JP2001141642A - 腐食試験装置 - Google Patents

腐食試験装置

Info

Publication number
JP2001141642A
JP2001141642A JP32321599A JP32321599A JP2001141642A JP 2001141642 A JP2001141642 A JP 2001141642A JP 32321599 A JP32321599 A JP 32321599A JP 32321599 A JP32321599 A JP 32321599A JP 2001141642 A JP2001141642 A JP 2001141642A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
test
corrosion
test piece
pot
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP32321599A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomikane Saida
富兼 斎田
Toshio Yonezawa
利夫 米澤
Takayuki Imazu
孝幸 今津
Naoki Sawa
直樹 澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP32321599A priority Critical patent/JP2001141642A/ja
Publication of JP2001141642A publication Critical patent/JP2001141642A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 腐食試験装置において、試験液体が流動する
条件下での試験が行なえるとともに、正確な腐食試験を
行なうことができるようにする。 【解決手段】 内部の雰囲気温度を制御可能な容器40
Aと、容器40Aの内部に設置され試験液体2を封入さ
れた試験ポット10とをそなえ、試験ポット10内の試
験液体2に試験片3Bを浸漬して腐食試験を行なう、腐
食試験装置において、試験片3Bを、試験液体2内に没
した状態と試験液体2内から脱した状態との間で移動可
能に支持する支持機構200と、試験片3B及び試験片
3Bの浸漬される試験液体2を相対運動させる駆動機構
100とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速増殖炉用構造
材料のNa化合物環境下における高温腐食試験に用いて
好適の、腐食試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】腐食試験装置(以降、単に試験装置とも
いう)として、例えば、高速増殖炉(以降、FBRとい
う)用構造材料のNa化合物環境下における高温腐食を
調査するためのものが従来より開発されている。FBR
では冷却材としてNaを用いるが、このNaがNaO
H,Na2OなどのNa化合物によって汚染される場合
も考えられるため、従来より、こうしたNa化合物環境
下における構造材料の腐食減肉速度や、局部腐食の有無
や、表面変質層の状況などを試験するための高温腐食試
験(以降、単に腐食試験又は試験ということもある)が
行なわれているのである。
【0003】図8は従来のFBR用構造材料の試験装置
の構成を模式的に示す側面視に応じた縦断面図である。
従来の試験装置は、図8に示すように、電気炉4と、電
気炉4内に配設された試験ポット1とをそなえて構成さ
れ、試験ポット1内には、板状(短冊状)の材料試験片
(以降、単に試験片と言う)3Aと、NaOH,Na2
OなどのNa化合物溶液2とが密封されている。
【0004】また、試験ポット1内には、熱電対5が差
し込まれている。この熱電対5は、電気炉4を貫通して
設けられ、下端を試験ポット1内のNa化合物溶液2に
浸され、上端を試験装置外部の温度表示器(図示略)に
接続されている。これにより、試験者は、この温度表示
器を監視しながら、Na化合物溶液2が所定の温度にな
るように、電気炉4に設けられたコントローラ(図示
略)により電気炉4の出力を調節することができるよう
になっている。また、試験片3AのNa化合物溶液2へ
の出し入れは、例えばピンセットのような支持具を用い
て行なわれ、試験片3Aは、試験ポット1内では何にも
支持されないため、試験中はNa化合物溶液2に完全に
浸漬された状態になる。
【0005】なお、試験片としては、図8に示す板状の
試験片3Aの他、図9に示すような角状の試験片3Dが
ある。この試験片3Dには、図9中で上下方向に貫通す
る孔が設けられており、この孔に図9中に二点鎖線で示
すように支持部材70Dが貫通した状態で固設される。
そして、試験時には、この支持部材70Dは、試験片3
Dと一体に試験ポット1(図8参照)内に挿入される。
試験ポット1に対して出し入れする際、試験片3Dは、
支持部材70Dと一体に操作できるため、支持具を用い
る板状の試験片3Aに比べ操作しやすい。
【0006】従来の試験装置は、上述のように構成され
るので、腐食試験は以下のように行なわれる。まず、N
a化合物溶液2と試験片3Aとを一緒に試験ポット1内
に封入する。Na化合物溶液2は、大気中では反応を起
こすため、この封入作業は、試験装置外に別置きされた
図示しない気密型のグローブボックス内で行なわれる。
このとき、このグローブボックス内は、不活性ガスであ
るArガスで満たされている。
【0007】次に、Na化合物溶液2と試験片3Aとが
封入された試験ポット1を、電気炉4内に設置する。そ
して、熱電対5により温度管理しながら、電気炉4によ
って、Na化合物溶液2を所定の試験温度まで昇温した
後、一定時間にわたって腐食試験が行なわれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の試験装置では、試験片3Aを浸漬した状態
で、Na化合物溶液2を所定の試験温度まで上昇させる
ため、Na化合物溶液2が所定の試験温度に到達するま
での間、即ち、昇温,降温中においても、試験片3Aが
Na化合物溶液2のNa化合物からの影響を受けてしま
う(温度履歴が加わってしまう)。このため、所定の温
度における正確な腐食試験を行なうことができないとい
う不具合がある。
【0009】さらに、Na化合物溶液2が流動するよう
な条件下では腐食試験ができないという不具合もある。
そして、試験中に、昇温に応じてNa化合物の反応によ
り発生するH2(水素)ガスを試験ポット1から排出で
きない。このため、可燃性のH2ガスが試験ポット1内
に残留して、試験終了後の装置の取扱いに注意を要する
という不具合もある。また、開放状態での試験を行なう
ことができないという不具合もある。
【0010】また、電気炉4内は大気からは遮断されて
いないため、試験ポット1を、電気炉4内にセット又は
電気炉4内から取り出す作業(例えば、熱電対5の試験
ポット1への取付けや取外し等)の際に、試験ポット1
内が大気と連通する状態となってしまい、試験ポット1
内のNa化合物溶液2及び試験片3Aが大気と反応して
試験に影響を及ぼす虞もある。
【0011】また、試験片3AをNa化合物溶液2に完
