JP2001150208A - 回転工具の刃具固定装置 - Google Patents

回転工具の刃具固定装置

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JP2001150208A
JP2001150208A JP2000296973A JP2000296973A JP2001150208A JP 2001150208 A JP2001150208 A JP 2001150208A JP 2000296973 A JP2000296973 A JP 2000296973A JP 2000296973 A JP2000296973 A JP 2000296973A JP 2001150208 A JP2001150208 A JP 2001150208A
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Fusao Fushiya
房男 伏屋
Tomio Ibuki
富夫 伊吹
Hiroyuki Abe
博行 阿部
Toshiyuki Tejima
寿幸 手嶋
Takeshi Takahashi
雄志 高橋
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Makita Corp
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Makita Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グラインダの主軸に砥石等の刃具を固定する
ための装置において、主軸から刃具を取り外す際に可動
側のフランジを楽に緩めることができるようにする。 【解決手段】 回転工具の主軸4に装着した固定側フラ
ンジ8と、主軸のねじ軸部6に締め付けた可動側フラン
ジ9との間に刃具7を挟み込んで刃具7を主軸に固定す
る装置であって、固定側フランジ8に、該固定側フラン
ジ8と刃具7と可動側フランジ9を、主軸に対して、可
動側フランジ9のねじ軸部6に対する緩み方向に一体で
回転させるための回転方向の遊びを設けた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、携帯用グラインダ等の
電動工具或いはエア工具(本明細書においては電動工具
等という。)において、工具主軸に取付けられる回転刃
具の固止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電動工具等における回転
刃具の取付けにあっては、第4図に示すように、工具主
軸4Aに固定された固定側フランジ8Aに対して該工具
主軸4Aに嵌合した回転刃具7Aの一方端面を当接し、
この回転刃具7Aを前記工具主軸4Aのねじ軸部6Aに
螺合されかつ回転刃具4Aの他方端面に接する可動側フ
ランジ9Aにより締付けて該回転刃具7Aを取外し可能
に挾圧固止するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のものにあっては、工具主軸4Aのねじ軸部6A
に螺合された可動側フランジ9Aの締付け動作により回
転刃具7Aを、単に該可動側フランジ9Aと固定側フラ
ンジ8Aとで挾圧として固止する構成であるため、所望
の作業中の負荷により該回転刃具7Aが両フランジ8
A,9A間で該可動側フランジ9Aの締り勝手方向に滑
り、その締付力が増大することになる。そして、回転刃
具7Aの取替え等の作業に際して可動側フランジ9Aを
弛緩して取外す場合、可動側フランジ9Aを弛緩する力
(トルク)は、該可動側フランジ9Aと工具主軸4Aの
ねじ軸部6Aとの螺合部における摩擦力、該可動側フラ
ンジ9Aと回転刃具7Aとの間及び該回転刃具と固定側
フランジ8Aとの間の摩擦力が要因となって作用するも
のであり、とくに、回転刃具7Aにより比較的固い材質
の被加工材、例えばレンガ等を切断等する作業にあって
は、該回転刃具7Aに前述したように大きな負荷がかか
って可動側フランジ9Aによる非常に強固な締付け状態
となるとともに、この作業にあっては回転刃具7Aの消
耗も激しく該回転刃具7Aの取替えが頻繁に要求される
