JP2001147634A - ホログラムの多重記録方法及びホログラム記録装置 - Google Patents

ホログラムの多重記録方法及びホログラム記録装置

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JP2001147634A
JP2001147634A JP33189099A JP33189099A JP2001147634A JP 2001147634 A JP2001147634 A JP 2001147634A JP 33189099 A JP33189099 A JP 33189099A JP 33189099 A JP33189099 A JP 33189099A JP 2001147634 A JP2001147634 A JP 2001147634A
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JP33189099A
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Hiroshi Suganuma
洋 菅沼
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折効率の低下をできるだけ抑えながら多重
記録を行い、大容量のデータの記録を可能にする。 【解決手段】 1枚のホログラムを記録する毎に、物体
光及び参照光のホログラム記録媒体13への入射角度を
変化させ、ホログラム記録媒体13の異なる領域に各ホ
ログラムを順次記録していく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つのホログラム
記録媒体に複数のホログラムを多重記録するホログラム
の多重記録方法及びこの方法によりホログラムを多重記
録するホログラム記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、記録すべきデータに応じて変調さ
れた物体光と参照光とを、大きなフォトリフラクティブ
効果を発現するホログラム記録媒体中で干渉させること
により、このホログラム記録媒体にデータを干渉縞とし
て記録し、また、データが記録されたホログラム記録媒
体に参照光と同じ入射角で読み出し光を入射させること
により、このホログラム記録媒体に記録されたデータを
再生するホログラム記録再生方式が提案されている。
【0003】このホログラム記録再生方式においては、
例えば、液晶表示パネル(LCD)等の空間光変調器を
透過することによりこの空間光変調器に表示された1画
像分のデータに応じて変調された光が物体光としてホロ
グラム記録媒体内に入射するので、1画像分のデータが
1つのホログラムとして、一度にホログラム記録媒体に
記録されることになる。そして、再生時においても、こ
の1画像分のデータを含むホログラム単位で再生される
ことになる。したがって、このホログラム記録再生方式
は、例えば、比較的高速アクセスが可能とされている光
ディスクを記録媒体として用いた記録再生方式と比較し
ても、より高速なデータアクセスが可能であるとの特徴
を有している。
【0004】また、このホログラム記録再生方式におい
ては、例えば、1つのホログラムを記録する度に参照光
の入射角を変えること等により、1つのホログラム記録
媒体に多数のホログラムを重ねて記録する、いわゆる多
重記録が可能である。したがって、このホログラム記録
再生方式は、非常に高密度にデータを記録することがで
きるとの特徴を有している。
【0005】以上の点から、ホログラム記録再生方式
は、近年の情報産業の発達に伴って要求される記録密度
の向上やデータアクセスの高速化を満足させる記録再生
方式として注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このホログ
ラム記録再生方式において、多重記録により多数のホロ
グラムを重ねて記録する場合は、全てのホログラムの記
録が終了した時点で、各ホログラムの回折効率が等しく
されている必要がある。しかしながら、1つのホログラ
ム記録媒体の同一領域に多数のホログラムを重ねて記録
すると、ホログラム記録媒体に先に記録されたホログラ
ムが、後のホログラムを記録する際に消去を受けて、図
9に示すように、その回折効率が低下するという問題が
ある。そこで、多重記録を行う場合には、図10に示す
ように、各ホログラムの記録時にその露光量を制御する
ことによって、最終的に各ホログラムの回折効率が等し
くなるようにすることが一般的に行われている。
【0007】以上のようなレコーディングスケジュール
でホログラムを多重記録する場合、記録するホログラム
の数が増えると、最終的に得られる各ホログラムの回折
効率が低下して、再生時のS/N比が低下することにな
る。そして、再生時のS/N比があまりに低いと、信号
成分がノイズに埋もれてしまってホログラムを適切に再
生することができなくなる。したがって、多重記録され
た各ホログラムの回折効率を再生可能な程度に確保する
ためには、ホログラム記録媒体に記録されるホログラム
の枚数を制限する必要があり、このことが、ホログラム
記録媒体に記録されるデータの記録容量を制限する要因
となっていた。
【0008】そこで、本発明は、回折効率の低下をでき
るだけ抑えながら多重記録を行い、大容量のデータの記
録を可能とするホログラムの多重記録方法及びホログラ
ム記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るホログラム
の多重記録方法は、1つのホログラム記録媒体に複数の
ホログラムを多重記録する方法である。そして、このホ
ログラムの多重記録方法では、1つのホログラムを記録
する毎に、ホログラム記録媒体に入射させる物体光及び