全に浸漬させて試験を行なうため、Na化合物溶液2の
液面(Na化合物溶液界面)での、試験片3Aの腐食評
価を行なえないという不具合もある。さらに、試験ポッ
ト1の材質によっては、試験ポット1とNa化合物溶液
2とが反応して、試験片3Aの腐食反応に影響を及ぼ
し、試験片の腐食試験を正確に行なえなくなってしまう
という課題もある。
【0012】また、図9に示す角状の試験片3Dを使用
した場合、上述したように図8に示す試験片3Aに比べ
支持部材70Dと一体に操作できるため操作性が良い
が、試験片3Dの表面は平坦であり、また、試験後は腐
食により試験片3Dの表面に凹凸が生じるため、Na化
合物溶液2から引き上げる際に、粘性の高いNa化合物
溶液2(半溶融状態のものもあると考えられる)が付着
して流れ落ちずにそのまま試験片3Dの上面に残留しや
すく、この状態で試験片3Dの温度が下がると、この残
留した付着物が固形化してしまう。このため、上述した
試験片3Aを用いた場合の課題に加え、この付着物の影
響のため、腐食による減肉等を正確に測定できないとい
う不具合が生じる。
【0013】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、試験液体が流動する条件下での試験が行なえ
るとともに、正確な腐食試験を行なうことができるよう
にした、腐食試験装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の腐食試験装置は、内部の雰囲気温度を制御可
能な容器と、該容器の内部に設置され試験液体を封入さ
れた試験ポットとをそなえ、該試験ポット内の該試験液
体に試験片を浸漬して腐食試験を行なう、腐食試験装置
において、該試験片を、該試験液体内に没した状態と該
試験液体内から脱した状態との間で移動可能に支持する
支持機構が設けられていることを特徴としている。
【0015】請求項2記載の本発明の腐食試験装置は、
請求項1記載の装置において、該試験ポット内に不活性
ガスを供給する供給構造が設けられていることを特徴と
している。請求項3記載の本発明の腐食試験装置は、請
求項1又は2記載の装置において、該試験ポット内の該
試験片と、該試験片の浸漬される該試験液体とを相対運
動させる駆動機構が設けられていることを特徴としてい
る。
【0016】請求項4記載の本発明の腐食試験装置は、
請求項1〜3のいずれかの項に記載の装置において、腐
食試験中に、該試験片と該試験液体との反応により発生
するガスを、該試験ポット外部へ排出する排出構造が設
けられていることを特徴としている。請求項5記載の本
発明の腐食試験装置は、請求項1〜4のいずれかの項に
記載の装置において、該容器を包囲する密封状態のグロ
ーブボックスがそなえられ、該グローブボックス内に不
活性ガスが封入されていることを特徴としている。
【0017】請求項6記載の本発明の腐食試験装置は、
請求項1〜5のいずれかの項に記載の装置において、該
試験片が、棒状で且つ端面が凸状曲面に形成されるとと
もに、該試験ポットの内面に、該試験片と同材質の内挿
容器が配設されていることを特徴としている。請求項7
記載の本発明の腐食試験装置は、内部の雰囲気温度を制
御可能な容器と、該容器の内部に設置され試験液体を封
入された試験ポットとをそなえ、該試験ポット内の試験
液体に該試験片を浸漬して腐食試験を行なう、腐食試験
装置において、該試験ポット内の該試験片と、該試験片
の浸漬される該試験液体とを相対運動させる駆動機構が
設けられていることを特徴としている。
【0018】請求項8記載の本発明の腐食試験装置は、
内部の雰囲気温度を制御可能な容器と、該容器の内部に
設置され試験液体を封入された試験ポットとをそなえ、
該試験ポット内の該試験液体に試験片を浸漬して腐食試
験を行なう、腐食試験装置において、該容器を包囲する
密封状態のグローブボックスがそなえられ、該グローブ
ボックス内に不活性ガスが封入されていることを特徴と
している。
【0019】請求項9記載の本発明の腐食試験装置は、
内部の雰囲気温度を制御可能な容器と、該容器の内部に
設置され試験液体を封入された試験ポットとをそなえ、
該試験ポット内の該試験液体に試験片を浸漬して腐食試
験を行なう、腐食試験装置において、該試験片が、棒状
で且つ端面が凸状曲面に形成されるとともに、該試験ポ
ットの内面に、該試験片と同材質の内挿容器が配設され
ていることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
形態について説明する。なお、各実施形態としては、本
発明の腐食試験装置を、FBR用構造材料の高温腐食試
験装置に適用した場合を説明する。まず、第1実施形態
について説明すると、図1〜図4は本発明の第1実施形
態としてのFBR用構造材料の腐食試験装置について示
すもので、図1はその構成を示す側面視に応じた模式的
な縦断面図であり、図2はその軸シール部の構成を示す
側面視に応じた模式的な縦断面図であり、図3はその模
式的なガス配管系統図であり、図4はその試験片ホルダ
ー要部の構成を示す側面視に応じた模式的な縦断面図で
ある。
【0021】本試験装置は、図1に示すように、電気炉
(容器)40Aと、Na化合物溶液(試験液体)2を封
入されて電気炉40A内に設置された試験ポット10
と、試験片3Bを支持する支持機構200とから構成さ
れる。そして、電気炉40Aの上壁部には、貫通孔4
3,44が設けられ、上壁部の上面には、貫通孔43を
囲むように環状部材41が設置されている。貫通孔4
3,44は、支持機構200の構成要素である案内管6
0と、熱電対50とをそれぞれ差し込むためのものであ
る。環状部材41の上面には、シールフランジ80がネ
ジにより結合されており、このシールフランジ80は、
案内管60,熱電対50がそれぞれ差し込まれる貫通孔
43,44をシールしつつ、案内管60,熱電対50を
支持している。
【0022】なお、シールフランジ80は、略円筒状の
上部フランジ81と、略平板状の下部フランジ82とが
ネジにより結合されて構成される。上部フランジ81
は、案内管60を支持及び固定し、下部フランジ82は
環状部材41に嵌め込まれ環状部材41にネジ止めされ
ている。また、熱電対50は、電気炉40A,試験ポッ
ト10をそれぞれ貫通するように設けられ、その下端は
試験ポット10内のNa化合物溶液2に浸され、その上
端は導線50Aを介して腐食試験装置外部に設けられて
いる温度表示器(図示略)に接続されている。試験者
は、この温度表示器を監視しながら、Na化合物溶液2
が所定の温度になるように、電気炉40Aに設けられた
コントローラ(図示略)により電気炉40Aの出力を調
節することができるようになっている。
【0023】また、電気炉40Aの上面には、支持機構
200の構成要素である支持棒110を支持するための
支持部42がそなえられている。ここで、支持機構20
0について説明する。支持機構200は、電気炉40A
の上部に立設された支持棒110,この支持棒110に
かくはん機支持部101を介して取り付けらたかくはん
機(駆動機構)100,このかくはん機100に装着さ
れ試験片3Bを取り付けられた試験片ホルダー70,こ
の試験片ホルダー70を試験ポット10内へ案内する案
内管60,この試験片ホルダー70と案内管60との間
に介装された軸シール90から構成されている。