ものであった。このため、該電動工具等の付属品として
装備されている前記可動側フラン9Aのピン孔に係合さ
れ該可動側フラン9Aを回転(締付け及び弛緩)するピ
ン付きレンチ等の工具では該可動側フラン9Aを弛緩す
ることができないことがしばしば生じ、レンチ等のピン
の折損や可動側フラン9Aのピン孔のダレ(孔が異形状
態で大きくなって前記ピンが確実に係合しない状態)が
生起し、それらの使用を不能にしてしまうという問題点
を招来するものであった。また、可動側フランジ9Aの
弛緩をし易いように、ギヤハウジングに対して工具主軸
4A側に回転を一時的に阻止するロック手段を設けたも
のにあっては、そのロック手段或いは該ロック手段を設
けた部位のギヤハウジングが破損してしまうという等の
問題点を生起していた。そこで、本発明は上記した問題
点に鑑み、強固な締付け状態を得ることは勿論のこと、
回転刃具の取替え時等に際して可動側フランジの弛緩を
簡単かつ容易に行うことができる電動工具等における回
転刃具の固止装置を提供することを目的としたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明は適宜の駆動手段により回転される工具
主軸に嵌合固止されかつ回転刃具の一方端面に接する固
定側フランジと、該工具主軸のねじ軸部に螺合されかつ
回転刃具の他方端面に接する可動側フランジとにより該
回転刃具を取外し可能に挾圧固止する装置であって、前
記固定側フランジをインナ側とアウタ側のフランジに2
分割してその間にベアリング手段を介在し、さらに該イ
ンナ側とアウタ側のフランジを軸周りの所定範囲の自由
回動を許容するように噛合可能に構成したことを要旨と
するものである。
【0005】
【作用】上記した構成によれば、工具主軸のねじ軸に対
し可動側フランジを固定側フランジに向けて螺進して該
可動側フランジの締付けにより同可動側フランジと固定
側フランジによって回転刃具を挾圧固止する。この場
合、固定側フランジはインナ側のフランジとアウタ側の
フランジとが噛合されて一体化された通常のフランジ部
材として機能して上述したように可動側フランジとによ
り挾圧するものである。また、回転刃具を取替える場合
には、可動側フランジを螺退しその締付けを弛緩状態に
して該可動側フランジを工具主軸のねじ軸から取外して
行うものであり、この場合、固定側フランジにおけるイ
ンナ側のフランジとアウタ側のフランジとの間のベアリ
ング手段によって両者の間が転り摩擦となり可動側フラ
ンジの弛緩時の力(トルク)を軽減する。すなわち、可
動側フランジの螺退(弛緩)初期時には、回転刃具に圧
接された固定側フランジにおけるアウタ側のフランジ、
回転刃具、可動側フランジの三者が一体化された状態と
なるため、その弛緩時の力(トルク)は、可動側フラン
ジと工具主軸のねじ軸部との螺合部におけるねじ摩擦
と、固定側フランジにおけるインナ側のフランジとアウ
タ側のフランジとの間の転り摩擦となり、該螺退(弛
緩)初期の力(トルク)を軽減し得るものである。
【0006】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図にしたがって詳
述する。
【0007】図において、本例の電動工具等、例えば、
携帯用の電動グラインダ本体Gのヘッド部位に形成され
たギヤボックス1内には駆動モータ(図示しない)のモ
ータ軸2が延出されており、さらに該モータ軸2から減
速歯車群3を経て回転される工具主軸4がベアリング5
a,5bを介して回転可能に支承されている。そして、
この工具主軸4の一端部(図では下端部)はギヤボック
ス1の下面から突出されていて若干小径のねじ軸6が形
成されている。なお、工具主軸4におけるねじ軸6の境
界部位には後述する固定側フランジを回転不能に嵌合す
る断面ほぼ偏平楕円形状の係合軸部4aが形成されてい
る。
【0008】前記工具主軸4のねじ軸6に嵌合されるデ
イスク砥石等の回転刃具7を固止する固止手段は、該ね
じ軸6に遊嵌されかつ工具主軸4の係合軸部4aに嵌合
係止されるほぼ円盤状の固定側フランジ8と、前記ねじ
軸6に取外し可能に螺合されたほぼ円盤状の可動側フラ
ンジ9とから構成されており、この可動側フランジ9に
は締付け工具(図示しない)等が係止される係止孔1
