JP2001154000A - 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法

Info

Publication number
JP2001154000A
JP2001154000A JP33445799A JP33445799A JP2001154000A JP 2001154000 A JP2001154000 A JP 2001154000A JP 33445799 A JP33445799 A JP 33445799A JP 33445799 A JP33445799 A JP 33445799A JP 2001154000 A JP2001154000 A JP 2001154000A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binder
image conversion
phosphor layer
radiation image
conversion panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33445799A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Koda
勝博 幸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP33445799A priority Critical patent/JP2001154000A/ja
Publication of JP2001154000A publication Critical patent/JP2001154000A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Conversion Of X-Rays Into Visible Images (AREA)
  • Radiography Using Non-Light Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本来その放射線像変換パネルが持つポテンシ
ャル(特に発光量)を十分に発揮させることができる蛍
光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの
製造方法を提供すること。 【解決手段】 結合剤を精製する精製工程と、少なくと
も、前記精製工程により精製された結合剤と蛍光体と
を、溶剤に分散・混合する分散・混合工程と、からなる
ことを特徴とする放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液
の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体を利
用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネ
ルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パ
ネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法とし
て、たとえば特開昭55−12145号公報などに記載
されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方
法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有す
る放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも称す
る)を利用するもので、被写体を透過したあるいは被検
体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸
収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線な
どの電磁波(励起光)で時系列的に励起することによ
り、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギ
ーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光
電的に読み取って電気信号を得、得られた電気信号に基
づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像とし
て再生するものである。一方、読み取りを終えた放射線
像変換パネルは、残存する画像の消去が行われた後、次
の撮影のために備えられる。すなわち、このようにして
放射線像変換パネルはくり返し使用される。
【0003】この放射線像変換方法によれば、従来の放
射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写
真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で
情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利
点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影
ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この
放射線像変換方法では放射線像変換パネルをくり返し使
用するので資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0004】放射線像変換方法に用いられる放射線像変
換パネルは、基本構造として、支持体とその表面に設け
られた輝尽性蛍光体を含有する蛍光体層とからなるもの
である。蛍光体層は、一般に、輝尽性蛍光体とこれを分
散状態で含有支持する結合剤とからなるものである。輝
尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の
照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものである
から、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた
