JP2001152176A - 潤滑剤分子量制御法並びに磁気ディスク,磁気ディスク装置 - Google Patents
潤滑剤分子量制御法並びに磁気ディスク,磁気ディスク装置Info
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Abstract
摺動信頼性を向上させる。 【解決手段】限外ろ過膜により数平均分子量5500以
上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%以
下、重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5 以下,
末端官能基の置換率が90%以上になるように制御した
パーフロロポリエーテル潤滑剤からなる潤滑膜を形成し
た磁気ディスクと該磁気ディスクを有し10000rpm
以上で回転可能な磁気ディスク装置。さらに、疎水性物
質の分画を可能とする処理を施した限外ろ過膜により分
子量と分子量分布の制御が可能となった。
Description
並びに磁気ディスク,磁気ディスク装置に関する。
ンピューターの高性能化に伴って、大容量化,小型軽量
化が急速に進展している。磁気ディスクの記録密度は年
率80%以上のスピードで増加を続けており、これに伴
ってデータの処理スピードの高速化も要求されている。
今後も市場では,パソコンやワークステーションのデー
タ処理能力の進歩に伴って、磁気ディスクの高記録密度
化つまりは、磁気ディスク装置の大容量化とデータ処理
スピードの高速化(データの高速転送)がさらに強く求
められると予想される。
ータの高速転送に伴って磁気ディスク装置の信頼性を左
右する磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダー間での摺
動状態はより過酷になっている。磁気ディスクの高記録
密度化のためヘッド浮上量の低下が進んでおり,すでに
浮上量hf(flying height)は、30nm以下にまで低
下している。このため,磁気ディスクと磁気ヘッド・ス
ライダーが接触摺動する機会が増加し、強い摩擦力や摩
耗が発生し易くなっている。
磁気ディスクの高速回転化が進められており、すでに市
場では10000rpm 以上の回転数で回転する磁気ディ
スク装置が発売されている。磁気ディスクを10000
rpm 以上で高速回転させると磁気ディスク表面に生じる
空気との剪断力と遠心力とによって磁気ディスク表面に
形成した潤滑膜(剤)が飛散し易くなる。また、スピン
ドルモーターの高速回転化と装置の小形化に伴う実装密
度の増大により装置内部の温度が上昇している。空気と
の剪断力と遠心力並びに装置内部の温度上昇は、磁気デ
ィスクの回転数の増大とともに高くなる傾向にある。潤
滑膜(剤)が飛散すると初期に設定した磁気ディスクと
磁気ヘッド・スライダー間の信頼性設計が維持できなく
なり、さらに前記ヘッド浮上量の低下も加わり、摺動信
頼性が大幅に低下する危険性がある。磁気ディスクと磁
気ヘッド・スライダー間での摺動信頼性が低下すると正
常な記録再生ができなくなるばかりか最悪の場合、磁気
ディスクのクラッシュによって記録したデータが消失す
る。従って、磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダー間
での摺動耐久性の確保は,磁気ディスク装置全体の信頼
性のなかでも最も重要な位置づけとなっており、今後の
記録密度の増大を実現するための最重要課題と言える。
磁気ディスクの高記録密度化とデータの高速転送を実現
するには潤滑剤自身の性能を向上させることは勿論のこ
と潤滑膜(剤)の飛散も低減して磁気ディスクと磁気ヘ
ッド・スライダー間での摺動耐久性を十分に確保する必
要がある。
は,潤滑剤とディスク表面との吸着力を強くする方法と
潤滑剤の分子量を高くする方法とが考えられる。潤滑剤
とディスク表面との吸着力を強くする方法については、
すでに市販されている10000rpm の磁気ディスク装置に
おいて高吸着性の潤滑剤を採用している。しかし、高吸
着性の潤滑剤は、飛散量は少ないものの、接触摺動耐久
性に効果的なフリー層(吸着が弱いかもしくは吸着され
ない潤滑剤の層)が確保できないため、摺動耐久性が低
下する問題があり、磁気ディスク用潤滑剤の機能として
十分とは言えない。
についてだが、少なくとも現在磁気ディスク用潤滑剤と
して広く使用されているZ−Dol(アウジモント社
製)潤滑剤で分子量が2000のものを4000程度に
しても回転数10000rpm 以上で回転する磁気ディス
ク装置での十分な耐飛散性を実現できない。このため、
潤滑剤の分子量を更に高くする必要がある。潤滑剤の分
子量を高くする技術としては、これまでに溶媒抽出法等
によって低分子量成分や不純物を除去する方法が特許番
号第2677074号,特開平5−20673号,特開平5−234066
号,特開平5−109053号,特開平6−215347号,特開平7
−141644号,特開平9−291296号,特開平9−157674号,
特開平10−53781 号に提案されている。溶媒抽出法は、
蒸留法や分取液体クロマト法等と比較して大規模な設備
を必要とせず、比較的精度良く、容易に目的とする平均
分子量や分子量分布の潤滑剤を得ることができる。しか
し、溶媒抽出法は、良溶媒と貧溶媒に対する各分子量の
溶解性の違いを利用して分画する手法のため、同じ分子
構造の潤滑剤でも分子量分布が異なる場合には良溶媒と
貧溶媒の比率をその都度変える必要がある。また、同じ
分子構造と分子量分布の潤滑剤でも温度や水分などの要
因によって良溶媒と貧溶媒に溶解する潤滑剤の分子量が
変化して目的とする平均分子量や分子量分布の潤滑剤を
得ることができないなどの問題がある。さらに、潤滑剤
の種類によっては末端官能基の置換率が低下したり、潤
滑剤の種類が変わった場合は溶媒の種類も変える必要が
あり、潤滑剤の種類に対しての汎用性に乏しい等の問題
もある。これらの事象は、本実施例と比較例に記載す
る。一方、分取液体クロマト法やGPC(ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフ)法,蒸留法で工業的に対応し
た相当量の潤滑剤を分子量制御するためには、大規模な
設備が必要となり経済的に不利である。
気ディスク装置の回転数は、今後も増大する傾向にあ
り、磁気ディスクの回転数の増大とヘッド浮上量の低下
に対して飛散しにくく摺動信頼性に優れる具体的な潤滑
膜(剤)の技術的な見通しが立たない状況にある。この
ため、摺動信頼性に優れる潤滑剤を表面に形成した磁気
ディスクやそれらを搭載した磁気ディスク装置が得られ
ていない。また、上記の分子量を高くする従来技術の課
題を解決した潤滑剤の分子量制御法が無いのが現状であ
る。
磁気ディスクには、数平均分子量が2000〜6000
程度のパーフロロポリエーテル潤滑剤が広く使用されて
おり、例えば商品名フォンブリンZ−DOL,フォンブ
リンAM2001(アウジモント社製)などが挙げられ
る。これら市販のパーフロロポリエーテル潤滑剤は、数
百から約15000程度までの分子量分布を有してい
る。高速回転による空気との剪断や装置内の温度上昇に
よってこの内の低分子量成分が優先的に飛散する。従っ
て、潤滑膜(剤)の飛散を低減するためには飛散し易い低
分子量の潤滑剤成分を予め除去した潤滑剤を用いて磁気
ディスク表面上に潤滑膜を形成する必要がある。
少なくなり、除去する低分子量側の分子量を高くするほ
ど平均分子量は高くなる傾向にある。一般に潤滑剤の飛
散は、分子量が高い程飛散しにくくなり、磁気ディスク
の回転数に応じて潤滑剤の平均分子量、つまりは除去す
る低分子量側の量や分子量を調整する必要がある。ただ
し、潤滑剤の平均分子量を高くする場合に下記の点に留
意しなければならない。
て潤滑剤の平均分子量の設定を考慮しなければならな
い。ヘッド浮上量の低下により磁気ヘッド・スライダー
はシ−ク時にも接触摺動し易くなり、これによりディス
ク表面の潤滑剤がスライダーの摺動部に集められ易くな
る。この様な状態の磁気ヘッド・スライダーは、ディス
ク起動時に強いスティクションを発生させ、さらに集め
られた潤滑剤の粘度が高くなる程(高分子量化)、より
スティクションが強くなる。従って、ディスク停止時に
磁気ヘッド・スライダーがディスク表面上に接触状態で
放置されるCSS方式の磁気ディスク装置では考慮すべ
き問題である。潤滑剤の粘度は一般に分子量の増大に伴
って高くなる。このため、磁気ヘッド・スライダーが潤
滑剤を掻き集めても強いスティクションが起こらない程
度の粘度(分子量)の潤滑剤を選択すべきである。ただ
し、上記CSS方式の磁気ディスク装置でもモーターの
トルクが強い場合にはある程度強いスティクションが発
生しても磁気ディスクを起動できるのでより高分子量の
潤滑剤、例えば平均分子量7000以上の潤滑剤の使用
も可能である。
イダーがディスクの面外に退避するロード/アンロード
方式では、磁気ヘッド・スライダーがディスク上にある
のは記録再生中に浮上する場合に限られるため、スティ
クションを特に考慮する必要はない。
に置換率の低下も防止しなければならない。平均分子量
を高くしても潤滑剤の吸着力を確保する末端官能基の置
換率が低下すると、潤滑剤は飛散してしまう。前記溶媒
抽出法では、貧溶媒に対しては末端官能基と親和性が強
いために選択的に末端に官能基のついた潤滑剤が溶解し
やすく、逆に良溶媒側には末端官能基を持たない潤滑剤
成分が優先的に溶解しやすくなる。このため、結果的に
は低分子量成分を除去した潤滑剤、すなわち良溶媒側の
潤滑剤は高分子量化するが末端官能基の置換率が低下す
