側基(窒素、硫黄
またはリン)のアルキル化によっても提供することがで
きる。あるいは、所望のオルガノアンモニウム基、オル
ガノホスホニウム基またはオルガノスルホニウム基を含
有しているモノマー先駆物質を重合させて所望のポリマ
ーを得てもよい。
【0062】上記ビニルポリマーにおけるオルガノアン
モニウム基、オルガノホスホニウム基またはオルガノス
ルホニウム基は、所望の正の電荷を提供する。一般に、
好ましいオルガノオニウム側基は以下の構造式III、
IVおよびVによって示すことができる。
【0063】
【化7】
【0064】上式中、Rは、1種以上のオキシ、チオ、
カルボニル、アミドまたはアルコキシカルボニル基を分
子鎖と共に含むことができる、1〜12個の炭素原子を
有する置換もしくは未置換のアルキレン基(例えばメチ
レン、エチレン、イソプロピレン、メチレンフェニレ
ン、n−ブチレンおよびヘキシレン)、6〜10個の炭
素原子を環に有する置換もしくは未置換のアリーレン基
(例えばフェニレン、ナフチレン、キシレンおよび3−
メトキシフェニレン)、または5〜10個の炭素原子を
環に有する置換もしくは未置換のシクロアルキレン基
(例えば1,4−シクロヘキシレン、および3−メチル
−1,4−シクロヘキシレン)である。さらに、Rは、
上記に規定した置換または未置換のアルキレン基、アリ
ーレン基およびシクロアルキレン基の2種以上の組み合
わせであってもよい。好ましくは、Rは置換もしくは未
置換のエチレンオキシカルボニルまたはフェニレンメチ
レン基である。本明細書に列挙されていない他の有用な
置換基には、当業者には容易に明らかであろうように、
上記に列挙した基のいずれかの組み合わせが含まれ得
る。
【0065】R、RおよびRは独立に、1〜12
個の炭素原子を有する置換もしくは未置換のアルキル基
(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル、t−ブチル、ヘキシル、ヒドロキシメチル、メトキ
シメチル、ベンジル、メチレンカルボアルコキシおよび
シアノアルキル)、6〜10個の炭素原子を炭素環に有
する置換または未置換のアリール基(フェニル、ナフチ
ル、キシリル、p−メトキシフェニル、m−メトキシフ
ェニル、p−クロロフェニル、p−メチルチオフェニ
ル、p−N,N−ジメチルアミノフェニル、メトキシカ
ルボニルフェニルおよびシアノフェニル)、または5〜
10個の炭素原子を炭素環に有する置換または未置換の
シクロアルキル基(例えば1,3−または1,4−シク
ロヘキシル)である。あるいは、R、RおよびR
のいずれか2つが組み合わさって、帯電しているリン原
子、窒素原子もしくは硫黄原子を有する置換もしくは未
置換の複素環を形成していてもよく、この環は4〜8個
の炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子もしくは酸
素原子を環に有する。このような複素環には、構造式V
については、置換もしくは身置換のモルホリニウム基、
ピペリジニウム基およびピロリジニウム基が含まれるけ
れども、これらに限定されるものではない。これらの種
々の基に有用な他の置換基は当業者に容易に明らかであ
ろうし、明確に記載されている置換基のいずれの組み合
わせもまた企図されている。
【0066】好ましくは、R、RおよびRは独立
に置換もしくは未置換のメチル基またはエチル基であ
る。
【0067】Wは種類Iのポリマーについて上記に記
載したいずれかの好適なアニオンである。アセテートお
よび塩化物が好ましいアニオンである。
【0068】本明細書に記載されている第四級アンモニ
ウム基を含有しているポリマーがもっとも好ましい種類
IIのビニルポリマーである。
【0069】好ましい態様において、本発明の実施に有
用な種類IIのビニルポリマーは以下の構造式VIによ
って表すことができる。
【0070】
【化8】
【0071】上式中、Xは、オルガノオニウム基
(「ORG」)が結合されている反復単位を表し、Y
は、種々の架橋機構(下記に記載する)のいずれかを使
用して架橋させるための活性部位を提供することができ
るエチレン系不飽和重合性モノマーから誘導される反復
単位を表し、そしてZは、いずれかのさらなるエチレ
ン系不飽和重合性モノマーから誘導される反復単位を表
す。これらの種々の反復単位は、20〜99モル%のx
、1〜20モル%のy、および0〜79モル%のz
によって表されるように、好適な量で存在している。
好ましくは、xは30〜98モル%であり、yは2
〜10モル%であり、そしてzは0〜68モル%であ
る。
【0072】上記ビニルポリマーの架橋は、種類Iのポ
リマーについて上記に記載したものと同じ方法で達成す
ることができる。
【0073】構造式VIにおける「Z」によって表さ
れるさらなる反復単位を提供するさらなるモノマーに
は、像形成層に所望の物理的性質または印刷特性を提供
することができるならば、いずれの有用な親水性または
親油性のエチレン系不飽和重合性モノマーも含まれる。
このようなモノマーには、アクリレート、メタクリレー
ト、アクリロニトリル、イソプレン、スチレンおよびス
チレン誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ア
クリル酸またはメタクリル酸並びにハロゲン化ビニルが
含まれるけれども、これらに限定されるものではない。
【0074】代表的な種類IIのビニルポリマーは、本
明細書において下記に規定するポリマー11〜18であ
り、ポリマー14がもっとも好ましい。これらのポリマ
ーのいずれか2種以上の混合物を使用することもでき
る。
【0075】種類IIIのポリマー 種類IIIのポリマーの各々は少なくとも1000、好
ましくは少なくとも5000の分子量を有する。例え
ば、これらのポリマーは、既知の重合技法および反応体
を使用していっしょに反応する1種以上のエチレン系不
飽和重合性モノマーから調製されるビニルホモポリマー
またはコポリマーであることができる。あるいは、それ
らは、既知の重合技法および反応体を使用していっしょ
に反応する1種以上の複素環式モノマーから調製される
さらなるホモポリマーまたはコポリマー(例えばポリエ
ステル)であることができる。さらに、それらは、既知
の重合技法および反応体を使用して調製される縮合タイ
プのポリマー(例えばポリエステル、ポリイミド、ポリ
アミドまたはポリウレタン)であることができる。ポリ
マーのタイプがいずれであれ、ポリマーの全反復単位の
少なくとも20モル%(好ましくは30モル%)が必要
な感熱性チオスルフェート基を含む。
【0076】本発明の実施に有用な種類IIIのポリマ
ーは、チオスルフェート基(またはBunte塩)が側
基である下記構造式VIIによって表すことができる。
【0077】
【化9】
【0078】上式中、Aは高分子主鎖を表し、Rは二
価の結合基であり、そしてYは水素またはカチオンであ
る。
【0079】有効な高分子主鎖にはビニルポリマー、ポ
リエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタンお
よびポリエステルが含まれるけれども、これらに限定さ
れるものではない。好ましくは、高分子主鎖はビニルポ
リマーまたはポリエーテルである。
【0080】有用なR結合基には、1種以上の酸素原
子、窒素原子または硫黄原子を分子鎖に有することがで
きる−(COO)(Z−(nは0または1であ
り、mは0または1であり、そしてZは1〜6個の炭
素原子を有する置換もしくは未置換のアルキレン基(例
えばメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピ
レン、ブチレン、2−ヒドロキシプロピレンおよび2−
ヒドロキシ−4−アザヘキシレン)である)、6〜14
個の炭素原子を芳香環に有する置換もしくは未置換のア
リーレン基(例えばフェニレン、ナフチレン、アントラ
シレン(anthracylene)およびキシレ
ン)、または7〜20個の炭素原子を分子鎖に有する置
換もしくは未置換のアリーレンアルキレン(もしくはア
ルキレンアリーレン)(例えばpメチレンフェニレ
ン、フェニレンメチレンフェニレン、ビフェニレンおよ
びフェニレンイソプロピレンフェニレン)が含まれる。
さらに、Rは、Zについて上記に記載されているア
リーレンアルキレンにおいて、アルキレン基、アリーレ
ン基であってもよい。
【0081】好ましくは、Rは、炭素原子が1〜3個
のアルキレン基、芳香環の炭素原子が6個のアリーレン
基、分子鎖の炭素原子が7もしくは8個のアリーレンア
ルキレン基、またはZがメチレン、エチレンもしくは
フェニレンである−COO(Z−である。もっと
も好ましくは、Rはフェニレン、メチレンまたは−C
OO−である。
【0082】Yは水素、アンモニウムイオン、または
金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、セシウム
イオン、バリウムイオン、亜鉛イオンまたはリチウムイ
オン)である。好ましくは、Yは水素、ナトリウムイ
オンまたはカリウムイオンである。
【0083】チオスルフェート基は一般に主鎖に対する
側基であるので、好ましくは、従来の技法を使用して重
合されて、チオスルフェート含有反復単位のビニルホモ
ポリマー、または1種以上のさらなるエチレン系不飽和
重合性モノマーと共重合される場合にはビニルコポリマ
ーを形成することができるエチレン系不飽和重合性モノ
マーの一部である。これらのチオスルフェート含有反復
単位は一般にポリマーの全反復単位の少なくとも20モ
ル%を構成し、好ましくはそれらは全反復単位の30〜
100モル%を構成する。ポリマーは、本明細書に記載
されているように、チオスルフェート基を含有している
繰り返し単位を1種を超えて含むことができる。
【0084】上述のチオスルフェート基を有するポリマ
ーは、熱により(スルフェートを失って)架橋して、親
水性チオスルフェートから疎水性ジスルフィドに転換す
ると信じられている。
【0085】チオスルフェート含有分子(またはBun
te塩)は、BunteのChem.Ber.7,64
6,1884によって教示されているように、ハロゲン
化アルキルとチオスルフェートとの間の反応から調製す
ることができる。チオスルフェート基を含有しているポ
リマーは、官能基を有するモノマーまたはあらかじめ形
成されたポリマーのいずれからでも調製することができ
る。ポリマーはまた、米国特許第3,706,706号
(Vandenberg)明細書に記載されているもの
と同様の手法によって、あらかじめ形成されたポリマー
から調製することもできる。チオスルフェート含有分子
を、アルキルエポキシドとチオスルフェート塩との反
応、またはアルキルエポキシドとチオスルフェート部分
を含有している分子(例えば2−アミノエタンチオ硫
酸)との間の反応によって調製することもでき、Tha
mes,Srf.Coating.3(Waterbo
rneCoat.),Chapter 3,pp.12
5−153,Wilsonet al(Eds.)によ
って説明されているように、この反応はモノマーまたは
ポリマーのいずれでも行うことができる。
【0086】エチレン系不飽和重合性モノマーおよび種
類IIIのポリマー(ポリマー19〜28)を製造する
ための代表的な合成方法を以下に説明する。チオスルフ
ェート官能基を含有しているモノマーを1種以上の他の
エチレン系不飽和重合性モノマーと共重合させてポリマ
ーの化学的性質または官能基的性質を変更することによ
ってビニルポリマーを調製して、像形成部材の性能を最
適化し、またはさらなる架橋能力を導入することができ
る。
【0087】有用なエチレン系不飽和重合性モノマーに
は、アクリレート(メタクリレートを含む)(例えばア
クリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
メチルおよびメタクリル酸t−ブチル)、アクリルアミ
ド(メタクリルアミドを含む)、アクリロニトリル(メ
タクリロニトリルを含む)、ビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、ジエン(例えばエチレン、プロピレ
ン、1,3−ブタジエンおよびイソブチレン)、ビニル
ピリジンおよびビニルピロリドンが含まれるけれども、
これらに限定されるものではない。アクリルアミド、ア
クリレートおよびスチレンが好ましい。
【0088】上記像形成部材の像形成層は1種以上の種
類I,IIまたはIIIのポリマーを含むことができ、
その像形成特性に悪影響を及ぼさない限り少量(層の全
乾燥質量に対して20質量%未満)のさらなるバインダ
ーまたは高分子材料を含んでも、含んでいなくてもよ
い。
【0089】感熱性層を提供するのに使用される組成物
において、帯電ポリマーの量は一般に固形分が少なくと
も1%、好ましくは固形分が少なくとも2%の量で存在
する。この組成物における帯電ポリマーの量の実用上の
上限は固形分10%である。
【0090】像形成層に使用される帯電ポリマー(複数
種であってもよい)の量は、一般に少なくとも0.1g
/m、好ましくは0.1〜10g/m(乾燥質量)
である。一般に、この量で、0.1〜10μmの平均乾
燥厚みが得られる。
【0091】像形成層はまた、濃度が十分に低く、像形
成特性または印刷特性に関して不活性である限り、塗工
性もしくは他の性質のための1種以上の従来の界面活性
剤、書き込まれた画像の視覚化を可能とするための色素
または着色剤、または平版印刷技術において一般的に使
用されるいずれの他の添加剤をも含むことができる。
【0092】適当なエネルギー源(例えばレーザー)か
らの適当な輻射線を吸収するための1種以上の光熱変換
材料を上記感熱性像形成層が含んでいることは不可欠で
ある(この輻射線は熱に変換される)。従って、このよ
うな材料は光子を熱に変換する。好ましくは、吸収され
る輻射線は電磁スペクトルの赤外領域または近赤外領域
にある。本発明において有用な光熱変換材料は、分子内
に多数の第四級アンモニウム基および1種以上の芳香族
カルボン酸基または芳香族もしくは非芳香族の複素環式
基を含むIR色素である。その分子中には少なくとも2
個の第四級アンモニウム基がある。好ましくは、少なく
とも2個の第四級アンモニウム基が1種以上の芳香族カ
ルボン酸基または芳香族もしくは非芳香族の複素環式基
に結合されている。
【0093】上記IR色素が、コーティング組成物を調
製するのに有用な水または水混和性有機溶媒に可溶性で
あることもまた不可欠である。好ましくは、これらのI
R色素は水もしくはメタノール、または水とメタノール
との混合物のいずれかに可溶性である。水または水混和
性有機溶媒に可溶性であるとは、IR色素が室温で少な
くとも0.5g/Lの濃度で溶解することができること
を意味する。
【0094】上記IR色素は電磁スペクトルの近赤外領
域または赤外領域の輻射線に対して感受性がある。従っ
て、それらは一般に700nm以上(好ましくは800
〜900nm、より好ましくは800〜850nm)の
輻射線に対して感受性がある。
【0095】本発明において有用なIR色素は、一般
に、2個の環式基を末端に有するポリメチン鎖に共役し
ている2個の窒素原子を有するシアニン色素であること
ができる。1種以上の芳香族炭素環式基または芳香族も
しくは非芳香族の複素環式基もまたポリメチン鎖と共役
しており、ポリメチン鎖の一部となっているか、または
ポリメチン鎖のいずれかの末端もしくは両方の末端とな
っている。種々の芳香族炭素環式基および芳香族または
非芳香族の複素環式基を、可能なポリメチン鎖と共に、
より詳細に下記に規定する。
【0096】本発明の実施において特に有用なIR色素
には、以下に示す構造式DYEによって表される化合物
が含まれるけれども、これらに限定されるものではな
い。
【0097】
【化10】
【0098】上式中、「A」および「B」は独立に、完
全に芳香族の性状であるか、または非芳香族の複素環も
しくは炭素環に縮合している芳香族部分を含むかのいず
れかである、置換または未置換の環式基である。
【0099】有用な芳香族炭素環式基は一般に6〜10
個の炭素原子を環に含み、フェニル基、ナフチル基およ
びトリル基(例えばハロ、アルキル基、アルコキシ基、
アリール基、スルホ基、カルボキシ基、アセチル基また
はヒドロキシ基で置換されていてもよい)を含むけれど
も、これらに限定されるものではない。有用な芳香族ま
たは非芳香族の複素環式基は一般に炭素原子、窒素原
子、酸素原子、硫黄原子およびセレン原子のいずれかの
化学的に可能な組み合わせを6〜10個含んでいる。こ
のような複素環式基の例には、置換または未置換のピリ
ジル基、ピリミジル基、キノリニル基、フェナントリジ
ル基、インドリル基、ベンゾインドリル基およびナフト
インドリル基(例えばハロ、第四級アンモニウム基、ヒ
ドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基または
アリール基で置換されていてもよい)が含まれるけれど
も、これらに限定されるものではない。
【0100】好ましくは、上記有用な芳香族炭素環式基
は置換もしくは未置換のフェニル基またはナフチル基で
あり、上記有用な非芳香族複素環式基は置換もしくは未
置換のインドリル基、ベンゾインドリル基またはナフト
インドリル基である。より好ましくは、AおよびBは独
立に置換もしくは未置換のインドリル基またはベンゾイ
ンドリル基である。
【0101】上記に示した構造式DYEにおいて、
「L」は、上述のように近赤外線または赤外線(すなわ
ち少なくとも700nm)に対する感受性を提供するた
めの、AおよびBの両方と共役している置換または未置
換の発色分子鎖である。1つの態様において、Aもしく
はB(または両方)が炭素環式基である場合、Lは一方
または両方の端部に窒素原子を有する。もう1つの態様
において、AおよびBはN−複素環式基であり、Lはそ
れらの基の窒素原子に結合されている。さらに、Lは、
単結合と二重結合とが交互になって(窒素原子を有する
かまたは有していない)A基およびB基との共役を提供
している炭素原子が少なくとも3個の分子鎖を含んでな
る。好ましくは、Lは少なくとも5個の炭素原子を含ん
でなり、より好ましくは、Lは7〜9個の炭素原子を含
んでなる。分子の共役およびIR感受性に悪影響が及ば
ない限り、上記共役分子鎖中のいずれの水素原子がいず
れの望ましい置換基で置き換えられていてもよく、また
はいずれの隣接する2個の炭素原子が環式部分の一部と
なっていてもよい。
【0102】R、R、R、R10は同じかまたは
異なる置換基であり、第四級アンモニウム基、置換もし
くは未置換のアルキル基(1〜10個の炭素原子を有
し、枝分かれしているかまたは線状である)、置換もし
くは未置換のアルコキシ基(1〜10個の炭素原子を有
する)、ハロ基、置換もしくは未置換のアリール基(6
〜10個の炭素原子を環に有する)および当業者に容易
に明らかであろういずれかの他の置換基を含むけれど
も、これらに限定されるものではない。好ましくは、こ
れらの基の少なくとも2つが第四級アンモニウム基であ
り、これらの基の少なくとも2つが複素環式基(Aまた
はB)の窒素原子に結合されている。
【0103】「第四級アンモニウム」という用語は、−
N(ALKYL) 部分と、置換もしくは未置換の有
機基(6〜10個の炭素原子を芳香環に有する置換もし
くは未置換のアリーレン基、1〜14個の炭素原子を有
する置換もしくは未置換のアルキレン基、2〜14個の
炭素原子を有する置換もしくは未置換のアルケニレン、
2〜14個の炭素原子を有する置換もしくは未置換のア
ルキニレン、または7〜20個の炭素原子を分子鎖に有
する置換もしくは未置換のアリーレンアルキレン基もし
くはアルキレンアリーレン基を含むけれども、これらに
限定されるものではない)を介してAまたはBに間接的
に結合されている部分を含む基とを含むことを意味す
る。第四級アンモニウム部分をAまたはBの芳香族基に
結合するこのような基の性状および構成は当業者に容易
に理解されるであろう。このような結合基はまた第四級
アンモニウム基以外のさらなる置換基(当業者には容易
に明らかであろう)で置換されていてもよい。さらに、
構造式DYEはまた、R〜R10によって表されるも
の以外に、さらなる第四級アンモニウム基を有していて
もよい。このようなさらなる基は、化合物が所望のIR
感受性を保持する限り、分子のいずれの場所に配置され
ていてもよい。
【0104】ALKYLは、1〜7個の炭素原子を有す
る同じかまたは異なる置換もしくは未置換のアルキル基
(例えば置換もしくは未置換のメチル基、エチル基、イ
ソプロピル基、ヘキシル基およびベンジル基)であるこ
とができる。メチルおよびエチルが好ましく、メチルが
もっとも好ましい。
【0105】好ましい態様において、IR色素中の第四
級アンモニウム基は、構造式Vにおいて上記に示されて
いる側基−R−NRによって表される
(R、R、RおよびRは上記に規定の通りであ
る)。これらの基は分子中で同じであっても、異なって
いてもよい。
【0106】構造式DYEにおいて、Mは、上記芳香族
IR色素の正に帯電している部分と釣り合うのに好適な
適当な電荷のアニオンである。有用なアニオンには、ハ
ロゲン化物、トリフラートおよび当業者に容易に明らか
な他のものが含まれるけれども、これらに限定されるも
のではない。従って、「w」および「z」は、上記色素
カチオンの全体としての電荷を表す「x」と釣り合う
ための所望の電荷を提供する整数である。
【0107】このような有用な芳香族IR色素の例に
は、以下の化合物が含まれるけれども、これらに限定さ
れるものではない。
【0108】
【化11】
【0109】IR色素2は、アニオンがヨウ化物である
ことを除き、IR色素1と同様であり、IR色素3は、
アニオンがトリフラートであることを除き、IR色素1
と同様である。
【0110】さらなる光熱変換材料の存在は好ましくな
いけれども、上記感熱性組成物および像形成層はこのよ
うな材料を含むことができる。このような任意選択的な
材料は、他のIR色素、カーボンブラック、ポリマーグ
ラフトカーボン、顔料、蒸発顔料、半導体、合金、金
属、金属酸化物、金属硫化物もしくはそれらの組み合わ
せ、または屈折率および厚みによって輻射線を吸収する
材料の二色性の積み重ねであることができる。ホウ化
物、炭化物、窒化物、炭窒化物、ブロンズ構造の酸化物
およびW02.9を除くブロンズ族に構造的に関連して
いる酸化物もまた有用である。近赤外ダイオードレーザ
ー光線に有用な吸収色素は、例えば、米国特許第4,9
73,572号(DeBoer)明細書に記載されてい
る。重要な特定の色素は「広帯域」色素、すなわちスペ
クトルの幅広い帯域にわたって吸収するものである。
【0111】あるいは、同じかまたは異なる光熱変換材
料(本明細書に記載されている芳香族IR色素を含む)
が、上記感熱性像形成層と熱的に接触している別個の層
に含まれていてもよい。従って、像形成時に、このさら
なる光熱変換材料の作用を感熱性像形成層に伝達するこ
とができる。
