JP2001157964A - 有摺接面部材の製造方法 - Google Patents

有摺接面部材の製造方法

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JP2001157964A
JP2001157964A JP34244399A JP34244399A JP2001157964A JP 2001157964 A JP2001157964 A JP 2001157964A JP 34244399 A JP34244399 A JP 34244399A JP 34244399 A JP34244399 A JP 34244399A JP 2001157964 A JP2001157964 A JP 2001157964A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】潤滑剤が容易に流動することが可能でかつ耐焼
き付き性が良好な摺接面を有する有摺接面部材を製造す
るための製造方法を提供する。 【解決手段】鋼からなるワークWに浸炭焼き入れ処理を
施した後、研削加工または研磨加工の少なくともいずれ
か一方を行って、最大高さが1.0μm以下である粗い
うねり18を形成する。次いで、直径20〜100μm
のガラスビーズ44が混合されて60〜280MPaの
噴射圧力で噴射された水40をワークWに衝突させ、基
準長が4mmである際における平均凹凸高さが0.25
μm以上1.2μm未満、平均凹凸ピッチが20μm以
上130μm未満、尖りが5未満であるうねり16を形
成して有摺接面部材10とする。うねり16が形成され
た面を摺接面10aとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有摺接面部材の製
造方法に関し、一層詳細には、耐焼き付き性が良好でか
つオイルが容易に流動することが可能な摺接面を有する
有摺接面部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、内燃機関の内部に注入されたオ
イルは、該内燃機関が付勢されてピストンがシリンダボ
ア内を往復動作する際、ピストンの側周壁部とシリンダ
ボアまたはスリーブの内周壁部とが互いに繰り返し摺接
することに伴って発生した摩擦熱を除去するという役割
を果たす。すなわち、両摺接面に発生した摩擦熱が熱伝
導によってオイルへと伝達されることにより、該両摺接
面の温度が下降する。その結果、両摺接面に焼き付きが
生じることが回避される。
【0003】このことから諒解されるように、摺接面を
有する部材(以下、有摺接面部材という)においては、
その摺接面にオイルを保持させることにより焼き付きが
回避される。そこで、オイルが良好に保持されるよう
に、摺接面を特定の形状に加工することが種々提案され
ている。その例としては、内燃機関のピストンのスカー
ト部に形成された条痕、シリンダボアまたはスリーブの
内周壁部に形成されたプラトーホーニング、ローラベア
リングに形成された超微細オイルポッド、エンジンメイ
ンベアリングに形成されたグルーブ等が挙げられる。こ
れらは既に実施されており、実際、摺接面の耐焼き付き
性や疲労強度等が向上した部材として広く認識されるに
至っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
形状を有する摺接面は、必ずしもオイルを良好に流動さ
せることができるものではないという不具合がある。す
なわち、前記ピストンのスカート部が往復動作する際や
前記各ベアリングに軸支された軸が回転動作する際に、
オイルが条痕とシリンダボアとの間や、超微細オイルポ
ッドあるいはグルーブと軸との間に堰き止められて流動
が妨げられるからである。
【0005】このような事態が生じると、ピストンのス
カート部や各ベアリングに軸支された軸は、堰き止めら
れたオイルからの反作用力を受けるようになるので、往
復動作または回転動作が妨げられる。したがって、該ピ
ストンの往復動作や軸の回転動作等を続行させるために
多大な駆動力が必要となり、その結果、例えば、内燃機
関の燃料消費量が増加してしまうという不具合が惹起さ
れる。
【0006】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、耐焼き付き性が良好でかつオイルが良好
に流動することが可能な摺接面を有する有摺接面部材を
製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、所定の部材に潤滑剤を介して摺接する
