JP2001151914A - フッ素系樹脂の表面改質方法及びその装置 - Google Patents
フッ素系樹脂の表面改質方法及びその装置Info
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Abstract
を紫外線吸収体として用い、被加工物に対して均一でか
つ効率的な表面改質加工を行なうことが可能なフッ素系
樹脂の表面改質方法及びその装置を提供することを課題
とする。 【解決手段】 フッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表
面を改質するフッ素系樹脂の表面改質方法において、前
記フッ素系樹脂の表面にアミン系溶剤を含む溶液が存在
する状態で、当該フッ素系樹脂の表面に紫外レーザ光を
照射するように構成して課題を解決した。
Description
機等の画像形成装置に使用される定着装置において、圧
力ロールの表面に被覆されるフッ素系樹脂チューブ等の
フッ素系樹脂の表面改質方法及びその装置に関し、更に
は、離型性に優れる反面、親水性に乏しいフッ素系樹脂
(その成形体をも含む)に対して、その表面を改質して
親和性並びに接着性を持たせるフッ素系樹脂の表面改質
方法及びその装置に関するものである。
としては、種々な技術が提案されている。例えば(1)
金属ナトリウムとナフタリンのテトラヒドロフラン溶液
を用いる手法、(2)グロー放電、プラズマ処理を用い
る手法、(3)高周波スパッタエッチング方法、(4)
ホウ酸類のガス雰囲気中でのレーザ照射方法、(5)被
加工物に光吸収性物質を混練し、レーザ照射する手法な
どが報告されている。
り、改質効果が乏しく、表面に物理的なダメージを与え
たり、被加工物の範囲が限定される等の問題点を有して
いた。
として、ここ数年の間に、次に示すように、紫外線パル
スレーザにてフッ素系樹脂及び成形体の表面の改質を行
なう技術が提案されてきている。
ッ素系樹脂及び成形体の表面の改質を行なう方法として
は、(6)特開平06-192452 号公報のように、ヒドラジ
ンガス雰囲気を用いてフッ素基の置換を行なう方法、
(7)特開平07-207049 号公報のように、フッ素系界面
活性剤と紫外線吸収化合物を利用する改質方法、(8)
特開平06-228343 号公報のように、高純度(100MΩ・cm
以上)の水を用いて、その透過率の良さを利用した改質
方法などが提案されてきている。
452 号公報に係るフッ素系高分子成形品表面の表面改質
方法は、フッ素系高分子成形品にヒドラジン類の存在下
に波長250nm以下の紫外レーザ光を照射し、該高分
子成形品の表面を親水化させるように構成したものであ
る。
に係るフッ素樹脂成形体表面の改質法は、フッ素樹脂成
形体表面に、紫外線吸収性化合物およびフッ素系界面活
性剤の存在下において、紫外レーザ光を照射するように
構成したものである。
報に係るフッ素樹脂の表面改質方法は、フッ素樹脂を高
純度の水に接触させ、前記フッ素樹脂と前記水との接触
面の所望の部分に紫外線を照射して前記フッ素樹脂の所
望の部分を親水化するように構成したものである。
のフッ素系樹脂の表面改質方法の場合には、次のような
問題点を有している。(6)の方法では、ヒドラジン類
のガスや有機酸無水を用いる化学処理を伴うため、作業
衛生上問題があるだけでなく、人体に悪影響を及ぼす危
険性が大きいという問題点がある。また、フッ素系樹脂
の表面改質の効果も低い。また、(7)の方法では、フ
ッ素系樹脂の表面改質の効果は得られるものの、紫外線
吸収性化合物およびフッ素系界面活性剤の2種類の溶液
が必要となり、塗布、噴霧工程等の処理工程が増え、作
業効率が悪くなるという問題点がある。また、界面活性
剤の高濃度使用では作業衛生上問題がある。さらに、
(8)の方法においては、高純度の水を生成するのに高
価で大型の純水処理装置を必要とするだけでなく、純度
が下がらない環境を長時間維持することが非常に困難で
あり、コストが大幅に高くなるばかりか、溶剤を用いた
