JP2001154313A - ポリビニルアルコールを含む写真要素用保護オーバーコート - Google Patents

ポリビニルアルコールを含む写真要素用保護オーバーコート

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JP2001154313A JP2000358131A JP2000358131A JP2001154313A JP 2001154313 A JP2001154313 A JP 2001154313A JP 2000358131 A JP2000358131 A JP 2000358131A JP 2000358131 A JP2000358131 A JP 2000358131A JP 2001154313 A JP2001154313 A JP 2001154313A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理液が浸透可能な耐水性保護オーバーコー
トを提供すること。 【解決手段】 a)支持体と、b)前記支持体の片面上
に重ねられたハロゲン化銀乳剤層と、c)前記ハロゲン
化銀乳剤層上に存在する、レイダウンが少なくとも0.
54g/m2(50mg/ft2)である処理液浸透性保
護オーバーコート、を含んでなる写真要素であって、前
記保護オーバーコートが、(i)ポリウレタン含有成分
を基準にして20〜100質量%の量のウレタンポリマ
ーと、ポリウレタン含有成分を基準にして0〜80質量
%の量の任意のビニルポリマーとを含んでなるポリウレ
タン含有成分と、(ii)ポリビニルアルコールの少な
くとも30質量%が写真処理の間に洗い落とされるよう
な重量平均分子量と加水分解度を有するポリビニルアル
コールを含んでなる写真要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、指紋、ふつうの汚
れ及びこぼれたものに耐える保護オーバーコートを有す
る写真要素に関する。より詳細には、本発明は、最終的
な処理された製品において耐水性の、処理液浸透性の保
護オーバーコートを提供する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真要素は親水性乳剤中に
感光性ハロゲン化銀を含む。ハロゲン化銀を光又は他の
化学線に露光し、そして露光されたハロゲン化銀を元素
状の銀に還元することによって、当該要素に画像を形成
する。
【0003】カラー写真要素において、幾つかの様々な
プロセスのうちの1つによるハロゲン化銀現像の結果と
して色素像が形成される。ハロゲン化銀現像の副生成物
である酸化されたハロゲン化銀現像主薬を、カプラーと
呼ばれている化合物と反応させて色素像を形成すること
が最も一般的である。次に、銀及び未反応のハロゲン化
銀を写真要素から除去して色素像を残す。
【0004】いずれの場合においても、画像の形成は、
水溶液による液体処理を一般的に伴う。この水溶液は、
写真要素の表面に浸透してハロゲン化銀及びカプラーと
接触する必要がある。従って、ゼラチン及び類似の天然
又は合成の親水性ポリマーがハロゲン化銀写真要素に一
般的に好ましいバインダーであることが分かっている。
残念なことに、ハロゲン化銀結晶と水性処理液との間の
接触を促進するようにゼラチン又は類似のポリマーを配
合した場合に、得られるコーティングの指紋や汚れに対
する抵抗性は、さまざまな機会にさまざまな状況でさま
ざまな人によって手で触れられる仕方で取り扱われるも
のにとって望まれるほどではない。従って、画像形成さ
れた要素に指紋の跡が永久的に残る場合がある。画像形
成された要素は、食品や飲物といった一般的家庭用品、
例えばコーヒーのこぼれたもので容易に汚れる。
【0005】水又は水溶液による損傷から画像を保護す
るゼラチン系写真システム用保護層を提供しようとする
試みが長年にわたってなされている。米国特許第2,1
73,480号明細書には、乾燥前の写真処理の最終工
程として、湿ったフィルムにコロイド懸濁液を適用する
方法が記載されている。写真処理後に画像上に保護層を
溶剤コーティングする方法が完成しており、多くの特許
文献、例えば米国特許第2,259,009号、第2,
331,746号、第2,798,004号、第3,1
13,867号、第3,190,197号、第3,41
5,670号及び第3,733,293号の各明細書に
記載されている。より最近の米国特許第5,376,4
34号明細書には、画像を有するゼラチン含有層上にラ
テックスを塗布し乾燥させることにより写真プリント上
に形成された保護層が記載されている。このラテックス
は、ガラス転移温度が30℃〜70℃の間にある樹脂で
ある。もう1つ別の種類の保護コーティングは、処理さ
れた画像上に紫外線重合性モノマー及びオリゴマーを適
用し、その後に放射線露光して架橋保護層を形成させる
ことを伴い、これは米国特許第4,092,173号、
第4,171,979号、第4,333,998号及び
第4,426,431号の各明細書に記載されている。
上記溶剤コーティング法及び放射線硬化法には、コーテ
ィング作業者に対する化学薬品又は放射線に関係する健
康上及び環境上の問題がある。もう1つの欠点は、処理
工程後に写真材料をコートする必要があることである。
従って、処理装置を変更し、処理作業を行う人員を保護
コーティングが適用できるように訓練を受けている必要
がある。
【0006】様々なラミネーション技術が周知であり産
業界で実践されている。米国特許第3,397,980
号、第3,697,277号及び第4,999,266
号の各明細書には、処理された画像上に保護層としてポ
リマーシートフィルムを貼り合わせる方法が記載されて
いる。米国特許第5,447,832号明細書には、高
Tgラテックスと低Tgラテックスの混合物を含む保護
層を、写真処理中にV 25層の帯電防止特性を保護する
耐水層として使用することが記載されている。しかしな
がら、この保護層は写真処理に有害な影響を及ぼすため
に、この保護層を画像形成層に適用することはできな
い。米国特許第3,443,946号は、粗面化した
(艶消し)引掻保護層を提供するものであるが、非透水
性又は防水性となるように作られたものではない。米国
特許第3,502,501号は、機械的損傷に対する保
護を提供することのみを意図したもので、当該層はその
大部分を占める親水性ポリマー材料を含むもので、処理
性を維持するためには、透水性でなくてはならない。米
国特許第5,179,147号明細書も同様に、防水性
でない層を提供するものである。
【0007】画像形成後に適用される必要のある保護コ
ーティング(幾つかは先に述べた通り)は、最終的な画
像形成された製品のコストを著しく高める。多くの特許
が、現像に先立って写真要素に適用できる耐水性保護コ
ーティングに関するものである。例えば、米国特許第
2,706,686号明細書には、耐水性及び耐指紋性
を付与する目的で、処理液に対して透水性の高い多孔質
層で感光性層を露光に先立ってコートすることにより写
真乳剤用のラッカー仕上げを形成することが記載されて
いる。処理後、ラッカー層を溶融し融着させて連続的な
不浸透性コーティングにする。ラッカーと除去可能な固
体増量剤(炭酸アンモニウム)の混合物をコーティング
し、そして処理の間に昇華又は溶解により増量剤を除去
することにより多孔質層が得られる。記載されているオ
ーバーコートは、有機溶剤中の懸濁液としてコートされ
るため、大規模適用には望ましくない。より最近になっ
て、Bohan等の米国特許第5,853,926号明細書
に、写真要素用の保護コーティングが開示された。この
保護コーティングの形成は、ポリマー粒子と軟質ポリマ
ーラテックスバインダーを含んでなる水性コーティング
の適用を伴う。このコーティングは、写真処理液の適切
な拡散を可能にし、露光及び処理後にコーティング作業
を必要としない。しかしながら、疎水性ポリマー粒子を
融着させて連続的かつ非透水性の保護コーティングを形
成させる必要がある。
【0008】写真要素の製造時に、画像形成された写真
要素の処理後耐水性/耐汚染性といった望ましい特性を
付与する能力は非常に望ましい特徴である。しかしなが
ら、この特徴を獲得するためには、所望とする写真要素
は、処理工程中に水溶液に対して浸透性であるが、処理
後に耐水性を獲得し、そしてさらには水との接触後に少
なくともいくらかの時間で非透水性をも獲得するもので
あるべきである。米国特許出願第09/235,436
号明細書には、酸官能基を有するウレタン−ビニルコポ
リマーを含む、処理液が浸透可能なオーバーコートの使
用が開示されている。しかしながら、そのようなポリマ
ーをコーティングすることに関わる制限に、耐久性から
望ましい付着量で、オーバーコートが、コーティングプ
ロセス中に形成される亀裂等の欠陥を示す傾向がある。
