JP2001153775A - 押込硬さ試験方法及び押込硬さ試験装置 - Google Patents

押込硬さ試験方法及び押込硬さ試験装置

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JP2001153775A
JP2001153775A JP34000899A JP34000899A JP2001153775A JP 2001153775 A JP2001153775 A JP 2001153775A JP 34000899 A JP34000899 A JP 34000899A JP 34000899 A JP34000899 A JP 34000899A JP 2001153775 A JP2001153775 A JP 2001153775A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧子の押込条件の設定が容易であり、試料表
面の環境条件の影響を受けることなく試料硬さを測定で
きる押込硬さ試験方法及び試験装置を提供する。 【解決手段】 本発明の押込硬さ試験方法は、圧子押込
面積が圧子押込深さの2乗に比例する先端部形状を有す
る圧子を用い、試料と該試料よりも充分大きい厚さを有
する基板とに前記先端部を押込んだ際の基板変形面積で
圧子押込面積を近似し基板変形深さで圧子押込深さを近
似し、(a)試料厚さよりも充分大きい圧子押込深さを得
る試験荷重を複数条件設定し、(b)試験荷重を負荷して
前記先端部を基板中にまで押込んで圧子押込深さを測定
し、(c)圧子押込面積を求め、圧子押込面積で試験荷重
を除した試験値を算出し、(d)前記(b)及び(c)を各試
験荷重ごとに繰返し、(e)試験値を圧子押込深さの逆数
についての一次式で表わす実験直線の傾きを求め、(f)
該傾きから試料硬さを求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押込硬さ試験方法
及び押込硬さ試験装置に関する。さらに詳しくは、鉄鋼
材料など各種の素材製造分野、半導体デバイス等に用い
られる機能性薄膜等の薄膜関連分野、精密機械分野、又
は、摩擦、磨耗若しくは潤滑等の現象解明等を行なうト
ライボロジー分野等において利用する押込硬さ試験方法
及び押込硬さ試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】基板上に真空蒸着やイオンスパッタリン
グ等の成膜技術により形成された厚さおよそ数μmまで
の膜を一般に薄膜という。かかる薄膜は、基板素材の性
質の改良ができるという観点は勿論のこと、基板素材に
ない性質を基板に付加し得るという観点から、現在の科
学技術において重要な地位をしめている。そして、薄膜
を評価するに際して、薄膜の形成の良否が薄膜の硬さに
も現われてくることから、その硬さを調べる硬さ試験は
極めて重要な意義を有する。
【0003】このような薄膜の硬さを測定する薄膜硬さ
試験装置としては、ヌープ(Knoop)硬さ試験装置、ブリ
ネル(Brinell)硬さ試験装置、ビッカース(Vickers)硬さ
試験装置、マイクロビッカース(micro-Vickers)硬さ試
験装置、ウルトラマイクロビッカース硬さ試験装置等が
実用化され、市販されている。また、薄膜の硬さを薄膜
の厚さの関数として測定するダイナミックスウルトラマ
イクロビッカース硬さ試験装置も市販されている。
【0004】これらのヌープ硬さ試験装置、ブリネル硬
さ試験装置、ビッカース硬さ試験装置、マイクロビッカ
ース硬さ試験装置、ウルトラマイクロビッカース硬さ試
験装置においては、硬さは、一般的には、測定子である
圧子にかけた試験荷重を、変形した面積で除した量で定
められる。変形した面積とは、圧子に試験荷重を負荷
し、圧子の先端部が試料中に潜込み部分(以下、押込部
分という)を生ぜしめた、その押込部分の面積によって
表わすものとし、以下、圧子押込面積という。
【0005】ビッカース硬さ試験であれば、通常、ダイ
アモンドで作られる四角錐形(対面角α=136°)の圧
子に試験荷重P(mN)を負荷して圧子を試料に押込み、