る。
以上)に対して潤滑剤の低分子量成分を除去して高分子
量化し、且つ置換率も低下しない潤滑剤を得るために
は、複雑な工程を必要とせず、比較的精度良く、且つ様
々な種類や分子量分布の潤滑剤でも対応できる分子量制
御技術を使う必要がある。また、大規模な設備を必要と
せずコストの面でも有利である必要がある。この様な課
題を解決できる技術で潤滑剤の分子量制御を行えば、飛
散量が少なく摺動信頼性に優れる磁気ディスク並びに磁
気ディスク装置を得ることができる。本発明は、上記の
技術課題を解決する新規な分子量制御法並びにこの分子
量制御法による潤滑剤を用いた磁気ディスク並びに磁気
ディスク装置を提供するものである。
め、本発明では、大規模な設備を必要とせず、一定の圧
力と流量で潤滑剤溶液を所定の分子量が分画できるフィ
ルターに透過・循環させるだけで様々な潤滑剤の分画を
可能とする限外ろ過法を用いて分子量を制御した潤滑剤
を磁気ディスク表面に塗布して潤滑膜を形成する手法を
考案し、低飛散で摺動信頼性に優れる磁気ディスク,磁
気ディスク装置を得た。なお手段の具体的な内容は以下
に記述されるものである。
ポリエーテルからなる潤滑剤を、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) 分子量1000から3000の所定の分子量で分画可能
で、アルコール系溶媒を介して該潤滑剤が透過可能とな
る処理を施された親水性の限外ろ過膜によって、該潤滑
剤が数平均分子量5500以上で、分子量3000以下
が全体に対して15重量%以下,重量平均分子量と数平
均分子量の比が1.5 以下,末端官能基の置換率が90
%以上になるように制御することを特徴とする潤滑剤分
子量制御法。
とも下地膜,磁性層,保護膜,潤滑膜を順に形成してな
る磁気ディスクにおいて、該磁気ディスクの潤滑膜の潤
滑剤が構造式(1)のパーフロロポリエーテルからな
り、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量を
境に分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質
が透過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜に
よって、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量55
00以上で、分子量3000以下が全体に対して15重
量%以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5
以下,末端官能基の置換率が90%以上になるように制
御されていることを特徴とする磁気ディスク。
膜,磁性層,保護膜,潤滑膜が順に形成された磁気ディ
スクと該磁気ディスクを取り付けた10000rpm 以上
で回転可能なスピンドルモーター並びに該磁気ディスク
にデータを記録再生するための磁気ヘッド・スライダー
と該磁気ヘッド・スライダーを該磁気ディスク表面近傍
で作動させるためのアクチュエーター並びに制御回路を
有し、該磁気ヘッド・スライダーが該磁気ディスク回転
時のみ該磁気ディスクの面上にあり,該磁気ディスク停
止時には必ず該磁気ディスクの外周側の面外に退避する
機能を有し、データ転送速度が45MB/秒以上である
磁気ディスク装置において,該磁気ディスクの潤滑膜の
潤滑剤が構造式のパーフロロポリエーテルからなり、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量で
分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質が透
過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜によっ
て、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5 以
下,末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
とも下地膜,磁性層,保護膜,潤滑膜を順に形成してな
る磁気ディスクにおいて、該磁気ディスク表面の半径1
0mm以上25mm以下の範囲の領域にレーザーによって直
径5.0μm 以下,高さ20nm以下のリング状の突起
が規則的に配列された帯状のゾーンが存在し、該磁気デ
ィスクの潤滑膜の潤滑剤が構造式(1)のパーフロロポ
リエーテルを有し、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量で
分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質が透
過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜によっ
て、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5 以
下,末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されていることを特徴とする磁気ディスク。
とも下地膜,磁性層,保護膜,潤滑膜を順に形成してな
る磁気ディスクであり、該磁気ディスク表面の半径10
mm以上25mm以下の範囲の領域にレーザーによって直径
5.0μm 以下,高さ20nm以下のリング状の突起が
規則的に配列された帯状のゾーンが存在する磁気ディス
クと該磁気ディスクを取り付けた10000rpm 以上で
回転可能なスピンドルモーターと該磁気ディスクにデー
タを記録再生するための磁気ヘッド・スライダーと該磁
気ヘッド・スライダーを該磁気ディスク表面近傍で作動
させるためのアクチュエーター並びに制御回路を有し、
該スピンドルモーターが停止時には該磁気ヘッド・スラ
イダーが必ず該ゾーン上に待機し、データ転送速度が4
5MB/秒以上である磁気ディスク装置において、該磁
気ディスクの潤滑膜の潤滑剤が構造式(1)のパーフロ
ロポリエーテルからなり、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量で
分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質が透
過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜によっ
て、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5 以
下,末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
法の構成 本発明に記載の潤滑剤分子量制御は、前記パーフロロポ
リエーテル潤滑剤の平均分子量や分子量分布を制御する
目的で行った。具体的には、含フッ素系溶媒に前記パー
フロロポリエーテル潤滑剤を溶解させた溶液を一定の圧
力をかけながら均一な細孔を有するポリエーテルスルホ
ンの膜(限外ろ過膜)に循環させ、細孔を透過する分子
サイズと透過しない分子サイズの潤滑剤とに分画した。
限外ろ過膜には様々なサイズの細孔を有する膜が各種準
備されており、これらを組み合わせることにより、比較
的容易に目的とする平均分子量や分子量分布に制御する
ことができる。なお、本発明で使用したポリエーテルス
ルホンからなる限外ろ過膜は、親水性の膜である。一般
に親水性の膜に対して、フッ素元素の含有率の高いパー
フロロポリエーテル潤滑剤や含フッ素系溶媒等の疎水性
の物質を透過させることは困難である。しかし本発明で
は、下記の要領で親水性である限外ろ過膜に対して疎水
性の物質を透過させることを可能とした。まず、ポリエ
ーテルスルホンからなる限外ろ過膜に純水を透過させ
る。この操作の主目的は、限外ろ過膜の表面に水分子を
吸着させることである。次に、含フッ素系溶媒とアルコ
ール系溶媒との混合溶媒を圧力をかけながら限外ろ過膜
表面に循環させる。含フッ素系溶媒としては、アルコー
ル系溶媒と相溶するHFE−7100,HFE−720
0等のハイドロフロロエーテル系溶媒やバートレルXF
等のハイドロフロロカーボン系溶媒等を使用する。アル
コール系溶媒としては上記ハイドロフロロエーテル系溶
媒やハイドロフロロカーボン系溶媒等に容易に混合可能
なメチルアルコール,エチルアルコール,イソプロピル
アルコール等が望ましい。これらにより限外ろ過膜表面
の水分子がアルコールと置換して、限外ろ過膜の表面
は、親水性でありながら疎水性の含フッ素系溶媒(ハイ
ドロフロロエーテル系溶媒等)とも親和性をもつ表面に
変えることできる。すなわち、水分子とは親和性の無い
ハイドロフロロエーテル系溶媒も、親水性でかつハイド
ロフロロエーテル系溶媒と相溶するアルコール分子に置
換することによって膜を透過することができる。なお、
初めから混合溶媒を循環させることも考えられるが、均
一にアルコール分子を吸着させるためとポリエーテルス
ルホン膜の乾燥防止のため塗布されているグリセリン或
いはやアルカリイオン金属類等のコンタミを除去するた
めにも混合溶媒の前に純水を透過させた方が望ましい。
置は、前記の処理を施した限外ろ過膜を透過流路と循環
流路を有する専用ホルダーに装着し、液循環装置から安
定に溶液を透過・循環する構成になっている。この潤滑
剤分子量制御装置は、溶液の液温を一定に保つ冷却ジャ
ケットや溶液の処理工程を管理する液面センサー,タイ
マー等を具備しており、生産性にも十分配慮された構成
となっている。また、溶液タンクや液循環ポンプ,配管
等にはコンタミや溶出物の混入を極力防止する策を施し
