JP2001142412A - 平面型表示パネルの製造方法、平面型表示パネルおよび保持用治具 - Google Patents

平面型表示パネルの製造方法、平面型表示パネルおよび保持用治具

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JP2001142412A
JP2001142412A JP32425699A JP32425699A JP2001142412A JP 2001142412 A JP2001142412 A JP 2001142412A JP 32425699 A JP32425699 A JP 32425699A JP 32425699 A JP32425699 A JP 32425699A JP 2001142412 A JP2001142412 A JP 2001142412A
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substrate
display panel
thickness
color
grinding
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JP32425699A
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Manabu Futaboshi
学 二星
Yasuo Inada
安雄 稲田
Ko Takaike
耕 高池
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Fujikoshi Machinery Corp
Sharp Corp
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Fujikoshi Machinery Corp
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラーEL表示パネルの生産性を向上させ
る。 【解決手段】 カラーEL表示パネル21の製造工程に
おいて、最初に、予め定める基準厚さWCを越える初期
厚さWAの主基板26の一方面に、EL素子29および
シール部28が形成される。次いで主基板26の一部分
を基準厚さWCにするために、基板の薄板化処理を行わ
れる。薄板化処理は、初期厚さWAの主基板26の他方
面を機械的に研削する処理と、主基板26の研削された
面を機械的に研磨する処理と、主基板26の研磨された
面の少なくとも一部分を化学的に研磨する処理とを含
む。最後に、主基板26の加工後の他方面の凹部の底面
に、フィルタ部24を取付ける。これによって、カラー
EL表示パネル21の生産性を向上させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、平面型表示パネル
およびその製造方法、ならびに、平面型表示パネルの製
造に用いられる保持用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】平面型表示パネルの1種類である薄膜エ
レクトロルミネセンス(Electroluminescence;以後「E
L」と略称する)表示パネルは、OA機器およびFA機
器に備えられる表示装置に組込まれて用いられている。
薄膜EL表示パネルは自発光型の表示パネルであり、視
野角の広さ、視認性、およびコントラストの高さ等、平
面型表示パネルの他の1種類である液晶表示パネルには
ない優れた特性を有している。
【0003】現状の薄膜EL表示パネルは、表示可能な
色が単色であり、他の表示パネルに比べてカラー化が遅
れている。薄膜EL表示パネルをカラー化する手法の1
つとして、単色の薄膜EL表示パネルにカラーフィルタ
を付加する手法がある。単色の薄膜EL表示パネルは、
所定の色の光を発光する複数のEL素子がガラス基板の
一方面に所定の配列で配置されて構成されている。この
ような単色の薄膜EL表示パネルにカラーフィルタを付
加すると、各EL素子からの光がカラーフィルタによっ
てそれぞれ分光されて、多色表示がなされる。カラーフ
ィルタを単色の薄膜EL表示パネルの構造中に組入れる
ため手法としては、単色薄膜EL表示パネルにおいてE
L素子が配置されているガラス基板の他方面に、カラー
フィルタを貼合わせる手法が、従来から容易に考えられ
ている。
【0004】図9は、従来技術のカラー薄膜EL表示パ
ネル1の模式的な拡大部分断面図である。従来技術のカ
ラー薄膜EL表示パネルは、第1のガラス基板3および
複数のEL素子4を有する単色薄膜表示パネル5と、複
数のカラーフィルタ6との他に、第2のガラス基板7
と、黒色フィルタで実現される遮光フィルタ8とを、さ
らに有している。なお図9では、EL素子4の全構成部
品のうちEL発光層だけを記載し、他の部品は省略して
いる。遮光フィルタ8は、隣合う2つのカラーフィルタ
6の間に配置される。カラーフィルタ6および遮光フィ
ルタ8は、第1ガラス基板3と第2ガラス基板7とに挟
持される。各カラーフィルタ6は、第1ガラス基板3を
挟んで、各EL素子4と対向している。
【0005】EL素子4からの光は、第1ガラス基板3
を通過してカラーフィルタ6に至り、カラーフィルタ6
によって分光される。分光された光の成分のうちの一部
の光成分だけが、カラーフィルタ6および第2ガラス基
板7を通過し、第2ガラス基板7と空気層との境界面9
で屈折し、空気中に放射される。色調変化が全く生じな
い状況下において、光の境界面9への入射角が大きいほ
ど、境界面9における最大の屈折率、すなわち視野角θ
が大きくなる。色調変化が全く生じない状況下におい
て、EL発光層から発せられた光のうち、単一のEL素
子4のEL発光層の端から発せられ、該EL素子に対向
するカラーフィルタ6に隣接する遮光フィルタ8と該カ
ラーフィルタ6の隣にある他のカラーフィルタとの境界
を通って直進する光の境界面9への入射角θiが、最大
である。第1ガラス基板3の厚みdsubが小さくなるほ
ど、最大の入射角θiが大きくなる。この結果、第1ガ
ラス基板3の厚みdsubが小さくなるほど、視野角θが
大きくなる。
【0006】第1ガラス基板3の厚みdsub は、通常
0.7mm以上1.1mm以下あるので、各EL素子4
とカラーフィルタ6との間に、第1ガラス基板の厚みd
sub に相当する距離が生じる。単色薄膜EL表示パネル
を単体で用いた場合には視野角は生じないが、カラーフ
ィルタを通った光成分を用いて表示を行う場合、図9で
説明したように、視野角が生じる。この結果カラー薄膜
EL表示パネルはかなり狭い範囲の表示特性を呈するの
で、自発光型の平板表示パネルの特徴である広視野角の
利点を損なう。
【0007】視野角をできるだけ広げるには、本件出願
人が特開平11−214151号公報(特願平10−1
6086号)において提案しているように、第1ガラス
基板3の厚みdsub をできる限り薄くする必要がある。
また広視野角を得ることができる第1ガラス基板3の厚
みdsub は、上記公報で提案されているように、単色薄
膜EL表示パネルにおける全EL素子の一対の電極のう
ちの一方電極の配置パターンの設計値に応じて変化す
る。隣合う2つのEL素子の一方電極間の間隙の幅は5
0μm以上150μm以下に設計されるので、第1ガラ
ス基板3の厚みdsub が50μm以上180μm以下で
あることが好ましい。
【0008】カラー薄膜EL表示パネルの製造工程にお
いてEL素子形成工程を行う際、第1ガラス基板3が充
分な強度を有していることが要求される。EL素子形成
工程における強度の確保と完成後のカラー薄膜EL表示
パネルにおける広視野角の確保とを両立させるために、
上記公報において本件出願人が提案しているように、第
1ガラス基板3を薄板化する工程はEL素子形成後に行
われることが望ましい。第1ガラス基板3の薄板化工程