試験荷重を除荷したのちのくぼみの対角線の長さL(μ
m)から求めたくぼみの表面積で除した値を硬さの値Hv
(Hv=189.09P/L2)として求めるのである。
【0006】圧子に負荷することができる試験荷重は、
例えば、ブリネル硬さ試験装置は500〜3000k
g、ヌープ硬さ試験装置、マイクロビッカース硬さ試験
装置では1〜1000g、ウルトラマイクロビッカース
硬さ試験装置やダイナミックスウルトラマイクロビッカ
ース硬さ試験装置では1〜1000mgである。
【0007】一般に、薄膜の硬さを測定するためには、
前述したような硬さ試験装置においては、圧子の先端の
薄膜への押込深さが薄膜の厚さよりも充分小さいことが
必要とされている。この条件を満足するためには、圧子
に負荷する試験荷重を軽くしなければならない。圧子に
かける試験荷重が軽ければ、測定される硬さは薄膜表面
状態、即ち、温度、湿度、空気の流れ、振動、騒音など
測定の環境に極めて敏感に影響される。
【0008】つまり、薄膜の厚さが薄ければ薄いほど、
前述のmg単位の荷重のような極めて微細な試験荷重を
設定する必要があり、従って、これらの試験条件の設定
には試験環境への配慮が必要であり、かなりの熟練を要
することとなる。この点が薄膜硬さ試験のネックとなっ
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した問
題点に鑑みてなされたものであり、圧子の押込条件の設
定が容易であり、試料表面の環境条件の影響を受けるこ
となく試料硬さを測定できる押込硬さ試験方法及び押込
硬さ試験装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決すべ
く、本発明の請求項1に係わる押込硬さ試験方法は、圧
子の先端部を試料表面に押込んで試験荷重を圧子押込面
積で除して試料硬さを求める押込硬さ試験方法におい
て、圧子押込面積が圧子形状因子係数を比例係数として
圧子押込深さの2乗に比例する先端部形状を有する圧子
を用い、試料と、該試料よりも充分大きい厚さを有する
とともに試料を上面に配設してなる基板とに前記先端部
を押込んだ際の基板変形面積で圧子押込面積を近似し基
板変形深さで圧子押込深さを近似するものとし、(a)試
料厚さよりも充分大きい圧子押込深さを得る試験荷重を
複数条件設定し、(b)試験荷重を圧子に負荷して前記先
端部を基板中にまで押込んで圧子押込深さを測定し、
(c)圧子押込深さを2乗し圧子形状因子係数を乗じて圧
子押込面積を求め、圧子押込面積で試験荷重を除した試
験値を算出し、(d)前記(b)及び(c)を各試験荷重ごと
に繰返し、(e)試験値を圧子押込深さの逆数についての
一次式で表わす実験直線の傾きを求め、(f)該傾きから
試料硬さを求めることを特徴とする。
【0011】前述した構成により、圧子押込深さが試料
厚さよりも充分大きい値として設定されるので、圧子が
試料厚さを超えて押込まれることにより、微細な圧子押
込深さを設定する必要がなく、従って、微細な試験荷重
を設定する必要がなく、試料表面の環境条件の影響を殆
ど受けることがなく、試験荷重等の押込条件の設定が容
易である。
【0012】ステップ(f)で算定する試料硬さが試料の
みの硬さである。また、圧子押込面積は、圧子の先端部
が試料を突き破って基板中に押込まれて圧子の先端部が
基板及び試料に接する面積を表わし、圧子押込深さは、
試料表面から、基板中にまで押込まれた圧子先端部まで
の距離を表わす。
【0013】本発明においては、実験直線を最小2乗法
によって得ることができるので、計測値を統計的根拠に
基づいて処理して実験直線を得ることができる。
【0014】本発明に係わる押込硬さ試験装置は、請求
項1記載の押込硬さ試験方法に従う試験を行なう押込硬
さ試験装置であって、該試験装置が試験荷重発生手段と
硬さ測定手段と試料硬さ算定手段とを備え、試験荷重発
生手段は前記各試験荷重ごとに試験荷重を圧子に負荷し
て前記先端部を基板中にまで押込み、硬さ測定手段は圧
子押込深さ計測手段を備えて各試験荷重ごとに圧子押込
