JP2001148893A - 平面スピーカシステム - Google Patents

平面スピーカシステム

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JP2001148893A JP32935299A JP32935299A JP2001148893A JP 2001148893 A JP2001148893 A JP 2001148893A JP 32935299 A JP32935299 A JP 32935299A JP 32935299 A JP32935299 A JP 32935299A JP 2001148893 A JP2001148893 A JP 2001148893A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対の平面スピーカを楔状に組み合わせ自立
載置を容易にする。 【解決手段】 四角形状の支持枠23に張設した振動膜
22を前記支持枠23に支持した加振器24により振動
駆動する一対の平面スピーカ21を、各支持枠23の上
辺部どうしを連結し、一対の支持枠23を互いに楔状に
斜交させた載置姿勢で自立させる。スピーカスタンドや
イーゼル或いは取り付け金具等を使用することなく、載
置面に対し楔が真上を向く態勢或いは楔が真横を向く態
勢でもって一対の平面スピーカ21を自立載置すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の平面スピー
カを楔状に組み合わせ自立を容易にした平面スピーカシ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】図16は、従来の平面スピーカシステム
の一例を示す縦断面図である。同図に示す平面スピーカ
システム11は、平板状の平面スピーカ1を、専用のス
ピーカスタンド12を介して床面或いは卓上に載置した
ものである。平面スピーカ1は、四角形状の振動膜2を
ボイスコイル式の加振器(エキサイタ)3により背面側
から駆動するものである。加振器3は、振動膜2の背面
中央部にピストン板4を介して一端が接着されたボイス
コイル5と、このボイスコイル5の他端側に同軸的に配
設した柱状マグネット6等から構成される。柱状マグネ
ット6は、鍔付き有底円筒形状のヨーク7内に収容され
ており、このヨーク7の円筒部分に嵌装した緩衝用スリ
ーブ7aを保持する皿状の背面板8の周縁部に組み付け
た支持枠9に、膜形状維持用のリング状ガスケット9a
を介して振動膜2の周縁部が固定してある。ボイスコイ
ル5は、その側面に一端を接続したダンパ10によりヨ
ーク7の鍔部に連結してある。従来の加振器3は、柱状
マグネット6が形成する磁界内にあるボイスコイル5に
音声電流を通電して励磁したときに、ボイスコイル5に
発生するフレミングの力によってピストン板4を前後方
向に駆動し、振動する振動膜2が音圧を発生するように
なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の平面スピー
カシステム11は、平面スピーカ1が加振器3先端のピ
ストン板4を接着等により振動膜2の背面に固着する構
成であり、振動膜2の周縁部を膜形状維持用のリング状
ガスケット9aを介して支持枠9に支持してあるが、ガ
スケット9a自体は振動膜2の振動を阻害したり余計な
負荷を与えたりすることがないよう、必要最小限の膜形
状維持力しか与えられておらず、駆動原理上からは振動
膜2はあくまで四辺が自由端であることを前提に製造さ
れている。このため、スピーカスタンド12が支持枠9
を支持しているにも拘わらず、或いは支持枠9を直接壁
面に掛止して使用したにしても、ある程度の使用期間が
経過すると、外気から吸収した湿気等により剛性が徐々
に低下し、一部が微妙に反り返ったり湾曲したりする結
果、振動膜2の正確なピストン振動が望めなくなり、振
動膜2の周縁部が周囲に触れてビリツキの原因となった
り、或いは変形部分がボイスコイル5を圧迫して加振器
3の動作を妨げたり、極端な場合にはボイスコイル5が
磁気回路と接触して摺動音を発したりするなど、次第に
再生音に切れがなくなって精彩を欠きやすい等の課題を
抱えるものであった。また、こうした振動膜2に生ずる
反りや弛みは、振動膜2の表面と裏面で受ける温度や湿
度といった環境が異なるといった理由以外にも、作用す
る重力や外部応力が上下辺と左右辺で異なるといったこ
とにも原因があり、従来の平面スピーカシステム11に
は、恒常的な安定再生を阻害する要因が多数存在する等
の課題があった。
【0004】また、スピーカスタンド12の使用を前提
とするのではなく、例えば数個の平面スピーカ1を組み
合わせて卓上に自立載置させる試みの一環として、一対
の平面スピーカ1を支持枠の上辺部で結合して楔状に自
立させる試案を検討したことがあった。しかしながら、
振動膜2を駆動する加振器3の大きさと磁気能率とが逆
比例の関係にあり、ある程度の音圧を得ようとすると空
間占有率の高い加振器3を用いざるを得ないために、両
平面スピーカ1の斜交角度すなわち楔角度をある値以下
に小さくするのが困難であり、自立載置姿勢が制約を受
けるといった課題を抱えるものであった。元来、加振器
3が大型化する欠点は従来の平面スピーカ1の構造に根
差すものであった。すなわち、従来の平面スピーカ1
は、加振器3先端のピストン板4を接着等により振動膜
2の背面に固着してあり、その固着にはある程度の接着
面積が要求されるため、振動膜2の振動がピストン板4
により規制されやすく、しかもボイスコイル5をヨーク
7に連結するダンパ10には、振動膜2の重量に耐える
強度が要求されるため、ボイスコイル5の軽快な動きを
阻害しやすく、さらにピストン板4を振動膜2に固着す
るときの姿勢ずれを吸収するため、ボイスコイル5には
ある程度の軸線傾斜余地を確保しておく必要があった。
このため、ボイスコイル5とこれを囲繞する磁気回路と