参照光の入射角度をそれぞれ変化させて、ホログラム記
録媒体の異なる領域に各ホログラムを順次記録していく
ようにしている。
【0010】ホログラムは、記録するデータに応じて変
調された光である物体光と参照光との干渉縞としてホロ
グラム記録媒体に記録される。そして、ホログラム記録
媒体に記録されたホログラムは、記録時に用いた参照光
と同じ光を同じ入射角度でホログラム記録媒体に入射す
ることで、ホログラム記録媒体から再生されることにな
る。
【0011】ここで、例えば、角度多重と呼ばれる多重
記録方法によって、1つのホログラム記録媒体に複数の
ホログラムを多重記録する場合には、1つのホログラム
を記録する毎に、ホログラム記録媒体に入射させる参照
光の入射角度を変化させることで、ホログラム記録媒体
の同一領域に多数のホログラムを重ねて記録するように
している。
【0012】しかしながら、この場合には、先にホログ
ラムが記録された領域と同一領域に後のホログラムが記
録されるので、後のホログラムを記録する際に、その物
体光及び参照光が先に記録されたホログラムに照射さ
れ、これにより、先に記録されたホログラムが消去を受
けてその回折効率が低下する。
【0013】これに対して、本発明に係るホログラムの
多重記録方法では、1つのホログラムを記録する毎に、
ホログラム記録媒体に入射させる物体光及び参照光の入
射角度をそれぞれ変化させることで、ホログラム記録媒
体の異なる領域に各ホログラムを順次記録するようにし
ているので、先に記録されたホログラムの消去に寄与す
るのは後のホログラム記録時の参照光だけとなり、先に
記録されたホログラムの回折効率の低下が大幅に抑制さ
れることになる。したがって、このホログラムの多重記
録方法によれば、大容量のデータを効率良く記録するこ
とが可能となる。
【0014】なお、本発明に係るホログラムの多重記録
方法においては、複数のホログラムを、ホログラム記録
媒体の参照光が入射する側から離間した領域から参照光
が入射する側に近接した領域へと順次記録していくこと
が望ましい。
【0015】ホログラム記録媒体による光の吸収を無視
できない場合、ホログラム記録媒体に入射した参照光の
光強度は、入射側から離間した領域にいくほど弱くな
る。したがって、複数のホログラムを、ホログラム記録
媒体の参照光が入射する側から離間した領域から順次記
録していくことによって、先に記録したホログラムの消
去を更に抑制して、更に大容量のデータを効率よく記録
することが可能となる。
【0016】また、本発明に係るホログラム記録装置
は、光源と、この光源から出射された光を偏向してその
伝播方向を変化させる光偏向手段と、この光偏向手段に
より決定された方向に伝播する光の光路を少なくとも2
つに分離する光路分離手段と、この光路分離手段により
分離された一方の光路を通る光を光変調手段により変調
し、物体光としてホログラム記録媒体に入射させる物体
光学系と、光路分離手段により分離された他方の光路を
通る光を参照光としてホログラム記録媒体に入射させる
参照光学系とを備えている。
【0017】このホログラム記録装置において、光源か
ら出射された光は、光偏向手段により所定の方向に伝播
する光とされた後に、光路分離手段に入射する。そし
て、光路分離手段に入射した光は、この光路分離手段に
より互いに異なる光路を通る光とされる。そして、この
ホログラム記録装置においては、光路分離手段により光
路が分離された光のうちの一方が、物体光学系により物
体光としてホログラム記録媒体に入射され、他方が、参
照光学系により参照光としてホログラム記録媒体に入射
されるようになされている。
【0018】したがって、このホログラム記録装置にお
いては、光偏向手段が光源から出射された光の伝播方向
を変化させることにより、ホログラム記録媒体に入射さ
れる物体光及び参照光の入射角度を共に変化させること
ができる。
【0019】このホログラム記録装置を用いて、1つの
ホログラム記録媒体に複数のホログラムを多重記録する
場合、1つのホログラムを記録する毎に、光源から出射
された光の伝播方向を光偏向手段により変化させるよう
にすれば、ホログラム記録媒体に入射させる物体光及び
参照光の入射角度をそれぞれ変化させて、ホログラム記
録媒体の異なる領域に各ホログラムを順次記録すること
ができる。したがって、このホログラム記録装置によれ
ば、先に記録されたホログラムの回折効率の低下を大幅
に抑制して、大容量のデータを効率良く多重記録するこ
とができる。
【0020】なお、このホログラム記録装置において
は、光偏向手段として、解像点数を多くとれる音響光学
素子を用いることが望ましい。音響光学素子を光偏向手
段として用いた場合、超音波と光の相互作用によりドッ
プラーシフトが生じ、回折された光の光周波数がもとの
光の光周波数から僅かに変化する。ここで、このような
光を物体光又は参照光のいずれか一方に用いた場合に
は、物体光と参照光との光周波数が一致しないことにな
り、この光周波数の不一致により、定常的な記録が行え
ない場合がある。これに対して、本発明に係るホログラ
ム記録装置では、光偏向手段により偏向された光を物体
光と参照光との双方に用いるようにしているので、物体
光と参照光との光周波数の不一致は生ぜず、以上のよう
な問題は回避されることになる。
【0021】また、本発明に係るホログラム記録装置に
おいては、光偏向手段が光源から出射された光を1つの
面内で偏向するようになされ、光偏向手段の出射面と光
路分離手段とが、少なくとも上記光源から出射された光
が偏向する面内において互いに略共役な位置関係となる
ように、光偏向手段と光路分離手段とがそれぞれ配設さ
れていることが望ましい。このように、光偏向手段の出
射面と光路分離手段とを、少なくとも光が偏向する面内
において互いに略共役な位置関係とすることにより、光
偏向手段により偏向された光の伝播方向が変化したとき