さらに、オーバーコートの存在は、下側の層に感光性乳
剤がある場合に、現像液の浸透速度及び反応速度のわず
かな減少をもたらし、結果として画質が変化する可能性
が大きくなる。米国特許出願第09/235,437号
明細書には、ゼラチン又はポリビニルアルコールのよう
な第2のポリマーを使用してそのような欠陥及び欠点を
減少させることが開示されている。米国特許出願第
号明細書には、相互貫入網目構造(interpenetrati
ng network)の形態にあるオーバーコートのポリウレタ
ン含有成分の利点が開示されている。
【0009】ポリウレタン上のペンダントカルボン酸基
をグラフト化のために使用するゼラチン−グラフト化ポ
リウレタンをさらにポリビニルアルコールとの組み合わ
せで含む保護コーティングを、写真要素の非乳剤側のオ
ーバーコートとして使用することが開示されている。例
えば、米国特許第5,910,401号及び第5,84
6,699号明細書を参照されたい。米国特許第5,8
46,699号明細書には、ポリウレタンと酸価60〜
260のカルボン酸含有ポリマーの混合物が、例えば写
真要素の裏側に、耐摩耗性等を付与することが開示され
ている。
【0010】ポリウレタン含有相互貫入網目構造が紙の
コーティングに使用されている。例えば米国特許第5,
177,128号明細書を参照された。しかしながら、
これらの特許明細書には、写真要素のハロゲン化銀乳剤
層上に適用される保護コーティングに少なくとも5の酸
価を有する1種又は複数種のポリウレタンを含んでなる
相互貫入ポリマーは開示されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、亀裂等の欠陥
を生じずにコートできると同時に下方の乳剤との現像液
の反応速度を著しく低下させないが、処理又は現像工程
後に耐水性及び耐久性のあるオーバーコートを提供する
写真要素用保護オーバーコートが依然として必要とされ
ており、そのような保護オーバーコートを得ることは非
常に望ましいであろう。さらに、露光前に写真要素に適
用できる商業的に実用的な耐水性コーティングであっ
て、現像中に透水性であるとともに融着工程を必要とせ
ずに最終製品において比較的非透水性となるものが必要
とされている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、現像液浸透写
真要素用オーバーコートであって、最終製品において耐
水性を提供する写真要素用オーバーコートに関する。例
えば、そのような写真要素は、支持体と、支持体上に重
ねられた少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層と、その
ハロゲン化銀乳剤層上に存在する現像液が浸透可能な保
護オーバーコートを含みうる。現像液が浸透可能なオー
バーコートは酸官能基を有するポリウレタン含有成分を
含んでなり、そのオーバーコートのポリウレタン含有成
分中のポリウレタンの質量割合は20〜100%であ
り、ポリウレタン含有成分中の任意選択のビニルポリマ
ーの質量割合は0〜80%である。すなわち、ポリウレ
タン含有成分はウレタンコポリマー(単独重合体)を含
んでなっていてもよく、またその代わりにポリウレタン
含有成分は、少なくとも1種のウレタンポリマーと少な
くとも1種のビニルポリマーの少なくとも2種のポリマ
ーを含んでなる相互貫入網目構造(IPN)又は準IP
N(semi-IPN)(すなわち、2つのポリマー分子には、
それらを連結する化学結合が本質的にない)からなって
いてもよい。
【0013】本発明によると、保護オーバーコートは、
さらに、ポリビニルアルコールの少なくとも約30質量
%が常用の写真処理、例えばRA処理の間に洗い落とさ
れるような重量平均分子量と加水分解度を有するポリビ
ニルアルコールを含んでなる。前記重量平均分子量(M
W)が100,000を超える場合に加水分解度が95
%未満であることを条件として、前記重量平均分子量は
約150,000以下であることが好適である。それら
の条件を満足するポリビニルアルコールが、改良された
生産性と処理性をもたらすことが見いだされた。特に、
ポリビニルアルコールの存在によって、コーティング及
び乾燥時のオーバーコートの亀裂生成が最低限に抑制さ
れるか又は防止され、写真現像操作は改善される。
【0014】本発明は、また、上記写真要素を使用して
写真プリントを作製する方法に関する。特に、当該写真
要素は、pHが7を超えるアルカリ性現像液中で現像さ
れる。これによって、現像液が保護コーティングに浸透
する。例えば漂白定着液中でpHを下げた後、保護オー
バーコートは比較的耐水性となる。本発明に係るポリビ
ニルアルコールの添加によって、この方法は容易とな
る。特に、特定の種類のポリビニルアルコールを選択す
ることで、処理中の表面の湿潤性が改良されると同時に
現像中により多くのポリビニルアルコールが洗い落とさ
れ、最終製品の耐水性はより高くなる。処理液浸透性オ
ーバーコートを融着する必要はないが、任意選択の融着
は耐水性をさらに改善しうる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、写真要素の耐水性を改
善する単純で費用のかからない方法を提供する。本発明
によれば、露光及び処理に先立って、写真要素上に保護
オーバーコートが適用される。特に、汚れ、こぼれ屑又
は指紋に対する抵抗性を改良するために、特別なオーバ
ーコート調製物を、最終消費者がしばしば手で触れたり
粗末に扱ったりする写真製品の乳剤側、特に写真プリン
トの乳剤側に適用する。写真要素は、支持体と、その支
持体上に存在する少なくとも1つの感光性層と、その感
光性層の支持体とは反対側にコートされた7を超えるp
Hで比較的透水性である酸価5以上のポリマーの連続層
を含んでなる。酸価が40以下であることが好ましく、
酸価が30以下であることがより好ましい。現像液のp
Hが8を超えていることが好ましく、9を超えているこ
とがより好ましい。
【0016】本発明のオーバーコート調製物は、良好な
フィルム形成性、良好な耐薬品性、耐摩耗性、靱性、弾
性及び耐久性等の都合のよい特性を提供するポリウレタ
ン分散体から誘導される。さらに、ポリウレタンは、高
い程度の引張強さ及び曲げ強さ並びに様々なオイルへの
抵抗性を示す。
【0017】本明細書で使用する、オーバーコートにつ
いての「ポリウレタン含有成分」なる用語は、少なくと
も2種のポリマー(そのうちの少なくとも1種はポリウ
レタンである)を含んでなるIPN及び準IPNに加え
て、分岐又は非分岐コポリマーも包含する。
【0018】IPNは、異種ポリマー間の共有結合又は
グラフトを実質的に伴わない(実質的に伴わなくてもよ
い)2種以上のポリマーの均質複合体である。むしろ、
これらのポリマー均質混合物は、それらポリマーのうち
の少なくとも1種を他のポリマーの存在下で合成した場
合に生成する永久的な絡み合いによりまとまっている。
IPN中のポリマーの分子相互貫入が通常存在するため
に、IPNはブレンドよりも相分離する傾向が低い。そ
のような相互貫入高分子網目構造系及びその開発は、L.
H. Sperlingによる"Interpenetrating Polymer Networ
ks and RelatedMaterials,"Plenum Press, New York, 1
981に、D. R. Paul及びL. H. Sperling編集"Multicompo
nent Polymer Materials"ACS Adv. In Chem. No. 211の
第21〜56ページに、そしてG. C. Eastmond, A. Ledwit
h, S. Russo及びP. Sigwalt編集“Comprehensive Polym
er Science”, Volume 6,"Polymer Reactions", Pergam
on Press, Elmsford, N.Y., 1989の第423〜436頁に記載
されている。理想的な構造は最適な相互貫入を伴うが、
実際には相分離が実際の分子相互貫入を制限する場合が
あると認識されている。IPNは、「相互貫入相」及び
/又は「相互貫入網目構造」を有するものと表すことが
できる。2種以上の構成成分の合成又は架橋が同時に起
こる場合、その系を同時(simultaneous)相互貫入網目
構造と呼ぶことができる。一方、合成及び/又は架橋が
別々に起こる場合、その系を逐次(sequential)相互貫
入網目構造と呼ぶことができる。構成要素である2種以
上のポリマーを密接に接触した状態で含んでなるポリマ
ー系であって、少なくとも1種のポリマーが架橋を施し
たものであり、そして少なくとも1種の他のポリマーが
線状であるものは準相互貫入高分子網目構造と呼ばれ
る。例えば、この種のポリマー系は、J. M. Sturge, V.