放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネル
の蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検
体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成さ
れる。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより
輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光
光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより
放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能とな
る。
【0005】ところで、一般に蛍光体層は、適当な溶剤
に輝尽性蛍光体および結合剤を添加し分散および溶解し
た蛍光体層塗布液を調製し、これを支持体表面に塗布お
よび乾燥して形成される。この蛍光体層塗布液の調製に
おいて用いる結合剤は、通常酸成分、塩基性成分等の種
々の不純物が含まれている。結合剤中の不純物として
は、以下のものが挙げられる。 結合剤を合成する際の原料(モノマー、溶剤、触媒
等)で、未反応のまま残存したもの、あるいは、原料中
に最初から含まれていた不純物。 原料に、あるいは、結合剤の合成時もしくは合成後
に、混入したもの。 結合剤の合成時に発生した副生成物。 結合剤の合成時、重合が不充分な低分子量物質。 結合剤の合成後、経時とともに酸素や水分、あるい
は、上記した不純物から、さらに生成した不純物。
【0006】これら不純物の中でも、特に塩基成分、酸
成分、過酸化物、モノマー(例えば、イソシアネート
等)、残存触媒の存在が問題となる。これら不純物の存
在は、最終的に得られる放射線像変換パネルにおいて、
蛍光体層における輝尽発光光を吸収する黄変の原因にな
り、輝尽発光量の低下につながる。また、蛍光体層を化
学的に劣化させ、輝尽発光特性低下の原因となる。
【0007】したがって、結合剤をそのまま蛍光体層塗
布液の調製に用いた場合、本来その放射線像変換パネル
が持つポテンシャルを十分に発揮させることができない
という問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、本
来その放射線像変換パネルが持つポテンシャル(特に発
光量)を十分に発揮させることができる蛍光体層塗布液
の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。すなわち本発明は、 <1> 結合剤を精製する精製工程と、少なくとも、前
記精製工程により精製された結合剤と蛍光体とを、溶剤
に分散・混合する分散・混合工程と、からなることを特
徴とする放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方
法である。
【0010】<2> 精製工程が、結合剤に対して良溶
媒に前記結合剤を溶解し、結合剤溶液を調製する溶解工
程と、前記結合剤に対して貧溶媒に、前記結合剤溶液を
添加することで、前記結合剤を析出させる析出工程と、
前記析出した結合剤を、前記良溶媒と貧溶媒とからなる
液体から分離する分離工程と、を含むことを特徴とする
<1>に記載の放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の
調製方法である。
【0011】<3> 精製工程が、少なくとも結合剤に
対して貧溶媒を含む浸漬液に、前記結合剤を投入し、放
置する浸漬工程と、前記結合剤を、前記貧溶媒から分離
する分離工程と、を含むことを特徴とする<1>に記載
の放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法であ
る。
【0012】<4> 浸漬工程において用いられる浸漬
液が、結合剤に対して良溶媒と貧溶媒とを混合した混合
溶媒であることを特徴とする<3>に記載の放射線像変
換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法である。
【0013】<5> 少なくとも、<1>ないし<4>
のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの蛍光体層塗
布液の調製方法により得られた蛍光体層塗布液からなる
蛍光体層を、支持体表面に形成することを特徴とする放
射線像変換パネルの製造方法である。
【0014】本発明者は、用いる結合剤中に含まれる不
純物に基づく上記不具合は、蛍光体層塗布液調製前に予
め結合剤を精製しておくことで解消し得るとの知見を得
て、上記本発明を見出した。すなわち上記本発明によれ
ば、最終的に得られる放射線像変換パネルの蛍光体層に
おける黄変や化学的劣化を抑制し、本来その放射線像変
換パネルが持つポテンシャルを十分に発揮させることが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明を以下詳細に説明する。 A:蛍光体層塗布液の製造方法 [蛍光体層塗布液の組成] (1)結合剤 本発明において用いられる結合剤は、特に限定されるも
のではないが、例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキ
ストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムの
ような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラー
ル、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロ
ース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリア
ルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニル
コポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチ
レート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル、エ
ポキシ樹脂などような合成高分子物質などにより代表さ
れる結合剤を挙げることができる。このような結合剤の
なかで特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポ
リエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリ
ウレタン、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混
合物、およびニトロセルロースとポリアルキル(メタ)
アクリレートとの混合物である。これら結合剤は、通常
不純物を含むものであり、本発明においては、後述の精
製工程を経た上で、蛍光体層塗布液の調製に供される。
【0016】(2)蛍光体 本発明において用いられる蛍光体は、先に述べたように
放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示
す蛍光体であるが、実用的な面からは波長が400〜9
00nmの範囲にある励起光によって300〜500n
mの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であることが望ま
しい。放射線像変換パネルにおいて好ましく用いられる
蛍光体の例としては、二価ユーロピウム賦活アルカリ土
類金属ハロゲン化物系蛍光体およびセリウム賦活希土類
オキシハロゲン化物蛍光体は高輝度の輝尽発光を示すの
で特に好ましい。但し、本発明においては、これらの蛍
光体に限られるものではなく、放射線を照射したのちに
励起光を照射した場合に輝尽発光を示す蛍光体であれば
いかなるものであってもよい。
【0017】(3)塗布液調製用の溶剤 塗布液調製用の溶剤の例としては、トルエン、キシレン
等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル;ジオキサン、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル;そして、それらの混合物を
挙げることができる。
【0018】(4)その他の成分 蛍光体層塗布液には、黄変を防止するためのエポキシ樹
脂、架橋剤としてのイソシアネート、蛍光体層塗布液中
における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形
成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合
力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合
されていてもよい。なお、上記エポキシ樹脂等、その他
の成分として蛍光体層塗布液に添加される各種樹脂につ
いても、後述の精製工程により精製した上で、蛍光体層
塗布液の調製に供することが望ましい。
【0019】[蛍光体層塗布液の調製] 1.精製工程 本発明においては、まず前記結合剤を精製する。本発明
において、「精製」とは、用いる結合剤中から不純物を
除去する操作を言う。具体的な精製方法としては、例え
ば以下の2つが挙げられる。 (1)前記結合剤を一旦溶解してから再度析出させる方
法 (2)前記結合剤を貧溶媒中に浸漬し、不純物を溶出さ
せる方法 以下、これら2つの方法について詳細に説明する。
【0020】(1)前記結合剤を一旦溶解してから再度
析出させる方法 当該方法では、精製工程が、 結合剤に対して良溶媒に前記結合剤を溶解し、結合剤
溶液を調製する溶解工程と、 前記結合剤に対して貧溶媒に、前記結合剤溶液を添加
することで、前記結合剤を析出させる析出工程と、 前記析出した結合剤を、前記良溶媒と貧溶媒とからな
る液体から分離する分離工程と、 を含んで構成される。
【0021】ここで「良溶媒」および「貧溶媒」は、精
製の対象となる結合剤により適宜選択することとなる。
実際には、精製の対象となる結合剤の溶解度(結合剤の
飽和濃度)が、5重量%以上、好ましくは20重量%以
上のものを良溶媒として、2重量%以下、好ましくは
0.5重量%以下のものを貧溶媒として、それぞれ用い
ることが望ましい。
【0022】具体的な、結合剤、良溶媒および貧溶媒の
組み合わせとしては、例えば以下のようなものが挙げら
れる。ただし、これらはあくまでも好ましい組み合わせ
の例であり、本発明はこれらに限定されるものではな
く、用いる結合剤に応じて、適宜、良溶媒および貧溶媒
を選択すればよい。
【0023】
【表1】
【0024】前記溶解工程では、まず前記良溶媒に前記
結合剤を溶解し、結合剤溶液を調製する。このとき前記
結合剤に対する前記良溶媒の量は、前記結合剤および前
記良溶媒の組み合わせにより適宜調整すればよく、前記
結合剤が十分に溶解し得る程度とすれば問題ない。
【0025】溶解に際しては、前記良溶媒に前記結合剤
を、あるいは前記結合剤に前記良溶媒を投入後(必要に
応じて、投入しながら)、これらを攪拌する。攪拌方法
としては特に制限無く、前記結合剤が十分に溶解し得る
ように行えばよい。
【0026】上記溶解工程で調製された結合剤溶液は、
次の析出工程で貧溶媒に添加される。すると結合剤溶液
中に溶解していた前記結合剤が、前記貧溶媒の影響で析
出する。このとき溶解工程で溶解・拡散した不純物はほ
とんどが析出物に取り込まれず、あるいは、取り込まれ
たとしても当初結合剤に含まれていた量よりも圧倒的に
少なくなる。
【0027】析出を効率良く行い、かつ、不純物の取り
込み量をできる限り少なく抑えるべく、貧溶媒の量(重
量)としては結合剤溶液の量に対して過剰であることが
望ましく、具体的には、結合剤溶液中の良溶媒の量(重
量)に対し、2倍以上とすることが好ましく、5倍以上
とすることがより好ましい。前記結合剤溶液の添加は、
析出を効率良く行うべく、徐々に行うことが望ましく、
また、緩やかな攪拌を施しながら行うことが望ましい。
【0028】析出工程で前記析出した結合剤は、分離工
程で前記良溶媒と貧溶媒とからなる液体から分離して、
結合剤の精製が終了する。前記結合剤の分離は、濾過に
より行ってもよいし、直接前記結合剤を前記液体から取
り出してもよい。分離後の結合剤は、自然乾燥により、
もしくは、加熱乾燥により残存する残留液体を除去す
る。