0,10が複数個貫設されていて、この可動側フランジ
9の締付けにより固定側フランジ8との間で回転刃具7
を挾圧固止するものである。
【0009】そして、前記固定側フランジ8は、図2及
び図3に示すように2分割されて一方をほぼキャップ状
に形成されたインナ側のフランジ11となし、他方を該
インナ側のフランジ11に所定の隙間をおいて嵌合され
た平板状のアウタ側のフランジ12となしており、この
両フランジ11,12の相対向する端面間(隙間)には
円周方向に多数個のニードルベアリング13〜13が設
けられ、さらに、このニードルベアリング13〜13の
内径部位には該インナ側とアウタ側のフランジ11,1
2の軸周りの所定範囲の自由回動を許容するように空間
部14を残して噛合する係合カム突起11a,12aが
突設されている。そして、アウタ側のフランジ12の他
方端面は前記回転刃具7が嵌合するボス部12bと同回
転刃具7の側端面が当接する偏平の当面12cが形成さ
れ、インナ側のフランジ11aの他方端面には前記工具
主軸4の係合軸部4aに嵌合されたほぼ偏平楕円形状の
係合凹部11bが形成されている。なお、インナ側のフ
ランジ11に対するアウタ側のフランジ12の嵌合面に
はOリング15が介装されており、また、両フランジ1
1,12の内径部位にはラバーリング16が該内径面よ
り若干窪んで設けられている。
【0010】また、前記工具主軸4のねじ軸6の外周に
は可動側フランジ9の螺合部位における摩擦力を低減す
るためにテフロン(登録商標)コーテイング等の表面処
理加工が施され、同様に、可動側フランジ9の全面には
摩擦力を低減するためにモリブデンコーテイング、ガス
軟窒化等の表面処理加工が施されている。
【0011】本例の回転刃具7の固止装置は上述のよう
に構成されたものであるから、工具主軸4には固定側フ
ランジ8全体がそのインナ側のフランジ11の係合凹部
11bを係合軸部4aに嵌合して一体的に回転する状態
で固止されており、そこで、回転刃具7を工具主軸4に
取付ける場合、該回転刃具7を工具主軸4のねじ軸6か
ら固定側フランジ8におけるアウタ側のフランジ12の
ボス部12bに嵌合するとともに、その一方側端面を該
アウタ側のフランジ12の当面12cに当接させる。つ
いで、可動側フランジ9を前記工具主軸4のねじ軸6に
螺合して螺進させ、この可動側フランジ9の螺進に伴う
に締付けにより固定側フランジ8におけるアウタ側のフ
ランジ12との間で回転刃具7を所望の締付け力(トル
ク)で挾圧固止するものである。そして、回転刃具7が
可動側フランジ9の当面及び固定側フランジ8における
アウタ側のフランジ12の当面12cとの間で滑りが生
起すると、可動側フランジ9、回転刃具7、固定側フラ
ンジ8におけるアウタ側のフランジ12が一体となって
回転しようとするが、このアウタ側のフランジ12はそ
の係合カム突起12aが固定側フランジにおけるインナ
側のフランジ11の係合カム突起11aに噛合すること
によりその回転が阻止されて該固定側フランジ8が通常
のフランジ部材として機能するため、可動側フランジ9
と回転刃具7とが一体的に回動されて強固に挾圧固止さ
れるものである。
【0012】そして、回転刃具7を取替える場合には可
動側フランジ9を螺退しその締付けを弛緩状態にして該
可動側フランジ9を工具主軸4のねじ軸6から取外して
行うものである。この状態にあっては、固定側フランジ
8におけるインナ側のフランジ11とアウタ側のフラン
ジ12との間のニードルベアリング13によって両者の
間が転り摩擦となり可動側フランジ9の弛緩時の力(ト
ルク)を軽減するものである。すなわち、可動側フラン
ジ9の螺退(弛緩)初期時には、回転刃具7に圧接され
た固定側フランジ8におけるアウタ側のフランジ12、
回転刃具7、可動側フランジ9の三者が一体化された状
態となるため、その弛緩時の力(トルク)は、可動側フ
ランジ9と工具主軸4のねじ軸部6Aとの螺合部におけ
るねじ摩擦と、固定側フランジ8におけるインナ側のフ
ランジ11とアウタ側のフランジ12との間の転り摩擦
となり、該可動側フランジ9の螺退(弛緩)初期の力
(トルク)を軽減し得るものである。本実施例におい
て、上記弛緩状態の実験した結果、例えば、当初の締付