Walworth 及びA.Shepp編集"Imaging Processesand Mat
erials-Neblette's Eighth Eddition", Van Nostrand R
einhold, New York, 1989の第7章に開示されているよ
うな硬化した光重合可能な系で形成された。
【0019】本発明によると、オーバーコートのポリウ
レタン含有成分は、酸官能基のようなpH感受性基を含
み、5以上、好ましくは40以下の酸価、より好ましく
は30以下の酸価、最も好ましくは10〜25の酸価を
有する。オーバーコートを構成するポリウレタン含有成
分中のウレタン成分の質量割合は20%から100%ま
での間で変わる。この範囲は、ポリウレタン(単独)コ
ポリマーのみを包含する。ポリマー中の任意選択のビニ
ルポリマーの質量割合は0%から80%までの間で変わ
り、この範囲は、ビニルポリマーの量が実質的に0より
も大きい場合にウレタンポリマーとビニルポリマーの相
互貫入網目構造を包含する。
【0020】本発明の1つの態様において、ポリウレタ
ン含有成分は、ポリウレタンとビニルポリマーを含んで
なるIPN又は準IPNである。「ビニルポリマー」な
る用語は、エチレン系不飽和モノマーの反応生成物であ
る付加ポリマーを意味する。特に好ましいビニルポリマ
ーはアクリル樹脂である。ビニル樹脂、特にアクリル樹
脂は、良好な付着性、非黄変性といった長所を有し、高
光沢が得られるように調節でき、そしてガラス転移温度
が広範囲に及び、最低限のフィルム形成温度を有する。
ポリウレタンコポリマーの存在下でのビニルモノマーの
重合によって、同一のラテックス粒子中に相互貫入又は
準相互貫入網目構造粒子として2種のポリマーが存在
し、水、有機溶剤及び環境条件に対する改良された抵抗
性、改良された引張強さ及び弾性率がもたらされる。カ
ルボン酸基のような基の存在は、7よりも高いpHで処
理液がコーティングに浸透する通路を提供する。高pH
であってもオーバーコートが下方の支持体に対する良好
な付着性を有し、またオーバーコートの耐水性がより高
まるように、酸価が40以下に保たれることが好まし
い。
【0021】好ましいIPNは、相互に貫入しているポ
リウレタンとビニルポリマーを含んでなる。そのような
IPNは、2つのポリマー鎖間に本質的に化学結合が存
在しないにも関わらず、往々にして当業界でウレタン−
ビニルコポリマー又はハイブリッドコポリマーとも呼ば
れている。そのようなIPNは、ポリウレタンプレポリ
マー又は連鎖延長したポリウレタンの存在下で1種以上
のビニルモノマーを重合させることにより通常製造され
る。2種よりも多くのポリマーで構成することも可能で
あるし、ポリマー鎖の各々が分岐したものであっても線
状のものであってもよい。そのようなIPNにおいて、
ビニル成分に対するポリウレタン成分の質量比が1:2
0〜20:1であることが好適である。ビニル成分に対
するポリウレタン成分の好ましい質量比は約4:1〜約
1:4、より好ましくは約1:1〜1:4である。
【0022】本発明に係る保護オーバーコート層を形成
するためのコーティング組成物は、その中にフィルム形
成性バインダーを有する連続水性相を含んでなり、前記
バインダーが酸価5以上、好ましくは40以下、より好
ましくは30以下のポリウレタン含有成分を含んでなる
ものである。酸価は一般的に滴定により求められ、1g
のポリマーを中和するのに必要な水酸化カリウム(KO
H)のミリグラム数として定義される。
【0023】ポリウレタン含有成分(単独コポリマーの
場合)の水性分散液の調製は当該技術分野で周知であ
る。好ましい調製方法において、第1工程は、好適なジ
オール又はポリオールと化学量論的に過剰のジイソシア
ネート又はポリイソシアネートとの反応により中程度の
分子量のイソシアネート末端プレポリマーを形成する工
程である。次に、概して、連鎖延長に先立ってプレポリ
マー中に導入されたか又は連鎖延長剤の一部として導入
された水可溶化/分散基により水に分散させる。従っ
て、外部から添加される界面活性剤を使用せずに往々に
して小さな粒度の安定な分散体を生成させることができ
る。次に、水溶液中のプレポリマーを、ジアミン又はジ
オールを使用して連鎖延長にかけ、「十分に反応した」
ポリウレタンを形成させる。
【0024】ポリウレタン含有成分中にビニルポリマー
が存在する場合に、そのようなウレタン−ビニルIPN
コポリマーは、例えばポリウレタンプレポリマー又は連
鎖延長したポリウレタンの存在下で1種以上のビニルモ
ノマーを重合させることによい製造することができる。
ビニルモノマーに対する連鎖延長したポリウレタンの質
量比は先に述べたように約4:1〜約1:4であり、最
も好ましくは約1:1〜1:4である。
【0025】本発明のポリウレタン分散体の製造に有用
なポリオールとしては、1種以上のジオール(例えばエ
チレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ヘキサンジオール又はこれらのうちの任意
のものの混合物)と1種以上のジカルボン酸又はジカル
ボン酸無水物(コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マ
レイン酸及びこれらの酸の無水物)から製造されるポリ
エステルポリオール;カプロラクトンのようなラクトン
とジオールの反応により製造されるポリラクトンジオー
ル;ポリエステル化プロセス中にエタノールアミンのよ
うなアミノアルコール類を含めることにより製造される
ポリエステルアミド含有ポリオール;例えばエチレンオ
キシド、プロピレンオキシド又はテトラヒドロフランか
ら製造されるポリエーテルポリオール;ジオールとジア
リールカーボネートの反応により製造されるポリカーボ
ネートポリオール;並びにエチレン系不飽和モノマーか
ら製造されるヒドロキシル末端ポリオレフィンが挙げら
れる。そのようなポリオールの組み合わせも有用であ
る。後述するように、ポリシロキサンポリオールもポリ
ウレタンの形成に有用である。例えば、そのようなモノ
マーに関して、引用によりここにその記載が含まれてい
ることにするAndersonの米国特許第5,876,910
号明細書を参照されたい。本発明に対してポリエステル
ポリオールが好ましい。
【0026】プレポリマーの製造に有用なポリイソシア
ネートは、脂肪族であっても、芳香族であっても、芳香
族脂肪族であってもよい。好適なポリイソシアネートの
例には、以下に掲げるものの1種以上が含まれる:トル
エンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、2,
3−ジメチルエチレンジイソシアネート、1−メチルト
リメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレ
ンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソ
シアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシ
クロヘキシル)メタン、4,4’−ジイソシアナトジフ
ェニルエーテル、テトラメチルキシレンジイソシアネー
ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等。
メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)が好まし
い。
【0027】プレポリマーの好適な部分が、塩の形態に
あるか又はプレポリマー形成中若しくは後又は分散体の
形成中に好適な塩基性物質により好ましくは中和されて
塩を形成する少なくとも1種の比較的非反応性のペンダ
ントカルボキシル基も含むことも好ましい。これは、7
を超えるpHでオーバーコートを通り抜ける処理液の浸
透性と水への分散性を付与することを助ける。イソシア
ネート基と反応性であるとともにアニオンを形成するこ
とのできる基を有する好適な化合物としては、限定する
わけではないが、ジヒドロキシプロピオン酸、ジメチロ
ールプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸及びジヒドロ
キシ安息香酸が挙げられる。他の好適な化合物は、単糖
類、例えばグルコン酸、サッカリン酸、ムチン酸、グル
クロン酸等を酸化させることにより製造できるポリヒド
ロキシ酸である。そのようなカルボキシル含有反応物は
好ましくはα,α−ジメチロールアルカン酸、特に2,
2−ジメチロールプロピオン酸である。
【0028】前記酸を中和して水分散性を得るためのア
ニオン基を形成することに使用できる好適な第3級アミ
ンはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルア
ニリン、ジエチルアニリン、トリフェニルアミン等であ
る。
【0029】プレポリマーを場合に応じて連鎖延長する
のに好適な連鎖延長剤は、例えばポリオール、アミノア
ルコール、アンモニア、第1級又は第2級の脂肪族、芳
香族、脂環式芳香族脂肪族又は複素環式アミン、特にジ
アミンのような活性水素含有分子である。プレポリウレ
タンの連鎖延長に好適なジアミンとしては、エチレンジ
アミン、ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、
ヒドラジン、アミノエチルエタノールアミン等が挙げら
れる。
【0030】本発明の1つの態様に従うと、ポリウレタ
ンプレポリマー又は連鎖延長したポリウレタンの存在下
でビニル付加モノマーを重合させることによりウレタン
−ビニルIPNを製造することができる。ビニルモノマ
ー中のポリウレタンプレポリマーの溶液は、プレポリマ
ーを水中に分散させる前に、プレポリマーを1種以上の
ビニルモノマー中に溶解させることにより製造できる。
【0031】プレポリマーを溶解させることのできる好
適なビニルモノマーは、1つ以上の重合性のエチレン系
不飽和基を含む。好ましいモノマーはプレポリマー形成
の際の温度条件下で液体であるが、有機溶剤との併用で
固体モノマーを使用する可能性は除外されない。
【0032】本発明に有用なビニルポリマーとしては1
種以上のエチレン系不飽和モノマーを共重合させること
により得られるものが挙げられ、この1種以上のエチレ
ン系不飽和モノマーには、例えば、アクリル酸又はメタ
クリル酸のアルキルエステル、例えばメチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルア
クリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニ
ルアクリレート、ベンジルメタクリレート等;前記酸の
ヒドロキシアルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレート;前記酸