【0029】なお、当該方法による精製操作を2回以上
行うことも可能であり、当該精製操作は、より多くの回
数を行うことが、高水準の精製を行う観点から好まし
い。この場合各精製操作に供する良溶媒および貧溶媒の
種類は、同一のものでも異なったものであっても問題無
く、除去しようとする不純物の性質に合わせて複数種類
の良溶媒および/または貧溶媒を用意して、これらを用
いて順次精製操作を行うこともできる。
【0030】(2)前記結合剤を貧溶媒中に浸漬し、不
純物を溶出させる方法 当該方法では、精製工程が、 少なくとも結合剤に対して貧溶媒を含む浸漬液に、前
記結合剤を投入し、放置する浸漬工程と、 前記結合剤を、前記貧溶媒から分離する分離工程と、 を含んで構成される。
【0031】浸漬工程で使用される「貧溶媒」は、前記
で述べたものと同一である。前記結合剤を前記浸漬液
に投入および放置することで、前記結合剤に含まれる不
純物が選択的に溶解および/または拡散される。
【0032】前記浸漬液は、精製効率を高める観点か
ら、良溶媒と貧溶媒とを混合した混合溶媒であることが
望ましい。前記浸漬液に良溶媒を含有することで、前記
浸漬液に投入された結合剤が膨潤し、内部まで良好に、
かつ、速やかに貧溶媒および良溶媒からなる液体が浸透
し、効率良く精製される。なお、ここで使用される「良
溶媒」も、前記で述べたものと同一である。
【0033】前記混合溶媒における良溶媒の添加量とし
ては、貧溶媒100重量部に対して、50〜0.1重量
部の範囲であることがより好ましく、20〜1重量部の
範囲であることがさらに好ましい。良溶媒の割合が多す
ぎると、結合剤の溶解を伴ってしまうため好ましくな
い。一方、良溶媒の割合が少なすぎると、浸漬液を混合
溶媒にする意義がないが、勿論、少なくとも貧溶媒単独
の浸漬液としての作用は発揮し得る。
【0034】前記浸漬液に投入する前記結合剤の形状と
しては、ある程度小さいことが望まれる。具体的には、
シート状、ペレット状であることが望ましく、最大厚み
が5mm以下であることが好ましく、1mm以下である
ことがより好ましい。あまりに大きな塊であると、内部
まで前記浸漬液が浸透するのに時間を要し、精製効率の
低下を招く。ただし、浸漬液として前記混合溶媒を用い
ることにより、かかる結合剤の形状による不具合は、緩
和される。
【0035】前記浸漬液に前記結合剤を浸漬している間
は、該浸漬液を攪拌しておくことが望ましい。攪拌を施
すことにより、結合剤の精製効率が向上する。攪拌の程
度としては、前記結合剤との接液部分における前記浸漬
液が十分に置換し得る程度であれば問題ない。
【0036】前記浸漬液に前記結合剤を放置しておく時
間(浸漬時間)としては、該浸漬液や結合剤の種類・形
状、攪拌状態にもよるが、0.5〜300時間程度が好
ましく、2〜100時間程度がより好ましい。浸漬時間
が十分でないと結合剤の精製も十分なものとならないた
め好ましくなく、一方、浸漬時間が長すぎると結合剤同
士が接着し合って、後工程の作業に支障をきたす場合が
あるため好ましくない。
【0037】上記浸漬工程の後、前記結合剤は、分離工
程で前記浸漬液から分離して、結合剤の精製が終了す
る。前記結合剤の分離は、濾過により行ってもよいし、
直接前記結合剤を前記液体から取り出してもよい。分離
後の結合剤は、自然乾燥により、もしくは、加熱乾燥に
より残存する残留浸漬液を除去する。
【0038】なお、当該方法による精製操作を2回以上
行うことも可能であり、当該精製操作は、より多くの回
数を行うことが、高水準の精製を行う観点から好まし
い。この場合各精製操作に供する浸漬液の組成は、同一
のものでも異なったものであっても問題無く、除去しよ
うとする不純物の性質に合わせて複数種類の浸漬液を用
意して、これらを用いて順次精製操作を行うこともでき
る。
【0039】以上に示す如き精製工程を経た結合剤を蛍
光体層塗布液に使用し、放射線像変換パネルの蛍光体層
の形成に供すれば、得られる放射線像変換パネルの蛍光
体層における黄変や化学的劣化を抑制し、本来その放射
線像変換パネルが持つポテンシャルを十分に発揮させる
ことができる。なお本発明において、精製方法として
は、用いる結合剤中から不純物を除去し得るものであれ
ば、上記2方法に限定されるものではない。
【0040】2.分散・混合工程 前記精製工程により精製された結合剤は、次の分散・混
合工程で、蛍光体と、必要に応じて添加されるその他の
成分とともに、塗布液調製用の溶剤に分散・混合され、
放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液が調製される。こ
のとき、当該蛍光体層塗布液における結合剤の濃度とし
ては、5〜50重量%の範囲が適当であり、より好まし
くは10〜30重量%の範囲である。結合剤の溶解にお
ける温度、攪拌条件とも特に制限はなく、常温でも加熱
しながら行ってもよく、また攪拌は結合剤が溶剤に十分
溶解し得る条件であれば問題ない。
【0041】前記結合剤と蛍光体とは、塗布液調製用の
溶剤に同時に添加してもよいが、前記結合剤を予め溶剤
に溶解してから蛍光体を添加し、分散させることが、蛍
光体の分散効率の観点より好ましい。また、必要に応じ
て添加されるその他の成分に関しても、溶剤に溶解する
ものは蛍光体添加前に溶解させ、溶剤に不溶のものは蛍
光体とともにあるいはその前後に添加して分散させるこ
とが望ましい。
【0042】蛍光体層塗布液における前記結合剤と蛍光
体との混合比(結合剤:蛍光体)は、目的とする放射線
像変換パネルの特性、蛍光体の種類などによって異なる
が、一般には1:1乃至1:100(重量比)の範囲か
ら選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量比)の
範囲から選ぶのが好ましい。
【0043】蛍光体を加える際の溶液の攪拌条件として
は、溶液全体に動きがあり、添加した蛍光体が全体に行
き渡る程度であれば問題なく、攪拌容器の大きさ、攪拌
羽根の大きさおよび種類、蛍光体層塗布液の組成等によ
り適宜設定すればよい。
【0044】例えば、図1に示す攪拌装置10(攪拌容
器12の内径:260mm、溶液の容量:10リット
ル)で、図2(図1から攪拌羽根14のみを抜き出し、
平面図としたもの)に示すような十字型の攪拌羽根14
を用いて攪拌する場合、攪拌羽根14の径(羽の最大