けトルクを500Kg・cmとした時の弛緩トルクは、前述
した従来のものは425Kg・cmを必要としていたが、本
例においては160Kg・cmでよく、また、当初の締付け
トルクを1000Kg・cmとした時の弛緩トルクは、前述
した従来のものは800Kg・cmを必要としていたが、本
例においては270Kg・cmでよく、さらに当初の締付け
トルクを1200Kg・cmとした時の弛緩トルクは、前述
した従来のものは1000Kg・cmを必要としていたが、
本例においては350Kg・cmでよいことが得られた。し
かも、前記工具主軸4のねじ軸6の外周に可動側フラン
ジ9の螺合部位における摩擦力を低減するためにテフロ
ンコーテイング等の表面処理加工を施したり、可動側フ
ランジ9の全面に摩擦力を低減するためにモリブデンコ
ーテイング、ガス軟窒化等の表面処理加工を施した場合
は、それぞれ前記した効果をさらに助長するよい結果が
得られた。
【0013】なお、本実施例にあっては、固定側フラン
ジ8におけるインナ側のフランジ11とアウタ側のフラ
ンジ12との間にニードルベアリング13を設けた構成
について説明したが、このニードルベアリング13に代
えて他のベアリング手段或いはベアリング手段とは別の
前記両フランジ12,13相互の転りを許容する転り手
段を用いてもよい。
【0014】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明にあって
は、適宜の駆動手段により回転される工具主軸に嵌合固
止されかつ回転刃具の一方端面に接する固定側フランジ
と、該工具主軸のねじ軸部に螺合されかつ回転刃具の他
方端面に接する可動側フランジとにより該回転刃具を取
外し可能に挾圧固止する装置であって、前記固定側フラ
ンジをインナ側とアウタ側のフランジに2分割してその
間にベアリング手段を介在し、さらに該インナ側とアウ
タ側のフランジを軸周りの所定範囲の自由回動を許容す
るように噛合可能に構成したことにより、強固な締付け
状態を得ることは勿論のこと、回転刃具の取替え時等に
際して可動側フランジの弛緩を簡単かつ容易に行うこと
ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部省略した断面図で
ある。
【図2】同じく要部の拡大断面図である。
【図3】同じく図2のX−X線拡大断面図である。
【図4】従来の装置を示す一部省略した断面図である。
【符号の説明】
4…工具主軸 6…ねじ軸 7…回転刃具 8…固定側フランジ 9…可動側フランジ 11…インナ側のフランジ 12…アウタ側のフランジ 13…ニードルベアリング 11a…係合カム突起 12a…係合カム突起
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月2日(2000.10.
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 回転工具の刃具固定装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディスクグラインダ
等の回転工具の主軸に、円形の砥石等の刃具を固定する
ため固定装置に関する
【0002】
【従来の技術】従来、この種の固定装置は、例えば図4
に示すように回転工具の主軸4Aに回転について固定し
た固定側フランジ8Aに対して該主軸4Aにセットした
刃具7Aの一方端面を当接し、この刃具7Aを前記主軸
4Aのねじ軸部6Aに螺合されかつ刃具7Aの他方端面
に接する可動側フランジ9Aにより締付けて該刃具7A
を取外し可能に挾圧固止するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の固定装置にあっては、主軸4Aのねじ軸部6A
に螺合された可動側フランジ9Aの締付け動作により
7Aを、単に該可動側フランジ9Aと固定側フランジ
8Aとで挾圧として固止する構成であるため、所望の作
業中の負荷により該刃具7Aが両フランジ8A,9A間
で該可動側フランジ9Aの締り勝手方向に滑り、その締
付力が増大することになる。そして、刃具7Aの取替え
等の作業に際して可動側フランジ9Aを弛緩して取外す