深さを測定し、圧子押込深さの2乗で求めた圧子押込面
積で試験荷重を除した試験値を算出し、試料硬さ算定手
段は記憶手段及び演算手段を有し、記憶手段は圧子押込
深さと試験値とを各試験荷重ごとに記憶し、演算手段は
試験値を圧子押込深さの逆数についての一次式で表わす
実験直線の傾きを求めて試料硬さを求めることを特徴と
する。
【0015】従来の押込硬さ試験装置に簡単な構成の演
算回路等を含む試料硬さ算定手段を付加し、硬さ測定手
段が圧子深さ計測手段を有するだけで本押込硬さ試験装
置を構成できる。該構成により、押込条件の設定が容易
であり、かつ、試料表面の環境条件の影響を受けること
がない、しかも、測定値のデータ処理計算を容易にでき
る押込硬さ試験のできる押込硬さ試験装置を得る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、本
発明の実施の形態について説明する。
【0017】本発明においては、薄膜等の試料の硬さを
測定するに際し、硬さHv(GPa)の定義自体は、従来
と同様、圧子に負荷した試験荷重(以下、単に荷重とい
うことがある)W(N)を、圧子の作用で変形した面積S
(m2)で除したものとして表わすが、圧子の押込み方法
が従来と全く相違する。
【0018】即ち、本発明においては、薄膜等の試料を
基板上に配設しておき、圧子の先端部を基板中にまで押
込む。従って、圧子押込深さは、試料表面から、基板中
にまで押込まれた圧子先端部までの距離をいう。
【0019】圧子押込深さをd、薄膜厚さをδと表わす
とき、従来の測定方法では、d≪δ、であり、圧子が基
板中にまで押込まれることはない。これに対し、本発明
においては、圧子は薄膜を突き破り基板のかなりの深さ
まで押込まれるので基板が必要である。荷重は、基板と
薄膜とがともに弾性限界内にあるものとするが、従来よ
りもかなり重いものまで設定可能となる。
【0020】圧子を基板にまで押込むという観点では、
従来の測定方法では、基板は、単に試料を載置する試料
台(ステージ)であるにすぎない。よって、従来のように
微細な荷重を設定する必要がなく、試料表面の環境条件
の影響を殆ど受けない。
【0021】また、本発明においては、試料としての薄
膜等は、基板上に単に載置するだけで配設してもよく、
基板上に基板に密着して成膜して配設したものであって
もよい。以下の説明においては、試料として薄膜を用い
る場合を説明する。
【0022】試料は、通常、薄膜を意味する前記厚さ数
μmを超えるような膜状試料であってもよい。即ち、本
発明は、鉄鋼材料など各種の素材製造分野、半導体デバ
イス等に用いられる機能性薄膜等の薄膜関連分野、精密
機械分野、又は、摩擦、磨耗若しくは潤滑等の現象解明
等を行なうトライボロジー分野等において対象とする膜
状試料であれば適用できる。
【0023】以下、測定原理を詳細に説明する。以下の
説明において、圧子に負荷する荷重をW、基板に分配さ
れる荷重をWs、薄膜に分配される荷重をWfと記載す
る。また、圧子の先端部が薄膜を突き破って基板中にま
で押込んだときの圧子が接する薄膜及び基板の面積であ
る圧子押込面積をS、基板が変形した基板変形面積をS
s、薄膜(即ち、試料)が変形した試料変形面積をSfと表
わす。
【0024】さらに、基板の硬さをHvs、薄膜の硬さ
(試料硬さ)をHvf、圧子を押込んだ際の薄膜の表面から
基板中にまで押込まれた圧子先端部までの距離である圧
子押込深さをd、のようにそれぞれ表わすものとする。
また、以下の実施の形態において、圧子押込面積で荷重
を除した値を試験値という。
【0025】本発明で用いる圧子は、圧子押込面積が、
圧子押込深さの2乗に比例するという関係にある(S=
αd2)先端部形状を有するものを用いることを前提とす
る。この関係を有するものとして、例えば、ビッカース
押込硬さ試験における圧子のように先端部が四角錐等の
角錐状の尖形の圧子、又はブリネル押込硬さ試験におけ
る圧子のように球状の圧子を用いる。ただし、比例係数
αは圧子の形状に由来する因子である定数(以下、圧子
形状因子係数という)である。
【0026】よって、この関係(S=αd2)が成立する
