JP2001161349A - ダイオキシン分解能を有する新規微生物及びダイオキシン分解方法 - Google Patents

ダイオキシン分解能を有する新規微生物及びダイオキシン分解方法

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JP2001161349A JP2000082358A JP2000082358A JP2001161349A JP 2001161349 A JP2001161349 A JP 2001161349A JP 2000082358 A JP2000082358 A JP 2000082358A JP 2000082358 A JP2000082358 A JP 2000082358A JP 2001161349 A JP2001161349 A JP 2001161349A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイオキシン分解除去効率が優れているダイ
オキシン分解菌、ダイオキシン分解方法、及び前記分解
方法に用いるのに適した新規廃培地を提供する。 【解決手段】 前記菌は、ヒラタケ科ヒラタケ属に属す
るヒラタケ1若しくはヒラタケ2、又は夕コウキン科シ
ュタケ属に属するヒイロタケ1である。ダイオキシン分
解方法では、ダイオキシンの分解能を有し、ヒラタケ科
ヒラタケ属に属する微生物又は夕コウキン科シュタケ属
に属する微生物を用いる。廃培地は、ダイオキシンの分
解能を有し、ヒラタケ科ヒラタケ属に属する微生物又は
夕コウキン科シュタケ属に属する微生物を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシン分解
能を有する新規微生物、ダイオキシン分解方法、及び前
記分解方法に用いるのに適した新規廃培地に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイオキシンによる環境汚染が問
題になってきている。特に廃棄物などの焼却に関する分
野では、その排気ガス中に含まれるダイオキシンが野外
に放出されることにより、土壌のダイオキシン汚染の原
因となったり、あるいは、焼却灰中に混入しているダイ
オキシンがそのまま焼却灰の最終処分場に運ばれること
により、周辺の土壌や地下水等のダイオキシン汚染の原
因となったりしている。
【0003】有機塩素化合物の一種であるダイオキシン
は、2個のベンゼン環が1個又は2個の酸素によって結
び付けられた骨格構造をもつ化合物(ジベンゾフラン又
はジベンゾ−p−ダイオキシン)の総称であり、この骨
格に塩素が置換することによって、理論的にはそれぞれ
135種類及び75種類の異性体が存在する[紙パルプ
技協誌45(8),p887,1991年]。ダイオキ
シンは、一般に毒性が高く、化学的に安定で、分解され
にくいばかりではなく、脂溶性が高いため、生体組織中
に蓄積しやすいと言われている。しかし、その毒性は、
塩素の置換位置と置換した塩素数により、大きく変化
し、毒性が極めて低いダイオキシンも存在する。ダイオ
キシンの中でも、2,3,7,8−テトラクロロジベン
ゾ−p−ダイオキシン(2,3,7,8−TCDD)
は、最も毒性が高い(ALPHA,No.5,2,19
91年)。
【0004】このようなダイオキシンを分解除去する公
知技術として、完全燃焼法(溶融固化処理法)、熱分解
処理法(加熱脱塩素化処理法)、ペレット化焼成法、光
分解法、各種化学的分解法、及び超臨界水処理法などが
報告されている。しかし、最終処分場周辺及び農地など
の汚染土壌中あるいは焼却灰などのダイオキシン処理に
は、その微量で広範囲に分散しているといった特徴か
ら、前記公知技術の適用は困難であるとされている。
【0005】このように、環境中に微量で広範囲に分散
しているダイオキシンを分解する方法として、微生物利
用技術(バイオレメディエーション技術)が報告されて
きている。例えば、Valliらは、(1)木材腐朽菌
の一種であるファネロカエテ・キリソスポリウム(Ph
anerochaete chrysosporiu
m:以下、PC菌と略称する)により、ダイオキシンの
1種である2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシ
ン(以下、2,7−DCDDと略称する)を分解除去す
ることができること、及び(2)前記PC菌が産生する
リグニン分解に関与する酵素、すなわち、リグニンペル
オキシダーゼ(LiP)及びマンガンペルオキシダーゼ
(MnP)が、2,7−DCDDの分解に関係している
ことを示した[J.Bacteriology,174
(7),p2131,1992年]。
【0006】また、リグニン分解に関与する酵素を産生
することができる菌、すなわち、ダイオキシン分解菌
が、色素レマゾールブリリアントブルーR(Remaz
olbrilliant blue R)を脱色する性
質を有することを利用して、野外から3種の菌(563
菌株、V1菌株、及びV2菌株)を取得し、前記の菌3
種と、リグニン分解能を有する木材腐朽菌3種[コリオ