でも、その光が光路分離手段により蹴られることを防止
することができる。
【0022】また、本発明に係るホログラム記録装置に
おいては、光路分岐手段と物体光学系の光変調手段と
が、互いに略共役な位置関係となるようにそれぞれ配設
されていることが望ましい。このように、光路分岐手段
と物体光学系の光変調手段とを互いに略共役な位置関係
とすることにより、光路分岐手段により光路が分岐され
た一方の光が光変調手段に入射する際の入射領域を一定
に保つことが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0024】本発明を適用したホログラム記録再生装置
の一構成例を図1及び図2に示す。この図1及び図2に
示すホログラム記録再生装置1は、本発明に係るホログ
ラムの多重記録方法によりホログラムを多重記録する機
能と、ホログラム記録媒体に多重記録されたホログラム
を再生する機能とを備えたホログラム記録再生装置であ
る。なお、図1は、このホログラム記録再生装置1の光
学系の全体を水平面内で見た様子を示しており、図2
は、光源2からビームスプリッタ8までの光学系を垂直
面内で見た様子を示している。
【0025】このホログラム記録再生装置1は、波長幅
が十分狭くコヒーレンスの高いレーザ光を出射する光源
2を備えている。この光源2から出射されるレーザ光の
光路上にはコリメータレンズ3が配設されており、光源
2から出射されたレーザ光は、このコリメータレンズ3
を透過することにより平行光に変換される。
【0026】コリメータレンズ3を透過したレーザ光の
光路上には、シリンドリカルレンズ4と、光偏向手段で
ある音響光学偏向器(AOD:Acoustic Optics Deflec
tor)5とが配設されている。コリメータレンズ3によ
り平行光に変換されたレーザ光は、シリンドリカルレン
ズ4を透過することにより垂直面内で集光され、音響光
学偏向器5に入射される。
【0027】音響光学偏向器5は、音響光学効果を利用
した光偏向器であり、超音波周波数を変調することによ
って、入射した光の偏向を行うものである。この音響光
学偏向器5に入射したレーザ光は、この音響光学偏向器
5により、図1に示す水平面(以下、ビーム偏向面とい
う。)内で偏向されて、所定の方向に伝播する光として
音響光学偏向器5から出射されることになる。
【0028】音響光学偏向器5から出射されるレーザ光
の光路上にはコリメータレンズ6が配設されており、音
響光学偏向器5から所定の方向に伝播する光として出射
されたレーザ光は、このコリメータレンズ6を透過する
ことにより、垂直面内で平行光となるように変換され
る。
【0029】コリメータレンズ6を透過したレーザ光の
光路上には、ビーム径変換光学系7が配設されている。
このビーム径変換光学系7は、2つのシリンドリカルレ
ンズ7a,7bが組み合わされてなるものであり、コリ
メータレンズ6を透過したレーザ光を、水平面内で所望
のビーム径を有する平行光に変換する。
【0030】ビーム径変換光学系7を透過したレーザ光
の光路上には、光路分離手段であるビームスプリッタ8
が配設されている。このビームスプリッタ8は、入射し
たレーザ光の一部を透過すると共に、他の一部を反射し
てその光路を例えば約90度折り曲げることにより、こ
のレーザ光の光路を2つに分離するものである。ここ
で、ビームスプリッタ8に入射するレーザ光は、音響光
学偏向器5により伝播方向が決定された光であるので、
このビームスプリッタ8により光路が分離される光は、
共に、音響光学偏向器5により決定された所定の方向に
伝播することになる。
【0031】なお、ビームスプリッタ8は、音響光学偏
向器5の出射面の像面に配設され、音響光学偏向器5の
出射面とビームスプリッタ8とが、少なくともビーム偏
向面内において略共役な位置関係とされることが望まし
い。このように、音響光学偏向器5の出射面とビームス
プリッタ8とが少なくともビーム偏向面内において略共
役な位置関係とされていれば、音響光学偏向器5により
偏向されるレーザ光の伝播方向が変わったときでも、レ
ーザ光はビームスプリッタ8のほぼ同じ箇所に入射する
ことになる。したがって、この場合には、レーザ光がビ
ームスプリッタ8により蹴られて光量が減少するといっ
た不都合を回避することができる。
【0032】ビームスプリッタ8を透過したレーザ光の
光路上には、リレーレンズ9,10と、光変調手段であ
る空間光変調器11とが配設されている。そして、ビー
ムスプリッタ8を透過したレーザ光は、リレーレンズ
9,10を介して空間光変調器11に入射するようにな
されている。ホログラム記録再生装置1では、このよう
に、ビームスプリッタ8と空間光変調器11との間にリ
レーレンズ9,10を配設して、ビームスプリッタ8を
透過したレーザ光をリレーレンズ9,10を介して空間
光変調器11に入射させることにより、ビームスプリッ
タ8と空間光変調器11とを互いに略共役な位置関係と
することができるようになされている。このように、ビ
ームスプリッタ8と空間光変調器11とが互いに略共役
な位置関係とされていれば、音響光学偏向器5により偏
向されるレーザ光の伝播方向が変わったときでも、ビー
ムスプリッタ8を透過したレーザ光を空間光変調器11
の所定の領域に入射させることができる。
【0033】空間光変調器11は、例えば透過型の液晶
表示装置(LCD)等よりなり、画像信号に応じた画像
を表示部に表示する。ビームスプリッタ8を透過したレ
ーザ光は、リレーレンズ9,10を介して空間光変調器
11に入射され、空間光変調器11の表示部を透過する
ことにより、この表示部に表示された画像に応じて変調
されることになる。
【0034】空間光変調器11の表示部を透過したレー
ザ光の光路上には、フーリエ変換レンズ12が配設され