圧子として、圧子を試料に押込む方式の、他の従来の押
込硬さ試験、即ち、ヌープ硬さ試験、ブリネル硬さ試
験、マイクロビッカース硬さ試験、ウルトラマイクロビ
ッカース硬さ試験等の圧子も適用できる。
【0027】薄膜の厚さδ(数μm〜数10μm程度以
下)を予め求めておき、これに対して充分厚い厚さt(数
mm以上、δ≪t)の基板を準備する。試料厚さよりも
充分大きい圧子押込深さを得て(δ≪d)基板中にまで圧
子の先端部を押込めるように試験荷重を複数条件設定す
る。ここで、圧子押込深さdのうち、基板への押込深さ
d−δに対して、薄膜の厚さδが10分の1以下である
ように押込深さを設定する(ステップ(a))。
【0028】そして、それぞれ試験荷重を圧子に負荷し
て圧子押込深さを測定する(ステップ(b))。次に、圧子
押込深さを2乗し圧子形状因子係数を乗じて圧子押込面
積を算出し、圧子押込面積で試験荷重を除して試験値を
算出する(ステップ(c))。この様子を図1に示す。図1
は、圧子5にかける試験荷重が重いために、圧子5の先端
部は厚さδの薄膜6を破って基板7中に深さdだけ押し込
められた様子を示す。
【0029】次に、ステップ(b)及び(c)を、複数条件
の試験荷重ごとに繰返す(ステップ(d))。
【0030】ここで、試料である薄膜の硬さ(試料硬さ)
を求める根拠を説明する。一般に、圧子に負荷した荷重
は基板と薄膜とに分配され、
【数1】 W=Ws+Wf (式1) となる。この関係を基板の硬さHvsと薄膜の硬さHvf
で書き直すと、
【数2】 Hv・S=Hvs・Ss+k・Hvf・Sf (式2) となる。
【0031】ここで、kは、薄膜のアブレッシブ磨耗と
薄膜の硬さとを関係付ける係数である。この係数は経験
的に決めており、k=1とおいて大きくは間違いがない
ので、以下、k=1として説明するが、変更されること
も有り得る。
【0032】前述した圧子の形状に関する、圧子押込面
積が、圧子押込深さの2乗に比例する関係、即ち、S=
αd2という関係と、圧子押込深さdに比較して薄膜の
厚さδが充分薄い(δ≪d)ことと、試料変形面積を無視
することができること、とにより、SsはSにほぼ等し
いと近似することができ、同時に、薄膜と基板とに圧子
を押込んだ際の基板変形面積で圧子押込面積を近似し、
基板変形深さで圧子押込深さを近似する。
【0033】このようにSsとSとを近似できる条件範
囲は、測定する硬さに関する所望の測定精度に応じて定
めることができる。
【0034】如かして、Ss=Sであるので、式2は、
式3のように書き直せる。
【数3】 (Hv−Hvs)・S=Hvf・Sf (式3)
【0035】また、薄膜が変形した試料変形面積S
fは、
【数4】 Sf=α(d+δ)2−αd2=2αδd+αδ2≒2αδd (式4) そして、薄膜が薄いので、S=αd2と表わすことがで
きることにより、
【数5】 Sf/S=2(δ/d) (式5) と表せる。
【0036】よって、式5と、圧子押込面積Sと圧子押
込深さdとの関係が、S=αd2、であることとから、
【数6】 (Hv−Hvs)=2(δ/d) ・Hvf =2δ・Hvf・(1/d) (式6) の関係を得ることができる。
【0037】従って、薄膜の硬さHvfは、式6から、
(Hv−Hvs)と、(1/d)との関係における実験直線の傾
き2δ・Hvfによって表わされていることになる。そこ
で、前記試験値として求めうるのは(Hv−Hvs)であ
り、(Hv−Hvs)を試験値として計測して、該実験直線
の傾き2δ・Hvfを求めれば、予めδが既知として、H
vfは直ちに得られるのである。
【0038】換言すれば、薄膜の硬さHvfは、試験値で
ある(Hv−Hvs)が、圧子押込み深さの逆数である(1/
d)についての一次式によって表わされるときの実験直
線の傾きに含まれて表わされる。
【0039】次に、この直線を実験的に求めることにな
る(ステップ(e))。ステップ(e)として、前述した式1
〜式5等から得られる式6の関係を利用し、ステップ
(d)で得た試験値及び圧子押込深さから実験直線を求め
る。
【0040】例えば、図2に示したように、(Hv
