JP2001158793A - リン酸モノエステルの製造方法 - Google Patents

リン酸モノエステルの製造方法

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JP2001158793A
JP2001158793A JP34293399A JP34293399A JP2001158793A JP 2001158793 A JP2001158793 A JP 2001158793A JP 34293399 A JP34293399 A JP 34293399A JP 34293399 A JP34293399 A JP 34293399A JP 2001158793 A JP2001158793 A JP 2001158793A
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Kengo Shibata
賢吾 柴田
Akira Matsunaga
明 松永
Motohiro Morimura
元博 森村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固液分離性が良好な針状結晶として晶析させ
ることによるリン酸モノエステルの製造方法の提供。 【解決手段】 リン酸モノエステルとリン酸ジエステル
と溶剤を含有する混合物からリン酸モノエステルを晶析
により結晶として取り出す。晶析に際し、混合物を飽和
溶解温度(B)以上の温度(A)に昇温した後、過溶解
温度(D)及びそれ以下に冷却するに際して、過飽和温
度(C)を少なくとも1分間保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸モノエステ
ルまたはその塩の製造方法に関する。更に詳しくは、リ
ン酸モノエステルとリン酸ジエステルを含有する混合物
から晶析操作により、高純度のリン酸モノエステルを濾
過分離特性の優れた針状結晶として製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】有機ヒドロキシ化合物のリン酸エステル
は、洗浄剤、繊維処理剤、乳化剤、防錆剤、液状イオン
交換体または歯牙保護剤、医薬品等の幅広い分野で利用
されている。
【0003】従来、リン酸エステルの製造方法として
は、例えば無水リン酸および水と有機ヒドロキシ化合物
を用いる方法(特公昭57−61358号公報)、またはオル
トリン酸、ポリリン酸もしくは縮合リン酸と有機ヒドロ
キシ化合物を反応させる方法(特公昭58−38435号公
報、A.K.Nelsonら、Inorg. Chem., 2775(1963)、およ
び特公昭43−26492号公報)等がある。
【0004】しかしながら、これらの製造方法によって
得られるリン酸エステル中には、リン酸ジエステルの混
入を避けることはできない。しかし、リン酸ジエステル
の多量の混入は、使用用途によっては好ましからざる影
響を与え、その利用分野が制限されるとともに、生成物
の製品価値を低下させるものである。従って、工業的生
産を想定した場合は、上記したいずれの製造方法による
としても、反応液からリン酸モノエステルまたはその塩
を単離し、最終的に製品として取得するためには、晶析
操作が不可欠である。
【0005】晶析操作による単一成分の結晶化の手法と
しては、ソルビン酸アルカリ塩の製造方法に関して、晶
析前に添加剤を少量添加しておく方法(特公昭52−2713
5号公報)が公知であり、また光学活性カルボン酸エス
テルの製造方法に関して、晶析中に種晶を添加する方法
(特公昭63−60735号公報)等が知られている。そして
リン酸モノエステルの製造に関しても、水の存在下で中
和したのちに晶析を行い、リン酸モノエステル塩を単離
する方法(特開平6−128277号公報)や、溶剤で分別晶
析してリン酸モノエステルを母液側に、リン酸ジエステ
ルを沈殿側に分離する方法(特開平2−286690号公報)
等が報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような晶析工程
においては通常、例えば粗製品を水、有機溶媒、または
含水有機溶媒等に再度溶解し、攪拌手段を備えた晶析装
置を用いて、冷媒との熱交換(強制循環間接冷却方式)
により、或いは減圧下で溶媒の一部を気化する自己蒸発
方式により冷却を行って結晶を析出せしめ、これを濾過
または遠心分離によって濾別、脱水して取り出す方法が