の間の磁気ギャップを極小化できず、磁気能率を極限ま
で高めるのが困難であった。従って、磁気能率を確保し
た上で加振器3を小型化するのは非常に困難であった。
【0005】また、従来の平面スピーカ1は、加振器3
の振動膜駆動能力が柱状マグネット6の発生磁力やボイ
スコイル5のコイル巻数に比例するため、ボイスコイル
5や柱状マグネット6の仕様を変えずに実用上必要とさ
れる音圧を確保しようとすると、振動膜2の重量を軽減
するしかないものであった。これは、加えられた振動エ
ネルギを効率よく大気中に伝達しようとすると、静的に
は振動膜2を可能な限り広い面積部分で平面を保ちなが
ら前後方向に往復変位させる必要があるからであり、振
動膜2の軽量化はスピーカ開発者にとって大きな使命と
されてきた。しかしながら、軽量化に適した振動膜は一
般には高価な膜材料の使用を意味し、高価な膜材料ほど
加工性が低下するため、現実にはある程度の重量を持っ
た振動膜2を用いざるを得ず、その場合の出力音圧レベ
ルは70〜80dB/W程度となってしまうため、90
dB以上の音圧を得るには駆動源となる電力増幅器に1
0W以上の出力を有するアンプが必要であった。かくし
て、従来の平面スピーカ1は、例えば数十mW出力程度
の携帯型オーディオ機器のヘッドフォン出力端子に直結
して使用するなどということは到底不可能であり、電池
駆動を前提にした戸外での使用には途が閉ざされている
のが実情であった。
【0006】本発明は、上記課題を解決したものであ
り、一対の平面スピーカを楔状に組み合わせ自立載置を
容易にすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る本発明の平面スピーカシステムは、
多角形状の支持枠に張設した振動膜を前記支持枠に支持
した加振手段により振動駆動する一対の平面スピーカ
と、該一対の平面スピーカの前記各支持枠の一部どうし
を連結し、前記一対の支持枠を互いに楔状に斜交させた
載置姿勢で自立させる結合手段とを具備することを特徴
とするものである。
【0008】また、前記結合手段が、前記各支持枠の一
辺が左右の側面に固着された断面楔状のスペーサロッド
を含むこと、或いは前記結合手段が、前記一対の加振手
段どうしを連結し、該一対の加振手段の互いの位置関係
を固定する結合枠を含むこと、或いは前記結合手段が、
前記各支持枠の一辺が固着された一対の開閉扉部を有す
る蝶番を含むこと等を特徴とするものである。
【0009】また、前記一対の平面スピーカが、一方の
平面スピーカが振動面を二分割され、分割された個々の
振動面が中域再生又は高域再生又は中高域再生に用いら
れ、他方の平面スピーカが低域再生に用いられることを
特徴とするものである。また、前記一方の平面スピーカ
が、単一の振動膜をフレットにより二分割した振動面を
有することを特徴とするものである。或いはまた、前記
振動面を二分割した一方の平面スピーカが、分割境界が
前記他方の平面スピーカのための加振器の幅以上の間隙
からなることを特徴とするものである。
【0010】また、請求項9に係る本発明の平面スピー
カシステムは、楔状に二つ折りされ、折り目を結んでフ
レットが橋架された多角形状の支持枠と、該支持枠に張
設され、前記フレットにより振動面を二分割した振動膜
と、前記支持枠に支持され、前記二分割した振動膜を個
別に振動駆動する一対の加振手段とを具備することを特
徴とするものである。
【0011】また、前記二分割した振動膜は、一方が中
高域再生用で、他方が低域再生用であることを特徴とす
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1な
いし図15を参照して説明する。図1は、本発明の平面
スピーカシステムの第1実施形態を示す概略斜視図、図
2は、図1に示した平面スピーカシステムの縦断面図、
図3は、図2に示した加振器の断面図、図4(A),
(B)は、それぞれ図1に示した平面スピーカシステム
の異なる変形例を示す縦断面図、図5は、本発明の平面
スピーカシステムの第2実施形態を示す概略斜視図、図
6は、図5に示した平面スピーカシステムの縦断面図、
図7(A),(B)は、それぞれ図5に示した平面スピ
ーカシステムの他の使用例を示す概略斜視図及び概略側
面図、図8(A),(B)は、それぞれ図5に示した平
面スピーカシステムの異なる使用例を示す概略斜視図及
び概略側面図、図9(A),(B)は、それぞれ図1に
示した平面スピーカシステムの他の変形例を示す概略斜
視図及び付帯回路の一例を示す回路図、図10(A),
(B)は、それぞれ図9に示した平面スピーカシステム
の変形例を示す概略斜視図及び断面図、図11(A),
(B),(C)は、それぞれ図9に示した平面スピーカ
システムの他の変形例を示す側面図、概略斜視図及び断
面図、図12(A),(B),(C)は、それぞれ本発
明の平面スピーカシステムの第3実施形態を示す概略斜
視図、縦断面図及び概略分解斜視図、図13(A),
(B)は、それぞれ図12に示した平面スピーカシステ
ムの他の使用例を示す概略斜視図及び概略側面図、図1
4(A),(B)は、それぞれ図12に示した平面スピ
ーカシステムの異なる使用例を示す概略斜視図及び概略
側面図、図15(A),(B)は、それぞれ図12に示
した平面スピーカシステムの他の異なる使用例を示す概
略側面図である。
【0013】図1,2に示す平面スピーカシステム31
は、同じ構成の一対の平面スピーカ21を、支持枠23
の上辺部をスペーサロッド32を介して一体化すること
により楔状(ここでは、逆V字状)に結合して構成した
ものである。平面スピーカ21としては、テンスドダイ
アフラムと呼ぶ四角形状の振動膜22の四辺を四角枠体
状の支持枠23に支持し、振動膜22の背面中央部を加
振手段である加振器24によりピストン駆動して発音さ
せる構成のものが用いられる。各支持枠23は、それぞ
れの上辺部を断面楔状のスペーサロッド32の左右の傾