のニトリル及びアミド、例えばアクリロニトリル、メタ
クリロニトリル及びメタクリルアミド;ビニルアセテー
ト;ビニルプロピオネート;塩化ビニリデン;塩化ビニ
ル;並びにビニル芳香族化合物、例えばスチレン、t−
ブチルスチレン及びビニルトルエン;ジアルキルマレエ
ート、ジアルキルイタコネート、ジアルキルメチレンマ
ロネート、イソプレン及びブタジエン等が包含される。
カルボン酸基を含有する好適なエチレン系不飽和モノマ
ーとしては、アクリルモノマー、例えばアクリル酸、メ
タクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
フマル酸;モノメチルイタコネートモノエチルイタコネ
ート及びモノブチルイタコネートを包含するモノアルキ
ルイタコネート;モノメチルマレエート、モノエチルマ
レエート及びモノブチルマレエートを包含するモノアル
キルマレエート;シトラコン酸;並びにスチレンカルボ
ン酸が挙げられる。好適なポリエチレン系不飽和モノマ
ーとしては、ブタジエン、イソプレン、アリルメタクリ
レート、アルキルジオールのジアクリレート、例えばブ
タンジオールジアクリレート及びヘキサンジオールジア
クリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0033】当該技術分野で周知の技術を使用してプレ
ポリマー/ビニルモノマー溶液を分散させることができ
る。この溶液を、攪拌しながら水に添加することが好ま
しく、代わりに、攪拌しながらこの溶液に水を添加して
もよい。1種又は複数種のビニルモノマーの重合は、高
温で遊離基開始剤により引き起こされる。
【0034】過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム、過
硫酸カリウム等)、過酸化物(例えば過酸化水素、過酸
化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化第3
級ブチル等)、アゾ化合物(例えばアゾビスシアノ吉草
酸、アゾイソブチロニトリル等)及びレドックス開始剤
(例えば過酸化水素−鉄(II)塩、過硫酸カリウム−
硫酸水素ナトリウム等)等の任意の種類の遊離基を使用
できる。好ましい遊離基開始剤は、好ましくは油層に分
配するもの、例えばアゾ型開始剤である。当該技術分野
で周知の一般的な連鎖延長剤又はそれらの混合物、例え
ばアルキルメルカプタンを使用してポリマー分子量を制
御することができる。
【0035】様々な方法で重合を実施することができ
る。1つの方法において、ポリウレタンプレポリマーを
膨潤させるために、ビニルモノマー(同種又は異種のビ
ニルモノマー又はビニルモノマー混合物)の全てを添加
する。次に、その混合物を水中に分散させた後、油溶性
遊離基開始剤を使用してモノマーを重合させる。
【0036】第2の代法において、水中に分散させるこ
とに先立ってビニルモノマーのいくらかを添加してプレ
ポリマーを膨潤させる。重合プロセスの間にビニルモノ
マーの残りを系に供給する。他の方法としては、共重合
プロセスの間に全てのビニルモノマーを供給することが
挙げられる。
【0037】本発明を実施する際に使用されるポリウレ
タン含有成分の市販入手可能なものの幾つかの例には、
NeoResins (デラウェア州ウィルミントン所在)製のNe
oPac(商標)R-9000, R-9699及びR-9030、BF Goodrich
(オハイオ州アクロン所在)製Sancure(商標)AU401
0、並びにAir Products製のFlexthane(商標)620, 63
0, 790及び791がある。本発明を実施する際に有用な市
販入手可能なポリウレタン含有コポリマーの1つの例は
NeoRez(商標)R9679である。
【0038】本発明によれば、保護オーバーコートは、
先に述べたpH変換性ポリマーに加えて、選ばれた水溶
性ポリビニルアルコールを含んでなる。この選ばれたポ
リビニルアルコールは、亀裂がなく、かつ、下方に乳剤
がある場合の現像液の拡散速度を著しく低下させないコ
ーティングを生じる。同時に、選ばれたポリビニルアル
コールの使用によって、最終製品の耐水性は改良され
る。
【0039】本明細書において「ポリビニルアルコー
ル」なる用語は、ビニルアルコールのモノマー単位を主
構成要素として有するポリマーを意味する。ポリビニル
アルコールは、典型的には、ポリ酢酸ビニルの実質的な
加水分解により製造される。そのような「ポリビニルア
ルコール」としては、例えば、酢酸ビニルポリマーの酢
酸エステル部分を加水分解(鹸化)することにより得ら
れるポリマー(正確には、ビニルアルコールと酢酸ビニ
ルのコポリマーが形成されているポリマー)、並びにト
リフルオロビニルアセテートポリマーを鹸化することに
より得られるポリマー、ビニルホルメートポリマー、ビ
ニルピバレートポリマー、tert−ブチルビニルエーテル
ポリマー、トリメチルシリルビニルエーテルポリマー等
(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば
the Poval Society編集及びKobunshi Kankoukai出版
(日本)1992の“World of PVA"及びNagano等編集、Kob
unshi Kankoukai出版(日本)1981の“Poval")が挙げ
られる。ポリビニルアルコールにおける加水分解度(鹸
化度)は好ましくは少なくとも約70%、より好ましく
は少なくとも約80%である。加水分解度(百分率)
は、モル%を意味する。例えば、90%の加水分解度
は、ポリマーの全ての共重合したモノマー単位の90モ
ル%がビニルアルコール単位であるポリマーを意味す
る。全モノマー単位のその残りは、エチレン、酢酸ビニ
ル、ビニルトリフルオロアセテート及びそのようなコポ
リマーについて周知の他のコモノマー単位のようなモノ
マー単位からなる。
【0040】先に示したように、ポリビニルアルコール
は、最も典型的には、ポリ酢酸ビニルポリマーを加水分
解することにより製造される。加水分解度は、本発明に
係るオーバーコートに関する文脈で詳細に説明した巧み
な予想されなかった方式で、耐水性や耐久性等の多くの
物理的特性に影響を及ぼす。ポリビニルアルコールは、
様々なグレード及び加水分解度並びに分子量又は重合度
で様々な供給元から市販入手可能である。酢酸ビニルの
重合は、特に制限なく任意の周知の方法で実施できる。
通常、この重合は、溶剤としてメタノール、エタノール
又はイソプロパノール等のアルコールを使用して溶液重
合法で行われる。当然のことながら、乳化重合や懸濁重
合も適する。そのような溶液重合法では、酢酸ビニルモ
ノマーを、一度に、連続的に、断続的に又は任意の他の
方式で供給することができる。この溶液重合は、アゾビ
スイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾ
イル、過酸化ラウロイル又は他の周知の遊離基重合触媒
の存在下で行われる。重合温度は、約50℃から反応混
合物の沸点までの温度から選ばれる。酢酸ビニルを単独
重合させても、酢酸ビニルと共重合可能な他のモノマ
ー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マ
レイン酸又はモノアルキルマレエート等の不飽和カルボ
ン酸又はそのアルキルエステル;アクリロニトリル又は
メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メ
タクリルアミド等のアミド;エチレンスルホン酸、アリ
ルスルホン酸又はメタリルスルホン酸等のオレフィンス
ルホン酸又はその塩;酢酸ビニル以外のビニルエステ
ル;飽和分岐脂肪酸のビニルエステル;ビニルエーテ
ル;ビニルケトン;α−オレフィン;ハロゲン化ビニ
ル;ハロゲン化ビニリデン等と共重合させてもよい。他
の共重合可能なモノマーの量は、通常10モル%以下、
好ましくは5モル%以下である。
【0041】酢酸ビニルポリマーの加水分解は、酢酸ビ
ニルポリマーをアルコール中に溶解させ、そしてその溶
液にアルカリ触媒又は酸触媒を添加することにより実施
できる。使用されるアルコールには例えばメタノール、
エタノール及びブタノールである。アルコール溶液中の
酢酸ビニルポリマーの濃度は20質量%〜50質量%で
アル。アルカリ触媒の例には、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウ
ムエチラート、カリウムメチラート、及び他のアルカリ
金属水酸化物又はアルコラートがある。酸触媒の例に
は、例えば、塩酸又は硫酸のような無機酸、並びにp−
トルエンスルホン酸のような有機酸がある。そのような
触媒の量は、酢酸ビニル単位に対して1〜100ミリモ
ル当量であることが必要である。加水分解温度に特に制
限はないが、加水分解温度は通常10℃〜70℃、好ま
しくは30℃〜40℃から選ばれる。反応は通常2〜3
時間行われる。
【0042】本発明は、保護コート中に、ウレタンポリ
マーと組み合わせて、重量平均分子量(MW)が15
0,000未満、好ましくは100,000未満であ
り、加水分解度が70%を超えるポリビニルアルコール
を使用することを伴う。ただし、上記MWが100,0
00を超える場合には、加水分解度は95%未満、好ま
しくは90%以下である。一方、上記MWが100,0
00未満である場合には、加水分解度は95%以上10
0以下である。25,000〜75,000のMWを有
するポリビニルアルコールに対し、85〜90%の加水
分解度が好ましい。これらの条件に合うポリビニルアル
コールが改良された生産性と処理性をもたらすことが見
いだされた。特に、そのようなポリビニルアルコールの
存在によって、コーティング及び乾燥中の亀裂生成が最
低限に抑えられるか妨げられ、写真現像操作が改善さ
れ、処理中にコーティングは効率的に洗い落とされる。
コーティングを湿潤性の容易に処理可能なものにし、そ
して相当の量では、処理中にコーティングからゆっくり
とではなく直ちに出るために耐水性の最終製品を与える
ポリビニルアルコールが選ばれる。
【0043】本発明の1つの好ましい態様において、ポ
リビニルアルコールはポリウレタン含有コポリマーの1
〜60質量%、好ましくはポリウレタン−ビニルコポリ
マーの5〜50質量%、最も好ましくはポリウレタン含
有コポリマーの10〜45質量%の量でオーバーコート
中に存在する。ポリビニルアルコールの最適な量は、ポ
リウレタン含有成分の乾燥被覆量に依存する。例えば、
ポリウレタン含有コポリマーの被覆量が1.08g/m
2(100mg/ft2)以下である場合には、ポリウレ
タン含有成分の約20質量%以下のポリビニルアルコー
ルが良好な結果を与え、一方、より高い被覆量、例えば