【0112】本発明の感熱性組成物は、いずれの好適な
装置および手順(例えばスピンコーティング、ナイフコ
ーティング、グラビアコーティング、浸し塗りまたは押
出ホッパーコーティング)を使用して支持体に適用する
こともできる。さらに、この組成物は、いずれの好適な
スプレー手段(例えば米国特許第5,713,287号
(上記)明細書に記載されているもの)を使用して支持
体(円筒形支持体を含む)にスプレーすることもでき
る。
【0113】本発明の感熱性組成物は、一般に、水また
は水混和性有機溶媒(水混和性アルコール(例えば、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキ
シ−2−プロパノールおよびn−プロパノール)、メチ
ルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル
およびアセトンを含むけれども、これらに限定されるも
のではない)中で配合され、それから塗布される。水、
メタノール、エタノールおよび1−メトキシ−2−プロ
パノールが好ましい。望まれる場合には、これらの溶媒
の混合物(例えば水とメタノールとの混合物)を使用す
ることもできる。「水混和性」とは、その有機溶媒が室
温においてすべての比率で水に混和性であることを意味
する。
【0114】本発明の像形成部材は、いずれの有用な形
(印刷版、印刷シリンダー、印刷スリーブおよび印刷テ
ープ(軟質印刷ウェブを含む)を含むけれども、これら
に限定されるものではない)でも、いずれの好適な大き
さまたは寸法のものであってもよい。好ましくは、これ
らの像形成部材は印刷版または印刷用シリンダー(on
−press cylinder)である。
【0115】使用時、本発明の像形成部材は、概して像
形成装置に供給されるディジタル情報に由来する熱を発
生させるかまたは提供する好適なエネルギー源(集束レ
ーザー光線または熱抵抗ヘッド)に、印刷される画像に
インクが望まれる前面の領域において曝される。本発明
の像形成部材を露光させるのに使用されるレーザーは、
ダイオードレーザーシステムの信頼性および低い維持費
のために、好ましくはダイオードレーザーであるけれど
も、気体または固体レーザーなどの他のレーザーを使用
してもよい。レーザー像形成の電力、強度および露光時
間の組み合わせは当業者に容易に明らかであろう。近I
R領域で発光するレーザーについての仕様、並びに好適
な像形成構成および装置は米国特許第5,339,73
7号(Lewis他)明細書(引用により本明細書に取
り入れられる)に記載されている。像形成部材は概して
レーザーの発光波長における応答を最大化するように増
感される。
【0116】像形成装置は、それ自体で稼働して、単に
原版作成機として機能することもでき、または平版印刷
機に直接導入されることもできる。後者の場合、像形成
直後に印刷を開始してもよく、それにより、印刷機のセ
ットアップ時間をかなり短縮することができる。像形成
装置は平板式レコーダーまたはドラムレコーダーとして
構成することができ、像形成部材をドラムの円筒形表面
の内部または外部に取り付けられる。
【0117】ドラム構成において、像形成装置(例えば
レーザー光線)と像形成部材との間に必要な相対的な動
きは、ドラム(およびそれに取り付けられている像形成
部材)を軸の周りに回し、そしてこの回転軸に平行に像
形成装置を動かし、それにより、像が軸方向に「成長」
するように像形成部材を円周状に走査することによって
達成することができる。あるいは、光線をドラム軸に平
行に動かし、画像が円周状に「成長」するように、各々
のパスの後に角度的に増分をつけて像形成部材を横切る
ように動かすこともできる。両方の場合において、レー
ザー光線による完全な走査の後に、元々の文書または画
像に対応する画像を像形成部材の表面に適用することが
できる。
【0118】平板式の構成において、レーザー光線は像
形成部材のいずれかの軸を横切るように引かれ、各々の
パスの後に他方の軸に沿って割送られる。レーザー光線
ではなく像形成部材を動かすことによって必要な相対的
な動きを生ずることができることは明らかである。
【0119】レーザーによる像形成は本発明の実施に好
ましいけれども、像様な様式で熱エネルギーを提供する
かまたは発生させるいずれの他の手段によっても像形成
を行うことができる。例えば、「熱的印刷」(例えば米
国特許第5,488,025号(Martin他)明細
書に記載されている)として知られるものにおける熱抵
抗ヘッドを使用して像形成を達成することができる。こ
のような熱的印刷用ヘッドは市販されている(例えば、
Fujisu Thermal Head FTP−0
40 MCS001およびTDK Thermal H
ead F415 HH7−1089)。
【0120】印刷機のシリンダー上の感熱性組成物の像
形成は、例えば、米国特許第5,713,287号(上
記)明細書(引用することにより本明細書に取り入れら
れる)において教示されているような、いずれの好適な
手段を使用しても達成することができる。
【0121】像形成後、上記像形成部材は、従来の湿式
処理無しに印刷に使用することができる。適用されたイ
ンクを好適な受容材料(例えば布、紙、金属、ガラスま
たはプラスチック)に像様転写させて1つ以上の所望の
刷りを提供することができる。望まれる場合には、中間
ブランケットローラーを使用して、インクを像形成部材
から受容材料へ転写させることもできる。像形成部材
は、望まれる場合には、従来の製造手段を使用して、刷
りの間に清掃することができる。
【0122】以下の例は本発明を説明するものであり、
本発明を制限することを意味するものでは決してない。
好ましい感熱性ポリマーおよび芳香族IR色素のいくつ
かを如何に調製することができるかを示すために合成方
法を示す。
【0123】ポリマー1、3〜6は種類Iのポリマーの
実例であり(ポリマー2はポリマー3の先駆物質であ
る)、ポリマー7〜8および10は種類IIの非ビニル
ポリマーの実例であり(ポリマー9はポリマー10の先
駆物質である)、ポリマー11〜18は種類IIのビニ
ルポリマーの実例であり、そしてポリマー19〜28は
種類IIIのポリマーの実例である。
【0124】
【実施例】合成方法 ポリマー1の製造:ポリ(1−ビニル−3−メチルイミ
ダゾリウムクロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩) A〕1−ビニル−3−メチルイミダゾリウムメタンスル
ホネートモノマーの製造:フレッシュな蒸留済1−ビニ
ルイミダゾール(20.00g、0.21mol)を、
ジエチルエーテル(100mL)中のメチルメタンスル
ホネート(18.9mL、0.22mol)及び3−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルスルフ
ィド(1mg)と、還流冷却器及び窒素導入口を備えた
丸底フラスコ中で合わせ、次いで室温で48時間攪拌し
た。得られた沈殿を濾去し、ジエチルエーテルで完全に
洗浄し、その後一晩減圧下に室温で乾燥して37.2g
の生成物を白色結晶性粉末として得た(86.7%収
率)。
【0125】B〕共重合/イオン交換:1−ビニル−3
−メチオイミダゾリウムメタンスルホネートモノマー
(5.00g、2.45x10−2mol)、N−(3
−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.23
g、1.29x10−3mol)及び2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル(AIBN)(0.052g、
3.17x10−4mol)をメタノール(60mL)
に、ゴム製隔膜を備えた250mLの丸底フラスコ中で
溶解した。この溶液を10分間窒素でバブルガス抜き
し、次いで水浴中60℃で14時間加熱した。この粘稠
な溶液を3.5リットルのテトラヒドロフラン中に沈殿
させ、その後一晩減圧下に50℃で乾燥して4.13g
の生成物(79.0%収率)を得た。次にこのポリマー
を100mLのメタノールに溶解し、次いで400cm
DOWEX(登録商標)1X8−100イオン交換樹
脂を含むフラッシュ・カラムを通過させることにより塩
化物に転化した。
【0126】ポリマー2の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−4−ビニルピリジン)(9:1モル比) メチルメタクリレート(30mL)、4−ビニルピリジ
ン(4mL)、AIBN(0.32g、1.95x10
−3mol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(40
mL、DMF)を、ゴム製隔膜を備えた250mLの丸
底フラスコ中で合わせた。この溶液を30分間窒素パー
ジし、次いで15時間60℃で加熱した。塩化メチレン
及びDMF(各々150mL)を添加して、粘稠生成物
を溶解し、次いで生成物溶液を2回イソプロピルエーテ
ル中に沈殿させた。この沈殿ポリマーを濾過し、次いで
一晩減圧下に60℃で乾燥した。
【0127】ポリマー3の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−N−メチル−4−ビニルピリジニウムホル
メート)(9:1モル比) ポリマー2(10g)を塩化メチレン(50mL)に溶
解し、メチルp−トルエンスルホネート(1mL)と、
15時間還流させながら反応させた。反応物のNMR分
析によれば、一部のみのN−アルキル化が起こってい
た。この部分反応生成物をヘキサン中に沈殿させ、その
後純粋なメチルメタンスルホネート(25mL)に溶解
し、次いで70℃で20時間加熱した。この生成物を1
回ジエチルエーテル中に、そして1回イソプロピルエー
テル中にメタノールから沈殿させ、次いで一晩減圧下に
60℃で乾燥した。フラッシュ・クロマトグラフィ・カ
ラムに、水溶離液で300cmのDOWEX(登録商
標)550水酸化物イオン交換樹脂を装填した。1リッ
トルの10%蟻酸をカラム中に流すことにより、この樹
脂をホルメートに転化した。カラム及び樹脂をメタノー
ルで完全に洗浄し、次いで生成物ポリマー(2.5g)
をメタノールに溶解し、カラムを通過させた。ホルメー
ト対イオンへ完全に転化したことがイオンクロマトグラ
フィにより確認された。
【0128】ポリマー4の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−N−ブチル−4−ビニルピリジニウムホル
メート)(9:1モル比) ポリマー2(5g)を、15時間60℃で1−ブロモブ
タン(200mL)中加熱した。生成した沈殿を、メタ
ノールに溶解し、ジエチルエーテル中に沈殿させ、次い
で15時間減圧下に60℃で乾燥した。このポリマー
を、ポリマー3の製造において述べた方法を用いてブロ
マイドからホルメートに転化した。
【0129】ポリマー5の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−2−ビニルピリジン)(9:1モル比) メチルメタクリレート(18mL)、2−ビニルピリジ
ン(2mL)、AIBN(0.16g)及びDMF(3
0mL)を、ゴム製隔膜を備えた250mLの丸底フラ
スコ中で合わせた。この溶液を30分間窒素パージし、
次いで15時間60℃で加熱した。塩化メチレン(50
mL)を添加して、粘稠生成物を溶解し、次いで生成物
溶液を2回イソプロピルエーテル中に沈殿させた。この
沈殿ポリマーを濾過し、次いで一晩減圧下に60℃で乾
燥した。
【0130】ポリマー6の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−N−メチル−2−ビニルピリジニウムホル
メート)(9:1モル比) ポリマー5(10g)を、1,2−ジクロロエタン(1
00mL)に溶解し、次いでメチルp−トルエンスルホ
ネート(15mL)と70℃で15時間反応させた。生
成物を2回ジエチルエーテル中に沈殿させ、次いで一晩
減圧下に60℃で乾燥した。このポリマー試料(2.5
g)を、ポリマー3において述べた操作方法を用いてp
−トルエンスルホネートからホルメートへ転化した。
【0131】ポリマー7の製造:ポリ(p−キシリデン
テトラヒドロ−チオフェニウムクロリド) キシリレン−ビス−テトラヒドロチオフェニウムクロリ
ド(5.42g、0.015モル)を75mLの脱イオ
ン水に溶かし、フリットガラス漏斗で濾過して少量の不
溶物を除去した。この溶液を、氷浴上の三口丸底フラス
コに入れ、窒素で15分間スパージした。水酸化ナトリ
ウム(0.68g、0.017モル)の溶液を添加漏斗
から15分間かけて滴下した。水酸化物溶液の95%を
添加した時点で、反応溶液の粘性が非常に高くなったた
め、滴下を停止した。反応溶液を10%HClでpH4
にし、48時間透析して精製した。
【0132】ポリマー8の製造:ポリ〔フェニレンスル
フィド−コ−メチル(4−チオフェニル)スルホニウム
クロリド〕 加熱マントル、還流凝縮器及び窒素導入口を具備した5
00mL容の丸底フラスコにおいてポリ(フェニレンス
ルフィド)(15.0g、0.14モル−繰返し単
位)、メタンスルホン酸(75mL)及びメチルトリフ
レート(50.0g,0.3モル)を混合した。反応混
合物を90℃に加熱すると、その時点で均質な褐色溶液
となり、これを室温で一晩攪拌した。その反応混合物を
500cm3の氷に注ぎ込み、重炭酸ナトリウムで中和
した。得られた液/固混合物を水で希釈して最終容積を
2リットルにし、48時間透析したところ、その時点で
固形分の大部分は溶解していた。残りの固形分を濾過し
て除去し、残りの液体を窒素流下で徐々に濃縮して最終
容積を700mLにした。ポリマーを、DOWEX(商
標)1x8−100樹脂のカラムに通してトリフレート
から塩化物へイオン交換した。1H NMR分析より、
硫黄基の45%がメチル化されたことが示された。
【0133】ポリマー9の製造:臭素化ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンオキシド) 還流凝縮器と機械式スターラーを具備した5リットル容
の三口丸底フラスコにおいて、ポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンオキシド)(40g、0.33モ
ル繰返し単位)を四塩化炭素(2400mL)に溶解し
た。その溶液を加熱還流し、150ワットの投光照明灯
を当てた。N−ブロモスクシンイミド(88.10g、
0.50モル)を3.5時間かけて滴下し、反応混合物
を還流状態でさらに1時間攪拌した。反応を室温まで冷
却したところ、褐色固体の上にオレンジ色の溶液が得ら
れた。その液体をデカントし、固形分を100mLの塩
化メチレンと共に攪拌して白色粉末(スクシンイミド)
を残留させた。液相を合体し、ロータリーエバポレータ
ーで500mLにまで濃縮し、メタノール中で析出させ
て黄色粉末を得た。粗生成物をメタノール中でさらに2
回析出させ、60℃、真空下で一晩乾燥させた。元素分
析及び1H NMR分析により、ベンジル側鎖の正味7
0%が臭素化されたことが示された。
【0134】ポリマー10の製造:ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンオキシド)のジメチルスルホ
ニウムブロミド誘導体 凝縮器、窒素導入口及びセプタムを具備した三口丸底フ
ラスコにおいて、上記臭素化ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンオキシド)(2.00g,0.01
2モルのベンジルブロミド単位)を塩化メチレン(20
mL)に溶解した。水(10mL)を硫化ジメチルと一
緒に(シリンジで注入して)添加し、その二相混合物を
室温で1時間、その後還流状態で攪拌したところ、反応
混合物は濃厚な分散体になった。これを500mLのテ
トラヒドロフランに注ぎ込み、ケミカルブレンダーにお
いて激しく攪拌した。固体状態で約1時間後にゲル化し
た生成物を濾過して回収し、即座に100mLのメタノ
ールに再溶解し、メタノール性溶液として保存した。
【0135】ポリマー11の製造:ポリ〔メチルメタク
リレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタ
クリル酸クロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メ
タクリルアミド塩酸塩〕(モル比7:2:1) ゴム製セプタムを具備した丸底フラスコにおいてメチル
メタクリレート(24.6mL、0.23モル)、2−
トリメチルアンモニウムメチルメタクリル酸クロリド
(17.0g、0.08モル)、n−(3−アミノプロ
ピル)メタクリルアミド塩酸塩(10.0g、0.56
モル)、アゾビスイソブチロニトリル(0.15g、
9.10×10−4、AIBN)、水(20mL)及び
ジメチルホルムアミド(150mL)を混合した。その
溶液を窒素気泡で15分間脱気し、60℃に加熱した水
に一晩入れておいた。粘性生成物溶液をメタノール(1
25mL)で希釈し、メタノールからイソプロピルエー
テル中に3回析出させた。生成物を60℃で真空下24
時間乾燥した後、デシケーターの中で保存した。
【0136】ポリマー12の製造:ポリ〔メチルメタク
リレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタ
クリル酸アセテート−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド〕(モル比7:2:1) ポリマー11(3.0g)を100mLのメタノールに
溶かし、第三アミンを官能基とする架橋ポリスチレン樹
脂300cm(Scientific Polyme
r Products #726,300cm)を含
有するカラムにメタノール溶離液で通過させて中和し
た。次いで、そのポリマーを、300cmのDOWE
X(商標)1x8−100イオン交換樹脂のカラムとメ
タノール溶離液を用いてアセテートへ転化した(すなわ
ち、500mLの氷酢酸で洗浄することにより塩化物か
らアセテートへ転化した)。
【0137】ポリマー13の製造:ポリ〔メチルメタク
リレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタ
クリル酸フルオリド−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比7:2:1) ポリマー11(3.0g)を100mLのメタノールに
溶かし、第三アミンを官能基とする架橋ポリスチレン樹
脂300cm(Scientific Polyme
r Products #726,300cm)を含
有するカラムにメタノール溶離液で通過させて中和し
た。次いで、そのポリマーを、300cmのDOWE
X(商標)1x8−100イオン交換樹脂のカラムとメ
タノール溶離液を用いてフッ化物へ転化した(すなわ
ち、500gのフッ化カリウムで洗浄することにより塩
化物からフッ化物へ転化した)。
【0138】ポリマー14の製造:ポリ〔ビニルベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロリド−コ−N−(3−ア
ミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比1
9:1) ゴム製セプタムを具備した丸底フラスコにおいて、ビニ
ルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(19g、
0.0897モル、p−異性体とm−異性体の60:4
0混合物)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルア
ミド塩酸塩(1g、0.00562モル)、2,2’−
アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩
(0.1g)及び脱イオン水(80mL)を混合した。
その反応混合物を窒素気泡で15分間脱気し、60℃の
水浴に4時間入れておいた。得られた粘性生成物溶液を
アセトン中で析出させ、60℃で真空下24時間乾燥さ
せ、そしてデシケーターの中で保存した。
【0139】ポリマー15の製造:ポリ〔ビニルベンジ
ルトリメチル−ホスホニウムアセテート−コ−N−(3
−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比
19:1) A〕ビニルベンジルブロミド(p−異性体とm−異性体
の60:40混合物):還流凝縮器と窒素導入口を具備
した1リットル容の丸底フラスコにおいて、ビニルベン
ジルブロミド(50.60g、0.33モル、p−異性
体とm−異性体の60:40混合物)、臭化ナトリウム
(6.86g、6.67×10−2モル)、N−メチル
ピロリドン(300mL、塩基性アルミナの短カラムを
通したもの)、臭化エチル(260g)及び3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルスルフィド
(1.00g、2.79×10−3モル)を混合した。
その混合物を72時間加熱還流したところ、その時点
で、反応の転化率が95%を超えていることがガスクロ
マトグラフィーでわかった。その反応混合物を1リット
ルの水に注ぎ込み、300mLのジエチルエーテルで2
回抽出した。エーテル層を一つにし、これを1リットル
の水で2回抽出し、MgSO4で乾燥し、そして溶剤を
ロータリーエバポレーターで除去したところ、黄色がか
った油状物が得られた。その粗生成物を真空蒸留法で精
製したところ47.5gの生成物が得られた(収率5
3.1%)。
【0140】B〕ビニルベンジルトリメチルホスホニウ
ムブロミド:ジエチルエーテル(100mL)にビニル
ベンジルブロミド(9.85g、500×10−2
ル)を含む分散液を窒素で十分に脱気したものに、トリ
メチルホスフィン(1.0モルテトラヒドロフラン溶液
50.0mL、5.00×10−2モル)を添加漏斗か
ら約2分かけて添加した。ほぼ即座に固体析出物が形成
し始めた。反応混合物を室温で4時間攪拌した後、冷凍
庫に一晩入れておいた。固体生成物を濾過して単離し、
100mLのジエチルエーテルで3回洗浄し、真空下で
2時間乾燥した。高純度生成物(11.22g)が白色
粉末として回収された(収率82.20%)。
【0141】C〕ポリ〔ビニルベンジルトリメチルホス
ホニウムブロミド−コ−N−(3−アミノプロピル)メ
タクリルアミド〕(モル比19:1):ゴム製セプタム
で封止した100mL容の丸底フラスコにおいて、ビニ
ルベンジルトリメチルホスホニウムブロミド(5.00
g、1.83×10−2モル)、N−(3−アミノプロ
ピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.17g、9.57
×10−4モル)、アゾビスイソブチロニトリル(0.