場合より改質効果が低いという問題点がある。また、A
rF EXL(エキシマレーザ)を用いることでガス寿
命が短いため、作業効率が悪いという問題点をも有して
いる。
点を解決するためになされたものであり、その目的とす
るところは、低濃度で安全なアミン系溶剤を含む溶液を
紫外線吸収体として用い、被加工物に対して均一でかつ
効率的な表面改質加工を行なうことが可能なフッ素系樹
脂の表面改質方法及びその装置を提供することにある。
ーザエネルギの繰り返し数を制御することによって、効
率的に所望の改質具合を得ることが可能なフッ素系樹脂
の表面改質方法及びその装置を提供することにある。
め、請求項1に記載された発明は、フッ素を末端基に含
むフッ素系樹脂の表面を改質するフッ素系樹脂の表面改
質方法において、前記フッ素系樹脂の表面にアミン系溶
剤を含む溶液が存在する状態で、当該フッ素系樹脂の表
面に紫外レーザ光を照射することを特徴とするフッ素系
樹脂の表面改質方法である。
系樹脂とは、当該フッ素系樹脂そのもの、及びその成形
体(含フッ素有機高分子化合物からなる成形体)の双方
を含むものであり、当該フッ素を末端基に含むフッ素系
樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン(PTF
E)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体
(FEP)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキ
シエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・エ
チレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。なお、
これらの具体的形態は特に限定されるものではない。
は、数多く存在するアミン系溶剤のいずれをも使用する
ことができ、鎖状アミン類と環状(芳香族と非芳香族)
アミン類に分類されるいずれであっても良いが、中で
も、反応性が良く、安全性が高い傾向にあるアミン系溶
剤(分子構造の末端にNがない鎖状アミン化合物)、つ
まりN分子を含み且つ末端基がH分子であって分子構造
がCn H2n+1であるアミン系溶剤を用いるのが望まし
い。
素を末端基に含むフッ素系樹脂の表面を改質するフッ素
系樹脂の表面改質方法において、前記フッ素系樹脂の表
面に紫外パルスレーザ光を照射することで、当該フッ素
系樹脂の改質を行うとともに、前記紫外パルスレーザ光
の照射回数を制御することで、フッ素系樹脂の所望の改
質状態を得ることを特徴とするフッ素系樹脂の表面改質
方法である。
ッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表面を改質するフッ
素系樹脂の表面改質方法において、前記フッ素系樹脂の
表面にアミン系溶剤を含む溶液の薄膜を均一に形成した
状態で、当該フッ素系樹脂の表面に紫外レーザ光を照射
することを特徴とするフッ素系樹脂の表面改質方法であ
る。
前記アミン系溶剤を含む溶液として、トリメチルアミン
((CH3 )3 N)、トリエチルアミン((CH5 )3
N)等の鎖状脂肪族アミン、又はアニリン(C6 H5 N
H2 )、ナフチルアミン(C 10H7 NH2 )等の環状芳
香族アミンの水溶液、アセトニトリル溶液、あるいはエ
タノール溶液を用いることを特徴とする請求項1又は3
記載のフッ素系樹脂の表面改質方法である。
H6 )、エチレイイミン(C2 H5N)や鎖状アミンの
トリエチルアミン((CH5 )3 N)、ヘキシルアミン
(C 6 H13NH2 )は、鼠経口LD50のデータ値を示
す図8から明らかなように、毒性が高い。
ているように、アミン系溶剤の中でも、反応性が良く、
安全性が高い環状アミンの非芳香族系列であるピリジン
(C 5 H5 N)を溶かした水溶液を用いるのが望まし
い。
ッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表面を改質するフッ