は、基本的には、カラー薄膜EL表示パネルの製造工程
内の単色薄膜EL表示パネルの製造工程の最終工程とし
て実行される。
【0009】上述した薄膜EL表示パネル以外にも、液
晶表示パネル、特に反射型の液晶表示パネルにおいて、
ガラス基板の裏面反射の低減を目的として、ガラス基板
の薄板化が望まれている。特開平5−249422号公
報および特開平5−249423号公報は、ガラス基板
の薄板化工程を含む液晶表示素子の製造方法を開示して
いる。
【0010】特開平5−249422号公報の製造方法
では、まず素子集合体の組立てのために、液晶表示素子
複数個分の面の面積を有する1対のガラス基板を、複数
のシール材と外周シール材とを介して接着する。各シー
ル材は、1対のガラス基板間の空間内部の、各液晶表示
素子の液晶封入領域となる部分を囲む。外周シール材
は、1対のガラス基板間の空間内部の、液晶表示素子の
構成部品がそれぞれ配設される複数の素子区間を囲む。
次いで、組立てられた素子集合体の一方のガラス基板の
厚さを薄くするために、該一方のガラス基板の外面をエ
ッチングする。最後に、素子集合体を複数の素子に分離
し、各素子に液晶を封入する。
【0011】特開平5−249423号公報の製造方法
では、まず、特開平5−249422号公報の製造方法
と同様の素子集合体を組立てる。次いで、組立てられた
素子集合体の一方のガラス基板の各素子区画の周縁部以
外の部分の厚さを薄くするために、該一方のガラス基板
の外面の各素子区画の周縁部以外の部分をエッチングす
る。最後に、素子集合体を複数の素子に分離し、各素子
に液晶を封入する。
【0012】このように液晶表示素子、すなわち液晶表
示パネルの製造工程におけるガラス基板の薄板化工程に
ガラスエッチング法が用いられている。ガラスエッチン
グ法では、ガラス成分を化学的に溶解させて、ガラス基
板を目的の厚みに到達させる。液晶表示パネルの製造工
程における薄板化工程に機械研磨法が用いられている場
合、加工しているガラス基板に割れが発生する等の問題
が生じやすいので、実用化されるに至っていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
平面型表示パネルに用いられるガラス基板を薄板化する
場合、表面の加工仕上がりの精度に優れた化学的な薄板
化処理がガラス基板に施されている。ガラス基板の最終
的な加工表面を精度良く得るためには、均一かつ低速の
加工速度で化学的薄板化処理が進められなければならな
い。このために平面型表示パネルの生産性の点から考え
ると、従来技術の平面型表示パネルの製造方法は克服す
るべき問題点を抱えている。
【0014】本件出願人は、これまでに、ガラス基板の
加工速度を向上するために、フッ酸を主成分とする化学
試薬の温度および成分濃度を従来の条件から変化させ
て、ガラス基板の加工速度の増加を試みている。この結
果加工速度は従来技術を用いた場合の加工速度よりも増
加するが、最終的な加工表面の精度は従来技術を用いた
場合の加工表面の精度よりも悪化しやすい。ゆえに平面
型表示パネルの生産性を向上させるためには、加工速度
を増加させるのではなく、化学的薄板化処理を施すガラ
ス基板の厚みを、何らかの手段によって低減させておく
必要がある。ただし加工表面の精度を維持するために
は、ガラス基板の厚みの低減化の際に、表面の精度を損
なわないように確保しておく必要もある。
【0015】化学的薄板化処理を施すガラス基板の厚み
を薄くする手法として、従来のガラス基板よりも初期の
厚みが薄いガラス基板を、平面型表示パネルの製造工程
に投入することが考えられる。現行の平面型表示パネル
の製造工程に投入されているガラス基板の初期の厚み
は、1.1mmまたは0.7mmである。初期の厚みが
0.5mm以下であるガラス基板が平面型表示パネルの
製造工程に投入された場合、基板がハンドリングされる
際および処理装置間を基板が移送される際に、基板の機
械強度が保持できず、基板に割れおよび欠けが発生す
る。これによって製造工程における良品率が低下する。
このように初期厚みが薄いガラス基板を用いることは、
さらなる問題を誘発する結果となる。
【0016】本発明の目的は、生産性を向上させること
ができる平面型表示パネルおよびその製造方法、ならび
に、該平面型表示パネルの製造に用いられる保持用治具
を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め定める基
準厚さを有する1枚の基板と、該基板の一方面に配置さ
れた表示に係わる部品とを含む平面型の表示パネルの製
造方法において、予め定める基準厚さを越える初期厚さ
の基板が前記基準厚さになるように、該基板を加工する
薄板化処理を行う工程を含み、薄板化処理は、初期厚さ
の基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部分を、機
械的に研削する処理と、基板の研削された面を、機械的
に研磨する処理と、基板の研磨された面の少なくとも一
部分を、化学的に研磨する処理とを含むことを特徴とす
る平面型表示パネルの製造方法である。
【0018】本発明に従えば、平面型表示パネルの製造
方法において、基準厚さの基板は、基準厚さを越える初
期厚さの基板に薄板化処理を施すことによって得られ
る。基板の薄板化処理において、化学的研磨処理に先立
ち、基板の他方面が機械的に研削および研磨されてい
る。これによって本発明における基板の薄板化処理に要
する時間は、化学的研磨処理だけを用いた基板の薄板化
処理に要する時間よりも短縮される。したがって本発明
の平面型表示パネルの製造方法が用いられる場合、平面
型表示パネルの生産性を向上させることができる。また
基板の機械的研削処理終了後、化学的研磨処理に先立
ち、基板の研削された面が機械的に研磨されている。こ
れによって本発明の製造方法によって製造された平面型
表示パネルの品質を向上させることができる。
【0019】また本発明の基板の平面型表示パネルの製
造方法は、前記基板の機械的な研削処理において、
(1)2枚の各基板の加工するべき1面が相互に平行に
なるように、該2枚の基板が予め定める治具に固定さ
れ、(2)治具に固定された2枚の基板を被研削物とし
て、2枚の定盤の間に被研削物を挟み、該定盤によって
被研削物に予め定める荷重をかけつつ、該各定盤を予め
定める角速度で回転させることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、基板の薄板化方法におい
て、前記基板の機械的な研削処理に、相対的に回転可能
な2枚の定盤を有する機械的な研削装置が用いられる場
合、治具に固定された2枚の基板が被研削物として用い
られる。治具に固定された状態において、2枚の各基板
の加工すべき面が平行になっているので、被研削物の加
工すべき面の平行性が保持される。これによって、前記
研削装置を用いた機械的研削処理において、基板の割れ
が防止され、さらに、機械的研削処理後の基板の板厚の
均一性が確実に保たれる。
【0021】また本発明の基板の平面型表示パネルの製
造方法は、前記薄板化処理を行う工程に先立ち、前記初
期厚さの基板の一方面に、前記表示に係わる部品を配設
する工程をさらに含み、前記薄板化処理において、前記
初期厚さの基板の他方面を機械的に研削することを特徴
とする。
【0022】本発明に従えば、平面型表示パネルの製造
方法において、表示に関わる部品が基板上に製造された
後に、該基板が薄板化される。このような本発明の平面
型表示パネルの製造方法が用いられる場合、基板の割れ
を防止しつつ、かつ基板の薄板化処理に要する時間が従
来よりも短縮されるので、平面型表示パネルの生産性を
さらに向上させることができる。
【0023】また本発明の基板の平面型表示パネルの製
造方法は、前記表示に係わる部品が、複数のエレクトロ
ルミネセンス素子を含み、各エレクトロルミネセンス素