摺接面に凹部と凸部とからなるうねりを有する有摺接面
部材を製造する製造方法であって、鋼からなるワークを
浸炭焼き入れ処理する第1工程と、浸炭焼き入れ処理さ
れた前記ワークを研削加工または研磨加工の少なくとも
いずれか一方を行う第2工程と、研削加工または研磨加
工の少なくともいずれか一方が施された前記ワークに対
してガラスビーズが混合された液体を噴射してうねりを
形成する第3工程とを備え、前記うねりの基準長4mm
における平均凹凸高さが0.25μm以上1.2μm未
満、平均凹凸ピッチが20μm以上130μm未満、尖
りが5未満であることを特徴とする。
【0008】摺接面におけるうねりの平均凹凸高さ、平
均凹凸ピッチ、尖りがこのような範囲内であると、該摺
接面上では潤滑剤が容易に流動する。このため、摺動部
材がその摺動動作中に潤滑剤からの反作用力を受けるこ
とがないので、摺動動作が妨げられない。したがって、
摺動部材を摺動動作させるために多大な駆動力を必要と
することがない。また、この摺接面において発生する摩
擦熱は、速やかに潤滑剤へと伝達されるので、該摺接面
に焼き付きが生じることが回避される。
【0009】この場合、前記研削加工または研磨加工の
少なくともいずれか一方が施された面の基準長4mmに
おける最大高さが1.0μm以下であることが好まし
い。第3工程において、平均凹凸高さ、平均凹凸ピッ
チ、尖りが上記範囲内であるうねりを確実に形成するこ
とができる。
【0010】また、前記ガラスビーズの直径が20〜1
00μmであり、該ガラスビーズが混合された液体の噴
出圧力が60〜280MPaであることが好ましい。第
3工程において、平均凹凸高さ、平均凹凸ピッチ、尖り
が上記範囲内であるうねりを一層確実に形成することが
できる。
【0011】なお、有摺接面部材の好適な例としては、
内燃機関用クランクシャフトまたは内燃機関用バランサ
シャフトを挙げることができる。有摺接面部材が内燃機
関用クランクシャフトである場合、クランクピンやジャ
ーナルが摺接面となる。一方、有摺接面部材が内燃機関
用バランサシャフトである場合、ジャーナルが摺接面と
なる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る有摺接面部材
の製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面
を参照して詳細に説明する。
【0013】まず、有摺接面部材10を図1に示す。こ
の有摺接面部材10は浸炭焼き入れ処理された鋼からな
り、その周面が図示しない所定の部材に摺接する摺接面
10aである。
【0014】この摺接面10aの要部拡大図を図2に示
す。この図に示されるように、摺接面10aは、微視的
には平坦ではなく、凹部12と凸部14とが連なってな
るうねり16を多数有する。そして、このうねり16
は、潤滑剤としてのオイルの摺接面10a上における流
動を妨げないように、基準長4mmにおける平均凹凸高
さ(以下、Rcとも表記する)、平均凹凸ピッチ(以
下、Smとも表記する)および尖り(以下、Rkuとも
表記する)が後述する範囲内となるように形成されてい
る。
【0015】ここで、Rc、SmおよびRkuの定義を
示すとともに、その範囲について説明する。
【0016】まず、凹凸高さとは、図3に示すように、
凹部12の底部と凸部14の頂部との差Δである。これ
を基準長4mm内において、例えば、図3におけるΔ1
〜Δ3を全て測定し、その総和を測定個数で除したもの
がRcである。
【0017】有摺接面部材10においては、うねり16
は、Rcが0.25μm以上1.2μm未満となるよう
に形成される。0.25μm未満であると、凹部12と
所定の部材の摺接面との間に介在されたオイルの量が凸
部14と前記摺接面との間に介在されたオイルの量と略
等しくなるので、両オイルは略同等の圧力で押圧され
る。このため、凸部14と前記摺接面に介在されたオイ
ルの凹部12への流動が妨げられるようになる。また、
1.2μm以上であると、凹部12と前記摺接面との間
に介在されたオイルが凸部14の頂部を通過することが
できなくなり、その結果、該頂部と所定の部材の摺接面
とがオイルを介さずに摺接するようになるので、焼き付
きが起こり易くなる。好ましいRcの範囲は、0.4〜
0.8μmである。
【0018】次に、凹凸ピッチとは、図4に示すよう
に、うねり16に平均線Lを引き、1つの凸部14と平
均線Lとの交点Aから次の凸部14と平均線Lとの交点