長)は100mm以上200mm以下とすることが好ま
しく、攪拌速度は200rpm以上5000rpm以下
とすることが好ましい。なお、図1に示す攪拌装置10
は、攪拌容器12の開口部に投入口18を有する蓋16
が設けられ、下部にバルブ20を有するドレーン配管2
4が配される。また、攪拌羽根14には、上下に垂直に
フィン22が切り立った状態で配されており、該フィン
の大きさは、攪拌羽根14から2mm以上50mm以下
の範囲で切り立っていることが好ましい。
【0045】蛍光体の添加方法としては、蛍光体がより
均一に分散するように、徐々に、あるいは、数回に分け
て添加することが好ましい。数回に分けて添加する場
合、添加回数は、多ければ多いほどよい。
【0046】蛍光体を添加した後には、蛍光体が完全に
分散するように、続けて分散処理を行うことが好まし
い。分散処理は、蛍光体の添加時と同一あるいは条件を
変えて、攪拌を続けることにより行う。攪拌条件として
は、蛍光体の添加時よりも高い回転数(図1および図2
に示す攪拌装置においては、1500rpm以上)で、
30分以上行うことが好ましい。
【0047】なお、蛍光体層塗布液に可塑剤などの種々
の添加剤を添加する場合には、結合剤を溶剤に添加する
前中後、あるいは蛍光体を溶液に添加する前中後、いず
れのタイミングにこれを添加してもよい。
【0048】B:放射線像変換パネルの製造方法 以上のようにして調製された蛍光体層塗布液を、支持体
表面に均一に塗布することで放射線像変換パネルの蛍光
体層が形成される。
【0049】支持体としては、従来より放射線像変換パ
ネルの支持体の材料として公知のものから任意に選ぶこ
とができる。そのような材料の例のうち、セルロースア
セテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカ
ーボネートなどのプラスチック物質のフィルムが好まし
い。
【0050】公知の放射線像変換パネルにおいて、支持
体と蛍光体層との結合を強化するため、あるいは放射線
像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状
性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支
持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性
付与層を設けたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射
性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックな
どの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが
知られている。
【0051】本発明において用いられる支持体について
も、これらの各種の層を設けることができ、それらの構
成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じ
て任意に選択することができる。さらに特開昭58−2
00200号公報に記載されているように、得られる画
像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の輝尽性蛍光体
層側の表面(支持体の輝尽性蛍光体層側の表面に接着性
付与層、光反射層または光吸収層などが設けられている
場合には、その表面を意味する)には微小凹凸が形成さ
れていてもよい。
【0052】上記のようにして支持体表面に塗膜を形成
したのち塗膜を乾燥して、支持体表面への蛍光体層の形
成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像
変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との
混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1m
mとする。ただし、この層厚は50乃至500μmとす
るのが好ましい。
【0053】蛍光体層塗布液の塗布は、通常の塗布手
段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナ
イフコーターなどを用いることにより行うことができ
る。塗膜形成後の乾燥条件としては、特に制限はなく、
塗膜中の溶剤が十分に乾燥しうる温度および時間の条件
であれば問題ない。
【0054】なお、蛍光体層は、必ずしも上記のように
支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、
たとえば、別に、ガラス板、金属板、プラスチックシー
トなどのシート(仮支持体)上に塗布液を塗布し乾燥す
ることにより蛍光体層を形成したのち、これを、支持体
上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして支持
体と蛍光体層とを接合してもよい。
【0055】一般に蛍光体層の上には、蛍光体層を物理
的及び化学的に保護するため、保護層が設けられる。保
護層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリ
アクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリ
レート、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、有機溶媒可
溶性のフッ素系樹脂などを挙げることができる。保護層
は、上記ポリマーを含有する保護層形成材料塗布液を、
ドクターブレードなどを用いて蛍光体層表面に均一に塗
布し、これを乾燥することにより形成する。もちろん、
この保護層の形成は同時重層塗布によって、蛍光体層の
形成と同時に行ってもよい。
【0056】保護層の材料としては、有機溶媒可溶性の
フッ素系樹脂(例、フルオロオレフィン−ビニルエーテ
ル共重合体、ポリテトラフルオロエチレンおよびその変
性体)が好ましい。また、樹脂の強度が増し、保護層と
しての耐久性が増大するので、上記フッ素系樹脂は架橋
されていることが好ましい。従って、上記した保護層形
成材料塗布液には、フッ素系樹脂以外の樹脂、架橋剤、