vs)を縦軸とし、(1/d)を横軸として規定される平面
上の点としてこれらの試験値及び圧子押込深さをプロッ
トし、試験値及び圧子押込深さのばらつきを統計的に、
例えば、最小2乗法によりまとめて実験直線を得る。測
定点数は、3点以上が好ましく、多ければ多いほど精度
が向上する。
【0041】そして、この実験直線の傾きGを求める
と、その直線の傾きGは、前述したように、2δ・Hvf
であるので、薄膜の硬さHvfを直ちに求めることができ
る(ステップ(f))。ここで測定された薄膜の硬さは、そ
の薄膜の平均的な硬さである。
【0042】以上に説明したように試料硬さを求めるこ
とができるので、適当な試験荷重発生手段と硬さ測定手
段を用い、圧子にかける試験荷重を幾通りか複数条件設
定し、各試験荷重条件で試験荷重を圧子に負荷して基板
中にまで圧子の先端部を押込んで圧子の先端部が基板中
で充分停止し除荷する直前の試験値と圧子押込深さとを
測定すればよい。
【0043】このとき、試験値及び圧子押込深さの逆数
から最小2乗法により実験直線を得ると、統計的根拠に
基づいて処理して実験直線を得ることができ、実験直線
を簡単な演算処理で正確に得る利点がある。また、後述
するように、マイクロコンピュータ等で演算処理するに
も、よく知られた高速の処理フロー等が利用でき、計測
値のデータ処理計算を容易にできるので、好都合であ
る。
【0044】尚、図2に示した例では、基板としてステ
ンレス鋼SUS304の表面にビームミキシング法で約
300nmの厚さの窒化チタン薄膜を被覆したものを試
料として、圧子に10gf、20gf、80gf、15
0gfの各試験荷重を負荷し、圧子押込深さと試験値と
を求めた。
【0045】次に、図2に示すように、(Hv−Hvs)を
縦軸とし、(1/d)を横軸として規定される平面上に、
計測値Pexpである試験値及び圧子押込深さの逆数をプ
ロットして得た実験直線Lexpである、(Hv−Hvs)≒2
δ・Hvf・(1/d)、を示す。この場合、試料硬さとし
ての薄膜の硬さは187GPaとなった。
【0046】この、薄膜への圧子先端部の押込みに関
し、薄膜の厚さは10μm以下のような薄膜であっても
対象とすることができるので、例えば、半導体基板上に
形成された導電膜等、種々の気相成長法等によって形成
するような厚さの極めて薄い薄膜の薄膜硬さを容易に計
測でき、薄膜の厚さによらず簡便に精密な硬さ測定がで
きる利点がある。
【0047】以上のようにして、圧子押込深さを、試料
厚さを超えて設定するので、微細な試験荷重及びその試
験荷重による圧子押込深さを設定する必要がなく、試料
表面の環境条件の影響を受けることが殆どなく、試験荷
重等の押込条件の設定が容易である。従って、押込条件
の設定に関する熟練は要することなく簡単な操作だけで
試料のみの硬さを容易に得るという画期的な効果を本発
明は奏するのである。
【0048】つぎに、本発明に係わる押込硬さ試験装置
について説明する。図3は、本発明に係わる押込硬さ試
験方法を実施できる押込硬さ試験装置の構成を概念的に
示すブロック図である。
【0049】即ち、本押込硬さ試験装置は、従来と同様
に、押込硬さ試験制御手段10、圧子5、試験荷重発生手
段11、圧子深さ計測手段(図示せず)を有する硬さ測定手
段12、等、を備えるとともに、記憶手段21及び演算手段
22を有する試料硬さ算定手段20を備える。試料としての
薄膜6は、基板7上に配設されており、薄膜及び基板は試
料台19上に載置される。
【0050】所望により、硬さ試験結果等を記録紙や記
録媒体等に出力したりできる出力手段17(プリンタ、プ
ロッタ、又は、記録媒体への書込み装置等)を接続する
ように構成してもよい。
【0051】圧子5としては、例えば、前述した四角錐
形の先端部を有するビッカース圧子を用いる。圧子の材
料は一般的にはダイアモンドが採用される。ダイアモン
ド並みの硬さを有する超硬材料であってもよい。先端部
の形状は、前述したように、圧子押込面積と、圧子押込
深さとの関係がS=αd2の関係が成立するものを用い
る。
【0052】基板7は、本発明においては、試料である