01g、6.09×10−5モル)、水(5.0mL)
及びジメチルホルムアミド(25mL)を混合し、窒素
気泡で10分間脱気し、そして温水浴(55℃)に一晩
入れておいた。粘性溶液をテトラヒドロフラン中で析出
させ、60℃で真空下一晩乾燥させた。液体を濾別し、
ロータリーエバポレーターで200mLにまで濃縮し、
再度テトラヒドロフラン中で析出させ、そして60℃で
真空下一晩乾燥させた。4.20gの生成物が回収され
た(収率81.9%)。
【0142】D〕ポリ〔ビニルベンジルトリメチルホス
ホニウムアセテート−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比19:1):DOW
EX(商標)550水酸化物アニオン交換樹脂(300
cm)をフラッシュカラムに注入し、溶離液を3:1
メタノール/水とした。そのカラムに1リットルの氷酢
酸をを通してアセテートに転化し、次いで、3リットル
の3:1メタノール/水、工程Cの生成物3.0gを2
00mLの3:1メタノール/水に含むものを当該アセ
テート樹脂カラムに通し、そして溶剤をロータリーエバ
ポレーターで除去した。得られた粘性油状物を真空下で
徹底的に乾燥したところ、2.02gのガラス状の黄色
がかった物質(ポリマー15、収率67.9%)が得ら
れた。イオンクロマトグラフィーは、アセテートへの完
全な転化を示した。
【0143】ポリマー16の製造:ポリ〔ジメチル−2
−(メタクリロイルオキシ)エチルスルホニウムクロリ
ド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド
塩酸塩〕(モル比19:1) A〕ジメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルス
ルホニウムメチルスルフェート:還流凝縮器と窒素導入
口を具備した250mL容の丸底フラスコにおいて2−
(メチルチオ)エチルメタクリレート(30.00g、
0.19モル)、硫酸ジメチル(22.70g、0.1
8モル)及びベンゼン(150mL)を混合した。反応
溶液を1.5時間加熱還流し、室温で20時間攪拌した
ところ、その時点で1H NMR分析により反応が収率
95%まで進行していた。溶剤をロータリーエバポレー
ターで除去して褐色がかった油状物を得、これを20重
量%ジメチルホルムアミド溶液として保存し、これ以上
精製することなく使用した。
【0144】B〕ポリ〔ジメチル−2−(メタクリロイ
ルオキシ)エチルスルホニウムメチルスルフェート−コ
−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸
塩〕(モル比19:1):セプタムを具備した250m
L容の丸底フラスコにおいてジメチル−2−(メタクリ
ロイルオキシ)エチルスルホニウムメチルスルフェート
(20重量%ジメチルホルムアミド溶液93.00g、
6.40×10−2モル)、N−(3−アミノプロピ
ル)メタクリルアミド塩酸塩(0.60g、3.36×
10−3モル)及びアゾビスイソブチロニトリル(0.
08g、4.87×10−4モル)をメタノール(10
0mL)に溶かした。この溶液を窒素気泡で10分間脱
気し、55℃の温水浴において20時間加熱した。反応
混合物を酢酸エチル中で析出させ、メタノールに再溶解
させ、酢酸エチル中に2回析出させ、そして真空下で一
晩乾燥させた。白色粉末(15.0g)が回収された
(収率78.12%)。
【0145】C〕ポリ〔ジメチル−2−(メタクリロイ
ルオキシ)エチルスルホニウムクロリド−コ−N−(3
−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比
19:1):工程Bの前駆体ポリマー(2.13g)を
4:1メタノール/水100mLに溶かし、溶離液とし
て4:1メタノール/水を用い、300cmのDOW
EX(商標)1x8−100アニオン交換樹脂を含むフ
ラッシュカラムに通した。回収した溶剤を30mLまで
濃縮し、300mLのメチルエチルケトン中で析出させ
た。集めた白色粉末を15mLの水に再溶解し、ポリマ
ー16の溶液(固形分10.60%)として冷蔵庫に保
存した。
【0146】ポリマー17の調製:ポリ[ビニルベンジ
ルジメチルスルホニウムメチルスルフェート] a]メチル(ビニルベンジル)スルフィド:添加漏斗お
よび窒素導入口を備えた1リットルの丸底フラスコ中
で、ナトリウムメタンチオレート(24.67g、0.
35モル)をメタノール(250mL)と併せた。テト
ラヒドロフラン(100mL)中の塩化ビニルベンジル
(41.0mL、p−およびo−異性体の60:40混
合物、0.29モル)を添加漏斗を介して30分かけて
添加した。この反応混合物は僅かに温かくなり、乳状懸
濁液が得られた。これを室温で20時間攪拌したとこ
ろ、この時点で、少量の塩化ビニルベンジルが未だに薄
層クロマトグラフィー(溶離剤は2:1のヘキサン/C
Cl)で認められた。別に分けておいたナトリウ
ムメタンチオレート(5.25g、7.49×10−2
モル)を添加し、10分後、反応が完了まで進んだこと
を薄層クロマトグラフィーで確認した。ジエチルエーテ
ル(400mL)を添加し、得られた混合物を600m
Lの水で2回、600mLのブラインで1回抽出した。
得られた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、少量
(1mg)の3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニルスルフィドを添加し、溶媒をロータリーエ
バポレーターによって除いたところ、黄色味がかった油
が得られた。長いVigreuxカラムを通して減圧蒸
留することによって精製して、43.35g(91%)
の純粋な生成物を透明な液体として得た。
【0147】b]ジメチル(ビニルベンジル)スルホニ
ウムメチルスルフェート:窒素導入口を備えた100m
Lの丸底フラスコ中で、メチル(ビニルベンジル)スル
フィド(13.59g、8.25×10−2モル)、ベ
ンゼン(45mL)、およびジメチルスルフェート
(8.9mL、9.4×10−2モル)を併せた。この
混合物を室温で44時間攪拌したところ、この時点で、
2つの層が存在した。水(20mL)を添加し、上部
(ベンゼン)層をピペットで除去した。水性層を30m
Lのジエチルエーテルで3回抽出し、この溶液の中を窒
素を激しく通して泡立たせて、残留揮発性化合物を除去
した。生成物は、さらに精製すること無く、35%(w
/w)溶液として使用した。
【0148】c]ポリ[ジメチル(ビニルベンジル)ス
ルホニウムメチルスルフェート]:ゴム製隔膜を備えた
200mLの丸底フラスコ中で、前の工程からのジメチ
ル(ビニルベンジル)スルホニウムメチルスルフェート
溶液のすべて(およそ5.7×10−2モル)を水(4
4mL)および過硫酸ナトリウム(0.16g、6.7
2×10−4モル)と併せた。この反応溶液を窒素で1
0分間泡立ててガス抜きし、50℃の水浴中で24時間
加熱した。この溶液は粘稠ではなかったので、さらなる
過硫酸ナトリウム(0.16g、6.72×10−4
ル)を添加し、反応を50℃でさらに18時間進ませ
た。次に、この溶液をアセトン中に沈殿させ、直ぐに水
に再溶解させて、ポリマー17の溶液(固形分11.9
%)を100mL得た。
【0149】ポリマー18:ポリ[ビニルベンジルジメ
チルスルホニウムクロリド]の調製 ポリマー17の生成物水溶液(16mL、固形分約4.
0g)を、イソプロパノール(600mL)中のベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロリド(56.0g)に沈
澱させた。溶剤をデカントし、固形物を600mLのイ
ソプロパノール中で10分間攪拌することにより洗浄
し、素速く水に再溶解させてポリマー18の溶液(固形
分11.1%)を35mL得た。イオンクロマトグラフ
ィーによる分析から90%を超える割合で塩化物に転化
したことが示された。
【0150】ポリマーからのポリ(クロロメチル−エチ
レンオキシド−コ−チオ硫酸ナトリウムメチルエチレン
オキシド)の合成:ポリマー19〜21:ポリ(エピク
ロロヒドリン)(Aldrich Chemical
Company、M=700,000)(10g)を
250mLの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)に
溶解させ、無水チオ硫酸ナトリウム(17.0g)を添
加した。この混合物を65℃で24時間加熱した。室温
まで冷却した後、濁った反応混合物を水で透析した。少
量の得られたポリマー(ポリマー19)の溶液を元素分
析用に凍結乾燥し、残りのポリマー溶液を像形成試験に
付した。元素分析により、チオ硫酸ナトリウムへの反応
転化率が16モル%であったことが示された。
【0151】同じ規模でのもう1つの反応では、反応混
合物を85℃で40時間加熱した。得られたポリマー
(ポリマー20)の元素分析により、チオ硫酸ナトリウ
ムへの反応転化率が26モル%であったことが示され
た。反応を65℃で18時間行った場合には、チオ硫酸
ナトリウムへの反応転化率は13モル%であった(ポリ
マー21)。
【0152】ポリマー22および23の合成: ポリマーからのポリ(ビニルベンジルチオ硫酸ナトリウ
ム塩−コ−メタクリル酸メチル)の合成:ポリマー2
2: 塩化ビニルベンジル(10g、0.066モル)、
メタクリル酸メチル(15.34g、0.153モル)
およびAIBN(0.72g、4ミリモル)を120m
Lのトルエンに溶解させた。この溶液を乾燥窒素でパー
ジし、次に、65℃で終夜加熱した。室温まで冷却した
後、この溶液を1200mLのイソプロパノールに滴下
添加した。得られた白色粉末状ポリマーを濾過によって
収集し、減圧下60℃で終夜乾燥した。H NMR分
析により、このコポリマーが44モル%の塩化ビニルベ
ンジルを含有していたことが示された。
【0153】このポリマー(16g)を110mLの
N,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた。この溶
液に、チオ硫酸ナトリウム(12g)および水(20m
L)を添加した。幾らかのポリマーが析出した。この曇
った反応混合物を90℃で24時間加熱した。室温まで
冷却した後、この濁った反応混合物を水で透析した。少
量の得られたポリマー溶液を元素分析用に凍結乾燥し、
残りのポリマー溶液を像形成試験に付した。元素分析に
より、すべての塩化ビニルベンジルがチオ硫酸ナトリウ
ム塩に転化されたことが示された。
【0154】ポリ(ビニルベンジルチオ硫酸ナトリウム
塩−コ−スチレン)(ポリマー23)も同様に調製する
ことができる。
【0155】IR色素の合成: IR色素1および3の合成: 1,1,2−トリメチル−
1H−ベンゾ[e]インドール(174g、Fishe
r Scientific)、ブチロニトリル(500
mL)および臭化3−ブロモプロピル−N,N,N−ト
リメチルアンモニウム(270g、0℃の1,3−ジブ
ロモプロパンの溶液にトリメチルアミンを添加すること
によって調製した)を、凝縮器および機械式攪拌機を備
えた丸底フラスコ中で加熱して環流させた。この反応混
合物を窒素雰囲気下で24時間加熱し、次に、冷却し、
ロータリーエバポレーターによって濃縮して油とした。
この油に、CHCN(500mL)および臭化テトラ
ブチルアンモニウム(270g、Aldrich Ch
emical)およびアセトン(2500mL)の溶液
を添加し、室温で6時間攪拌した。得られた中間体、臭
化1−(N,N,N−トリメチルアンモニウムプロピ
ル)−2,3,3−トリメチルベンゾ(e)インドレニ
ウム(indolenium)を濾過によって収集し、
アセトンで洗浄した。この材料をバキュームオーブンに
素速く移し、40℃で16時間乾燥した。収量:250
g、75%。
【0156】機械式攪拌機および加熱用マントルを備え
た5リットルのフラスコに無水酢酸(340mL)を装
填した。このフラスコに、前の段落の中間体の臭化物
(100g)および−塩酸N−[(3−(アニリノメチ
レン−2−クロロ−1−シクロヘキサン−1−イル)メ
チレン]アニリン(40g)をトリエチルアミン(30
g)といっしょに添加し、100℃に15分加熱した。
次に、この反応混合物を、ジエチルエーテル(4リット
ル)が入っている大きなフラスコに添加した。攪拌後、
このジエチルエーテルをデカントし、アセトン(500
mL)およびヨウ化ナトリウム(50g)を含有してい
る水(150mL)で置き換え、加熱して環流させた
(銅色の結晶が現れた)。この反応混合物を再び室温ま
で冷却し、IR色素1を濾過によって収集し、(固形物
によって洗液がもはや着色しなくなるまで)アセトンで
洗浄し、次に、減圧下40℃で乾燥した。質量:69
g。
【0157】IR色素1の試料(69g)をCHCN
(1000mL)中でスラリーにした。プロピレンオキ
シド(230mL)を添加し、次に、トリフルオロメタ
ンスルホン酸(38g)を室温で1時間かけて滴下添加
した。溶液が現れ、さらに4時間攪拌した後、ジエチル
エーテル(2リットル)を添加した。次に、このジエチ
ルエーテルをデカントし、エタノール(1リットル)で
置き換え、(攪拌しながら)60℃に加熱した。得られ
た結晶質の固体(IR色素3)を濾過によって収集し、
エタノールで洗浄し、減圧下で16時間乾燥した。質
量:66g、メタノール中でのλmax=818nm、
εmax=252,400(メタノール)。高圧液体ク
ロマトグラフィーによって純度を測定したところ、99
%であった。
【0158】IR色素2の合成:丸底フラスコ(500
mL)に、CHCN(300mL)中のIR色素1の
試料(8g)およびAMBERLITE IRA−40
0(Cl)イオン交換樹脂(Aldrich Chem
ical Co.)を添加した。得られたスラリーを1
6時間攪拌した。沸騰CHCN(200mL)中で溶
解させることによってイオン交換樹脂から所望の生成物
を抽出した。次に、それを高温で濾過し、次に、5℃に
5時間冷却し、この時点でIR色素2が沈殿した。この
固形物を冷CHCNで洗浄し、減圧下で乾燥した。質
量:3g、メタノール中でのλmax=819nm、ε
max=251,000(メタノール)。HPLCによ
って純度を測定したところ、99%であった。
【0159】比較例1−IR色素Aを含む印刷版:ポリ
マー14(0.508g)および下記に示すIR色素A
(0.051g)をメタノールと水との3:1混合物
(w/w、8.74g)に溶解させた。混合後であって
塗布の直前に、ビス(ビニルスルホニル)メタン(BV
SM)架橋剤の溶液(0.705g,水中1.8質量
%)を添加した。得られた溶液を従来の線巻ロッド(K
Control Coater,Model K20
2,RKPrint−Coat Instrument
s Ltd.)を使用して湿潤厚み25.4μmになる
ようにゼラチン下引きポリエチレンテレフタレート支持
体と機械的に砂目を立てた陽極酸化アルミニウム支持体
の両方に塗布した。これらのコーティングを70〜80
℃のオーブン中で4分間乾燥した。得られた印刷版は、
ポリエステルまたはアルミニウム支持体の上で架橋した
ポリマー14(1.08g/m)とIR色素A(10
8mg/m)を含有している感熱性像形成層を構成し
ていた。ポリエステル支持体上の淡緑色コーティングは
赤色がかった反射を示した。これは、そのコーティング
中に結晶子が存在することを示唆するものである。従っ
て、これらのコーティングは均質ではなかった。
【0160】印刷版の露光は、波長830nmで動作し
それぞれスポット径23μmに収束されているレーザー
ダイオードアレイを有するプレートセッター上で行っ
た。各チャンネルの記録面での入力最大値は450mワ
ット(mW)であった。印刷版をドラムに取り付け、そ
の回転速度を下記表1に示した各種露光量において一連
の画像セットを提供するように変化させた。レーザービ
ームを変調することによりハーフトーンドット画像を作
りだした。
【0161】
【表1】
【0162】露光後の印刷版を商用A.B.Dick9
870複製プレスに取り付け、VanSon Diam
ond Blackリソグラフィック印刷用インク及び
PARアルコール代用物を含有するUniversal
Pinkファウンテン溶液を用いて印刷物を制作し
た。ポリエステル支持体を有する印刷版の場合、最適露
光量は明らかに360mJ/cm2を超えたが、すべて
の露光条件において、印刷版の露光領域でインクを容易
に受理し、500枚以上の高品位印刷物が得られた。ア
ルミニウム支持体を有する印刷版の場合、いずれの露光
条件においても実質的な画像は得られなかった。
【0163】
【化12】
【0164】比較例2−IR色素Bを含む印刷版:上記
ポリマー14(0.508g)とIR色素B(0.05
1g)を、メタノールと水の3:1混合物(重量/重
量、8.74g)に溶かした。混合後、塗布直前に、B
VSM(0.705g、1.8重量%水溶液)の溶液を
添加した。得られた溶液を、常用のワイヤー巻きロッド
(K Control Coater.Model K
202.RK Print−Coat Instrum
ents Ltd.)を用いて、ゼラチンを下塗りした
ポリエチレンテレフタレート支持体に湿厚が25.4μ
mになるように塗布した。コーティングを70〜80℃
のオーブン内で4分間乾燥させた。印刷版は、ポリエス
テル支持体上に架橋ポリマー14(1.08g/m
及びIR色素B(108mg/m)を含有する感熱画
像形成層を含むものとした。画像形成層は透明で青緑色
を呈した(見かけ上微結晶は含まれない)。
【0165】得られた印刷版を比較例1に記載したよう
に露光した。プレスの運転の早期にネガ像が出てきた
が、直ぐにかすが発生し、印刷版は1000枚にわたり
非常に低品位の画像しか提供しなかった。かすの発生
は、アイオノマーとIR色素Bとの相互作用が原因であ
ったと考えられる。
【0166】実施例1−IR色素1を含む印刷版:ポリ
マー14(0.508g)とIR色素1(0.051
g)を、水とメタノールの3:1混合物(重量/重量、
8.74g)に溶かした。混合後、塗布直前に、BVS
M(0.705g、1.8重量%水溶液)の溶液を添加
した。得られた溶液を、常用のワイヤー巻きロッド(K
Control Coater,Model K20
2,RK Print−Coat Instrumen
tsLtd.)を用いて、ゼラチンを下塗りしたポリエ
チレンテレフタレート支持体と機械的にしぼ付けして陽
極酸化したアルミニウム支持体の双方に湿厚が25.4
μmになるように塗布した。コーティングを70〜80
℃のオーブン内で4分間乾燥させた。印刷版は、ポリエ
ステル支持体又はアルミニウム支持体のいずれかに架橋
ポリマー14(1.08g/m)及びIR色素1(1
08mg/m)を含有する感熱画像形成層を含むもの
とした。得られた印刷版は透明でライトグリーン色を呈
した(見かけ上微結晶は含まれない)。
【0167】比較例1に記載したように印刷版を露光し
て印刷に使用した。比較例1の場合とは違い、すべての
露光条件において(最適露光量は360mJ/cm
であった)、どちらのタイプの印刷版も露光領域でイン
クを容易に受理し、500枚以上の高品位印刷物が得ら
れた。どちらのタイプの印刷版も印刷物の背景にかすを
示すことはなかった。
【0168】実施例2−IR色素3を含む印刷版:ポリ
マー14(0.508g)とIR色素3(0.051
g)を、水とメタノールの3:1混合物(重量/重量、
8.74g)に溶かした。混合後、塗布直前に、BVS
M(0.705g、1.8重量%水溶液)の溶液を添加
した。得られた溶液を、常用のワイヤー巻きロッド(K
Control Coater,Model K20
2,RK Print−Coat Instrumen
tsLtd.)を用いて、ゼラチンを下塗りしたポリエ
チレンテレフタレート支持体と機械的にしぼ付けして陽
極酸化したアルミニウム支持体の双方に湿厚が25.4
μmになるように塗布した。コーティングを70〜80
℃のオーブン内で4分間乾燥させた。印刷版は、ポリエ
ステル支持体又はアルミニウム支持体に架橋ポリマー1
4(1.08g/m)及びIR色素3(108mg/
)を含有する感熱画像形成層を含むものとした。
【0169】比較例1に記載したように印刷版を露光し
て印刷に使用した。しかしながら、比較例1の印刷版と
は違い、どちらのタイプの印刷版も露光領域でインクを
容易に受理し、そして500枚以上の高品位印刷物が得
られた。どちらのタイプの印刷版も印刷物の背景にかす
を示すことはなかった。ポリエステル支持体を有する印
刷版の最適露光量は360mJ/cm2よりも高かっ
た。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月11日(2000.9.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 熱的に転換可能な組成物並びにカチオ
ン性IR色素を含有している像形成部材並びに像形成お
よび印刷の方法
【特許請求の範囲】
【化1】 によって表され、 上式中、AおよびBは独立に環式基であり、LはAおよ
びBと共役している炭素原子を少なくとも3個含む発色
分子鎖であり、R7 、R8 、R9 、R10は独立に、第四
級アンモニウム基、アルキル基、アルコキシ基、ハロお
よびアリール基からなる群より選ばれる置換基であり、
Mはアニオンであり、x+ は全体としてのカチオンの電
荷であり、そしてwおよびzはx+ と釣り合う負電荷を
提供する整数である、請求項1に記載の組成物。
【化2】 によって表される種類Iのポリマーであって、 上式中、R1 はアルキル基であり、R2 はアルキル基、
アルコキシ基、アリール基、アルケニル基、ハロ、シク
ロアルキル基、または5〜8個の原子を環に有する複素
環式基であり、Z''は、5〜10個の原子を環に有する芳
香族N-複素環を完成するのに必要な炭素原子と窒素原
子、酸素原子、または硫黄原子を表し、nは0〜6であ
り、そしてW- はアニオンである、請求項3に記載の組
成物。
【化3】 のいずれかによって表される種類IIのビニルポリマーで
あって、 上式中、Rはアルキレン基、アリーレン基、もしくはシ