採用されている。このような方法によって得られるリン
酸モノエステルは、鱗片状の晶癖を呈する。しかしなが
ら、かかる鱗片状で集合したリン酸モノエステルの結晶
は、晶析母液の分離性が悪く、遠心分離、フィルタープ
レス等による固液分離性が悪い。そのため、濾過分離操
作に時間を要して作業能率を低下させるのみでなく、濾
過後の結晶に付着する残存母液量が多くなるため、晶析
工程に続く乾燥工程においても乾燥負荷が高くなること
を免れない等の難点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる実状において、本
発明者等はリン酸モノエステルに関する先述の難点を解
消すべく、鋭意研究を重ね、種々条件検討を行ったとこ
ろ、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルと溶剤を含
有する混合物からリン酸モノエステルを晶析によって結
晶として取り出す場合、混合物を飽和溶解温度以上に昇
温した後に冷却して晶析させる際に、飽和溶解温度以
下、過溶解温度以上の温度(以下「過飽和温度」と言
う)を保持すると、結晶が針状で析出するか、及び/又
は鱗片状で析出した結晶が針状へと形状変化することを
見いだした。
【0008】本発明者等は上記知見を工業規模のプロセ
スに応用すべく更に検討を重ねたところ、このようにし
て針状で得られた結晶は固液分離において極めて良好な
性状を示すこと、また一度針状化した結晶は、液の流動
状態が変化したり急速冷却による過飽和解消操作を組み
合わせても、再度鱗片状へと形状変化することはなく、
良好な分離性を維持しうることを見いだして、本発明を
完成するに至った。
【0009】即ち本発明は、リン酸モノエステルとリン
酸ジエステルと溶剤を含有する混合物からリン酸モノエ
ステルを晶析により結晶として取り出す方法において、
混合物を飽和溶解温度以上に昇温した後、冷却に際して
過飽和温度を少なくとも1分間保持することを特徴とす
る、リン酸モノエステルの製造方法である。かかる製造
方法によればリン酸モノエステルは針状結晶として得ら
れ、その後の固液分離操作の所要時間を著しく短縮で
き、作業能率を向上させることが可能になる。従って工
程を合理化し、リン酸モノエステル又はその塩を工業
的、経済的に有利に製造しうるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明によれば、過飽和温度で熟
成を行うことにより、リン酸モノエステルは針状結晶と
して析出し、及び/又は既に析出した鱗片状結晶が針状
結晶化する。ここで鱗片状結晶とは、鱗の細片様の形態
をしており、長軸に垂直に投影して得られる結晶の投影
面積を、長軸中心に回転させて変化させた場合に、最小
投影面積と最大投影面積との比が以下の式によって規定
されるような形状を有する結晶である。
【0011】(最大投影面積/最小投影面積)≧2 また針状結晶とは、細い棒状の形態をしており、同様に
以下の式によって規定されるような形状を有する結晶で
ある。
【0012】(最大投影面積/最小投影面積)<2 上述の操作条件を満足させるための晶析装置としては、
間接冷却式晶析器、循環冷却式晶析器、真空晶析器、蒸
発式晶析器等、温度制御可能な公知の各種晶析装置が何
れも使用されうる。
【0013】本発明においては、リン酸モノエステルと
リン酸ジエステルと溶剤を含む混合物が使用される。リ
ン酸モノエステルとしては一般式(I)
【0014】
【化1】
【0015】R:炭素数8〜36の直鎖又は分岐鎖のアル
キル基、アルケニル基で表されるものが挙げられ、また
リン酸ジエステルとしては一般式(II)
【0016】
【化2】
【0017】R:上記と同じ で表されるものが挙げられる。より具体的には、炭素数
8から36のアルコールのリン酸モノエステルまたはジエ
ステルであり、例えばモノまたはジオクチルリン酸、モ
ノまたはジデシルリン酸、モノまたはジドデシルリン
酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジテ
トラコシルリン酸、モノまたはジオクタコシルリン酸、
モノまたはジオクテニルリン酸、モノまたはジオクタデ
セニルリン酸、モノまたはジテトラコセニルリン酸、モ
ノまたはジ2−ヘキシルデシルリン酸、モノまたはジ2
−オクチルウンデシルリン酸、モノまたはジ2−テトラ
デシルオクタデシルリン酸等が挙げられる。