Bとの距離である。これを基準長4mm内において、例
えば、図4におけるAからB、BからCおよびCからD
の各間の距離を全て測定し、その総和を測定個数で除し
たものがSmである。なお、平均線Lは、基準長4mm
内における各凹部12の底部の位置および各凸部14の
頂部の位置に基づいて最小自乗法により求められた直線
である。
【0019】うねり16は、Smが20μm以上130
μm未満となるように形成される。20μm未満である
と、凸部14の傾斜面の勾配が急になるので、凹部12
と前記摺接面との間に介在されたオイルが凸部14の頂
部を通過することができなくなり、その結果、該頂部と
所定の部材の摺接面とがオイルを介さずに摺接するよう
になるので、焼き付きが起こり易くなる。また、130
μm以上であると、凸部14全体が長くなるのでその頂
部も長くなり、したがって、オイルが該頂部を通過する
のに長時間を要するようになる。このため、オイルの流
動速度が遅くなり、その結果、摺動する部材がオイルか
ら反作用力を受けるようになるので、摺動動作が妨げら
れるようになる。好ましいSmの範囲は、40〜70μ
mである。
【0020】そして、Rkuは、凸部14の鋭利さを表
す指標である。Rkuが3未満、3、3を超える場合に
対応する凸部14の形状を、曲線O、PおよびQとして
図5にそれぞれ示す。この図から、Rkuが3未満の場
合には凸部14の先端が丸みを帯び、値が大きくなるに
つれて鋭利さを増していくこと、Rkuが3の場合には
凸部14の形状が正規分布曲線形状となることが諒解さ
れる。なお、Rkuは負になることはない。
【0021】うねり16は、Rkuが5未満となるよう
に形成される。5以上である場合、凸部14の先端が著
しく鋭利になることに伴い傾斜面の勾配が急になるの
で、凹部12と前記摺接面との間に介在されたオイルが
凸部14の頂部を通過することができなくなり、その結
果、該頂部と所定の部材の摺接面とがオイルを介さずに
摺接するようになるので、焼き付きが起こり易くなる。
【0022】Rc、SmおよびRkuが上記範囲内であ
るうねり16においては、凹部12と凸部14との高低
差が小さく、かつ凹部12の深さおよび凸部14の高さ
が略均一である。しかも、凸部14の斜面の勾配は緩や
かであり、かつ凸部14の頂部はオイルが速やかに通過
できるような長さに形成されている。このため、オイル
は、有摺接面部材10が摺動動作する際、次のように流
動する。
【0023】例えば、有摺接面部材10が内燃機関用ク
ランクシャフトであり摺接面10aがジャーナルである
場合、該内燃機関用クランクシャフトは、内燃機関用シ
リンダブロックのジャーナル受部に固定されたベアリン
グに摺接する。そして、該内燃機関用クランクシャフト
が回転動作すると、ジャーナルの側周壁部(摺接面10
a)の凹部12とベアリングの内周壁部との間に介在さ
れたオイルは、凹部12と凸部14との高低差が小さ
く、かつ凸部14の斜面の勾配が緩やかであるので、凸
部14の頂部へと流動する。すなわち、オイルが凹部1
2とベアリングの内周壁部との間に堰き止められること
はない。
【0024】凸部14の頂部へ流動したオイルは、凸部
14とベアリングの内周壁部との間隔が狭いので、高圧
力を受ける。このため、オイルは、間隔がより広く、し
たがって、受ける圧力がより低い凹部12とベアリング
の内周壁部との間へと流動する。この際、凸部14の頂
部はオイルが速やかに通過できる長さであるので、オイ
ルが凸部14とベアリングの内周壁部との間に堰き止め
られることはない。また、凹部12の深さおよび凸部1
4の高さが略均一であるので、この流動は摺接面10a
の全体に亘り略均等に生じる。すなわち、摺接面10a
の一部においてオイルが堰き止められることはない。
【0025】このように、うねり16のRc、Smおよ
びRkuを上記範囲内とすることにより、オイルの流動
が妨げられることのない摺接面10aとすることができ
る。また、摺接面10aおよび前記所定の部材の摺接面
に生じる摩擦熱は速やかにオイルに伝達されるので、両
摺接面に焼き付きが生じることがない。
【0026】次に、このような摺接面10aを有する有
摺接面部材10の製造方法について説明する。
【0027】本実施の形態に係る有摺接面部材の製造方
法のフローチャートを図6に示す。この製造方法は、鋼
からなるワークを浸炭焼き入れ処理する第1工程S1
と、浸炭焼き入れ処理された前記ワークを研削加工また
は研磨加工の少なくともいずれか一方を行う第2工程S
2と、研削加工または研磨加工の少なくともいずれか一