ルス・ベルシコロラ(Coriolus versic
olor)、フサリウム・ソラニ(Fusarium
solani)、及びPC菌]とについて、2,7−D
CDD分解能を検討したところ、6種の菌すべてが2,
7−DCDD分解能を有することが報告されている[紙
パルプ技協誌,50(12),p122,1996
年]。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来報告され
ている前記ダイオキシン分解菌のダイオキシン分解能
は、充分なレベルにまで達しているとは言えず、効率的
にダイオキシンを分解するためには、従来公知のダイオ
キシン分解菌よりも、更にダイオキシン分解除去効率が
優れている菌が求められていた。また、ダイオキシン分
解能を有する微生物を散布した場合に、分解効率が或る
レベルより高くならないことがあった。このような場合
に、求められている分解効率を達成するには、大量の微
生物を添加する必要があった。従って、本発明の課題
は、ダイオキシン分解除去効率が優れているダイオキシ
ン分解菌、ダイオキシン分解方法、及びそのダイオキシ
ン分解方法に用いるのに適した廃培地を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、ヒラタケ
科ヒラタケ属に属するヒラタケ(Pleurotuso
streatus)1又はヒラタケ(Pleurotu
s ostreatus)2、あるいは夕コウキン科シ
ュタケ属に属するヒイロタケ(Pycnporus c
occineus)1によって解決することができる。
また、本発明は、ダイオキシンの分解能を有し、ヒラタ
ケ科ヒラタケ属に属する微生物又は夕コウキン科シュタ
ケ属に属する微生物を用いることを特徴とする、ダイオ
キシンの分解方法にも関する。本発明のダイオキシン分
解方法の好ましい態様においては、前記微生物として、
ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ(Pleuro
tus ostreatus)1若しくはヒラタケ(P
leurotus ostreatus)2、又は夕コ
ウキン科シュタケ属に属するヒイロタケ(Pycnpo
rus coccineus)1を用いる。更にまた、
本発明のダイオキシン分解方法の好ましい態様において
は、前記微生物の培養物、前記微生物を担持する担体、
又は前記微生物を含む廃培地を用いる。更にまた、本発
明は、ダイオキシンの分解能を有し、ヒラタケ科ヒラタ
ケ属に属する微生物又は夕コウキン科シュタケ属に属す
る微生物を含有することを特徴とする、廃培地にも関す
る。本発明の廃培地の好ましい態様においては、前記微
生物として、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ1
若しくはヒラタケ2、又は夕コウキン科シュタケ属に属
するヒイロタケ1を用いる。
【0009】本明細書において、「ダイオキシン」と
は、2個のベンゼン環が2個の酸素を介して縮合した構
造を有する3環式化合物であるポリクロロジベンゾ−p
−ジオキシン(polychlorodibenzo−
p−dioxin)、及び2個のベンゼン環が1個の酸
素を介して縮合した構造を有する3環式化合物であるポ
リクロロジベンゾフランを意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明によるヒラタケ1及びヒラ
タケ2、並びにヒイロタケ1は、ダイオキシンの分解能
を有する。本発明による前記の各微生物は、例えば、紙
パルプ技協誌,50(12),p122,1996年に
開示されている以下に示す方法によって、野外から単離
することができる。前記単離方法は、リグニン分解に関
与する酵素を産生することができる菌、すなわち、ダイ
オキシン分解菌が、色素レマゾールブリリアントブルー
R(Remazol brilliant blue
R)を脱色する性質を有することを利用したものであ
る。すなわち、野外より採取した試料を蒸留水に懸濁
し、この懸濁液を更に希釈したものをスクリーニング用
の試料とする。色素レマゾールブリリアントブルーRを
含む寒天培地上に、前記スクリーニング用試料を塗布
し、適温(例えば、約25℃)で培養する。前記色素を
脱色した菌を、平板塗抹法により分離し、スラントとし
て保存する。得られた微生物のダイオキシン分解能を、
例えば、ダイオキシンの一種である2,7−ジクロロジ
ベンゾ−p−ダイオキシン(以下、2,7−DCDDと
略称する)を用いて評価することにより、本発明の微生
物を得ることができる。
【0011】本発明者は前記の方法を用いて、キノコ栽
培施設内の腐朽された広葉樹より本発明によるヒラタケ
1を純粋分離し、広葉樹林の立ち枯れ部より本発明によ
るヒラタケ2を純粋分離した。これらのヒラタケ1菌株
及びヒラタケ2菌株は、工業技術院生命工学工業技術研
究所に平成11年8月18日より寄託され、受託番号は
それぞれFERM P−17518、及びFERM P
−17519である。更に、本発明者は前記の方法を用