ている。そして、空間光変調器11の表示部を透過する
ことによって、この空間光変調器11の表示部に表示さ
れた画像に応じて変調されたレーザ光が、フーリエ変換
レンズ12を透過することによりフーリエ変換され、物
体光としてホログラム記録媒体13に入射するようにな
されている。ホログラム記録再生装置1では、以上のよ
うに、空間光変調器11の表示部に表示された画像に応
じて変調されたレーザ光をフーリエ変換し、フーリエ変
換された光を物体光としてホログラム記録媒体13に入
射させることによって、ホログラム記録媒体13にフー
リエホログラムを記録するようにしている。
【0035】ここで、ホログラム記録媒体13に物体光
として入射するレーザ光は、音響光学偏向器5により伝
播方向が決定された光であるので、この伝播方向に応じ
た所定の入射角度でホログラム記録媒体13に入射する
ことになる。そして、音響光学偏向器5により偏向され
るレーザ光の伝播方向が変わったときには、それに応じ
て、ホログラム記録媒体13に入射する物体光の入射角
度も変わることになり、ホログラム記録媒体13中にお
ける物体光の像面の位置が、水平面内において左右にシ
フトすることになる。
【0036】なお、ホログラム記録媒体13としては、
例えば、Fe、Ce、Rh、Pr等の材料をドーピング
したLiNbO3、LiTaO3、SBN、KnbO3
BaTiO3、BSO等のフォトリフラクティブ結晶
や、有機フォトポリマー、有機フォトリフラクティブ結
晶、液晶等のホログラム材料等が用いられる。
【0037】一方、ビームスプリッタ8により反射され
たレーザ光の光路上には、一対の反射ミラー14,15
と、リレーレンズ16,17とが配設されている。そし
て、ビームスプリッタ8により反射されたレーザ光が、
反射ミラー14により反射された後にリレーレンズ1
6,17を透過し、反射ミラー15により更に反射され
て、参照光としてホログラム記録媒体13に入射するよ
うになされている。
【0038】ここで、ホログラム記録媒体13に参照光
として入射するレーザ光は、ビームスプリッタ8により
物体光となるレーザ光と分離された光であり、物体光と
なるレーザ光と同様に、音響光学偏向器5により伝播方
向が決定された光であるので、この伝播方向に応じた所
定の入射角度でホログラム記録媒体13に入射すること
になる。そして、音響光学偏向器5により偏向されるレ
ーザ光の伝播方向が変わったときには、それに応じて、
ホログラム記録媒体13に入射する参照光の入射角度も
変わることになる。なお、ホログラム記録媒体13に入
射する参照光の入射角度が変わっても、リレーレンズ1
6,17を用いることによって、ビームスプリッタ8と
ホログラム記録媒体13とが結像関係におかれていれ
ば、参照光は、ホログラム記録媒体13における物体光
の像面を必ず透過することになる。
【0039】ホログラム記録再生装置1では、以上の光
学系を経てホログラム記録媒体13に入射した物体光と
参照光とを、ホログラム記録媒体13中で干渉させるこ
とによって、その干渉縞をフーリエホログラムとしてホ
ログラム記録媒体13に記録するようにしている。
【0040】このホログラム記録再生装置1によりホロ
グラム記録媒体13に記録されたフーリエホログラムを
再生する際には、ビームスプリッタ8を透過するレーザ
光の光路上にシャッタ18を配設し、このシャッタ18
によりビームスプリッタ8を透過したレーザ光を遮断す
る。そして、ビームスプリッタ8により反射されたレー
ザ光のみを読み出し光として、記録時の参照光と同じ入
射角でホログラム記録媒体13に入射させる。これによ
り、ホログラム記録媒体13に記録されていたフーリエ
ホログラムが再生されることになる。この再生光をフー
リエ変換レンズ19によりフーリエ変換し、この像をC
CD(Charge-coupled device)等の撮像素子20に投
影させれば、空間光変調器11の表示部に表示された画
像に応じた画像が撮像素子20により撮像されることに
なる。
【0041】なお、以上説明したホログラム記録再生装
置1においては、光源2から出射されたレーザ光を偏向
してその伝播方向を変化させるための光偏向手段とし
て、音響光学偏向器5を用いるようにしているが、光偏
向手段としては、例えば、ガルバノミラーや電気光学偏
向器(EOD:Electric Optics Deflector)等の他の
手段を用いるようにしてもよい。但し、ガルバノミラー
は機械的な素子であるので、再現性や絶対的な精度を確
保するのが困難である。また、電気光学偏向器について
は、解像点数が多くとれない等の問題がある。これに対
して、音響光学偏向器5は、絶対的な精度を確保するの
が容易であり、また、解像点数を多くとれることから、
光偏向手段として最適である。
【0042】音響光学偏向器5を光偏向手段として用い
た場合には、超音波と光の相互作用によりドップラーシ
フトが生じ、音響光学偏向器5により偏向されたレーザ
光の光周波数が、音響光学偏向器5に入射するレーザ光
の光周波数から僅かに変化することが知られている。こ
こで、例えば、参照光となるレーザ光の伝播方向のみを
音響光学偏向器5により変化させ、物体光となるレーザ
光の伝播方向は変化させないとすると、ホログラム記録
媒体に入射する物体光と参照光とで光周波数の不一致が
生じ、2つの光の干渉縞がビート周波数で移動して、ホ
ログラムを定常的に記録することができなくなる。そこ
で、このような場合には、複数の音響光学偏向器或いは
電気光学偏向器を用いて、偏向を与える必要のない光に
ついても光周波数を変化させることにより、光周波数の
変化をキャンセルするようになされていた("Compact h
olographic storage demonstrator with rapid access"
Ian McMichael et al.Applied Optics,Vol.14,pp.2375