1.88g/m2(175mg/ft2)では、約25質
量%を超えるポリビニルアルコールが比較的良好な結果
を与える。
【0044】前述のように、選ばれたポリビニルアルコ
ールの保護オーバーコートにおける使用によって、改良
された生産性及び処理性がもたらされる。特に、ポリビ
ニルアルコールの存在によって、コーティング及び乾燥
中のオーバーコートの亀裂生成が最低限に抑えられるか
妨げられると同時に、写真現像操作が改善される。さら
に、写真要素の処理中に洗い落とされるPVAの量は増
加し、その結果、高耐水性の最終製品が得られる。
【0045】ポリウレタン含有ポリマー及びポリビニル
アルコールに加えて他のポリマーを、好適にはポリウレ
タン含有成分の約25質量%以下の量で場合に応じて存
在させることができる。例えば、添加してよい任意の追
加の水溶性ポリマーの例としては、セルロースエーテル
及びそれらの誘導体、n−ビニルアミド、官能化ポリエ
ステル、ポリエチレンオキシド、スターチ、ゼラチン、
ホエー及びアルブミン等のタンパク質、ポリアクリル酸
及びその同族体、アルギン酸塩、ガム等が挙げられる。
そのような材料は、Robert l. Davidsonによる“Handbo
ok of Water-Soluble Gums and Resins"(McGraw-Hill B
ook Company, 1980)又はBruno Jirgensonsによる“Orga
nic Colloids"(Elsvier Publishing Company, 1958)に
記載されている。
【0046】任意の非水溶性ポリマーを使用してポリウ
レタン含有成分を補うことができ、そのような非水溶性
ポリマーとしてBohen等の米国特許第5,853,92
6号明細書に記載されているポリ塩化ビニル等が挙げら
れる。
【0047】場合に応じて、本発明に係るコーティング
組成物は、ポリウレタン含有成分中の酸基を架橋させる
のに好適な架橋剤を含んでもよい。そのような添加剤
は、下方の支持体に対するオーバーコート層の付着性を
改良するとともに層の凝集強さを高める寄与を果たす。
架橋剤、例えばエポキシ化合物、多官能性アジリジン
類、メトキシアルキルメラミン類、トリアジン類、ポリ
イソシアネート類、カルボジイミド類、多価金属カチオ
ン等の全てを考慮に入れる。架橋剤を添加したら、過剰
の架橋剤は処理液の浸透性を低下させるために、過剰量
を使用しないように注意を払う必要がある。ポリウレタ
ン含有成分と任意の追加のポリマーとの混合物に架橋剤
を添加することができる。好ましい架橋剤は多官能性ア
ジリジン架橋剤である。
【0048】ポリマーオーバーコートはクリヤー、すな
わち透明であるのがよく、好ましくは無色である。しか
しながら、構成又はオーバーコートを通して画像を見る
ことに悪影響を及ぼさない限り、色補正のため又は特別
な効果を得るためにポリマーオーバーコートにある色を
持たせることができる。従って、色又は色味を付与する
色素をポリマーに含めることができる。さらに、オーバ
ーコートに様々な特性を付与する添加剤をポリマーに含
めてもよい。例えば、オーバーコートを紫外線吸収性に
して紫外線により誘発される退色から画像を保護するた
めに、紫外線吸収剤をポリマーに含めることができる。
個々の層の機能に応じて他の化合物をコーティング組成
物に含めることができる。そのような化合物としては、
界面活性剤、乳化剤、コーティング助剤、滑剤、艶消粒
子、レオロジー調節剤、架橋剤、カブリ防止剤、無機充
填剤、例えば導電性及び非導電性金属酸化物粒子、顔
料、磁性粒子、殺生物剤等が挙げられる。コーティング
組成物は、少量の有機溶剤を含んでもよい。好ましくは
有機溶剤の濃度は全コーティング組成物の1質量%未満
である。本発明は、揮発性有機溶液から又はポリマーの
メルトから望ましいポリマー材料をコーティングするこ
とを除外するものではない。
【0049】コーティング助剤の例としては、界面活性
剤、粘度調節剤等が挙げられる。界面活性剤には、コー
ティング調製物の表面張力を、周縁撤退(edge-withdra
wal)、忌避性、及び他のコーティング欠陥を抑制する
のに十分に低下させる任意の表面活性作用のある物質が
包含される。これらには、アルキルオキシポリエーテル
若しくはアルキルオキシポリグリシドール誘導体又はア
ルキルフェノキシポリエーテル若しくはアルキルフェノ
キシポリグリシドール誘導体及びそれらのスルフェー
ト、例えばOlin Matheson Corporationから入手可能な
ノニルフェノキシポリ(グリシドール)又はオクチルフ
ェノキシポリ(エチレンオキシド)スルフェート、有機
スルフェート又はスルホネート、例えばドデシル硫酸ナ
トリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ナトリウム
ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート(Aero
sol OT)、並びにアルキルカルボキシレート塩、例えば
デカン酸ナトリウムが包含される。
【0050】オーバーコートの表面特性は、連続相を形
成するポリマーの物理的特性、固体の非溶融性粒子の存
在又は不在に大部分依存する。しかしながら、オーバー
コートの表面特性は、表面を場合に応じて溶融させる条
件によっても調節できる。例えば、接触融着では、ポリ
マーを溶融させて連続オーバーコート層を形成すること
に使用される融着要素(fusing element)の表面特性
は、望ましい平滑度、テクスチャー又はパターンを要素
の表面に付与するように選ぶことができる。すなわち、
非常に滑らかな融着要素は、画像形成された要素に光沢
表面を与え、きめの粗い融着要素は、無光沢表面、さも
なくばきめの粗い表面を要素に与え、パターン化された
融着要素は要素の表面にパターンを与える。
【0051】当該技術分野で周知の艶消粒子を本発明の
コーティング組成物に使用してもよく、そのような艶消
剤はリサーチディスクロージャー(Research Disclosur
e)、No.308119(1989年12月出版)、第
1008〜1009頁に記載されている。ポリマー艶消
粒子が使用される場合には、コートされた層に対する艶
消粒子の付着性を高めるために、そのポリマーは分子間
架橋により又は架橋剤との反応によりバインダーポリマ
ーと共有結合を形成することのできる反応性官能基を含
んでもよい。好適な反応性官能基としては、ヒドロキシ
ル、カルボキシル、カルボジイミド、エポキシド、アジ
リジン、ビニルスルホン、スルフィン酸、活性メチレ
ン、アミノ、アミド、アリル等が挙げられる。
【0052】本発明に係る写真要素の滑り摩擦を減少さ
せるために、ウレタン−ビニルコポリマーは、フッ素化
成分又はシロキサン系成分を含んでよく、及び/又はコ
ーティング組成物は滑剤又は滑剤の組み合わせを含んで
もよい。典型的な滑剤として以下のものが挙げられる:
(1)例えば米国特許第3,489,567号、第3,
080,317号、第3,042,522号、第4,0
04,927号及び第4,047,958号並びに英国
特許第955,061号及び第1,143,118号の
各明細書に開示されているシリコーン系材料;(2)米
国特許第2,454,043号、第2,732,305
号、第2,976,148号、第3,206,311
号、第3,933,516号、第2,588,765
号、第3,121,060号、第3,502,473
号、第3,042,222号及び第4,427,964
号並びに英国特許第1,263,722号、第1,19
8,387号、第1,430,997号、第1,46
6,304号、第1,320,757号、第1,32
0,565号及び第1,320,756号の各明細書に
開示されている高級脂肪酸及びそれらの誘導体、高級ア
ルコール及びそれらの誘導体、高級脂肪酸の金属塩、高
級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸の多
価アルコールエステル等;(3)液状パラフィン及びパ
ラフィン又はワックス様物質、例えばカルナバワック
ス、天然及び合成ワックス、石油ワックス、ミネラルワ
ックス、シリコーン−ワックスコポリマー等;(4)ポ
リ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(トリフルオロク
ロロエチレン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(トリフ
ルオロクロロエチレン−co−塩化ビニル)、ペルフル
オロアルキル側基を含むポリ(メタ)アクリレート又は
ポリ(メタ)アクリルアミド等の、ペルフルオロ含有物
質又はフルオロ含有物質又はフルオロクロロ含有物質。
本発明に有用な滑剤は、リサーチディスクロージャー、
No.308119(1989年12月)、第1006
頁にさらに詳しく記載されている。
【0053】本発明において使用される支持体材料は、
様々なポリマーフィルム、紙、ガラス等を含むことがで
きる。支持体の厚さは重要ではない。厚さ0.0508
〜0.381mm(0.002〜0.015インチ)の
支持体を使用することができる。二軸延伸支持体積層体
を本発明に使用することができる。これらの支持体は、
一般譲渡された米国特許第5,853,965号、第
5,866,282号、第5,874,205号、第
5,888,643号、第5,888,681号、第
5,888,683号及び第5,888、714号の各
明細書に開示されている。これらの明細書の開示は、引
用によりここに含まれていることにする。これらの支持
体は、紙ベースと、その紙ベースの片面又は両面に貼り
合わされた二軸延伸ポリオレフィンシート、典型的には
ポリプロピレンを含む。少なくとも1層の感光性ハロゲ
ン化銀層が二軸延伸ポリオレフィンシートに適用され
る。
【0054】本発明のコーティング組成物は、多くの周
知技術のうちの任意のもの、例えばディップコーティン
グ、ロッドコーティング、ブレードコーティング、エア
ナイフコーティング、グラビアコーティング及びリバー
スロールコーティング、押出コーティング、スライドコ
ーティング、カーテンコーティング等により適用でき
る。コーティング後、一般的に、単なる蒸発により層を
乾燥させる。この乾燥は、対流加熱のような周知の技術
により促進することができる。周知のコーティング及び
乾燥方法は、リサーチディスクロージャー、No.30
8119(1989年12月)、第1007〜1008
頁にさらに詳しく記載されている。好ましくは、商用の
態様は同時押出を伴う。
【0055】オーバーコートのレイダウンは、その適用
領域に依存する。写真要素に関し、ポリウレタン含有コ
ポリマーのレイダウンは好適には少なくとも0.54g
/m 2(50mg/ft2)、好ましくは1.08〜5.