いて、広葉樹の枯れ木上より本発明によるヒイロタケ1
を純粋分離した。このヒイロタケ1菌株は、工業技術院
生命工学工業技術研究所に平成11年8月18日より寄
託され、受託番号はFERM P−17520である。
【0012】本発明によるダイオキシン分解方法におい
ては、ダイオキシンの分解能を有し、ヒラタケ科ヒラタ
ケ属に属する微生物及び/又は夕コウキン科シュタケ属
に属する微生物(以下、単にダイオキシン分解微生物と
称する)、好ましくはヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒ
ラタケ1、ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ2、
及び/又は夕コウキン科シュタケ属に属するヒイロタケ
1、より好ましくはヒラタケ1菌株FERM P−17
518、ヒラタケ2菌株FERM P−17519及び
/又はヒイロタケ1菌株FERM P−17520を用
いること以外は、微生物を利用する公知のダイオキシン
分解方法をそのまま利用することができる。前記のダイ
オキシン分解微生物を利用して、ダイオキシン汚染物質
(例えば、焼却灰)を無害化することができる。この無
害化方法を実施するには、例えば、焼却灰に前記のダイ
オキシン分解微生物を添加することにより、焼却灰中の
ダイオキシンを分解することなどが考えられる。
【0013】また、前記のダイオキシン分解微生物を利
用して、焼却炉からの排気ガスを無害化することもでき
る。この無害化方法を実施するには、例えば、排気ガス
の流路に前記のダイオキシン分解微生物を担持させた担
体などを配置し、排気ガス中のダイオキシンを分解する
ことなどが考えられる。
【0014】更に、前記のダイオキシン分解微生物を利
用して、水中のダイオキシン(例えば、浸出水等の中の
ダイオキシン)を無害化することもできる。この無害化
方法を実施するには、例えば、浸出水をカラムに通し、
その流路に前記のダイオキシン分解微生物を担持させた
担体などを配置し、水中のダイオキシンを分解すること
などが考えられる。更に、前記のダイオキシン分解微生
物を利用して、汚泥やヘドロ中のダイオキシン(例え
ば、最終処分場の汚泥中のダイオキシン)を無害化する
こともできる。この無害化方法を実施するには、例え
ば、汚泥やヘドロをリアクター内で土壌と混合してから
ダイオキシン分解菌と接触させるか、又は汚泥やヘドロ
をそのままダイオキシン分解菌と接触させて、汚泥やヘ
ドロ中のダイオキシンを分解することなどが考えられ
る。
【0015】更に、前記のダイオキシン分解微生物を利
用して、ダイオキシン汚染土壌を無害化することもでき
る。この無害化方法を実施するには、例えば、前記のダ
イオキシン分解微生物をそのまま、あるいは、前記のダ
イオキシン分解微生物を担持させた担体を汚染土壌に散
布し、土壌中のダイオキシンを分解することなどが考え
られる。
【0016】本発明の好ましいダイオキシン分解方法に
おいては、前記のダイオキシン分解微生物の培養物、前
記のダイオキシン分解微生物を担持する担体、又は前記
のダイオキシン分解微生物を含む廃培地を、ダイオキシ
ンで汚染されている被処理物(例えば、汚染土壌、又は
焼却灰)に添加することができる。
【0017】本明細書において「ダイオキシン分解微生
物の培養物」とは、ダイオキシン分解微生物をそのまま
含む液体ないし固体の菌体含有培養物、それらの液体な
いし固体培養物中のダイオキシン分解微生物を破砕した
(例えば、ホモジナイザーで破砕した)菌体破砕培養
物、あるいはそれらの液体ないし固体培養物からダイオ
キシン分解微生物を除去した(例えば、遠心分離で除去
した)菌体除去培養物であることができる。液体培養物
の調製には、液体培地、例えば、一般的にキノコの菌糸
を増殖させる培地として使用されている培地、例えば、
麦芽エキス・寒天(MA)培地、ジャガイモ・ブドウ糖
寒天(PDA)培地、エビオス・ブドウ糖培地、SYM
培地、又はPCMY培地等を用いることができ、特には
Kirkの培地を使用するのが好ましい。前記の液体培
地を用いて、ダイオキシン分解微生物を大量に培養する
ことができる。固体培養物の調製には、例えば、前記液
体培地に寒天を加えて調製した固体培地を用いることが
できる。
【0018】前記の液体培養基に前記のダイオキシン分
解微生物の菌糸を植菌し、こうして得られた前記のダイ
オキシン分解微生物を含む液体培養物を被処理物(例え
ば、汚染土壌、又は焼却灰)に散布し、土壌中のダイオ
キシンを分解することができる。また、前記の液体培養
物を、例えば、ホモジナイザーで処理して菌体を破砕し
た破砕培養物、あるいは前記の液体培養物を、例えば、
遠心処理して菌体を除去した後の液相(菌体除去培養
物)を被処理物(例えば、汚染土壌、又は焼却灰)に散
布し、土壌中のダイオキシンを分解することができる。
【0019】前記のダイオキシン分解微生物を担持する
担体としては、例えば、活性炭や木質物質を用いること
ができる。木質物質としては、種々の形状の木材(例え
ば、木粉、又は木材チップ)、又は木質性廃棄物(例え