【0024】ここで、案内管60は、上述のようにシー
ルフランジ80を介して電気炉40Aに差し込まれ、そ
の上端を軸シール90に接続され、その下端を試験ポッ
ト10に連通状態に接続されている。案内管60の下端
にはフランジ形状の蓋部61が嵌着しており、この蓋部
61が、試験ポット10上端のフランジ形状の接続部1
5にネジにより接続されている。また、蓋部61には、
熱電対50が貫通して取付けられている。
【0025】軸シール90は、上部部材91と下部部材
92とから構成される。上部部材91は、その下端を下
部部材92に気密に螺合され、その軸心部で、試験片ホ
ルダー70との間のシール性を確保しつつ、軸心線中心
に回転可能に且つ軸方向に上下移動可能に試験片ホルダ
ー70を挟持している。下部部材92は中間部に通気管
(供給構造,排出構造)120を気密に結合されてお
り、その下端を案内管60の上端に気密に嵌着されてい
る。この通気管120から、案内管60を介して、試験
ポット10へのArガス(不活性ガス)の供給及び試験
ポット10からのH2ガスの排出が行なえるようになっ
ている。
【0026】ここで、通気管120には図3に示すよう
にガス配管P1が接続されている。このガス配管P1は、
Arボンベ140に繋がるガス配管P2と、電気炉40
Aによる昇温に応じてNa化合物溶液2が反応して発生
するH2ガス(例えば、2NaOH→Na22+H2)を
試験ポット10から排出するためのガス配管P3とに分
岐している。ガス配管P2には、レギュレータ130と
バルブV1とが設置され、ガス配管P3にはバルブV2
設置されている。
【0027】このようなガス配管系統により、試験前
は、バルブV1を開け且つバルブV2を閉じることによっ
て、レギュレータ130によって適当な圧力に調整され
たArガスを試験ポット10へ注入することができるよ
うになっている。また、試験中は、H2ガスはArガス
よりも比重が軽いため、バルブV1を閉じ且つバルブV2
を開けることにより、Arガスに満たされた試験ポット
10内からH2ガスを排出することができるようになっ
ている。
【0028】このようにして、試験前にArガスを試験
ポット10内に充填することによりNa化合物溶液2及
びこのNa化合物溶液2に浸漬される前の試験片3Bが
大気と反応することを防止し、さらに、試験中には、H
2ガスを試験ポット10より常時排出して試験ポット1
0内にH2ガスが蓄積しないようにしているのである。
【0029】ところで、軸シール90の上部部材91
は、図2に示すように、袋ナット94,シールキャップ
97,押さえボルト95及び下部部材92(図1参照)
に接続する本体部98を、同一軸心線上に上方よりこの
順に接続された構成となっている。押さえボルト95
は、シールキャップ97,本体部98間に固定されて試
験片ホルダー70を回転可能及び軸方向に移動可能に挟
持している。ここで、袋ナット94,押さえボルト9
5,シールキャップ97,本体部98の各接続部にはそ
れぞれ互いに螺合するネジが切られており、これにより
各接続部は取外し可能に構成されている。
【0030】また、袋ナット94とシールキャップ97
との間にはブッシュ93が、押さえボルト95と本体部
98との間にはシールリング96が、シールキャップ9
7と本体部98との間にはOリング99がそれぞれ介装
されている。このような構造により、各部材間がシール
されるようになっている。また、袋ナット94,シール
キャップ97,本体部98の試験片ホルダー70が挿入
される部分の各内周径は、試験片ホルダー70の外径よ
りも僅かに大きめに加工され、試験片ホルダー70との
間にクリアランスが設けられており、試験片ホルダー7
0の動作を阻害しないようになっている。
【0031】このような構造により、軸シール90は、
通気管120から注入されてくるArガス及び案内管6
0を介して試験ポット10から流れてくるH2ガス(ガ
ス)をシールしつつ、回転可能かつ軸方向に移動可能に
試験片ホルダー70を挟持しているのである。次に、試
験片ホルダー70について説明する。試験片ホルダー7
0は、上述のようにその軸心線を中心に回転可能且つ軸
方向に移動可能に軸シール90に支持されている。そし
て、試験片ホルダー70は、図1に示すように、案内管
60内を案内管60の内壁に案内されて、試験ポット1
0に差し込まれ、その下端にはリング型の試験片3Bが
段状(ここでは3段)に装着され、その上端はかくはん
機100の駆動部102に結合されている。
【0032】ここで、試験片ホルダー70は、図4に示
すように、ホルダー軸71,ナット74,ホルダー軸7
2,スペーサ75,76,ホルダー73を上からこの順
に接続して構成される。そして、ホルダー軸72の下端
には、軸穴72Aが設けられており、この軸穴72Aに
軸状のホルダー73の上端が螺合により取り付けられて
いる。3つの試験片3Bは、このホルダー73の外周に
装着されてホルダー軸72の下部に取り付けられるとと
もに、相互間にリング型のスペーサ75,76を介装さ
れている。また、ホルダー軸72,スペーサ75,76
及びホルダー73の下端部73Aの各外周径は、試験片
3Bの内周径よりも大きくなっており、これにより、ホ
ルダー軸72とスペーサ75との間,スペーサ75,7
6の相互間,スペーサ76とホルダー下端部73Aとの
間で、試験片3Bをそれぞれ挟持し、固定できるように
なっている。
【0033】また、上下の各ホルダー軸71,72間
は、ナット74によって取外し可能に連結され、これに
より、ホルダー軸72への試験片3Bの取付け作業を容
易にし、また、試験片3B取付け後には試験片ホルダー
70と試験片3Bとを一体として取り扱えるようにして
いる。次に、図1により、かくはん機100および支持
棒110について説明する。
【0034】支持棒110は、その下端を電気炉40A
の上面にそなえられる支持部42に結合されて電気炉4
0A上に立設しており、その上端にはストッパー111
が設けられている。ストッパー111は、かくはん機支
持部101に設けられた支持棒110への嵌め込み用の
穴よりも大きな径となっており、かくはん機支持部10
1が上方に過大に移動しようとしても、このストッパー
111に当たって、かくはん機支持部101(かくはん
機100)が上方に外れないようになっている。
【0035】かくはん機100は、かくはん機本体10
0Aと、このかくはん機本体100Aから水平方向に突
設されて支持棒110に上下移動可能に嵌め込まれたか
くはん機支持部101と、鉛直方向に配設されて試験片
ホルダー70が挟持等により固定される駆動部102と
をそなえて構成され、かくはん機本体100A内には図
示しないモータがそなえられて、駆動部102を回転駆
動するようになっている。
【0036】ここで、かくはん機支持部101には、図
示しないが固定手段が設けられており、自重で落下する
ことのないように支持棒110に固定できるようになっ
ている。もちろん、この固定手段を解除すると、かくは
ん機支持部101の上下移動が可能になっている。これ
により、かくはん機支持部101を、支持棒110の任
意の位置に移動及び固定できるようになっている。
【0037】かくはん機100は、このような支持構造
により、試験片ホルダー70とともに鉛直方向に移動可
能であるとともに、試験片ホルダー70をその軸心線中
