JP2001153995A - 酸性水溶液中からテクネチウムを環状アミド化合物により分離回収する方法 - Google Patents

酸性水溶液中からテクネチウムを環状アミド化合物により分離回収する方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性水溶液中に存在するTc(VII)イオ
ン(化学形はTcO4 -)を、環状アミド化合物を用いて
抽出する方法。 【解決手段】 使用済核燃料の再処理工程におけるテク
ネチウム除染工程からのTc含有酸性溶液をTBP抽出
溶媒で抽出処理してU、Puを抽出溶媒に回収し、その
Tc含有抽出残液を環状アミド抽出溶媒で抽出処理して
Tcを抽出溶媒に回収し、そのTc含有抽出溶媒を炭酸
塩ストリップ液で逆抽出してTcを回収する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸性水溶液中に存在
するTc(VII)イオン(化学形はTcO4 -)を、環
状アミド化合物を用いて抽出する方法に係わる。本発明
は、特に、使用済核燃料のピューレックス法再処理工程
の第一サイクルに設けられたテクネチウム除染工程から
出てくるストリップ液(テクネチウムを含有する)を対
象とし、その中に含まれるウラン、プルトニウムが、リ
ン酸トリブチル(TBP、抽出剤)によって回収された
後の廃液中から、テクネチウムを回収するために用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】使用済核燃料の再処理工程においては、
核分裂性物質であるウラン、プルトニウムが分離回収さ
れる。又核分裂生成物の一つであるテクネチウムは、酸
性水溶液中ではTc(VII)イオン(化学形はTcO
4 -)として存在し、上記第一サイクルにおいて、ウラ
ン、プルトニウムと共に抽出され易い。Tc(VII)
イオンがウランとプルトニウムを分離する分配工程に流
れ込むと、その触媒的作用により、ウランとプルトニウ
ムの酸化還元反応等が影響を受け、結果としてその分離
性能が悪化する。そのため、最近の再処理工場では、第
一サイクルにテクネチウム除染工程を設け、ウラン、プ
ルトニウムを抽出した有機溶媒からテクネチウムを洗浄
除去し、そのテクネチウムは最終的に高レベル廃液に入
れられる。このテクネチウムについては、分離回収する
方策は何ら取られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】テクネチウム(Tc)
は最終的に高レベル廃液に入れられるため、その処理処
分戦略ではガラス固化体として深地層処分場に処分され
る。この廃棄物固化体は、超長期的には地下水に浸食さ
れ、含まれる放射性核種は地下水中に浸出して様々な移
行機構と経路によりバリアーとしての地層中を移動す
る。Tcは99Tcという長半減期(約21万年)核種で
あって崩壊による放射能減衰は期待出来ない。
【0004】さらにTcO4 -という陰イオンが安定であ
るので、地層中での移行速度が比較的大きいとされる。
その結果、廃棄物深地層処分におけるリスク評価では問
題核種となっている。そこで、Tcの高レベル廃液から
の分離回収と核反応によるその安定化が検討されている
が、未だに満足できる化学分離法は開発されていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、使用済核燃料
の再処理工場において、Tcが高レベル廃液に入り込む
前、即ち、再処理工程の第一サイクルに設けられたテク
ネチウム除染工程(ウラン、プルトニウムを抽出した有
機溶媒からテクネチウムを洗浄除去する工程)から出て
くるTcストリップ液(Tcを含有する硝酸酸性水溶
液)について、その中に含まれるウラン、プルトニウム
をリン酸トリブチル(TBP、抽出剤)溶媒によって回
収した後の抽残液から、環状アミドによりTcを抽出分
離するものである。
【0006】即ち、本発明は、使用済核燃料の再処理工
程におけるテクネチウム除染工程からのTc含有酸性溶
液を、TBP抽出溶媒で抽出処理してU、Puを抽出溶
媒に回収し、そのTc含有抽出残液を環状アミド抽出溶
媒で抽出処理してTcを抽出溶媒に回収し、そのTc含
有抽出溶媒からTcを炭酸塩ストリップ液で逆抽出して
回収する方法である。
【0007】これは、高レベル廃液中からTcを分離す
るよりも優れて有利である。なぜなら、高レベル廃液中
には極めて多種多量の核分裂生成物が存在しており、T
cを高純度で分離する目標を達成するには、困難が予想
されるからである。
【0008】高い酸性度の上記水溶液からのTcの選択
的分離回収には、カルボニル官能基を有する環状アミド
化合物、即ち、C4 7 1 CONR2 (バレロラクタ
ム:6員環)又はC5 9 1 CONR2 (カプロラク
タム:7員環)(ここでR1,R2 は有機鎖)〔有機鎖
のR1 はC6 13(ヘキシル基)、C8 17(オクチル
基)等であり、R2 はC8 17(オクチル基)、C4
9 (C2 5 )CHCH2 (2−エチルヘキシル基)等
である〕を用いる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における、使用済核燃料の
ビューレックス法再処理工程の第一サイクルに設けられ
たテクネチウム除染工程から出て来る、U、Puを負荷