子は、電界発光を呈する発光層と、該発光層を挟む一対
の電極とをそれぞれ含み、前記表示に係わる部品を形成
する工程において、全エレクトロルミネセンス素子の一
方の電極が、前記基板の一方面に形成され、全エレクト
ロルミネセンス素子の発光層が、全エレクトロルミネセ
ンス素子の一方の電極に重畳して形成され、全エレクト
ロルミネセンス素子の他方の電極が、全エレクトロルミ
ネセンス素子の発光層に重畳して形成されることを特徴
とする。
【0024】本発明に従えば、平面型表示パネルの製造
方法において、表示に関わる部品として、複数のEL素
子が基板の一方面上に形成される。これによって、EL
表示パネルの製造時に、EL素子の製造処理における基
板の割れを防止しつつ、かつ基板の薄板化処理に要する
時間が従来よりも短縮されるので、EL表示パネルの生
産性を向上させることができる。
【0025】本発明は、予め定める基準厚さを有する少
なくとも1枚の基板と基板の一方の面に配置され、表示
に係わる部品とを含み、基準厚さの基板は、基準厚さを
越える初期厚さの基板の少なくとも一方の面の少なくと
も一部分を機械的に研削し、基板の研削された面を機械
的に研磨し、基板の研磨された面の少なくとも一部分を
化学的に研磨することによって、形成されていることを
特徴とする平面型表示パネルである。
【0026】本発明に従えば、平面型表示パネルが有す
る基準厚さの基板は、基準厚さを越える初期厚さの基板
を薄板化することによって得られる。かつ基板の薄板化
処理においては、化学的研磨処理に先立ち、基板の他方
面が機械的に研削および研磨されている。このような構
成の平面型表示パネルは、基板の薄板化処理に要する時
間が従来よりも短縮可能なので、生産性の向上が可能で
ある。
【0027】本発明は、前記表示に係わる部品が、複数
のエレクトロルミネセンス素子を含み、各エレクトロル
ミネセンス素子は、電界発光を呈する発光層と、該発光
層を挟む一対の電極とをそれぞれ含むことを特徴とす
る。
【0028】本発明に従えば、平面型表示パネルは、表
示に関わる部品として、複数のEL素子を有している。
このような構成の平面型表示パネル、すなわちEL表示
パネルは、基板の薄板化処理に要する時間が従来よりも
短縮可能なので、生産性の向上が可能である。
【0029】本発明は、2枚以上の基板の一方の面の少
なくとも一部分を機械的に研削または研磨する処理に用
いられる保持用治具であって、1枚以上の基板をそれぞ
れ固定する2つの底面を有し、各底面は、加工すべき面
を該底面の反対側に向けた状態で基板を固定し、かつ、
2つの各底面にそれぞれ固定された基板の面が相互に平
行になるように、該基板を保持することを特徴とする保
持用治具である。
【0030】本発明に従えば、上記の保持用治具は、基
板の機械的研削処理または機械的研磨処理において用い
られる。処理対象となる2枚以上の基板は、加工すべき
面を相互に保持用治具の外側に向けた状態で、かつ該面
が相互に平行になるように、保持用治具の2つの各底面
にそれぞれ固定される。これによって、2枚以上の基板
と保持用治具とを含んで構成される被研削物において、
加工すべき2カ所の面の平行性が確実に保持されるの
で、機械的研削処理後または機械的研磨処理後の基板の
板厚の均一性を、確実に保つことができる。またこれに
よって、前記被研削物において加工すべき2カ所の面の
平行性が確実に保たれるので、機械的研削処理または機
械的研磨処理における基板の割れが防止される。 〔発明の詳細な説明〕
【0031】図1は、本発明の実施の一形態である基板
の薄板化方法を含む製造方法によって製造されたカラー
EL表示パネル21の断面図である。カラーEL表示パ
ネル21は、単色EL表示パネル23と、フィルタ部2
4とを最低限含む。単色EL表示パネル23は、主基板
26と、素子部27と、シール部28とを含む。素子部
27は、複数のEL素子29を含む。シール部28は、
シール用基板31と保護物質層32とを含む。フィルタ
部24は、光を分光するカラーフィルタ33と、光を遮
光する遮光フィルタ34とを含む。
【0032】主基板26は、透光性を有する絶縁性の基
板であり、好ましくはガラス材料から形成される。全て
のEL素子29は、主基板26の一方面37に配置され
る。シール用基板31は、主基板一方面37上の全EL
素子29に被さるように配置されている。シール用基板
31の周縁部は主基板26に接着される。保護物質層3
2は、シール用基板31と主基板一方面37との間の空
間に保護物質が封入されて形成される。保護物質は、絶
縁性の液体、たとえばシリコンオイルで実現される。
【0033】主基板26の他方面38の全EL素子29
と対向する位置には、凹部39が形成されている。主基
板26の凹部39の底面40と一方面37との間の部分
の厚さは、予め定める基準厚さWCである。主基板26
の周縁部の厚さWBは基準厚さWCよりも厚い。後述す
るように、カラーEL表示パネル21の製造工程におい
て、製造工程に投入された時点では、主基板26が周縁
部厚さWB以上の初期厚さWAを有し、表示に関わる部
品が主基板一方面37に配設された後、薄板化および凹
部39形成のために、主基板他方面38に対して予め定
める薄板化処理が施される。薄板化処理は、処理対象と
なる基板の加工するべき面を機械的に研削する処理と、
基板の研削された面を化学的に研磨する処理とを最低限
含む。
【0034】フィルタ部24は、主基板26の凹部39
の底面40に配置される。各カラーフィルタ33は、主
基板26を介して、各EL素子29と対向している。遮
光フィルタ34は、隣合うカラーフィルタ33の間の領
域を埋めている。カラーEL表示パネルの強度向上およ
びフィルタ部24の保護のために、好ましくは、カラー
EL表示パネル21は透光性を有する対向基板35をさ
らに有する。フィルタ部24は、主基板凹部39の底面
40と対向基板35とに挟持されている。
【0035】図2は、主基板26上の素子部27の構成
を示す斜視図である。なお図2において、素子部27の
一部分は切欠かかれている。素子部27は、複数本の前
面電極41、第1絶縁層42、発光層43、第2絶縁層
44、および複数本の背面電極45を含む。各前面電極
41は導電性材料からなる帯状の膜片であり、透光性を
有する。各背面電極45は導電性材料からなる帯状の膜
片であり、光の反射機能を有する。全前面電極41は、
相互に平行に、かつ間隔をあけて、主基板一方面37に
並べられている。第1絶縁層42は、前面電極41を部
分的に覆う。発光層43は第1絶縁層42に重ねて配置
される。第2絶縁層44は発光層43に重ねて配置され
る。全背面電極45は、相互に平行に、かつ間隔をあけ
て、第2絶縁層44表面に並べられている。主基板一方
面37の法線方向から見て、前面電極41の長手方向は
背面電極45の長手方向と直交している。素子部27に
おいて、主基板一方面37の法線方向から見て、各前面
電極41が各背面電極45と交差している部分が、EL
素子29として機能する。すなわち素子部27は単純マ
トリクス構造になっており、各EL素子29は二重絶縁
構造になっている。
【0036】このように形成された素子部27は、前面
電極41および背面電極45に選択的に電圧を印加する
ことによって、電圧が印加された前面電極41および背
面電極45の交差部分の発光層を点状に発光させること
ができる。発光させるEL素子29と発光させないEL
素子29とを任意に組合わせることによって、所望のマ
トリクス表示を行うことができる。カラーEL表示パネ
ル21において、任意の単一のEL素子と該EL素子と
対向するカラーフィルタとが、該カラーフィルタが透過
可能な色を表示するための単一ドットを構成する。相互
に近傍に配置されかつ表示する色が相互に異なる複数の
ドットが、任意の色を表示する画素を構成する。画素の
色は、複数の各ドットの輝度の組合せに応じて変化す