38g/m2(100〜500mg/ft2)、最も好ま
しくは1.61〜3.23g/m2(150〜300m
g/ft2)である。現像性を向上させるために、レイ
ダウンの増加につれてオーバーコート中のポリビニルア
ルコールの量を増加させることが都合よい場合がある。
【0056】支持体にコーティング組成物を適用した
後、コーティング組成物を好適な時間、例えば2〜4分
間乾燥させてよい。亀裂が生成する場合、特にポリビニ
ルアルコールの割合が低い場合又は代替のフィルム形成
性ポリマーを使用する場合に亀裂が生成する場合、乾燥
工程の温度及び/又は湿度を調節してこの亀裂生成の問
題を解消又は抑制することが都合よいであろう。理論に
束縛されるわけではないが、一定の加水分解度でポリビ
ニルアルコールの割合が高いほど、乾燥中のポリビニル
アルコールの水の放出を妨げる傾向が減少すると考えら
れる。これは、その他の状況では、過度に短時間のフィ
ルム形成及び乾燥の場合に起こりうる。すなわち、本発
明の1つの態様に従うポリビニルアルコールは、フィル
ム形成を遅らせることによって、乾燥中の水の放出を可
能にする。水の放出が妨げられる場合には、オーバーコ
ートの均質性に悪影響が及ぶ場合がある。
【0057】写真要素は、特定の写真要素についての要
件に応じて様々な構成のうちの任意の構成をとっている
多層写真要素に組み込まれた導電性層を含むことができ
る。好ましくは、導電性層は、写真層とは反対側の支持
体上にある磁気記録層の下にある下引き層又はつなぎ層
として存在する。しかしながら、オーバーコート後の導
電性層の抵抗率の増加を最低限に抑えるために、導電性
層に透明磁気記録層以外の層(例えば耐摩耗性バッキン
グ層、カール調節層、ペロイド(pelloid)等)をオーバ
ーコートすることができる。さらに、支持体の同じ側に
写真層として又は支持体の両側に追加の導電性層を備え
ることもできる。任意の導電性下引き層を、ハレーショ
ン防止色素又は顔料を含有するゼラチン下引き層の下方
又は上方に適用してもよい。代わりに、ハレーション防
止機能と帯電防止機能の両方を、導電性粒子、ハレーシ
ョン防止色素及びバインダーを含有する1つの層に併せ
持たせることもできる。そのようなハイブリッド層は、
典型的には支持体の同じ側に増感乳剤層としてコートさ
れる。追加の任意の層が存在してもよい。追加の導電性
層を写真要素としての最外層として、例えば画像形成層
の上にある保護層として使用することができる。増感乳
剤層上に導電性層が適用される場合には、バリヤー層や
接着促進層のような任意の中間層を導電性オーバーコー
ト層と写真層の間に適用する必要はないが、それらは場
合に応じて存在していてもよい。他の添加剤、例えば寸
法安定性を改善するポリマー格子、硬膜剤又は架橋剤、
界面活性剤、艶消剤、滑剤及び様々な他の周知の添加剤
が、上記層の任意のもの又は全てに存在していてもよ
い。
【0058】透明磁気記録層の下にある導電性層は典型
的には1×1010オーム/スクエア未満、好ましくは1
×109オーム/スクエア未満、より好ましくは1×1
8オーム/スクエア未満の内部抵抗率を示す。
【0059】本発明の写真要素は、構造及び組成の点で
幅広く変えることができる。例えば、支持体の種類、画
像形成層の数及び組成、並びに写真要素に含まれる補助
層の数及び種類の観点で多様に変えることができる。特
に、写真要素は、スチルフィルム、映画フィルム、X線
フィルム、グラフィックアートフィルム、ペーパープリ
ント又はマイクロフィッシュであることができる。リサ
ーチディスクロジャー、アイテム36230(1994
年6月)に記載されているようなスモールフォーマット
フィルムに本発明の導電性層を使用することも特に考え
られる。写真要素は、単純な黒白又はモノクローム要素
であっても、ネガーポジプロセス又はリバーサルプロセ
スでの使用に向くように作られた多層及び/又は多色要
素であってもよい。一般的に、写真要素は、フィルム支
持体の片面に、ゼラチン水溶液中にハロゲン化銀結晶の
分散体を含む1層以上の層と場合に応じて1層以上の下
引き層をコーティングすることにより製造される。コー
ティングプロセスは、1つの層又は複数の層を支持体に
適用する連続運転塗布機で行うことができる。多色要素
に関し、米国特許第2,761,791号及び第3,5
08,947号明細書に記載されているように複合フィ
ルム支持体に複数の層を同時にコートすることができ
る。さらなる有用なコーティング及び乾燥手法はリサー
チディスクロージャー、Vol. 176, アイテム17643
(1978年12月)に記載されている。
【0060】本発明に従って保護される写真要素は、黒
白要素(例えば銀像を生じるもの、又は色素形成カプラ
ーの混合物から中性色調画像を生じるもの)、単色要素
又は多色要素であることができるハロゲン化銀写真要素
から得られるものであってよい。多色要素は典型的に
は、スペクトルの3つの主領域のそれぞれに感じる色素
像形成ユニットを含む。画像形成された要素は、ネガテ
ィブフィルム像、リバーサルフィルム像及び映画プリン
トのように透過によって見る画像形成された要素であっ
ても、ペーパープリントのように反射によって見る画像
形成された要素であってもよい。ペーパープリント及び
映画プリントの場合に出くわす処理量のために、これら
の写真要素は本発明における使用に好ましい画像形成さ
れた写真要素である。
【0061】画像形成された要素に本発明に従ってオー
バーコートを適用する主な目的は物理的損傷から要素を
保護することであるが、オーバーコートの適用は退色又
は黄変から画像を保護することもできる。このことは、
特に、酸素の作用により退色又は黄変を受けやすい画像
を含む要素についていえる。例えば、ピラゾロン及びピ
ラゾロアゾールカプラーから誘導された色素の退色は、
少なくとも部分的には酸素の存在によって起こると考え
られているため、要素への酸素の透過に対してバリヤー
として機能するオーバーコートの適用はそのような退色
を抑制する。
【0062】保護しようとする画像が形成される写真要
素は、リサーチディスクロージャー37038及び38
957に示されている構造及び構成要素を有することが
できる。本発明において有用な他の構造が、一般譲渡さ
れた米国特許出願第09/299,395号(1999
年4月26日出願)及び米国特許出願第09/299,
548号(1999年4月26日出願)の各明細書に開
示されている。これらの開示は、引用によりここに含ま
れていることにする。具体的な写真要素は、リサーチデ
ィスクロージャー37038の第96〜98頁にカラー
ペーパー要素1及び2として示されているものであるこ
とができる。典型的な多色写真要素は、少なくとも1種
のシアン色素形成カプラーを関連して有する少なくとも
1つの赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含んでなるシアン色
素像形成ユニットと、少なくとも1種のマゼンタ色素形
成カプラーを関連して有する少なくとも1つの緑感性ハ
ロゲン化銀乳剤層を含んでなるマゼンタ色素像形成ユニ
ットと、少なくとも1種のイエロー色素形成カプラーを
関連して有する少なくとも1つの青感性ハロゲン化銀乳
剤層を含んでなるイエロー色素像形成ユニットを支持す
る支持体を含む。
【0063】本発明の要素は、追加の層、例えばフィル
ター層、中間層、オーバーコート層、下引き層等を含ん
でいてもよい。透明(例えばフィルム支持体)であって
も反射性(例えばペーパー支持体)であってもよい支持
体上にこれらの全てをコーティングすることができる。
本発明に従って保護される写真要素は、リサーチディス
クロージャー、アイテム34390(1992年11
月)に記載されているような磁気記録材料、又は米国特
許第4,279,945号及び第4,302,523号
の各明細書に記載されているような透明支持体の下側に
磁性粒子含有層のよな透明磁気記録層を含んでもよい。
【0064】好適なハロゲン化銀乳剤及びそれらの調製
並びに化学増感及び分光増感方法はリサーチディスクロ
ージャー37038及び38957の第I〜V章に記載
されている。他にも、引用によりその開示がここに含ま
れていることにする米国特許出願第09/299,39
5号(1999年4月26日出願)及び米国特許出願第
09/299,548号(1999年4月26日出願)
に記載がある。カラー材料及び現像調節剤はリサーチデ
ィスクロージャー37038及び38957の第V〜X
X章に記載されている。ビヒクルはリサーチディスクロ
ージャー37038及び38957の第II章に記載さ
れており、そして種々の添加剤、例えば増白剤、カブリ
防止剤、安定化剤、光吸収剤及び散乱剤、硬膜剤、コー
ティング助剤、可塑剤、滑剤及び艶消剤はリサーチディ
スクロージャー37038及び38957の第VI〜X
章及び第XI〜XIV章に記載されている。処理方法及
び処理剤はリサーチディスクロージャー37038及び
38957の第XIX〜XX章に記載されており、露光
方法はリサーチディスクロージャー37038及び38
957の第XVI章に記載されている。
【0065】写真要素は、典型的には、乳剤の形態にあ
るハロゲン化銀を具備する。写真乳剤は一般的に、乳剤
を写真要素を構成する1つの層としてコーティングする
ためのビヒクルを含む。有用なビヒクルとしては、天然
に産出する物質、例えばタンパク質、タンパク質誘導
体、セルロース誘導体(例えばセルロースエステル)、
ゼラチン(例えば、牛骨又は皮ゼラチンのようなアルカ
リ処理ゼラチン又は豚皮ゼラチンのような酸処理ゼラチ
ン)、ゼラチン誘導体(例えば、アセチル化ゼラチン、
フタル酸化ゼラチン等)が挙げられる。親水性透水性コ
ロイドもビヒクル又はビヒクルエキステンダーとして有
用である。親水性透水性コロイドとしては、合成ポリマ
ー解膠剤、キャリヤー、及び/又はバインダー、例えば
ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルラクタム)、
アクリルアミドポリマー、ポリビニルアセタール、アル
キルアクリレート及びアルキルメタクリレート並びにス
ルホアルキルアクリレート及びスルホアルキルメタクリ
レートのポリマー、加水分解したポリビニルアセテー
ト、ポリアミド、ポリビニルピリジン、メタクリルアミ
ドコポリマー等が挙げられる。
【0066】写真要素は、種々の技術を使用して像様露