素系樹脂の表面改質装置において、前記フッ素系樹脂の
表面にアミン系溶剤を含む溶液の薄膜を形成する薄膜形
成手段と、前記フッ素系樹脂の表面に紫外レーザ光を照
射する紫外レーザ光照射手段を備えたことを特徴とする
フッ素系樹脂の表面改質装置である。
膜形成手段は、アミン系溶剤を含む溶液が塗布されたフ
ッ素系樹脂の表面に、紫外線透過部材を押圧し、当該紫
外線透過部材の押圧力を制御することによって、前記ア
ミン系溶剤を含む溶液の薄膜を均一に形成することを特
徴とするフッ素系樹脂の表面改質装置である。
系溶剤として、環状非芳香族アミン系溶剤であるピリジ
ンを用いることを特徴とする請求項5又は6記載のフッ
素系樹脂の表面改質装置である。
系溶剤を含む溶液が、環状非芳香族アミン系溶剤である
ピリジンの純水を用いたピリジン水溶液であることを特
徴とする請求項5又は6記載のフッ素系樹脂の表面改質
装置である。
ン水溶液に用いられるピリジンの純度は、99.9%以
上の鹿1級程度であることを特徴とする請求項5又は6
記載のフッ素系樹脂の表面改質装置である。
ジン水溶液に用いられる水の純度は、0.2μS(ジー
メンス)/cm以上であって、ピリジン水溶液の濃度
は、2%以下であることを特徴とする請求項5又は6記
載のフッ素系樹脂の表面改質装置である。
前記紫外レーザ光照射手段が、KrFエキシマレーザ光
を照射することを特徴とする請求項5又は6記載のフッ
素系樹脂の表面改質装置である。
記アミン系溶剤として、環状非芳香族アミン系溶剤であ
るピリジンを用いることを特徴とする請求項1又は3記
載のフッ素系樹脂の表面改質方法である。
記アミン系溶剤を含む溶液が、環状非芳香族アミン系溶
剤であるピリジンの純水を用いたピリジン水溶液である
ことを特徴とする請求項1又は3記載のフッ素系樹脂の
表面改質方法である。
前記ピリジン水溶液に用いられるピリジンの純度は、9
9.9%以上の鹿1級程度であることを特徴とする請求
項1又は3記載のフッ素系樹脂の表面改質方法である。
純水としては、例えば、蒸留水が用いられ、当該ピリジ
ン水溶液に用いられる水の純度は、例えば、0.2μS
(ジーメンス)/cm以上のものが用いられ、ピリジン
水溶液の濃度としては、例えb、2%以下という極低濃
度に設定される。
アミン系溶剤を含む溶液が存在する状態で、当該フッ素
系樹脂の表面に紫外レーザ光を照射するものである。
上にアミン系溶剤を含む溶液を介してフッ素系樹脂又は
その成形体からなる加工部材を載置し、紫外線透過部材
の押圧力を制御することで、アミン系溶剤を含む溶液の
薄膜に形成し、レーザ照射によってフッ素系樹脂又はそ
の成形体表面を改質するものである。紫外線透過部材の
押圧力及び薄膜形成手段により改質に用いる溶液を均一
な薄膜厚に形成し、紫外レーザ繰り返し数制御により、
照射部の改質具合を所望した状態に効率よく生成する。
さらに、改質に用いられる溶液は、低濃度のアミン系溶
剤を用いた触媒であり、安全に改質加工を行うことがで
きる。
剤を含む溶液として、溶媒を純水(蒸留水)としたとき
の低濃度ピリジン水溶液のみを使用することによって、
より安全かつ高い効率で所望の改質具合を得ることがで
きることを、本発明者は見出した。
ついて図面を参照して説明する。
素系樹脂の表面改質方法を適用したフッ素系樹脂の表面
改質装置を示す概略構成図である。
nm)のエキシマレーザ光を発生するレーザ発生装置で
あり、このレーザ発生装置11から出射されたkrFの
エキシマレーザ光LBは、ミラー12、13、14によ
って反射され、加工ステージ22上に載置された被加工
物としてのフッ素系樹脂成形物に照射される。その際、
上記ミラー12とミラー13の間には、レーザ発生装置
11から出射されたkrFのエキシマレーザ光LBを絞
る作用をする絞り15と、エキシマレーザ光LBの照射
状態を開閉するシャッター16付きのマクク17とが配
設されている。また、上記ミラー14と加工ステージ2
2との間には、上記レーザ発生装置11から出射された