る。
【0037】オフィスオートメーション(OA)機器お
よびファクトリーオートメーション(FA)機器の表示
装置に用いられる素子部27は、好ましくは、以下のよ
うな処理によって形成される。主基板26は、ガラス基
板で実現される。ガラス基板26の一方面上に、ITO
(インジウム錫酸化物)に代表される透明導電材料の薄
膜が、100nm以上200nm以下の膜厚で成膜さ
れ、該薄膜が前面電極41になるように、パターン加工
される。次いで、第1絶縁層42、発光層43、および
第2絶縁層44が、前面電極41形成後のガラス基板2
6の一方面に、この順で順次積層される。第1絶縁層4
2は、Al23、SiO2、またはTiO2で実現される
絶縁性の酸化膜、あるいは、Si34で実現される絶縁
性の窒化膜から構成される。発光層43は、ZnS、Z
nSeまたはSrSで実現される母材に、発光中心とし
てMnに代表される添加物が添加された組成を有する。
第2絶縁層44は、第1絶縁層42と同様に、Al
23、SiO2、およびTiO2で実現される絶縁性の酸
化膜、あるいは、Si34で実現される絶縁性の窒化膜
から構成される。第2絶縁層形成後、Alで実現される
金属膜の膜片で実現される背面電極45が、背面電極4
5の長手方向が前面電極41の長手方向と直交しかつ背
面電極45同士が等間隔になるように第2絶縁層44の
上に、パターン形成される。
【0038】以上説明したような、カラーEL表示パネ
ルの構成における各種の部材の具体的な材質、形状、お
よび数値は、カラーEL表示パネルの構成の最適条件の
1例である。カラーEL表示パネルの構成は、主基板と
EL素子とカラーフィルタとを含むという基本条件を備
えているならば、上記最適条件を備えた構成に限らず、
他の条件を備えた構成でもよい。
【0039】図3は、図1のカラーEL表示パネル21
の製造工程を説明するための工程図である。図3の製造
工程のうち、第1工程A1〜第2工程A2は、単色EL
表示パネル23の製造工程である。かつ第1工程A1お
よび第2工程A2は、単色EL表示パネル23の表示に
関わる部品を準備された主基板26上に形成するための
部品形成工程である。第3工程A3〜第5工程A5は、
主基板26の薄板化工程であり、機械的な研削処理と化
学的な研磨処理とを併用している。
【0040】最初に、周縁部厚さWBよりも厚い初期厚
さWAを有し、凹部39の無い基板が、主基板26とし
て準備される。初期厚さWAの基板は、たとえばガラス
材料から形成されている。第1工程A1として、準備さ
れた主基板26の一方面37に、EL素子29を有する
素子部27が形成される。素子部27形成時には、準備
された主基板26上の一方面37上に、前面電極41、
第1絶縁層42、発光層43、第2絶縁層44、および
背面電極45が、この順で順次積層される。この結果、
素子部26の前面電極41および背面電極45の交差部
が、EL素子29になる。第2工程A2では、主基板2
6の一方面37に、素子部27を覆うように、シール部
28が形成される。具体的には、主基板26の一方面3
7に形成された素子部27を、シール用基板31とシリ
コンオイルとを用いてオイル封止する。
【0041】第3工程A3では、素子部27およびシー
ル部28形成後の主基板26の他方面38が、機械的に
研削される。第4工程A4では、主基板26の機械的に
研削された他方面38が、機械的に研磨される。第5工
程A5では、主基板凹部39の形成のために、主基板2
6の機械的に研磨された他方面の少なくとも一部分が、
化学的に研磨される。本実施の形態では、化学的研磨処
理として、エッチング処理が用いられている。この結果
主基板26の他方面38に凹部39が形成され、かつ主
基板26の周縁部厚さが所定の厚さWBになる。
【0042】第6工程A6では、主基板26の凹部底面
40に、フィルタ部24が取付けられる。フィルタ部2
4は、第6工程に先立ち、対向基板35の一方面に形成
されている。対向基板35上のフィルタ部24は、各カ
ラーフィルタ24が素子部27のEL素子29と対向す
るように主基板26に対して位置合わせされた後に、対
向基板35ごと、エポキシ系樹脂に代表される接着剤を
用いて、主基板26に貼合わせられる。こ結果、カラー
EL表示パネル21が完成する。
【0043】以上説明したように、カラーEL表示パネ
ル21の製造方法において、基準厚さWCの基板は、基
準厚さWCを越える初期厚さWAの基板に薄板化処理を
施すことによって得られる。基板の薄板化処理におい
て、化学的研磨処理に先立ち、基板の他方面が機械的に
研削されている。これによって、本実施の形態のよう
に、機械的に基板を研削した後に化学的研磨処理を行う
構成の基板薄板化処理に要する時間は、化学的研磨処理
だけを用いた従来技術の基板の薄板化処理に要する時間
よりも短縮される。
【0044】また基板の機械的研削処理終了後、化学的
研磨処理に先立ち、基板の研削された面が機械的に研磨
されている。これによって、機械的研削処理によって研
削された面の凹凸の状態に関わらず、基板の化学的に研
磨された面を充分に平坦にすることができる。これによ
って、機械的研削処理と機械的研磨処理と化学的研磨処
理とをこの順で行う本実施の形態の基板薄板化処理は、
従来の基板薄板化処理よりも基板の加工時間を短縮しつ
つ、かつ本実施の形態の基板薄板化処理の基板の加工精
度が従来の基板薄板化処理と同程度に保たれる。
【0045】以上説明したような機械的研削処理と化学
的研磨処理とを含む薄板化処理を用いた本実施の形態の
カラーEL表示パネルの製造方法が用いられる場合、カ
ラーEL表示パネルの生産性を向上させることができ
る。また機械的研削処理と化学的研磨処理との間に機械
的研磨処理がさらに行われる場合、機械的研削処理によ
って研削された面の凹凸の状態に関わらず、基板の化学
的に研磨された面を充分に平坦にすることができる。し
たがって本実施の形態の製造方法によって製造されたカ
ラーEL表示パネルの品質は、化学的研磨処理だけを用
いる従来技術の製造方法によって製造されたカラーEL
表示パネルの品質と同程度に維持される。
【0046】機械的研磨処理によって研磨された基板面
の凹凸レベルは、薄板化処理前の基板面の凹凸レベルに
できるだけ近づいていることが好ましい。これによって
基板の化学的に研磨された面の凹凸の状態は、基板の薄
板化処理前の面の凹凸の状態とほぼ同じ状態になる。し
たがって、化学的に研磨された面、すなわち基板の最終
的な加工面の加工精度が、基板面の機械的研削に起因し
て低下することが防止される。
【0047】またカラーEL表示パネルの製造方法にお
いて、好ましくは、表示に関わる部品が基板上に製造さ
れた後に、該基板が薄板化される。基板が基準厚さWC
よりも厚い状態にある状況下において表示に関わる部品
が基板の一方面に形成されるので、表示に関わる部品の
製造工程における基板の割れが防止される。このような
カラーEL表示パネルの製造方法が用いられる場合、基
板の割れを防止しつつ、かつ基板の薄板化に要する時間
が従来よりも短縮されるので、平面型表示パネルの生産
性をさらに向上させることができる。
【0048】また基板の機械的研削処理において、回転
可能な2枚の定盤を有する機械的な研削装置が用いられ
る場合、好ましくは、まず最初に、2枚の基板の他方面
が相互に平行になるように、該2枚の基板の一方面が向
かい合わされて予め定める治具に固定される。次いで、
治具に固定された2枚の基板を被研削物として、2枚の
定盤の間に被研削物を挟み、該定盤によって被研削物に
予め定める荷重をかけつつ、該各定盤を予め定める角速
度で回転させる。このような機械的研削処理では、治具
に固定された状態において2枚の各基板の加工すべき面
が平行になっているので、被研削物の加工すべき面の平
行性が保持されるため、前記研削装置を用いた機械的研
削処理における基板の割れが防止される。また治具に基