斜側面に対応固着してあり、結合手段としてのスペーサ
ロッド32の楔角度θをもって一対の平面スピーカ21
を自立させることができる。
【0014】すなわち、平面スピーカシステム31は、
一対の平面スピーカ21をスピーカ載置面に対し楔が真
上を向く態勢或いは楔が真横を向く態勢でもって載置す
ることができ、従ってスピーカスタンドやイーゼル或い
は取り付け金具といった自立補助手段は不要である。本
実施形態では、スペーサロッド32の楔角度θが固定さ
れているため、自立姿勢が揺らいだり不安定になったり
することはなく、各平面スピーカ21が発する音の放射
方向は限定されるものの、用途に応じた適切な楔角度を
採用することで、良好な音場再生が可能である。また、
各平面スピーカ21の支持枠23の下辺部には、自立時
の滑り止めとしてパッド33が固着してある。ただし、
仮にこのパッド33を省略した場合でも、加振器24が
振動膜22を加振するときに生ずる反力が一対の平面ス
ピーカ21間で相殺されるので、振動により自立載置位
置がずれたりする不都合を招くことはない。なお、スペ
ーサロッド32にかかる荷重を軽減するため、図2に点
線で示したように、一対の平面スピーカ21の支持枠2
3の底辺部分の端部どうしを連結するタイロッド34を
配設し、自立姿勢の構造強化を図ることもできる。
【0015】平面スピーカ21の振動膜22は、例えば
PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエ
チレンテレフタレート)或いはそれらに金属蒸着したも
の又はカーボンファイバ等の素材を支持枠23の前面を
覆う大きさの四角形状の膜に成形加工したものを用い
る。すなわち、振動膜22として、膜加工に適した合成
樹脂材或いは合成繊維でかつ高耐張力を有する膜素材を
使用することで、長期に亙って安定した振動特性が維持
できるようにしてあり、特に金属蒸着を施したPENや
PETのように引っ張り剛性の高い膜材料を使用した場
合は、経年劣化等の殆どない安定した振動特性が恒常的
に維持できる。本実施形態では、熱収縮性の四角形状の
振動膜22の上下辺と左右辺をそれぞれ接着により支持
枠23に固定し、接着固定後に振動膜22全体に熱を加
え、上下方向と左右方向に引っ張り張力を与える構成と
してある。
【0016】より詳しくは、振動膜22は、特定の一軸
方向に熱収縮特性を有するPET等の膜素材を裁断加工
したものであり、膜素材の相対向する二辺に0〜90度
(ただし、両端は含まず)の斜交角度をもって斜交する
直交二軸に平行な上下辺と左右辺を有する振動膜22が
得られるよう、膜素材を裁断加工したものである。裁断
により得られた振動膜22は、熱収縮方向がほぼ対角線
方向となるので、この振動膜22の上下辺と左右辺を支
持枠23に接着固定した後、平面パネルヒータや温風機
或いは赤外線ヒータ等を用いて振動膜22を加熱する。
これにより、振動膜22は対角線方向に収縮しようとす
るため、対角線方向の引っ張り張力の二軸分力として、
上下方向と左右方向に引っ張り張力が与えられ、振動膜
22は緊張する。
【0017】なお、四角形状の振動膜22と円形状の振
動膜(図示せず)との形状差に基づく音響特性の差異は
明らかである。すなわち、四角形状の振動膜22は、点
音源から周縁部に至る距離が方位ごとに異なるため、点
音源から周縁部に至る距離が全方位において一致する円
形状の振動膜のように、単一周波数において顕著に共振
するといった共振特性を示すことはなく、実に多数の共
振周波数を有する。従って、四角形状の振動膜22は、
円形状の振動膜に比べ十分広い再生周波数帯域を有す
る。また、膜素材の熱収縮方向を振動膜22の対角線方
向とを故意にずらすことで、上下の辺に対し与える縦方
向の引っ張り張力と、左右の辺に与える横方向の引っ張
り張力を互いに独立して調整することにより、所望の周
波数特性を自在に実現できるなど、膜形状に由来する利
点を音響効果に多々有効活用することができる。
【0018】平面スピーカ21の加振器24は、図3に
示したように、振動膜22の背面中央部にピストン板2
5aを介して一端が当接するボイスコイル25と、この
ボイスコイル25の他端側に同軸的に配設した逆E字状
断面を有するカルデラ火山形状のヨーク26と、このヨ
ーク26の円環部中間に挟持した環状マグネット27
と、ボイスコイル25の側面とヨーク26の端部とを連
結するダンパ28とから構成される。加振器24は、磁
力強化や磁気ギャップの極小化或いはダンパの摩擦低減
等により高効率化を徹底した構成としてあり、ヨーク2
6に沿って環状マグネット27が形成する磁界内にある
ボイスコイル25に音声電流を通電すると、ボイスコイ
ル25に発生するフレミングの力によりボイスコイル2
5が軸方向に振動し、ピストン板25aが前後方向に駆
動されるようになっている。
【0019】また、ピストン板25aは振動膜22に接
着するのではなく、ただ単に振動膜22の背面中央部に
当接させてあるだけである。従って、加振器24は、振
動膜22の背面側に別途保持しておく必要がある。この
ため、本実施形態では、支持枠23の左右辺の中央部間
にステーロッド29を橋架し、このステーロッド29の
中央部分に加振器24を固定してある。かくして、加振
器24は振動膜22の背面中央部に押圧保持される。な
お、ボイスコイル25の軸線を振動膜22に直交調整で
きるよう、ステーロッド29の中央部分にステーロッド
29に対する加振器24の首振り角度を調整するスキュ
ウ調整機構(図示せず)が組み込んである。支持枠23
に対する振動膜22の組み付けを終えた後、中央部に加
振器24が固着されたステーロッド29の両端を、支持
枠23の背面部に螺子止め固定する。その場合、加振器
24のボイスコイル25先端のピストン板25aが振動
膜22の背面中央部に当接するが、振動膜22自体が上
下左右に引っ張られているため、ピストン板25aが当
接する部分の振動膜22に対し最大振幅の1/2程度の