硬膜剤などが含まれていてもよく、さらに黄変防止剤な
どが含まれていてもよい。
【0057】放射線像変換パネルには、耐搬送特性、特
に耐衝撃性及び耐汚染性を向上すべく、放射線像変換パ
ネルの少なくとも一辺の端部(側面部)に縁貼り層を設
けることができる。
【0058】縁貼り層形成用の被覆剤は、特に限定され
るものではなく、例えば、特開昭62−3700号公報
に記載の線状ポリエステルまたは線状ポリエステルと塩
化ビニル・酢酸ビニル共重合体とのポリマー混合物、特
開平4−2998号公報に記載の有機溶媒可溶性フッ素
系樹脂等を挙げることができる。また、特開平7−14
0300号公報に詳細に記載されているシリコーン系ポ
リマーとポリイソシアネートとからなるものも挙げら
れ、かかる被覆剤により縁貼り層を形成した放射線像変
換パネルは、極めて高い耐搬送特性、特に耐衝撃性及び
耐汚染性を達成することができるため、本発明において
好ましい。
【0059】以上のようにして放射線像変換パネルが形
成される。なお、得られる画像の鮮鋭度を向上させるこ
とを目的として、上記各層の少なくとも一つの層が励起
光を吸収し、輝尽発光光は吸収しないような着色剤によ
って着色されていてもよい(特公昭59−23400号
公報参照)。
【0060】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例を挙げ
てより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施
例により限定されるものではない。なお、特に断りのな
い限り、各種操作は室温(25℃)下で行った。
【0061】[実施例1] (結合剤溶液の調製)結合剤としてのポリウレタン(パ
ンディクスT5265H、大日本インキ(株)製、ペレ
ット状、最大厚み2mm)500gを良溶媒であるME
K(メチルエチルケトン)に溶解し、10重量%結合剤
溶液5000gを調製した(溶解工程)。
【0062】次いで、攪拌装置の備えられたステンレス
製タンク(容量50リットル)に、貧溶媒である特級エ
タノール30リットルを入れ、攪拌(500rpm)を
施しながら、前記10重量%結合剤溶液を10mlの速
度で添加した。添加すると同時に白濁物が析出し、さら
にそれが凝集してステンレス製タンクの底に溜まった。
前記10重量%結合剤溶液全てを添加後、さらに5分間
攪拌を続けた(以上、析出工程)。
【0063】攪拌を停止した後、ステンレス製タンク中
の上澄み液を除去し、底に溜まった析出物(高粘度白濁
物)をバットに移設し(以上、分離工程)、100℃の
真空乾燥機に30分間入れ乾燥し、その後取り出して精
製された結合剤を得た。
【0064】以上のようにして精製された結合剤をME
Kに溶解し、ポリウレタン15重量%濃度の結合剤溶液
Aを調製した。
【0065】(蛍光体層塗布液の調製)攪拌装置とし
て、図1に示す攪拌装置10(攪拌容器12の内径:2
60mm、攪拌容器12の容量:10リットル)を用い
た。また、攪拌羽根14は、その径(羽の最大長)が1
40mmで、フィンが上下に7mm切り立ったものとし
た。
【0066】前記結合剤溶液A2667gと、黄変防止
剤としてのエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)
製、エピコート♯1004[固形])100gと、溶剤
としてのメチルエチルケトン1233gと、重量平均粒
子径Dm=5μmの蛍光体(BaFBr0.850.15:E
2+)10000gと、を回転速度2500rpm(周
速度は約18m/sec)で攪拌しつつ攪拌容器12に
投入し、そのまま1時間攪拌を続け、各成分を分散・混
合し(分散・混合工程)、蛍光体層塗布液Aを調製し
た。
【0067】(蛍光体層の形成)仮支持体として、表面
が離型剤処理(シリコーン樹脂が熱硬化で形成されたも
の(0.1μm))されているポリエチレンテレフタレ
ートシート(厚さ:180μm)を用意した。
【0068】また、支持体として、表面に硫酸バリウム
が(10wt%)練りこんであるポリエチレンテレフタ
レートシート(デュポン(株)製、メリネックス#99
2、厚さ:350μm)の片面にカーボンブラック、炭
酸カルシウム、シリカおよび結合剤(ニトロセルロース
とポリエステル樹脂)からなる遮光層(組成割合は、順
に10:21:16:53)20μmと、その裏面に軟
質アクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、クリ
スコートP−1018GS[20%トルエン溶液])を
塗布して設けられた下塗り層20μmと、が形成された
ものを用意した。
【0069】前記得られた蛍光体層塗布液Aをポンプで
一定流量(160ml/min)塗布ギーサーへ送液
し、塗布幅300mm、仮支持体の送り速度1m/mi
nで、仮支持体の離型剤処理面に蛍光体層塗布液A−1
を塗布した。塗布された仮支持体はそのままオーブンに
搬送され、80℃、8min乾燥し、冷却の後巻き取ら
れ、乾燥後の厚さ330μmの蛍光体層が仮支持体上に
形成された蛍光体層シートが得られた。
【0070】得られた蛍光体層シートから蛍光体層を剥
離し、剥離された蛍光体層と前記支持体とを、蛍光体層
と支持体の下塗り層とが接するように重ね合わせ、カレ
ンダーロールを用い、カレンダー処理(加熱圧縮処理)
を行った。このときの条件としては、圧力4900P
a、蛍光体層と接する側のロールの温度75℃、支持体
と接する側のロールの温度75℃、送り速度1.0m/
minで連続的に行った。カレンダー処理により、蛍光
体層は、下塗り層を介して支持体に完全に融着した(層
厚:230μm、充填密度:3.35g/cm3)。
【0071】(放射線像変換パネルの製造)さらに、不
飽和ポリエステル樹脂溶液(東洋紡績(株)、パイロン
30SS)を塗布し、乾燥して接着層(接着剤塗布重量
2g/m2)を設けた9μm厚のポリエチレンテレフタ
レートフィルム(以下「PETフィルム)と、上記蛍光
体層が設けられた支持体と、を支持体の蛍光体層および
PETフィルムの接着層が接するように重ね合わせ、ラ
ミネートロールを用いて両者を接着し、保護層を形成し
た。以上のようにして実施例1の放射線像変換パネルを
製造した。
【0072】[実施例2]実施例1において、(結合剤