ば、藁、又は木くず等)を用いることができる。ダイオ
キシン分解微生物を担体上に担持させる方法としては、
例えば広居らの方法[バイオマス変換計画報告書,N
o.1,23−41(1986)]や、Yumらの方法
[Water.Environ.Res.70(2),
205−213(1998)]のように、適切な培地中
で、ダイオキシン分解微生物を担体(例えば、木粉や木
材チップ等)と共に培養し、前記ダイオキシン分解微生
物を前記担体(例えば、木粉や木材チップ等)の上へ担
持させた後、それら担体を含む培養液の形で汚染焼却飛
灰、汚染土壌又は汚染水中へ添加することができる。
【0020】本明細書において「廃培地」とは、前記の
ダイオキシン分解微生物を培養している培地から発生し
た子実体の採取を2〜3回程度行った後の培地を意味
し、好ましくはキノコの菌床栽培用培地の廃培地を意味
する。子実体を採取した後の廃培地には前記のダイオキ
シン分解菌が繁殖しており、培養物中と同様に高濃度の
分解菌を得ることができる。
【0021】前記の廃培地は、一般的にキノコ用培地
(特に、キノコの菌床栽培用培地)として用いられてい
る培養基から得ることができる。具体的には、例えば、
鋸屑(例えば、スギ鋸屑)、米ぬか、及びモミ殻の混合
物に、水を加えて含水率50〜80%にした培養基を、
耐熱性プラスチックフィルム(例えば、ポリプロピレン
又はポリエチレンフィルム)の袋に詰める。これを加熱
滅菌(例えば、115〜120℃で20〜40分間)す
る。冷却後、種菌を接種して常温で暗所で20〜30日
間培養する。菌糸が蔓延した培地を10〜15℃の明所
におき、キノコ(子実体)を発生させる。ヒラタケの場
合、7〜10日後に収穫することができ、2〜3回程度
収穫し終った培地を廃培地として利用することができ
る。こうして得られた前記のダイオキシン分解微生物を
含む廃培地を被処理物(例えば、汚染土壌、又は焼却
灰)に散布し、土壌中のダイオキシンを分解することが
できる。
【0022】一般にヒラタケは菌床栽培され、キノコ
(子実体)を収穫した後の培地(すなわち廃培地)の処
理に困っている。本発明によればこの廃培地をダイオキ
シン分解剤として利用することができる。また、この廃
培地を用いる本発明方法では、ダイオキシン分解微生物
の添加量を自由に調節することが可能であり、土壌に大
量の菌糸を接種することもできるので、ダイオキシンの
分解時間が大幅に短縮され、ダイオキシン類の分解率を
大きく向上させることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】《ヒラタケ1菌株、ヒラタケ2菌株、及び
ヒイロタケ1菌株の単離及び同定》キノコ栽培施設内の
腐朽された広葉樹、広葉樹林の立ち枯れ部、及び広葉樹
の枯れ木上より採取した試料を、2〜3白金耳の量(す
なわち、白金耳に2〜3杯の量)で殺菌蒸留水10ml
に懸濁させた。更に、その懸濁液を1000倍〜100
00倍の範囲で希釈した希釈液をスクリーニング用試料
とした。スクリーニング用の寒天培地プレートとして、
下層にCzapek−Dox培地(10ml)を、上層
に1%色素(Remazol brilliant b
lue R)と5ppmベノミールとを含む麦芽−寒天
培地(8ml)を重層することにより調製した寒天培地
プレートを使用した。なお、Czapek−Dox培地
の組成は、例えば、[西山隆造著「図解応用微生物の基
礎知識」(1992年)オーム社,p153]に記載さ
れており、具体的には、スクロース(10g)、KH2
PO4(1g)、MgSO4・7H2O(0.5g)、K
Cl(0.5g)、NaNO3(2.0g)、FeSO4
・7H2O(0.01g)、及び寒天(15g)を蒸留
水(1000ml)に加えた後に、pHを5.6に調整
し、オートクレーブ滅菌したものである。前記の寒天培
地プレート上に、前記スクリーニング用試料(1ml)
を塗布し、暗所で25℃で培養した。前記色素を脱色し
た菌を平板塗抹法により分離し、スラントとして保存し
た。後述する「分解能の評価」に記載の方法に従って、
スラントとして保存した各種菌について2,7−DCD
D分解能を評価したところ、2,7−DCDD分解能の
優れた菌株3種を得ることができた。キノコ栽培施設内
の腐朽された広葉樹から採取した菌株をヒラタケ1菌株
と命名し、広葉樹林の立ち枯れ部から採取した菌株をヒ
ラタケ2菌株と命名し、そして広葉樹の枯れ木上より採
取したヒイロタケ1菌株と命名した。
【0024】前記のヒラタケ1及びヒラタケ2の子実体
及び胞子の形態的特徽は以下のとおりである。子実体は
叢生し、カサは直径5〜15cm程度であり、まんじゅ
う形から開いて貝殻形ないし半円形となり、時にじょう
ご形になる。ヒラタケ1は子実体が小型でかなり硬く、
ヒラタケ2は小型で色が薄いという特徴を持つ。表面は
始めほぼ黒色ないし灰青色であるが、後にねずみ色、灰
褐色、灰白色、又はほとんど白色になる。ひだは柄に長
く垂生し、白ないし灰色を呈する。柄の長さは1〜8c
m程度であり、しばしば基部に白毛を密生するが、時に
はほとんど無柄である。柄の傘に対する付き方は側生、