心に回転駆動できるようになっている。したがって、N
a化合物溶液2が所定の試験温度になるまでは、試験片
3BをNa化合物溶液2より上方へ移動させてNa化合
物溶液2を脱した状態とし、Na化合物溶液2が所定の
試験温度になってから試験片3Bを下降させてNa化合
物溶液2に浸漬させることができるようになっている。
さらに、かくはん機100を作動させることにより、N
a化合物溶液2に浸漬された試験片3Bを試験片ホルダ
ー70を介して回転させて、相対的にNa化合物溶液2
の流動状態を作れるようになっているのである。
【0038】本発明の第1実施形態としての腐食試験装
置は、上述のように構成されているので、以下のように
腐食試験が行なわれる。まず、試験装置の外部に別置き
された図示しない気密型のグローブボックスにおいて、
秤量されたNa化合物溶液2を試験ポット10内に充填
し、蓋をするなどして密封する。
【0039】次に、試験ポット10を電気炉40Aに設
置する。そして、試験ポット10を開封し、案内管60
の下端の蓋部61を、試験ポット10上端の接続部15
に接続する。案内管60の内部には、先端に試験片3B
が連結された試験片ホルダー70が挿入されているが、
このときには、試験片ホルダー70は上方に引き上げら
れて、試験片3BはNa化合物溶液2より脱した状態に
されている。
【0040】そして、試験片3BをNa化合物溶液2よ
り脱した状態のまま、熱電対50により温度管理しなが
ら、電気炉40AによってNa化合物溶液2を所定の試
験温度まで昇温する。この時点で、試験ポット10に
は、既に外部のArボンベ140(図3参照)からAr
ガスが注入されており、Na化合物溶液2及び試験片3
Bは反応を起こさないように大気と遮断された状態にな
っている。
【0041】そして、Na化合物溶液2が所定の試験温
度に到達後、かくはん機100を下方に移動させて、試
験片3BをNa化合物溶液2に浸漬させる。次に、かく
はん機100により試験片ホルダー70を介して試験片
3Bを回転駆動し、これによりNa化合物溶液2を流動
させ、所定の温度,流動条件下での腐食試験が開始され
る。
【0042】なお、試験中にNa化合物溶液2が反応し
て発生するH2ガスは、通気管120を介して外部に排
出される。そして、所定時間経過後、かくはん機100
とともに試験片ホルダー70を引き上げ、Na化合物溶
液2から試験片3Bを脱した状態にして、試験が終了す
る。
【0043】試験終了後、試験ポット10より案内管6
0が取り外されて、試験ポット10は開放状態にされ
る。そして、試験片3Bを、試験片ホルダー70より取
り外して、予め準備していた捕集ビン(図示略)に密封
状態に収納し、その後、所定の場所において、捕集ビン
より試験片3Bが取り出され、腐食状況の調査が行なわ
れる。
【0044】したがって、本実施形態の腐食試験装置に
よれば、以下のような効果が得られる。Na化合物溶液
2が所定の試験温度に到達するまでは、試験片3BをN
a化合物溶液2内には浸さず、Na化合物溶液2が所定
の試験温度に到達してから、試験片3BをNa化合物溶
液2に浸漬させることができる。したがって、Na化合
物溶液2が所定の試験温度に到達するまでの時間に、試
験片3BがNa化合物溶液2から影響を受ける(温度履
歴が加わる)ことがないので、所定の温度における正確
な腐食試験が行なえるという利点がある。
【0045】また、試験ポット10内にArガスが供給
されるので、試験中、試験ポット10内は大気から遮断
される。したがって、試験ポット10内のNa化合物溶
液2及びNa化合物溶液2から脱した状態の試験片3B
が大気と反応を起こすこともないので正確な腐食試験が
行なえるという利点がある。また、Na化合物溶液2に
浸漬した試験片3Bを回転駆動することが可能なので、
試験片3Bに対してNa化合物溶液2が流動するのと相
対的に同一な条件で腐食試験を行なえるという利点もあ
る。
【0046】そして、試験中は、Na化合物溶液2の反
応により発生するH2ガスは通気管120を介して常に
排出される。このため、試験ポット10内にH2ガスが
蓄積されない状態(開放状態)で試験が行なえるという
利点がある。さらに、H2ガスが蓄積されないので、試
験終了後の装置の取扱いに特に注意を要さないという利
点もある。
【0047】また、試験片3Bはリング型であるため、
前述した図9に示す従来の角型の試験片3Dに比べ、角
部がない分、試験ポット10内から取り出す際、Na化
合物溶液(付着物)2が残留しにくくなり、この付着物
を取り除く作業が要らなくなる等して、試験片3Bの取
扱いが容易になるという利点もある。勿論、リング状の
試験片3Bの代わりに、角状の試験片3Dを使用しても
良い。この場合、試験片3Dに付着物が残留しやすくな
って試験後の試験片3Dの取扱いに手間が掛かるが、試
験片の製作が容易になる。
【0048】次に、第2実施形態について説明する。図
5は本発明の第2実施形態としてのFBR用構造材料の
腐食試験装置の構成を示す側面視に応じた縦断面図であ
る。なお、図5において第1実施形態と同様の構成部に
ついては、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。本
試験装置は、装置を大気から遮断するとともに、不活性
ガスであるArガス雰囲気中で、操作,据付のできるグ
ローブボックスタイプのものである。具体的には、図5
に示すように、グローブボックス150と、電気炉(容
器)40Bと、Na化合物溶液(試験液体)2を封入さ
れて電気炉40Bの上面の凹部に差し込まれる試験ポッ
ト10と、試験片3Bを支持する支持機構200とをそ
なえて構成され、電気炉40B及び試験ポット10はグ
ローブボックス150内に設置され、支持機構200は
グローブボックス150を貫通するように設けられてい
る。そして、グローブボックス150には、送気管15
8が接続されて、この送気管158よりグローブボック
ス150に外部の図示しない供給装置から不活性ガスで
あるArガスが充填されるようになっている。
【0049】また、グローブボックス150の上面に
は、貫通孔155,156と、貫通孔155を囲むよう
に環状部材151が設けられている。貫通孔155は、
支持機構200の構成要素である案内管60と排気管
(排出構造)125とを差し込むためのもので、貫通孔
156は、熱電対50を差し込むためのものである。ま
た、環状部材151には、シールフランジ80がネジ止
めされており、このシールフランジ80は、貫通孔15
5をシールしつつ、案内管60,排気管125を支持し
ている。
【0050】また、グローブボックス150には、2つ
ののぞき窓153A,153Bが取外し可能にネジ止め
されている。のぞき窓153Aはグローブボックス15
0の上面に設置され、のぞき窓153Bはグローブボッ
クス150の側面から突設された円筒部154の先端に
設置されている。試験ポット10をグローブボックス1
50内の電気炉40Bに設置するときには、これらのの
ぞき窓153A,153Bを取外し、これによりできる
開口部から試験ポット10をグローブボックス150内
に入れるようになっている。
【0051】さらに、グローブボックス150の上面に
は、支持機構200の構成要素である支持棒110を支
持するための支持部152がそなえられている。ここ