変位を生ずる程度の押圧力をもって当接させるよう組み
付けるとよい。また、スキュウ調整機構によりステーロ
ッド29に対する加振器24の首振り角度が自在に調整
できるので、調整治具(図示せず)等を用い、ピストン
板25aが振動膜22に対し垂直な方向に振動するよう
調整することができる。
【0020】上記構成になる平面スピーカ21は、ボイ
スコイル25に対し音声電流を通電すると、電流の大き
さとコイル巻数に応じたフレミングの力が発生し、ピス
トン板25aにより振動膜22が前後方向にピストン駆
動されることで音圧を発生するが、振動膜22自体が張
力を与えられて緊張しており、僅かな押圧駆動力をもっ
て振動するため、微小な駆動電流を通電するだけで十分
な音圧を発生させることができる。従って、例えばA4
判程度の大きさの面積の振動膜22であれば、ヘッドフ
ォン出力端子の出力信号をアンプを通すことなく、その
ままボイスコイル25に通電して駆動することができ
る。実験結果によれば、引っ張り張力を与えた振動膜2
2による音圧向上効果は数dBを越えることが判ってお
り、高感度の加振器24の併用に伴う数dB程度の音圧
向上効果を併せることで、平面スピーカ21全体で10
数dB程度の音圧向上を図ることができる。
【0021】具体的には、従来のフリーエッジ型の平面
スピーカであればヘッドフォン出力を増幅する1.2W
出力程度の電力増幅器を介して駆動していたA6版サイ
ズの振動膜を、振動膜22に張力を与えた状態で駆動す
る平面スピーカ21は、ヘッドフォン出力をもって直接
駆動することができ、しかも得られる再生音は音圧も周
波数特性も歪率も同等であることが確認されている。ま
た、従来のフリーエッジ型の平面スピーカであればヘッ
ドフォン出力を増幅する10W出力程度の電力増幅器を
介して駆動していたA3版サイズの振動膜も、振動膜2
2に張力を与えた状態で駆動する平面スピーカ21は、
ヘッドフォン出力を単3乾電池4本程度のバッテリ駆動
が可能な1W出力程度の電力増幅器で増幅して駆動で
き、平面スピーカへの外部給電が不要な電源コードレス
駆動が可能であることも確認されている。
【0022】なお、上記実施形態に示した平面スピーカ
システム31では、一対の平面スピーカ21を支持枠2
3を結合するスペーサロッド32だけで所定の楔角度θ
に自立させる構成としたが、両平面スピーカ21の結合
姿勢をより強固なものとするため、例えば図4(A)に
示す平面スピーカシステム41のごとく、一対の加振器
24どうしを台形断面を有する剛体からなる中空筒で構
成した結合枠42により結合することもできる。この平
面スピーカシステム41は、一対の加振器24の互いの
位置関係が結合枠42により固定されるため、加振器2
4による振動膜22への加振に伴い発生する反力或いは
こうした反力により生ずる振動やビリツキ等を確実に打
ち消すことができ、安定した自立載置ならびに音場再生
が可能である。
【0023】また、加振器24どうしを結合する結合手
段の形状は、上記結合枠42に限定されず、例えば図4
(B)に示す平面スピーカシステム43のごとく、Y字
分岐して加振器24どうしを橋絡結合する橋絡部44a
と、この橋絡部44aを支持する支柱部44bと、支柱
部44bの下端が植設された円盤状の台座部44cから
なる結合スタンド44を用い、結合枠42の代用とする
こともできる。この結合スタンド44は、楔の真下に位
置する台座部44cがパッド33とともに支持枠23の
重量を支えるので、平面スピーカシステム43の載置姿
勢の安定度は非常に高く、再生音圧レベルを高くした場
合でもビリツキ等の発生を確実に抑制することができ
る。また、結合スタンド44は平面スピーカシステム4
3の重心位置を支えているため、仮にパッド33が載置
面から浮いているような載置姿勢をとったような場合で
も、ビリツキの防止が可能である。
【0024】また、上記実施形態に示した平面スピーカ
システム31,41,43は、一対の平面スピーカがス
ペーサロッド32の頂角θに応じた自立姿勢をとるた
め、楔角度θは固定されていたが、図5に示す平面スピ
ーカシステム51のごとく、一対の平面スピーカ21を
蝶番52を用いて開閉脚自在に組み付けることにより、
自立姿勢をとったときの楔角度θを自在に調整すること
ができる。この平面スピーカシステム51は、図6に示
したように、円形断面を有するロッド53の左右の端部
近傍に一対の蝶番52が配設してあり、各蝶番52を構
成する開閉扉部としての一対の留め金52a,52b
を、各平面スピーカ21の支持枠23の各上辺部に対応
させて螺子止めしてある。このため、上記平面スピーカ
システム51は、蝶番52を構成する一対の留め金52
a,52bのなす角度を調整することにより、自立時の
一対の平面スピーカ21がなす楔角度θを自在に調整す
ることができる。従って、再生しようとする音場或いは
再生空間の特性に応じた楔角度θを選択することで、自
在な対応が可能である。
【0025】また、上記実施形態に示した一対の平面ス
ピーカ21へは必ずしも同一信号成分を印加して駆動す
る必要はなく、図7(A),(B)に示す平面スピーカ
システム71のごとく、一方の平面スピーカ21は中高
域再生用とし、他方の平面スピーカ21を低域再生用と
いうように帯域分割して駆動することもできる。本例の
場合、低域再生用の平面スピーカ21は振動膜22を載
置面に伏せるか或いは若干の隙間をもたせて載置するた
め、中高域再生用の平面スピーカ21は若干の後傾姿勢
をもって起立する。この場合、低域再生用の平面スピー
カ21が発する低音は、中高域再生用の平面スピーカ2
1が発する中高音に比べ物体の背後に回り込みやすいた
め、載置面近くで振動する振動膜22により低域再生す
ることに支障はなく、また直進性の高い中低域の音は若
干後傾姿勢の平面スピーカ21から前方に照射されるた
め、良好な音場再生が可能である。かくして、中高域再
生用の平面スピーカ21と低域再生用の平面スピーカ2