偏心生、又は中心生などがある。胞子紋は淡ピンクない
し淡柴灰色である。胞子は7.5〜11μm×3〜4μ
mで円柱形である。以上の特徴より、ヒラタケ1とヒラ
タケ2は「Pleurotus ostreatus」
であることが明瞭である。なお、これらのヒラタケ1菌
株及びヒラタケ2菌株は、工業技術院生命工学工業技術
研究所に平成11年8月18日より寄託され、受託番号
はそれぞれFERM P−17518、及びFERM
P−17519である。
【0025】前記のヒイロタケ1の子実体及び胞子の形
態的特徽は以下のとおりである。傘は半円形で、鮮やか
な朱紅色を呈するが、雨風にさらされると色が褪せる。
表面は無毛及び平滑であり、環紋は不明瞭である。肉は
コルク質ないし革質であり、断面は濃淡の縞模様をあら
わす。傘の下面は濃赤紅色であり、管孔は長さ1〜2m
m程度であり、孔ロは微細で、1mmに6〜8個でやや
超肉眼的である。胞子は超楕円形で、無色及び平滑であ
り、4〜5μm×2μm程度である。以上の特徴より、
ヒイロタケ1は「Pycnporus coccine
us」であることが明瞭である。なお、これらの株はヒ
イロタケ1と表示し、工業技術院生命工学工業技術研究
所に平成11年8月18日より寄託され、受託番号はそ
れぞれFERM P−17520である。
【0026】《分解能の評価》 (1)色素脱色能による評価〔その1〕 前記実施例1に記載のスクリーニング用寒天培地プレー
トを用いて、色素(Remazol brillian
t blue R)を脱色する能力に関し、以下の表1
に記載の各微生物を評価した。評価は、脱色能及び脱色
速度に関して以下のとおり3段階で行った。 脱色能: +++:強,++:中,+:弱。 脱色速度: A:速い,B:中程度,C:遅い。 《表1》 供試微生物 脱色能 脱色速度 ヒラタケ1(FERM P−17518) +++ A ヒラタケ2(FERM P−17519) +++ A ヒイロタケ1(FERM P−17520) ++ A チャナメツムタケ + B [Pholiota lubrica(Pers.:Fr.)Sing.] コムラサキシメジ ++ B [Lepista sordida(Schum.:Fr.)Sing.] マイタケ + C [Grifola frondosa(Dicks.:Fr.)S.F.Gray] ヤナギマツタケ ++ B [Agrocybe cylindracea(DC.:Fr.)Maire] マンネンタケ + C [Ganoderma lucidum(Leyss.:Fr.)Karst.] ナメコ + B [Pholiota nameko(T.Ito)S.Ito et Imai in Imai] ブナハリタケ ++ B [Mycoleptodonoides aitchisonii(Berk.)Maas G.] ベッコウタケ ++ B [Fomitella fraxinea(Fr.)Imaz.] エノキタケ ++ B [Flammulina velutipes(Curt.:Fr.)Sing.] クリタケ + B [Naematoloma sublateritium(Fr.)Karst.] ヌメリスギタケモドキ + B[Pholiota aurivella(Batsch.:Fr.)Kummer]
【0027】(2)色素脱色能による評価〔その2〕 前記実施例1に記載のスクリーニング用寒天培地プレー
トを用いて、色素(Remazol brillian
t blue R)を脱色する能力に関し、本発明によ
るヒラタケ1(FERM P−17518)及びヒラタ
ケ2(FERMP−17519)と市販のヒラタケ〔K
H−3,千曲化成(株)〕を評価した。結果を以下の表
2に示す。 《表2》 脱色円の直径 接種後2日後 接種後5日後 ヒラタケ1 0.5〜1cm 6〜7cm ヒラタケ2 0.5〜1cm 6〜7cm市販ヒラタケ 脱色は認められず 2.5〜3cm
【0028】(3)ダイオキシン(2,7−DCDD)
の分解能の評価 (イ)2,7−DCDDの合成 ダイオキシンの分解能評価に用いるダイオキシンの一種
である2,7−DCDDを、Advan.Chem.S
er.,120,p126,1973年に記載の方法に
従って、下記の手順で合成した。すなわち、2−ブロモ
−4−クロロフェノール(5.19g)に1Nメタノー
ル性KOH(29.5ml)を加えて溶解した後に、そ
のまま2時間放置した。その後、前記溶液を減圧濃縮す
ることにより得られた濃縮物に、ベンゼン(2.5m
l)及びヘキサン(5ml)を加えた。上層を除去した
後、減圧乾燥することにより、2−ブロモ−4−クロロ
フェノールのカリウム塩(6.14g)を得た。一方、
硫酸銅(5水塩)(73g)を蒸留水(280ml)に
溶かした溶液に、窒素を吹き込みながら、撹拌下に亜鉛
末(23.0g)を0.5gずつ加えた。前記混合物を
70℃に加温した後に、吸引ろ過した。残さを5%塩酸
で洗浄した後に、蒸留水で中性まで洗浄することによ
り、銅触媒(15.84g)を得た。調製した触媒は、
使用前まで冷蔵庫で保存した。前記のとおりに調製した
2−ブロモ−4−クロロフェノールのカリウム塩(3.