krFのエキシマレーザ光LBを結像するレンズ18が
配設されており、このレンズ18は、焦点用駆動装置1
9によって上下方向であるZ1軸方向に沿って駆動され
るようになっている。さらに、上記加工ステージ22
は、加工ステージ駆動装置24により、垂直軸の回りを
θ1方向に、水平軸の回りをθ2方向に、θ2方向と直
交する水平軸の回りをθ3方向に、及び水平面内のX軸
方向とY軸方向に沿って、駆動可能となっている。ま
た、上記加工ステージ22の加工位置と異なる位置の上
方には、当該加工ステージ22上の加工状態をモニタす
るモニタ装置25が配設されている。このモニタ装置2
5は、加工ステージ22上の被加工物を計測する計測カ
メラ26と、当該計測カメラ26の焦点を駆動するため
の焦点用駆動装置27と、前記計測カメラ26で計測さ
れた被加工物の加工状態をレーザ発生装置11にフィー
ドバックするフィードバック制御盤28とを備えてい
る。また、上記フィードバック制御盤28は、レーザ発
生装置11を制御するレーザ発生制御盤29に接続され
ている。
限らず適宜用いればよく、又、ミラーを用いずに構成し
てもよい。また、シャッター16が不要であればなくて
もよい。
及び図4に示すように、繊維状体21を介して、被加工
部材であるフッ素系樹脂成形体20の表面がレンズ18
側に向くようにフッ素系樹脂成形体20が載置されてい
る。このフッ素系樹脂成形体20としては、例えば、フ
ッ素系樹脂からなるフィルム状の成形体が用いられる
が、当該フッ素系樹脂成形体20の形状は、フィルム状
に限定されるものではなく、他の任意の形状であっても
良いことは勿論である。繊維状体21は、通気性の良い
繊維質の部材である。具体例としては、厚さ100μm
程度の均一な厚さの通気性のよい紙を使用することがで
きる。加工ステージ22には、その表面に開口する1な
いし複数の通気孔31が設けられており、内部の空間を
介して真空ポンプ23に連通している。この真空ポンプ
23を動作させて吸引すると、加工ステージ22の内部
の空間が負圧となり、通気孔31を介して繊維状体21
が吸着される。さらに、繊維状体21が通気性のよい部
材であることから、被加工部材20は繊維状体21を介
して吸引され、当該被加工部材20を加工ステージ22
に繊維状体21を介して吸着固定することができるよう
になっている。
系樹脂の表面にアミン系溶剤を含む溶液の薄膜を形成す
る薄膜形成手段と、前記フッ素系樹脂の表面に紫外レー
ザ光を照射する紫外レーザ光照射手段を備えるように構
成されている。また、上記薄膜形成手段は、アミン系溶
剤を含む溶液が塗布されたフッ素系樹脂の表面に、紫外
線透過部材を押圧し、当該紫外線透過部材の押圧力を制
御することによって、前記アミン系溶剤を含む溶液の薄
膜を均一に形成するように構成されている。さらに、上
記紫外レーザ光照射手段としては、KrFエキシマレー
ザ光を照射するものが用いられる。
示すように、加工ステージ22上に被加工部材としてフ
ッ素系樹脂成形体20が載置されている。このフッ素系
樹脂成形体20としては、例えば、図5に示すように、
四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共
重合体(PFA)からなるフィルム状のフッ素系樹脂成
形体20が用いられる。また、上記フッ素系樹脂成形体
20の表面には、低濃度のアミン系溶剤を含む溶液30
が塗布されている。このアミン系溶剤を含む溶液30と
しては、例えば、トリメチルアミンのアセトニトリル溶
液が用いられる。さらに、上記アミン系溶剤を含む溶液
30が塗布されたフッ素系樹脂成形体20の表面には、
石英板等からなる紫外線透過部材31が押圧されてい
る。この紫外線透過部材31は、一定の厚さ(例えば、
3mm)で、表裏両面が平面で互いに平行となるように
精度良く形成されている。
御装置32によって上下方向に沿って、しかも、加工ス
テージ22及びフッ素系樹脂成形体20の表面に対して
平行となるように制御可能となっている。そして、上記