で、支持機構200について説明する。支持機構200
は、グローブボックス150上部の支持部152に立設
された支持棒110と、この支持棒110にかくはん機
支持部101を介して取り付けられたかくはん機(駆動
機構)100と、このかくはん機100に装着され試験
片3Bを取り付けられた試験片ホルダー70と、この試
験片ホルダー70を試験ポット10内へ案内する案内管
60と、試験片ホルダー70と案内管60との間に介装
された軸シール90とから構成される。
【0052】ここで、案内管60は、シールフランジ8
0に支持されながらグローブボックス150に挿設さ
れ、その上端を軸シール90に接続され、その下端を試
験ポット10に連通状態に接続されている。案内管60
の下端にはフランジ形状の蓋部61が設けられ、この蓋
部61が、試験ポット10の上端の接続部15にネジ止
めされている。また、蓋部61には、熱電対50と排気
管125とが貫通して取付けられている。
【0053】そして、排気管125は、上述のようにシ
ールフランジ80と案内管60の蓋部61に支持されな
がら、一端は試験ポット10内に差し込まれ、他端は試
験装置外部へと接続されている(図示略)。これによ
り、排気管125は、軸シール90の通気管(供給構
造,排出構造)120とともに、試験中にNa化合物溶
液2が反応して発生するH2ガスを試験装置外部へ排出
できるようになっている。なお、排気管125は、折り
曲げ可能な伸縮部126を有している。これにより、例
えば、排気管125が接続されている蓋部61を、試験
ポット10の接続部15に取り付けるときに、排気管1
25に規制されることなく蓋部61を動かすことができ
る。したがって、このような取付け作業が容易に行なえ
るようになっている。
【0054】そして、軸シール90は、その上部で試験
片ホルダー70を挟持し、その下部は案内管60に気密
に結合されている。また、軸シール90には上記の通気
管120が気密に結合されており、試験ポット10と連
通する案内管60を介して、この通気管120により、
試験ポット10へのArガス(不活性ガス)の供給や、
試験ポット10内のNa化合物溶液2の反応により生成
されたH2ガスの排出を行なえるようになっている。こ
のため、本実施形態にも、第1実施形態と同様のガス配
管系(図3参照)が設けられ、バルブの切替により、A
rガス供給状態やH2ガス排出状態を設定できるように
なっている。また、軸シール90は、これらのArガス
とH2ガスが系外に流出しないようにシールしつつ、試
験片ホルダー70を回転可能かつ軸方向に移動可能に挟
持できる構造となっている。
【0055】そして、試験片ホルダー70は、案内管6
0に案内されて、グローブボックス150及び試験ポッ
ト10に差し込まれ、その下端には、リング型の試験片
3Bが段状(ここでは3段)に装着され、その上端は、
かくはん機100に挟持されている。かくはん機100
は、かくはん機支持部101を介して支持棒110に上
下移動可能に支持されるとともに、図示しないモータを
そなえて、このモータにより試験片ホルダー70を回転
駆動可能に挟持している。
【0056】これにより、試験片3Bは、試験片ホルダ
ー70を介して、鉛直方向に移動可能であるとともに、
試験片ホルダー70の軸心線中心に回転駆動されるよう
になっている。したがって、Na化合物溶液2が所定の
試験温度になってから試験片3BをNa化合物溶液2に
浸漬することができ、さらに、Na化合物溶液2に浸漬
された試験片3Bを回転させることにより、相対的にN
a化合物溶液2の流動状態を作ることができるようにな
っているのである。
【0057】なお、シールフランジ80上には、軸シー
ル90を支持する支持台160が立設されており、この
支持台160により、回転駆動されている最中に試験片
ホルダー70が振れないようになっている。これによ
り、安定して試験片ホルダー70を駆動することができ
るようになっている。さらに、試験片ホルダー70に偏
った力が加わらないようになり、試験片ホルダー70と
軸シール90との接触圧力が全周に渡って所定圧力以上
に維持され、軸シール90のシール機能を安定したもの
にしているのである。
【0058】また、試験ポット10の上部は放熱し易い
構造であるため、試験ポット10内の温度分布が均一に
保たれるように、この部分に断熱材45を設置してもよ
い。なお、この断熱材45は、当然ながら案内管60,
試験片ホルダー70等の試験装置の構成機器とは干渉し
ない形状にすることが必要である。本発明の第2実施形
態としての腐食試験装置は、上述のように構成されてい
るので、以下のように腐食試験が行なわれる。
【0059】まず、試験装置の外部に別置きされた図示
しない気密型のグローブボックスにおいて、秤量された
Na化合物溶液2を試験ポット10内に充填し、蓋をす
るなどして密封する。次に、のぞき窓153A,153
Bを取り外し、そこから、試験ポット10をグローブボ
ックス150内に挿入して電気炉40Bに設置し、それ
から、取り外したのぞき窓153A,153Bをグロー
ブボックス150に取り付け直す。そして、グローブボ
ックス150に接続された送気管158よりArガスを
供給して、グローブボックス150内をAr雰囲気にし
た(Ar置換した)後、試験ポット10を開封し、案内
管60を接続する。このとき、案内管60に挿入されて
いる試験片ホルダー70は上方に引き上げられており、
試験片3BはNa化合物溶液2より脱した状態になって
いるそして、電気炉40BによってNa化合物溶液2を
所定の試験温度まで昇温する。この時点で、試験ポット
10には、通気管120を介してArガスが充填され、
Na化合物溶液2及び試験片3Bが大気とは遮断された
状態になっている。
【0060】次に、Na化合物溶液2が所定の試験温度
に到達後、試験片3BをNa化合物溶液2に浸漬させ、
かくはん機100により試験片3Bを回転駆動し、所定
の温度,流動条件下での腐食試験が開始される。なお、
昇温されることによりNa化合物溶液2は反応を促進さ
れ、試験中にH2ガスが発生するが、このH2ガスは通気
管120及び排気管125から外部に排出される。
【0061】そして、所定時間経過後、試験片ホルダー
70を引き上げ、Na化合物溶液2から試験片3Bを脱
した状態にして、試験が終了する。試験終了後、試験ポ
ット10より案内管60の蓋部61が取り外されて、試
験ポット10は開放状態にされる。そして、Ar雰囲気
のグローブボックス150内にて、試験片3Bを、試験
片ホルダー70より取り外して、予め準備していた捕集
ビン(図示略)に密封状態に収納する。その後、捕集ビ
ンは、グローブボックス150より取り出されて、所定
の場所に運ばれる。試験片3Bは、その場所で、捕集ビ
ンから取り出され、腐食状況の調査が行なわれる。
【0062】したがって、本実施形態の腐食試験装置に
よれば、第1実施形態の腐食試験装置の効果に加え、A
r雰囲気のグローブボックス150内において、試験装
置の据付や試験装置からの試験片3Bの取り外し等の作
業を行なうことができるため、以下の効果が得られる。
つまり、試験開始から試験終了を通して、Na化合物溶
液2及び試験片3Bは共に大気にさらされることがな
い。このため、Na化合物溶液2が大気中のH2OやO2
やCO2等と反応して別の化合物に変化したり、混合組