1とが結合した自立型の2ウェイ方式平面スピーカシス
テム71が得られる。なお、一対の平面スピーカ21
は、蝶番或いは同様の結合手段により結合し、互いの楔
角度θが随意調整できるようにしておくことが望まし
い。
【0026】また、上記平面スピーカシステム71は、
低域再生用の平面スピーカ21を載置面に載置して使用
するようにしたが、図8(A),(B)に示す平面スピ
ーカシステム81のごとく、低域再生用の平面スピーカ
21を天井面に組み付け、中高域再生用の平面スピーカ
21を天井面から垂下させて使用することもできる。こ
の場合も、中高域再生用の平面スピーカ21の天井面に
対する垂下角度が随意調整できるよう、一対の平面スピ
ーカ21どうしを蝶番或いは同様の結合手段により結合
することが望ましい。
【0027】さらにまた、図9(A)に示す平面スピー
カシステム91のごとく、中高域再生用の平面スピーカ
を左右二分割し、向かって左側の平面スピーカ21Lは
ステレオ信号の左チャンネルの中高域再生用とし、向か
って右側の平面スピーカ21Rを同じステレオ信号の右
チャンネルの中高域再生用に分けることもできる。この
場合、他方の低域再生用の平面スピーカ21に、左右チ
ャンネルを合成した音声信号の低域成分を印加すること
で、平面スピーカシステム91全体で3D(3次元)再
生が可能である。本実施形態では、図9(B)に示した
ように、左チャンネル音声信号を非反転増幅器からなる
スピーカ駆動アンプ21aにて増幅し、低域遮断用コン
デンサCLを介して左チャンネル中高域再生用の平面ス
ピーカ21Lに供給するとともに、右チャンネル音声信
号を反転増幅器からなるスピーカ駆動アンプ21bにて
増幅し、低域遮断用コンデンサCRを介して右チャンネ
ル中高域再生用の平面スピーカ21Rに供給する。ま
た、低域再生用の平面スピーカ21は、高域遮断用イン
ダクタIとともにスピーカ駆動アンプ21a,21b間
に直列接続してあり、低域再生は左右チャンネルを合成
したモノーラル音声により行われる。かくして、平面ス
ピーカシステム91に対し、一対のスピーカ駆動アンプ
21a,21bと低域遮断用コンデンサCL,CR及び
高域遮断用インダクタIからなる付帯回路を組み合わせ
るだけで、極めて簡潔に3D再生を行うことができる。
【0028】また、携帯所持するさいのコンパクト性を
より高めるため、例えば図10(A),(B)に示す平
面スピーカシステム101のごとく、左右チャンネルの
中高域再生用平面スピーカ21L,21Rの境界をフレ
ット102により形成することもできる。本実施形態の
場合、中高域再生用平面スピーカ21L,21Rの振動
面が、小径円柱からなるフレット102を裏面側から押
圧して二分割した一枚の振動膜により形成される。ま
た、この平面スピーカシステム101は、蝶番等の結合
手段により開閉自在に結合された両平面スピーカ21及
び21L,21Rの支持枠23を、図10(B)に示す
ように折り畳んだときに、支持枠23の内部に計3個の
加振器24が互い違いに収容されるよう、振動面を縦断
する方向に延びるステーロッド24aにより加振器24
を支持してある。このため、低域駆動用の加振器24の
背面側にフレット102が位置し、左右チャンネルの中
高域再生用平面スピーカ21L,21Rを支持枠により
分割した構成と比較したときに、支持枠とフレット10
2の肉厚差だけ折り畳み時のコンパクト性に優れるもの
である。
【0029】また、携帯所持するさいのコンパクト性を
さらに高めるため、例えば図11(A)〜(C)に示す
平面スピーカシステム103のごとく、左右チャンネル
の中高域再生用平面スピーカ21L,21Rの境界部分
の幅を広げ、低域再生用平面スピーカ21の加振器24
を収容するための間隙23aを設ける構成とすることも
できる。この場合、蝶番等の結合手段により開閉自在に
結合された両平面スピーカ21及び21L,21Rの支
持枠23を、図11(A)に示すように折り畳むと、同
図(C)に示したように、支持枠23の内部に計3個の
加振器24が互い違いに収容され、なおかつ低域駆動用
の加振器24の背面が中高域再生用平面スピーカ21
L,21Rの振動面と面一となるため、最もコンパクト
な折り畳み姿勢をとることができ、全体がかさ張らない
ため携帯が容易になる。
【0030】さらにまた、上記平面スピーカシステム9
1或いは101,103は、一方の平面スピーカ21
L,21Rを左右チャンネルに対応させて中高域再生用
とし、他方の平面スピーカ21をステレオ信号の左右合
成チャンネルの低域再生用としたが、振動面が二分割さ
れた一方の平面スピーカの個々の振動面を中域再生用と
高域再生用に割り当てることもできる。この場合、他方
の平面スピーカの低域再生と併せ3ウェイ方式の片チャ
ンネル再生スピーカシステムを構成することができるの
で、このスピーカシステムを片チャンネルずつ左右に離
間させて配置することで、品位の高いステレオ再生が可
能になる。
【0031】また、上記いずれの実施形態も、少なくと
も2枚の振動膜22を用いる構成の平面スピーカシステ
ム31,41,51,71,81,91,101,10
3を例に説明したが、図12(A),(B),(C)に
示す平面スピーカシステム111のごとく、前記一対の
支持枠23の共通上辺部をフレット114で構成し、単
一の振動膜112の両端を二つ折りの支持枠113に張
設し、振動膜112の中央部分をフレット114にて支
持する構成とすることもできる。楔状に二つ折りした四
角形状の支持枠113は、二つ折りの折り目を結んでフ
レット114が橋架してあるため、周縁部が支持枠11
3に固着された振動膜112の振動面はフレット114
により二分割される。すなわち、単一の振動膜112を
利用して実質的に一対の平面スピーカ121を構成する
ことができ、製造コストの削減ならびに製造プロセスの
簡略化が可能である。なお、二つ折りした支持枠113
は、フレット114の両端部分で開閉角度が調整できる