光される。典型的な露光は、スペクトルの可視領域内の
光を暴露するものであり、典型的にはレンズを通してラ
イブ像を露光するものである。露光は、発光素子(例え
ばLED、CRT等)による保存画像(例えばコンピュ
ーター保存画像)であってもよい。
【0067】例えばT. H. James 編集のThe Theory of
the Photographic Process, 4th Edition, Macmillan,
New York, 1977に記載されている多くの周知の処理用組
成物のうちの任意のものを使用して多くの周知の写真処
理法のうちの任意の方法により、写真要素において画像
を現像することができる。カラーネガティブ要素を処理
する場合に、発色現像液(すなわちカラーカプラーによ
り発色画像色素を形成するもの)により要素を処理し、
次に酸化剤及び溶剤により処理して銀及びハロゲン化銀
を除去する。カラーリバーサル要素を処理する場合に、
黒白現像液(すなわち、カプラー化合物により発色色素
を形成しない現像剤)によりまず処理し、続いて現像可
能な未露光ハロゲン化銀(通常、化学又は光カブリ)に
処理し、続いて発色現像液により処理する。現像に続い
て銀又はハロゲン化銀を除去するための漂白−定着が行
われ、洗浄、次いで乾燥が行われる。
【0068】本発明に係る組成物の使用方法の1つの態
様では、支持体上に重ねられたハロゲン化銀乳剤層の上
に現像液が浸透可能なオーバーコートであって、上記の
組成を有するものを写真要素に備えることができる。写
真要素は、pHが7を超える、好ましくは8を超える、
より好ましくは9を超えるアルカリ性現像液中で現像さ
れる。これによって、現像液が保護コーティングに浸透
する。pHを下げた後、例えば漂白定着液中で、保護オ
ーバーコートは比較的耐水性になる。本発明の1つの態
様に係るポリビニルアルコールの添加によって、この方
法は促進される。ポリビニルアルコールが処理中の表面
の湿潤性を改善すると同時に処理中にポリビニルアルコ
ールのいくらかが洗い落とされて、最終製品の耐水性が
より向上することが見いだされた。最終製品において親
水性ポリマーが失われて比較的耐水性となるように、原
量の好適には少なくとも30%、好ましくは50を超え
る、より好ましくは75%を超えるオーバーコート中の
ポリビニルアルコール(PVA)が、露光された写真要
素の処理中に洗い落とされる。処理液浸透性オーバーコ
ートが溶融性である必要はないが、任意の融着は耐水性
をさらに改善する場合がある。
【0069】本発明に係るオーバーコート層は、水性の
こぼれたもの、指紋、退色及び黄変に対する優れた抵抗
性を含む優れた物理的特性とともに、引っ掻き、摩耗、
ブロッキング及びフェロタイプ処理に対する抵抗性を提
供するのに必要な強靱さや優れた透明性を与えるため
に、写真プリントで使用することに特に都合よい。処理
工程で化学薬品を実質的に変えたり添加したりせずに、
処理後に必要であればポリマーオーバーコートを融着
(熱及び/又は圧力)によりさらに融合させて、優れた
光沢特性を備えた十分に非透水性の保護オーバーコート
を形成してもよい。任意の溶融は、25〜175℃の温
度で行うことができ、圧融着の場合にはより低い温度で
行うことができる。
【0070】
【実施例】本発明を以下の例により例示する。特に断ら
ない限り、ここに示されている分子量は、後述するサイ
ズ排除クロマトグラフィーにより求められた重量平均分
子量である。P1と呼ぶウレタン−アクリル「コポリマ
ー」(2種のポリマーの相互貫入網目構造)を以下に述
べるように合成した。このポリマーの酸価は11であっ
た。試験したポリビニルアルコール(PVA)は以下の
通りである:Air Productsから入手した87〜89%加
水分解した(加水分解したとは、単量体単位中のアセテ
ート基がヒドロキシル基に転化したことを意味する)V
1(Airvol(商標)203)、V2(Airvol(商標)205)
及びV3(Airvol(商標)523);V4(88%加水分
解したもの、Acros Organics(ニュージャージー州所
在)から購入);V5,V6,C7及びC8(98〜9
9%加水分解、Aldrich から購入);並びにV9(これ
もAldrichから購入、80%加水分解)。これらのPV
Aの全ての平均分子量を下記表3に示す。酸含有ウレタ
ン−ビニルコポリマーのための架橋剤、すなわちCX100
(多官能性アジリジン)をNeo Resins(Aveciaの一部
門) から入手した。
【0071】ポリマーP1の合成 乾燥した反応器に96gのジオール(Millester(商
標)9-55、MW2000、Polyurethane Corporation o
f America製)、87gのメチレンビス(4−シクロヘ
キシル)イソシアネート(Desmodur(商標)W)及び
0.02gのジブチル錫ジラウレート(Aldrich)を添
加した。混合物をアルゴンブランケットのもと94℃で
90分間攪拌し、その後に14gのジメチロールプロピ
オン酸を反応器に添加し、そして混合物を94℃で1.
5時間攪拌した。この時点で24gのメチルメタクリレ
ートを添加し、同じ温度で1時間攪拌した。得られたプ
レポリマーを40℃未満に冷却し、113gのn−ブチ
ルアクリレート、183gのメチルメタクリレート及び
5gのアセトアセトキシエチルメタクリレートからなる
ビニルモノマー混合物中に溶解させ、次いで、11gの
トリエチルアミン及び2.5gの開始剤(AIBN)に
より処理した。この混合物に、1000mlの脱酸素水
を添加し、そして20gの水中に存在する10gのエチ
レンジアミンを添加した。分散体を65℃に加熱し、そ
の温度で2時間撹拌し、そしてさらに80℃で10時間
加熱した。ウレタンアクリルコポリマーの得られた分散
体を、酸価11のポリマーP1として使用した。
【0072】下記表1及び2に記載の配合に従う感光性
乳剤を予めコートした紙の上に、上記保護オーバーコー
トの全てをコートした。幾つかの場合に、層6上にコー
ティングを直接作製した。ゼラチン含有層を、全ゼラチ
ン質量の1.95%のビス(ビニルスルホニルメチル)
エーテルによりゼラチン含有層を硬化させた。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】分子量の測定 報告する重量平均分子量は、試料のプルラン当量分子量
分布から得られたものである。Jordi Gel GBR混合床カ
ラムを使用し、0.01Mの硝酸リチウムを含むジメチ
ルスルホキシド(DMSO)中でサイズ排除クロマトグ
ラフィー(SEC)により試料を分析した。カラムセッ
トを、MW5,900(logM=3.77)〜MW7
88,000(logM=5.90)の間で分子量分布
の狭いプルラン標準により校正した。結果をプルラン当
量分子量としてプロットし、数平均分子量(Mn)、重
量平均分子量(Mw)及びz平均分子量(Mz)を各プロ
ットから求めた。プロットの縦座標“Wn(log
M)”は、対数スケールで一定分子量のポリマーの質量
分率に比例すると見なした。軸のばらつきのために、分
布及び分子量平均は補正しなかった。
【0080】PVAの求められた重量平均分子量及び製
造業者が見積もった平均分子量を下記表3に示す。製造
業者が見積もった平均分子量は、商用生産サンプリング
に基づくものであろう。製造業者の仕様書がないと、こ
れらの分子量は数平均分子量に対応する場合も対応しな
い場合もある。数平均分子量と重量平均分子量の差は、
かなりの量の高分子量化学種をその分子量範囲内に含む
広い分子量分布をPVAが有することを示唆している。
【0081】
【表7】
【0082】RA4プロセスによる色素濃度発現試験 吸熱フィルターを組み合わせて使用し、0〜3濃度ステ
ップチャートを通して、色温度3000Kの昼光に1/
10秒間露光した。露光後、Kodak RA4プロセスにより
試料を処理(45秒間)して濃度を生じさせた。Dlo
gEから得た各色記録のDmaxを基準コーティングを対
照として比較することによって現像性についての評価を
行った。各色記録の現像性(%)を、基準ペーパーに1
00%の値を割り当てることにより計算した。百分率の
値がより小さいほど、より現像性が遅い。
【0083】耐水性に関する試験 Ponceau Red色素はイオン相互作用を通じてゼラチンを
汚すことが知られているため、オーバーコートの耐水性
を試験することにPonceau Red色素を使用した。酢酸と
水の1000gの混合物(5部:95部)に1gのPonc
eau Red 色素を溶解させることによりPonceau Red 色素
溶液を調製した。露光されていない試料をKodak RA4プ
ロセスにより処理して白色Dmin試料を得た。その試料
の上に1滴の前記色素溶液を10分間置き、続いて30
秒間すすいでコーティング表面上の過剰な色素溶液を除
去した。次に、各試料を自然乾燥し、しみのついた領域
のステータスA反射濃度を記録した。基準の光学濃度が
耐水性度0%に対応し、かつ、0の光学濃度が耐水性度
100%に対応すると仮定して、下記式:
【0084】
【数1】
【0085】を使用して試料の耐水性度(%)を計算し
た。 例1〜7 先に述べた増感された紙支持体の層6上に様々なPVA
とともにウレタン−ビニルコポリマーP1をコートして
P1について公称被覆量1.88g/m2とし、現像性
に及ぼすPVAの分子量及び加水分解度の効果を明らか
にした。全てのコーティングで、ポリマーP1に対し、
PVAが35%、CX100架橋剤が1質量%であっ
た。比較のために、先に述べたような基準ペーパーであ
って、ポリマーオーバーコートを有しないもの(例A)
を使用した。様々なPVAについて、ウレタン−アクリ
ルコポリマーと組み合わせて、先に述べた試験に従って
耐水性及び色素濃度の発現を試験した。結果を下記表
4,5及び6に示す。
【0086】
【表8】
【0087】表4のデータから、PVAの分子量及び加
水分解度(%)が現像特性に多大な影響を及ぼすことが
分かる。例7及び8、加水分解度が高い(98〜99
%)場合、並びに分子量が増加するにつれて、ますます
現像性が低くなることが分かる。例1は、その低い分子
量及び低い加水分解度のために、優れた現像性を示し
た。例2〜4は、それらの比較的低い加水分解度のため
に、優れた現像性を示した。例5及び6は、それらの低