参照)。しかしながら、音響光学偏向器を複数設けた
り、音響光学偏向器の他に電気光学偏向器を設けて光周
波数の変化をキャンセルしようとすると、装置構成が複
雑にならざるを得ず、実用上問題があった。
【0043】これに対して、上述したホログラム記録再
生装置1においては、音響光学偏向器5により偏向され
たレーザ光の光路をビームスプリッタ8により分離し
て、分離された各レーザ光をそれぞれ物体光及び参照光
として用いるようにしているので、ホログラム記録媒体
13に入射する物体光と参照光とで光周波数の不一致が
生じることはない。したがって、このホログラム記録再
生装置1では、装置構成の複雑化を招くことなく、光偏
向手段として最適な音響光学偏向器5を有効に用いるこ
とができる。
【0044】なお、以上説明したホログラム記録再生装
置1においては、ホログラムをフーリエホログラムとし
て記録するようにしているが、ホログラム記録再生装置
1は、以上の例に限定されるものではなく、例えば、イ
メージホログラムやフレネルホログラム等の他のホログ
ラムを記録するように構成されていてもよい。また、以
上説明したホログラム記録再生装置1においては、透過
型ホログラムを記録再生するようにしているが、ホログ
ラム記録再生装置1は、この例に限定されるものではな
く、反射型ホログラムを記録再生するように構成されて
いてもよい。
【0045】ところで、以上説明したホログラム記録再
生装置1においては、上述したように、音響光学偏向器
5が、光源2から出射されたレーザ光の伝播方向を変化
させることにより、ホログラム記録媒体13に入射する
物体光の入射角度及び参照光の入射角度を変化させるこ
とができるようになされているので、1つのホログラム
を記録する毎に音響光学偏向器5による偏向を制御する
ようにすれば、ホログラムの多重記録が行える。すなわ
ち、音響光学偏向器5を通過したレーザ光の電波方向
を、1つのホログラムを記録する毎に変えるようにすれ
ば、ホログラム記録媒体13に入射させる物体光及び参
照光の入射角度を変化させながら複数のホログラムを順
次記録する本発明の多重記録方法により、ホログラムの
多重記録を行うことが可能になる。
【0046】1つのホログラムを記録する毎に、ホログ
ラム記録媒体13に入射させる物体光及び参照光の入射
角度をそれぞれ変化させながら多重記録を行う本発明の
多重記録方法の原理を図3を参照して説明する。
【0047】先ず、第1の物体光L1と第1の参照光L
2とをホログラム記録媒体13中で干渉させて、ホログ
ラム記録媒体13に第1のホログラムH1を記録する。
次に、音響光学偏向器5によりレーザ光の伝播方向を変
化させることによって、物体光及び参照光のホログラム
記録媒体13への入射角度を変化させる。そして、第2
の物体光L3と第2の参照光L4とをホログラム記録媒
体13中で干渉させて、ホログラム記録媒体13に第2
のホログラムH2を記録する。次に、音響光学偏向器5
によりレーザ光の伝播方向を変化させることによって、
物体光及び参照光のホログラム記録媒体13への入射角
度を更に変化させる。そして、第3の物体光L5と第3
の参照光L6とをホログラム記録媒体13中で干渉させ
て、ホログラム記録媒体13に第3のホログラムH3を
記録する。以下、同様に、ホログラム記録媒体13への
入射角度が異なる物体光及び参照光を用いてホログラム
記録媒体13中にホログラムを順次記録していく。
【0048】以上のように、物体光及び参照光のホログ
ラム記録媒体13への入射角度をそれぞれ変化させなが
らホログラム記録媒体13に複数のホログラムを多重記
録するようにすれば、ホログラム記録媒体13中におい
て、物体光と参照光とが交差してホログラムが記録され
る領域は、各ホログラム毎にそれぞれ異なることにな
る。これにより、多重記録の際に問題とされる回折効率
の低下が抑制されることになる。
【0049】詳述すると、例えば、1つのホログラムを
記録する毎に、ホログラム記録媒体に入射させる参照光
の入射角度のみを変化させる従来の角度多重において
は、ホログラム記録媒体の同一領域に複数のホログラム
が重ねて記録されることになる。この場合には、後のホ
ログラムを記録する際に、その物体光及び参照光が先に
記録されたホログラムに照射され、これにより、先に記
録されたホログラムが消去を受けてその回折効率が低下
することになる。
【0050】多重記録により複数のホログラムを重ねて
記録する場合は、露光量を制御しながら全てのホログラ
ムの記録が終了した時点で各ホログラムの回折効率を等
しくする必要があるが、後のホログラム記録時における
先のホログラムの回折効率の低下が大きいと、ホログラ
ム記録媒体に記録されるホログラムの枚数が制限される
ことになる。
【0051】これに対して、物体光及び参照光のホログ
ラム記録媒体13への入射角度をそれぞれ変化させなが
らホログラム記録媒体13に複数のホログラムを多重記
録するようにすれば、各ホログラムがホログラム記録媒
体13の異なる領域にそれぞれ記録されることになるの
で、先に記録されたホログラムの消去に寄与するのは後
のホログラム記録時の参照光だけとなる。すなわち、図
3において、例えば、第2のホログラムH2を記録する
際に、第1のホログラムH1に照射されるのは第2の参
照光L4のみであり、第2の物体光L3は照射されな
い。また、第3のホログラムH3を記録する際に、第1
のホログラムH1及び第2のホログラムH2に照射され
るのは第3の物体光L6のみであり、第3の物体光L5
は照射されない。したがって、この方法によれば、先に
記録されたホログラムの回折効率の低下が大幅に抑制さ
れることになり、大容量のデータを効率良く記録するこ
とが可能となる。
【0052】また、物体光及び参照光のホログラム記録
媒体13への入射角度を図3に示す方向で変化させれ