ている。
プ(b))を使用した。タイプ(a)の磁気ディスク
は、ガラスからなる基板上にCr合金からなる下地膜を
形成し、その上にCoCrTaPt等の磁性層,カーボ
ンを主体とする保護膜、更にその上にパーフロロポリエ
ーテルからなる潤滑膜を最外層として形成する構成であ
る。
常のもの(窓ガラスやコップ等に用いられるものはナト
リウム含有量が5%程度,カリウム含有量が0〜1%程
度)よりもナトリウム、及びカリウム含有量の多いもの
が好適である。ただ硬度と実用性を考慮するとナトリウ
ムの含有量は10〜20%程度、カリウムの含有量は1
〜5%程度が望ましい。磁性層は、目的とする記録密度
を得るために構成材料を変えることが可能であり、これ
らはスパッタ法等で形成している。保護膜の材質は、カ
ーボンが主体である。ただし、スパッタ法での成膜にお
いて、Ar/N2 ガス雰囲気下で成膜して硬度を高めて
いる。なお、タイプ(a)の磁気ディスクは、磁気ヘッ
ド・スライダーがディスク回転時にのみディスク面上に
存在し、ディスク停止時にはディスク外周側の面外に必
ず退避する(Load/Unload方式)磁気ディスク装置に搭載
するため、磁気ディスクと磁気ヘッド・スライダーとの
間でのスティクションを考慮する必要が無い。このた
め、タイプ(a)の磁気ディスク表面にはスティクショ
ンを防止するための突起を形成する必要が無く、表面は
平滑である。
金基板表面にNiP膜とCr膜を順に下地膜として形成
し、その上にCoCrTaPt等の磁性層、カーボンを
主体とする保護膜、更にその上にパーフロロポリエーテ
ルからなる潤滑膜を最外層として形成する構成である。
ィスクと同じ手法で形成している。タイプ(b)の磁気
ディスクは、ディスク回転時には磁気ヘッド・スライダ
ーがディスク面上で浮動し、ディスク停止時にはディス
ク面上に接触状態で待機する(Contact Start Stop方
式)磁気ディスク装置に搭載するため、ディスク起動の
際にディスクと磁気ヘッド・スライダーとの間でのステ
ィクションを考慮する必要がある。このため、タイプ
(b)の磁気ディスクの表面には、規則性のあるリング
状の突起(以後レーザーゾーンテクスチャーと略称)が
半径10mm以上25mm以下の内周部に形成されている。
このレーザーゾーンテクスチャー部では強いスティクシ
ョンが発生しない。磁気ヘッド・スライダーは、ディス
ク停止時には必ずレーザーゾーンテクスチャー部に戻っ
て待機する。なお、レーザーゾーンテクスチャー部以外
の表面部は平滑である。突起の最大高さは20nmであ
る。
bの磁気ディスクともパーフロロポリエーテルで構成さ
れている。具体的な潤滑剤の構造としては以下の通りで
ある。
00以上で、分子量3000以下が全体に対して15重
量%以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5
以下,末端官能基の置換率が90%以上になるように制
御されており、低飛散性と摺動耐久性を両立している。
の後の潤滑剤分子量制御法に記載する。潤滑膜は、ディ
ップ法にて形成した。分子量を制御した各潤滑剤を含フ
ッ素系溶媒に所定の濃度で溶解させた溶液を作製し、浸
漬時間1分〜10分,引き上げ速度(もしくは、溶液面
の降下速度)1mm/s〜20mm/sの範囲でディップ塗
布する。潤滑膜の膜厚は、上記の溶液の濃度,浸漬時
間,引き上げ速度(もしくは、溶液面の降下速度)を変
えることにより調整した。一般に、溶液濃度,浸漬時
間,引き上げ速度(もしくは、溶液面の降下速度)の値
が高いほど膜厚は厚くなる傾向にあるが、同じ塗布条件
でも潤滑剤の吸着力や分子量によって膜厚が大きく変わ
るため、各潤滑剤で最適な塗布条件を検討する必要があ
る。用いる溶媒は分子量制御した前記パーフロロポリエ
ーテル潤滑剤を溶解するものを選択する。なお、ディッ
プ法では塗布槽内の溶液に浸漬している磁気ディスクを
塗布槽から上部に引き上げる方式と溶液を塗布槽から抜
く方式(ドレイン方式)がある。使用可能な溶媒として
は前記パーフロロポリエーテル潤滑剤を溶解する3M社
製のFC−72,FC−84,FC−77,FC−7
5,PF−5080,PF−5052,HFE−710
0,HFE−7200,Du・Pont社製のバートレ
ルXF,XE,XM等の含フッ素系溶媒が挙げられる。
本発明に記載の実施例では上記含フッ素系溶媒のHFE
−7100を用いた。磁気ディスクを塗布槽から上部に
引き上げる方式では塗布槽の上部が開放状態になるた
め、上記のFC−72やHFE−7100,HFE−7
200,バートレルXF等の低沸点の溶媒は揮発し易く
溶液濃度が変化して膜厚がばらつく問題がある。このた
め、本発明に記載の実施例では溶液を塗布槽から抜く方
式(ドレイン方式)を採用した。 (3)本発明の磁気ディスク装置の構成 本発明に記載の磁気ディスク装置は、基本的に装置筐体
と前記磁気ディスク,データを記録再生するための磁気
ヘッド・スライダーと磁気ディスクを回転させるスピン
ドルモーター並びに磁気ヘッド・スライダーをディスク
の表面近傍に作動するための支持体,アクチュエーター
(作動手段),制御用回路で構成される。装置の記憶容
量は、磁気ディスクの搭載枚数やヘッド浮上量,磁性層
の磁気特性,ヘッド性能によって決めることができる。
本発明では(2)本発明の磁気ディスクの構成にも記載
したとおり、装置の動作形態の異なるタイプ(A)とタ
イプ(B)の磁気ディスク装置を使用した。
スク停止時に磁気ヘッド・スライダーがディスク外周側
の面外に退避するLoad/Unload方式であり、退避時の磁
気ヘッド・スライダーを取り付けたジンバルを支持する
ためのランプを具備している。このLoad/Unload方式の
磁気ディスク装置には、(2)本発明の磁気ディスクの
構成に記載したタイプ(a)の磁気ディスクを搭載し
た。
スク回転時に磁気ヘッド・スライダーがディスク面上で
浮動し、ディスク停止時にはディスク面上に接触状態で
待機するCSS(Contact−Start−Stop)方式である。
タイプ(B)の磁気ディスク装置には、(1)本発明の
磁気ディスクの構成に記載したタイプ(b)の磁気ディ
スクを搭載した。
ィスク装置の用途 本発明に記載の磁気ディスク,磁気ディスク装置の用途
としては、電子計算機,ワードプロセッサー等の外部メ
モリー(具体的にはハードディスク装置等)が挙げられ
る。またモーバイルコンピューター,ナビゲーションシ
ステム,ゲーム,携帯電話,PHS等の各種情報機器等
にも適用可能である。
御法は、溶媒抽出法やGPC法等と比較して汎用性や生
産性,コスト低減に優れている。本発明の限外ろ過を使
った潤滑剤分子量制御法によって数平均分子量が550
0以上,分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5 以
下、末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されたパーフロロポリエーテル潤滑剤を用いることによ
り10000rpm 以上の高速回転による空気とのせん断
や装置内部の温度上昇に対して潤滑剤の飛散が少なく摺
動信頼性の高い磁気ディスクが得られる。また、この磁
気ディスクを搭載することにより信頼性に優れる磁気デ
ィスク装置を提供できる。
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
るものではない。
量制御装置を示す。本実施例では構造式(1)のパーフ
ロロポリエーテル潤滑剤を限外ろ過膜を用いた潤滑剤分
子量制御法によって低分子量成分を除去して、処理前の
数平均分子量4990を数平均分子量6000程度になるよ
う処理を行った。
め、親水性の限外ろ過膜に疎水性物質であるパーフロロ
ポリエーテル潤滑剤が透過可能なる処理を行った。ポリ
エーテルスルホンからなる限外ろ過膜を複数枚積層した
フィルター4(日本ポール社製、オメガシリーズ1K:
分子量1000程度を境に分画可能)を準備した。純水
5リットル中にフィルターを浸漬して純水中で揺動させ
ながら約1分間フィルターについたグリセリンやコンタ
ミを除去した。この操作を3回繰り返した。各操作では
純水をその都度交換した。次に、図1に記載の限外ろ過
装置部2にフィルター4を装着し、該限外ろ過装置部2
と図1の溶液循環装置部1とを内径10mmのPFA(テ
トラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテ
ル共重合体)製とSUS316製の管を使って配管し
た。溶液循環装置部1のタンク6に5リットルの純水を
入れ、タンク下部の液循環ポンプ7(イワキポンプ社
製,ケミカルギアポンプ)によって、入り側圧力:0.5
kgf/cm2,戻り側圧力:0.4kgf/cm2,流量1.5リッ
トル/min で約5hフィルターに純水を透過・循環させ
た。この操作はフィルター(限外ろ過膜)の洗浄が主目
的なのでタンク6には流量2リットル/min で純水を補
充し、限外ろ過装置部からの戻りの純水は、タンク6に
は戻さないように配管した。フィルターを透過した純水
は廃棄した。また、この操作ではフィルターの洗浄以外
に、限外ろ過膜の表面に水分子を吸着させることにな
る。次に、疎水性の物質を透過させるためにフィルター
内の純水の除去と限外ろ過膜表面に吸着した水分子をエ
チルアルコール分子と置換する操作を行った。まずハイ
ドロフロロエーテル系溶媒(3M社製,HFE−710
0)とエチルアルコールの割合が7:3の混合溶媒を準
備した。タンク、配管内の純水を除去した後、上記の混
合溶媒3リットルをタンク6に入れ洗浄の操作と同条件
で混合溶媒を透過・循環させた。混合溶媒がタンク内か