薄膜6をできるだけ密着して配設でき、圧子5を薄膜6と
も押込むことができるものが必要である。しかしなが
ら、一般的には、種々の組合せが可能である。
【0053】例えば、基板7としてステンレスSUS3
04、薄膜6として窒化チタン(TiN)、薄膜の厚さ
は、150nm程度、圧子押込深さが薄膜の厚さに比較
して充分大きいこと、密着性は高ければ高いほどよい。
しかし、薄膜と基板とが弾性限界内にあって、破壊等が
生じなければ、圧子と薄膜とが基板に接している限り問
題はない。
【0054】押込硬さ試験制御手段10は、試験装置全体
の動作を制御し、試験荷重発生手段11は、圧子を押込む
ための試験荷重としての静荷重を発生する。例えば、1
0、20、80、150(×9.8×10N/m2=gf
/cm2)等、押込速度は、1.4gf/sec程度が、
圧子先端部の押込がスムーズであり、電磁気的制御によ
って押込速度を精度よく実現しやすいので好適である。
しかし、任意に設定してよい。
【0055】硬さ測定手段12は、圧子押込深さ計測手段
を備える。硬さ測定手段12は、圧子5が薄膜6及び基板7
に押込まれた際の除荷する直前の静荷重である荷重値を
検出するとともに、圧子押込深さ計測手段により圧子押
込深さを測定し、その2乗によって得た圧子押込面積に
よって前記荷重値を除して試験値を求める。
【0056】圧子押込深さ計測手段は、圧子5の先端部
の、薄膜6及び基板7までの押込みによる変位量(薄膜表
面から圧子先端部までの距離)を計測できるものであれ
ばよく、レーザ光による変位測定装置や電磁的アクチュ
エータを応用したものを用いることができる。
【0057】本発明においては、圧子押込深さと試験値
とを各試験荷重ごとに記憶する記憶手段21が設けられて
いる。記憶手段21は、これらの圧子押込深さと試験値と
を試験荷重ごとに複数組み記憶するとともに、演算手段
22において前記実験直線を得てその傾きGを算定するた
めの他の定数等を記憶するため、所要の記憶容量を有す
るものであることが好ましく、例えば、RAM及びRO
M等の記憶媒体を備える。
【0058】演算手段22は、例えば、前記試験値(Hv
vs)を縦軸、圧子押込深さの逆数(1/d)を横軸として
規定される平面上に圧子押込深さと試験値とをプロット
するようにして、実験直線及びその傾きGを求める。従
って、演算回路や論理回路を備えて、この実験直線の傾
きGを、例えば、最小2乗法により求める。
【0059】以上の記憶手段21及び演算手段22を合わせ
た試料硬さ算定手段20におけるデータ処理等をコンピュ
ータにより読取可能及び実行可能なコンピュータプログ
ラム化してマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピ
ュータ等に記憶させて、実行させてもよい。
【0060】この場合、例えば、前記マイクロコンピュ
ータを別の押込硬さ試験制御装置に予め搭載したり、前
記コンピュータプログラムを搭載してパーソナルコンピ
ュータを押込硬さ試験制御装置に接続したりして本発明
に係わる押込硬さ試験方法をさらに容易に実施すること
ができ、試験環境設定に熟練していないオペレータであ
っても押込試験条件等を容易に設定して実施することが
できる。
【0061】このようにして、本発明に係わる押込硬さ
試験装置は、従来の押込硬さ試験装置に、簡単な演算回
路等を含む試料硬さ算定手段を付加し、硬さ測定手段が
圧子押込深さ計測手段を有するだけで構成することがで
き、押込条件の設定が容易で、かつ、硬さ試験の実施に
際して試料表面の環境条件の影響を受けることがない。
【0062】以上のようにして、押込硬さ試験装置を構
成して本発明に係わる押込硬さ試験方法に従って硬さ試
験を行うことにより、従来の押込硬さ試験装置において
は微細な試験荷重のみの設定であった試験荷重の負荷条
件の範囲を従来よりも重い範囲にまで大幅に広げること
ができる。
【0063】従って、従来、微細な試験荷重の条件設定
等が困難であった極めて薄い薄膜に対しても試験荷重を
容易に設定して薄膜のみの硬さを求めることができ、従