クロアルキレン基または2種以上のこれらの基の組み合
わせであり、R3 、R4 およびR5 は独立に置換もしく
は未置換のアルキル基、アリール基、もしくはシクロア
ルキル基であるか、またはR3 、R4 およびR5 のいず
れか2つが組み合わさって、帯電しているリン原子、窒
素原子もしくは硫黄原子を有する複素環を形成していて
もよく、そしてW- はアニオンである、請求項3に記載
の組成物。
【化4】 によって表される種類III のポリマーであって、 上式中、Aは高分子主鎖を表し、R6 は二価の結合基で
あり、そしてYは水素またはカチオンである、請求項3
に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、熱像形成
組成物、およびそれらから調製される平版像形成部材
(特に平版印刷版)に関する。本発明はまた、このよう
な像形成部材の像形成方法、およびそれらを使用する印
刷方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷の技術は油と水との不混和性に
基づいており、油性材料またはインクは像形成領域に選
択的に保持され、水またはファウンテン溶液は非像形成
領域に選択的に保持される。好適に調製された表面を水
で濡らし、次にインクを適用すると、背景または非像形
成領域は水を保持してインクをはじき、像形成領域はイ
ンクを受容して水をはじく。次に、このインクを、布、
紙または金属などの好適な基材の表面に転写させ、それ
により、画像を再現する。
【0003】非常に一般的な平版印刷版は、可視光また
は紫外線に対する感受性がある像形成層を担持している
金属またはポリマーの支持体を含んでいる。ポジ型印刷
版およびネガ型印刷版は両方とも、この様式で調製する
ことができる。露光時、および恐らく露光後の加熱時
に、湿式処理化学を使用して、像形成領域または非像形
成領域のいずれかが除去される。
【0004】感熱性印刷版はより一般的なものとなって
きている。このような版の例は、米国特許第 5,372,915
号(Haley 他)明細書に記載されている。それらは、可
溶性ポリマーと赤外線吸収化合物との混合物を含んでな
る像形成層を含んでいる。これらの版はレーザーおよび
ディジタル情報を使用して像形成させることができるけ
れども、アルカリ性現像溶液を使用する湿式処理を必要
とする。
【0005】IR吸収層にアブレーションを施すことに
よって平版印刷版を作ることができることが認められて
いる。例えば、カナダ特許第 1,050,805号(Eames )明
細書には、インク受容基材、上にあるシリコーンゴム
層、および自己酸化バインダー(例えばニトロセルロー
ス)中のレーザーエネルギー吸収粒子(例えば炭素粒
子)を含んでなる介在層を含む乾式平版印刷版が開示さ
れている。このような版を、Nd++YAGレーザーを用
いて集束近赤外線に露光させた。吸収層が赤外エネルギ
ーを熱に変換し、それにより、吸収剤層および上にある
シリコーンゴムの部分的な緩和、蒸発またはアブレーシ
ョンを起こす。レーザー放射を吸収してシリコーンゴム
の上塗り層の除去を促進するための真空蒸着金属層を有
する類似の版が、リサーチディスクロージャー(Reseach
Disclosure) 19201(1980年)に記載されている。アブ
レーションが可能な印刷版が記載されている他の刊行物
には、米国特許第 5,385,092号(Lewis 他)、同 5,33
9,737号(Lewis 他)、同 5,353,705号(Lewis 他)、
米国再発行特許第35,512号(Nowak 他)、および米国特
許第 5,378,580号(Leenders)の各明細書が含まれる。
【0006】ディジタル式の無処理印刷に使用される有
名な印刷版は、より一般的な感光性印刷版に勝る多数の
利点を有するけれども、それらの使用には多数の不都合
もある。アブレーションの過程でデブリおよび蒸発金属
が生じ、これらを収集しなければならない。アブレーシ
ョンに必要とされるレーザー出力は相当高いことがあ
り、このような印刷版の構成成分は高価であり、塗布が
難しく、または得られる印刷の質が不適格である。この
ような版は一般に支持体上に少なくとも2層の塗布層を
必要とする。
【0007】熱的に転換可能なポリマーは、印刷版にお
ける像形成材料としての使用について記載されてきた。
「転換可能」とは、当該ポリマーが、熱に曝された際
に、疎水性から比較的より親水性に、または逆に親水性
から比較的より疎水性になることを意味する。米国特許
第 4,034,183号(Uhlig )明細書には、高出力レーザー
を使用して親水性の表面層を疎水性の表面に変換するこ
とが記載されている。類似の方法が、米国特許第 4,08
1,572号(Pacansky)明細書において、ポリアミド酸の
ポリイミドへの変換について記載されている。高出力レ
ーザーの使用は、高い電力を必要とし、冷却および頻繁
な保守が必要であるので望ましくない。
【0008】米国特許第 4,634,659号(Esumi 他)明細
書には、疎水性ポリマーコーティングを像様照射して露
光領域をより親水性の性状にすることが記載されてい
る。この概念は、表面特性の変換の印刷版への初期の応
用の1つであるけれども、それには、長時間(60分にも
及ぶ)の紫外線露光を必要とし、かつ、版の使用がポジ
型方式のみに限られるという不都合がある。
【0009】米国特許第 4,405,705号(Etoh他)および
同 4,548,893号(Lee 他)の各明細書には、非熱的処理
に使用される感光性材料のためのアミン含有ポリマーが
記載されている。ポリアミド酸および第四級アンモニウ
ム側基を有するビニルポリマーを使用する熱的処理は、
米国特許第 4,693,958号(Schwartz他)明細書に記載さ
れている。米国特許第 5,512,418号(Ma)明細書には、
感熱性のカチオン性第四級アンモニウム基を有するポリ
マーの使用が記載されている。しかしながら、この技術
に記載されている材料は像形成後に湿式処理を必要とす
る。
【0010】国際公開第 WO 92/09934号(Vogel 他)明
細書には、光酸発生剤と、酸に対して不安定性なテトラ
ヒドロピラニル基または活性化エステル基を有するポリ
マーとを含有している感光性組成物が記載されている。
しかしながら、これらの組成物を像形成させると、像形
成領域の性状が疎水性から親水性に変換される。
【0011】さらに、欧州特許出願公開明細書第 0 652
483号(Ellis 他)には、IRレーザーを使用して像形
成可能であり、湿式処理を必要としない平版印刷版が記
載されている。これらの版は、熱に像様暴露された際に
より親水性になる像形成層を含んでなる。このコーティ
ングは、熱または酸の下で反応してより極性の高い親水
性基を形成することができる側基(例えばt-アルキルカ
ーボネート)を有するポリマーを含有している。このよ
うな組成物を像形成させることにより、像形成領域が疎
水性から比較的より親水性の性状に変換されるので、印
刷版の背景(一般により大きい方の領域である)を像形
成することが必要とされる。このことは、印刷版の端部
を像形成させることが望まれる場合に問題となることが
ある。
【0012】同時係属中の出願に記載されている感熱性
ポリマーのいくつか、特にオルガノオニウム基または他
の帯電基を含有しているポリマーは、有機色素もしくは
カーボンブラックとの物理的相互作用または化学反応を
受ける傾向を有し、それにより、ポリマーおよび熱吸収
材料の両方の効力に悪影響を及ぼす。特に、カーボンブ
ラックは、コストが低く、かつ電磁スペクトルの赤外領
域の隅々にわたる光を吸収するために、好ましい赤外線
吸収材料ではあるけれども、その使用はまた問題をも生
ずる。例えば、それは、選択した水またはアルコール系
溶媒から容易に分散して出てくることができない。しか
しながら、水分散性となるように設計されている(すな
わち、特別な表面官能基を有する)特別なカーボンブラ
ック製品は、イオン性基を含有しているポリマー(オル
ガノオニウムポリマーを含む)の存在下では、化学的相
互作用のために凝集することが多い。
【0013】有機色素塩は、本来、水またはアルコール
系コーティング溶媒に部分的に可溶性であることが多
く、従ってIR色素増感剤として好ましい。しかしなが
ら、このような色素の多くは、溶解性が不十分であるた
め、または帯電ポリマーと反応して地汚れのある画像も
しくは着色した画像を生ずることがある疎水性生成物を
形成するため、またはアルミニウム支持体を有する像形
成部材において不十分な熱増感しか提供しないために、
不適格であることが判っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、グラフィック
アーツ産業では、アブレーション、または既知の無処理
直接記録印刷版に関する上記の他の問題を伴わずに像形
成させることができる無処理の直接記録平版像形成部材
を提供するための代替手段が探求されている。露光を熱
に変換するのに非常に有効なIR色素増感剤を含み、水
または他の環境的に好適な溶媒から塗布することができ
る感熱性像形成部材を有することもまた望ましいであろ
う。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、a)親水
性感熱性イオノマー、b)水または水混和性有機溶媒、
を含んでなる熱像形成法に有用な組成物であって、水ま
たは上記水混和性有機溶媒に可溶性であり、少なくとも
2個の第四級アンモニウム基を有する芳香族赤外線感受
性色素をさらに含むことを特徴とする組成物により克服
される。
【0016】本発明はまた、上述の組成物から調製され
る親水性像形成層が配置されている支持体を含んでなる
像形成部材をも提供する。
【0017】なおさらに、本発明は、 A)上述の像形成部材を用意する工程、および B)上記像形成部材を像様露光させて、上記像形成部材
の像形成層に露光領域および未露光領域を提供し、上記
像様露光によって提供される熱により上記露光領域を上
記未露光領域よりも疎水性にさせる工程、を含む像形成
方法を含む。
【0018】さらにまた、印刷方法は、上記の工程Aお
よびBを実行する工程を含み、さらに、 C)上記像形成部材をファウンテン溶液および平版印刷
用インクと接触させ、当該印刷用インクを当該像形成部
材から受容材料に像様転写させる工程、を含む。
【0019】本明細書において使用されているように、
「イオノマー」という用語は、負または正に帯電してい
る反復単位を少なくとも20モル%有する帯電ポリマーを
指す。これらのイオノマーは、以下の開示において、一
般に「帯電ポリマー」と呼ばれる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の像形成部材は多数の利点
を有し、以前の印刷版の問題を回避する。具体的には、
印刷表面の露光領域をより親水性が低くなるように転換
(好ましくは不可逆的に)する(すなわち、加熱時によ
り疎水性になる)ことによって像形成層の親水性が像様
変化するので、アブレーション像形成(すなわち、表面
層の像様除去)に付随する問題および懸念が回避され
る。従って、当該像形成層は、像形成時も、像形成後
も、無傷のままである(すなわち、アブレーションがま
ったく起こらない)。これらの利点は、反復イオン性基
がポリマー主鎖内にあるかまたはポリマー主鎖に化学結
合されている親水性感熱性ポリマーを使用することによ
って達成される。このようなポリマーおよび基を下記に
より詳細に記載する。像形成層に使用されるポリマー
は、本明細書に記載されている手順を使用して、容易に
調製され、本発明の像形成部材は、像形成後の湿式処理
の必要性が無く、製造および使用が単純である。本発明
の像形成部材から形成され、結果として得られる印刷部
材は一般にネガ型の性状である。場合によっては、これ
らのポリマーは露光時に架橋され、像形成部材に高い耐
久性を提供する。他の場合および好ましい場合において
は、これらのポリマーは支持体への適用および硬化の際
に架橋される。
【0021】正に帯電しているポリマー(例えば、本発
明の実施にはオルガノオニウムポリマーが好ましい)は
概して水およびメタノール(これらの水溶性高分子塩を
容易に溶解させる溶媒)から塗布される。
【0022】本発明において使用される有機芳香族赤外
線感受性色素(本明細書における「IR色素」)は、レ
ーザープレートセッター(laser platesetter) の使用波
長(一般に 700nm以上)のところに極大吸収を有するよ
うに選ぶことができるので、熱像形成部材のための望ま
しい増感剤である。そのうえ、それらは溶解(すなわち
分子的に分散している)状態で塗布することができ、最
大のエネルギー利用並びに最大の画像解像能力を備えて
いる。上記の正に帯電しているポリマーを溶解させるの
に使用される水およびアルコール系溶媒はまた、上記有
機IR色素の分子上の多数の第四級アンモニウム基のた
めに、有機IR色素をも容易に溶解させる。従って、ア
ルミニウム支持体を含む、いずれのタイプの像形成部材
でも、均質な組成物のコーティングが可能である。その
うえ、本明細書に記載されているポリマーおよびIR色
素の相互作用に普通は伴う悪影響は認められていない。
【0023】本発明の像形成部材は、支持体およびその
上にある、乾燥感熱性組成物を含む1層以上の層を含ん
でなる。支持体は、高分子フィルム、ガラス、セラミッ
クス、セルロース系材料(紙を含む)、金属もしくは薄
板紙、またはこれらの材料のいずれかの積層を含むいず
れの自立性材料であってもよい。支持体の厚みは様々で
あることができる。殆どの用途において、厚みは、印刷
に起因する摩耗に耐えるのに十分なものであり、かつ印
刷型(printing form) の周りに巻き付けるのに十分薄く
あるべきである。好ましい態様では、例えば、ポリエチ
レンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートか
ら調製される 100〜 310μmの厚みを有するポリエステ
ル支持体が使用される。もう1つの好ましい態様では、
100〜 600μmの厚みを有するアルミニウム支持体が使
用される。支持体は、使用条件下での寸法変化に耐えな
ければならない。
【0024】支持体は、印刷機の印刷シリンダー並びに
印刷シリンダーに合うように作られた印刷スリーブを含
む円筒形の支持体であってもよい。円筒形の像形成部材
を提供するためにこのような支持体を使用することは、
米国特許第 5,713,287号(Gelbart )明細書に記載され
ている。印刷機の一体部分である円筒形の表面に上記感
熱性ポリマー組成物を直接塗布またはスプレーすること
もできる。
【0025】支持体に、1層以上の「下塗り」層を塗布
して、最終的な集成体の接着性を改良してもよい。下塗
り層の材料の例には、写真産業においてこのような目的
のために知られているゼラチン並びに他の天然または合
成の親水性コロイドおよびビニルポリマー(例えば塩化
ビニリデンコポリマー)、ビニルホスホン酸ポリマー、
アルコキシシランから調製されるものなどのゾルゲル材
料(グリシドキシトリエトキシシランおよびアミノプロ
ピルトリエトキシシラン)、エポキシ官能基を有するポ
リマー、並びに種々のセラミックスが含まれるけれど
も、これらに限定されるものではない。
【0026】支持体の裏面に、帯電防止剤および/また
は滑り層もしくは艶消し層を塗布して、像形成部材の風
合いおよび「感触」を改良してもよい。
【0027】しかしながら、像形成部材は、像形成に必
要とされる感熱性表面層を1層だけ支持体上に有するの
が好ましい。この親水性層は本発明の組成物から調製さ
れ、光熱変換材料として1種以上の感熱性帯電ポリマー
およびIR色素(両方とも下記に記載する)を含んでい
る。像形成層に使用される特定のポリマー(複数種であ
ってもよい)のために、この層の露光領域(像形成領
域)がより疎水性の性状になる。未露光領域は親水性の
性状のままである。
【0028】像形成部材の感熱性像形成層において、像
形成に必須なのは、1種以上の帯電ポリマーおよび1種
以上の芳香族IR色素だけである。帯電ポリマーは、一
般に、少なくとも20モル%がイオン性基を含む反復単位
を含んでなる。好ましくは、反復単位の少なくとも30モ
ル%がイオン性基を含んでいる。従って、これらのポリ
マーの各々は、これらのイオン性基によって提供される
正味の電荷を有する。好ましくは、イオン性基はカチオ
ン性基である。
【0029】本発明の実施において有用な帯電ポリマー
(イオノマー)は、大きくは、以下の3種の材料のいず
れかであることができる。 I)正に帯電しているN-アルキル化芳香族複素環式側基
を含む反復単位を含んでなる架橋ビニルポリマーまたは
未架橋ビニルポリマー、 II)反復オルガノオニウム基を含んでなる架橋ポリマー
または未架橋ポリマー、および III )チオスルフェート(Bunte 塩)側基を含んでなる
ポリマー。
【0030】各々の種類のポリマーを順に説明する。像
形成層は、各々の種類のポリマーの混合物、または2つ
以上の種類の1種以上のポリマーの混合物を含むことが
できる。種類IIのポリマーが好ましい。
【0031】種類Iのポリマー 種類Iのポリマーは、一般に、少なくとも1000の分子量
を有しており、必須の正に帯電している基を有する多種
多様な親水性ビニルホモポリマーおよびコポリマーのい
ずれであってもよい。それらは、従来のいずれかの重合
技法を使用して、エチレン系不飽和重合性モノマーから
調製される。好ましくは、これらのポリマーは、2種以
上のエチレン系不飽和重合性モノマーから調製されるコ
ポリマーであり、これらのコポリマーの少なくとも1種
が所望の正に帯電している側基を含有しており、別のモ
ノマーが、架橋部位および場合によっては支持体への接
着性などの他の性質を提供することが可能である。これ
らのポリマーを調製するのに必要とされる手順および反
応体は周知である。本明細書において提供されているさ
らなる教示により、当業者は既知のポリマー反応体およ
び条件を変更して、好適なカチオン性基を結合させるこ
とができる。
【0032】カチオン性基の存在により、このカチオン
性基がその対イオンと反応する際に、何等かの手法で熱
に曝された領域における像形成層の親水性から疎水性へ
の「転換」が明らかに提供または促進される。最終的な
結果は電荷の損失である。このような反応は、アニオン
の求核性および/または塩基性が高いほど容易に達成さ
れる。例えば、アセテートアニオンは塩化物アニオンよ
りも概して反応性が高い。アニオンの化学的性状を変更
することによって、感熱性ポリマーの反応性を変更し
て、十分な環境寿命と釣り合った所定の条件の組み(例
えば、レーザーのハードウェアおよび電力、並びに印刷
機の要求)について最適な画像解像度を提供することが
できる。有用なアニオンには、ハロゲン化物、カルボキ
シレート、スルフェート、ボレート並びにスルホネート
が含まれる。代表的なアニオンには、塩化物、臭化物、
フッ化物、アセテート、テトラフルオロボレート、ホル
メート、スルフェート、p-トルエンスルホネートおよび
当業者に容易に明らかな他のものが含まれるけれども、
これらに限定されるものではない。ハロゲン化物および
カルボキシレートが好ましい。
【0033】上述の熱活性化反応が像形成された印刷層
に所望の疎水性を提供することができるように、上記ポ
リマーの十分な反復単位に芳香族カチオン性基が存在す
る。これらの基はポリマーの主鎖に沿って結合されてい
てもよいし、もしくは高分子ネットワークの1つ以上の
枝分かれに結合されていてもよいし、またはそれらの両
方に結合されていてもよい。これらの芳香族基は概して
5〜10個の炭素原子、窒素原子、硫黄原子または酸素原
子(少なくとも1個は正に帯電している窒素原子であ
る)を環に有し、枝分かれもしくは枝無しで、置換また
は未置換のアルキル基が結合されている。従って、芳香
族複素環式基を含有している反復単位は、下記構造式I
によって表すことができる。
【0034】
【化5】
【0035】この構造式において、R1 は、1〜12個の
炭素原子を有する枝分かれもしくは枝無しで、置換また
は未置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、n-プロ
ピル、イソプロピル、t-ブチル、ヘキシル、メトキシメ
チル、ベンジル、ネオペンチルおよびドデシル)であ
る。好ましくは、R1 は、1〜6個の炭素原子を有する
置換もしくは未置換で、枝分かれまたは枝無しのアルキ
ル基であり、もっとも好ましくは、置換または未置換の
メチル基である。
【0036】R2 は、置換または未置換のアルキル基
(上記に規定されているもの、およびさらにシアノアル
キル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキ
ル基)、1〜6個の炭素原子を有する置換または未置換
のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、イソプロ
ポキシ、オキシメチルメトキシ、n-プロポキシおよびブ
トキシ)、6〜14個の炭素原子を環に有する置換または
未置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アン
トリル、p-メトキシフェニル、キシリル、およびアルコ
キシカルボニルフェニル)、ハロ(例えばクロロおよび
ブロモ)、5〜8個の炭素原子を環に有する置換または
未置換のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シ
クロヘキシルおよび4-メチルシクロヘキシル)、または
5〜8個の原子を環に有し、少なくとも1個の窒素、硫
黄もしくは酸素原子を環に有する置換または未置換の複
素環式基(例えばピリジル、ピリジニル、テトラヒドロ
フラニルおよびテトラヒドロピラニル)である。好まし
くは、R2 は置換または未置換のメチル基またはエチル
基である。
【0037】Z''は、上記高分子主鎖に結合されている
5〜10員芳香族N-複素環を完成するのに必要な炭素原子
と、さらにいくつかの窒素原子、酸素原子、または硫黄
原子を表す。従って、この環は、2個以上の窒素原子を
環に含むことができ(例えば、N-アルキル化ジアジニウ