い分子量のために、高い加水分解度にも関わらず、良好
な現像性を示した。基準及び例1〜8の耐水性を表5に
示す。
【0088】
【表9】
【0089】前述のように、分子量が約100,000
未満である場合(例1,2,4,5及び6)に、耐水性
度(%)は最良である。なぜなら、それらのPVAの洗
い落ちが写真処理条件のもとで十分であるからである。
例3,7及び8から、高い分子量のために耐水性が比較
的低いことが分かる。分子量が高いと、洗い落ち速度が
小さくなる。
【0090】例9〜10 先に述べた増感された紙支持体の層7上に、V1及びV
9について2つの異なるレベルでウレタン−ビニルコポ
リマーP1をコートしてP1について公称被覆量1.8
8g/m2とし、現像性に及ぼすPVAレベルの効果を
明らかにした。全てのコーティングで、ポリマーP1に
対し、CX100架橋剤が1質量%であった。表6は、
35質量%のレベルのPVAを含む試料に対する25質
量%のレベルのPVAを含む試料の現像性の比を示すも
のである。下記表6に示されているように、35質量%
のレベルのPVAを含む試料は、25質量%のPVAを
含む試料よりも処理性に優れ、特に、このパックにおい
て最下層である青色層はその上方に存在する層と比較し
て最も現像されやすかった。
【0091】
【表10】
【0092】上記のように、多量のポリウレタンを使用
する場合に、現像性を改善するには、PVAの量を増や
すことが望ましいであろう。これらの結果は、ユニット
中のポリウレタンの1.88g/m2(175mg/f
2)のレイダウンに対するPVAの質量百分率のメー
トル単位での比が13の場合よりも20の場合がよいこ
とを示している。出願人は、1.08g/m2(100
mg/ft2)のレイダウンでは、メートル単位で同じ
19の比で、PVAの良好な質量百分率は20であるこ
とも見いだした。これは、PVAの最適質量百分率とポ
リウレタンのレイダウンがほぼ線形関係にあることを示
唆しており、概して、ポリウレタンのレイダウンに対す
るPVAの質量百分率の比は、好ましくは約10より大
きく、より好ましくは約15よりも大きい。本発明の特
定の好まし態様を参照して本発明を説明したが、当然の
ことながら、本発明の精神及び範囲の中で変更及び改良
を加えることができる。
【0093】最後に、本発明の好ましい態様を特許請求
の範囲の記載との関連で列挙する。 [態様1] (a)支持体と、(b)前記支持体の片面
上に重ねられたハロゲン化銀乳剤層と、(c)前記ハロ
ゲン化銀乳剤層上に存在する、レイダウンが少なくとも
0.54g/m2(50mg/ft2)である処理液浸透
性保護オーバーコート、を含んでなる写真要素であっ
て、前記保護オーバーコートが、(i)ポリウレタン含
有成分を基準にして20〜100質量%の量のウレタン
ポリマーと、ポリウレタン含有成分を基準にして0〜8
0質量%の量の任意選択のビニルポリマーとを含んでな
るポリウレタン含有成分と、(ii)ポリビニルアルコ
ールの少なくとも30質量%が写真処理の間に洗い落と
されるような重量平均分子量と加水分解度を有するポリ
ビニルアルコール、を含んでなる、写真要素。 [態様2] 前記ポリビニルアルコールの重量平均分子
量が、その分子量が約100,000を超える場合に加
水分解度が95%未満であることを条件として約15
0,000以下である、上記[態様1]記載の写真要
素。 [態様3] 前記ポリビニルアルコールの重量平均分子
量が、その分子量が約70,000を超える場合に加水
分解度が95%未満であることを条件として約100,
000以下である、上記[態様1]記載の写真要素。 [態様4] 前記オーバーコートのポリウレタン含有成
分が、少なくとも2種のポリマーを含んでなる相互貫入
高分子網目構造又は準相互貫入高分子網目構造である上
記[態様1]記載の写真要素。 [態様5] 前記ポリウレタン含有成分がビニルポリマ
ーとポリウレタンポリマーの両方を含んでなる上記[態
様1]記載の写真要素。 [態様6] 前記ポリウレタン含有成分が、ポリエステ
ルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリエーテル
ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフ
ィンポリオール、ポリシロキサンポリオール、又はそれ
らの組み合わせから誘導された単量体単位を含んでなる
上記[態様1]記載の写真要素。 [態様7] 前記ポリウレタン含有成分の酸価が5以上
である上記[態様1]記載の写真要素。 [態様8] 前記ポリウレタン含有成分に関して、ポリ
ウレタン含有成分のg/m2単位でのレイダウンに対す
るポリビニルアルコールの質量百分率の比が約10より
も大きい上記[態様1]記載の写真要素。 [態様9] 前記支持体がポリマーフィルム、紙又はガ
ラスを含んでなる上記[態様1]記載の写真要素。 [態様10] 前記支持体が反射性である上記[態様
1]記載の写真要素。 [態様11] 前記支持体が、紙ベースと、その紙ベー
スの第1面と前記ハロゲン化銀乳剤層との間に存在する
二軸延伸ポリオレフィンシート層とを含んでなる上記
[態様5]記載の写真要素。 [態様12] 前記オーバーコートが、紫外線吸収剤、
界面活性剤、乳化剤、コーティング助剤、滑剤、艶消粒
子、レオロジー調節剤、架橋剤、カブリ防止剤、無機充
填剤、顔料、磁性粒子及び/又は殺生物剤をさらに含む
上記[態様1]記載の写真要素。 [態様13] (a)支持体と、前記支持体の片面上に
重ねられたハロゲン化銀乳剤層と、前記ハロゲン化銀乳
剤層上に存在する処理液が浸透可能な保護オーバーコー
トとを含んでなる写真要素であって、前記保護オーバー
コートが、酸官能基を有するポリウレタン含有成分を含
んでなり、前記ポリウレタン含有成分中のウレタンポリ
マーの質量割合が20〜100%であり、前記ポリウレ
タン含有成分中の任意のビニルポリマーの質量割合が0
〜80%であり、前記保護オーバーコートがポリビニル
アルコールの重量平均分子量が約100,000を超え
る場合に加水分解度が95%未満であることを条件とし
て約150,000以下である重量平均分子量を有する
ポリビニルアルコールをさらに含んでなる写真要素を用
意し、(b)pHが7を超える現像液中で前記写真要素
を現像して写真プリントを得、そして(c)任意選択的
に、前記処理液が浸透可能なオーバーコートを融着する
こと、を含む、写真プリントの作製方法。 [態様14] 前記ポリウレタン含有成分の酸価が5以
上である上記[態様13]記載の方法。 [態様15] 前記ポリウレタン含有成分について、ポ
リウレタンのg/m2単位でのレイダウンに対するポリ
ビニルアルコールの質量百分率の比が約10よりも大き
い上記[態様13]記載の方法。 [態様16] 前記オーバーコートが、セルロースエー
テル類、n−ビニルアミド類、ポリエステル類、ポリ
(エチレンオキシド)、スターチ、タンパク質、ホエ
ー、アルブミン、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ガ
ム、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるポ
リマーをさらに含む上記[態様13]記載の方法。 [態様17] 前記融着工程が、処理液が浸透可能なオ
ーバーコートの表面にテクスチャーを与えることをさら
に含む上記[態様13]記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ティーチェン アレックス チャオ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14580, ウェブスター,サージブルック ウェイ 1240

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)支持体と、 (b)前記支持体の片面上に重ねられたハロゲン化銀乳
    剤層と、 (c)前記ハロゲン化銀乳剤層上に存在する、レイダウ
    ンが少なくとも0.54g/m2である処理液浸透性保
    護オーバーコート、 を含んでなる写真要素であって、 前記保護オーバーコートが、 (i)ポリウレタン含有成分を基準にして20〜100
    質量%の量のウレタンポリマーと、ポリウレタン含有成
    分を基準にして0〜80質量%の量の任意選択のビニル
    ポリマーとを含んでなるポリウレタン含有成分と、 (ii)ポリビニルアルコールの少なくとも30質量%
    が写真処理の間に洗い落とされるような重量平均分子量
    と加水分解度を有するポリビニルアルコール、 を含んでなる写真要素。
  2. 【請求項2】 前記ポリビニルアルコールの重量平均分
    子量が、その分子量が100,000を超える場合に加
    水分解度が95%未満であることを条件として150,
    000以下である、請求項1記載の写真要素。
  3. 【請求項3】 (a)支持体と、前記支持体の片面上に
    重ねられたハロゲン化銀乳剤層と、前記ハロゲン化銀乳
    剤層上に存在する処理液浸透性保護オーバーコートとを
    含んでなる写真要素であって、前記保護オーバーコート
    が、酸官能基を有するポリウレタン含有成分を含んでな
    り、前記ポリウレタン含有成分中のウレタンポリマーの
    質量割合が20〜100%であり、前記ポリウレタン含
    有成分中の任意選択のビニルポリマーの質量割合が0〜
    80%であり、前記保護オーバーコートが、ポリビニル
    アルコールの重量平均分子量が100,000を超える
    場合に加水分解度が95%未満であることを条件として
    150,000以下である重量平均分子量を有するポリ
    ビニルアルコールをさらに含んでなる写真要素を用意
    し、 (b)pHが7を超える現像液中で前記写真要素を現像
    して写真プリントを得、そして (c)任意選択的に、前記処理液が浸透可能なオーバー
    コートを融着すること、 を含む、写真プリントの作製方法。
JP2000358131A 1999-11-23 2000-11-24 ポリビニルアルコールを含む写真要素用保護オーバーコート Pending JP2001154313A (ja)

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