成比が変化してしまうことがない。さらに、試験後に試
験ポット10から試験片3Bを取り出すときに、試験片
3Bの表面生成物が酸化されない。したがって、こうし
たNa化合物溶液2の大気との反応や、試験片3Bの表
面生成物の酸化による影響を排除して、正確な腐食試験
を行なえるという利点がある。
【0063】また、Ar雰囲気下で腐食試験装置をセッ
トできるので、万が一このセット中に発火してもこのA
r雰囲気下で直ぐに消火されるという利点がある。な
お、上述の実施形態では、リング状の試験片3Bを使用
しているが、第1実施形態と同様に、図9に示す従来の
角状の試験片3Dを使用しても良い。次に、第3実施形
態について説明する。図6及び図7は本発明の第3実施
形態としてのFBR用構造材料の腐食試験装置について
示すもので、図6はその要部の構成を示す側面視に応じ
た模式的な縦断面図であり、図7はその試験片の形状を
示す模式的な斜視図である。
【0064】本実施形態としての腐食試験装置の構成
は、第2実施形態の装置に対して、試験ポット10の内
部構成と試験片3Cの形状とが異なるだけである。この
ため、第2実施形態と共通の構成部については同じ符号
を付して説明を省略し、要部についてのみ説明する。試
験ポット10には、図6に示すように、内管(内挿容
器)19が取換え可能に挿入されている。したがって、
試験片3Cの材質が例えばAl2 3 であれば、同じA
2 3製の内管19を選択的に用いることができるよ
うになっている。なお、内管19の高さは、Na化合物
溶液2の液面よりも十分に高いものとされ、試験片3C
を、Na化合物溶液2に浸漬させるときや、Na化合物
溶液2から取り出すときや、Na化合物溶液2中で回転
駆動するときなどに、Na化合物溶液2の液面が変動し
たり、Na化合物溶液2の一部が跳ね上がったりして
も、Na化合物溶液2が内管19を越えて試験ポット1
0に接触しないようになっている。
【0065】また、試験片3Cは、図6及び図7に示す
ように、棒状のもので、その両端面は外方(試験片3C
の軸心線方向で互いに離隔する方向)に向かう凸状曲面
(ここでは半球状)に形成されている。棒状にすること
により、試験片3Cを試験ポット10内に設置した際
に、試験片3Cの上部がNa化合物溶液2の液面(Na
化合物溶液界面)外に露出した状態になるようにセット
される。さらに、両端を半球状にすることにより、試験
終了後にNa化合物溶液2より試験片3Cを引き上げた
際に、試験片3C上に残留した付着物が、特に試験片3
Cの上部から、半球状の周面に沿って流れ落ち易いよう
になっている。
【0066】なお、試験片3Cと試験片ホルダー70と
の接続は、例えば、試験片ホルダー70の先端にネジを
切って、これを試験片3Cにねじ込むなどして行なわれ
るようになっている。本発明の第3実施形態としての腐
食試験装置は、上述のように構成されているので、第2
実施形態と同一の手順により腐食試験が行なわれる(説
明は省略する)。
【0067】したがって、本実施形態の腐食試験装置に
よれば、第2実施形態の腐食試験装置の効果に加え、以
下の効果が得られる。Na化合物溶液2と試験ポット1
0とが反応を起こすことも考えられるが、試験ポット1
0と試験片3Cとが異材質である場合には、この異材質
の反応が、Na化合物溶液2と試験片3Cとの腐食反応
に影響を及ぼすこともある。内管19は、取換え可能に
試験ポット10に挿入されており、試験片3Cと同材質
の内管19を選択して使用することにより、このような
異材質による腐食への影響を排除して信頼性の高い腐食
試験を行なえるとともに、試験片3Cの材質を自由に選
択することができるという利点がある。また、試験ポッ
ト10は、内管19を取り替えるだけで、繰り返し試験
に流用できるという利点もある。
【0068】さらに、試験片3Cは、棒状であるため、
試験片3Cの上部はNa化合物溶液2から外部に露出し
た状態となって、Na化合物溶液2の境界面での試験片
3Cの腐食評価を行なうことができるという利点もあ
る。また、試験片3Cの両端は、図6及び図7に示すよ
うに凸状曲面になっているため、試験終了後にNa化合
物溶液2より試験片3Cを引き上げる際に、試験片3C
上に残留する付着物が、試験片3Cから流れ落ち易い。
これにより、この付着物を取り除く作業が要らなくなる
等して、試験片3Cの取扱いが容易になるという利点も
ある。
【0069】なお、上述の実施形態では、試験片3Cの
両端部の形状は半球状に形成されているが、試験片3C
の端部の形状は、付着物が下方に流れ落ちやすい凸状曲
面であれば良く、例えばテーパ状や円錐状のものでも良
い。また、付着物は、試験片3Cの端部の内、装置への
取り付け姿勢において上方となる端部(上端部)に残留
しやすいので、上端部のみ凸状曲面に形成するようにし
ても良い。
【0070】なお、本発明の腐食試験装置は、上述の各
実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施
することができる。たとえば、各実施形態では、試験片
3B,3Cを回転駆動することによりNa化合物溶液2
の流動条件を相対的に作りだしているが、試験片3B,
3Cを静止状態にして試験ポット10内のNa化合物溶
液2を流動させるような構造としてもよい。
【0071】また、試験片3B,3Cを回転駆動させる
かわりに、試験片3B,3Cを上下方向に往復運動させ
て、Na化合物溶液2の流動条件を作りだしてもよい。
また、試験ポット10へのArガスの注入と、試験ポッ
ト10からのH2ガスの排出とを、通気管120により
行なっているが、Arガスの注入用の配管と、H2ガス
の排出用の配管とを別々に設けてもよい。
【0072】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の腐食試験装置によれば、試験液体が所定の試験温
度に到達するまでは、試験片を試験液体内には浸さず、
所定の試験温度に到達してから、試験片を試験液体に浸
した状態にすることができる。したがって、試験液体が
所定の試験温度に到達するまでの時間に、試験片が試験
液体からの影響を受ける(温度履歴が加わる)ことがな
いので、所定の温度における正確な腐食試験が行なえる
という利点がある。
【0073】そして、請求項2記載の本発明の腐食試験
装置によれば、試験ポット内に不活性ガスが供給される
ので、試験中、試験ポット内は大気から遮断された状態
となる。したがって、試験ポット内の試験液体及び試験
液体から脱した状態の試験片が大気と反応を起こすこと
もないので正確な腐食試験が行なえるという利点があ
る。
【0074】また、請求項3及び請求項7記載の本発明
の腐食試験装置によれば、試験液体が試験片に対して相
対的に流動する状態での腐食試験を行なえるという利点
がある。そして、請求項4記載の本発明の腐食試験装置
によれば、試験片と試験液体との反応により発生するガ
スを試験中に試験ポット外部へ排出できる。このため、
かかるガスが試験ポットに蓄積されない状態(開放状
態)で試験が行なえるという利点がある。さらに、かか
るガスに注意する必要がないので、その後の腐食試験装
置の取扱いが容易に行なえるという利点もある。
【0075】さらに、請求項5及び請求項8記載の本発
明の腐食試験装置によれば、不活性ガスが封入された密
封状態のグローブボックスにおいて、腐食試験装置の据