方が施された前記ワークに対してガラスビーズが混合さ
れた液体を噴射してうねりを形成する第3工程S3とを
備える。
【0028】まず、第1工程S1において、ワークを浸
炭焼き入れ処理する。すなわち、例えば、加熱炉内でワ
ークを加熱しながらプロパンやブタン等の炭素化合物ガ
スを加熱炉内に導入することにより、この炭素化合物ガ
スを原料として生成する炭素をワークに浸透させる。そ
の後、炭素が浸透したワークを急冷することにより該ワ
ークの表面にマルテンサイトを形成させる。これによ
り、ワークの表面が硬化される。
【0029】次いで、第2工程S2において、表面にマ
ルテンサイトが形成されたワークに対して研削加工また
は研磨加工の少なくともいずれか一方を行う。なお、こ
の場合、表面のうねりの基準長4mmにおける最大高さ
(以下、Rmaxとも表記する)が1.0μm以下とな
るまで研削加工や研磨加工を行うと、後述する第3工程
S3において、Rc、SmおよびRkuが上記範囲内で
あるうねり16を確実に形成することができるので好適
である。
【0030】ここで、Rmaxの定義について説明す
る。第2工程S2が終了した際には、図7に示すよう
に、うねり16よりも粗いうねり18が形成されてい
る。このうねり18の基準長4mm内における各凹部2
0の底部の位置および各凸部22の頂部の位置に基づい
て最小自乗法により直線を求め、平均線mとして引く
(図7参照)。この平均線mと、凸部22のうち最も高
い凸部22aとの距離hがRmaxである。
【0031】そして、第3工程S3において、研削加工
や研磨加工が施された面に対してガラスビーズが混合さ
れた液体を噴射し、Rc、SmおよびRkuが上記範囲
内であるうねり16を形成する。
【0032】ここで、ガラスビーズを噴射する噴射装置
としては、図8に示す噴射装置30が例示される。
【0033】この噴射装置30の構成について、図8を
参照して説明する。この噴射装置30は、サージタンク
32と、該サージタンク32にチューブ34を介して接
続された噴射部36と、該噴射部36の内部に設けられ
たノズル部38と、該ノズル部38により噴射部36内
に区画されてサージタンク32から圧送される水40お
よびホッパー42から供給されるガラスビーズ44を混
合するためのミキシングチャンバ46と、ガラスビーズ
44が混合された水40をワークWの表面に噴射するた
めのフォーカシングチューブ48とを備える。そして、
サージタンク32には高圧ポンプ50が設置されてお
り、この高圧ポンプ50によりガラスビーズ44が混合
された水40の噴射圧力を設定することができる。
【0034】この噴射装置30のフォーカシングチュー
ブ48からワークWの表面に対してガラスビーズ44が
混合された水40を噴射することにより、この表面にう
ねり16が形成された有摺接面部材10が得られる。う
ねり16が形成された表面が摺接面10aである。
【0035】具体的には、まず、図8に示すように、第
1工程S1および第2工程S2を経たワークWをフォー
カシングチューブ48の軸線に沿って配置する。
【0036】そして、高圧ポンプ50によりサージタン
ク32内の水40をチューブ34を介して噴射部36に
圧送し、さらにノズル部38を介してミキシングチャン
バ46に圧送するとともに、ホッパー42からガラスビ
ーズ44をミキシングチャンバ46に供給する。これに
より、水40とガラスビーズ44とがミキシングチャン
バ46において混合される。ガラスビーズ44が混合さ
れた水40は、フォーカシングチューブ48の先端に設
けられた噴出口48aから噴出され、ワークWに衝突す
る。
【0037】ここで、ガラスビーズ44の直径および該
ガラスビーズ44が混合された水40の噴出圧力は、ワ
ークWの表面に、Rc、SmおよびRkuが上記範囲内
であるうねり16が形成されるように設定される。具体
的には、ガラスビーズ44の直径が20〜100μmで
ある場合、該ガラスビーズ44が混合された水40の噴
射圧力は、60〜280MPaに設定される。噴射圧力
が60〜280MPaである際にガラスビーズ44の直
径が20μm未満であると、Rcが0.25μm未満の
うねりが形成されることがある。また、100μmを超
えると、凸部のRkuが5以上であるうねりや、Rcが
1.2μm以上のうねりが形成されることがある。一
方、ガラスビーズ44の直径が20〜100μmである
際に噴射圧力が60MPa未満であると、Rcが0.2
5μm未満のうねりが形成されることがある。また、2