場合、可動側フランジ9Aを弛緩する力(トルク)は、
該可動側フランジ9Aと主軸4Aのねじ軸部6Aとの螺
合部における摩擦力、該可動側フランジ9Aと刃具7A
との間及び該刃具7Aと固定側フランジ8Aとの間の摩
擦力が要因となって作用するものであり、とくに、刃具
7Aにより比較的固い材質の被加工材、例えばレンガ等
を切断等する作業にあっては、該刃具7Aに前述したよ
うに大きな負荷がかかって可動側フランジ9Aによる非
常に強固な締付け状態となるとともに、この作業にあっ
ては刃具7Aの消耗も激しく該刃具7Aの取替えが頻繁
に要求されるものであった。
【0004】このため、該回転工具の付属品として装備
されている前記可動側フランジ9Aのピン孔に係合され
該可動側フランジ9Aを回転(締付け及び弛緩)するピ
ン付きレンチ等の工具では該可動側フランジ9Aを弛緩
することができないことがしばしば生じ、レンチ等のピ
ンの折損や可動側フランジ9Aのピン孔のダレ(孔が異
形状態で大きくなって前記ピンが確実に係合しない状
態)が生起し、それらの使用を不能にしてしまうという
問題点を招来するものであった。また、可動側フランジ
9Aの弛緩をし易いように、ギヤハウジングに対して
4A側に回転を一時的に阻止するロック手段を設けた
ものにあっては、そのロック手段或いは該ロック手段を
設けた部位のギヤハウジングが破損してしまうという等
の問題があった。本発明は上記した問題に鑑みなされた
もので、強固な締付け状態を得ることは勿論のこと、
の取替え時等に際して可動側フランジの弛緩を簡単か
つ容易に行うことができる回転工具の刃具固定装置を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、前
記各請求項に記載した構成の固定装置とした。請求項1
記載の固定装置によれば、固定側フランジは、可動側フ
ランジのねじ軸部に対する締め付け方向の回転について
は主軸に係合して一体化される。一方、固定側フランジ
は、可動側フランジのねじ軸部に対する緩み方向の回転
については、遊びの分だけ相対回転可能となっている。
また、主軸に刃具を取り付けた状態において、該主軸と
固定側フランジとの間の摩擦抵抗は、可動側フランジと
刃具との間の摩擦抵抗または刃具と固定側フランジとの
間の摩擦抵抗よりも小さいことは、それぞれの接触面積
の大小により明らかである。このことから、刃具を主軸
から取り外すために、可動側フランジに緩み方向のトル
クを付加すると、固定側フランジと主軸との間で滑りを
生じ、その結果可動側フランジと刃具と固定側フランジ
が一体で上記遊びの範囲内で緩み方向に回転する。この
際に要する緩み方向のトルクは、刃具に対して可動側フ
ランジを緩み方向に回転させる場合よりも小さなトルク
で足りるので、結果的に可動側フランジを従来よりも小
さな力で緩めることができる。請求項2記載の固定装置
によれば、上記作用効果に加えて、固定側フランジと主
軸との間の摩擦抵抗が一層小さくなるので、さらに小さ
な力で可動側フランジを緩めることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図1
〜図4に基づいて説明する。図において、本例の回転工
、例えば、携帯用のディスクグラインダ本体Gのヘッ
ド部位に形成されたギヤボックス1内には駆動モータ
(図示しない)のモータ軸2が延出されており、さらに
該モータ軸2から減速歯車群3を経て回転される主軸
がベアリング5a,5bを介して回転可能に支承されて
いる。そして、この主軸4の一端部(図では下端部)は
ギヤボックス1の下面から突出されていて若干小径の
じ軸部6が形成されている。なお、主軸4におけるねじ
軸部6の境界部位には後述する固定側フランジを回転不
能に嵌合する断面ほぼ偏平楕円形状の係合軸部4aが形
成されている。
【0007】前記主軸4のねじ軸部6に嵌合されるデイ
スク砥石等の刃具7を固止する固止手段は、該ねじ軸部
6に遊嵌されかつ主軸4の係合軸部4aに嵌合係止され
るほぼ円盤状の固定側フランジ8と、前記ねじ軸部6に
取外し可能に螺合されたほぼ円盤状の可動側フランジ9
とから構成されており、この可動側フランジ9には締付
け工具(図示しない)等が係止される係止孔10,10