ム基またはイミダゾリウム基)、またはN-アルキル化窒
素含有縮合環構造には、ピリジニウム、キノリニウム、
イソキノリニウム、アクリジニウム、フェナントラジニ
ウムおよび当業者に容易に明らかな他のものが含まれる
けれども、これらに限定されるものではない。
【0038】W- は上述の好適なアニオンである。もっ
とも好ましくは、それはアセテートまたは塩化物であ
る。
【0039】また、構造式Iにおいて、nは0〜6であ
ると規定され、好ましくは0または1である。もっとも
好ましくは、nは0である。
【0040】上記芳香族複素環は環のいずれの位置で高
分子主鎖に結合されていてもよい。好ましくは、環には
5または6個の原子があり、そのうちの1個または2個
が窒素である。従って、上記N-アルキル化窒素含有芳香
族基は好ましくはイミダソリニウムまたはピリジニウム
であり、もっとも好ましくはイミダソリニウムである。
【0041】上記カチオン性芳香族複素環を含有してい
る反復単位は、既知の手順および条件を使用して、未ア
ルキル化窒素含有複素環単位と適当なアルキル化剤(例
えばアクリルスルホン酸エステル、ハロ化アルキルおよ
び当業者に容易に明らかな他のもの)とを反応させるこ
とによって提供することができる。
【0042】好ましい種類Iのポリマーは、以下の構造
式IIによって表すことができる。
【0043】
【化6】
【0044】上式中、Xは、上記N-アルキル化窒素含有
芳香族複素環式基(HET+ によって表されている)が
結合されている反復単位を表し、Yは、種々の架橋機構
(下記に記載する)のいずれかを使用して架橋させるた
めの活性部位を提供することができるエチレン系不飽和
重合性モノマーから誘導される反復単位を表し、そして
Zは、さらなるエチレン系不飽和重合性モノマーから誘
導される反復単位を表す。これらの種々の繰り返し単位
は、20〜 100モル%のx、0〜20モル%のy、および0
〜80モル%のzによって表されるように、好適な量で存
在している。好ましくは、xは30〜98モル%であり、y
は2〜10モル%であり、そしてzは0〜68モル%であ
る。
【0045】上記ポリマーの架橋は、多数の方法によっ
て行うことができる。架橋のための非常に多くのモノマ
ーおよび方法が当業者によく知られている。代表的な架
橋方法の中には以下のものが含まれるけれども、必ずし
もこれらに限定されるものではない。
【0046】a)アミンまたはカルボン酸または他のル
イス塩基単位をジエポキシド架橋剤と反応させること、 b)上記ポリマー内のエポキシド単位を二官能価アミ
ン、カルボン酸、または他のルイス塩基単位と反応させ
ること、 c)二重結合含有単位(例えばアクリレート基、メタク
リレート基、シンナメート基、またはビニル基)を放射
線架橋またはラジカル開始架橋させること、 d)多価金属塩を上記ポリマー内の配位基と反応させる
こと(例としては、亜鉛の塩とカルボン酸含有ポリマー
との反応がある)、
【0047】e)クネーベナーゲル縮合反応によって反
応する架橋性モノマー(例えば (2-アセトアセトキシ)
エチルアクリレートおよびメタクリレート)を使用する
こと、 f)マイケル付加反応によって、アミン基、チオール
基、またはカルボン酸基をジビニル化合物(例えばビス
(ビニルスルホニル) メタン)と反応させること、 g)カルボン酸単位を多数のアジリジン単位を有する架
橋剤と反応させること、 h)多数のイソシアネート単位を有する架橋剤を上記ポ
リマー内のアミン、チオール、またはアルコールと反応
させること、
【0048】i)鎖間ゾル−ゲル結合の形成を含む機構
(例えば 3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレ
ートモノマーの使用)、 j)添加されたラジカル開始剤(例えば過酸化物または
ヒドロペルオキシド)を使用する酸化的架橋、 k)アルキド樹脂に用いられるものなどの、自動酸化架
橋、 l)加硫、並びに m)電離放射線を含む方法。
【0049】架橋性基または活性架橋性部位(またはエ
ポキシドなどの架橋添加剤のための付着点としてはたら
くことができる基)を有するモノマーを、上記の他のモ
ノマーと共重合させることができる。このようなモノマ
ーには、 3-(トリメトキシシリル) プロピルアクリレー
トまたはメタクリレート、アンナモイルアクリレートま
たはメタクリレート、N-メトキシメチルメタクリルアミ
ド、塩酸N-アミノプロピルアクリルアミド、アクリル酸
またはメタクリル酸およびヒドロキシエチルメタクリレ
ートが含まれるけれども、これらに限定されるものでは
ない。
【0050】上記構造式IIにおける「Z」によって表さ
れる繰り返し単位を提供するさらなるモノマーには、親
水性像形成層に所望の物理的性質または印刷特性を提供
することができるならば、いずれの有用な親水性または
親油性のエチレン系不飽和重合性モノマーも含まれる。
このようなモノマーには、アクリレート、メタクリレー
ト、イソプレン、アクリロニトリル、スチレンおよびス
チレン誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ア
クリル酸またはメタクリル酸並びにハロゲン化ビニルが
含まれるけれども、これらに限定されるものではない。
【0051】代表的な種類Iのポリマーは下記のポリマ
ー1および3〜6である。これらのポリマーの混合物を
使用することもできる。下記のポリマー2は有用な種類
Iのポリマーの先駆物質である。
【0052】種類IIのポリマー 種類IIのポリマーもまた、一般に、少なくとも1000の分
子量を有する。それらは、多種多様な親水性ビニルまた
は非ビニルのホモポリマーおよびコポリマーのいずれで
あってもよい。
【0053】種類IIの非ビニルポリマーには、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリアミド−エステル、ポリアリー
レンオキシドおよびそれらの誘導体、ポリウレタン、ポ
リキシリレンおよびそれらの誘導体、シリコン系ゾルゲ
ル(ゾルセスキオキサン(solsesquioxane))、ポリアミ
ドアミン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリシロキサ
ン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリフェニレ
ンスルフィドイオノマー、ポリスルフィドおよびポリベ
ンゾイミダゾールが含まれるけれども、これらに限定さ
れるものではない。好ましくは、このような非ビニルポ
リマーは、シリコン系ゾルゲル、ポリアリーレンオキシ
ド、ポリフェニレンスルフィドイオノマーまたはポリキ
シリレンであり、もっとも好ましくは、それらはポリフ
ェニレンスルフィドイオノマーである。すべてのこれら
のタイプのポリマーを調製するのに必要とされる手順お
よび反応対は周知である。本明細書において提供されて
いるさらなる教示により、当業者は既知のポリマー反応
体および条件を変更して、好適なカチオン性オルガノオ
ニウム部分を導入または結合させることができる。
【0054】本発明において有用なシリコン系ゾルゲル
は、ジ−、トリ−またはテトラアルコキシシランから誘
導されるシリコンコロイドを含有している架橋高分子マ
トリックスとして調製することができる。これらのコロ
イドは、米国特許第 2,244,325号、同 2,574,902号およ
び同 2,597,872号の各明細書に記載されている方法によ
って形成される。このようなコロイドの安定な分散系
は、都合の良いことに、DuPont Companyなどの会社から
購入することができる。好ましいゾル−ゲルには、架橋
剤およびポリマー層形成材料の両方として、酢酸N-トリ
メトキシシリルプロピル -N,N,N-トリメチルアンモニウ
ムが使用される。
【0055】何らかの様式でポリマーに化学的に導入さ
れたオルガノオニウム部分が存在することにより、この
カチオン性部分がその対イオンと反応する際に、熱を提
供するかまたは発生させるエネルギーへの暴露時に、そ
の曝された領域における像形成層の親水性から親油性へ
の「転換」が明らかに提供または促進される。最終的な
結果は電荷の損失である。種類Iのポリマーについて上
記に記載したように、このような反応は、オルガノオニ
ウム部分のアニオンの求核性および/または塩基性が高
いほど容易に達成される。
【0056】上記ポリマー内のオルガノオニウム部分
は、三置換硫黄部分(オルガノスルホニウム)、四置換
窒素部分(オルガノアンモニウム)、または四置換リン
部分(オルガノホスホニウム)から選択することができ
る。四置換窒素(オルガノアンモニウム)部分が好まし
い。この部分は、好適な対イオンといっしょに、ポリマ
ー主鎖に化学的に結合させることができ(すなわち、側
基)、または何らかの様式で主鎖内に導入することもで
きる。いずれの態様においても、オルガノオニウム部分
は、上述の熱活性化反応が起こって、像形成層に所望の
疎水性を提供することができるように、ポリマーの十分
な繰り返し単位(少なくとも20モル%)に存在する。側
基として化学的に結合されている場合には、オルガノオ
ニウム部分は、ポリマーの主鎖に沿って結合されていて
も、もしくは高分子ネットワークの1つ以上の枝分かれ
に結合されていてもよいし、またはそれらの両方に結合
されていてもよい。ポリマー主鎖内に化学的に導入され
ている場合には、この部分は環式もしくは非環式の形で
存在してもよく、ポリマーネットワークにおける分岐点
を形成していてもよい。好ましくは、オルガノオニウム
部分は高分子主鎖に沿った側基として提供される。側基
としてのオルガノオニウム部分は、ポリマー形成後にポ
リマー主鎖に化学的に結合させることができ、または既
知の化学を使用してポリマー上の官能基をオルガノオニ
ウム部分に変換することもできる。例えば、第四級アン
モニウム側基は、第三級アミン求核剤によって「脱離
基」(例えばハロゲン)を置き換えることによって高分
子主鎖上に提供することができる。あるいは、オルガノ
オニウム基は、次に重合されるモノマー上に存在する事
もできるし、またはポリマー内に既に導入されている中
性ヘテロ原子単位(三価の窒素もしくはリン基または二
価の硫黄基)のアルキル化によって誘導することもでき
る。
【0057】オルガノオニウム部分は置換されて正の電
荷を提供する。各々の置換基は、オルガノオニウム部分
の硫黄、窒素またはリン原子に直接結合される炭素原子
を少なくとも1個有していなければならない。有用な置
換基には、1〜12個の炭素原子、、好ましくは1〜7個
の炭素原子を有する置換または未置換のアルキル基(例
えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブ
チル、ヘキシル、メトキシメチル、イソプロポキシメチ
ル)、置換または未置換のアリール基(フェニル、ナフ
チル、p-メチルフェニル、m-メトキシフェニル、p-クロ
ロフェニル、p-メチルチオフェニル、p-N,N-ジメチルア
ミノフェニル、キシリル、メトキシカルボニルフェニル
およびシアノフェニル)、および5〜8個の炭素原子を
炭素環に有する置換または未置換のシクロアルキル基
(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシ
クロヘキシルおよび3-メチルシクロヘキシル)が含まれ
るけれども、これらに限定されるものではない。他の有
用な置換基は当業者に容易に明らかであろうし、明確に
記載されている置換基のいずれの組み合わせもまた企図
されている。
【0058】オルガノオニウム部分は、種類Iのポリマ
ーについて上記に記載したいずれかの好適なアニオンを
含んでいる。ハロゲン化物およびカルボキシレートが好
ましい。
【0059】代表的な種類IIの非ビニルポリマーは下記
のポリマー7〜8および10である。これらのポリマー
の混合物を使用することもできる。ポリマー9はポリマ
ー10の先駆物質である。
【0060】さらに、種類IIのビニルポリマーを本発明
の実施に使用することができる。非ビニルポリマーと同
様に、このような感熱性ポリマーは、1つ以上のタイプ
のオルガノオニウム基を有する反復単位を含んでなる。
例えば、このようなポリマーは、オルガノアンモニウム
基およびオルガノスルホニウム基を両方とも有する反復
単位を有することができる。すべてのオルガノオニウム
基が同じアルキル置換基を有することは必要ではない。
例えば、ポリマーが1つ以上のタイプのオルガノアンモ
ニウム基を有する反復単位を有することもできる。これ
らのポリマーにおける有用なアニオンは非ビニルポリマ
ーについて上記に記載したものと同じである。さらに、
ハロゲン化物およびカルボキシレートが好ましい。
【0061】オルガノオニウム部分は、上述の熱活性化
反応が起こって、像形成された印刷層に所望の疎水性を
提供することができるように、ポリマーの十分な反復単
位に存在する。この基はポリマーの主鎖に沿って結合さ
れていてもよいし、もしくは高分子ネットワークの1つ
以上の枝分かれに結合されていてもよいし、またはそれ
らの両方に結合されていてもよい。側基は既知の化学を
使用してポリマー形成後にポリマー主鎖に化学的に結合
させることができる。例えば、オルガノアンモニウム、
オルガノホスホニウムまたはオルガノスルホニウム基
は、三価アミン求核剤、二価硫黄求核剤または三価リン
求核剤による高分子鎖上の脱離側基(例えばハロゲン化
物またはスルホン酸エステル)の求核置換によって高分
子主鎖上に提供することができる。オニウム側基はま
た、スルホン酸アルキルエステルまたはハロゲン化アル
キルなどのいずれかの一般的に使用されるアルキル化剤
を使用して対応する中性のヘテロ原子側基(窒素、硫黄
またはリン)のアルキル化によっても提供することがで
きる。あるいは、所望のオルガノアンモニウム基、オル
ガノホスホニウム基またはオルガノスルホニウム基を含
有しているモノマー先駆物質を重合させて所望のポリマ
ーを得てもよい。
【0062】上記ビニルポリマーにおけるオルガノアン
モニウム基、オルガノホスホニウム基またはオルガノス
ルホニウム基は、所望の正の電荷を提供する。一般に、
好ましいオルガノオニウム側基は以下の構造式III 、IV
およびVによって示すことができる。
【0063】
【化7】
【0064】上式中、Rは、1種以上のオキシ、チオ、
カルボニル、アミドまたはアルコキシカルボニル基を分
子鎖と共に含むことができる、1〜12個の炭素原子を有
する置換もしくは未置換のアルキレン基(例えばメチレ
ン、エチレン、イソプロピレン、メチレンフェニレン、
n-ブチレンおよびヘキシレン)、6〜10個の炭素原子を
環に有する置換もしくは未置換のアリーレン基(例えば
フェニレン、ナフチレン、キシレンおよび3-メトキシフ
ェニレン)、または5〜10個の炭素原子を環に有する置
換もしくは未置換のシクロアルキレン基(例えば1,4-シ
クロヘキシレン、および3-メチル -1,4-シクロヘキシレ
ン)である。さらに、Rは、上記に規定した置換または
未置換のアルキレン基、アリーレン基およびシクロアル
キレン基の2種以上の組み合わせであってもよい。好ま
しくは、Rは置換もしくは未置換のエチレンオキシカル
ボニルまたはフェニレンメチレン基である。本明細書に
列挙されていない他の有用な置換基には、当業者には容
易に明らかであろうように、上記に列挙した基のいずれ
かの組み合わせが含まれ得る。
【0065】R3 、R4 およびR5 は独立に、1〜12個
の炭素原子を有する置換もしくは未置換のアルキル基
(例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、
t-ブチル、ヘキシル、ヒドロキシメチル、メトキシメチ
ル、ベンジル、メチレンカルボアルコキシおよびシアノ
アルキル)、6〜10個の炭素原子を炭素環に有する置換
または未置換のアリール基(フェニル、ナフチル、キシ
リル、p-メトキシフェニル、m-メトキシフェニル、p-ク
ロロフェニル、p-メチルチオフェニル、p-N,N-ジメチル
アミノフェニル、メトキシカルボニルフェニルおよびシ
アノフェニル)、または5〜10個の炭素原子を炭素環に
有する置換または未置換のシクロアルキル基(例えば1,
3-または1,4-シクロヘキシル)である。あるいは、
3 、R4 およびR5 のいずれか2つが組み合わさっ
て、帯電しているリン原子、窒素原子もしくは硫黄原子
を有する置換もしくは未置換の複素環を形成していても
よく、この環は4〜8個の炭素原子、窒素原子、リン原
子、硫黄原子もしくは酸素原子を環に有する。このよう
な複素環には、構造式Vについては、置換もしくは未置
換のモルホリニウム基、ピペリジニウム基およびピロリ
ジニウム基が含まれるけれども、これらに限定されるも
のではない。これらの種々の基に有用な他の置換基は当
業者に容易に明らかであろうし、明確に記載されている
置換基のいずれの組み合わせもまた企図されている。
【0066】好ましくは、R3 、R4 およびR5 は独立
に置換もしくは未置換のメチル基またはエチル基であ
る。
【0067】W- は種類Iのポリマーについて上記に記
載したいずれかの好適なアニオンである。アセテートお
よび塩化物が好ましいアニオンである。
【0068】本明細書に記載されている第四級アンモニ
ウム基を含有しているポリマーがもっとも好ましい種類
IIのビニルポリマーである。
【0069】好ましい態様において、本発明の実施に有
用な種類IIのビニルポリマーは以下の構造式VIによって
表すことができる。
【0070】
【化8】
【0071】上式中、X' は、オルガノオニウム基
(「ORG」)が結合されている反復単位を表し、Y'
は、種々の架橋機構(下記に記載する)のいずれかを使
用して架橋させるための活性部位を提供することができ
るエチレン系不飽和重合性モノマーから誘導される反復
単位を表し、そしてZ' は、いずれかのさらなるエチレ
ン系不飽和重合性モノマーから誘導される反復単位を表
す。これらの種々の反復単位は、20〜99モル%のx' 、
1〜20モル%のy' 、および0〜79モル%のz' によっ
て表されるように、好適な量で存在している。好ましく
は、x' は30〜98モル%であり、y' は2〜10モル%で
あり、そしてz' は0〜68モル%である。
【0072】上記ビニルポリマーの架橋は、種類Iのポ
リマーについて上記に記載したものと同じ方法で達成す
ることができる。
【0073】構造式VIにおける「Z' 」によって表され
るさらなる反復単位を提供するさらなるモノマーには、
像形成層に所望の物理的性質または印刷特性を提供する
ことができるならば、いずれの有用な親水性または親油
性のエチレン系不飽和重合性モノマーも含まれる。この
ようなモノマーには、アクリレート、メタクリレート、
アクリロニトリル、イソプレン、スチレンおよびスチレ
ン誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリ
ル酸またはメタクリル酸並びにハロゲン化ビニルが含ま
れるけれども、これらに限定されるものではない。
【0074】代表的な種類IIのビニルポリマーは、本明
細書において下記に規定するポリマー11〜18であ
り、ポリマー14がもっとも好ましい。これらのポリマ
ーのいずれか2種以上の混合物を使用することもでき
る。
【0075】種類III のポリマー 種類III のポリマーの各々は少なくとも1000、好ましく
は少なくとも5000の分子量を有する。例えば、これらの
ポリマーは、既知の重合技法および反応体を使用してい
っしょに反応する1種以上のエチレン系不飽和重合性モ
ノマーから調製されるビニルホモポリマーまたはコポリ
マーであることができる。あるいは、それらは、既知の
重合技法および反応体を使用していっしょに反応する1
種以上の複素環式モノマーから調製されるさらなるホモ
ポリマーまたはコポリマー(例えばポリエステル)であ
ることができる。さらに、それらは、既知の重合技法お
よび反応体を使用して調製される縮合タイプのポリマー
(例えばポリエステル、ポリイミド、ポリアミドまたは
ポリウレタン)であることができる。ポリマーのタイプ
がいずれであれ、ポリマーの全反復単位の少なくとも20
モル%(好ましくは30モル%)が必要な感熱性チオスル
フェート基を含む。
【0076】本発明の実施に有用な種類III のポリマー
は、チオスルフェート基(またはBunte 塩)が側基であ
る下記構造式VII によって表すことができる。
【0077】
【化9】
【0078】上式中、Aは高分子主鎖を表し、R6 は二
価の結合基であり、そしてYは水素またはカチオンであ
る。
【0079】有効な高分子主鎖にはビニルポリマー、ポ
リエーテル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタンお
よびポリエステルが含まれるけれども、これらに限定さ
れるものではない。好ましくは、高分子主鎖はビニルポ
リマーまたはポリエーテルである。
【0080】有用なR6 結合基には、1種以上の酸素原
子、窒素原子または硫黄原子を分子鎖に有することがで
きる−(COO)n (Z1 m −(nは0または1であ
り、mは0または1であり、そしてZ1 は1〜6個の炭
素原子を有する置換もしくは未置換のアルキレン基(例
えばメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレ
ン、ブチレン、2-ヒドロキシプロピレンおよび2-ヒドロ
キシ -4-アザヘキシレン)である)、6〜14個の炭素原
子を芳香環に有する置換もしくは未置換のアリーレン基
(例えばフェニレン、ナフチレン、アントラシレン(ant
hracylene)およびキシレン)、または7〜20個の炭素原
子を分子鎖に有する置換もしくは未置換のアリーレンア
ルキレン(もしくはアルキレンアリーレン)(例えばp-
メチレンフェニレン、フェニレンメチレンフェニレン、
ビフェニレンおよびフェニレンイソプロピレンフェニレ
ン)が含まれる。さらに、R6 は、Z1 について上記に
記載されているアリーレンアルキレンにおいて、アルキ
レン基、アリーレン基であってもよい。
【0081】好ましくは、R6 は、炭素原子が1〜3個
のアルキレン基、芳香環の炭素原子が6個のアリーレン
基、分子鎖の炭素原子が7もしくは8個のアリーレンア
ルキレン基、またはZ1 がメチレン、エチレンもしくは