付や、腐食試験装置からの試験片の取外し等の作業を行
なうことができるため、試験開始から試験終了を通し
て、試験液体と試験片とは大気にさらされることがな
い。したがって、試験液体は大気と触れて反応を起こす
ことがなく、また、試験片を試験ポットから取り出すと
きに試験片の表面生成物が酸化されないので、正確な腐
食試験を行なえるという利点がある。
【0076】そして、請求項6及び請求項9記載の本発
明の腐食試験装置によれば、試験片が棒状であるため、
試験片の上部は試験液体の界面(液面)から突出した状
態となって、試験液体の界面での試験片の腐食評価を行
なうことができるという利点がある。また、試験片の端
面が凸状曲面に形成されているため、試験終了後に試験
片を試験液体から引き上げる際に、試験片に残留する付
着物が流れ落ち易い。このため、試験後の試験片の取扱
いを容易に行なえるという利点もある。
【0077】さらに、試験ポットの内面に、試験片と同
材質の内挿容器が配設されているので、これにより、試
験片の腐食は、試験液体と異材質との反応による影響を
受けることがない。したがって、正確な腐食試験を行な
えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての腐食試験装置の
構成を示す側面視に応じた模式的な縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての腐食試験装置の
軸シールの上部部材の構成を示す側面視に応じた模式的
な縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態としての腐食試験装置の
模式的なガス配管系統図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての腐食試験装置の
試験片ホルダー要部の構成を示す側面視に応じた模式的
な縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態としての腐食試験装置の
構成を示す側面視に応じた模式的な縦断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態としての腐食試験装置の
要部の構成を示す側面視に応じた模式的な縦断面図であ
る。
【図7】本発明の第3実施形態としての腐食試験装置の
試験片の形状を示す模式的な斜視図である。
【図8】従来のFBR用構造材料の高温腐食試験装置の
構成を示す側面視に応じた模式的な縦断面図である。
【図9】従来のFBR用構造材料の高温腐食試験装置に
使用される角状の試験片の形状を示す模式的な斜視図で
ある。
【符号の説明】
2 Na化合物(試験液体) 3A,3B,3C,3D 試験片 10 試験ポット 15 接続部 19 内管(内挿容器) 40A,40B 電気炉(容器) 41,151 環状部材 42,152 支持部 43,44,155,156 貫通孔 50 熱電対 50A 導線 60 案内管 61 蓋部 70 試験片ホルダー 71,72 ホルダー軸 72A 軸穴 73 ホルダー 73A ホルダー下端部 74 ナット 75,76 スペーサ 80 シールフランジ 81 上部フランジ 82 下部フランジ 90 軸シール 91 上部部材 92 下部部材 93 ブッシュ 94 袋ナット 95 押さえボルト 96 シールリング 97 シールキャップ 98 本体部 99 Oリング 100 かくはん機(駆動機構) 101 かくはん機支持部 110 支持棒 111 ストッパー 120 通気管(供給構造,排出構造) 125 排気管(排出構造) 126 伸縮部 130 レギュレータ 140 Arボンベ 150 グローブボックス 153A,153B のぞき窓 154 円筒部 200 支持機構 P1 ,P2 ,P3 ガス配管 V1 ,V2 バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今津 孝幸 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 澤 直樹 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 Fターム(参考) 2G050 AA01 BA01 BA10 CA04 DA01 EA01 EC01 EC06 EC07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部の雰囲気温度を制御可能な容器と、
    該容器の内部に設置され試験液体を封入された試験ポッ
    トとをそなえ、該試験ポット内の該試験液体に試験片を
    浸漬して腐食試験を行なう、腐食試験装置において、 該試験片を、該試験液体内に没した状態と該試験液体内
    から脱した状態との間で移動可能に支持する支持機構が
    設けられていることを特徴とする腐食試験装置。
  2. 【請求項2】 該試験ポット内に不活性ガスを供給する
    供給構造が設けられていることを特徴とする、請求項1
    記載の腐食試験装置。
  3. 【請求項3】 該試験ポット内の該試験片と、該試験片
    の浸漬される該試験液体とを相対運動させる駆動機構が
    設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の
    腐食試験装置。
  4. 【請求項4】 腐食試験中に、該試験片と該試験液体と
    の反応により発生するガスを、該試験ポット外部へ排出
    する排出構造が設けられていることを特徴とする、請求
    項1〜3のいずれかの項に記載の腐食試験装置。
  5. 【請求項5】 該容器を包囲する密封状態のグローブボ
    ックスがそなえられ、該グローブボックス内に不活性ガ
    スが封入されていることを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれかの項に記載の腐食試験装置。
  6. 【請求項6】 該試験片が、棒状で且つ端面が凸状曲面
    に形成されるとともに、 該試験ポットの内面に、該試験片と同材質の内挿容器が
    配設されていることを特徴とする、請求項1〜5のいず
    れかの項に記載の腐食試験装置。
  7. 【請求項7】 内部の雰囲気温度を制御可能な容器と、
    該容器の内部に設置され試験液体を封入された試験ポッ
    トとをそなえ、該試験ポット内の該試験液体に試験片を
    浸漬して腐食試験を行なう、腐食試験装置において、 該試験ポット内の該試験片と、該試験片の浸漬される該
    試験液体とを相対運動させる駆動機構が設けられている
    ことを特徴とする、腐食試験装置。
  8. 【請求項8】 内部の雰囲気温度を制御可能な容器と、
    該容器の内部に設置され試験液体を封入された試験ポッ
    トとをそなえ、該試験ポット内の該試験液体に試験片を
    浸漬して腐食試験を行なう、腐食試験装置において、 該容器を包囲する密封状態のグローブボックスがそなえ
    られ、該グローブボックス内に不活性ガスが封入されて
    いることを特徴とする、腐食試験装置。
  9. 【請求項9】 内部の雰囲気温度を制御可能な容器と、
    該容器の内部に設置され試験液体を封入された試験ポッ