が複数個貫設されていて、この可動側フランジ9の締付
けにより固定側フランジ8との間で刃具7を挾圧固止す
るものである。
【0008】そして、前記固定側フランジ8は、図2及
び図3に示すように2分割されて一方をほぼキャップ状
に形成されたインナ側のフランジ11となし、他方を該
インナ側のフランジ11に所定の隙間をおいて嵌合され
た平板状のアウタ側のフランジ12となしており、この
両フランジ11,12の相対向する端面間(隙間)には
円周方向に多数個のニードルベアリング13〜13が設
けられ、さらに、このニードルベアリング13〜13の
内径部位には該インナ側とアウタ側のフランジ11,1
2の軸周りの所定範囲の自由回動を許容するように空間
部14を残して噛合する係合カム突起11a,12aが
突設されている。この空間部14が特許請求の範囲に記
載した遊びに相当する。また、上記ニードルベアリング
13〜13が特許請求の範囲に記載した低摩擦手段に相
当する。
【0009】そして、アウタ側のフランジ12の他方端
面は前記刃具7が嵌合するボス部12bと同刃具7の側
端面が当接する偏平の当面12cが形成され、インナ側
のフランジ11の他方端面には前記主軸4の係合軸部4
aに嵌合されたほぼ偏平楕円形状の係合凹部11bが形
成されている。なお、インナ側のフランジ11に対する
アウタ側のフランジ12の嵌合面にはOリング15が介
装されており、また、両フランジ11,12の内径部位
にはラバーリング16が該内径面より若干窪んで設けら
れている。また、前記主軸4のねじ軸部6の外周には可
動側フランジ9の螺合部位における摩擦力を低減するた
テフロン(登録商標)コーティング等の表面処理加工
が施され、同様に、可動側フランジ9の全面には摩擦力
を低減するためにモリブデンコーテイング、ガス軟窒化
等の表面処理加工が施されている。
【0010】本例の刃具7の固止装置は上述のように構
成されたものであるから、主軸4には固定側フランジ8
全体がそのインナ側のフランジ11の係合凹部11bを
係合軸部4aに嵌合して一体的に回転する状態で固止さ
れており、そこで、刃具7を主軸4に取付ける場合、該
刃具7を主軸4のねじ軸部6から固定側フランジ8にお
けるアウタ側のフランジ12のボス部12bに嵌合する
とともに、その一方側端面を該アウタ側のフランジ12
の当面12cに当接させる。ついで、可動側フランジ9
を前記主軸4のねじ軸部6に螺合して螺進させ、この可
動側フランジ9の螺進に伴う締付けにより固定側フラン
ジ8におけるアウタ側のフランジ12との間で刃具7を
所望の締付け力(トルク)で挾圧固止するものである。
そして、刃具7が可動側フランジ9の当面及び固定側フ
ランジ8におけるアウタ側のフランジ12の当面12c
との間で滑りが生起すると、可動側フランジ9、刃具
7、固定側フランジ8におけるアウタ側のフランジ12
が一体となって回転しようとするが、このアウタ側のフ
ランジ12はその係合カム突起12aが固定側フランジ
におけるインナ側のフランジ11の係合カム突起11a
に噛合することによりその回転が阻止されて該固定側フ
ランジ8が通常のフランジ部材として機能するため、可
動側フランジ9と刃具7とが一体的に回動されて強固に
挾圧固止されるものである。
【0011】そして、刃具7を取替える場合には可動側
フランジ9を螺退しその締付けを弛緩状態にして該可動
側フランジ9を主軸4のねじ軸部6から取外して行うも
のである。この状態にあっては、固定側フランジ8にお
けるインナ側のフランジ11とアウタ側のフランジ12
との間のニードルベアリング13によって両者の間が転
り摩擦となり可動側フランジ9の弛緩時の力(トルク)
を軽減するものである。すなわち、可動側フランジ9の
螺退(弛緩)初期時には、刃具7に圧接された固定側フ
ランジ8におけるアウタ側のフランジ12、刃具7、可
動側フランジ9の三者が一体化された状態となるため、
その弛緩時の力(トルク)は、可動側フランジ9と主軸
4のねじ軸部6Aとの螺合部におけるねじ摩擦と、固定
側フランジ8におけるインナ側のフランジ11とアウタ
側のフランジ12との間の転り摩擦となり、該可動側フ
ランジ9の螺退(弛緩)初期の力(トルク)を軽減し得
るものである。
