JP2001158928A - 高純度ジルコニウム合金および原子炉炉心用構造材 - Google Patents
高純度ジルコニウム合金および原子炉炉心用構造材Info
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Abstract
耐食性を向上させると共に、中性子経済が良好な原子炉
炉心用構造材を提供する。 【解決手段】 錫、鉄、ニッケル、クロムを含み、残部
が実質的にジルコニウムからなる高純度ジルコニウム合
金であって、不純物として不可避的に含まれる元素のう
ち、S,Y,PbあるいはBiの含有量を1ppm以下
にすることで、高純度ジルコニウム合金の耐食性を向上
させると共に、不純物として不可避的に含有する元素の
うちSc、Ga、As、Se、Sr、Y、Ag、In、
Sb、Te、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、PtあるいはAuなどの中性子吸収断面積の大きな
元素の含有量を1ppm以下にすることで、高純度ジル
コニウム合金を通過する中性子量を増やし、UO2など
の燃料使用効率を向上させる。
Description
ム合金および原子炉炉心用構造材に関わる。
管などで使用されている合金は、ジルカロイ−2(S
n:1.20〜1.70wt%、Fe:0.07〜0.
20wt%、Cr:0.05〜0.15wt%、Ni:
0.03〜0.08wt%、O:900〜1400pp
m、残部Zr。但しFe+Cr+Ni:0.18〜0.
24wt%)およびジルカロイ−4(Sn:1.20〜
1.70wt%、Fe:0.18〜0.24wt%、N
i:0.007wt%以下、O:900〜1400pp
m、残部Zr。但しFe+Cr:0.28〜0.37w
t%)である。
中で高い耐食性を有している。現在これらの合金に更に
高い耐食性を付与するために、工程途中でβ急冷処置を
施行し、Zr(Cr,Fe)2、Zr2(Ni,Fe)相
などの金属間化合物相を分布させて使用している。
れる不純物元素量について規格化された元素もあるが、
その他の不純物元素は通常数10ppmのオーダーで混
入されている。
時間使用することが望まれている。現在はUO2ペレッ
トが十分使用可能な時点で燃料の使用を中止しており、
燃料経済面での問題がある。
している燃料棒を8年間使用することができれば燃料経
済だけでなく、廃棄物量低減の面においても利点があ
る。
には、燃料被覆管、スペーサ、チャネルボックス等のジ
ルコニウム合金からなる炉心用構造材の耐食性をより一
層向上させる必要がある。
の炉心用構造材においては、燃料の高燃焼度化や、一層
の高耐食性が求められている。
上させること、あるいは高燃焼度化を可能にしたジルコ
ニウム合金を提供することで、長寿命の炉心構造材を提
供することを目的とする。
wt%、鉄0.07〜0.7wt%、ニッケル0.16
wt%以下、クロム0.05〜1.2wt%を含み、残
部が実質的にジルコニウムからなる高純度ジルコニウム
合金であって、不純物として不可避的に含有する元素の
うちS、Sc、Ga、As、Se、Sr、Y、Ag、I
n、Sb、Te、Ba、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、Pt、Au、PbおよびBiから選ばれる少
なくとも1種の元素が1ppm以下であることを特徴と
する高純度ジルコニウム合金である。
らなる原子炉炉心用構造材である。
中に含まれる不可避不純物のうち、耐食性を劣化させる
要因となるS、Y、PbあるいはBiの含有量を低減さ
せることで、ジルコニウム合金の耐食性を向上させ、よ
り長期間の使用を可能にしたものである。
中に含まれる不可避不純物のうち、中性子吸収断面積の
大きなSc、Ga、As、Se、Sr、Y、Ag、I
n、Sb、Te、Ba、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、PtあるいはAuの含有量を低減させること
で、使用期間の長期化に伴いUO2から発生される中性
子の量を減衰させず原子炉炉心用構造材外部に中性子の
放出を可能にする。
されるジルコニウム合金は少なくとも表面部分の金属間
化合物を微細に分散させることで、高耐食性に効用があ
ることがわかり、ジルカロイ−2、ジルカロイ−4にお
いても製造工程途中でβ急冷を施している。さらにこれ
らの金属間化合物の量を増加させることが、耐食性の観
点から好ましいことだと判ってきたので、添加元素の鉄
の量を増加させる試みも為されており、概ね成功を収め
ている。
ルカロイ−4などに代表される原子炉炉心用構造材に使
用されるジルコニウム合金に関するものである。
素として錫1〜2wt%、鉄0.07〜0.7wt%お
よびクロム0.05〜1.2wt%、さらに必要に応じ
ニッケル0.16wt%以下含有したジルコニウム合金
である。
属間化合物相を形成するなどして、ジルコニウム合金の
耐食性を高めているが、その添加量が前述の範囲から外
れると、ジルコニウム合金の耐食性を十分に高めること
ができなくなる。より耐食性を高めるためには、Sn:
1.20〜1.70wt%、Fe:0.07〜0.20
wt%、Cr:0.05〜0.15wt%、Ni:0.