66g)に、ビス(2−エトキシエチル)エーテル(5
ml)、エチレンジアセテート(0.05ml)、及び
前記のとおりに調製した銅触媒(20mg)を加え、2
00℃で15時間加熱還流した。冷却した後に、生成物
をクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出液を1N
水酸化ナトリウム水溶液で抽出し、アルカリ可溶部を除
去した後に、硫酸ナトリウム(無水)で乾燥した。その
後、減圧濃縮して、反応生成物(4.45g)を得た。
この生成物を170℃(25mmHg下に)で3時間昇
華し、白色結晶(3.18g)を得た。この結晶をメタ
ノールより再結晶することにより、白色結晶として2,
7−DCDD(2.95g)を得た(融点=209〜2
11℃;収率=39.2%)。
【0029】(ロ)液体培養における分解能の評価方法 本発明のダイオキシン分解菌3種のダイオキシン分解除
去効率の評価は、液体中にて実施した。なお、比較用の
ダイオキシン分解菌としては、前記の市販ヒラタケ〔K
H−3,千曲化成(株)〕、並びにPC菌及びV2菌株
を用いた。前記V2菌株は、本発明者の一人である橘ら
が過去に野外より単離したダイオキシン分解菌3種(5
63菌株、V1菌株、及びV2菌株)の中で、最も2,
7−DCDD分解除去効率が高かった菌株である[紙パ
ルプ技協誌,50(12),p122,1996年]。
【0030】Kirkら(Arch.Microbio
l,117,p277,1978年)のBasal溶液
に、20mMコハク酸ナトリウム、2%グルコース、及
び窒素源として1.2mM酒石酸アンモニウムを加えた
後に、pHを4.5に調整した培地を、培養用の液体培
地とした。前記液体培地をオートクレーブで滅菌した後
に、100mlの三角フラスコ毎に液体培地(20m
l)を分注し、この中に供試菌を1白金耳植菌し、フラ
スコにダブルキャップをして25℃で静置培養した。な
お、毎日1回の頻度で、各培養フラスコに酸素を吹き込
んだ。6日間培養した後に、N,N−ジメチルホルムア
ミド(DMF)(100μl)に溶解した2,7−DC
DD(1.26mg)(2,7−DCDD添加濃度=
0.25mM)を添加した。2,7−DCDDを添加し
た後に、更に、15日間又は30日間培養処理した(比
較用のPC菌及びV2菌株については30日間培養の
み)。培養期間中は、毎日1回の頻度で、酸素を吹き込
んだ。実験は、各菌株、及び各培養期間について2組ず
つ行い、これを2回繰り返して、その平均値をデータと
した。
【0031】ダイオキシン分解効率は、以下の方法で評
価した。すなわち、前記条件にて培養した後に、培養液
を希塩酸でpHを2.0に調整し、これに酢酸エチル
(40ml)を加え、激しく撹拌した。その後、吸引ろ
過し、培養ろ液を取り、酢酸エチル層と水層とを分離し
た。水層は、更に、酢酸エチルで2回抽出(各40m
l)した。この抽出液と前記酢酸エチル層とを合併し、
飽和食塩水(50ml)で洗浄後、硫酸ナトリウム(無
水)で乾燥し、その後、減圧濃縮により代謝物を得た。
この代謝物(1.0mg)にN,O−ビス−トリメチル
シリルアセトアミド(40μl)、トリメチルクロロシ
ラン(20μl)、及びピリジン(40μl)を加え、
加温(80℃、10分間)することにより、トリメチル
シリル(TMS)化したものをガスクロマトグラフィー
(GC)用試料とした。
【0032】この試料をGCに注入し、予め作成してお
いた検量線より、2,7−DCDDを定量した。GCの
条件は、以下のとおりである。 (1)カラム:TC−1(0.25mm×30m) (2)温度:100℃で1分間保持した後に10℃/分
で295℃まで昇温し、295℃で20分間保持 (3)検出器:FID (4)注入口温度:250℃ (5)検出器温度:250℃ (6)キャリアーガス:ヘリウム(3kg/cm2)、
エアー(1.1kg/cm2)、スプリット比:1:3
【0033】2,7−DCDDの分解除去率は、培養開
始時の2,7−DCDDの添加量と培養後の代謝物中の
2,7−DCDDの量とから求めた。実験の結果を表3
に示す。
【0034】 《表3》 分解除去率(%) 使用した菌株 15日間 30日間 ヒラタケ1菌(FERM P−17518) 68 96 ヒラタケ2菌(FERM P−17519) 64 92 ヒイロタケ1菌(FERM P−17520) 69 82 PC菌 − 78 V2菌 − 81市販ヒラタケ 38 45 表3の「−」は「実施せず」の意味である。
【0035】(4)ダイオキシン(2,3,7,8−T
CDD)分解能の評価 本発明のダイオキシン分解菌ヒラタケ1のダイオキシン
分解除去効率の評価を、液体中に溶解した2,3,7,
8−TCDDを用いて実施した。なお、比較用のダイオ
キシン分解菌としては、前記の市販ヒラタケ〔KH−
3、千曲化成(株)〕を用いた。前記のBasal溶液