ば、ホログラム記録媒体13中において、物体光と参照
光とが交差してホログラムが記録される領域は、参照光
が入射する側から離間した領域から、参照光が入射する
側に近接した領域へと移動していくことになる。すなわ
ち、先に記録したホログラムほどホログラム記録媒体1
3の参照光が入射する側から離間した領域に記録され、
後に記録したホログラムほどホログラム記録媒体13の
参照光が入射する側に近接した領域に記録されることに
なる。
【0053】ここで、ホログラム記録媒体13に光を吸
収する材料を用いた場合には、ホログラム記録媒体13
に入射した参照光の光強度は、入射側から離間した領域
へいくに従って弱くなる。したがって、以上のように、
複数のホログラムを、ホログラム記録媒体13の参照光
が入射する側から離間した領域から、参照光が入射する
側に近接した領域へと順次記録していくようにすれば、
先に記録されたホログラムほど、後のホログラム記録時
に照射される参照光の光強度が弱まるので、上述した角
度多重により多重記録を行う場合に比べて、先に記録さ
れたホログラムの回折効率の低下を抑えて、更に大容量
のデータを効率よく記録することが可能となる。
【0054】なお、図3においては、ホログラム記録媒
体13の中心部分で物体光が集光している様子を図示し
ているが、物体光の集光位置をホログラム記録媒体13
の物体光が出射する側にずらした方が高い回折効率が得
られるので望ましい。この場合にも、物体光及び参照光
のホログラム記録媒体13への入射角度をそれぞれ変え
ながら多重記録を行うようにすれば、記録されたホログ
ラムの回折効率の低下を抑制することができる。
【0055】ここで、物体光及び参照光のホログラム記
録媒体13への入射角度をそれぞれ変えながら複数のホ
ログラムを多重記録する際のレコーディングスケジュー
ルについて、図4を参照して説明する。
【0056】物体光及び参照光のホログラム記録媒体1
3への入射角度をそれぞれ変えながら複数のホログラム
を多重記録する場合、各ホログラムの記録と消去の時定
数が一定ではない。これは、ホログラム記録媒体13中
において物体光と参照光とが交差する点が移動するた
め、参照光の吸収量が変化するからである。また、実際
には、物体光と参照光の光強度密度や結晶軸に対する方
向等の様々な要因によって、各ホログラムの記録と消去
の時定数は変化することになる。
【0057】しかしながら、このような場合にも、各ホ
ログラムに対する記録と消去の時定数が既知であり、記
録するホログラムの数Mと、各ホログラムの最終的な回
折効率ηを決定すれば、最終的に記録された全てのホロ
グラムの回折効率が等しくなる図4に示すようなレコー
ディングスケジュールを設定することが可能である。
【0058】この図4に示すようなレコーディングスケ
ジュールを設定する場合は、先ず、最後に記録するホロ
グラムからその記録時間(露光時間)を設定する。M枚
目のホログラムの記録時定数をτrec(M)とすれば、
M枚目のホログラムの記録に要する時間tMは、下記式
1から求められる。ここで、ηmaxは、飽和回折効率で
ある。
【0059】
【数1】
【0060】次に、M−1枚目のホログラムは、M枚目
のホログラム記録時のtmの露光後にηの回折効率を有
していればよいので、記録直後の回折効率ηM-1が下記
式2を満たせばよい。
【0061】
【数2】
【0062】また、M−1枚目のホログラムの記録に要
する時間tM-1は、下記式3から求められる。
【0063】
【数3】
【0064】以下、次に記録していくホログラムの記録
時間と回折効率とを順次決定していけばよい。
【0065】一般に、n枚目のホログラム記録直後の回
折効率ηnは下記式4を満たせばよい。
【0066】
【数4】
【0067】また、n枚目のホログラムの記録に要する
時間tnは、下記式5から求められる。
【0068】
【数5】
【0069】この漸化式によって、多重記録される各ホ
ログラムの露光量或いは記録時間(露光時間)が順次決
定されることになる。
【0070】ここで、本発明に係るホログラムの多重記
録方法で、以上のようなレコーディングスケジュールに
より複数のホログラムを多重記録した場合の具体的な例
を、従来の角度多重により多重記録をした例と比較し
て、以下に説明する。
【0071】各ホログラム記録時の物体光は、ホログラ
ム記録媒体の中心付近に集光されているとする。そし
て、各ホログラムの記録中心、すなわち、物体光の中心
と参照光の中心との交点がホログラム記録媒体中におい
て等間隔に並んでいるとする。また、参照光は平行光で
あり、ホログラム記録媒体全体に常時照射されているも
のとする。ホログラムの記録時定数は、物体光の振幅と
参照光の振幅との積の絶対値に比例する。また、後のホ
ログラムを記録している際に先に記録されたホログラム
が被る消去は、参照光の照射にのみ起因するものと仮定
する。このときの時定数は、参照光の強度に比例する。
【0072】以上の条件に対して、ホログラム記録媒体
の中心付近での記録時定数τrecを1とし、後のホログ
ラムを記録している際に先に記録されたホログラムがホ
ログラム記録媒体の中心付近で被る消去の時定数τ
eraseを1とし、飽和回折効率ηm axを1とし、吸収係数
αを0.15とし、ホログラム記録媒体の厚みLを10
とする。
【0073】このような条件の下で、図4に示したレコ
ーディングスケジュールで、物体光及び参照光のホログ
ラム記録媒体への入射角度を変えながら、11枚のホロ
グラムを、全てのホログラムの記録が終了した時点で各
ホログラムの回折効率が0.01となるように多重記録
した例を図5に示す。また、従来の角度多重により、1
1枚のホログラムを、全てのホログラムの記録が終了し
た時点で各ホログラムの回折効率が0.01となるよう
に多重記録した例を図6に示す。