ら無くなると、液循環ポンプ7を一旦止めて新しい混合
溶媒3リットルをタンク6に入れて混合溶媒の透過・循
環を再開させた。この操作を3回繰り返した。この操作
によりフィルター内の純水はエチルアルコールによって
除去され、限外ろ過膜表面に吸着した水分子はエチルア
ルコール分子と置換する。次にHFE−7100を3リ
ットル透過・循環させ、HFE−7100が透過するこ
とを確認した。この操作では、戻り液(HFE−710
0)はタンクに戻るよう配管した。以上の操作によって
フィルターの洗浄と疎水性物質を透過させる処理を終了
した。なお、上記の置換操作を行わず純水を透過・循環
させた後にHFE−7100を循環させてもHFE−7
100がフィルターから透過しなかった。すなわち、上
記の処理を限外ろ過膜に施した本実施例において、初め
て親水性の限外ろ過膜に疎水性物質を透過することがで
きた。
を行った。まず、上記の通り洗浄並びに疎水性物質を透
過可能とする処理を施した日本ポール株式会社製,オメ
ガシリーズ1Kを図1の限外ろ過装置部2に装着し、各
部を配管した。限外ろ過装置部2からの循環液はタンク
内に戻るよう配管している。限外ろ過装置部2では、タ
ンクから液循環ポンプによって送流される溶液が、限外
ろ過膜を透過する液と透過されずにタンクに戻る液とに
分けられる。上記記載のパーフロロポリエーテル潤滑剤
500gにHFE−7100を加えて5リットルの溶液
を作製し、図1の溶液循環装置部1のタンク6に入れ
た。液循環ポンプ7を作動させて潤滑剤の分子量制御を
開始した。この操作によって循環側のパーフロロポリエ
ーテル潤滑剤は、分子量1000〜1500程度以下の
低分子量成分の潤滑剤が徐々に除去され高分子量化(タ
ンク側に濃縮)する。本実施例では、透過側の溶液の量
が2.25 リットルになった所で液循環ポンプ7を停止
させて循環側の溶液を回収した。エバポレーターによっ
てHFE−7100を除去して低分子量成分を除去した
パーフロロポリエーテル潤滑剤を得た。これにより限外
ろ過によるパーフロロポリエーテル潤滑剤の分子量制御
を終了した。この、パーフロロポリエーテル潤滑剤から
10.0g を採取し、NMRによって数平均分子量と末
端官能基の置換率を測定した。また液体クロマト法によ
って分子量分布も測定し、分子量3000以下の比率も
算出した。また、本実施例の処理によって得られた潤滑
剤の収率も算定した。表1に原料と本実施例の結果を示
す。
較した。まず、置換率に注目すると溶媒抽出法で処理し
た比較例1の潤滑剤は、置換率が82%にまで低下して
いるのに対し、本実施例(限外ろ過法)では置換率が9
2%である。置換率が低下した潤滑剤は、磁気ディスク
表面(保護膜表面)に対して吸着しない無極性の潤滑剤
の含有率が高くなることを意味する。この無極性潤滑剤
は高分子量化しても回転飛散し易く、結果的に摺動耐久
性が低下する。すなわち、潤滑剤の分子量制御法として
は、置換率が低下しないことが必要条件と言える。従っ
て、溶媒抽出法では潤滑剤の置換率が原料より12%も
低下するが、本実施例の潤滑剤分子量制御法では潤滑剤
の置換率の低下が2%であり、置換率の低下を溶媒抽出
法の約1/6にまで軽減できる。
過法)の方が、比較例1(溶媒抽出法)と比較例2(G
PC法)より効率が良い。特に、比較例2(GPC法)
は収率が最も悪く、本実施例は比較例2(GPC法)の
約6倍の収率である。また、本実施例(限外ろ過法)で
は、収率が比較例2(GPC法)の約6倍であるにもか
かわらず、処理のために必要となる溶媒(HFE710
0)は、比較例2(GPC法)の約1/5の消費量に節
約できた。
2(GPC法)は、原料のロットが変わるたびに分子量
分布も変動するため、その都度詳細に条件を変える必要
がある。これに対して、本実施例(限外ろ過法)では、
分子量分布の異なる原料ロットの処理でも処理時間(処
理量)を変えるだけで同じ性状の分子量制御が可能であ
る。
り、溶媒抽出法(比較例1)やGPC法(比較例2)よ
り高い置換率(90%以上)の潤滑剤を比較的容易に得
ることができる。また、本実施例の潤滑剤分子量制御法
は、溶媒抽出法(比較例1)やGPC法(比較例2)よ
り溶媒(HFE7100)消費量の大幅な節約や高収率
が可能であり、コスト的にも有利である。
クの断面模式図を示す。本実施例で作製した磁気ディス
クは、前記本発明の磁気ディスクの構成に記載したタイ
プ(a)の磁気ディスクである。以下に本実施例の磁気
ディスクの作製法を詳細に記す。
を十分に洗浄した後、スパッタ法でCr下地膜20を形
成した。次に、スパッタ法によりCrTi膜21を形成
した後、CoCrPtTaからなる磁性膜22を形成す
る。更に、その上にIBD(Ion Beam Deposition)法を
用いて硬質保護膜を約5nm形成する。さらに、この硬
質保護膜23上に潤滑膜24を形成する。これにより磁
気ディスク25を作製した。本実施例の潤滑膜24は、
数平均分子量5500以上で、分子量3000以下の比率が
異なる構造式(1)のパーフロロポリエーテル潤滑剤
を、ドレイン方式のディップ法にて約2nm塗布したも
のである。なお、潤滑剤の数平均分子量と末端官能基の
置換率はNMR(核磁気共鳴装置)でフッ素を分析する
ことによって確認した。また、液体クロマト法によって
重量平均分子量と数平均分子量の比(以下、分子量分布
と略す)を算出した。表2に本実施例(試料1〜4)並
びに比較例3〜6(試料5〜9)の各潤滑剤の測定値を
示す。
スクとヘッドをピンオンディスクタイプの摩擦測定装置
に装着し、1000h連続運転後のディスク表面の摩耗
量並びに初期膜厚からの減少膜厚を測定した。磁気ディ
スクを18000rpm にまで回転させ、ヘッドを浮上さ
せた状態で3秒間ランダムシークさせた後、ディスク回
転数を500rpmまで低下させてヘッドとディスクを0.
5秒間接触摺動させた。この動作を65℃環境下で短い
周期で繰り返し行った。ディスク回転数500rpm で
は、ヘッドは浮上しないためヘッドとディスクは間欠的
に接触摺動する。なお、本実施例の評価は、10000
rpm 磁気ディスクとしての効果を短時間に確認するため
に加速評価したものであり、その評価条件は、現在一般
に市販されている磁気ディスク装置より厳しい条件を設
定した。ディスク表面の摩耗量は、原子間力顕微鏡(A
FM)により測定した最大摩耗深さで評価した。ディス
ク表面の最大摩耗深さに対する磁気ディスクとしての摺
動耐久性の指標は、硬質保護膜23の膜厚が5nmであ
ることから、ディスククラッシュに至らない程度の摩耗
を考慮すると、最大摩耗深さが2nm以下である必要が
あり、摺動信頼性の確保としての仕様値を2nm以下と
した。潤滑膜厚は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT
−IR)で測定した。表2に本実施例(試料1〜4)の
評価結果を示す。
は、比較例3に記載の数平均分子量4990の潤滑剤
(原料)を、実施例1に記載の限外ろ過法によって数平
均分子量8010,7020,6350,5750にな
る様に分子量制御した潤滑剤である。比較例4,5(試
料6,7)は数平均分子量2000の潤滑剤(原料)を
限外ろ過法によって数平均分子量4010,3020に
なる様に分子量制御した潤滑剤である。比較例6,7
(試料8,9)は比較例3に記載の数平均分子量499
0の潤滑剤(原料)を、溶媒抽出法によって数平均分子
量5370,6020になる様に分子量制御した潤滑剤であ
る。
頼性の影響を明らかにするために、まず数平均分子量に
対する磁気ディスク表面の最大摩耗深さの変化を整理し
た。図3に数平均分子量に対する磁気ディスク表面の最
大摩耗深さの変化を示す。同じ限外ろ過法で分子量を制
御した本実施例(試料1,2,3,4)並びに比較例
4,5の磁気ディスク表面の最大摩耗深さの結果だけを
曲線で結ぶと、数平均分子量が5500以上で磁気ディ
スク表面の最大摩耗深さは2nm以下になる傾向が見ら
れる。また、原料である比較例3の結果もこの曲線上に
位置する。しかし、比較例7は、本実施例の試料4より
数平均分子量が大きいにも関らず、磁気ディスク表面の
最大摩耗深さは2nm以上の結果となり、本実施例(試
料1,2,3,4)並びに比較例3,4,5の曲線から
外れている。また、比較例6も同様の結果となってい
る。これは、潤滑剤の分子量制御法の違いによる末端官
能基の置換率が影響していると考えられる。少なくとも
図3の結果からは、限外ろ過法で潤滑剤の分子量を制御
したものについては、数平均分子量が5500以上にな
るように分子量制御した本実施例(試料1,2,3,
4)が磁気ディスク表面の最大摩耗深さが2nm以下に
なり、摺動信頼性を確保できると言える。
の比率に対する磁気ディスク表面の最大摩耗深さの変化
を整理した。図4に結果を示す。図3の場合と同様、同
じ限外ろ過法で分子量を制御した本実施例(試料1,
2,3,4)並びに比較例4,5の磁気ディスク表面の
最大摩耗深さの結果だけを曲線で結ぶと、分子量3000以
下が15重量%以下で磁気ディスク表面の最大摩耗深さ
は2nm以下になる傾向が見られる。また、原料である
比較例3の結果もこの曲線上に位置する。しかし、比較
例6,7は、分子量が3000以下が15重量%以下で
あるにも関らず、磁気ディスク表面の最大摩耗深さは2
nm以上の結果となり、本実施例(試料1,2,3,
4)並びに比較例4,5の曲線から外れている。図4の
結果からは、潤滑剤を限外ろ過法で分子量制御し、分子
量3000以下が15重量%以下の本実施例(試料1,
2,3,4)が、磁気ディスク表面の最大摩耗深さが2