溶液の調製)の工程を以下に示す工程に代えたこと以外
は、実施例1と同様にして結合剤溶液Bを調製し、さら
に蛍光体層塗布液Bを調製した。次いで、蛍光体層塗布
液Aに代えて蛍光体層塗布液Bを用いたことを以外は、
実施例1と同様にして実施例2の放射線像変換パネルを
製造した。
【0073】(結合剤溶液の調製)良溶媒であるMEK
と、貧溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)と
からなる混合溶媒(混合比MEK:IPA=1:9(重
量比))30リットルを、浸漬液として、攪拌装置の備
えられたステンレス製タンク(容量50リットル)に入
れ、これに結合剤としてのポリウレタン(パンディクス
T5265H、大日本インキ(株)製、ペレット状、最
大厚み2mm)2000gを投入した。25℃に維持し
たまま、攪拌(120rpm)を8時間施した。
【0074】攪拌を停止した後、ステンレス製タンク中
の浸漬液を廃棄し、前記混合溶媒と同一組成の混合溶媒
30リットルを添加し、25℃に維持したまま、攪拌
(120rpm)を16時間施した。この操作をさらに
もう一度繰り返し、精製操作を合計3回行った(以上、
浸漬工程)。
【0075】攪拌を停止した後、ステンレス製タンク中
の浸漬液を廃棄し、ペレットを取り出し(以上、分離工
程)、温風乾燥して、精製された結合剤を得た。以上の
ようにして精製された結合剤をMEKに溶解し、ポリウ
レタン15重量%濃度の結合剤溶液Bを調製した。
【0076】[比較例1]実施例1において、(結合剤
溶液の調製)の工程を以下に示す工程に代えたこと以外
は、実施例1と同様にして結合剤溶液Cを調製し、さら
に蛍光体層塗布液Cを調製した。次いで、蛍光体層塗布
液Aに代えて蛍光体層塗布液Cを用いたことを以外は、
実施例1と同様にして比較例1の放射線像変換パネルを
製造した。
【0077】(結合剤溶液の調製)結合剤としてのポリ
ウレタン(パンディクスT5265H、大日本インキ
(株)製、ペレット状、最大厚み2mm)を、精製する
ことなく、そのままMEKに溶解し、ポリウレタン15
重量%濃度の結合剤溶液Cを調製した。
【0078】[実施例1、2、および比較例1の評価試
験] (1)結合剤溶液の光透過率 実施例1、2、および比較例1において得られたポリウ
レタン15重量%濃度の結合剤溶液A〜Cを、石英セル
に充填し、波長400nmの光を照射して、その全透過
率を分光光度計(型式名:U3210、(株)日立製作
所製)により測定した。比較例1の測定結果を100と
した場合の相対透過量を下記表2に示す。
【0079】(2)放射線像変換パネルの輝尽発光量 実施例1、2、および比較例1の各放射線像変換パネル
に対し、それぞれ管電圧80kVpのX線を10R照射
した後、He−Neレーザー光(波長:632.8n
m)を照射し、励起させ、蛍光体層から放射された輝尽
発光光を受光器(分光感度S−5の光電子増倍管)で受
光して輝尽発光量を測定した。得られた値について、比
較例1の放射線像変換パネルの値を100とした場合の
相対発光量を下記表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】以上のように、結合剤を予め精製し、黄変
成分等の不純物が除去することで、結合剤自体におけ
る、蛍光体の発光波長である400nm付近の吸収が減
少していることがわかる。また、予め精製した結合剤を
用いた蛍光体層塗布液を用いて得られた放射線像変換パ
ネルは、輝尽発光量が向上しており、このことから画質
向上も図られ、本来その放射線像変換パネルが持つポテ
ンシャルが十分に発揮されることがわかる。
【0082】[実施例3]実施例1において、(結合剤
溶液の調製)の工程で用いた結合剤を、ポリウレタンか
ら不飽和ポリエステル(バイロン300、東洋紡績
(株)製、ペレット状、最大厚み1mm)に代えたこと
以外は、実施例1と同様にして結合剤溶液Dを調製し、
さらに蛍光体層塗布液Dを調製した。次いで、蛍光体層
塗布液Aに代えて蛍光体層塗布液Dを用いたことを以外
は、実施例1と同様にして実施例3の放射線像変換パネ
ルを製造した。
【0083】[実施例4]実施例2において、(結合剤
溶液の調製)の工程で用いた結合剤を、ポリウレタンか
ら不飽和ポリエステル(バイロン300、東洋紡績
(株)製、ペレット状、最大厚み1mm)に代えたこと
以外は、実施例2と同様にして結合剤溶液Eを調製し、
さらに蛍光体層塗布液Eを調製した。次いで、実施例1
において、蛍光体層塗布液Aに代えて蛍光体層塗布液E
を用いたことを以外は、実施例1と同様にして実施例4
の放射線像変換パネルを製造した。
【0084】[比較例2]比較例1において、(結合剤
溶液の調製)の工程で用いた結合剤を、ポリウレタンか
ら不飽和ポリエステル(バイロン300、東洋紡績
(株)製、ペレット状、最大厚み1mm)に代えたこと
以外は、比較例1と同様にして結合剤溶液Fを調製し、
さらに蛍光体層塗布液Fを調製した。次いで、実施例1
において、蛍光体層塗布液Aに代えて蛍光体層塗布液F
を用いたことを以外は、実施例1と同様にして比較例2
の放射線像変換パネルを製造した。
【0085】[実施例3、4、および比較例2の評価試
験]前記[実施例1、2、および比較例1の評価試験]
と同様にして、「(1)結合剤溶液の光透過率」および
「(2)放射線像変換パネルの輝尽発光量」の各評価試
験を行った。結果を下記表3に示す。ただし、下記表3
に示す各結果は、比較例2の値を100とした場合の相
対値である。
【0086】
【表3】
【0087】以上のように、結合剤の種類を変えても本
発明の効果が確認された。すなわち、結合剤を予め精製
し、黄変成分等の不純物が除去することで、結合剤自体
における、蛍光体の発光波長である400nm付近の吸
収が減少していることがわかる。また、予め精製した結
合剤を用いた蛍光体層塗布液を用いて得られた放射線像
変換パネルは、輝尽発光量が向上しており、このことか
ら画質向上も図られ、本来その放射線像変換パネルが持
つポテンシャルが十分に発揮されることがわかる。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、本来その放射線像変換
パネルが持つポテンシャル(特に発光量)を十分に発揮
させることができる蛍光体層塗布液の調製方法、および