フェニレンである−COO(Z1 m −である。もっと
も好ましくは、R6 はフェニレン、メチレンまたは−C
OO−である。
【0082】Y1 は水素、アンモニウムイオン、または
金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、セシウム
イオン、バリウムイオン、亜鉛イオンまたはリチウムイ
オン)である。好ましくは、Y 1 は水素、ナトリウムイ
オンまたはカリウムイオンである。
【0083】チオスルフェート基は一般に主鎖に対する
側基であるので、好ましくは、従来の技法を使用して重
合されて、チオスルフェート含有反復単位のビニルホモ
ポリマー、または1種以上のさらなるエチレン系不飽和
重合性モノマーと共重合される場合にはビニルコポリマ
ーを形成することができるエチレン系不飽和重合性モノ
マーの一部である。これらのチオスルフェート含有反復
単位は一般にポリマーの全反復単位の少なくとも20モル
%を構成し、好ましくはそれらは全反復単位の30〜 100
モル%を構成する。ポリマーは、本明細書に記載されて
いるように、チオスルフェート基を含有している繰り返
し単位を1種を超えて含むことができる。
【0084】上述のチオスルフェート基を有するポリマ
ーは、熱により(スルフェートを失って)架橋して、親
水性チオスルフェートから疎水性ジスルフィドに転換す
ると信じられている。
【0085】チオスルフェート含有分子(またはBunte
塩)は、Bunte のChem. Ber. 7, 646, 1884 によって教
示されているように、ハロゲン化アルキルとチオスルフ
ェートとの間の反応から調製することができる。チオス
ルフェート基を含有しているポリマーは、官能基を有す
るモノマーまたはあらかじめ形成されたポリマーのいず
れからでも調製することができる。ポリマーはまた、米
国特許第 3,706,706号(Vandenberg)明細書に記載され
ているものと同様の手法によって、あらかじめ形成され
たポリマーから調製することもできる。チオスルフェー
ト含有分子を、アルキルエポキシドとチオスルフェート
塩との反応、またはアルキルエポキシドとチオスルフェ
ート部分を含有している分子(例えば2-アミノエタンチ
オ硫酸)との間の反応によって調製することもでき、Th
ames, Srf. Coating, 3 (Waterborne Coat.), Chapter
3, pp. 125-153, Wilson et al (Eds.) によって説明さ
れているように、この反応はモノマーまたはポリマーの
いずれでも行うことができる。
【0086】エチレン系不飽和重合性モノマーおよび種
類III のポリマー(ポリマー19〜28)を製造するた
めの代表的な合成方法を以下に説明する。チオスルフェ
ート官能基を含有しているモノマーを1種以上の他のエ
チレン系不飽和重合性モノマーと共重合させてポリマー
の化学的性質または官能基的性質を変更することによっ
てビニルポリマーを調製して、像形成部材の性能を最適
化し、またはさらなる架橋能力を導入することができ
る。
【0087】有用なエチレン系不飽和重合性モノマーに
は、アクリレート(メタクリレートを含む)(例えばア
クリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メ
チルおよびメタクリル酸t-ブチル)、アクリルアミド
(メタクリルアミドを含む)、アクリロニトリル(メタ
クリロニトリルを含む)、ビニルエーテル、スチレン、
酢酸ビニル、ジエン(例えばエチレン、プロピレン、1,
3-ブタジエンおよびイソブチレン)、ビニルピリジンお
よびビニルピロリドンが含まれるけれども、これらに限
定されるものではない。アクリルアミド、アクリレート
およびスチレンが好ましい。
【0088】上記像形成部材の像形成層は1種以上の種
類I、IIまたはIII のポリマーを含むことができ、その
像形成特性に悪影響を及ぼさない限り少量(層の全乾燥
質量に対して20質量%未満)のさらなるバインダーまた
は高分子材料を含んでも、含んでいなくてもよい。
【0089】感熱性層を提供するのに使用される組成物
において、帯電ポリマーの量は一般に固形分が少なくと
も1%、好ましくは固形分が少なくとも2%の量で存在
する。この組成物における帯電ポリマーの量の実用上の
上限は固形分10%である。
【0090】像形成層に使用される帯電ポリマー(複数
種であってもよい)の量は、一般に少なくとも 0.1g/
2 、好ましくは 0.1〜10g/m2 (乾燥質量)であ
る。一般に、この量で、 0.1〜10μmの平均乾燥厚みが
得られる。
【0091】像形成層はまた、濃度が十分に低く、像形
成特性または印刷特性に関して不活性である限り、塗工
性もしくは他の性質のための1種以上の従来の界面活性
剤、書き込まれた画像の視覚化を可能とするための色素
または着色剤、または平版印刷技術において一般的に使
用されるいずれの他の添加剤をも含むことができる。
【0092】適当なエネルギー源(例えばレーザー)か
らの適当な輻射線を吸収するための1種以上の光熱変換
材料を上記感熱性像形成層が含んでいることは不可欠で
ある(この輻射線は熱に変換される)。従って、このよ
うな材料は光子を熱に変換する。好ましくは、吸収され
る輻射線は電磁スペクトルの赤外領域または近赤外領域
にある。本発明において有用な光熱変換材料は、分子内
に多数の第四級アンモニウム基および1種以上の芳香族
カルボン酸基または芳香族もしくは非芳香族の複素環式
基を含むIR色素である。その分子中には少なくとも2
個の第四級アンモニウム基がある。好ましくは、少なく
とも2個の第四級アンモニウム基が1種以上の芳香族カ
ルボン酸基または芳香族もしくは非芳香族の複素環式基
に結合されている。
【0093】上記IR色素が、コーティング組成物を調
製するのに有用な水または水混和性有機溶媒に可溶性で
あることもまた不可欠である。好ましくは、これらのI
R色素は水もしくはメタノール、または水とメタノール
との混合物のいずれかに可溶性である。水または水混和
性有機溶媒に可溶性であるとは、IR色素が室温で少な
くとも 0.5g/Lの濃度で溶解することができることを
意味する。
【0094】上記IR色素は電磁スペクトルの近赤外領
域または赤外領域の輻射線に対して感受性がある。従っ
て、それらは一般に 700nm以上(好ましくは 800〜 900
nm、より好ましくは 800〜 850nm)の輻射線に対して感
受性がある。
【0095】本発明において有用なIR色素は、一般
に、2個の環式基を末端に有するポリメチン鎖に共役し
ている2個の窒素原子を有するシアニン色素であること
ができる。1種以上の芳香族炭素環式基または芳香族も
しくは非芳香族の複素環式基もまたポリメチン鎖と共役
しており、ポリメチン鎖の一部となっているか、または
ポリメチン鎖のいずれかの末端もしくは両方の末端とな
っている。種々の芳香族炭素環式基および芳香族または
非芳香族の複素環式基を、可能なポリメチン鎖と共に、
より詳細に下記に規定する。
【0096】本発明の実施において特に有用なIR色素
には、以下に示す構造式DYEによって表される化合物
が含まれるけれども、これらに限定されるものではな
い。
【0097】
【化10】
【0098】上式中、「A」および「B」は独立に、完
全に芳香族の性状であるか、または非芳香族の複素環も
しくは炭素環に縮合している芳香族部分を含むかのいず
れかである、置換または未置換の環式基である。
【0099】有用な芳香族炭素環式基は一般に6〜10個
の炭素原子を環に含み、フェニル基、ナフチル基および
トリル基(例えばハロ、アルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、スルホ基、カルボキシ基、アセチル基または
ヒドロキシ基で置換されていてもよい)を含むけれど
も、これらに限定されるものではない。有用な芳香族ま
たは非芳香族の複素環式基は一般に炭素原子、窒素原
子、酸素原子、硫黄原子およびセレン原子のいずれかの
化学的に可能な組み合わせを6〜10個含んでいる。この
ような複素環式基の例には、置換または未置換のピリジ
ル基、ピリミジル基、キノリニル基、フェナントリジル
基、インドリル基、ベンゾインドリル基およびナフトイ
ンドリル基(例えばハロ、第四級アンモニウム基、ヒド
ロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基またはア
リール基で置換されていてもよい)が含まれるけれど
も、これらに限定されるものではない。
【0100】好ましくは、上記有用な芳香族炭素環式基
は置換もしくは未置換のフェニル基またはナフチル基で
あり、上記有用な非芳香族複素環式基は置換もしくは未
置換のインドリル基、ベンゾインドリル基またはナフト
インドリル基である。より好ましくは、AおよびBは独
立に置換もしくは未置換のインドリル基またはベンゾイ
ンドリル基である。
【0101】上記に示した構造式DYEにおいて、
「L」は、上述のように近赤外線または赤外線(すなわ
ち少なくとも 700nm)に対する感受性を提供するため
の、AおよびBの両方と共役している置換または未置換
の発色分子鎖である。1つの態様において、Aもしくは
B(または両方)が炭素環式基である場合、Lは一方ま
たは両方の端部に窒素原子を有する。もう1つの態様に
おいて、AおよびBはN-複素環式基であり、Lはそれら
の基の窒素原子に結合されている。さらに、Lは、単結
合と二重結合とが交互になって(窒素原子を有するかま
たは有していない)A基およびB基との共役を提供して
いる炭素原子が少なくとも3個の分子鎖を含んでなる。
好ましくは、Lは少なくとも5個の炭素原子を含んでな
り、より好ましくは、Lは7〜9個の炭素原子を含んで
なる。分子の共役およびIR感受性に悪影響が及ばない
限り、上記共役分子鎖中のいずれの水素原子がいずれの
望ましい置換基で置き換えられていてもよく、またはい
ずれの隣接する2個の炭素原子が環式部分の一部となっ
ていてもよい。
【0102】R7 、R8 、R9 、R10は同じかまたは異
なる置換基であり、第四級アンモニウム基、置換もしく
は未置換のアルキル基(1〜10個の炭素原子を有し、枝
分かれしているかまたは線状である)、置換もしくは未
置換のアルコキシ基(1〜10個の炭素原子を有する)、
ハロ基、置換もしくは未置換のアリール基(6〜10個の
炭素原子を環に有する)および当業者に容易に明らかで
あろういずれかの他の置換基を含むけれども、これらに
限定されるものではない。好ましくは、これらの基の少
なくとも2つが第四級アンモニウム基であり、これらの
基の少なくとも2つが複素環式基(AまたはB)の窒素
原子に結合されている。
【0103】「第四級アンモニウム」という用語は、−
N(ALKYL)3 + 部分と、置換もしくは未置換の有
機基(6〜10個の炭素原子を芳香環に有する置換もしく
は未置換のアリーレン基、1〜14個の炭素原子を有する
置換もしくは未置換のアルキレン基、2〜14個の炭素原
子を有する置換もしくは未置換のアルケニレン、2〜14
個の炭素原子を有する置換もしくは未置換のアルキニレ
ン、または7〜20個の炭素原子を分子鎖に有する置換も
しくは未置換のアリーレンアルキレン基もしくはアルキ
レンアリーレン基を含むけれども、これらに限定される
ものではない)を介してAまたはBに間接的に結合され
ている部分を含む基とを含むことを意味する。第四級ア
ンモニウム部分をAまたはBの芳香族基に結合するこの
ような基の性状および構成は当業者に容易に理解される
であろう。このような結合基はまた第四級アンモニウム
基以外のさらなる置換基(当業者には容易に明らかであ
ろう)で置換されていてもよい。さらに、構造式DYE
はまた、R7 〜R10によって表されるもの以外に、さら
なる第四級アンモニウム基を有していてもよい。このよ
うなさらなる基は、化合物が所望のIR感受性を保持す
る限り、分子のいずれの場所に配置されていてもよい。
【0104】ALKYLは、1〜7個の炭素原子を有す
る同じかまたは異なる置換もしくは未置換のアルキル基
(例えば置換もしくは未置換のメチル基、エチル基、イ
ソプロピル基、ヘキシル基およびベンジル基)であるこ
とができる。メチルおよびエチルが好ましく、メチルが
もっとも好ましい。
【0105】好ましい態様において、IR色素中の第四
級アンモニウム基は、構造式Vにおいて上記に示されて
いる側基−R− +NR3 4 5 によって表される
(R、R 3 、R4 およびR5 は上記に規定の通りであ
る)。これらの基は分子中で同じであっても、異なって
いてもよい。
【0106】構造式DYEにおいて、Mは、上記芳香族
IR色素の正に帯電している部分と釣り合うのに好適な
適当な電荷のアニオンである。有用なアニオンには、ハ
ロゲン化物、トリフラートおよび当業者に容易に明らか
な他のものが含まれるけれども、これらに限定されるも
のではない。従って、「w」および「z」は、上記色素
カチオンの全体としての電荷を表す「x+ 」と釣り合う
ための所望の電荷を提供する整数である。
【0107】このような有用な芳香族IR色素の例に
は、以下の化合物が含まれるけれども、これらに限定さ
れるものではない。
【0108】
【化11】
【0109】IR色素2は、アニオンがヨウ化物である
ことを除き、IR色素1と同様であり、IR色素3は、
アニオンがトリフラートであることを除き、IR色素1
と同様である。
【0110】さらなる光熱変換材料の存在は好ましくな
いけれども、上記感熱性組成物および像形成層はこのよ
うな材料を含むことができる。このような任意選択的な
材料は、他のIR色素、カーボンブラック、ポリマーグ
ラフトカーボン、顔料、蒸発顔料、半導体、合金、金
属、金属酸化物、金属硫化物もしくはそれらの組み合わ
せ、または屈折率および厚みによって輻射線を吸収する
材料の二色性の積み重ねであることができる。ホウ化
物、炭化物、窒化物、炭窒化物、ブロンズ構造の酸化物
およびW02.9 を除くブロンズ族に構造的に関連してい
る酸化物もまた有用である。近赤外ダイオードレーザー
光線に有用な吸収色素は、例えば、米国特許第 4,973,5
72号(DeBoer)明細書に記載されている。重要な特定の
色素は「広帯域」色素、すなわちスペクトルの幅広い帯
域にわたって吸収するものである。
【0111】あるいは、同じかまたは異なる光熱変換材
料(本明細書に記載されている芳香族IR色素を含む)
が、上記感熱性像形成層と熱的に接触している別個の層
に含まれていてもよい。従って、像形成時に、このさら
なる光熱変換材料の作用を感熱性像形成層に伝達するこ
とができる。
【0112】本発明の感熱性組成物は、いずれの好適な
装置および手順(例えばスピンコーティング、ナイフコ
ーティング、グラビアコーティング、浸し塗りまたは押
出ホッパーコーティング)を使用して支持体に適用する
こともできる。さらに、この組成物は、いずれの好適な
スプレー手段(例えば米国特許第 5,713,287号(上記)
明細書に記載されているもの)を使用して支持体(円筒
形支持体を含む)にスプレーすることもできる。
【0113】本発明の感熱性組成物は、一般に、水また
は水混和性有機溶媒(水混和性アルコール(例えば、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、1-メトキシ
-2-プロパノールおよびn-プロパノール)、メチルエチ
ルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルおよび
アセトンを含むけれども、これらに限定されるものでは
ない)中で配合され、それから塗布される。水、メタノ
ール、エタノールおよび1-メトキシ -2-プロパノールが
好ましい。望まれる場合には、これらの溶媒の混合物
(例えば水とメタノールとの混合物)を使用することも
できる。「水混和性」とは、その有機溶媒が室温におい
てすべての比率で水に混和性であることを意味する。
【0114】本発明の像形成部材は、いずれの有用な形
(印刷版、印刷シリンダー、印刷スリーブおよび印刷テ
ープ(軟質印刷ウェブを含む)を含むけれども、これら
に限定されるものではない)でも、いずれの好適な大き
さまたは寸法のものであってもよい。好ましくは、これ
らの像形成部材は印刷版または印刷用シリンダー(on-pr
ess cylinder) である。
【0115】使用時、本発明の像形成部材は、概して像
形成装置に供給されるディジタル情報に由来する熱を発
生させるかまたは提供する好適なエネルギー源(集束レ
ーザー光線または熱抵抗ヘッド)に、印刷される画像に
インクが望まれる前面の領域において曝される。本発明
の像形成部材を露光させるのに使用されるレーザーは、
ダイオードレーザーシステムの信頼性および低い維持費
のために、好ましくはダイオードレーザーであるけれど
も、気体または固体レーザーなどの他のレーザーを使用
してもよい。レーザー像形成の電力、強度および露光時
間の組み合わせは当業者に容易に明らかであろう。近I
R領域で発光するレーザーについての仕様、並びに好適
な像形成構成および装置は米国特許第 5,339,737号(Le
wis 他)明細書(引用により本明細書に取り入れられ
る)に記載されている。像形成部材は概してレーザーの
発光波長における応答を最大化するように増感される。
【0116】像形成装置は、それ自体で稼働して、単に
原版作成機として機能することもでき、または平版印刷
機に直接導入されることもできる。後者の場合、像形成
直後に印刷を開始してもよく、それにより、印刷機のセ
ットアップ時間をかなり短縮することができる。像形成
装置は平板式レコーダーまたはドラムレコーダーとして
構成することができ、像形成部材をドラムの円筒形表面
の内部または外部に取り付けられる。
【0117】ドラム構成において、像形成装置(例えば
レーザー光線)と像形成部材との間に必要な相対的な動
きは、ドラム(およびそれに取り付けられている像形成
部材)を軸の周りに回し、そしてこの回転軸に平行に像
形成装置を動かし、それにより、像が軸方向に「成長」
するように像形成部材を円周状に走査することによって
達成することができる。あるいは、光線をドラム軸に平
行に動かし、画像が円周状に「成長」するように、各々
のパスの後に角度的に増分をつけて像形成部材を横切る
ように動かすこともできる。両方の場合において、レー
ザー光線による完全な走査の後に、元々の文書または画
像に対応する画像を像形成部材の表面に適用することが
できる。
【0118】平板式の構成において、レーザー光線は像
形成部材のいずれかの軸を横切るように引かれ、各々の
パスの後に他方の軸に沿って割送られる。レーザー光線
ではなく像形成部材を動かすことによって必要な相対的
な動きを生ずることができることは明らかである。
【0119】レーザーによる像形成は本発明の実施に好
ましいけれども、像様な様式で熱エネルギーを提供する
かまたは発生させるいずれの他の手段によっても像形成
を行うことができる。例えば、「熱的印刷」(例えば米
国特許第 5,488,025号(Martin他)明細書に記載されて
いる)として知られるものにおける熱抵抗ヘッドを使用
して像形成を達成することができる。このような熱的印
刷用ヘッドは市販されている(例えば、Fujisu Thermal
Head FTP-040 MCS001およびTDK Thermal HeadF415 HH7
-1089)。
【0120】印刷機のシリンダー上の感熱性組成物の像
形成は、例えば、米国特許第 5,713,287号(上記)明細
書(引用することにより本明細書に取り入れられる)に
おいて教示されているような、いずれの好適な手段を使
用しても達成することができる。
【0121】像形成後、上記像形成部材は、従来の湿式
処理無しに印刷に使用することができる。適用されたイ
ンクを好適な受容材料(例えば布、紙、金属、ガラスま
たはプラスチック)に像様転写させて1つ以上の所望の
刷りを提供することができる。望まれる場合には、中間
ブランケットローラーを使用して、インクを像形成部材
から受容材料へ転写させることもできる。像形成部材
は、望まれる場合には、従来の製造手段を使用して、刷
りの間に清掃することができる。
【0122】以下の例は本発明を説明するものであり、
本発明を制限することを意味するものでは決してない。
好ましい感熱性ポリマーおよび芳香族IR色素のいくつ
かを如何に調製することができるかを示すために合成方
法を示す。
【0123】ポリマー1、3〜6は種類Iのポリマーの
実例であり(ポリマー2はポリマー3の先駆物質であ
る)、ポリマー7〜8および10は種類IIの非ビニルポ
リマーの実例であり(ポリマー9はポリマー10の先駆
物質である)、ポリマー11〜18は種類IIのビニルポ
リマーの実例であり、そしてポリマー19〜28は種類
III のポリマーの実例である。
【0124】
【実施例】合成方法 ポリマー1の製造:ポリ(1−ビニル−3−メチルイミ
ダゾリウムクロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩) A〕1−ビニル−3−メチルイミダゾリウムメタンスル
ホネートモノマーの製造:フレッシュな蒸留済1−ビニ
ルイミダゾール(20.00g、0.21mol)を、
ジエチルエーテル(100mL)中のメチルメタンスル
ホネート(18.9mL、0.22mol)及び3−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルスルフ
ィド(1mg)と、還流冷却器及び窒素導入口を備えた
丸底フラスコ中で合わせ、次いで室温で48時間攪拌し
た。得られた沈殿を濾去し、ジエチルエーテルで完全に
洗浄し、その後一晩減圧下に室温で乾燥して37.2g
の生成物を白色結晶性粉末として得た(86.7%収
率)。
【0125】B〕共重合/イオン交換:1−ビニル−3
−メチオイミダゾリウムメタンスルホネートモノマー
(5.00g、2.45x10-2mol)、N−(3−
アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.23
g、1.29x10-3mol)及び2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル(AIBN)(0.052g、3.