nm以下になり、摺動信頼性を確保できると言える。
に対する磁気ディスク表面の最大摩耗深さの変化を整理
した。図5に結果を示す。図5の結果からは、末端官能
基の置換率と磁気ディスク表面の最大摩耗深さには相関
関係が見られない。しかし、比較例6は数平均分子量が
5500以下であるが、分子量3000以下が15重量
%以下であり、比較例7に至っては数平均分子量が55
00以上,分子量3000以下が15重量%以下である。す
なわち、限外ろ過法で分子量制御した本実施例(試料
1,2,3,4)の潤滑剤の性状から言えば、数平均分
子量では、比較例7は数平均分子量が5500以上の必
要条件を満たしている。分子量3000以下が15重量
%以下の条件にいたっては比較例6,7ともそれを満た
している。しかしながら、比較例6,7は磁気ディスク
表面の最大摩耗深さが2nm以上である。比較例6,7
と本実施例(試料1,2,3,4)の潤滑剤の性状の明
らかな違いは、末端官能基の置換率であり、比較例6,
7は末端官能基の置換率が90%以下であるのに対し本
実施例(試料1,2,3,4)は90%以上である。溶
媒抽出法で潤滑剤の分子量制御をした場合、末端官能基
の置換率が限外ろ過法の場合より低下する事は実施例1
でも示している。図5の結果には、末端官能基の置換率
が90%以上であっても磁気ディスク表面の最大摩耗深
さが2nm以上なるもの(比較例3,4,5)がある
が、これらは図3,図4の結果から明らかなように数平
均分子量が5500以上か分子量3000以下が15重
量%以下である条件の少なくとも一つを満たしていない
ものである。すなわち、末端官能基の置換率以外の性状
で磁気ディスク表面の最大摩耗深さが2nm以下を満た
す事のできない性状である。このことから磁気ディスク
表面の最大摩耗深さが2nm以下を実現するためには、
少なくとも末端官能基の置換率が90%以上である必要
がある。本実施例の潤滑剤は末端官能基の置換率が90
%以上であることにより、比較例6,7より飛散しやす
い無極性の潤滑剤が少なく、磁気ディスク表面の最大摩
耗深さで1.5nm 以上も摩耗が少ない摺動信頼性に優
れる磁気ディスクが得られた。なお、減少膜厚も磁気デ
ィスク表面の最大摩耗深さの結果を反映し、本実施例
(試料1,2,3,4)の方が比較例3,4,5,6,
7より少ない。すなわち、本実施例の方が長期にわたっ
て摺動信頼性を確保できる磁気ディスクと言える。
7の結果から、磁気ディスク表面の最大摩耗深さが2n
m以下になるための潤滑剤の必要条件は、数平均分子量
が5500以上,分子量3000以下が15%以下,末
端官能基の置換率が90%以上であり、限外ろ過法で分
子量を制御することである。これにより、本実施例では
少なくとも比較例3,4,5,6,7より磁気ディスク
表面の最大摩耗深さで0.9nm 以上摩耗が少なく、減
少膜厚も約2/3以下であり、摺動信頼性に優れる磁気
ディスクが得られた。
ク装置32の上面模式図及び側面模式図を示す。本実施
例の磁気ディスク装置32は、本発明の磁気ディスク装
置の構成に記載したタイプ(A)の磁気ディスク装置で
あり、実施例2並びに比較例3,4,5,6,7の磁気
ディスク25(タイプ(a))を搭載した(比較例8,
9,10,11,12)。以下に本実施例の磁気ディス
ク装置32の詳細な作製法を示す。実施例2の磁気ディ
スク25をスピンドルモーター27に装着し、筐体2
6,スピンドルモーター27,アクチュエーター28,
磁気ヘッド・スライダー29,制御回路31からなる磁
気ディスク装置32を作製した。この磁気ディスク装置
32には、ディスク停止中に磁気ヘッド・スライダーが
ディスクの外周側の面内に退避するためのランプ30を
具備しており、ディスク回転中のみ磁気ヘッド・スライ
ダーはディスクの面上に存在する(Load/unload機
構)。本実施例の磁気ディスク装置32はディスク停止
中にヘッドがディスクの面外に退避するため、ヘッド/
ディスク間でのスティクションは考慮する必要はない。
本実施例の磁気ディスク装置32の装置仕様は、ディス
ク回転数15000rpm ,記録密度0.025Gb/m
m2,データ転送速度77MB/秒である。これらの装置
仕様を実現するには、ヘッド/ディスクが正常に動作
(ロード/アンロード)する事が前提であり、ヘッド/
ディスク間の摺動信頼性の確保が必須である。潤滑剤の
性能は、ヘッド/ディスク間の摺動信頼性を左右するこ
とから、装置としての機能を達成する上で重要である。
本実施例の評価は、実施例2の場合と同様、本発明の効
果(磁気ディスク装置としての効果)を短時間に確認す
るために加速評価を実施した。そのため、実際の磁気デ
ィスク装置32の仕様より厳しい評価条件を設定した。
具体的には、実施例2と同様、回転数18000rpm ,
65℃環境下で磁気ヘッド・スライダー29のロード/
アンロードの繰り返し試験を実施した。まず、磁気ヘッ
ド・スライダー29を磁気ディスク25の加速中に磁気
ディスク表面上にロードして7秒間ランダムシークさせ
る。次に磁気ヘッド・スライダー29を外周側の面外に
アンロードし、1秒間保持する。これらの動作を繰り返
して行った。磁気ヘッド・スライダー29が磁気ディス
ク25表面上に完全にロードされ、シーク動作に入った
状態での磁気ディスク25の回転数は18000rpm で
ある。本実施例では、上記のロード/アンロードの動作
に異常が発生するまでの時間を測定した。測定は最大1
000hまで行い、ロード/アンロードの動作異常が無
い試料については1000hで測定を中止した。ここ
で、ロード/アンロード動作異常とは、ヘッドを安定に
ロード/アンロードできない状態を示す。これら動作異
常の原因は、ヘッド・スライダー/ディスクの吸着やデ
ィスクやヘッド・スライダーの摩耗によるものであり、
本実施例の結果は、潤滑剤の性能(効果)を反映したも
のである。
3枚搭載なので、磁気ディスク25は実施例2並びに比
較例3,4,5,6,7の磁気ディスクをそれぞれ3枚
ずつ用意した。実施例2並びに比較例3,4,5,6,
7の磁気ディスク25を各3枚ずつ搭載した磁気ディス
ク装置9台を評価した。比較例3,4,5,6,7の磁
気ディスク25を搭載した磁気ディスク装置32は、順
に比較例8,9,10,11,12である。表3に結果
を示す。
25を搭載した磁気ディスク装置の比較例8,9,1
0,11,12は、何れも試験開始から1000h以内
にロード/アンロードの動作異常が発生した。これに対
し本実施例の試料1,2,3,4は、試験開始から10
00h経過してもロード/アンロードの動作に異常は認
められず、安定な動作を持続できた。すなわち、潤滑剤
の性状としては、数平均分子量が5500以上,分子量
3000以下が15重量%以下,末端官能基の置換率が
90%以上であり、限外ろ過法で分子量を制御した潤滑
剤(本実施例)が、磁気ディスク装置として正常な動作
を維持できると言える。この結果は、実施例2の結果と
同じ傾向である。
1,12の結果から、磁気ディスク装置の安定な動作
(ロード/アンロード)を維持するには、潤滑剤を数平
均分子量が5500以上,分子量3000以下が15重
量%以下,末端官能基の置換率が90%以上になるよう
限外ろ過法で分子量を制御することである。これによ
り、本実施例では少なくとも比較例8,9,10,1
1,12より安定なロード/アンロードを維持できる信
頼性に優れる磁気ディスク装置が得られた。
ク38の断面模式図を示す。本実施例で作製した磁気デ
ィスク38は、前記本発明の磁気ディスクの構成に記載
したタイプ(b)の磁気ディスクである。以下に本実施
例の磁気ディスクの作製法を詳細に記す。外径76.2m
mのアルミニウム合金基板の表面上に無電解メッキ法に
よりNiPメッキ膜を形成し研磨後洗浄した。次に、N
iP面に吸収の高いレーザー波長104nmのQスイッ
チ発振可能なパルスレーザー(70kHz1J・s出
力)を用いて規則性のある突起(以下バンプと略称)を
形成し基板33を作製した。バンプは、レーザーエネル
ギーにより高さが調整され、バンプの間隔からレーザー
の周波数との計算にて求めた回転数にて回転させなが
ら、加工光軸を基板面の半径方向に走査して形成した。
これにより、NiP面ではNiPが溶融し、その溶解金
属の蒸発反跳圧力と温度勾配に起因する表面張力によっ
てドーナッツ状のバンプを有するゾーン(レーザーゾー
ン)が形成される。ゾーンは、半径10mm以上25mm以
下の範囲で幅5mm以下の帯状に存在する。本実施例のバ
ンプは、高さ13nm,直径3.0μm である。次に、
バンプを形成したアルミニウム合金基板33に、スパッ
タ法によりCr下地膜34を形成した後、Co合金から
なる磁性膜35を形成する。更に、その上にN2 /Ar
混合ガス雰囲気下でスパッタ法によって硬質保護膜36
を約8nm形成する。さらに、この保護膜36上に潤滑
膜37を形成した。これにより磁気ディスク38を作製
した。本実施例の潤滑膜37は、実施例2と同じ潤滑剤
を使用した。使用した潤滑剤は、数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下の比率が異なる構造式
(1)のパーフロロポリエーテル潤滑剤を、ドレイン方
式のディップ法にて約2nm塗布したものである。潤滑
膜厚は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で
測定した。なお、実施例2と同様潤滑剤の数平均分子量
と末端官能基の置換率はNMR(核磁気共鳴装置)でフ
ッ素を分析することによって確認した。また、液体クロ
マト法によって重量平均分子量と数平均分子量の比(以
下、分子量分布と略す)を算出した。表4に本実施例