    トとをそなえ、該試験ポット内の該試験液体に試験片を
    浸漬して腐食試験を行なう、腐食試験装置において、 該試験片が、棒状で且つ端面が凸状曲面に形成されると
    ともに、 該試験ポットの内面に、該試験片と同材質の内挿容器が
    配設されていることを特徴とする、腐食試験装置。
JP32321599A 1999-11-12 1999-11-12 腐食試験装置 Withdrawn JP2001141642A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32321599A JP2001141642A (ja) 1999-11-12 1999-11-12 腐食試験装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32321599A JP2001141642A (ja) 1999-11-12 1999-11-12 腐食試験装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001141642A true JP2001141642A (ja) 2001-05-25

Family

ID=18152329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32321599A Withdrawn JP2001141642A (ja) 1999-11-12 1999-11-12 腐食試験装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001141642A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010133722A1 (es) * 2009-05-18 2010-11-25 Universidad De Cádiz Máquina automatizada para la realización de ensayos a inmersión alternada
KR101412494B1 (ko) 2012-11-22 2014-06-27 삼성중공업 주식회사 경시 균열 시험장치
CN108709849A (zh) * 2018-04-28 2018-10-26 中海油信息科技有限公司北京分公司 一种用于深海定深取样与腐蚀模拟实验的实验装置及方法
KR20200093176A (ko) * 2019-01-28 2020-08-05 한국원자력연구원 장심도 시추공에 적합한 부식시험 장치
CN113777015A (zh) * 2021-08-17 2021-12-10 芜湖东旭光电科技有限公司 玻璃化学耐久性检测装置及使用方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010133722A1 (es) * 2009-05-18 2010-11-25 Universidad De Cádiz Máquina automatizada para la realización de ensayos a inmersión alternada
ES2375898A1 (es) * 2009-05-18 2012-03-07 Universidad De Cádiz Máquina automatizada para la realización de ensayos a inmersión alternada.
KR101412494B1 (ko) 2012-11-22 2014-06-27 삼성중공업 주식회사 경시 균열 시험장치
CN108709849A (zh) * 2018-04-28 2018-10-26 中海油信息科技有限公司北京分公司 一种用于深海定深取样与腐蚀模拟实验的实验装置及方法
KR20200093176A (ko) * 2019-01-28 2020-08-05 한국원자력연구원 장심도 시추공에 적합한 부식시험 장치
KR102145267B1 (ko) * 2019-01-28 2020-08-18 한국원자력연구원 장심도 시추공에 적합한 부식시험 장치
CN113777015A (zh) * 2021-08-17 2021-12-10 芜湖东旭光电科技有限公司 玻璃化学耐久性检测装置及使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10527530B2 (en) Pressure stepped microwave assisted digestion
US7908903B2 (en) Oscillatory measurement device with visual recorder
JP2009019922A (ja) 化学分析装置
JP2001141642A (ja) 腐食試験装置
CN105588854A (zh) 快速温度扫描筛选量热仪
WO2008111895A1 (en) Apparatus for generating gas and/or smoke
US4666494A (en) Method of preparing a suction mold for receiving vitrified radioactive waste materials and apparatus therefor
WO2015111650A1 (ja) 真密度測定装置
JP3693573B2 (ja) 容器充填物のためのハウジング
CN210571847U (zh) 一种全自动静沉装置
US11821855B2 (en) Sample holder for single-crystal X-ray structure analysis apparatus, sample holder unit, and soaking method therefor
RU2397471C1 (ru) Способ проведения химического анализа расплава и устройство для его осуществления
CN116046537A (zh) 一种应力腐蚀微区原位测试装置及方法
CN114705590A (zh) 一种高温接触角及表面张力测试装置、测试系统及测试方法
JP3595605B2 (ja) 液体金属中補修方法及び補修装置
JP2007108149A (ja) 試料搬送・分析キット
CN217605768U (zh) 气质联用快速温控装置
CN216661054U (zh) 一种新型荧光定量pcr试剂盒
JP2018085341A (ja) 電子線装置および電子線装置用ガス供給装置
CN107442013B (zh) 一种坩埚混均设备及混均方法
CN220399219U (zh) 铅铋材料腐蚀测试装置
JPH0612944U (ja) 腐食試験装置
Russell et al. A simple method for rheological measurements of air sensitive samples
JP2002373813A (ja) 電力用機器の予測保全装置
CN215894332U (zh) 一种用于o形圈的耐液体试验装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070206