板が固定されているので、機械的研削によって基板の厚
みが基板の内部応力に抗しきれない厚みに達した場合、
基板の割れが防止される。これによって、表示パネルの
生産性をさらに向上させることができる。
【0049】図4は、図3の製造工程の第3工程A3で
用いられる研削装置61の分解斜視図である。図5は、
図4の研削装置61のA−A断面図である。図4および
図5を参照して、主基板26の薄板化処理のうちの機械
的研削を行う第3工程A3について、以下に詳細に説明
する。
【0050】研削装置61は、2枚の定盤63,64と
駆動部65とを含む。駆動部65は、2枚の定盤63,
64を、相対的に回転させる。第3工程で用いられる研
削装置61は、たとえば、不二越機械工業(株)製造の
ラッピングマシンSLM−100(商品名)によって実
現される。第3工程A3では、図4に示す研削装置61
の他に、加工対象の主基板26を有する単色EL表示パ
ネル23を保持するための保持用治具67が用いられ
る。本実施の形態の第3工程A3では、1回の処理で、
2枚の主基板26を機械的に研削する。
【0051】加工対象になる主基板26を有する2枚の
単色EL表示パネル23は、2枚の各主基板26の加工
するべき1面である他方面38が相互に平行になり、か
つ主基板26の他方面38が保持用治具67の外側を向
くように配置された状態で、保持用治具67に固定され
る。保持用治具67と該治具67に固定された2枚の主
基板26とからなる部材が、研削装置61の被研削物6
8として用いられる。
【0052】研削装置61において、被研削物68は2
枚の定盤63,64の間に挟まれる。駆動部65は、定
盤63,64によって被研削物68に予め定める荷重を
かけつつ、該各定盤63,64を予め定める角速度で回
転させる。これによって、被研削物68の両面に露出し
ている主基板26の他方面38が、機械的に研削され
る。主基板26の機械的研削時には、好ましくは、定盤
63,64として、研磨剤の注入孔を備えた目きり定盤
が用いられる。この場合研削装置61は、目きり定盤6
3,64と主基板26との間に、注入孔から研磨剤を滴
下しながら、荷重を掛けつつ目きり定盤63,64を回
転させればよい。
【0053】研削装置SLM−100を用いた機械的研
削処理によって、ガラス材料からなる主基板26の厚み
を1.1mmから0.5mmまで薄くする場合、機械的
研削処理の最適条件は以下のとおりである。定盤63,
64としては、目きり定盤が用いられる。各定盤63,
64は、主基板26との間に研磨剤を滴下された状態
で、主基板26に対して所定の荷重をかけつつ、回転す
る。2枚の各定盤63,64の1分あたりの回転数は、
10rpm以上100rpm以下である。1cm2あた
りの荷重は、50g/cm2以上200g/cm2以下で
ある。機械的研削処理における基板の加工レートR1
は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。本
件出願人が上記の条件下で図5の被研削物68に対して
機械的研削処理を施す実験を行ったところ、被研削物6
8の両面に配設された主基板26の機械的研削処理の加
工レートR1に相互に若干の差が生じるが、両基板26
の他方面38の仕上がりに有為差を与えるレベルではな
かった。
【0054】保持用治具67は、具体的には、略円筒状
の部材である。略円筒状の保持用治具67の両底面に
は、単色EL表示パネルの一部分が嵌まり込むことが可
能な凹部が1つずつ形成されている。保持用部材67に
単色EL表示パネル23を保持させるには、まず最初
に、2枚の単色EL表示パネルは、保持用治具67を挟
んでシール用基板31が対向し、かつ保持用治具67の
凹部に単色EL表示パネル23の一部分が入込むように
配置される。次いで、保持用治具67の側面および保持
用治具67の凹部から露出した各単色EL表示パネル2
3の露出した側面に、固定用のワックスを盛り、該ワッ
クスを固化させる。ワックスは、単色EL表示パネルの
主基板26の加工すべき他方面の周辺部にも盛られても
よい。固化したワックスが固定部材となって、保持用治
具67に単色EL表示パネルを固定する。ワックスは溶
剤可溶のものであり、固化したワックスを溶剤によって
溶かせば、保持用治具67から単色EL表示パネルを外
すことができる。
【0055】なお保持用部材67は、相互に略平行であ
る底面を有し、各底面に固定される単色EL表示パネル
23の主基板26の他方面38が相互に平行になる構成
の部材であれば、図4および図5の記載の構成に限ら
ず、他の構成であってもよい。また保持用治具7の各底
面に固定される単色EL表示パネル23の数は、主基板
26同士が重ならないならば、1に限らず2以上であっ
てもよい。
【0056】保持用治具67と2枚の単色EL表示パネ
ルとを一体化して被研削物68にしているのは、以下の
理由に基づく。従来、機械的研削および機械的研磨を用
いた薄板加工が不調にあった要因として、基板の加工す
べき表面に平行にかつ表面のどの点でも均一に研削研磨
加工を進めたうえで、基板の厚みが所定厚みになった時
点で加工を止める必要があるのに、このような加工が困
難であったためだと考えられる。これは、EL表示パネ
ルをはじめとする平面型表示パネルは、複数枚のガラス
の薄板を樹脂等の貼合わせ剤で貼合わせた形態をしてい
るので、貼合わせ剤の層の厚みのばらつきに起因して、
加工すべき表面の平行性が損なわれるためである。たと
えば、図6(A)に示すように、印刷法等を用いて塗布
された貼合わせ剤によって初期厚さWAの主基板26と
シール用基板31とが貼合わされた場合、貼合わせ剤の
層70の層厚の分布に起因して、シール用基板31の一
方面71から主基板26の他方面38までの厚みが、主
基板他方面38内において不均一になっていることがあ
る。この場合、シール用基板一方面71を基準として、
シール用基板一方面71から主基板他方面38までの厚
みが所定の厚みd0になるように、主基板他方面38に
対して機械的研削研磨処理が施されるならば、図6
(B)に示すように、処理後の主基板26の板厚は、貼
合わせ剤層70の薄い部分の板厚d1が貼合わせ剤層7
0の厚い部分の板厚d2よりも厚くなってしまう。 d1 > d2 …(0)
【0057】EL素子29が一方面37に形成されてい
る主基板26の一方面37から他方面38までの厚さが
初期厚さWAよりも薄く加工された場合、主基板26の
厚みにムラが発生していると、表示上の品位の低下を招
きやすい。またこの場合、平面型表示パネルの製造工程
における熱歪みに起因する内部応力が基板に発生してい
るので、内部応力に抗しきれない厚みに基板が達する
と、基板に割れが発生しやすい。このような表示品位低
下および基板割れ発生等の不具合の誘発を防止するため
には、加工すべき主基板26の板厚の均一性を保ったま
ま、主基板26を薄くすることが要求される。このため
には、基板の加工すべき表面を加工用の定盤63,64
に対して平行に保ちながら、該表面全体を均一に加工す
る必要がある。
【0058】本実施の形態では、処理対象となる2枚以
上の主基板26は、加工すべき他方面38を相互に保持
用治具67の外側に向けた状態で、かつ該他方面38が
相互に平行になるように、保持用治具67の2つの各底
面にそれぞれ固定されている。これによって、図5に示
すように、加工すべき他方面38を基準として主基板2
6を薄板化することが可能になるので、シール用基板一
方面71から薄板化前の主基板他方面38までの厚みに
関わらず、機械的研削研磨処理後の主基板26の板厚の
均一性を確保することが可能になる。したがって、機械
的研削研磨処理を施す際に、加工対象となる主基板26
の板厚の均一性を保つべく、2枚以上の主基板または2
枚以上の単色ELパネルを固定するための保持用治具6
7が用いられる場合、加工後の主基板26の板厚の均一