(試料1〜4)並びに比較例13〜17(試料5〜9)
の各潤滑剤の測定値を示す。
形成した磁気ディスクとヘッドをピンオンディスクタイ
プの摩擦測定装置に装着し、65℃雰囲気下で1000
h連続運転後のディスク表面のレーザーゾーンの摩耗量
とヘッド/ディスク間のスティクション並びに初期膜厚
からの減少膜厚を測定した。磁気ディスクを18000rpmに
まで回転させ、ヘッドを浮上させた状態でデータゾーン
を3秒間ランダムシークさせた後、ディスクの回転を停
止させた。ディスクの回転が減速中に、データゾーン上
でシークしていたヘッドは、レーザーゾーンに戻る。デ
ィスク停止中には、ヘッドはレーザーゾーン上でディス
クと接触して待機している。ディスクは、約1秒間停止
した後、再度回転し、ヘッドはデーターゾーン上でラン
ダムシークする。このような動作を繰返し行った。ヘッ
ドは、ディスク起動時と停止時にレーザーゾーン上で接
触摺動(CSS(Contact-Start-Stop)方式)する。レ
ーザーゾーンは、ディスク起動時と停止時での接触摺動
が必ず起こるため、非常に厳しい摺動状態となる。従っ
て、本実施例では、摺動状態がもっとも厳しくなるレー
ザーゾーンの摩耗量を測定した。また、レーザーゾーン
のバンプが摩耗して面荒さが小さくなると、ディスク起
動時に強いスティクションが発生し易くなるため、ヘッ
ド/ディスク間のスティクションも測定した。摩耗が進
展すると強いスティクションが発生してヘッドが正常に
浮上できなくなるかディスククラッシュにまで至る恐れ
がある。従って、本実施例の磁気ディスクとしての摺動
信頼性はレーザーゾーンでの潤滑剤の性能が重要とな
る。なお、上記評価条件は、実施例2と同様、磁気ディ
スクとしての効果を短時間に確認するために加速評価し
たものであり、評価条件は、現在一般に市販されている
磁気ディスク装置より厳しい条件を設定した。レーザー
ゾーンのバンプの摩耗量は、原子間力顕微鏡(AFM)で測
定した。表4に本実施例(試料1〜4)並びに比較例1
3〜17(試料5〜9)の評価結果を示す。
久性確保の指標は、レーザーゾーンで発生するヘッド/
ディスク間のスティクションの最大値が4.0gf 以下と
した。これは、一般の磁気ディスク装置で使用されるス
ピンドルモーターのトルクからディスク1枚あたりのス
ティクションの最大値を見積もると4.0gf 以下である
必要があり、4.0gf 以上のスティクションが発生する
とディスクが起動できなくなる等の障害が発生するため
である。この事象は、本実施例の磁気ディスクを装置に
搭載し、装置の動作状態を評価した実施例5にも記載す
る。表4に本実施例(試料1〜4)の評価結果を示す。
は、比較例13に記載の数平均分子量4990の潤滑剤
(原料)を、実施例1に記載の限外ろ過法によって数平
均分子量8010,7020,6350,5750にな
る様に分子量制御した潤滑剤である。
摩耗量との関係を整理した。図8にスティクションとバ
ンプの摩耗量との関係を示す。スティクションが4.0g
f 以下になる本実施例の試料1,2,3,4は、バンプ
の摩耗量が4nm以下である。これに対し、スティクシ
ョンが4.0gf 以上となった比較例13〜17のバンプ
の摩耗量は何れも4nm以上であり、スティクションと
バンプの摩耗量との間には、深い相関関係があることが
判る。スティクションは、潤滑剤がヘッド/ディスク間
に多く集まったりした場合にも発生し、この場合ディス
クの粗さの変化は直接の原因ではない。つまり、本実施
例の評価でのスティクションは、潤滑剤のヘッド/ディ
スク間への集まり易さを反映したものでなく、バンプの
摩耗によりレーザーゾーンの荒さが小さくなり、その度
合いが有意差として反映されたと言える。従って、本実
施例のスティクションは、潤滑剤の耐摩耗性の効果と関
係する。図8の結果からスティクションを4.0gf 以下
にするためには、少なくともバンプの摩耗量を4nm以
下にしなければならない。
における各潤滑剤の性状と摺動信頼性の影響を明らかに
するために、まず数平均分子量に対するスティクション
の変化を整理した。図9に数平均分子量に対するスティ
クションの変化を示す。同じ限外ろ過法で分子量を制御
した本実施例(試料1,2,3,4)並びに比較例1
4,15のスティクションの結果を結ぶと、数平均分子
量が5500以上でスティクションが4.0gf 以下にな
っている。また、原料である比較例13の結果もこの曲
線上に位置する。しかし、比較例17は、本実施例の試
料4より数平均分子量が大きいにも関らず、スティクシ
ョンが4.0gf 以上の結果であり、本実施例(試料1,
2,3,4)並びに比較例13,14,15の曲線から
外れている。また、比較例16も同様の結果となってい
る。これは、潤滑剤の分子量制御法の違いによる末端官
能基の置換率が影響していると考えられる。
で潤滑剤の分子量を制御したものについては、数平均分
子量が5500以上になるように分子量制御した本実施
例(試料1,2,3,4)が、スティクションが4.0g
f 以下になり、摺動信頼性を確保できると言える。
の比率に対するスティクションの変化を整理した。図1
0に結果を示す。図9の場合と同様、同じ限外ろ過法で
分子量を制御した本実施例(試料1,2,3,4)並び
に比較例14,15のスティクションの結果を結ぶと、
分子量3000以下が15重量%以下でスティクション
は4.0gf 以下になっている。また、原料である比較例
13の結果もこの曲線上に位置する。しかし、比較例1
6,17は、分子量が3000以下が15重量%以下で
あるにも関らず、スティクションが4.0gf 以上の結果
となり、本実施例(試料1,2,3,4)並びに比較例
4,5の曲線から外れている。また、表4の結果を見る
とバンプの摩耗量も4nm以上になっている。これは、
前にも記載した通り、潤滑剤の分子量制御法の違いによ
る末端官能基の置換率が影響していると考えられる。
法で潤滑剤の分子量を制御したものについては、分子量
3000以下が15重量%以下になるように分子量制御
した本実施例(試料1,2,3,4)が、スティクショ
ンが4.0gf 以下になり、摺動信頼性を確保できると言
える。
に対する磁気ディスク表面の最大摩耗深さの変化を整理
した。図11に結果を示す。実施例2の場合と同様、図
11の結果からは、末端官能基の置換率とスティクショ
ンとの間には相関関係が見られない。比較例16は数平
均分子量が5500以下で、分子量3000以下が15
重量%以下であり、比較例7に至っては数平均分子量が
5500以上,分子量3000以下が15重量%以下で
ある。すなわち、限外ろ過法で分子量制御した本実施例
(試料1,2,3,4)の潤滑剤の数平均分子量から言
えば、比較例17は数平均分子量が5500以上の必要
条件を満たしている。分子量3000以下が15重量%
以下の条件にいたっては比較例16,17ともそれを満
たしている。しかしながら、比較例16,17はスティ
クションが4.0gf 以上である。比較例16,17と本
実施例(試料1,2,3,4)で潤滑剤の性状の明らか
な違いは、末端官能基の置換率であり、比較例16,1
7は末端官能基の置換率が90%以下であるのに対し本
実施例(試料1,2,3,4)は90%以上である。溶
媒抽出法で潤滑剤の分子量制御をした場合、末端官能基
の置換率が限外ろ過法の場合より低下する事は実施例1
でも示している。図11の結果には、末端官能基の置換
率が90%以上であってもスティクションが4.0gf 以
上になるもの(比較例13,14,15)があるが、こ
れらは図9,図10の結果から明らかなように数平均分
子量が5500以上か分子量3000以下が15重量%
以下である条件の少なくとも一つを満たしていないもの
である。すなわち、末端官能基の置換率以外の性状でス
ティクションが4.0gf 以下を満たす事のできない性状
である。このことからスティクションが4.0gf 以下を
実現するためには、少なくとも末端官能基の置換率が9
0%以上である必要がある。本実施例の潤滑剤は末端官
能基の置換率が90%以上であることにより、比較例1
6,17より飛散しやすい無極性の潤滑剤が少なく、ス
ティクションが1/2以下の摺動信頼性に優れる磁気デ
ィスクが得られた。なお、減少膜厚もスティクション並
びにバンプの摩耗量の結果を反映し、本実施例(試料
1,2,3,4)の方が比較例13,14,15,1
6,17より少ない。すなわち、本実施例の方が長期に
わたって摺動信頼性を確保できる磁気ディスクと言え
る。
5,16,17の結果から、スティクションが4.0gf
以下になるための潤滑剤の必要条件は、数平均分子量が
5500以上,分子量3000以下が15wt%以下、末端
官能基の置換率が90%以上であり、限外ろ過法で分子
量を制御することである。これにより、本実施例では少
なくとも比較例13,14,15,16,17よりステ
ィクションで1.5gf 以上低く、バンプの摩耗量が約2
/5で、減少膜厚も約1/2以下である摺動信頼性に優
れる磁気ディスクが得られた。
スク装置の上面模式図及び側面模式図を示す。本実施例
の磁気ディスク装置は、本発明の磁気ディスク装置の構
成に記載したタイプ(B)の磁気ディスク装置であり、
実施例4(タイプ(b))の磁気ディスク38を搭載し
た。
モーターに装着し、筐体39,スピンドルモーター4
0,アクチュエーター41,磁気ヘッド・スライダー4
2,制御回路43からなる磁気ディスク装置44を作製
した。
回転中は磁気ヘッド・スライダーがデーターゾーン上で
浮動し、ディスク停止時には磁気ヘッド・スライダーが
レーザーゾーン上に退避する。このため、ディスク起動