80MPaを超えると、凸部のRkuが5以上であるう
ねりや、Rcが1.2μm以上のうねりが形成されるこ
とがある。
【0038】ガラスビーズ44がワークWに衝突する
と、ガラスビーズ44によってワークWの表面における
衝突箇所が研磨される。さらに、ワークWはガラスビー
ズ44よりも高硬度であるので、図9に示すように、こ
の衝突の際にはガラスビーズ44が破壊される。その破
壊片44aは、高圧の水40によりワークWの表面に押
圧される。その結果、該表面が破壊片44aによって研
磨される。また、ワークWの表面には高圧で噴射された
水40も衝突する。すなわち、該表面は、この水40に
よっても研磨される。
【0039】そして、上記したように、ガラスビーズ4
4の直径および該ガラスビーズ44が混合された水40
の噴射圧力は、Rc、SmおよびRkuが上記範囲内の
うねり16が形成されるように設定されている。したが
って、オイルの流動を妨げることのない摺接面10aを
有する有摺接面部材10を得ることができる。
【0040】浸炭焼き入れ処理された鋼からなる有摺接
面部材10の好適な例としては、内燃機関用クランクシ
ャフトまたは内燃機関用バランサシャフトを挙げること
ができる。有摺接面部材10が内燃機関用クランクシャ
フトである場合、クランクピンやジャーナルが摺接面1
0aとなる。一方、有摺接面部材10が内燃機関用バラ
ンサシャフトである場合、ジャーナルが摺接面10aと
なる。
【0041】このような内燃機関用クランクシャフト
(有摺接面部材10)のクランクピンやジャーナル(摺
接面10a)等は、従来技術に係る内燃機関用クランク
シャフトのクランクピンやジャーナル等に比して摩擦係
数が著しく小さい。このため、該内燃機関用クランクシ
ャフトを回転動作させるためのトルクが著しく小さくな
るので、内燃機関の燃料消費量を低減させることができ
る。しかも、このクランクピンやジャーナルにおいて
は、上記したようにオイルの流動が妨げられることがな
いので、内燃機関に焼き付きが生じることもない。
【0042】なお、有摺接面部材10は、自身が固定位
置決めされて所定の部材が移動することにより摺接面1
0aを介してこの部材に摺接される部材であってもよ
い。例えば、ベアリングであってもよい。
【0043】
【実施例】鋼からなるワークWに対して浸炭焼き入れ処
理を施した後に研削加工を行い、次いで、直径45μm
のガラスビーズ44が混合され、160MPaの噴射圧
力で噴射された水40を衝突させることにより、Rc=
0.45μm、Sm=55μm、Rku=3.3である
うねり16が形成されたクランクピンおよびジャーナル
を有する内燃機関用クランクシャフトを作製した。これ
を実施例とする。
【0044】比較のため、実施例と同様の浸炭焼き入れ
処理および研削加工が行われただけのクランクピンおよ
びジャーナルを有する内燃機関用クランクシャフトと、
実施例と同様の浸炭焼き入れ処理および研削加工が行わ
れ、さらに仕上げ加工が行われたクランクピンおよびジ
ャーナルを有する内燃機関用クランクシャフトを作製し
た。これらをそれぞれ比較例1、2とする。
【0045】実施例および比較例1、2の内燃機関用ク
ランクシャフトをそれぞれ使用して内燃機関を構成し、
各内燃機関用クランクシャフトを種々の回転数で回転動
作させ、その際の摩擦係数を測定した。結果を図10に
示す。この図10から、実施例の内燃機関用クランクシ
ャフトにおけるクランクピンやジャーナルの摩擦係数が
比較例1、2に比して著しく小さいこと、したがって、
この内燃機関用クランクシャフトを回転動作させるため
のトルクが小さいことが明らかである。
【0046】また、上記の回転試験が終了した後、各内
燃機関を分解して実施例および比較例1、2の各内燃機
関用クランクシャフトを観察したところ、いずれも焼き
付きが生じていないことが認められた。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る有摺
接面部材の製造方法によれば、平均凹凸高さ、平均凹凸
ピッチおよび尖りが所定の範囲内であるうねりを有する
摺接面が形成される。この摺接面においては、潤滑剤が
容易に流動するので、摺動部材がその摺動動作中に潤滑
剤からの反作用力を受けることがない。したがって、摺
動動作が妨げられることがないので、多大な駆動力を必
要とすることなく摺動部材を摺動動作させることができ
るという効果が達成される。また、この摺接面において
発生する摩擦熱は、速やかに潤滑剤へと伝達されるの
で、該摺接面に焼き付きが生じることが回避される。