紫外線透過部材31は、膜厚制御装置32によって上下
方向等に沿って微少量ずつ移動させることにより、紫外
線透過部材31の下面とフッ素系樹脂成形体20の表面
との間隙Gを制御し、フッ素系樹脂成形体20の表面に
アミン系溶剤を含む溶液30の薄膜を均一に形成するよ
うに構成されている。このアミン系溶剤を含む溶液30
の薄膜は、薄い方がフッ素系樹脂成形体20の改質効果
が高いことが、本発明者らの実験によって確認されてお
り、当該アミン系溶剤を含む溶液30の膜厚は、例え
ば、数十μmに設定される。
るフッ素系樹脂の表面改質装置では、次のようにして、
低濃度で安全なアミン系溶剤を含む溶液を紫外線吸収体
として用い、被加工物に対して均一でかつ効率的な表面
改質加工を行なうことが可能となっている。
生装置11から出射されたkrFのエキシマレーザ光L
Bは、図2に示すように、投影マスク17を通して集光
レンズ18によって被加工物20上に収束される。発振
されるレーザ光LBは、波長248nmの紫外線である
ため、加工ステージ22上の被加工物20に載置されて
いる紫外線透過部材31を透過し、図1に示すように、
均一な薄膜の紫外線を吸収する溶液30を介して被加工
物20に照射される。照射された被加工物であるフッ素
系樹脂成形体20表面では光化学反応により、溶液が基
質と呼ばれるラジカルを発生することで、図5に示すよ
うに、フッ素系樹脂成形体20表面のフッ素結合を切り
離し、CH基を効率よく置換させることができる。照射
されるレーザ光LBのエネルギ密度は、わずかなアブレ
ーション反応(フッ素系樹脂の分子鎖を切断して分離す
る反応)が発生する程度の弱いエネルギ密度(<90m
j/cm2 )を用いて、レーザ光LB照射の繰り返し回
数を制御することにより、所望の改質具合を効率的に得
ることができる。
25の計測カメラ26の位置において、被加工部材20
の加工面がレーザ光LBに対し垂直となるように、加工
ステージ駆動装置24を回転方向θ1、θ2、θ3に駆
動し、調整する。なお、計測カメラ26のピントは、焦
点用駆動装置27によって調整される。その後、加工ス
テージ22と加工部材20の加工面との高さを計測す
る。加工ステージ駆動装置24をY方向に駆動して加工
部材20を加工位置に移動し、レーザ光LBによる加工
を実施する。エキシマレーザ光LBのビームを振ること
によって、被加工部材20の表面にマスク17の開口形
状に応じた形状の加工が行なわれる。加工部材20に対
する改質の程度は、レーザ光の強度や照射時間によって
制御可能であり、レーザ発生制御盤29は設定された値
に応じてレーザ光LBの発生を制御する。
示すように、フッ素系樹脂成形体20の表面にアミン系
溶剤を含む溶液30が存在する状態で、当該フッ素系樹
脂成形体20の表面に紫外レーザ光LBを照射するもの
である。
22上にアミン系溶剤を含む溶液30を介してフッ素系
樹脂成形体からなる被加工部材20を載置し、紫外線透
過部材31の押圧力を制御することで、アミン系溶剤を
含む溶液30の薄膜に形成し、レーザ光LBの照射によ
ってフッ素系樹脂成形体20の表面を改質するものであ
る。紫外線透過部材31の押圧力及び薄膜制御装置32
により改質に用いる溶液を均一な薄膜厚に形成し、紫外
レーザ繰り返し数制御により、照射部の改質具合を所望
した状態に効率よく生成する。さらに、改質に用いられ
る溶液30は、低濃度のアミン系溶剤を用いた触媒であ
り、安全に改質加工を行うことができる。
ーフルオルアルキルビニルエーテル共重合体)フィルム
20に、トリメチルアミン4%濃度のアセトニトリル溶
液を用いて、KrF(波長:248nm)エキシマレー
ザ光LB(エネルギ密度:75mj/cm2 )を、10
0Hzで20秒間だけパルス数2000shots照射
すると、照射部の純水接触角測定値は60°程度を示
し、新水性に改質されたことが確認された。また、同材
料にて、溶液30としてトリメチルアミン2%濃度のア
セトニトリル溶液を用いた場合は、エネルギ密度:75