時には、磁気ヘッド・スライダーとディスク間でのステ
ィクションを考慮する必要がある。本実施例の磁気ディ
スク装置44の装置仕様は、ディスク回転数10000
rpm ,記録密度0.011Gb/mm2 ,データ転送速度55
MB/秒である。これらの装置仕様を実現するには、デ
ィスクが正常に回転し、磁気ヘッド・スライダーが所定
の高さで浮上して記録再生する事が前提であり、ヘッド
/ディスク間の摺動信頼性の確保が必須である。すなわ
ち、本実施例の磁気ディスク装置44の摺動信頼性の確
保とは、レーザーゾーンでのスティクションが低いこと
を言う。潤滑剤の性能は、ヘッド/ディスク間の摺動信
頼性、とりわけレーザーゾーンの摺動耐久性を左右する
ことから、装置としての機能を達成する上で重要であ
る。
様、本発明の効果(磁気ディスク装置としての効果)を
短時間に確認するために加速評価を実施した。そのた
め、実際の磁気ディスク装置32の仕様より厳しい評価
条件を設定した。具体的には、回転数18000rpm ,
65℃環境下でシーク&CSS(Contact-Start-Stop)
試験を実施した。まず、磁気ディスク38を回転させて
レーザーゾーン上に接触して待機している磁気ヘッド・
スライダー42を浮上させる。次に、磁気ヘッド・スラ
イダー42をデータゾーン上で7秒間ランダムシークさ
せた後、磁気ディスク38の回転を停止させる。磁気ヘ
ッド・スライダー42は、ディスクの回転が完全に止ま
るまでにレーザーゾーン上に戻り、この際、磁気ヘッド
・スライダー42はレーザーゾーン上で接触摺動する。
磁気ヘッド・スライダー42を、レーザーゾーン上で接
触状態で1秒間保持した後、ディスクを再度回転させ
た。これらの動作を繰り返し行った。磁気ヘッド・スラ
イダー42が、完全に浮動して、シーク動作に入った状
態での磁気ディスク38の回転数は18000rpm であ
る。本実施例の磁気ディスク装置44には、磁気ヘッド
・スライダー42と磁気ディスク38間で強いスティク
ションが発生して磁気ディスク38が回転できない場合
に磁気ヘッド・スライダー42を強振させてスティクシ
ョンを解除する機能が具備されている。このスティクシ
ョンの解除機構は、ディスクの1面あたりのスティクシ
ョンが4.0g を超えると作動する。本実施例での評価
では、上記シーク&CSS(Contact-Start-Stop)試験
を1000hまで行った後、6時間放置して再起動させ
た時にスティクションの解除機構が作動するか否かを確
認した。
3枚搭載なので、磁気ディスク38は、実施例4並びに
比較例13,14,15,16,17の磁気ディスクを
それぞれ3枚ずつ用意した。実施例4並びに比較例1
3,14,15,16,17の磁気ディスク38を、各
3枚ずつ搭載した磁気ディスク装置9台を評価した。比
較例13,14,15,16,17の磁気ディスク38
を搭載した磁気ディスク装置44は、順に比較例18,
19,20,21,22である。表5に評価結果を示
す。
気ディスク38を搭載した磁気ディスク装置の比較例1
8,19,20,21,22は、何れもシーク&CSS
(Contact-Start-Stop)試験1000h後の再起動でス
ティクション解除機構が作動した。つまり、比較例1
8,19,20,21,22では、ヘッド/ディスク間
で少なくともディスク1枚あたり平均で4.0gf 以上の
スティクションが発生し、スピンドルが回転できない不
具合が発生したことになる。これに対し、本実施例の試
料1,2,3,4は、スティクション解除機構は作動し
なかった。本実施例の試料1,2,3,4は、ヘッド/
ディスク間でディスク1枚あたりのスティクションが平
均で4.0gf 以下であり、装置として不具合が発生しな
かったことになる。本実施例でスティクション解除機構
が作動しなかったのは、実施例4の場合と同様、本実施
例の潤滑剤の飛散が比較例18,19,20,21,2
2より少ないためにバンプの摩耗が少なく、レーザーゾ
ーンの面粗さを維持できたためと考えられる。
は、数平均分子量が5500以上,分子量3000以下
が15重量%以下,末端官能基の置換率が90%以上で
あり、限外ろ過法で分子量を制御した潤滑剤(本実施
例)が、磁気ディスク装置として正常な動作を維持でき
ると言える。
量が5500以上,分子量3000以下が15重量%以
下,末端官能基の置換率が90%以上になるよう限外ろ
過法で分子量を制御することにより、ヘッド/ディスク
間で強いスティクションを発生させず、安定な動作を維
持できる信頼性に優れる磁気ディスク装置が得られた。
リエーテル潤滑剤を溶媒抽出法で低分子量成分を除去し
て数平均分子量を6000程度にした本比較例の数平均
分子量,末端官能基の置換率,分子量分布,分子量30
00以下の比率並びに収率を表1に示す。実施例1と本
比較例の結果とを比較した。
リエーテル潤滑剤をGPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフ)法で数平均分子量を6000近傍を分取し
た本比較例の数平均分子量,末端官能基の置換率,分子
量分布,分子量3000以下の比率並びに収率を表1に
示す。実施例1と本比較例の結果とを比較した。
ディスク25に限外ろ過法で分子量制御した実施例1並
びに実施例2,3,4,5(試料1,2,3,4)の原
料(潤滑剤)を、潤滑膜24として塗布した。表2に本
比較例の潤滑剤の性状及び実施例2と同条件で評価した
減少膜厚とディスク表面の最大摩耗深さの結果を示す。
ディスク25に比較例3と同じ分子構造で数平均分子量
が2000の潤滑剤を限外ろ過法で数平均分子量を40
10になるように分子量制御した潤滑剤を潤滑膜24と
して塗布した。表2に本比較例の潤滑剤の性状及び実施
例2と同条件で評価した減少膜厚とディスク表面の最大
摩耗深さの結果を示す。
ディスク25に比較例3と同じ分子構造で数平均分子量
が2000の潤滑剤を限外ろ過法で数平均分子量を30
20になるように分子量制御した潤滑剤を潤滑膜24と
して塗布した。表2に本比較例の潤滑剤の性状及び実施
例2と同条件で評価した減少膜厚とディスク表面の最大
摩耗深さの結果を示す。
ディスク25に比較例3の潤滑剤を溶媒抽出法で数平均
分子量を5370になるように分子量制御した潤滑剤を
潤滑膜24として塗布した。表2に本比較例の潤滑剤の
性状及び実施例2と同条件で評価した減少膜厚とディス
ク表面の最大摩耗深さの結果を示す。
ディスク25に比較例3の潤滑剤を溶媒抽出法で数平均
分子量を6020になるように分子量制御した潤滑剤を
潤滑膜24として塗布した。表2に本比較例の潤滑剤の
性状及び実施例2と同条件で評価した減少膜厚とディス
ク表面の最大摩耗深さの結果を示す。
を磁気ディスク装置32に搭載し、実施例3と同条件で
評価した。表3に本比較例の潤滑剤の性状及びロード/
アンロード動作異常発生までの時間を測定した結果を示
す。
を磁気ディスク装置32に搭載し、実施例3と同条件で
評価した。表3に本比較例の潤滑剤の性状及びロード/
アンロード動作異常発生までの時間を測定した結果を示
す。
5を磁気ディスク装置32に搭載し、実施例3と同条件
で評価した。表3に本比較例の潤滑剤の性状及びロード
/アンロード動作異常発生までの時間を測定した結果を
示す。
5を磁気ディスク装置32に搭載し、実施例3と同条件
で評価した。表3に本比較例の潤滑剤の性状及びロード
/アンロード動作異常発生までの時間を測定した結果を
示す。
5を磁気ディスク装置32に搭載し、実施例3と同条件
で評価した。表3に本比較例の潤滑剤の性状及びロード
/アンロード動作異常発生までの時間を測定した結果を
示す。
気ディスク38に限外ろ過法で分子量制御した実施例1
並びに実施例2,3,4,5(試料1,2,3,4)の
原料(潤滑剤)を、潤滑膜37として塗布した。表4に
本比較例の潤滑剤の性状及び実施例4と同条件で評価し
たスティクションとバンプの摩耗量並びに減少膜厚の結
果を示す。
気ディスク38に比較例3と同じ分子構造で数平均分子
量が2000の潤滑剤を限外ろ過法で数平均分子量を4
010になるように分子量制御した潤滑剤を潤滑膜37
として塗布した。表4に本比較例の潤滑剤の性状及び実
施例4と同条件で評価したスティクションとバンプの摩
耗量並びに減少膜厚の結果を示す。
気ディスク38に比較例3と同じ分子構造で数平均分子
量が2000の潤滑剤を限外ろ過法で数平均分子量を3
020になるように分子量制御した潤滑剤を潤滑膜37
として塗布した。表4に本比較例の潤滑剤の性状及び実
施例4と同条件で評価したスティクションとバンプの摩
耗量並びに減少膜厚の結果を示す。
気ディスク38に比較例3の潤滑剤を溶媒抽出法で数平
均分子量を5370になるように分子量制御した潤滑剤
を潤滑膜37として塗布した。表4に本比較例の潤滑剤
の性状及び実施例4と同条件で評価したスティクション
とバンプの摩耗量並びに減少膜厚の結果を示す。
気ディスク38に比較例3の潤滑剤を溶媒抽出法で数平
均分子量を6020になるように分子量制御した潤滑剤
を潤滑膜37として塗布した。表4に本比較例の潤滑剤
の性状及び実施例4と同条件で評価したスティクション
とバンプの摩耗量並びに減少膜厚の結果を示す。
38を磁気ディスク装置44に搭載し、実施例5と同条
件で評価した。表5に本比較例の潤滑剤の性状及びステ
ィクション解除機構作動の有無を測定した結果を示す。
38を磁気ディスク装置44に搭載し、実施例5と同条
件で評価した。表5に本比較例の潤滑剤の性状及びステ
ィクション解除機構作動の有無を測定した結果を示す。
38を磁気ディスク装置44に搭載し、実施例5と同条
件で評価した。表5に本比較例の潤滑剤の性状及びステ