来の押込硬さ試験装置の適用範囲を大幅に広げるという
画期的な効果を奏する。
【0064】
【発明の効果】本発明は、押込硬さ試験方法において、
微細な荷重を設定する必要がなく、試料表面の環境条件
の影響を受けることが殆どなく、押込条件の設定に関す
る熟練を要することなく簡単な操作だけで試料のみの硬
さを容易に得るという画期的な効果を奏する。
【0065】従って、試験荷重の適用範囲が大幅に広く
なり、試験条件の設定に関する熟練を要することなく、
また特別の測定環境を設定するという配慮を要すること
なく薄膜等の試料の硬さ試験が実施できるようになると
いう画期的な効果を得る。
【0066】また、簡単な構成の試料硬さ算定手段及び
圧子押込深さ計測手段を従来の押込硬さ試験装置に付加
し、本発明に係わる押込硬さ試験方法に従って硬さ試験
を行うことにより、試験荷重の負荷条件の可能な幅を大
幅に広げることができる。よって、従来、試験荷重の条
件設定等が困難であった極めて薄い薄膜に対しても試験
荷重を容易に設定して薄膜のみの硬さを算定することが
でき、押込硬さ試験装置の適用範囲を大幅に広げる画期
的な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる測定原理を示す側面説明図。
【図2】本発明の一実施の形態によって得られた実験直
線を示すグラフ。
【図3】本発明に係わる押込硬さ試験装置の構成を概略
的に示すブロック図。
【符号の説明】
5…圧子、6…薄膜、10…押込硬さ試験制御手段、11…試
験荷重発生手段、12…硬さ測定手段、20…試料硬さ算定
手段、21…記憶手段、22…演算手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧子の先端部を試料表面に押込んで試験
    荷重を圧子押込面積で除して試料硬さを求める押込硬さ
    試験方法において、圧子押込面積が圧子形状因子係数を
    比例係数として圧子押込深さの2乗に比例する先端部形
    状を有する圧子を用い、試料と、該試料よりも充分大き
    い厚さを有するとともに試料を上面に配設してなる基板
    とに前記先端部を押込んだ際の基板変形面積で圧子押込
    面積を近似し基板変形深さで圧子押込深さを近似するも
    のとし、(a)試料厚さよりも充分大きい圧子押込深さを
    得る試験荷重を複数条件設定し、(b)試験荷重を圧子に
    負荷して前記先端部を基板中にまで押込んで圧子押込深
    さを測定し、(c)圧子押込深さを2乗し圧子形状因子係
    数を乗じて圧子押込面積を求め、圧子押込面積で試験荷
    重を除した試験値を算出し、(d)前記(b)及び(c)を各
    試験荷重ごとに繰返し、(e)試験値を圧子押込深さの逆
    数についての一次式で表わす実験直線の傾きを求め、
    (f)該傾きから試料硬さを求めることを特徴とする押込
    硬さ試験方法。
  2. 【請求項2】 前記実験直線を最小2乗法によって得る
    請求項1記載の押込硬さ試験方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の押込硬さ試験方法に従う
    試験を行なう押込硬さ試験装置であって、該試験装置が
    試験荷重発生手段と硬さ測定手段と試料硬さ算定手段と
    を備え、試験荷重発生手段は前記各試験荷重ごとに試験
    荷重を圧子に負荷して前記先端部を基板中にまで押込
    み、硬さ測定手段は圧子押込深さ計測手段を備えて各試
    験荷重ごとに圧子押込深さを測定し、圧子押込深さの2
    乗で求めた圧子押込面積で試験荷重を除した試験値を算
    出し、試料硬さ算定手段は記憶手段及び演算手段を有
    し、記憶手段は圧子押込深さと試験値とを各試験荷重ご
    とに記憶し、演算手段は試験値を圧子押込深さの逆数に
    ついての一次式で表わす実験直線の傾きを求めて試料硬
    さを求めることを特徴とする押込硬さ試験装置。
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