【0018】リン酸エステルの製造方法については特に
限定されないが、通常はアルコールと無水リン酸を反応
させて得られ、こうして得られる粗リン酸エステルの組
成は通常、モノエステルが25〜75モル%、ジエステルが
5〜50モル%であり、また1〜25モル%のオルトリン
酸、0〜30モル%のピロリン酸エステルが含まれる。こ
うした未反応リン酸や副生物は、未反応アルコールなど
と共に本発明で用いられる混合物中に含まれていても良
い。
【0019】混合物からリン酸モノエステルを晶析する
為の溶剤としては、炭化水素系溶剤(例えばn−ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン
等)、アルコール系溶剤(例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール等の炭素数1〜
4の脂肪族アルコール、ベンジルアルコール等の炭素数
6〜10の芳香族アルコール、シクロヘキサノール等の炭
素数6〜12の脂環式アルコール)、ケトン系溶剤(例え
ばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン等の炭素数3〜6のケトン)、エステル系溶剤(例
えば酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等の
炭素数1〜5のエステル)、エーテル系溶剤(例えばジ
メチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン等)、ハロゲン系溶剤(例え
ば四塩化炭素、ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、
クロロベンゼン等)、アミド系溶剤(例えばジメチルホ
ルムアミド、ジエチルホルムアミド等)、スルホキシド
系溶剤(例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホ
キシド等)が挙げられる。これらのなかでも、晶析温度
が室温に近く操作上有利であること、比較的低価格であ
ること等の観点より、炭化水素系溶剤が好ましい。ま
た、これらの溶剤は1種類のみではなく、2種類以上を
混合して使用することも可能である。
【0020】上記晶析溶媒の使用量は、用いる溶媒の種
類によって異なり、特に限定されないが、リン酸モノエ
ステルとリン酸ジエステルと溶剤を含有する混合物中の
リン酸モノエステルの重量が1〜80%となる量が適当で
あり、1〜40%となる量がさらに好ましい。リン酸モノ
エステルの重量濃度が1%未満では収量に対する溶媒使
用量が多くなることから経済的に不利であり、また80%
を超えると結晶析出後の流動性が低下するためハンドリ
ング性が悪く、濾過速度の点で不利になる傾向がある。
【0021】本発明によれば、上述の混合物は飽和溶解
温度以上に昇温され、その後冷却に際して過飽和温度が
少なくとも1分間保持される。この晶析操作を図1を用
いて説明する。まずリン酸モノエステルXkgと溶剤Ykg
を含有する混合物を、この溶解度(X/Y)における飽
和溶解温度(B点)以上の温度(A点)まで昇温し、完
全に溶解させる。このときA点とB点との温度差は1℃
以上あれば十分である。つぎに、A点におけるこの完全
溶解液を冷却するが、溶解温度B点までの冷却では結晶
は析出しない。さらに冷却し、リン酸モノエステルと溶
剤の種類及び濃度により決定される過溶解温度(D点)
まで冷却されたときに、結晶が析出する。これは、B点
以下の温度において系内は過飽和の状態となっている
が、この過飽和エネルギーを結晶化による固液界面生成
の界面エネルギーとして放出することにより、系内のエ
ネルギー平衡を保とうとするためである。このとき冷却
速度は特に問題にはならないが、生産性の観点から速い
方が好ましい。しかしながら、こうしてD点で析出する
リン酸モノエステル結晶は鱗片状の形状をしており、そ
のため固液分離性が悪く、濾過分離操作に時間を要して
作業能率を低下させるのみでなく、濾過後の結晶に付着
する残存母液量が多くなるため、晶析工程に続く乾燥工
程でも乾燥負荷が高くなってしまう。
【0022】そこで本発明によれば、飽和溶解温度(B
点)以下、過溶解温度(D点)以上の温度、即ち過飽和
温度を少なくとも1分間保持する。これにより、結晶の
形状を変化させ、リン酸モノエステルを針状結晶として