mj/cm2 、パルス数3000shotsで水との接
触角が60°前後に改質された。
一定で、トリメチルアミンの濃度を変化させた場合に、
純水接触角の測定値がどのように変化するかを確認する
実験の結果を示すものである。この図6から明らかなよ
うに、トリメチルアミンの濃度が2%以上であれば、純
水接触角の測定値を60°程度に改質することができ、
トリメチルアミンの濃度には依存しないことがわかる。
溶液で十分な改質が起こり、親和性を得ることができ、
安全に改質加工ができた。
8フィルムのぬれ指数試験方法が規定されている。溶液
条件は、実施例1と同様にし、レーザ繰り返し数のみを
変化させて、日本工業規格K6768フィルムのぬれ指
数と純水接触角測定値とを測定し、改質程度を評価し
た。その結果、日本工業規格K6768フィルムのぬれ
指数と純水接触角測定値は、図7に示すように、略直線
状の対応関係があることがわかった。このように、ぬれ
指数と接触角の関係は比例関係にあり、レーザ照射条件
の1つを制御することで、所望の改質具体を効率的に実
現化できることを見出せた。
ーフルオルアルキルビニルエーテル共重合体)フィルム
20に、ピリジン1%濃度の水溶液を用いて、KrF
(波長:248nm)エキシマレーザ光LB(エネルギ
密度:75mj/cm2 )を、100Hzで30秒間だ
けパルス数3000shots照射すると、照射部の純
水接触角測定値は50°程度を示し、新水性に大幅に改
質されたことが確認された。
合は、KrF(波長:248nm)エキシマレーザ光L
Bのエネルギ密度を、25mj/cm2 と低くし、パル
ス数も1000shotsに減少させた場合でも、照射
部の純水接触角を55°前後に改質することができた。
このように、低濃度の溶液と低繰り返し数で効率よく改
質状態を発生させ、十分な親和性を得ることができる改
質加工を見出した。
て所望の改質状態を得る方法では、レーザの発振繰返し
数が大きいほど改質度合いが高くなる傾向がある。溶液
条件を実施例4と同様にし、パルス数を変化させてぬれ
指数評価(JIS K6768)を行ったところ、図9
に示すように、低パルス数(1000shots)で加
工した場合においても、十分な改質具合(52dyn/
cm以上)が得られた。
脂(PFA)の接着性を評価した。低濃度(2%濃度以
下)ピリジン水溶液を紫外線吸収材料として用い、レー
ザエネルギ密度を75mj/cm2 以下とし、フッ素樹
脂(PFA)の表面を改質した。この改質したフッ素樹
脂(PFA)に接着剤を(東レ社製・シリコン)を塗布
し、シリコンーゴムとの接着性(引張り強度試験)を評
価した。また、比較のため、トリエチルアミンのアセト
ニトリル溶液を用いて同様の評価を行った。その結果
は、図10に示すように、低パルス数(1000sho
ts程度))でも最大荷重4N以上の十分な接着強度を
得ることができた。このように、ピリジン水溶液を用い
ることによって、高い親水性は勿論のこと、高い親油
性、並びに十分な接着強度を有する程度に、フッ素系の
樹脂を改質できることがわかった。
てフッ素系樹脂を改質した場合に、実際にフッ素樹脂の
表面がどの程度改質されているか、つまり、フッ素樹脂
の表面に存在したフッ素(F)が、どの程度他の元素に
置換されたかを確認する分析を行った。
Aシートと、改質後のPFAシートである。なお、PF
Aシート表面の改質は、エキシマレーザ光LB(エネル
ギ密度25mj/cm2 )を、30Hzで100秒間だ
けパルス数3000shots照射し、ピリジン1%濃
度の水溶液を用いて行った。
下、「XPS」という。)による分析である。このXP
S法に使用した装置は、VG製 ESCALAB−22
0iである。
切り出し、XPS測定を行った。X線源は、単色化され
たAlKαであり、分析領域は、約1mmφ、検出深さ
は、数nmである。
シートのXPSワイドスペクトルを示す。改質前のPF
Aシート表面からは、フッ素(F)が強く検出されてい
るが、改質後では、フッ素(F)のピーク強度は激減
し、改質前のシートからは検出されなかったO、Nが検