03〜0.08wt%、O:900〜1400ppm
(但しFe+Cr+Ni:0.18〜0.24wt%)
をZrに添加したジルカロイ−2、Sn:1.20〜
1.70wt%、Fe:0.18〜0.24wt%、N
i:0.007wt%以下、O:900〜1400pp
m(但しFe+Cr:0.28〜0.37wt%)をZ
rに添加したジルカロイ−4の組成比とすることが好ま
しい。
加、錫を減少させ、ジルカロイ−2あるいはジルカロイ
−4よりも、鉄、クロムをそれぞれ0.2wt%、0.
16wt%を上限としてこれらの添加物を多量に添加
し、錫の含有率が0.3wt%≦Sn<1.2wt%の
組成比とすることがさらに望ましい。
子吸収断面積の少ない材料を用いることが重要である。
これは中性子吸収断面積が大きいと構造材が中性子を吸
収して炉心の働きを阻害してしまうためである。例えば
ジルコニウムは中性子吸収断面積が0.16バーンと小
さいことから、原子炉炉心の構造材として好適である。
ある炉心環境での耐食性や機械的特性を向上させるため
に、Fe、Cr、Ni、Sn等の添加元素を入れている
が、前述した範囲を超えて添加すると、中性子吸収断面
積がより上昇してしまう恐れがある点においても好まし
くない。
中性子吸収断面積は、それぞれ2.6バーン、0.8バ
ーン、4.6バーン、1〜0.16バーン(原子量によ
る)であり、これらの添加物によりジルコニウム合金と
してはやや中性子吸収断面積が大きくなる。
に含まれる不純物のうち特に中性子吸収断面積の大きい
元素は、中性子経済のために低減させるとよい。
積が大きいために、不適である。
〜4.5バーン)、As(4.4バーン)、Sr(16
バーン)、Y(1.8バーン)、Ag(88バーン)、
In(87バーン)、Sb(6.2バーン)、Te(4
00バーン)、Ba(11バーン)、Ce(6バー
ン)、Pr(7.5バーン)、Nd(320バーン)、
Sm(41000バーン)、Eu(6000バーン)、
Gd(255×103バーン)、Tb(23.5〜バー
ン)、Dy(600バーン)、Ho(62バーン)、E
r(670バーン)、Tm(105バーン)、Yb(3
500バーン)、Lu(2000バーン)、Pt(80
0バーン)およびAu(98.8バーン)などの元素は
特に中性子吸収断面積が高く、炉心の中性子を吸収して
しまう。また、中性子経済を減少させて炉運転制御能力
を低下させる。
抑えることによりジルコニウム合金中性子経済を低下さ
せずに、長寿命の炉心構造材を得ることができる。
下であっても、その総量が多いと中性子の吸収量は増加
するため、その総量は2ppm以下であることが望まし
い。
金の耐食性を向上させるために不可避不純物に含まれる
もののうち、特に低減させたい元素がある。
あることが判明した。S、Y、PbおよびBi等である。
これらの元素が1ppmを超えて混入するとその酸化被
膜の機械的特性を劣化させ、ジルコニウム合金の保護被
膜とならずに亀裂、剥離を起こし、そのために高温圧水
である炉水環境において耐食性が劣化することが判っ
た。すなわち、S、Y、PbおよびBiの各元素量を1
ppm以下にすることでジルコニウム合金の耐食性を向
上させることが可能となる。また、これらの元素の総量
として、2ppm以下とすることが望ましい。
素で不純物量が0.5〜200ppmに規定されている
が、本発明で規定する元素の不純物量に関しては何等規
定されておらず、前述のように炉心構造材の長期使用に
耐えるためには本発明で規定する各不純物の量を1pp
m以下に抑えることは好ましいことである。本発明のジ
ルコニウム合金中に含まれる不純物量は、主にZr、F
e、Cr、NiおよびSnなどの原料に含まれる不純物