【0074】この図5と図6とを比較すれば、本発明に
係るホログラムの多重記録方法は、従来の角度多重によ
るホログラムの多重記録方法に比べて、ダイナミックレ
ンジの点から非常に有利であることが分かる。すなわ
ち、図6に示す例では、最初のホログラムは、回折効率
が約0.011になるまで記録され、その後、10枚の
ホログラムが順次記録されることによって、最終的に回
折効率が0.01にまで低下する。ここで、最終的な回
折効率を0.01に維持しながらさらに多くのホログラ
ムを記録する場合には、最初のホログラムの回折効率を
更に高める必要がある。しかしながら、ホログラムの回
折効率には、ホログラム記録媒体の材料で決まる上限が
あるため、最初に記録するホログラムの回折効率を高め
るには限界がある。これにより、多重記録可能なホログ
ラムの数は制限されることになる。
【0075】一方、図5に示す例では、図6に示す例と
同じ11枚のホログラムを多重記録しているにもかかわ
らず、最終的な回折効率を0.01に維持するのに、最
初に記録するホログラムの回折効率は0.0105程度
で足りる。すなわち、この図5の例では、最初に記録す
るホログラムの記録時の回折効率と最終的なホログラム
の回折効率との差は、図6に示す例の半分程度でよいこ
とが分かる。したがって、この図5に示す例では、図6
に示す例と比較して、より多数のホログラムを多重記録
することが可能である。換言すると、図5に示す例で
は、回折効率の変化幅、すなわち、ダイナミックレンジ
を有効に活用することができる。
【0076】本発明に係るホログラムの多重記録方法と
従来の角度多重によるホログラムの多重記録方法との差
は、更に多数のホログラムを多重記録するようにした場
合に、より顕著になる。
【0077】上述した条件の下で、図4に示したレコー
ディングスケジュールで、物体光及び参照光のホログラ
ム記録媒体への入射角度を変えながら、51枚のホログ
ラムを、全てのホログラムの記録が終了した時点で各ホ
ログラムの回折効率が0.01となるように多重記録し
た例を図7に示す。また、従来の角度多重により、51
枚のホログラムを、全てのホログラムの記録が終了した
時点で各ホログラムの回折効率が0.01となるように
多重記録した例を図8に示す。
【0078】この図7と図8とを比較すると、図8に示
す例では、最初のホログラムの回折効率が約0.02と
され、約0.01の回折効率のダイナミックレンジを使
用しているのに対して、図7に示す例では、最初のホロ
グラムの回折効率は0.0135程度で足り、回折効率
のダイナミックレンジとしては、図8に示す例の1/3
程度の約0.0035で図8に示す例と同じ数のホログ
ラムを多重記録できることが分かる。したがって、この
例では、回折効率が飽和回折効率に達するまで、更に多
くのホログラムを多重記録することができる。
【0079】ところで、本発明に係るホログラムの多重
記録方法で、以上のようなレコーディングスケジュール
により複数のホログラムを多重記録した場合、全てのホ
ログラムの記録が終了した後に、例えば、ホログラムを
再生するための読み出し光等をホログラム記録媒体に光
を入射させると、各ホログラムの回折効率が、図5及び
図7に示したように、それぞれ異なる時定数に従って徐
々に減少していくことになるり、各ホログラムの回折効
率に違いが生じてしまう場合がある。
【0080】しかしながら、このような問題は、全ての
ホログラムの記録が終了した後にホログラム記録媒体に
加熱処理を施して、ホログラム記録媒体に多重記録され
た各ホログラムを熱定着させることによって回避するこ
とができる。また、増感用の光線と物体光及び参照光を
用いてホログラムの記録を行い、参照光と同じ光である
読み出し光によりホログラムを再生する、いわゆる二波
長記録によっても、再生時におけるホログラムの回折効
率の低下を抑制して、上述した問題を回避することがで
きる(USP 5665493 Bai et al,Y.S.Bai and R.Kachru,P
hys.Rev.Lett,78,2944,1997 参照)。この二波長記録に
よりホログラムの多重記録を行う場合には、ホログラム
記録媒体として、例えば、Pr:LiNbO3、Pr:
LiTaO3、Fe:Mn:LiNbO3等の結晶が用い
られる。ホログラム記録媒体としてPr:LiNbO3
を用いた場合には、450nm程度の青色光で下準位の
電子を中間準位へ励起した後に、850nm程度の赤外
光でホログラムの記録を行うといった二段階のプロセス
を経て記録を行う。
【0081】なお、本発明のホログラム多重記録方法
は、情報記録再生装置や画像表示装置にのみ適用される
ものではなく、ホログラム記録再生の原理を利用するも
のに広く適用することができる。例えば、相関演算機、
連想記憶等の光コンピュータ、光インターコネクショ
ン、ホログラムプリンタ、ホログラフィー干渉計、ホロ
グラフィック光学素子等に本発明の手法を適用すること
ができる。
【0082】
【発明の効果】本発明に係るホログラムの多重記録方法
では、1つのホログラムを記録する毎に、ホログラム記
録媒体に入射させる物体光及び参照光の入射角度をそれ
ぞれ変化させることで、ホログラム記録媒体の異なる領
域に各ホログラムを順次記録するようにしているので、
先に記録されたホログラムの消去に寄与するのは後のホ
ログラム記録時の参照光だけとなり、先に記録されたホ
ログラムの回折効率の低下が大幅に抑制されることにな
る。したがって、このホログラムの多重記録方法によれ
ば、大容量のデータを効率良く記録することが可能とな
る。
【0083】また、本発明に係るホログラム記録装置に
よれば、光偏向手段が光源から出射された光の伝播方向
を変化させることにより、ホログラム記録媒体に入射さ
れる物体光及び参照光の入射角度を共に変化させること
ができる。したがって、このホログラム記録装置を用い