性が確保されるので、カラーELパネルの表示品位の低
下が防止される。
【0059】また本実施の形態では、研削装置61が、
平行な2枚の定盤63,64によって被研削物68を挟
む構造になっている。保持用治具67に2枚の単色EL
表示パネルを保持させた場合、各単色ELパネルの主基
板26の加工すべき面の各定盤63,64に対する平行
性がそれぞれ確保されるので、基板の割れが防止され
る。また主基板26が保持用治具67に保持されている
ので、加工中に基板が薄くなっても、内部応力に起因す
る主基板26の割れが防止される。さらに主基板26に
は既にシール用基板が貼付けられているので、主基板2
6が充分薄くなっても、内部応力に抗することが可能で
ある。これによって、加工後の主基板26において、内
部応力に起因する割れが防止される。
【0060】主基板26の薄板化処理のうちの機械的研
磨を行う第4工程A4においては、好ましくは、図4お
よび図5で説明した研削装置61を加工条件を変えて用
いる。すなわち機械的研磨処理では、2枚の定盤63,
64に代わって機械的研削処理で用いられた定盤63,
64よりも柔軟なパッドを用い、被研削物68に対する
荷重を解放状態にし、かつ機械的研削処理で用いられた
研磨剤よりも粒径が細かい研磨材を基板とパッドとの間
に滴下しつつ、機械的研削処理と同じ角速度でパッドを
回転させる。この際、機械的研磨処理における基板の加
工レートR2は、機械的研削処理における基板の加工レ
ートR1よりも、大幅に抑える。これによって、機械的
研削加工後の基板の加工面の凹凸を、図4の研削装置6
1を用いてより細かく研磨することが可能である。本実
施の形態では、機械的研削処理時に#1000の研磨材
を使用しているので、機械的研磨処理時の研磨剤として
酸化セリュム剤を用いている。機械的研磨処理の基板の
加工レートR2は、研磨材によって制御される。たとえ
ば機械的研磨処理の過去レートR2は、研磨途中で段階
的に研磨材を滴下することによって制御される。機械的
研磨処理の基板の加工レートR2の好ましい範囲は1μ
m/min以下であり、機械的研磨処理の基板の加工レ
ートR2の許容範囲は0.1μm/min以上5.0μ
m/minである。
【0061】本件出願人は、図4の研削装置61をそれ
ぞれ用いた機械的研削処理および機械的研磨処理の実験
を、4.7型の平面型表示パネルの製造工程を例として
行った。4.7型の平面型表示パネルの主基板26の外
形サイズは123mm×96mmであり、該主基板26
の初期厚みWAは1.1mmである。主基板26の機械
的研削および研磨処理後の所望の厚さは0.5mmであ
る。実験における機械的研削処理および機械的研磨処理
における研削装置61の加工条件は、図4および図5で
説明したような、基板厚さを1.1mmから0.5mm
に薄板化する際の条件と等しい。主基板表面の凹凸レベ
ルは、主基板表面内の複数の測定箇所における基板厚み
のばらつき度合いの標準偏差の3倍(3σ)の値で表
す。主基板26の厚みは、光学干渉計を用いて主基板表
面の1cm2 あたり1点ずつ測定した。基板厚みの面内
分布は、主基板表面内の複数の測定箇所における基板厚
みの分布を表す。薄板化処理前の主基板26の厚みの面
内分布を測定した処、基板厚みの凹凸レベルは10μm
未満になっていることが分かった。
【0062】図7は、図4の研削装置61をそれぞれ用
いた機械的研削処理および機械的研磨処理完了後の主基
板26の厚みの面内分布を示すグラフである。本明細書
では、基板厚さの面内分布のグラフにおいて、縦軸が基
板厚さを示し、縦軸に直交する平面が、主基板表面内の
測定位置を示す。上記の機械的研削処理および機械的研
磨処理完了後の主基板26の厚みは、所望の500μm
に近い値になっている。また機械的研削および研磨処理
完了後の主基板表面の凹凸レベルは、15μm未満に抑
込まれている。このように、機械的研削および研磨処理
完了後の主基板26の厚みの面内分布は、薄板化処理前
の主基板26の厚みの面内分布とほぼ等しくなってい
る。したがって、図4およ図5で説明した方法を用いれ
ば、機械的研削および研磨処理完了後の主基板26の厚
みの面内分布が機械的研削および研磨処理完了前の主基
板26の厚みの面内分布とほぼ等しいレベルにあるうち
に、機械的研削処理および機械的研磨処理を終えること
が可能である。
【0063】機械的研削および研磨処理完了後の主基板
表面の主基板の凹凸レベルは、0μm以上30μm未満
であることが好ましい。これによって、化学的研磨処理
終了後における主基板表面の凹凸レベルが、表示パネル
の色むらを生じさせない程度に確保される。このよう
に、化学的研磨処理の前処理として行われる機械的研削
および研磨処理の仕上がり精度が、機械的研削および研
磨処理完了前の主基板26の凹凸レベルの3倍未満に抑
えられているならば、色むらを生じさせない主基板表面
を薄板化処理において確保することができる。
【0064】以上説明したような機械的研削処理および
機械的研磨処理後の主基板26を、化学的研磨処理によ
ってさらに加工する。化学的研磨処理としては、好まし
くは、本件出願人が特願平10−285786号公報に
よって開示しているエッチング処理が用いられる。ま
ず、機械的研削および研磨処理後の単色カラーELパネ
ル23の表面のうち、フィルタ部24が取付けられるべ
き部分、すなわち主基板26の凹部が形成されるべき部
分以外の部分を、保護のために、耐エッチング性のある
材料の部材、たとえば樹脂フィルムで覆う。次いで、部
分的にフィルムで覆われた状態の単色カラーELパネル
23を、フッ酸を主成分にしたエッチング液に浸し、エ
ッチングのレートを制御しつつ、主基板26をエッチン
グする。このような条件下の化学的研磨処理において初
期厚さWAが1.1mmの基板を0.1mmまで加工す
るならば、上記条件下の化学的研磨処理の基板の加工レ
ートR3は、0.5mm/min程度である。化学的研
磨処理としてエッチング処理が用いられる場合、大面積
の基板の化学的研磨処理を、加工面全体で均一に、かつ
確実に進めることができる。本実施の形態の化学的研磨
処理は、エッチング処理に限らず、大面積にわたる加工
の均一性を有しているならば、他の処理で実現されても
よい。
【0065】図8は、図7の主基板26の主基板に、フ
ッ酸を主成分にしたエッチング液を用いた湿式エッチン
グ法を用いて化学的研磨処理を施した場合の主基板26
の面内分布を示すグラフである。面内分布の測定方法
は、図7の場合と等しい。化学的研磨処理後の主基板2
6の凹凸レベルは、表示パネルの色むらを生じさせない
程度に抑えられている。
【0066】化学的研磨処理に先立って機械的研削およ
び研磨処理を行う場合、化学的研磨処理の開始時点の主
基板26の厚さが従来よりも薄くなっているので、化学
的研磨処理に要する時間が従来よりも大幅に短縮され
る。さらに上記場合、化学的研磨処理時に発生する二次
生成物の除去など、化学的研磨処理中の付帯作業を省く
ことができるので、化学的研磨処理に要する時間が従来
よりもより大幅に短縮される。このような薄板化処理を
カラーEL表示パネルの製造処理において用いる場合、
カラーEL表示パネルの生産性を向上させることができ
る。
【0067】図4および図5の説明において挙げた各種
の数値条件は、ガラス材料から形成される基板の機械的
研削処理および機械的研磨処理における各種数値の最適
条件の1例である。機械的研削処理および機械的研磨処
理における条件は、上記最適条件に限らず、他の条件で
もよい。相互に相対的に角変位する2枚の定盤を有する
構成の研削装置が用いられる場合、基板の機械的研削処
理および基板の機械的研磨処理においては、好ましく
は、以下の式1〜式4の条件が満たされる。式1,2に
示すように、機械的研削処理の加工レートR1および機
械的研磨処理の加工レートR2は、それぞれ定盤63,