量によって決まる。そのため、本発明の高純度ジルコニ
ウム合金を得るためには、より純度の高い原料を使用す
ることが肝要である。
れる不純物量が、ジルコニウム合金中に含まれる総不純
物量に与える影響が大きい。従来のジルコニウム合金
は、一般に原子炉用スポンジジルコニウムを用いて真空
アーク溶解を2〜3回繰り返して合金を得ているが、ス
ポンジジルコニウム合金は、一般に純度が低く、本発明
で規定する不可避不純物を大量に含んでいる恐れがあ
る。
は純度99.99%以上にまで高めることが可能なた
め、本発明の高純度ジルコニウム合金を得るためには原
料としてクリスタルバージルコニウムを使用することが
好ましい。
の添加元素についてもより高純度の原料を使用すること
が望ましい。
ム合金は、原子炉炉心用構造材を構成する燃料棒被覆
管、あるいは複数の燃料棒を束ねるためのスペーサなど
に使用することができる。
ルバージルコニウム(純度99.99wt%)と、添加
元素であるFe、Cr、NiおよびSnについても最高
純度の99.999wt%の原料を準備した。
ルコニウム合金を作り、得られたジルコニウム合金を再
度アーク放電により溶解し、均一な組成の高純度ジルコ
ニウム合金を作製した。
の高純度ジルコニウム合金を作製した。本実施例で作製
した高純度ジルコニウム合金の組成比を表1に示す。
Y、PbあるいはBiの含有量を分析したところ、それ
ぞれ1ppm以下であった。またこれらの不純物の総量
を測定したところ、それぞれ2ppm以下であった。
Y、Ag、In、Sb、Te、Ba、Ce、Pr、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、PtあるいはAuの含有量を分析した
ところ、1ppm以下であった。またこれらの不純物量
を測定したところ、それぞれ2ppm以下であった。
ルコニウム合金の中性子断面積を測定したところいずれ
も0.16バーンであった。
ム合金に対して再結晶温度以上まで加熱した後に、ジル
コニウムと添加元素との間に金属間化合物が形成される
ようにβ急冷処置あるいはα+β急冷処置を施した後に
通常の方法で原子炉用被覆管を作製した。
相当する炉外試験を行ったところ、被覆管表面の腐食に
起因する酸化被膜の厚さが10μmであり、水素の吸収
量は150ppmであった。
1〜10と同様にしてジルコニウム合金を作成した。得
られた合金の組成比を表2に示す。
Y、PbあるいはBiの含有量を分析したところ、それ
ぞれ1ppm以下であった。またこれらの不純物の総量
を測定したところ、それぞれ2ppm以下であった。
Y、Ag、In、Sb、Te、Ba、Ce、Pr、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、PtあるいはAuの含有量を分析した
ところ、1ppm以下であった。またこれらの不純物量
を測定したところ、それぞれ2ppm以下であった。
ルコニウム合金の中性子断面積を測定したところいずれ
も0.16バーンであった。
ム合金に対して再結晶温度以上まで加熱した後に、ジル
コニウムと添加元素との間に金属間化合物が形成される
ようβ急冷処置あるいはα+β急冷処置を施した後、通
常の方法でウォーターロッドとスペーサを作成した。
て、8年間分に相当する炉外試験を行ったところ、表面
の腐蝕に起因する酸化皮膜の厚さが11μmであり、水
素の吸収量は50ppmであった。さらに機械的な特性
の劣化は見られなかった。
99.9wt%のFe、Cr、NiおよびSnを実施例
と同様にアーク放電を繰り返すことで3種類のジルコニ
ウム合金を作製した。組成比は実施例5と同様に、S
n:1.5wt%、Fe:0.25wt%、Ni:0.