てホログラムの多重記録を行うようにすれば、1つのホ
ログラムを記録する毎に、ホログラム記録媒体に入射さ
せる物体光及び参照光の入射角度をそれぞれ変化させ
て、ホログラム記録媒体の異なる領域に各ホログラムを
順次記録することができ、先に記録されたホログラムの
回折効率の低下を大幅に抑制して、大容量のデータを効
率良く多重記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したホログラム記録再生装置の光
学系全体を水平面内から見た様子を模式的に示す図であ
る。
【図2】上記ホログラム記録再生装置の光学系の光源か
らビームスプリッタまでの光学系を垂直面内から見た様
子を模式的に示す図である。
【図3】本発明に係るホログラムの多重記録方法の原理
を説明するための図であり、物体光及び参照光のホログ
ラム記録媒体への入射角度をそれぞれ変化させたときの
様子を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係るホログラムの多重記録方法により
ホログラムを多重記録する際のレコーディングスケジュ
ールを説明するための図である。
【図5】本発明に係るホログラムの多重記録方法により
ホログラムを多重記録した場合の各ホログラムの回折効
率の変化を示す図であり、11枚のホログラムを最終的
な回折効率が0.01となるように多重記録した例を示
す図である。
【図6】従来の角度多重によりホログラムを多重記録し
た場合の各ホログラムの回折効率の変化を示す図であ
り、11枚のホログラムを最終的な回折効率が0.01
となるように多重記録した例を示す図である。
【図7】本発明に係るホログラムの多重記録方法により
ホログラムを多重記録した場合の各ホログラムの回折効
率の変化を示す図であり、51枚のホログラムを最終的
な回折効率が0.01となるように多重記録した例を示
す図である。
【図8】従来の角度多重によりホログラムを多重記録し
た場合の各ホログラムの回折効率の変化を示す図であ
り、51枚のホログラムを最終的な回折効率が0.01
となるように多重記録した例を示す図である。
【図9】ホログラムが消去を受けた際の回折効率の変化
を、ホログラム記録時の回折効率の変化と合わせて示す
図である。
【図10】従来の角度多重によりホログラムを多重記録
する際のレコーディングスケジュールを説明するための
図である。
【符号の説明】
1 ホログラム記録再生装置、2 光源、5 音響光学
偏向器、8 ビームスプリッタ、11 空間光変調器、
13 ホログラム記録媒体、L1 第1の物体光、L2
第1の参照光、L3 第2の物体光、L4 第2の参
照光、L5 第3の物体光、L6 第3の参照光、H1
第1のホログラム、H2 第2のホログラム、H3
第3のホログラム

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つのホログラム記録媒体に複数のホロ
    グラムを多重記録するホログラムの多重記録方法であっ
    て、 1つのホログラムを記録する毎に、上記ホログラム記録
    媒体に入射させる物体光及び参照光の入射角度をそれぞ
    れ変化させ、上記ホログラム記録媒体の異なる領域に各
    ホログラムを順次記録することを特徴とするホログラム
    の多重記録方法。
  2. 【請求項2】 上記複数のホログラムを、上記ホログラ
    ム記録媒体の参照光が入射する側から離間した領域から
    参照光が入射する側に近接した領域へと順次記録してい
    くことを特徴とする請求項1記載のホログラムの多重記
    録方法。
  3. 【請求項3】 光偏向手段を用いて、上記ホログラム記
    録媒体に入射させる物体光及び参照光の入射角度を変化
    させることを特徴とする請求項1記載のホログラムの多
    重記録方法。
  4. 【請求項4】 上記物体光の入射角度及び参照光の入射
    角度を共通の光偏向手段を用いてそれぞれ変化させるこ
    とを特徴とする請求項3記載のホログラムの多重記録方
    法。
  5. 【請求項5】 上記光偏向手段として音響光学素子を用
    いることを特徴とする請求項4記載のホログラムの多重
    記録方法。
  6. 【請求項6】 光源と、 上記光源から出射された光を偏向してその伝播方向を変
    化させる光偏向手段と、 上記光偏向手段により決定された方向に伝播する光の光
    路を少なくとも2つに分離する光路分離手段と、 上記光路分離手段により分離された一方の光路を通る光
    を光変調手段により変調し、物体光としてホログラム記
    録媒体に入射させる物体光学系と、 上記光路分離手段により分離された他方の光路を通る光
    を参照光として上記ホログラム記録媒体に入射させる参
    照光学系とを備えるホログラム記録装置。
  7. 【請求項7】 上記光偏向手段として音響光学素子を備
    えることを特徴とする請求項6記載のホログラム記録装
    置。
  8. 【請求項8】 上記光偏向手段が上記光源から出射され
    た光を1つの面内で偏向するようになされ、 上記光偏向手段の出射面と上記光路分離手段とが、少な
    くとも上記光源から出射された光が偏向する面内におい
    て互いに略共役な位置関係となるように、上記光偏向手
    段及び上記光分離手段がそれぞれ配設されていることを
    特徴とする請求項6記載のホログラム記録装置。
  9. 【請求項9】 上記光路分岐手段と上記物体光学系の光
    変調手段とが、互いに略共役な位置関係となるようにそ
    れぞれ配設されていることを特徴とする請求項6記載の
    ホログラム記録装置。
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