放射線像変換パネルの製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 蛍光体層塗布液の調製に供し得る攪拌装置の
一例を示す概略断面図である。
【図2】 図1の攪拌装置における攪拌羽根の平面図で
ある。
【符号の説明】
10 攪拌装置 12 攪拌容器 14 攪拌羽根 16 蓋 18 投入口 20 バルブ 22 フィン 24 ドレーン配管

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合剤を精製する精製工程と、 少なくとも、前記精製工程により精製された結合剤と蛍
    光体とを、溶剤に分散・混合する分散・混合工程と、 からなることを特徴とする放射線像変換パネルの蛍光体
    層塗布液の調製方法。
  2. 【請求項2】 精製工程が、 結合剤に対して良溶媒に前記結合剤を溶解し、結合剤溶
    液を調製する溶解工程と、 前記結合剤に対して貧溶媒に、前記結合剤溶液を添加す
    ることで、前記結合剤を析出させる析出工程と、 前記析出した結合剤を、前記良溶媒と貧溶媒とからなる
    液体から分離する分離工程と、を含むことを特徴とする
    請求項1に記載の放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液
    の調製方法。
  3. 【請求項3】 精製工程が、 少なくとも結合剤に対して貧溶媒を含む浸漬液に、前記
    結合剤を投入し、放置する浸漬工程と、 前記結合剤を、前記貧溶媒から分離する分離工程と、を
    含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パ
    ネルの蛍光体層塗布液の調製方法。
  4. 【請求項4】 浸漬工程において用いられる浸漬液が、
    結合剤に対して良溶媒と貧溶媒とを混合した混合溶媒で
    あることを特徴とする請求項3に記載の放射線像変換パ
    ネルの蛍光体層塗布液の調製方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも、請求項1ないし4のいずれ
    か1に記載の放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調
    製方法により得られた蛍光体層塗布液からなる蛍光体層
    を、支持体表面に形成することを特徴とする放射線像変
    換パネルの製造方法。
JP33445799A 1999-11-25 1999-11-25 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法 Pending JP2001154000A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33445799A JP2001154000A (ja) 1999-11-25 1999-11-25 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33445799A JP2001154000A (ja) 1999-11-25 1999-11-25 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001154000A true JP2001154000A (ja) 2001-06-08

Family

ID=18277610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33445799A Pending JP2001154000A (ja) 1999-11-25 1999-11-25 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001154000A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6324280B2 (ja)
US5663005A (en) Self-supporting or supported phosphor screen or panel
JPS59139000A (ja) 放射線像変換方法
JPS58223099A (ja) 放射線増感スクリ−ンの製造法
JPS59162498A (ja) 放射線像変換パネル
JPS59138999A (ja) 放射線像変換パネル
JPS59162499A (ja) 放射線像変換パネル
US6479834B1 (en) Double-side reading system for reproducing radiation image
JP2001154000A (ja) 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法
JP3868667B2 (ja) 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法
JP3269735B2 (ja) 放射線像変換パネル及びその製造方法
JPH0339600B2 (ja)
JP3854000B2 (ja) 両面集光読取方法用放射線像変換パネル
JP2000329899A (ja) 放射線像変換パネルの蛍光体層塗布液の調製方法、および放射線像変換パネルの製造方法
JP2001305295A (ja) 放射線像変換パネルの製造方法
JPH02176600A (ja) 放射線像変換パネル
JP2000284097A (ja) 放射線像変換パネル
JP2996622B2 (ja) 自己支持又は被支持リン光体スクリーン又はパネル
JP2000249793A (ja) 放射線像変換パネル
JP2001091700A (ja) 放射線像変換パネル用下塗り層塗布液の調製方法、放射線像変換パネルの製造方法、および放射線像変換パネル
JP2004239812A (ja) 放射線像変換パネル
JP2000310699A (ja) 放射線像変換パネル
JPS63179300A (ja) 放射線増感スクリ−ンおよび放射線像形成方法
JPS62110199A (ja) 放射線増感スクリ−ンおよび放射線画像形成方法
JP2001174594A (ja) 放射線像変換パネルの製造方法