を培養用の液体培地として、オートクレーブ滅菌した後
に、100mlの三角フラスコ毎に液体培地(20m
l)を分注し、この中に供試菌を1白金耳植菌し、フラ
スコにダブルキャップをして25℃暗所で静置培養し
た。なお、毎日1回の頻度で、各培養フラスコに酸素を
吹き込んだ。6日間培養した後に、酢酸エチル(100
μl)に溶解した2,3,7,8−TCDD(1ng)
を添加した。2,3,7,8−TCDDを添加した後
に、更に15日間又は30日間培養処理した。培養期間
中は、毎日1回の頻度で、酸素を吹き込んだ。
【0036】ダイオキシン分解効率は、以下の方法で評
価した。すなわち前記条件にて培養した後に、培養液を
分液ロートに移し、フラスコの洗浄液も同様に分液ロー
トに加えた。これに、C13でラベル化した2,3,7,
8−TCDD(10ng)を加えた。その後、濃硫酸
(20ml)を添加して菌体を完全に溶解してから抽出
した。すなわち、n−ヘキサン15mlで抽出した後、
再び20mlのn−ヘキサンで抽出した(Appl.E
nviron.Microbial.,62,p432
3,1996年)。フラスコの壁面に付着していて分液
ロートに洗い込めなかった試料は、フラスコにアセトン
10mlを加えて、超音波処理にかけて抽出した。その
後、アセトン5mlとヘキサン5mlとの混合液をヘキ
サン10mlで抽出し、これらの抽出液と分液ロートで
抽出したヘキサン溶液を一緒にしてから濃縮した。濃縮
物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して分
析試料とした。この、試料をGC−MS(SIM法)に
よって分析し、予め作成しておいた検量線より、2,
3,7,8−TCDDを定量した。GC−MSの条件は
以下の通りである。 (1)カラム:HP−1(0.32μm×30m) (2)温度:70℃で1分間保持した後、180℃まで
10℃/分で昇温し、その後180℃から252℃まで
4℃/分で昇温した。 (3)注入口温度:250℃、スプリットレス 2,3,7,8−TCDDの分解除去率は、培養開始時
の2,3,7,8−TCDDの添加量と培養後の代謝物
中の2,3,7,8−TCDDの量とから求めた。実験
結果を表4に示す。
【0037】 《表4》 分解除去率(%) 使用した菌株 15日間 30日間 ヒラタケ1菌(FERM P−17518) 30 60市販ヒラタケ 13 21
【0038】《廃培地を用いたバイオレメディエーショ
ン》本発明のダイオキシン分解菌の廃培地を用いて、土
壌中ダイオキシンのバイオレメディエーションを実施し
た。 (1)廃培地の作成 ナラのチップに栄養剤としてN源を添加した培養基を含
水率65%に調整した後、120℃で45分間のオート
クレーブ処理を行って滅菌した。その後、予めナラのチ
ップに蔓延させた種菌〔ヒラタケ1菌(FERM P−
17518)〕を接種し、25℃で静置した。その後、
15日間から20日間培養させると、菌糸が全体に蔓延
した。子実体の採取を2回実施した後の培地を、以下の
実験で廃培地として使用した。
【0039】(2)模擬汚染土壌中の2,3,7,8−
TCDDのバイオレメディエーション通常の非汚染土壌
に、Tween80 0.1%を含む蒸留水50mlに
溶解した2,3,7,8−TCDD(1ng)を添加
し、模擬汚染土壌を作製した。この模擬汚染土壌に、前
記(1)で調製した廃培地を乾燥重量比(土壌:廃培
地)3:1で混合した。10日間25℃の条件で暗所で
前培養した後に、更に15日間又は30日間培養処理し
た。前記の培養期間の終了後に、土壌30g(乾燥重
量)を秤量し、500mlのコニカルビーカーに入れ、
2Nエタノール性KOH(200ml)を加え5分間撹
拌混合してから一晩室温の条件で暗所で放置し、菌体を
溶解させた。その後、前記コニカルビーカーの内容物を
ブフナーロートでろ過し、残渣とろ液に分けた。残渣を
少量のエタノールで4〜5回洗浄した後、すべての残渣
についてスツクスレー抽出を行った。抽出液は濃縮後に
n−ヘキサンで転溶した。一方、ろ液はn−ヘキサンで
抽出し、n−ヘキサンで転溶した溶液と合併した。上記
のn−ヘキサン溶液に、C13でラベル化した2,3,
7,8−TCDD(10ng)を加えた。その後、濃硫
酸(30ml)を添加してから濃縮した。濃縮物はシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。回収した
試料はアルミナカラムクロマトグラフィーで再度精製
し、回収した溶液を分析試料とした。この試料をGC−
MS(SIM法)によって分析し、予め作成しておいた
検量線より、2,3,7,8−TCDDを定量した。G
C−MSの条件は、前記の「ダイオキシン(2,3,
7,8−TCDD)の分解能の評価」で記載した条件と
同じである。2,3,7,8−TCDDの分解除去率
は、処理開始時の2,3,7,8−TCDDの添加量と