得ることができる。これをさらに冷却することにより、
この針状結晶をさらに成長させるものであるが、前述し
たように、一度針状化した結晶は、液の流動状態が変化
したり急速冷却による過飽和解消操作が行われても、再
度鱗片状へと形状変化することはない。ここで保持温度
は、結晶析出温度、即ち過溶解温度(D点)でも良い
が、温度を上げると針状化を促進できることから、過溶
解温度より高く、飽和溶解温度より低い温度(C点)が
より好ましい。B点とC点との温度差は小さい程針状化
が早いが、小さすぎると再溶解する可能性があることか
ら、1℃以上あることが好ましい。また、A点から冷却
を始めてC点の温度とし、そのまま少なくとも1分間保
持することによって当初から針状結晶を得ることもでき
る。本発明においては、これらの何れの方法によって結
晶化を行ってもよい。
【0023】本発明の方法を効果的に実施するために
は、結晶を針状で析出させ、及び/又は析出した鱗片状
結晶を針状結晶化させるための、過飽和温度での保持時
間(熟成時間)が重要である。保持時間は、槽型および
チューブ型晶析槽などの攪拌状態によっても異なり、結
晶を針状として得るに十分な時間とされる。一般には、
少なくとも1分以上が必要であり、好ましくは15分以上
である。
【0024】晶析の後の分離操作は、濾紙、グラスフィ
ルター等を用いた加圧濾過、真空濾過、遠心分離等の公
知の手法により行うことができ、また晶析回数は特に制
限されない。
【0025】このようにして得られたリン酸モノエステ
ルの針状結晶は、固液分離において極めて良好な性状を
示す。即ち固液分離の時間を著しく短縮でき、作業能率
を向上させることができる。なお本発明の方法で得られ
るリン酸モノエステルはすべて酸の形で得られるが、必
要によってはアルカリまたはアミンで中和することによ
り塩にすることも可能である。
【0026】
【実施例】実施例1 攪拌装置を備えた容器にミリスチルリン酸エステルを含
有する反応混合物(ミリスチルリン酸モノエステル93.5
重量%、ミリスチルリン酸ジエステル4.0重量%、オル
トリン酸1.0重量%、ミリスチルアルコール1.5重量%)
を25g入れ、その中へn−ヘキサンを58g添加した。こ
の濃度におけるミリスチルリン酸モノエステルの飽和溶
解温度は52℃、過溶解温度は50℃である。これを攪拌し
ながら60℃迄昇温して溶解した後、攪拌を続けながら50
℃迄冷却して鱗片状結晶を析出させた後、そのまま50℃
で15分保持したところ、結晶が針状へと形状変化した。
この後さらに冷却を行い、ミリスチルリン酸モノエステ
ルの針状結晶を含有するスラリーを得た。
【0027】得られたスラリーについて次の性能試験を
行った。即ち26kPa迄減圧した減圧瓶に連結したヌッチ
ェ型濾過器によって、母液を含んだ針状結晶のスラリー
を吸引濾過し、濾過開始時から減圧瓶内の圧力が急上昇
する迄の時間を測定したところ、5秒であった。濾液量
(濾過速度)とスラリー(ケーク)中の揮発分濃度の経
時変化をそれぞれ図2及び図3に示す。ここで揮発分濃
度は、スラリー(ケーク)約1gを105℃の恒温層中で
3時間乾燥させた後、重量を測定し、次の式に従って求
めた。
【0028】 [1−(乾燥後重量/乾燥前重量)]×100(重量%) 比較例1 実施例1と同様の操作方法により鱗片状結晶を析出させ
た後、50℃での保持を行うことなく冷却したところ、ミ
リスチルリン酸モノエステルは針状結晶へ形状変化する
ことなく、鱗片状結晶のまま成長した。得られたスラリ
ーについて実施例1と同様の性能試験を行ったところ、
吸引濾過に要した時間は60秒であった。また濾液量(濾
過速度)とスラリー(ケーク)中の揮発分濃度の経時変
化を実施例1と同様に測定した結果を図2及び図3に併
せて示す。
【0029】実施例1と比較例1の結果を比較すると、
本発明の製造方法により得られたミリスチルリン酸モノ
エステルの結晶は、母液から容易かつ迅速に分離可能で
あることが示される。
【0030】実施例2 実施例1と同様の操作方法により鱗片状結晶を析出させ
た後、さらに52℃迄昇温してこの温度を15分間保持した
ところ、結晶が針状へと形状変化した。かくして得られ
たミリスチルリン酸モノエステルは母液からの濾過分離
性も良好であった。
【0031】実施例3 実施例1と同様の操作方法により60℃迄昇温して得られ
た混合液について、更に攪拌を続けながら52℃迄冷却
し、この温度で15分間保持したところ、ミリスチルリン