64の角速度に比例する。式3,4に示すように、機械
的研削処理の加工レートR1および機械的研磨処理の加
工レートR2は、それぞれ定盤63,64が被研削物6
8に加える荷重に比例する。 R1∝定盤の角速度 …(1) R2∝定盤の角速度 …(2) R1∝定盤の荷重 …(3) R2∝定盤の荷重 …(4)
【0068】荷重および角速度が加工レートに比例して
いるので、基板の加工面の凹凸レベルは加工レートに応
じた値になると推測される。すなわち、機械的研削処理
の加工レートR1の大きさと機械的研削処理後の凹凸レ
ベル3σ1 の大きさとには相関性があり、機械的研磨処
理の加工レートR2の大きさと機械的研磨処理後の凹凸
レベル3σ2 の大きさとには相関性がある。これらの理
由に基づき、研削前の加工面の凹凸レベルに機械的研磨
処理によって回復可能な凹凸レベル3σ1 が得られる機
械的研削処理の加工レートR1のうちの最速のレート
が、機械的研削処理の最適の加工レートR1になる。
【0069】定盤63,64の角速度の最適範囲は、本
件出願人が行った実験の結果に基づき、30rpm以上
40rpm以下である。最適範囲の上限値を越える角速
度で定盤を回転させる場合、被研削物に取付けられた基
板が破損する場合が有得る。ゆえに40rpmを越える
角速度は実用性に乏しい。定盤の角速度の許容範囲は装
置に依存する。定盤の角速度の許容範囲は、おおよそ1
0rpm以上99rpm以下であり、好ましい範囲は研
削装置の構成に依存する。
【0070】基板の薄板化処理の説明において挙げた各
種の数値条件は、ガラス材料から形成される基板の薄板
化処理における各種数値の最適条件の1例である。薄板
化処理における条件は、上記最適条件に限らず、他の条
件でもよい。ガラス材料から形成される基板の薄板化処
理において、機械的研削処理、機械的研磨処理、および
化学的研磨処理は、好ましくは、以下に示す条件を満た
す。
【0071】機械的研削後の基板の機械強度は、機械的
研削後の基板を保持用治具67から取外す際、およびカ
ラーEL表示パネル23の製造工程内の機械的研削工程
後の他の工程において基板を取扱う際に、基板が破損し
ない程度の強度であることが要求されている。機械的研
削後の基板の機械強度だけを考慮する場合、機械的研削
後の基板の厚さが厚いほど機械的強度が増加するので、
機械的研削後の基板の厚さは厚いほど好ましい。機械的
研削後のガラス基板の厚さは、最低限0.3mm以上で
ある必要があり、好ましくは0.4mm以上である。本
実施の形態では、機械的研削後のガラス基板の厚さは、
最適値である0.5mmになっている。
【0072】基板の初期厚さWAに対する機械的研削処
理によって研削される深さの割合は、機械的研削後の基
板の機械強度に依存する。初期厚さWAが1.1mmで
ある基板が0.3mm以上0.5mm以下の厚さまで機
械的に研削される場合、機械的研削処理によって0.8
mm以下0.6mm以上の深さだけ研削されるので、基
板の初期厚さWAに対する機械的研削の深さの割合は、
73%以下55%以上になる。初期厚さWAが0.7m
mである基板が0.3mm以上0.5mm以下の厚さま
で機械的に研削される場合、機械的研削処理によって
0.4mm以下0.2mm以上の深さだけ研削されるの
で、基板の初期厚さWAに対する機械的研削の深さの割
合は、57%以下29%以上になる。
【0073】基板の基準厚さWCは、表示パネルの仕様
に依存する。たとえば図1のカラーEL表示パネル21
において、単一画素を構成する複数のドットのピッチを
細くするほど主基板26の基準厚さWCを薄くする必要
があり、視野角を拡大するほど主基板26の基準厚さW
Cを薄くする必要がある。図1のカラーEL表示パネル
21において、3つのドットを直線状に並んだ3つのド
ットから単一画素が形成されており、かつドットの配列
方向のピッチが3個/mmである場合、視野角が80度
にするためには、主基板26の基準厚さWCは0.10
mmである必要がある。薄板化加工後の基板の取扱い易
さおよび基板の薄板化処理における加工精度を考慮する
と、主基板26の基準厚さWCは0.05mm以上であ
って0.05mmにできるだけ近いことが望ましい。 全研削深さ=基板の初期厚さWA−基板の基準厚さWC …(5)
【0074】式5によって定義される基板の薄板化処理
全体における全研削深さ、すなわち基板の薄板化処理前
の厚さと該基板の薄板化処理後の厚さとの差は、用意さ
れる基板の初期厚さWAと基板の基準厚さWCとに依存
する。全研削深さに対する機械的研削の深さの割合は、
基板の初期厚さWAと基板の基準厚さWCと機械的研削
後の基板の機械強度とに依存する。初期厚さWAが1.
1mmであり基準厚さWCが0.05mmである場合、
全研削深さは1.05mmでありかつ機械的研削の深さ
は0.8mm以下0.6mm以上なので、全研削深さに
対する機械的研削の深さの割合は、76%以下57%以
上になる。初期厚さWAが1.1mmであり基準厚さW
Cが0.10mmの厚さである場合、全研削深さは1.
00mmでありかつ機械的研削の深さは0.8mm以下
0.6mm以上なので、全研削深さに対する機械的研削
の深さの割合は、76%以下57%以上になる。初期厚
さWAが0.7mmであり基準厚さWCが0.10mm
の厚さである場合、全研削深さは0.60mmでありか
つ機械的研削の深さは0.4mm以下0.2mm以上な
ので、全研削深さに対する機械的研削の深さの割合は、
66%以下33%以上になる。全研削深さに対する機械
的研削の深さの割合は、これに限らず、基板の薄板化工
程および表示パネルの製造工程の状況に応じて変動す
る。 3σ1 > 30μm …(6) 3σ2 ≒ WE :10μm ≦ WE ≦ 20μm …(7) 3σ3 ≒ 10μm …(8)
【0075】基板の加工された面の凹凸レベルを、基板
の厚さの分布の標準偏差σの3倍の大きさで数量化す
る。式6に示すように、機械的研削処理後の基板の加工
面の凹凸レベル3σ1 は、30μmよりも大きい。機械
的研削処理後の基板の加工面の凹凸レベル3σ1 は、3
0μmより大きく50μm以下程度ではないかと推測さ
れる。式7に示すように、機械的研磨処理後の基板の加
工面の凹凸レベル3σ2のオーダが10μm以上20μ
m以下の値WEとほぼ等しくなるように、機械的研磨処
理は制御される。本実施の形態では、値WEは15μm
になっている。式8に示すように、化学的研磨処理後の
基板の加工面の凹凸レベル3σ3 のオーダが10μmと
ほぼ等しくなるように、機械的研磨処理は制御される。
機械的研磨処理および化学的研磨処理における加工面の
凹凸レベルの許容範囲を少なくとも1つ満たすならば、
本実施の形態の薄板化処理は、化学的研磨処理だけを用
いた薄板化処理と同じ程度の加工精度を保ちつつ、化学
的研磨処理だけを用いた薄板化処理よりも処理時間を短
縮することができる。 R3 ≒ R2 < R1 …(9)
【0076】式9に定義されるように、機械的研削処理
の基板の加工レートR1は機械的研磨処理の基板の加工
レートR2より大きく、機械的研磨処理の基板の加工レ
ートR2のオーダは化学的研磨処理の基板の加工レート
R3のオーダとほぼ等しい。機械的研削処理の基板の加
工レートR1は、基板の研削装置に依存する。機械的研
削処理の基板の加工レートR1の好ましい範囲は、1μ
m/min以上10μm/min以下である。
【0077】基板の加工された面の凹凸レベルは、加工
レートに依存する。機械的研削処理の加工レートR1が
1μm/min以上10μm/min以下である場合、
機械的研削処理後の基板の加工面の凹凸レベル3σ1
30μmより大きく50μm以下、ないしは50μm以
上になる。この場合に機械的研磨処理後の基板の加工面
の凹凸レベル3σ2 のオーダが10μm以上20μm以
下の値WEとほぼ等しくなるようにするには、機械的研
磨処理の加工レートR2を0.1μm/min以上5.