17x10-4mol)をメタノール(60mL)に、ゴ
ム製隔膜を備えた250mLの丸底フラスコ中で溶解し
た。この溶液を10分間窒素でバブルガス抜きし、次い
で水浴中60℃で14時間加熱した。この粘稠な溶液を
3.5リットルのテトラヒドロフラン中に沈殿させ、そ
の後一晩減圧下に50℃で乾燥して4.13gの生成物
(79.0%収率)を得た。次にこのポリマーを100
mLのメタノールに溶解し、次いで400cm3 DOWE
X(登録商標)1X8−100イオン交換樹脂を含むフ
ラッシュ・カラムを通過させることにより塩化物に転化
した。
【0126】ポリマー2の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−4−ビニルピリジン)(9:1モル比) メチルメタクリレート(30mL)、4−ビニルピリジ
ン(4mL)、AIBN(0.32g、1.95x10
-3mol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(40m
L、DMF)を、ゴム製隔膜を備えた250mLの丸底
フラスコ中で合わせた。この溶液を30分間窒素パージ
し、次いで15時間60℃で加熱した。塩化メチレン及
びDMF(各々150mL)を添加して、粘稠生成物を
溶解し、次いで生成物溶液を2回イソプロピルエーテル
中に沈殿させた。この沈殿ポリマーを濾過し、次いで一
晩減圧下に60℃で乾燥した。
【0127】ポリマー3の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−N−メチル−4−ビニルピリジニウムホル
メート)(9:1モル比) ポリマー2(10g)を塩化メチレン(50mL)に溶
解し、メチルp−トルエンスルホネート(1mL)と、
15時間還流させながら反応させた。反応物のNMR分
析によれば、一部のみのN−アルキル化が起こってい
た。この部分反応生成物をヘキサン中に沈殿させ、その
後純粋なメチルメタンスルホネート(25mL)に溶解
し、次いで70℃で20時間加熱した。この生成物を1
回ジエチルエーテル中に、そして1回イソプロピルエー
テル中にメタノールから沈殿させ、次いで一晩減圧下に
60℃で乾燥した。フラッシュ・クロマトグラフィ・カ
ラムに、水溶離液で300cm3 のDOWEX(登録商
標)550水酸化物イオン交換樹脂を装填した。1リッ
トルの10%蟻酸をカラム中に流すことにより、この樹
脂をホルメートに転化した。カラム及び樹脂をメタノー
ルで完全に洗浄し、次いで生成物ポリマー(2.5g)
をメタノールに溶解し、カラムを通過させた。ホルメー
ト対イオンへ完全に転化したことがイオンクロマトグラ
フィにより確認された。
【0128】ポリマー4の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−N−ブチル−4−ビニルピリジニウムホル
メート)(9:1モル比) ポリマー2(5g)を、15時間60℃で1−ブロモブ
タン(200mL)中加熱した。生成した沈殿を、メタ
ノールに溶解し、ジエチルエーテル中に沈殿させ、次い
で15時間減圧下に60℃で乾燥した。このポリマー
を、ポリマー3の製造において述べた方法を用いてブロ
マイドからホルメートに転化した。
【0129】ポリマー5の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−2−ビニルピリジン)(9:1モル比) メチルメタクリレート(18mL)、2−ビニルピリジ
ン(2mL)、AIBN(0.16g)及びDMF(3
0mL)を、ゴム製隔膜を備えた250mLの丸底フラ
スコ中で合わせた。この溶液を30分間窒素パージし、
次いで15時間60℃で加熱した。塩化メチレン(50
mL)を添加して、粘稠生成物を溶解し、次いで生成物
溶液を2回イソプロピルエーテル中に沈殿させた。この
沈殿ポリマーを濾過し、次いで一晩減圧下に60℃で乾
燥した。
【0130】ポリマー6の製造:ポリ(メチルメタクリ
レート−コ−N−メチル−2−ビニルピリジニウムホル
メート)(9:1モル比) ポリマー5(10g)を、1,2−ジクロロエタン(1
00mL)に溶解し、次いでメチルp−トルエンスルホ
ネート(15mL)と70℃で15時間反応させた。生
成物を2回ジエチルエーテル中に沈殿させ、次いで一晩
減圧下に60℃で乾燥した。このポリマー試料(2.5
g)を、ポリマー3において述べた操作方法を用いてp
−トルエンスルホネートからホルメートへ転化した。
【0131】ポリマー7の製造:ポリ(p−キシリデン
テトラヒドロ−チオフェニウムクロリド) キシリレン−ビス−テトラヒドロチオフェニウムクロリ
ド(5.42g、0.015モル)を75mLの脱イオ
ン水に溶かし、フリットガラス漏斗で濾過して少量の不
溶物を除去した。この溶液を、氷浴上の三口丸底フラス
コに入れ、窒素で15分間スパージした。水酸化ナトリ
ウム(0.68g、0.017モル)の溶液を添加漏斗
から15分間かけて滴下した。水酸化物溶液の95%を
添加した時点で、反応溶液の粘性が非常に高くなったた
め、滴下を停止した。反応溶液を10%HClでpH4
にし、48時間透析して精製した。
【0132】ポリマー8の製造:ポリ〔フェニレンスル
フィド−コ−メチル(4−チオフェニル)スルホニウム
クロリド〕 加熱マントル、還流凝縮器及び窒素導入口を具備した5
00mL容の丸底フラスコにおいてポリ(フェニレンス
ルフィド)(15.0g、0.14モル−繰返し単
位)、メタンスルホン酸(75mL)及びメチルトリフ
レート(50.0g、0.3モル)を混合した。反応混
合物を90℃に加熱すると、その時点で均質な褐色溶液
となり、これを室温で一晩攪拌した。その反応混合物を
500cm3の氷に注ぎ込み、重炭酸ナトリウムで中和
した。得られた液/固混合物を水で希釈して最終容積を
2リットルにし、48時間透析したところ、その時点で
固形分の大部分は溶解していた。残りの固形分を濾過し
て除去し、残りの液体を窒素流下で徐々に濃縮して最終
容積を700mLにした。ポリマーを、 DOWEX(商標)
1 x 8-100 樹脂のカラムに通してトリフレートから塩化
物へイオン交換した。1HNMR分析より、硫黄基の45%
がメチル化されたことが示された。
【0133】ポリマー9の製造:臭素化ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンオキシド) 還流凝縮器と機械式スターラーを具備した5リットル容
の三口丸底フラスコにおいて、ポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンオキシド)(40g、0.33モ
ル繰返し単位)を四塩化炭素(2400mL)に溶解し
た。その溶液を加熱還流し、150ワットの投光照明灯
を当てた。N−ブロモスクシンイミド(88.10g、
0.50モル)を3.5時間かけて滴下し、反応混合物
を還流状態でさらに1時間攪拌した。反応を室温まで冷
却したところ、褐色固体の上にオレンジ色の溶液が得ら
れた。その液体をデカントし、固形分を100mLの塩
化メチレンと共に攪拌して白色粉末(スクシンイミド)
を残留させた。液相を合体し、ロータリーエバポレータ
ーで500mLにまで濃縮し、メタノール中で析出させ
て黄色粉末を得た。粗生成物をメタノール中でさらに2
回析出させ、60℃、真空下で一晩乾燥させた。元素分
析及び1H NMR分析により、ベンジル側鎖の正味70%が
臭素化されたことが示された。
【0134】ポリマー10の製造:ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンオキシド)のジメチルスルホ
ニウムブロミド誘導体 凝縮器、窒素導入口及びセプタムを具備した三口丸底フ
ラスコにおいて、上記臭素化ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンオキシド)(2.00g、0.01
2モルのベンジルブロミド単位)を塩化メチレン(20
mL)に溶解した。水(10mL)を硫化ジメチルと一
緒に(シリンジで注入して)添加し、その二相混合物を
室温で1時間、その後還流状態で攪拌したところ、反応
混合物は濃厚な分散体になった。これを500mLのテ
トラヒドロフランに注ぎ込み、ケミカルブレンダーにお
いて激しく攪拌した。固体状態で約1時間後にゲル化し
た生成物を濾過して回収し、即座に100mLのメタノ
ールに再溶解し、メタノール性溶液として保存した。
【0135】ポリマー11の製造:ポリ〔メチルメタク
リレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタ
クリル酸クロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メ
タクリルアミド塩酸塩〕(モル比7:2:1) ゴム製セプタムを具備した丸底フラスコにおいてメチル
メタクリレート(24.6mL、0.23モル)、2−
トリメチルアンモニウムメチルメタクリル酸クロリド
(17.0g、0.08モル)、n−(3−アミノプロ
ピル)メタクリルアミド塩酸塩(10.0g、0.56
モル)、アゾビスイソブチロニトリル(0.15g、
9.10×10-4、AIBN)、水(20mL)及びジ
メチルホルムアミド(150mL)を混合した。その溶
液を窒素気泡で15分間脱気し、60℃に加熱した水に
一晩入れておいた。粘性生成物溶液をメタノール(12
5mL)で希釈し、メタノールからイソプロピルエーテ
ル中に3回析出させた。生成物を60℃で真空下24時
間乾燥した後、デシケーターの中で保存した。
【0136】ポリマー12の製造:ポリ〔メチルメタク
リレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタ
クリル酸アセテート−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド〕(モル比7:2:1) ポリマー11(3.0g)を100mLのメタノールに
溶かし、第三アミンを官能基とする架橋ポリスチレン樹
脂300cm3 (Scientific Polymer Products # 726,
300cm2 ) を含有するカラムにメタノール溶離液で通過
させて中和した。次いで、そのポリマーを、300cm
3 の DOWEX(商標)1 x 8-100 イオン交換樹脂のカラム
とメタノール溶離液を用いてアセテートへ転化した(す
なわち、500mLの氷酢酸で洗浄することにより塩化
物からアセテートへ転化した)。
【0137】ポリマー13の製造:ポリ〔メチルメタク
リレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタ
クリル酸フルオリド−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比7:2:1) ポリマー11(3.0g)を100mLのメタノールに
溶かし、第三アミンを官能基とする架橋ポリスチレン樹
脂300cm3 (Scientific Polymer Products # 726,
300cm2 ) を含有するカラムにメタノール溶離液で通過
させて中和した。次いで、そのポリマーを、300cm
3 の DOWEX(商標)1 x 8-100 イオン交換樹脂のカラム
とメタノール溶離液を用いてフッ化物へ転化した(すな
わち、500gのフッ化カリウムで洗浄することにより
塩化物からフッ化物へ転化した)。
【0138】ポリマー14の製造:ポリ〔ビニルベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロリド−コ−N−(3−ア
ミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比1
9:1) ゴム製セプタムを具備した丸底フラスコにおいて、ビニ
ルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(19g、
0.0897モル、p−異性体とm−異性体の60:4
0混合物)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルア
ミド塩酸塩(1g、0.00562モル)、2,2’−
アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩
(0.1g)及び脱イオン水(80mL)を混合した。
その反応混合物を窒素気泡で15分間脱気し、60℃の
水浴に4時間入れておいた。得られた粘性生成物溶液を
アセトン中で析出させ、60℃で真空下24時間乾燥さ
せ、そしてデシケーターの中で保存した。
【0139】ポリマー15の製造:ポリ〔ビニルベンジ
ルトリメチル−ホスホニウムアセテート−コ−N−(3
−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比
19:1) A〕ビニルベンジルブロミド(p−異性体とm−異性体
の60:40混合物):還流凝縮器と窒素導入口を具備
した1リットル容の丸底フラスコにおいて、ビニルベン
ジルブロミド(50.60g、0.33モル、p−異性
体とm−異性体の60:40混合物)、臭化ナトリウム
(6.86g、6.67×10-2モル)、N−メチルピ
ロリドン(300mL、塩基性アルミナの短カラムを通
したもの)、臭化エチル(260g)及び3−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルスルフィド
(1.00g、2.79×10-3モル)を混合した。そ
の混合物を72時間加熱還流したところ、その時点で、
反応の転化率が95%を超えていることがガスクロマト
グラフィーでわかった。その反応混合物を1リットルの
水に注ぎ込み、300mLのジエチルエーテルで2回抽
出した。エーテル層を一つにし、これを1リットルの水
で2回抽出し、MgSO4 で乾燥し、そして溶剤をロー
タリーエバポレーターで除去したところ、黄色がかった
油状物が得られた。その粗生成物を真空蒸留法で精製し
たところ47.5gの生成物が得られた(収率53.1
%)。
【0140】B〕ビニルベンジルトリメチルホスホニウ
ムブロミド:ジエチルエーテル(100mL)にビニル
ベンジルブロミド(9.85g、5.00×10-2
ル)を含む分散液を窒素で十分に脱気したものに、トリ
メチルホスフィン(1.0モルテトラヒドロフラン溶液
50.0mL、5.00×10 -2モル)を添加漏斗から
約2分かけて添加した。ほぼ即座に固体析出物が形成し
始めた。反応混合物を室温で4時間攪拌した後、冷凍庫
に一晩入れておいた。固体生成物を濾過して単離し、1
00mLのジエチルエーテルで3回洗浄し、真空下で2
時間乾燥した。高純度生成物(11.22g)が白色粉
末として回収された(収率82.20%)。
【0141】C〕ポリ〔ビニルベンジルトリメチルホス
ホニウムブロミド−コ−N−(3−アミノプロピル)メ
タクリルアミド〕(モル比19:1):ゴム製セプタム
で封止した100mL容の丸底フラスコにおいて、ビニ
ルベンジルトリメチルホスホニウムブロミド(5.00
g、1.83×10-2モル)、N−(3−アミノプロピ
ル)メタクリルアミド塩酸塩(0.17g、9.57×
10-4モル)、アゾビスイソブチロニトリル(0.01
g、6.09×10-5モル)、水(5.0mL)及びジ
メチルホルムアミド(25mL)を混合し、窒素気泡で
10分間脱気し、そして温水浴(55℃)に一晩入れて
おいた。粘性溶液をテトラヒドロフラン中で析出させ、
60℃で真空下一晩乾燥させた。液体を濾別し、ロータ
リーエバポレーターで200mLにまで濃縮し、再度テ
トラヒドロフラン中で析出させ、そして60℃で真空下
一晩乾燥させた。4.20gの生成物が回収された(収
率81.9%)。
【0142】D〕ポリ〔ビニルベンジルトリメチルホス
ホニウムアセテート−コ−N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比19:1):DOWEX
(商標)550 水酸化物アニオン交換樹脂(300c
3 )をフラッシュカラムに注入し、溶離液を3:1メ
タノール/水とした。そのカラムに1リットルの氷酢酸
をを通してアセテートに転化し、次いで、3リットルの
3:1メタノール/水、工程Cの生成物3.0gを20
0mLの3:1メタノール/水に含むものを当該アセテ
ート樹脂カラムに通し、そして溶剤をロータリーエバポ
レーターで除去した。得られた粘性油状物を真空下で徹
底的に乾燥したところ、2.02gのガラス状の黄色が
かった物質(ポリマー15、収率67.9%)が得られ
た。イオンクロマトグラフィーは、アセテートへの完全
な転化を示した。
【0143】ポリマー16の製造:ポリ〔ジメチル−2
−(メタクリロイルオキシ)エチルスルホニウムクロリ
ド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド
塩酸塩〕(モル比19:1) A〕ジメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルス
ルホニウムメチルスルフェート:還流凝縮器と窒素導入
口を具備した250mL容の丸底フラスコにおいて2−
(メチルチオ)エチルメタクリレート(30.00g、
0.19モル)、硫酸ジメチル(22.70g、0.1
8モル)及びベンゼン(150mL)を混合した。反応
溶液を1.5時間加熱還流し、室温で20時間攪拌した
ところ、その時点で1H NMR分析により反応が収率95%
まで進行していた。溶剤をロータリーエバポレーターで
除去して褐色がかった油状物を得、これを20重量%ジ
メチルホルムアミド溶液として保存し、これ以上精製す
ることなく使用した。
【0144】B〕ポリ〔ジメチル−2−(メタクリロイ
ルオキシ)エチルスルホニウムメチルスルフェート−コ
−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸
塩〕(モル比19:1):セプタムを具備した250m
L容の丸底フラスコにおいてジメチル−2−(メタクリ
ロイルオキシ)エチルスルホニウムメチルスルフェート
(20重量%ジメチルホルムアミド溶液93.00g、
6.40×10-2モル)、N−(3−アミノプロピル)
メタクリルアミド塩酸塩(0.60g、3.36×10
-3モル)及びアゾビスイソブチロニトリル(0.08
g、4.87×10-4モル)をメタノール(100m
L)に溶かした。この溶液を窒素気泡で10分間脱気
し、55℃の温水浴において20時間加熱した。反応混
合物を酢酸エチル中で析出させ、メタノールに再溶解さ
せ、酢酸エチル中に2回析出させ、そして真空下で一晩
乾燥させた。白色粉末(15.0g)が回収された(収
率78.12%)。
【0145】C〕ポリ〔ジメチル−2−(メタクリロイ
ルオキシ)エチルスルホニウムクロリド−コ−N−(3
−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩〕(モル比
19:1):工程Bの前駆体ポリマー(2.13g)を
4:1メタノール/水100mLに溶かし、溶離液とし
て4:1メタノール/水を用い、300cm3 の DOWEX
(商標)1 x 8-100 アニオン交換樹脂を含むフラッシュ
カラムに通した。回収した溶剤を30mLまで濃縮し、
300mLのメチルエチルケトン中で析出させた。集め
た白色粉末を15mLの水に再溶解し、ポリマー16の
溶液(固形分10.60%)として冷蔵庫に保存した。
【0146】ポリマー17の調製:ポリ[ビニルベンジ
ルジメチルスルホニウムメチルスルフェート] a]メチル(ビニルベンジル)スルフィド:添加漏斗お
よび窒素導入口を備えた1リットルの丸底フラスコ中
で、ナトリウムメタンチオレート( 24.67g、0.35モ
ル)をメタノール( 250mL)と併せた。テトラヒドロフ
ラン( 100mL)中の塩化ビニルベンジル(41.0mL、p-お
よびo-異性体の60:40混合物、0.29モル)を添加漏斗を
介して30分かけて添加した。この反応混合物は僅かに温
かくなり、乳状懸濁液が得られた。これを室温で20時間
攪拌したところ、この時点で、少量の塩化ビニルベンジ
ルが未だに薄層クロマトグラフィー(溶離剤は2:1の
ヘキサン/CH2 Cl2 )で認められた。別に分けてお
いたナトリウムメタンチオレート(5.25g、7.49×10-2
モル)を添加し、10分後、反応が完了まで進んだことを
薄層クロマトグラフィーで確認した。ジエチルエーテル
( 400mL)を添加し、得られた混合物を 600mLの水で2
回、 600mLのブラインで1回抽出した。得られた有機抽
出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、少量(1mg)の3-t-
ブチル -4-ヒドロキシ -5-メチルフェニルスルフィドを
添加し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除い