よう構成するとよい。
【0032】また、上記実施形態に示した平面スピーカ
システム111は、平面スピーカ121に必ずしも同一
信号成分を印加して駆動する必要はなく、図13
(A),(B)に示す平面スピーカシステム131のご
とく、一方の平面スピーカ121は中高域再生用とし、
他方の平面スピーカ121を低域再生用というように帯
域分割して駆動することもできる。本例の場合、低域再
生用の平面スピーカ121は振動膜112を載置面に伏
せるか或いは若干の隙間をもたせて載置するため、中高
域再生用の平面スピーカ121は若干の後傾姿勢をもっ
て起立する。この場合、低域再生用の平面スピーカ12
1が発する低音は、中高域再生用の平面スピーカ121
が発する中高音に比べ物体の背後に回り込みやすいた
め、載置面近くで振動する振動膜112により低域再生
することに支障はなく、また直進性の高い中低域の音は
若干後傾姿勢の平面スピーカ121から前方に照射され
るため、良好な音場再生が可能である。かくして、中高
域再生用の平面スピーカ121と低域再生用の平面スピ
ーカ121とが結合した自立型の2ウェイ方式平面スピ
ーカシステム131が得られる。
【0033】また、上記平面スピーカシステム131
は、低域再生用の平面スピーカ121を載置面に載置し
て使用するようにしたが、図14(A),(B)に示す
平面スピーカシステム141のごとく、低域再生用の平
面スピーカ121を天井面に組み付け、中高域再生用の
平面スピーカ121を天井面から垂下させて使用するこ
ともできる。この場合も、中高域再生用の平面スピーカ
121の天井面に対する垂下角度が随意調整できるよ
う、一対の平面スピーカ121どうしを角度調整可能な
結合手段により結合することが望ましい。
【0034】また、上記平面スピーカシステム111,
121,131は、一対の平面スピーカがなす楔角度を
鋭角にして使用したが、図15(A)に示す平面スピー
カ141のごとく、楔角度を鈍角に設定したり、或いは
図15(B)に示す平面スピーカ151のごとく、楔角
度を直角に設定したりもできる。具体的には、平面スピ
ーカシステム141は、フレット114により鈍角をな
して二分割された一対の平面スピーカ121の振動面に
沿って穴付き筺体142を配設し、振動面を覆ってあ
る。この筺体142は、例えば平面スピーカシステム1
41を組み込んだディスプレイ用台座のケーシングであ
り、本例の場合、放物曲面をなして湾曲する箇所に放射
音を透過させるための穴が複数穿設してある。この筺体
142の湾曲形状は、元来、要求仕様や美観等に照らし
て任意に設計されるが、フレット114を挟んで任意の
鈍角が形成できる平面スピーカシステム141は、広範
な設計要求に応え得る適応能力の高さを備えるものであ
り、筺体142の内部空間を最大限有効利用できるよう
な自由度の高い設計環境を提供することができる。
【0035】同様に、図15(B)に示した平面スピー
カシステム151も、フレット114により直角をなし
て二分割された一対の平面スピーカ121の振動面に沿
って穴付き筺体152を配設し、振動面を覆ってある。
この筺体152は、例えば平面スピーカシステム151
を組み込んだパーソナルコンピュータ本体やテレビジョ
ン受像機等のケーシングであり、本例の場合、直角をな
して屈曲するケーシング部分に放射音を透過させるため
の穴が複数穿設してある。この筺体152の湾曲形状
も、要求仕様や美観等に照らして任意に設計されるが、
フレット114を挟んで簡単に直角が形成できる平面ス
ピーカシステム151は、広範な設計要求に応え得る適
応能力の高さを備えるものであり、筺体152の内部空
間を最大限有効利用できるような自由度の高い設計環境
を提供することができる。
【0036】また、上記各実施形態では、振動膜22或
いは112を接着により支持枠23或いは113に固定
し、しかる後に振動膜22或いは112全体を加熱して
熱収縮により引っ張り張力を発生させる構成の平面スピ
ーカ21或いは121を例にとったが、支持枠に対する
振動膜の取り付けは他の方法によっても可能である。例
えば、振動膜の四辺を支持枠に仮止めしておき、四辺の
内周に沿ってラミネータ等により線状に加熱溶着し、溶
着部分を熱収縮させることで振動膜に縦横方向の引っ張
り張力を与えることもできる。或いは、例えば支持枠に
係合溝を穿設しておき、この係合溝に係合するクリップ
棒或いはクリップ枠により振動膜の周縁部を係合溝内に
係止し、係合溝に対するクリップ枠の係合深さに応じて
振動膜に付勢する張力を調整することもできる。或い
は、より単純な方法ではあるが、振動膜の周縁部に長孔
を形成し、この長孔を挿通する締め付け螺子でもって振
動膜を支持枠に締め付け固定し、長孔に対する締め付け
螺子の挿通位置に応じた張力を付勢することもできる。
さらには、支持枠を各辺の連結距離が調整できる可伸縮
構造とし、振動膜を張設した支持枠自体の大きさを変え
ることで振動膜に与える引っ張り張力を可変調整するこ
ともできる。
【0037】なお、上記説明では、平面スピーカシステ
ムを構成する平面スピーカとして四角形状のものを例に
とったが、三角形状或いは五角形以上の多角形状の平面
スピーカを用いて平面スピーカシステムを構成してもよ
い。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
多角形状の支持枠に張設した振動膜を前記支持枠に支持
した加振手段により振動駆動する一対の平面スピーカ
を、各支持枠の一部どうしを連結し、一対の支持枠を互
いに楔状に斜交させた載置姿勢で自立させる構成とした
から、スピーカスタンドやイーゼル或いは取り付け金具
等を使用することなく、載置面に対し楔が真上を向く態
勢或いは楔が真横を向く態勢でもって一対の平面スピー
カを載置することができ、しかも各平面スピーカは振動
膜が支持枠に張設されているため、支持枠に固定した加
振手段だけで振動膜を支持する従来の平面スピーカと異