ィクション解除機構作動の有無を測定した結果を示す。
38を磁気ディスク装置44に搭載し、実施例5と同条
件で評価した。表5に本比較例の潤滑剤の性状及びステ
ィクション解除機構作動の有無を測定した結果を示す。
38を磁気ディスク装置44に搭載し、実施例5と同条
件で評価した。表5に本比較例の潤滑剤の性状及びステ
ィクション解除機構作動の有無を測定した結果を示す。
に優れる磁気ディスクが得られる。さらにこれらの磁気
ディスクを搭載することにより10000rpm 以上の回
転数でも長期にわたり安定な動作状態を維持し、信頼性
の高い磁気ディスク装置が得られる。また本発明の潤滑
剤分子量制御法は汎用性,コスト且つ品質,生産性に優
れており、これにより置換率の低下が少なく、高い摺動
信頼性を実現できる潤滑剤を得ることができる。
側面模式図である。
模式図である。
スクの評価結果において数平均分子量と磁気ディスク表
面の最大摩耗深さとの関係を示すグラフである。
スクの評価結果において分子量3000以下の比率と磁
気ディスク表面の最大摩耗深さとの関係を示すグラフで
ある。
スクの評価結果において末端官能基の置換率と磁気ディ
スク表面の最大摩耗深さとの関係を示すグラフである。
ィスク装置の上面模式図と側面模式図である。
模式図である。
ディスクの評価結果においてスティクションとバンプの
摩耗量との関係を示すグラフである。
ディスクの評価結果において数平均分子量とスティクシ
ョンとの関係を示すグラフである。
気ディスクの評価結果において分子量3000以下の比
率とスティクションとの関係を示すグラフである。
気ディスクの評価結果において末端官能基の置換率とス
ティクションとの関係を示すグラフである。
気ディスク装置の上面模式図と側面模式図である。
ン・パン、4…フィルター、5…本体、6…溶液タン
ク、7…液循環ポンプ、8…入り側の管、9…戻り液用
の管、10…透過した液を通す管、11…コック、12
…圧力計、13…ドレインコック、14…ボックス、1
5…水冷ジャケット、16…液面センサー、17…イン
バータ、18…タイマー、19…ガラス基板、20,3
4…Cr下地膜、21…CrTi膜、22,35…Co
CrPtTaからなる磁性膜、23,36…硬質保護
膜、24,37…潤滑膜、25,38…磁気ディスク、
26,39…筐体、27,40…スピンドルモーター、
28,41…アクチュエーター、29,42…ヘッド、
30…ランプ、31,43…制御回路、32,44…磁
気ディスク装置、33…基板。
Claims (5)
- 【請求項1】構造式(1)のパーフロロポリエーテルか
らなる潤滑剤を、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) 分子量1000から3000の所定の分子量で分画可能
で、アルコール系溶媒を介して該潤滑剤が透過可能とな
る処理を施された親水性の限外ろ過膜によって、該潤滑
剤が数平均分子量5500以上で、分子量3000以下
が全体に対して15重量%以下,重量平均分子量と数平
均分子量の比が1.5 以下,末端官能基の置換率が90
%以上になるように制御することを特徴とする潤滑剤分
子量制御法。 - 【請求項2】非磁性基板表面上に少なくとも下地膜,磁
性層,保護膜,潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスク
において、該磁気ディスクの潤滑膜の潤滑剤が構造式
(1)のパーフロロポリエーテルからなり、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量を
境に分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質
が透過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜に
よって、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量55
00以上で、分子量3000以下が全体に対して15重
量%以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5
以下 ,末端官能基の置換率が90%以上になるように
制御されていることを特徴とする磁気ディスク。 - 【請求項3】非磁性基板表面上に下地膜,磁性層,保護
膜,潤滑膜が順に形成された磁気ディスクと該磁気ディ
スクを取り付けた10000rpm 以上で回転可能なスピ
ンドルモーター並びに該磁気ディスクにデータを記録再
生するための磁気ヘッド・スライダーと該磁気ヘッド・
スライダーを該磁気ディスク表面近傍で作動させるため
のアクチュエーター並びに制御回路を有し,該磁気ヘッ
ド・スライダーが該磁気ディスク回転時のみ該磁気ディ
スクの面上にあり,該磁気ディスク停止時には必ず該磁
気ディスクの外周側の面外に退避する機能を有し、デー
タ転送速度が45MB/秒以上である磁気ディスク装置
において,該磁気ディスクの潤滑膜の潤滑剤が構造式
(1)のパーフロロポリエーテルからなり、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量で
分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質が透
過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜によっ
て、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5以下
,末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されていることを特徴とする磁気ディスク装置。 - 【請求項4】非磁性基板表面上に少なくとも下地膜,磁
性層,保護膜,潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスク
において、該磁気ディスク表面の半径10mm以上25mm
以下の範囲の領域にレーザーによって直径5.0μm以
下 ,高さ20nm以下のリング状の突起が規則的に配
列された帯状のゾーンが存在し、該磁気ディスクの潤滑
膜の潤滑剤が構造式(1)のパーフロロポリエーテルを
有し、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量で
分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質が透
過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜によっ
て、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5以下
,末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されていることを特徴とする磁気ディスク。 - 【請求項5】非磁性基板表面上に少なくとも下地膜,磁
性層,保護膜,潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスク
であり、該磁気ディスク表面の半径10mm以上25mm以
下の範囲の領域にレーザーによって直径5.0μm以下
,高さ20nm以下のリング状の突起が規則的に配列
された帯状のゾーンが存在する磁気ディスクと該磁気デ
ィスクを取り付けた10000rpm 以上で回転可能なス
ピンドルモーターと該磁気ディスクにデータを記録再生
するための磁気ヘッド・スライダーと該磁気ヘッド・ス
ライダーを該磁気ディスク表面近傍で作動させるための
アクチュエーター並びに制御回路を有し、該スピンドル
モーターが停止時には該磁気ヘッド・スライダーが必ず
該ゾーン上に待機し、データ転送速度が45MB/秒以
上である磁気ディスク装置において、該磁気ディスクの
潤滑膜の潤滑剤が構造式(1)のパーフロロポリエーテ
ルからなり、 HOCH2−CF2O−[−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−]−CF2 −CH2OH (1) (ここで、n,mは正の整数) さらに、分子量1000から3000の所定の分子量で
分画可能で、アルコール系溶媒を介して疎水性物質が透
過可能となる処理を施された親水性の限外ろ過膜によっ
て、該パーフロロポリエーテルが数平均分子量5500
以上で、分子量3000以下が全体に対して15重量%
以下,重量平均分子量と数平均分子量の比が1.5以下
,末端官能基の置換率が90%以上になるように制御
されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
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US10/386,471 US6869536B2 (en) | 1999-04-30 | 2003-03-13 | Lubricant, magnetic disk and magnetic disk apparatus |
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WO2005068589A1 (ja) * | 2004-01-14 | 2005-07-28 | Hoya Corporation | 磁気ディスク用潤滑剤及びその製造方法、並びに、磁気ディスク及びその製造方法 |
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