05wt%、Cr:0.10wt%とした。
測定した結果を表2に示す。
4.9ppm、比較例2および3ではそれぞれ2ppm
以下であった。
g、In、Sb、Te、Ba、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、PtおよびAuの総量は、比較例1乃至3に
おいて、それぞれ2ppmを超えていた。
例1乃至3のいずれのジルコニウム合金についても、
0.9バーン以上であり、不純物としてGa、Y、A
g、In、SmあるいはGdなどの中性子吸収断面積の
大きな元素が含有されていると、実施例に挙げた高純度
ジルコニウム合金に比べ中性子経済面でかなり効率が低
下していることが確認できた。
後、実施例と同様にして原子炉用被覆管を形成した。
と同様にして炉外試験により確認したところ、酸化被膜
の厚さが100μmであり、実施例と比較して10倍も
腐食が進んでいた。
bあるいはBiなどの不純物量を低減させたことで耐食
性を向上させることができた。
に耐食性の良好で、長時間の使用に適し、且つ中性子経
済が良好な原子炉炉心用構造材として好適な高純度ジル
コニウム合金が得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、クロム0.05
〜1.2wt%を含み、残部が実質的にジルコニウムか
らなる高純度ジルコニウム合金であって、不純物として
不可避的に含有する元素のうちS、Sc、Ga、As、
Se、Sr、Y、Ag、In、Sb、Te、Ba、L
a、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Pt、Au、Pb
およびBiから選ばれる少なくとも1種の元素が1pp
m以下であることを特徴とする高純度ジルコニウム合
金。 - 【請求項2】錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、クロム0.05
〜1.2wt%を含み、残部が実質的にジルコニウムか
らなる高純度ジルコニウム合金からなる原子炉炉心用構
造材であって、不純物として不可避的に含有する元素の
うちS、Sc、Ga、As、Se、Sr、Y、Ag、I
n、Sb、Te、Ba、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、Pt、Au、PbおよびBiから選ばれる少
なくとも1種の元素が1ppm以下であることを特徴と
する原子炉炉心用構造材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000070423A JP3741922B2 (ja) | 1999-09-22 | 2000-03-14 | 耐食性高純度ジルコニウム合金および原子炉炉心用構造材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26910499 | 1999-09-22 | ||
JP11-269104 | 1999-09-22 | ||
JP2000070423A JP3741922B2 (ja) | 1999-09-22 | 2000-03-14 | 耐食性高純度ジルコニウム合金および原子炉炉心用構造材 |
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JP3741922B2 JP3741922B2 (ja) | 2006-02-01 |
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JP (1) | JP3741922B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100629330B1 (ko) * | 2004-12-15 | 2006-09-29 | 현대모비스 주식회사 | 커플드 토션빔 |
JP2007192814A (ja) * | 2005-12-29 | 2007-08-02 | General Electric Co <Ge> | 中性子放射及び腐食場にさらされたときの変形性及び制御羽根干渉性を低下させたlwr流路 |
JP2009092620A (ja) * | 2007-10-12 | 2009-04-30 | Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd | ジルコニウム基合金並びにこれを用いた水冷却型原子炉用燃料集合体およびチャンネルボックス |
JP2020510828A (ja) * | 2017-04-18 | 2020-04-09 | カチョン ユニバーシティ オブ インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデイション | 多層構造核燃料被覆管及び多層構造核燃料被覆管の製造方法 |
WO2024045939A1 (zh) * | 2022-09-02 | 2024-03-07 | 上海核工程研究设计院股份有限公司 | 一种核屏蔽用富镝镍钨合金材料及其制备方法 |
-
2000
- 2000-03-14 JP JP2000070423A patent/JP3741922B2/ja not_active Expired - Fee Related
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