なり、加振手段内のダンパに強度は不要であり、ダンパ
が可動部分の軽快な動きを阻害することはなく、しかも
加振手段を振動膜に当接させるときに姿勢ずれが生じな
いので、加振手段内の可動部分に軸線傾斜余地を確保し
ておく必要はなく、これにより加振手段内の磁気ギャッ
プを極小化し、磁気能率を極限まで高めることができ、
かくして引っ張り張力を付勢した振動膜を軽量ながらも
十分な振動源とし、僅かな駆動力でもって十分な音量を
発生させることができ、オーディオ機器或いはビデオ機
器に付属のヘッドフォン出力端子に直結して直接駆動も
できるので、特別な電力増幅器を必要としない携帯型A
V機器のためのスピーカに好適であり、また振動膜は緊
張状態で支持枠に支持されているため、基本的には周縁
部が自由端であった従来の平面スピーカのように、使用
経過とともに吸湿効果により平面形状が損なわれ、ピス
トン振動が望めなくなって再生音に精彩を欠くといった
ことはなく、高品位の再生特性を恒常的に維持すること
ができ、また加振手段の駆動点から周縁部に至る距離が
方位によって変化する多角形状の振動膜は、背面中央部
の駆動点から周縁部に至る距離が全方位において一致す
る円形状の振動膜と異なり、多数の共振周波数を有する
ために十分広い再生周波数帯域を有しており、さらに四
角形や六角形といった偶数辺からなる多角形状の振動膜
を用いる場合は、対角辺に対し与える引っ張り張力を個
別調整することにより、所望の周波数特性を実現するこ
とができ、一方また三角形や五角形といった奇数辺から
なる多角形状の振動膜を用いる場合は、頂点とこれに対
向する辺を結ぶ方向の張力を個別調整することにより、
所望の周波数特性を実現することができる等の優れた効
果を奏する。
【0039】また、前記結合手段が、各支持枠の一辺が
左右の側面に固着された断面楔状のスペーサロッドを含
むので、支持枠どうしをスペーサロッドの楔角度をもっ
て自立させることができ、しかも楔角度は固定されてい
るため、自立姿勢が揺らいだり不安定になったりするこ
とはなく、音の放射方向は限定されるものの、用途に応
じた適切な楔角度を採用することで、良好な音場再生が
可能である等の効果を奏する。
【0040】また、前記結合手段が、一対の加振手段ど
うしを連結し、該一対の加振手段の互いの位置関係を固
定する結合枠を含むため、加振手段による振動膜への加
振に伴い発生する反力或いはこうした反力により生ずる
振動或いはビリツキ等を確実に打ち消すことができ、安
定した自立姿勢ならびに音場再生が可能である等の効果
を奏する。
【0041】また、前記結合手段が、前記各支持枠の一
辺が固着された一対の開閉扉部を有する蝶番を含むの
で、一対の支持枠がなす楔の角度を蝶番の開閉扉部の角
度に応じて自在に調整することができ、再生しようとす
る音場或いは再生空間の特性に応じた楔角度に設定する
ことで、自在な対応が可能である等の効果を奏する。
【0042】また、一対の平面スピーカを、一方を中高
域再生用として、他方を低域再生用としたので、自立型
の2ウェイ方式のスピーカシステムを簡単に構成するこ
とができ、低音は中高音に比べて物体の背後に回り込む
性質が強いので、低域再生用の平面スピーカを載置面或
いは天井面に面して組み付け、直進性の強い中高域の音
を発する中高域再生用の平面スピーカを前方に向けて起
立させることで、低域と中高域が拮抗した良好な音場再
生が可能である等の効果を奏する。
【0043】また、前記一対の平面スピーカが、一方の
平面スピーカは振動面を二分割し、分割した個々の振動
面を中域再生又は高域再生又は中高域再生に用い、他方
の平面スピーカは低域再生に用いるようにしたから、一
方の平面スピーカを左右チャンネルに対応させて振動面
を二分割して中高域再生用とし、地方を前記ステレオ信
号の左右合成チャンネルの低域再生用とすることで、楔
状に組み合わされた一対の平面スピーカにより3D(3
次元)再生が可能であり、ステレオ音声の再生に必要な
スピーカシステムの占有空間を極力最小化することがで
き、或いは振動面が二分割された一方の平面スピーカの
個々の振動面を中域再生用と高域再生用に割り当てるこ
とで、他方の平面スピーカの低域再生と併せ3ウェイ方
式の片チャンネル再生スピーカシステムを構成すること
もでき、このスピーカシステムを片チャンネルずつ左右
に離間させて配置することで、品位の高いステレオ再生
が可能である等の効果を奏する。
【0044】また、前記一方の平面スピーカが、単一の
振動膜をフレットにより二分割した振動面を有するの
で、一対の平面スピーカを楔角度が零となるように背面
どうしを重ね合わせたときに、他方の平面スピーカのた
めの加振器の背面側にフレットを位置させることで、支
持枠により一方の平面スピーカの振動膜を分割する構成
と比較したときに、支持枠とフレットの肉厚差だけ折り
畳み時のコンパクト性を高めることができる等の効果を
奏する。
【0045】また、前記振動面を二分割した一方の平面
スピーカは、分割境界が前記他方の平面スピーカのため
の加振器の幅以上の間隙からなるので、一対の平面スピ
ーカを楔角度が零となるように背面どうしを重ね合わせ
たときに、一方の平面スピーカの振動面の分割境界部分
に他方の平面スピーカの加振器を収容することができ、
これにより携帯性時のコンパクト性を著しく向上させる
ことができる等の効果を奏する。
【0046】また、請求項9に係る本発明の平面スピー
カシステムは、楔状に二つ折りされ、折り目を結んでフ
レットが橋架された多角形状の支持枠と、該支持枠に張
設され、前記フレットにより振動面を二分割した振動膜
と、前記支持枠に支持され、前記二分割した振動膜を個
別に振動駆動する一対の加振手段とを具備するので、単
一の振動膜を利用して実質的に一対の平面スピーカを構
成することができ、これにより製造コストの削減ならび
に製造プロセスの簡略化が可能である等の効果を奏す
る。
【0047】また、前記二分割した振動膜を、一方が中