出された。改質前後のPFAシート表面における各元素
の組成比をまとめたものが、図13の表である。
スペクトルの部分のみを拡大して示す。改質前のC1S
ピークの結合エネルギーから、シート表面のCは、C−
F2、改質後のシート表面のCは、C−C、あるいはC
−Hに結合したCであると考えられる。さらに、改質後
のC1S ピークには、288eV付近に小さなショルダ
ーが認められる。このショルダーの結合エネルギーよ
り、C=O、あるいはCHFに結合したCも表面には存
在すると考えられる。
表面のCの化学状態、および表面の組成比は明らかに変
化しており、改質の非常に高い効果が認められた。
は、図13に示すように、改質前に69.2atm%も
存在したフッ素(F)が、改質後には、0.3atm%
しか存在せず、ほぼ完全に改質されていることがわか
る。
明によれば、被加工物上に紫外吸収溶液(アミン系溶剤
を含む溶液)で薄膜を形成し、その上に紫外線透過部材
を載置し、押圧力を制御することで薄膜厚を均一に保
ち、レーザ照射を行うことで安定した改質加工ができ
る。また、用いられる溶液は、低濃度であるため安全で
ある。さらに、レーザ繰り返し数の制御により、所望す
る改質具合を効率的に具現化できる。
剤を含む溶液として、溶媒を純水(蒸留水)としたとき
の低濃度ピリジン水溶液のみを使用することによって、
より安全かつ高い効率で所望の改質具合(親水性、親油
性)、及び接着強度を実現させることができる改質方法
及びその装置を見出した。
樹脂の表面改質方法を適用したフッ素系樹脂の表面改質
装置の要部を示す構成図である。
樹脂の表面改質装置を示す構成図である。
る。
る。
0:アミン系溶剤を含む溶液、31:紫外線透過部材、
32:膜厚制御装置。
Claims (15)
- 【請求項1】 フッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表
面を改質するフッ素系樹脂の表面改質方法において、前
記フッ素系樹脂の表面にアミン系溶剤を含む溶液が存在
する状態で、当該フッ素系樹脂の表面に紫外レーザ光を
照射することを特徴とするフッ素系樹脂の表面改質方
法。 - 【請求項2】 フッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表
面を改質するフッ素系樹脂の表面改質方法において、前
記フッ素系樹脂の表面に紫外パルスレーザ光を照射する
ことで、当該フッ素系樹脂の改質を行うとともに、前記
紫外パルスレーザ光の照射回数を制御することで、フッ
素系樹脂の所望の改質状態を得ることを特徴とするフッ
素系樹脂の表面改質方法。 - 【請求項3】 フッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表
面を改質するフッ素系樹脂の表面改質方法において、前
記フッ素系樹脂の表面にアミン系溶剤を含む溶液の薄膜
を均一に形成した状態で、当該フッ素系樹脂の表面に紫
外レーザ光を照射することを特徴とするフッ素系樹脂の
表面改質方法。 - 【請求項4】 前記アミン系溶剤を含む溶液として、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン等の鎖状脂肪族アミ
ン、又はアニリン、ナフチルアミン等の環状芳香族アミ
ンの水溶液、アセトニトリル溶液、あるいはエタノール
溶液を用いることを特徴とする請求項1又は3記載のフ
ッ素系樹脂の表面改質方法。 - 【請求項5】 フッ素を末端基に含むフッ素系樹脂の表
面を改質するフッ素系樹脂の表面改質装置において、前
記フッ素系樹脂の表面にアミン系溶剤を含む溶液の薄膜
を形成する薄膜形成手段と、前記フッ素系樹脂の表面に
紫外レーザ光を照射する紫外レーザ光照射手段を備えた
ことを特徴とするフッ素系樹脂の表面改質装置。 - 【請求項6】 前記薄膜形成手段は、アミン系溶剤を含
む溶液が塗布されたフッ素系樹脂の表面に、紫外線透過
部材を押圧し、当該紫外線透過部材の押圧力を制御する