【0048】有摺接面部材の好適な例としては、内燃機
関用クランクシャフトまたは内燃機関用バランサシャフ
トを挙げることができる。有摺接面部材が内燃機関用ク
ランクシャフトである場合、クランクピンやジャーナル
が摺接面となる。一方、有摺接面部材が内燃機関用バラ
ンサシャフトである場合、ジャーナルが摺接面となる。
【0049】上記したような摺接面を有する内燃機関用
クランクシャフトや内燃機関用バランサシャフトが組み
込まれて構成された内燃機関においては、該内燃機関用
クランクシャフトや内燃機関用バランサシャフトを回転
動作させるトルクが従来技術に係るこれらに比して小さ
くなる。このため、内燃機関の燃料消費量が低減され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】有摺接面部材の概略全体図である。
【図2】図1の有摺接面部材の摺接面の縦断面要部拡大
図である。
【図3】うねりと凹凸高さとの関係を示して平均凹凸高
さの定義を説明する説明図である。
【図4】うねりと凹凸ピッチとの関係を示して平均凹凸
ピッチの定義を説明する説明図である。
【図5】うねりの形状と尖りの値との関係を示して尖り
の定義を説明する説明図である。
【図6】本実施の形態に係る有摺接面部材の製造方法の
フローチャートである。
【図7】うねりの形状を示して最大高さの定義を説明す
る説明図である。
【図8】うねりを形成するための噴射装置の要部縦断面
概略構成図である。
【図9】ガラスビーズが表面に衝突して破壊された状態
を示す要部拡大説明図である。
【図10】実施例および比較例1、2の各内燃機関用ク
ランクシャフトを有する内燃機関の回転数と摩擦係数と
の相関関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…有摺接面部材 10a…摺
接面 12、20…凹部 14、2
2、22a…凸部 16、18…うねり 30…噴射
装置 40…水 44…ガラ
スビーズ 44a…破壊片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井手 晴夫 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 吉岡 勇三 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の部材に潤滑剤を介して摺接する摺接
    面に凹部と凸部とからなるうねりを有する有摺接面部材
    を製造する製造方法であって、 鋼からなるワークを浸炭焼き入れ処理する第1工程と、 浸炭焼き入れ処理された前記ワークを研削加工または研
    磨加工の少なくともいずれか一方を行う第2工程と、 研削加工または研磨加工の少なくともいずれか一方が施
    された前記ワークに対してガラスビーズが混合された液
    体を噴射してうねりを形成する第3工程と、 を備え、 前記うねりの基準長4mmにおける平均凹凸高さが0.
    25μm以上1.2μm未満、平均凹凸ピッチが20μ
    m以上130μm未満、尖りが5未満であることを特徴
    とする有摺接面部材の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法において、 前記研削加工または研磨加工の少なくともいずれか一方
    が施された面の基準長4mmにおける最大高さが1.0
    μm以下であることを特徴とする有摺接面部材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製造方法におい
    て、 前記ガラスビーズの直径が20〜100μmであり、該
    ガラスビーズが混合された液体の噴出圧力が60〜28
    0MPaであることを特徴とする有摺接面部材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造
    方法において、 前記有摺接面部材が内燃機関用クランクシャフトまたは
    内燃機関用バランサシャフトであることを特徴とする有
    摺接面部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114320653A (zh) * 2022-03-03 2022-04-12 潍柴动力股份有限公司 活塞、活塞加工方法及用于活塞的喷射工装

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