たところ、黄色味がかった油が得られた。長いVigreux
カラムを通して減圧蒸留することによって精製して、 4
3.35g(91%)の純粋な生成物を透明な液体として得
た。
【0147】b]ジメチル(ビニルベンジル)スルホニ
ウムメチルスルフェート:窒素導入口を備えた 100mLの
丸底フラスコ中で、メチル(ビニルベンジル)スルフィ
ド( 13.59g、8.25×10-2モル)、ベンゼン(45mL)、
およびジメチルスルフェート( 8.9mL、 9.4×10-2
ル)を併せた。この混合物を室温で44時間攪拌したとこ
ろ、この時点で、2つの層が存在した。水(20mL)を添
加し、上部(ベンゼン)層をピペットで除去した。水性
層を30mLのジエチルエーテルで3回抽出し、この溶液の
中を窒素を激しく通して泡立たせて、残留揮発性化合物
を除去した。生成物は、さらに精製すること無く、35%
(w/w) 溶液として使用した。
【0148】c]ポリ[ジメチル(ビニルベンジル)ス
ルホニウムメチルスルフェート]:ゴム製隔膜を備えた
200mLの丸底フラスコ中で、前の工程からのジメチル
(ビニルベンジル)スルホニウムメチルスルフェート溶
液のすべて(およそ 5.7×10 -2モル)を水(44mL)およ
び過硫酸ナトリウム(0.16g、6.72×10-4モル)と併せ
た。この反応溶液を窒素で10分間泡立ててガス抜きし、
50℃の水浴中で24時間加熱した。この溶液は粘稠ではな
かったので、さらなる過硫酸ナトリウム(0.16g、6.72
×10-4モル)を添加し、反応を50℃でさらに18時間進ま
せた。次に、この溶液をアセトン中に沈殿させ、直ぐに
水に再溶解させて、ポリマー17の溶液(固形分11.9
%)を 100mL得た。
【0149】ポリマー18:ポリ[ビニルベンジルジメ
チルスルホニウムクロリド]の調製 ポリマー17の生成物水溶液(16mL、固形分約 4.0g)
を、イソプロパノール( 600mL)中のベンジルトリメチ
ルアンモニウムクロリド(56.0g)に沈澱させた。溶剤
をデカントし、固形物を 600mLのイソプロパノール中で
10分間攪拌することにより洗浄し、素速く水に再溶解さ
せてポリマー18の溶液(固形分11.1%)を35mL得た。
イオンクロマトグラフィーによる分析から90%を超える
割合で塩化物に転化したことが示された。
【0150】ポリマーからのポリ(クロロメチル−エチ
レンオキシド−コ−チオ硫酸ナトリウムメチルエチレン
オキシド)の合成:ポリマー19〜21:ポリ(エピク
ロロヒドリン)(Aldrich Chemical Company、Mn = 7
00,000)(10g)を 250mLの無水ジメチルスルホキシド
(DMSO)に溶解させ、無水チオ硫酸ナトリウム(1
7.0g)を添加した。この混合物を65℃で24時間加熱し
た。室温まで冷却した後、濁った反応混合物を水で透析
した。少量の得られたポリマー(ポリマー19)の溶液
を元素分析用に凍結乾燥し、残りのポリマー溶液を像形
成試験に付した。元素分析により、チオ硫酸ナトリウム
への反応転化率が16モル%であったことが示された。
【0151】同じ規模でのもう1つの反応では、反応混
合物を85℃で40時間加熱した。得られたポリマー(ポリ
マー20)の元素分析により、チオ硫酸ナトリウムへの
反応転化率が26モル%であったことが示された。反応を
65℃で18時間行った場合には、チオ硫酸ナトリウムへの
反応転化率は13モル%であった(ポリマー21)。
【0152】ポリマー22および23の合成: ポリマーからのポリ(ビニルベンジルチオ硫酸ナトリウ
ム塩−コ−メタクリル酸メチル)の合成:ポリマー2
2: 塩化ビニルベンジル(10g、 0.066モル)、メタク
リル酸メチル( 15.34g、0.153モル)およびAIBN
(0.72g、4ミリモル)を 120mLのトルエンに溶解させ
た。この溶液を乾燥窒素でパージし、次に、65℃で終夜
加熱した。室温まで冷却した後、この溶液を1200mLのイ
ソプロパノールに滴下添加した。得られた白色粉末状ポ
リマーを濾過によって収集し、減圧下60℃で終夜乾燥し
た。 1H NMR分析により、このコポリマーが44モル
%の塩化ビニルベンジルを含有していたことが示され
た。
【0153】このポリマー(16g)を 110mLの N,N'-ジ
メチルホルムアミドに溶解させた。この溶液に、チオ硫
酸ナトリウム(12g)および水(20mL)を添加した。幾
らかのポリマーが析出した。この曇った反応混合物を90
℃で24時間加熱した。室温まで冷却した後、この濁った
反応混合物を水で透析した。少量の得られたポリマー溶
液を元素分析用に凍結乾燥し、残りのポリマー溶液を像
形成試験に付した。元素分析により、すべての塩化ビニ
ルベンジルがチオ硫酸ナトリウム塩に転化されたことが
示された。
【0154】ポリ(ビニルベンジルチオ硫酸ナトリウム
塩−コ−スチレン)(ポリマー23)も同様に調製する
ことができる。
【0155】IR色素の合成: IR色素1および3の合成: 1,1,2-トリメチル-1H-ベン
ゾ[e]インドール( 174g、Fisher Scientific)、
ブチロニトリル( 500mL)および臭化3-ブロモプロピル
-N,N,N-トリメチルアンモニウム( 270g、0℃の1,3-
ジブロモプロパンの溶液にトリメチルアミンを添加する
ことによって調製した)を、凝縮器および機械式攪拌機
を備えた丸底フラスコ中で加熱して環流させた。この反
応混合物を窒素雰囲気下で24時間加熱し、次に、冷却
し、ロータリーエバポレーターによって濃縮して油とし
た。この油に、CH3 CN( 500mL)および臭化テトラ
ブチルアンモニウム( 270g、Aldrich Chemical)およ
びアセトン(2500mL)の溶液を添加し、室温で6時間攪
拌した。得られた中間体、臭化 1-(N,N,N-トリメチルア
ンモニウムプロピル)-2,3,3-トリメチルベンゾ(e)イ
ンドレニウム(indolenium)を濾過によって収集し、アセ
トンで洗浄した。この材料をバキュームオーブンに素速
く移し、40℃で16時間乾燥した。収量: 250g、75%。
【0156】機械式攪拌機および加熱用マントルを備え
た5リットルのフラスコに無水酢酸( 340mL)を装填し
た。このフラスコに、前の段落の中間体の臭化物( 100
g)および一塩酸 N-[(3-(アニリノメチレン -2-クロロ
-1-シクロヘキサン -1-イル) メチレン] アニリン(40
g)をトリエチルアミン(30g)といっしょに添加し、
100℃に15分加熱した。次に、この反応混合物を、ジエ
チルエーテル(4リットル)が入っている大きなフラス
コに添加した。攪拌後、このジエチルエーテルをデカン
トし、アセトン( 500mL)およびヨウ化ナトリウム(50
g)を含有している水( 150mL)で置き換え、加熱して
環流させた(銅色の結晶が現れた)。この反応混合物を
再び室温まで冷却し、IR色素1を濾過によって収集
し、(固形物によって洗液がもはや着色しなくなるま
で)アセトンで洗浄し、次に、減圧下40℃で乾燥した。
質量:69g。
【0157】IR色素1の試料(69g)をCH3 CN
(1000mL)中でスラリーにした。プロピレンオキシド
( 230mL)を添加し、次に、トリフルオロメタンスルホ
ン酸(38g)を室温で1時間かけて滴下添加した。溶液
が現れ、さらに4時間攪拌した後、ジエチルエーテル
(2リットル)を添加した。次に、このジエチルエーテ
ルをデカントし、エタノール(1リットル)で置き換
え、(攪拌しながら)60℃に加熱した。得られた結晶質
の固体(IR色素3)を濾過によって収集し、エタノー
ルで洗浄し、減圧下で16時間乾燥した。質量:66g、メ
タノール中でのλmax =818nm、εmax = 252,400(メ
タノール)。高圧液体クロマトグラフィーによって純度
を測定したところ、99%であった。
【0158】IR色素2の合成:丸底フラスコ( 500m
L)に、CH3 CN( 300mL)中のIR色素1の試料
(8g)および AMBERLITE IRA-400(Cl)イオン交換樹脂
(Aldrich Chemical Co.)を添加した。得られたスラリ
ーを16時間攪拌した。沸騰CH3 CN( 200mL)中で溶
解させることによってイオン交換樹脂から所望の生成物
を抽出した。次に、それを高温で濾過し、次に、5℃に
5時間冷却し、この時点でIR色素2が沈殿した。この
固形物を冷CH3 CNで洗浄し、減圧下で乾燥した。質
量:3g、メタノール中でのλmax = 819nm、εmax
251,000(メタノール)。HPLCによって純度を測定
したところ、99%であった。
【0159】比較例1−IR色素Aを含む印刷版:ポリ
マー14( 0.508g)および下記に示すIR色素A(
0.051g)をメタノールと水との3:1混合物(w/w 、
8.74g)に溶解させた。混合後であって塗布の直前に、
ビス(ビニルスルホニル)メタン(BVSM)架橋剤の
溶液( 0.705g,水中 1.8質量%)を添加した。得られ
た溶液を従来の線巻ロッド(K Control Coater, Model
K202, RK Print-Coat Instruments Ltd.)を使用して湿
潤厚み25.4μmになるようにゼラチン下引きポリエチレ
ンテレフタレート支持体と機械的に砂目を立てた陽極酸
化アルミニウム支持体の両方に塗布した。これらのコー
ティングを70〜80℃のオーブン中で4分間乾燥した。得
られた印刷版は、ポリエステルまたはアルミニウム支持
体の上で架橋したポリマー14(1.08g/m2 )とIR
色素A( 108mg/m2 )を含有している感熱性像形成層
を構成していた。ポリエステル支持体上の淡緑色コーテ
ィングは赤色がかった反射を示した。これは、そのコー
ティング中に結晶子が存在することを示唆するものであ
る。従って、これらのコーティングは均質ではなかっ
た。
【0160】印刷版の露光は、波長830nmで動作し
それぞれスポット径23μmに収束されているレーザー
ダイオードアレイを有するプレートセッター上で行っ
た。各チャンネルの記録面での入力最大値は450mワ
ット(mW)であった。印刷版をドラムに取り付け、そ
の回転速度を下記表1に示した各種露光量において一連
の画像セットを提供するように変化させた。レーザービ
ームを変調することによりハーフトーンドット画像を作
りだした。
【0161】
【表1】
【0162】露光後の印刷版を商用 A.B.Dick 9870複製
プレスに取り付け、VanSon DiamondBlackリソグラフィ
ック印刷用インク及び PARアルコール代用物を含有する
Universal Pinkファウンテン溶液を用いて印刷物を制作
した。ポリエステル支持体を有する印刷版の場合、最適
露光量は明らかに360mJ/cm2 を超えたが、すべ
ての露光条件において、印刷版の露光領域でインクを容
易に受理し、500枚以上の高品位印刷物が得られた。
アルミニウム支持体を有する印刷版の場合、いずれの露
光条件においても実質的な画像は得られなかった。
【0163】
【化12】
【0164】比較例2−IR色素Bを含む印刷版:上記
ポリマー14(0.508g)とIR色素B(0.05
1g)を、メタノールと水の3:1混合物(重量/重
量、8.74g)に溶かした。混合後、塗布直前に、B
VSM(0.705g、1.8重量%水溶液)の溶液を
添加した。得られた溶液を、常用のワイヤー巻きロッド
(K Control Coater, Model K202, RKPrint-Coat Instru
ments Ltd.)を用いて、ゼラチンを下塗りしたポリエチ
レンテレフタレート支持体に湿厚が25.4μmになる
ように塗布した。コーティングを70〜80℃のオーブ
ン内で4分間乾燥させた。印刷版は、ポリエステル支持
体上に架橋ポリマー14(1.08g/m2 )及びIR
色素B(108mg/m 2 )を含有する感熱画像形成層
を含むものとした。画像形成層は透明で青緑色を呈した
(見かけ上微結晶は含まれない)。
【0165】得られた印刷版を比較例1に記載したよう
に露光した。プレスの運転の早期にネガ像が出てきた
が、直ぐにかすが発生し、印刷版は1000枚にわたり
非常に低品位の画像しか提供しなかった。かすの発生
は、アイオノマーとIR色素Bとの相互作用が原因であ
ったと考えられる。
【0166】実施例1−IR色素1を含む印刷版:ポリ
マー14(0.508g)とIR色素1(0.051
g)を、水とメタノールの3:1混合物(重量/重量、
8.74g)に溶かした。混合後、塗布直前に、BVS
M(0.705g、1.8重量%水溶液)の溶液を添加
した。得られた溶液を、常用のワイヤー巻きロッド(K C
ontrol Coater, Model K202, RK Print-Coat Instrumen
ts Ltd.)を用いて、ゼラチンを下塗りしたポリエチレン
テレフタレート支持体と機械的にしぼ付けして陽極酸化
したアルミニウム支持体の双方に湿厚が25.4μmに
なるように塗布した。コーティングを70〜80℃のオ
ーブン内で4分間乾燥させた。印刷版は、ポリエステル
支持体又はアルミニウム支持体のいずれかに架橋ポリマ
ー14(1.08g/m2 )及びIR色素1(108m
g/m2 )を含有する感熱画像形成層を含むものとし
た。得られた印刷版は透明でライトグリーン色を呈した
(見かけ上微結晶は含まれない)。
【0167】比較例1に記載したように印刷版を露光し
て印刷に使用した。比較例1の場合とは違い、すべての
露光条件において(最適露光量は360mJ/cm2
であった)、どちらのタイプの印刷版も露光領域でイン
クを容易に受理し、500枚以上の高品位印刷物が得ら
れた。どちらのタイプの印刷版も印刷物の背景にかすを
示すことはなかった。
【0168】実施例2−IR色素3を含む印刷版:ポリ
マー14(0.508g)とIR色素3(0.051
g)を、水とメタノールの3:1混合物(重量/重量、
8.74g)に溶かした。混合後、塗布直前に、BVS
M(0.705g、1.8重量%水溶液)の溶液を添加
した。得られた溶液を、常用のワイヤー巻きロッド(K C
ontrol Coater, Model K202, RK Print-Coat Instrumen
ts Ltd.)を用いて、ゼラチンを下塗りしたポリエチレン
テレフタレート支持体と機械的にしぼ付けして陽極酸化
したアルミニウム支持体の双方に湿厚が25.4μmに
なるように塗布した。コーティングを70〜80℃のオ
ーブン内で4分間乾燥させた。印刷版は、ポリエステル
支持体又はアルミニウム支持体に架橋ポリマー14
(1.08g/m2 )及びIR色素3(108mg/m
2 )を含有する感熱画像形成層を含むものとした。
【0169】比較例1に記載したように印刷版を露光し
て印刷に使用した。しかしながら、比較例1の印刷版と
は違い、どちらのタイプの印刷版も露光領域でインクを
容易に受理し、そして500枚以上の高品位印刷物が得
られた。どちらのタイプの印刷版も印刷物の背景にかす
を示すことはなかった。ポリエステル支持体を有する印
刷版の最適露光量は360mJ/cm2 よりも高かっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/004 501 G03F 7/004 501 505 505 521 521 7/032 7/032 (72)発明者 デビッド エー.ステグマン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14428, チャーチビル,スターンズ ロード 618 (72)発明者 ケビン ダブリュ.ウィリアムズ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14617, ロチェスター.セント ポール ブールバ ード 2595

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)親水性感熱性イオノマー、 b)水または水混和性有機溶媒、を含んでなる熱像形成
    法のための組成物であって、 水または前記水混和性有機溶媒に可溶性であり、少なく
    とも2個の第四級アンモニウム基を有する芳香族赤外線
    感受性色素(IR色素)をさらに含むことを特徴とする
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記IR色素が下記構造式DYE 【化1】 によって表され、 上式中、AおよびBは独立に環式基であり、LはAおよ
    びBと共役している炭素原子を少なくとも3個含む発色
    分子鎖であり、R、R、R、R10は独立に、第
    四級アンモニウム基、アルキル基、アルコキシ基、ハロ
    およびアリール基からなる群より選ばれる置換基であ
    り、Mはアニオンであり、xは全体としてのカチオン
    の電荷であり、そしてwおよびzはxと釣り合う負電
    荷を提供する整数である、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 上記感熱性イオノマーが以下の3種のポ
    リマー I)正に帯電しているN−アルキル化芳香族複素環式側
    基を含む反復単位を含んでなる架橋ビニルポリマーまた
    は未架橋ビニルポリマー、 II)反復オルガノオニウム基を含んでなる架橋ポリマ
    ーまたは未架橋ポリマー、および III)チオスルフェート側基を含んでなるポリマー、
    から選ばれる、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記感熱性イオノマーが、下記構造式I 【化2】 によって表される種類Iのポリマーであって、 上式中、Rはアルキル基であり、Rはアルキル基、
    アルコキシ基、アリール基、アルケニル基、ハロ、シク
    ロアルキル基、または5〜8個の原子を環に有する複素
    環式基であり、Z’’は、5〜10個の原子を環に有す
    る芳香族N−複素環を完成するのに必要な炭素原子と窒
    素原子、酸素原子、または硫黄原子を表し、nは0〜6
    であり、そしてWはアニオンである、請求項3に記載
    の組成物。
  5. 【請求項5】 前記感熱性イオノマーが、下記構造式I
    II、IVまたはV 【化3】 のいずれかによって表される種類IIのビニルポリマー
    であって、 上式中、Rはアルキレン基、アリーレン基、もしくはシ
    クロアルキレン基または2種以上のこれらの基の組み合
    わせであり、R、RおよびRは独立に置換もしく
    は未置換のアルキル基、アリール基、もしくはシクロア
    ルキル基であるか、またはR、RおよびRのいず
    れか2つが組み合わさって、帯電しているリン原子、窒
    素原子もしくは硫黄原子を有する複素環を形成していて
    もよく、そしてWはアニオンである、請求項3に記載
    の組成物。
  6. 【請求項6】 前記感熱性イオノマーが、下記構造式V
    II 【化4】 によって表される種類IIIのポリマーであって、 上式中、Aは高分子主鎖を表し、Rは二価の結合基で
    あり、そしてYは水素またはカチオンである、請求項3
    に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組
    成物から調製される親水性像形成層が配置されている支
    持体を含んでなる像形成部材。
  8. 【請求項8】 A)請求項7に記載の像形成部材を用意
    する工程、および B)前記像形成部材を像様露光させて、前記像形成部材
    の像形成層に露光領域および未露光領域を提供し、前記
    像様露光によって提供される熱により前記露光領域を前
    記未露光領域よりも疎水性にさせる工程、を含む像形成
    方法。
  9. 【請求項9】 A)請求項7に記載の像形成部材を用意
    する工程、 B)前記像形成部材を像様露光させて、前記像形成部材
    の像形成層に露光領域および未露光領域を提供し、前記
    像様露光によって提供される熱により前記露光領域を前
    記未露光領域よりも疎水性にさせる工程、および C)前記像様露光させた像形成部材を平版印刷用インク
    と接触させ、前記印刷用インクを受容材料に像様転写さ
    せる工程、を含む印刷方法。
  10. 【請求項10】 A)請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の感熱性組成物を支持体に吹付け塗布して像形成部材
    を用意する工程、および B)前記像形成部材を像様露光させて、前記像形成部材
    の像形成層に露光領域および未露光領域を提供し、前記
    像様露光によって提供される熱により前記露光領域を前
    記未露光領域よりも疎水性にさせる工程、を含む像形成
    方法。
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