酸モノエステルが針状結晶として得られた。この場合も
母液からの濾過分離性は良好であった。
【0032】実施例4、5 実施例1におけるn−ヘキサンに代えて、エタノール58
g(実施例4)、及びアセトン58g(実施例5)を使用
し、飽和溶解温度より3℃高い温度まで昇温して溶解し
た後、攪拌を続けながら過溶解温度まで冷却して鱗片状
結晶を析出させた後15分間保持したところ、これらの場
合もミリスチルリン酸モノエステルは針状結晶として得
られ、母液からの濾過分離性も良好であった。なお実施
例4の場合のミリスチルリン酸モノエステルの飽和溶解
温度は31℃、過溶解温度は8℃である。また実施例5の
場合のミリスチルリン酸モノエステルの飽和溶解温度は
34℃、過溶解温度は15℃である。
【0033】実施例6、7 実施例3におけるn−ヘキサンに代えて、エタノール58
g(実施例6)、及びアセトン58g(実施例7)を使用
し、飽和溶解温度より3℃高い温度まで昇温して溶解し
た後、攪拌を続けながら飽和溶解温度まで冷却し、この
温度で15分間保持したところ、これらの場合もミリスチ
ルリン酸モノエステルは針状結晶として得られ、母液か
らの濾過分離性も良好であった。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、リン酸モノエステルの
晶析分離工程において過飽和温度での保持を行わない従
来の方法に比べ、結晶形状が針状となることにより濾過
時間を著しく短縮でき、分離工程の負荷が軽減される。
また分離性の改善に伴い、不純物が溶存する母液の結晶
への付着率が低減して洗浄効率も向上する。さらに酸の
形で得られることから中和度を自由に変えることがで
き、汎用性の高いリン酸モノエステルを得ることが出来
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による晶析操作を説明するための例示
的なグラフである。
【図2】 実施例1及び比較例1の濾過速度を対比して
示すグラフである。
【図3】 実施例1及び比較例1のケーク中の揮発分濃
度の変化を対比して示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森村 元博 神奈川県川崎市川崎区浮島町1−2 花王 株式会社工場内 Fターム(参考) 4H050 AB68 AB70 AB72 AD15 BB11 BB12 BB14 BB15 BB16 BB20 BB22 BC35 BC51

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸モノエステルとリン酸ジエステル
    と溶剤を含有する混合物からリン酸モノエステルを晶析
    により結晶として取り出す方法において、混合物を飽和
    溶解温度以上に昇温した後、冷却に際して過飽和温度を
    少なくとも1分間保持することを特徴とする、リン酸モ
    ノエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 過飽和温度がリン酸モノエステルの結晶
    形状を針状にするに十分な時間保持される、請求項1の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 過飽和温度が少なくとも15分間保持され
    る、請求項1の製造方法。
  4. 【請求項4】 過飽和温度が過溶解温度より高く、飽和
    溶解温度より1℃以上低い温度である、請求項1から3
    の何れか1の製造方法。
  5. 【請求項5】 針状結晶として晶析されたリン酸モノエ
    ステル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008036545A (ja) * 2006-08-07 2008-02-21 Sumitomo Chemical Co Ltd 晶析方法
KR100952865B1 (ko) * 2002-07-15 2010-04-13 카오카부시키가이샤 지방산류의 제조법

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KR100952865B1 (ko) * 2002-07-15 2010-04-13 카오카부시키가이샤 지방산류의 제조법
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