【0012】本実施例において、上記弛緩状態の実験し
た結果、例えば、当初の締付けトルクを500Kg・cmと
した時の弛緩トルクは、前述した従来のものは425Kg
・cmを必要としていたが、本例においては160Kg・cm
でよく、また、当初の締付けトルクを1000Kg・cmと
した時の弛緩トルクは、前述した従来のものは800Kg
・cmを必要としていたが、本例においては270Kg・cm
でよく、さらに当初の締付けトルクを1200Kg・cmと
した時の弛緩トルクは、前述した従来のものは1000
Kg・cmを必要としていたが、本例においては350Kg・
cmでよいことが得られた。しかも、前記主軸4のねじ軸
6の外周に可動側フランジ9の螺合部位における摩擦
力を低減するためのテフロン(登録商標)コーティング
等の表面処理加工を施したり、可動側フランジ9の全面
に摩擦力を低減するためにモリブデンコーテイング、ガ
ス軟窒化等の表面処理加工を施した場合は、それぞれ前
記した効果をさらに助長するよい結果が得られた。
【0013】なお、本実施例にあっては、固定側フラン
ジ8におけるインナ側のフランジ11とアウタ側のフラ
ンジ12との間にニードルベアリング13を設けた構成
について説明したが、このニードルベアリング13に代
えて他のベアリング手段或いはベアリング手段とは別の
前記両フランジ11,12相互の転りを許容する転り手
段を用いてもよい。
【0014】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明にあって
は、適宜の駆動手段により回転される主軸に嵌合固止さ
れかつ刃具の一方端面に接する固定側フランジと、該
ねじ軸部に螺合されかつ刃具の他方端面に接する可
動側フランジとにより該刃具を取外し可能に挾圧固止す
る装置であって、前記固定側フランジをインナ側とアウ
タ側のフランジに2分割してその間にベアリング手段を
介在し、さらに該インナ側とアウタ側のフランジを軸周
りの所定範囲の自由回動を許容するように噛合可能に構
成したことにより、強固な締付け状態を得ることは勿論
のこと、刃具の取替え時等に際して可動側フランジの弛
緩を簡単かつ容易に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部省略した断面図で
ある。
【図2】同じく要部の拡大断面図である。
【図3】同じく図2のX−X線拡大断面図である。
【図4】従来の装置を示す一部省略した断面図である。
【符号の説明】 4…主軸 6…ねじ軸部 7…刃具 8…固定側フランジ 9…可動側フランジ 11…インナ側のフランジ 12…アウタ側のフランジ 13…ニードルベアリング 11a…係合カム突起 12a…係合カム突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 博行 愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 株式 会社マキタ内 (72)発明者 手嶋 寿幸 愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 株式 会社マキタ内 (72)発明者 高橋 雄志 愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 株式 会社マキタ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 適宜の駆動手段により回転される工具主
    軸に嵌合固止されかつ回転刃具の一方端面に接する固定
    側フランジと、該工具主軸のねじ軸部に螺合されかつ回
    転刃具の他方端面に接する可動側フランジとにより該回
    転刃具を取外し可能に挾圧固止する装置であって、前記
    固定側フランジをインナ側とアウタ側のフランジに2分
    割してその間にベアリング手段を介在し、さらに該イン
    ナ側とアウタ側のフランジを軸周りの所定範囲の自由回
    動を許容するように噛合可能に構成したことを特徴とす
    る電動工具等における回転刃具の固止装置。
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