0μm/min以下にすればよい。さらに化学的研磨処
理後の基板の加工面の凹凸レベル3σ3 のオーダが10
μmとほぼ等しくなるようにするには、機械的研磨処理
の加工レートR2を0.1μm/min以上1.0μm
/min以下にすればよい。
【0078】以上の理由に基づき、機械的研磨処理の基
板の加工レートR2の許容範囲は、0.1mm/min
以上5.0/min以下である。化学的研磨処理におけ
る基板のレートR3の許容範囲は、0.1mm/min
以上1.0mm/min以下である。各加工レートの許
容範囲を少なくとも1つ満たすならば、本実施の形態の
薄板化処理は、化学的研磨処理だけを用いた薄板化処理
と同じ程度の加工精度を保ちつつ、化学的研磨処理だけ
を用いた薄板化処理よりも処理時間を短縮することがで
きる。
【0079】以上説明したように、本実施の形態のカラ
ーEL表示パネルおよびその製造方法は、ガラス材料か
ら形成された基板の薄板化処理に特徴がある。本実施の
形態の基板薄板化処理は、半導体材料に関するCMP技
術を用いた薄板化技術では対応が困難な、大型または貼
合せ形態をとるガラス基板試料を加工対象としている。
このようなサイズまたは形態をとる試料に対しては、C
MP技術を用いた薄板化処理よりも、本実施の形態の基
板の薄板化処理のほうが、より安価で、生産性良く処理
を進めることが可能である。
【0080】本実施の形態のカラーEL表示パネルおよ
びその製造方法は、本発明の平面型表示パネルおよびそ
の製造方法の例示であり、主要な構成および動作が等し
ければ、他の様々な形で実現することができる。特に平
面型EL表示パネルの各構成部品の詳細な構成および動
作は、同じ効果が得られるならば、上述の構成および動
作に限らず他の構成および動作によって実現されてもよ
い。また特に平面型EL表示パネルの製造方法における
各処理の詳細な構成および動作は、同じ効果が得られる
ならば、上述の構成および動作に限らず他の構成および
動作によって実現されてもよい。本発明の基板薄板化処
理の処理対象となる基板は、化学的および機械的研磨な
らびに機械的研削が可能な基板であれば、ガラス基板に
限らず、他の基板であってもよい。
【0081】本実施の形態の基板の薄板化処理は、カラ
ーEL表示パネルに限らず、他の平面型表示パネルの製
造工程において用いられてもよい。他の平面型表示パネ
ルとしては、液晶表示パネルおよびPALC(プラズマ
アドレッシング液晶)表示パネルが挙げられる。たとえ
ば反射型の液晶表示パネルにおいては、液晶層と反射板
との間の基板を本実施の形態の薄板化処理を用いて薄板
化することが好ましい。またたとえばPALC表示パネ
ルにおいては、プラズマ放電のスイッチング部分と液晶
素子の部分との間の仕切りとしてできるだけ薄くかつ厚
みが均一な誘電体層が必要なので、該誘電体層となる基
板を本実施の形態の薄板化処理を用いて薄板化すること
が好ましい。これら反射型液晶表示パネルおよびPAL
C表示パネルにおいては、薄板化処理に先立って、薄板
化処理の処理対象となる基板上への部品形成工程および
液晶層の形成工程が行われることがさらに好ましい。
【0082】さらに本実施の形態の基板の薄板化処理
は、平面型表示パネルの製造工程に限らず、他の装置の
製造工程で用いられてもよい。さらにまた本実施の形態
の基板の薄板化処理は、単独で用いられてもよい。
【0083】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、基準厚さ
WCの基板を有する平面型表示パネルの製造方法におい
て、基準厚さWCを越える初期厚さWAの基板に薄板化
処理を施すことによって、基準厚さWCの基板が製造さ
れている。薄板化処理において、化学的研磨処理に先立
ち、基板の加工すべきが機械的に研削および研磨されて
いる。これによって本発明の平面型表示パネルの製造方
法が用いられる場合、平面型表示パネルの生産性を向上
させ、かつ製造された平面型表示パネルの品質を向上さ
せることができる。
【0084】また本発明によれば、前記基板の機械的研
削処理おいてに、回転可能な2枚の定盤を有する機械的
な研削装置が用いられる場合、治具に固定された2枚の
基板が被研削物として用いられる。これによって、機械
的研削処理における基板の割れが防止される。さらにま
た本発明によれば、表示に関わる部品が基板上に製造さ
れた後に、該基板が薄板化される。これによって、平面
型表示パネルの生産性がさらに向上される。また本発明
によれば、表示に関わる部品として、複数のEL素子が
基板の一方面上に形成される。これによって、EL表示
パネルの生産性を向上させることができる。
【0085】また以上のように本発明によれば、平面型
表示パネルは、初期厚さWAの基板を薄板化することに
よって得られた基準厚さWCの基板を有している。かつ
基板の薄板化処理においては、化学的研磨処理に先立
ち、基板の他方面が機械的に研削および研磨されてい
る。このような構成の平面型表示パネルは、生産性の向
上が可能である。また本発明によれば、平面型表示パネ
ルは、表示に関わる部品として、複数のEL素子を有し
ている。このような構成の平面型表示パネル、すなわち
EL表示パネルは、生産性の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である平面型表示パネル
の製造方法によって製造されたカラーEL表示パネル2
1の断面図である。
【図2】図1のカラーEL表示パネル21の主基板26
上の素子部27の構成を示す斜視図である。
【図3】図1のカラーEL表示パネル21の製造工程を
説明するための工程図である。
【図4】図3の製造工程の第3工程で用いられる研削装
置61の分解斜視図である。
【図5】図4の研削装置61のA−A断面図である。
【図6】貼合わせ剤層70の層厚にムラがある単色EL
パネルの機械的研削研磨工程前後の簡略化された断面図
である。
【図7】図4の研削装置61をそれぞれ用いた機械的研
削処理および機械的研磨処理完了後の主基板26の厚み
の面内分布を示すグラフである。
【図8】図7の主基板26の主基板に、フッ酸を主成分
にしたエッチング液を用いた湿式エッチング法を用いて
化学的研磨処理を施した場合の主基板26の面内分布を
示すグラフである。
【図9】従来技術のカラー薄膜EL表示パネル1の模式
的な拡大部分断面図である。
【符号の説明】 21 カラーEL表示パネル 26 主基板 29 EL素子 31 シール用基板 41 前面電極 42 第1絶縁層 43 発光層 44 第2絶縁層 45 背面電極 61 研削装置 63,64 定盤 65 駆動部 67 保持用治具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/10 H05B 33/10 (72)発明者 稲田 安雄 長野県長野市松代町清野1650番地 不二越 機械工業株式会社内 (72)発明者 高池 耕 長野県長野市松代町清野1650番地 不二越 機械工業株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB18 FA00 5C094 AA15 AA43 BA23 GB00 5G435 AA17 AA18 BB04 KK05 KK10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定める基準厚さを有する1枚の基板
    と、該基板の一方面に配置された表示に係わる部品とを
    含む平面型の表示パネルの製造方法において、予め定め
    る基準厚さを越える初期厚さの基板が前記基準厚さにな
    るように、該基板を加工する薄板化処理を行う工程を含
    み、 薄板化処理は、 初期厚さの基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部
    分を、機械的に研削する処理と、 基板の研削された面を、機械的に研磨する処理と、 基板の研磨された面の少なくとも一部分を、化学的に研
    磨する処理とを含むことを特徴とする平面型表示パネル
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板の機械的な研削処理において、 (1)2枚の各基板の加工するべき1面が相互に平行に
    なるように、該2枚の基板が予め定める治具に固定さ
    れ、 (2)治具に固定された2枚の基板を被研削物として、
    2枚の定盤の間に被研削物を挟み、該定盤によって被研
    削物に予め定める荷重をかけつつ、該各定盤を予め定め
    る角速度で回転させることを特徴とする請求項1記載の
    平面型表示パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記薄板化処理を行う工程に先立ち、前
    記初期厚さの基板の一方面に、前記表示に係わる部品を
    配設する工程をさらに含み、 前記薄板化処理において、前記初期厚さの基板の他方面
    を機械的に研削することを特徴とする請求項1記載の平
    面型表示パネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記表示に係わる部品が、複数のエレク
    トロルミネセンス素子を含み、 各エレクトロルミネセンス素子は、電界発光を呈する発
    光層と、該発光層を挟む一対の電極とをそれぞれ含み、 前記表示に係わる部品を形成する工程において、 全エレクトロルミネセンス素子の一方の電極が、前記基
    板の一方面に形成され、 全エレクトロルミネセンス素子の発光層が、全エレクト
    ロルミネセンス素子の一方の電極に重畳して形成され、
    全エレクトロルミネセンス素子の他方の電極が、全エレ
    クトロルミネセンス素子の発光層に重畳して形成される
    ことを特徴とする請求項1記載の平面型表示パネルの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 予め定める基準厚さを有する少なくとも
    1枚の基板と基板の一方の面に配置され、表示に係わる
    部品とを含み、 基準厚さの基板は、基準厚さを越える初期厚さの基板の
    少なくとも一方の面の少なくとも一部分を機械的に研削
    し、基板の研削された面を機械的に研磨し、基板の研磨
    された面の少なくとも一部分を化学的に研磨することに
    よって、形成されていることを特徴とする平面型表示パ
    ネル。
  6. 【請求項6】 前記表示に係わる部品が、複数のエレク
    トロルミネセンス素子を含み、 各エレクトロルミネセンス素子は、電界発光を呈する発
    光層と、該発光層を挟む一対の電極とをそれぞれ含むこ
    とを特徴とする請求項5記載の平面型表示パネル。
  7. 【請求項7】 2枚以上の基板の一方の面の少なくとも
    一部分を機械的に研削または研磨する処理に用いられる
    保持用治具であって、1枚以上の基板をそれぞれ固定す
    る2つの底面を有し、 各底面は、加工すべき面を該底面の反対側に向けた状態
    で基板を固定し、かつ、2つの各底面にそれぞれ固定さ
    れた基板の面が相互に平行になるように、該基板を保持
    することを特徴とする保持用治具。
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