ことによって、前記アミン系溶剤を含む溶液の薄膜を均
一に形成することを特徴とするフッ素系樹脂の表面改質
装置。 - 【請求項7】 前記アミン系溶剤として、環状非芳香族
アミン系溶剤であるピリジンを用いることを特徴とする
請求項5又は6記載のフッ素系樹脂の表面改質装置。 - 【請求項8】 前記アミン系溶剤を含む溶液が、環状非
芳香族アミン系溶剤であるピリジンの純水を用いたピリ
ジン水溶液であることを特徴とする請求項5又は6記載
のフッ素系樹脂の表面改質装置。 - 【請求項9】 前記ピリジン水溶液に用いられるピリジ
ンの純度は、99.9%以上の鹿1級程度であることを
特徴とする請求項5又は6記載のフッ素系樹脂の表面改
質装置。 - 【請求項10】 前記ピリジン水溶液に用いられる水の
純度は、0.2μS(ジーメンス)/cm以上であっ
て、ピリジン水溶液の濃度は、2%以下であることを特
徴とする請求項5又は6記載のフッ素系樹脂の表面改質
装置。 - 【請求項11】 前記紫外レーザ光照射手段が、KrF
エキシマレーザ光を照射することを特徴とする請求項5
又は6記載のフッ素系樹脂の表面改質装置。 - 【請求項12】 前記アミン系溶剤として、環状非芳香
族アミン系溶剤であるピリジンを用いることを特徴とす
る請求項1又は3記載のフッ素系樹脂の表面改質方法。 - 【請求項13】 前記アミン系溶剤を含む溶液が、環状
非芳香族アミン系溶剤であるピリジンの純水を用いたピ
リジン水溶液であることを特徴とする請求項1又は3記
載のフッ素系樹脂の表面改質方法。 - 【請求項14】 前記ピリジン水溶液に用いられるピリ
ジンの純度は、99.9%以上の鹿1級程度であること
を特徴とする請求項1又は3記載のフッ素系樹脂の表面
改質方法。 - 【請求項15】 前記ピリジン水溶液に用いられる水の
純度は、0.2μS(ジーメンス)/cm以上であっ
て、ピリジン水溶液の濃度は、2%以下であることを特
徴とする請求項1又は3記載のフッ素系樹脂の表面改質
方法。
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JP35222199A JP3885436B2 (ja) | 1999-09-13 | 1999-12-10 | フッ素系樹脂の表面改質方法及びその装置 |
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JP25950799 | 1999-09-13 | ||
JP11-259507 | 1999-09-13 | ||
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JP2001151914A5 JP2001151914A5 (ja) | 2004-12-24 |
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JP2019210349A (ja) * | 2018-06-01 | 2019-12-12 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | ポリマー材料の表面処理方法 |
CN115698151A (zh) * | 2020-07-27 | 2023-02-03 | 优志旺电机株式会社 | 氟树脂的表面改性方法、经表面改性的氟树脂的制造方法、接合方法、具有经表面改性的氟树脂的材料和接合体 |
-
1999
- 1999-12-10 JP JP35222199A patent/JP3885436B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN115698151A (zh) * | 2020-07-27 | 2023-02-03 | 优志旺电机株式会社 | 氟树脂的表面改性方法、经表面改性的氟树脂的制造方法、接合方法、具有经表面改性的氟树脂的材料和接合体 |
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