した抽出溶媒を洗浄したTc含有ストリップ液(U、P
uが残存する)から、Tcを環状アミド化合物を使用し
て抽出分離する工程を図2に基づいて説明する。
【0010】(1) 再処理ビューレックス工程第一サ
イクルのU、Pu共抽出工程において、使用済燃料溶解
液をTBP抽出溶媒と向流接触させて溶媒中にU、Pu
を抽出する(この有機溶媒には大部分のTcも抽出され
る)。この抽出溶媒を共抽出工程の末端で洗浄液で洗浄
後、テクネチウム除染工程に導入する。その際に生じた
共抽出工程の抽出残液は高レベル廃液として集められ
る。
【0011】(2) テクネチウム除染工程において、
共抽出工程からの抽出溶媒をTcストリップ液である5
M硝酸水溶液と向流接触させてTcを酸溶液に逆抽出
し、この溶液をTcストリップ液として取り出す。Tc
が酸溶液で洗浄除去された後の精製U、Pu含有溶媒を
除染工程の末端で洗浄液で洗浄して除染工程から回収す
る。
【0012】(3) U−Pu抽出段において、テクネ
チウム除染工程から取り出された一部のU、Puを含有
するTcストリップ液をTBP抽出溶媒と向流接触させ
てU、Puを抽出溶媒中に抽出回収し、抽出段末端で洗
浄液で洗浄後U、Pu再処理主工程に循環する。一方、
抽出されなかったTcを含有する抽出残液をこの抽出段
からTcフィードとして取り出す。なお、従来は、この
Tc含有抽残液は高レベル廃液貯槽に導入されてガラス
固化体処理されていた。
【0013】(4) Tc抽出段において、U−Pu抽
出段から取り出されたTcフィードを環状アミド抽出溶
媒と向流接触させてTcを抽出する。Tc含有抽出溶媒
はTc抽出段の末端で洗浄液で洗浄した後Tc逆抽出段
に導入する。その際に生じたこの抽出段における抽出残
液は高レベル廃液に集められる。
【0014】(5) Tc逆抽出段において、Tc抽出
段から取り出されたTc含有抽出溶媒をストリップ液
(炭酸塩溶液)と向流接触させ、Tcをストリップ液中
に逆抽出した液をTcプロダクトとしてこの抽出段から
取り出す。Tcを含有しない使用済環状アミド抽出溶媒
を環状アミド抽出溶媒としてTc抽出段にリサイクルし
て再使用する。
【0015】
【実施例】次の3種類の環状アミド抽出剤が使用され
た。
【0016】(1) 3−オクチル−N−(2−エチル
ヘキシル)カプロラクタム(3OEHCLA)と5−オ
クチル−N−(2−エチルヘキシル)カプロラクタム
(5OEHCLA)の混合物(3,5,OEHCLAと
略す) (2) 3−オクチル−N−オクチルカプロラクタム
(3OOCLA)と5−オクチル−N−オクチルカプロ
ラクタム(5OOCLA)の混合物(3,5,OOCL
Aと略す) (3) 3−オクチル−N−(2−エチルヘキシル)バ
レロラクタム(3OEHVLA)と4−オクチル−N−
(2−エチルヘキシル)バレロラクタム(4OEHVL
A)の混合物(3,4,OEHVLAと略す)をそれぞ
れn−ドデカンで希釈して抽出剤濃度を1.0mol/
dm3とした有機溶媒を、1.15×10-3mol/d
3のHTcO4 を含む硝酸水溶液と攪拌して平衡にさ
せた。
【0017】その際のTc(VII)イオンの抽出分配
比;DTcの硝酸濃度依存性を図1に示す。硝酸濃度1m
ol/dm3付近では、3,4,OEHVLAによるD
Tcは約10であった。図1から、3種類の環状アミド化
合物がTc抽出溶媒として使用することができるが、
3,4,OEHVLAが最も適していることがわかる。
【0018】
【発明の効果】本発明における、使用済核燃料のピュー
レックス法再処理工程の第一サイクルに設けられたテク
ネチウム除染工程から出てくるストリップ液から、リン
酸トリブチル抽出溶媒によってU、Puを回収した後の
廃液を環状アミド抽出溶媒でTcを回収することによ
り、従来の高レベル廃棄物としての固化−処分方式にお
けるテクネチウムの浸出、移行の影響に関する課題を解
決するとともに、従来考えられていた高レベル廃液中か
らTcを分離する方式よりもより効率的にTcを回収す
ることができた。それは、高レベル廃液中には極めて多
種多量の核分裂生成物が存在しており、Tcを高純度で
抽出分離することが困難であるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1.0mol/dm3環状アミドードデカン
によるTc抽出分配比(DTc)の硝酸濃度依存性を示す
図である。
【図2】 再処理抽出工程の第一サイクルにおける本法
によるテクネチウムの抽出分離フローシートを示す図で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状アミド化合物、即ち、C4 7 1
    CONR2 (バレロラクタム:6員環)又はC5 9
    1 CONR2 (カプロラクタム:7員環)(ここで
    1 ,R2 は有機鎖)を用いて、酸性水溶液からテクネ
    チウムを選択的に分離回収する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100961832B1 (ko) 2008-04-25 2010-06-08 한국원자력연구원 고 알카리 탄산염 용액 계를 사용하는 사용후핵연료의우라늄 분리회수방법과 그 장치

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