高域再生用とし、他方を低域再生用としたから、自立型
の2ウェイ方式のスピーカシステムを簡単に構成するこ
とができ、低音は中高音に比べて物体の背後に回り込む
性質が強いので、低域再生用の平面スピーカを載置面或
いは天井面に面して組み付け、直進性の強い中高域の音
を発する中高域再生用の平面スピーカを前方に向けて起
立させることで、低域と中高域が拮抗した良好な音場再
生が可能である等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面スピーカシステムの第1実施形態
を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した平面スピーカシステムの縦断面図
である。
【図3】図2に示した加振器の断面図である。
【図4】(A),(B)は、それぞれ図1に示した平面
スピーカシステムの異なる変形例を示す縦断面図であ
る。
【図5】本発明の平面スピーカシステムの第2実施形態
を示す概略斜視図である。
【図6】図5に示した平面スピーカシステムの縦断面図
である。
【図7】(A),(B)は、それぞれ図5に示した平面
スピーカシステムの他の使用例を示す概略斜視図及び概
略側面図である。
【図8】(A),(B)は、それぞれ図5に示した平面
スピーカシステムの異なる使用例を示す概略斜視図及び
概略側面図である。
【図9】(A),(B)は、それぞれ図1に示した平面
スピーカシステムの他の変形例を示す概略斜視図及び付
帯回路の一例を示す回路図である。
【図10】(A),(B)は、それぞれ図9に示した平
面スピーカシステムの変形例を示す概略斜視図及び断面
図である。
【図11】(A),(B),(C)は、それぞれ図9に
示した平面スピーカシステムの他の変形例を示す側面
図、概略斜視図及び断面図である。
【図12】(A),(B),(C)は、それぞれ本発明
の平面スピーカシステムの第3実施形態を示す概略斜視
図、縦断面図及び概略分解斜視図である。
【図13】(A),(B)は、それぞれ図12に示した
平面スピーカシステムの他の使用例を示す概略斜視図及
び概略側面図である。
【図14】(A),(B)は、それぞれ図12に示した
平面スピーカシステムの異なる使用例を示す概略斜視図
及び概略側面図である。
【図15】(A),(B)は、それぞれ図12に示した
平面スピーカシステムの他の異なる使用例を示す概略側
面図である。
【図16】従来の平面スピーカシステムの一例を示す縦
断面図である。
【符号の説明】
21,21L,21R 平面スピーカ 22 振動膜 23 支持枠 23a 間隙 24 加振器 25 ボイスコイル 25a ピストン板 26 ヨーク 27 環状マグネット 28 ダンパ 29 ステーロッド 31,41,43,51,71,81,91,101,
103,111, 131,141,151 平面スピーカシステム 32 スペーサロッド 33 パッド 42 結合枠 44 結合スタンド 52 蝶番 52a,52b 留め金 53 ロッド 102,114 フレット 112 振動膜 113 支持枠 121 平面スピーカ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多角形状の支持枠に張設した振動膜を前
    記支持枠に支持した加振手段により振動駆動する一対の
    平面スピーカと、該一対の平面スピーカの前記各支持枠
    の一部どうしを連結し、前記一対の支持枠を互いに楔状
    に斜交させた載置姿勢で自立させる結合手段とを具備す
    ることを特徴とする平面スピーカシステム。
  2. 【請求項2】 前記結合手段は、前記各支持枠の一辺が
    左右の側面に固着された断面楔状のスペーサロッドを含
    むことを特徴とする請求項1記載の平面スピーカシステ
    ム。
  3. 【請求項3】 前記結合手段は、前記一対の加振手段ど
    うしを連結し、該一対の加振手段の互いの位置関係を固
    定する結合枠を含むことを特徴とする請求項2記載の平
    面スピーカシステム。
  4. 【請求項4】 前記結合手段は、前記各支持枠の一辺が
    固着された一対の開閉扉部を有する蝶番を含むことを特
    徴とする請求項1記載の平面スピーカシステム。
  5. 【請求項5】 前記一対の平面スピーカは、一方が中高
    域再生用で、他方が低域再生用であることを特徴とする
    請求項1記載の平面スピーカシステム。
  6. 【請求項6】 前記一対の平面スピーカは、一方の平面
    スピーカが振動面を二分割され、分割された個々の振動
    面が中域再生又は高域再生又は中高域再生に用いられ、
    他方の平面スピーカが低域再生に用いられることを特徴
    とする請求項1記載の平面スピーカシステム。
  7. 【請求項7】 前記一方の平面スピーカが、単一の振動
    膜をフレットにより二分割した振動面を有することを特
    徴とする請求項6記載の平面スピーカシステム。
  8. 【請求項8】 前記振動面を二分割した一方の平面スピ
    ーカは、分割境界が前記他方の平面スピーカのための加
    振器の幅以上の間隙からなることを特徴とする請求項6
    記載の平面スピーカシステム。
  9. 【請求項9】 楔状に二つ折りされ、折り目を結んでフ
    レットが橋架された多角形状の支持枠と、該支持枠に張
    設され、前記フレットにより振動面を二分割した振動膜
    と、前記支持枠に支持され、前記二分割した振動膜を個
    別に振動駆動する一対の加振手段とを具備することを特
    徴とする平面スピーカシステム。
  10. 【請求項10】 前記二分割した振動膜は、一方が中高
    域再生用で、他方が低域再生用であることを特徴とする
    請求項9記載の平面スピーカシステム。
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