処理後の土壌中の2,3,7,8−TCDDの量とから
求めた。実験結果を表5に示す。
【0040】 《表5》 分解除去率(%) 使用した菌株 15日間 30日間 ヒラタケ1菌(FERM P−17518) 27 46
【0041】(3)ダイオキシン汚染土壌中のダイオキ
シンのバイオレメディエーション 水田から採取したダイオキシン汚染土壌に前記(1)で
調製した廃培地を乾燥重量比(土壌:廃培地)3:1で
混合した。10日間25℃の条件下で暗所で前培養した
後に、更に15日間又は30日間培養処理した。前記の
培養期間の終了後に、土壌30g(乾燥重量)を秤量
し、500mlのコニカルビーカーに入れ、2Nエタノ
ール性KOH(200ml)を加え5分間撹拌混合して
から一晩室温の条件下で暗所で放置し、菌体を溶解させ
た。その後、前記コニカルビーカーの内容物をブフナー
ロートでろ過し、残渣とろ液に分けた。残渣を少量のエ
タノールで4〜5回洗浄した後、すべての残渣について
スックスレー抽出を行った。抽出液は濃縮後n−ヘキサ
ンで転溶した。一方、ろ液はn−ヘキサンで抽出し、n
−ヘキサンで転溶した溶液と合併した。濃縮物はシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー並びにアルミナカラムク
ロマトグラフィーで精製後、GC−MSによってダイオ
キシンを定量した。ダイオキシンの分解除去能は、各異
性体の濃度に毒性等価係数(TEF)をかけた毒性等量
(TEQ)で比較し、処理開始時のTEQと処理後の土
壌中のTEQとから求めた。実験結果を表6に示す。
【0042】 《表6》 TEQ減少率(%) 使用した菌株 15日間 30日間 ヒラタケ1菌(FERM P−17518) 77 89
【0043】
【発明の効果】本発明の微生物は、ダイオキシンを高効
率に分解除去することができるので、例えば、ダイオキ
シンにより汚染された最終処分場周辺及び農地などの土
壌及び焼却灰のなどの浄化に利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B09C 1/10 C12N 1/00 R B09B 3/00 ZAB 11/10 C12N 1/00 (C12N 1/14 F 11/10 C12R 1:645) //(C12N 1/14 B09B 3/00 E C12R 1:645) ZABA (72)発明者 橘 燦郎 愛媛県松山市樽味3−5−7 愛媛大学農 学部生物資源学科 森林資源利用化学研究 室内 (72)発明者 八尾 泰子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 宮澤 邦夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 近藤 隆明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 2B011 AA01 BA06 BA12 BA13 BA18 GA06 GA12 2E191 BA12 BB00 BB01 BD20 4B033 NA13 NB14 NB23 NB44 NC04 ND04 NF06 4B065 AA71X AC13 AC20 BA22 BD34 CA54 CA56 4D004 AA36 AA41 AB07 AC07 CA18 CC07 CC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒラタケ科ヒラタケ属に属するヒラタケ
    1又はヒラタケ2。
  2. 【請求項2】 夕コウキン科シュタケ属に属するヒイロ
    タケ1。
  3. 【請求項3】 ダイオキシンの分解能を有し、ヒラタケ
    科ヒラタケ属に属する微生物又は夕コウキン科シュタケ
    属に属する微生物を用いることを特徴とする、ダイオキ
    シンの分解方法。
  4. 【請求項4】 前記微生物が、ヒラタケ科ヒラタケ属に
    属するヒラタケ1若しくはヒラタケ2、又は夕コウキン
    科シュタケ属に属するヒイロタケ1である、請求項3に
    記載の分解方法。
  5. 【請求項5】 前記微生物の培養物、前記微生物を担持
    する担体、又は前記微生物を含む廃培地を用いる、請求
    項3又は4に記載の分解方法。
  6. 【請求項6】 ダイオキシンの分解能を有し、ヒラタケ
    科ヒラタケ属に属する微生物又は夕コウキン科シュタケ
    属に属する微生物を含有することを特徴とする、廃培
    地。
  7. 【請求項7】 前記微生物が、ヒラタケ科ヒラタケ属に
    属するヒラタケ1若しくはヒラタケ2、又は夕コウキン
    科シュタケ属に属するヒイロタケ1である、請求項6に
    記載の廃培地。
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