JP2001139966A - ガスハイドレートの生成制御剤およびガスハイドレートの生成制御方法 - Google Patents

ガスハイドレートの生成制御剤およびガスハイドレートの生成制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスハイドレートの生成を阻害する働きと、
ガスハイドレートを安定化させる働きを併せ持つガスハ
イドレートの生成制御剤、およびガスハイドレートの生
成制御方法を提供する。 【解決手段】 特定のモノマー群の中から選ばれる少な
くとも2種のモノマーを共重合して得られる高分子化合
物を含んでなるガスハイドレートの生成制御剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタンハイドレー
ト等のガスハイドレートの生成制御剤およびガスハイド
レートの生成制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタン、エタン等の炭化水素や炭酸ガス
等の種々の気体分子が溶解した水性媒体を特定の温度と
圧力下におくことによって、溶解している気体分子を水
分子が取り囲んだ氷の結晶、すなわちガスハイドレート
が生成することが知られている。このガスハイドレート
は、しばしば原油や天然ガスの採掘、輸送中に生成し、
パイプラインの閉塞等を引き起こすため、安全かつ連続
的に操業する上で大きな障害となっている。
【0003】一方、ガスハイドレートは高圧低温条件下
で天然に存在していることが知られている。例えば、シ
ベリアやアラスカ等の寒冷地の永久凍土下、あるいは、
数百メートルより深い海底に広範囲にわたって膨大なメ
タンのガスハイドレート(以下、メタンハイドレートと
いう。)が埋蔵していることが調査によって確認されて
いる。近年、環境汚染原因である二酸化炭素や窒素・イ
オウ酸化物の排出量が少ないエネルギー源として、メタ
ンハイドレートが注目され、天然のメタンハイドレート
を安定な状態で安全に取り出しす方法が望まれている。
【0004】以上のような、取り出したガスハイドレー
トを運搬・貯蔵する場合や、ガスハイドレートを海底や
地底等から取り出す場合の問題を解決するためには、次
のような一見相反する性能を両立させることがガスハイ
ドレートの生成制御剤に要求される。 (1)ガスハイドレートの生成を阻害する、あるいは生
成速度を遅くする。 (2)ガスハイドレートの生成を促進する、あるいは生
成したガスハイドレートの分解速度を遅くする。
【0005】例えば、国際特許公開WO96/0867
2号公報には、N−アクリロイルモルホリンのホモポリ
マーがガスハイドレートの生成阻害効果を有していると
記載されているが、ガスハイドレートの生成阻害性能は
満足できるものではない。
【0006】イギリス公開特許GB2301837号公
報には、N−ビニル−N−メチルアセトアミドとN−ア
クリロイルモルホリンの共重合体が例として記載されて
いるが、これもガスハイドレートの生成阻害性能は充分
ではない。
【0007】国際特許公開WO97/07320号公
報、イギリス公開特許GB2301837号公報、国際
特許公開WO96/41784号公報には、N−ビニル
−N−メチルアセトアミドとN−ビニルカプロラクタム
の共重合体を用いたガスハイドレート生成阻害剤につい
て記載されている。
【0008】また、国際特許公開WO98/53007
号公報にはガスハイドレートの生成・成長、および/も
しくはガスハイドレート生成初期の不安定な核構造の集
合を阻害する働きを有する各種の添加剤および生成した
ガスハイドレートの安定化剤について述べられている。
具体的には、アクリロイルピロリジンのホモポリマー、
アクリロイルピペリジンのホモポリマー、イソプロピル
アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホネートの共重合体等が記載されている。しか
しながら、これらのポリマーの効果は必ずしも満足でき
るものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、ガスハイドレートの生成を阻害する働きと、ガス
ハイドレートを安定化させる働きを併せ持つガスハイド
レートの生成制御剤、およびガスハイドレートの生成制
御方法を提供することにある。なお、ここで言うガスハ
イドレートの安定化とは、上記のように平衡論的にガス
ハイドレートを安定化させることと、速度論的にガスハ
イドレートの分解速度を減少させる、即ちガスハイドレ
ートの分解を遅延させるという双方の意味を含む。
【0010】
【課題を解決するための手段】式(1)、(2)および
(3)で表わされるモノマー群の中から選ばれる少なく
とも2種のモノマーを共重合して得られる高分子化合物
を含んでなるガスハイドレートの生成制御剤である。
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7はそ
れぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1〜3の炭化水素
基、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数を表す。)
【0014】また本発明は、上記のガスハイドレートの
生成制御剤を、ガスハイドレートが生成可能な系に添加
することを特徴とするガスハイドレートの生成制御方法
である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のガスハイドレートの生成
制御に含まれる高分子化合物は、前記式(1)、(2)
および(3)で表わされるモノマー群の中から選ばれる
少なくとも2種のモノマーを共重合して得られる。これ
らの式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7
それぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1〜3の炭化水
素基を表す。炭素数1〜3の炭化水素基とは、具体的に
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、シクロプロピル基を指す。また、式中のnは1〜3
の整数であり、mは1〜3の整数である。
【0016】式(1)のモノマーとしては、例えば、N
−(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)ア
クリルアミド等が挙げられる。中でも、N,N−ジエチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)
アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルア
ミドが好ましい。
【0017】式(2)のモノマーとしては、例えば、モ
ノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチ
ルエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。中でも、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート
が好ましい。
【0018】式(3)のモノマーとしては、例えば、ヒ
ドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】本発明のガスハイドレートの生成制御剤に
含まれる高分子化合物は、式(1)、(2)および
(3)で表わされるモノマー群の中から選ばれる少なく
とも2種のモノマーを共重合して得られるものである。
モノマーの選び方は、例えば、異なる式の中からそれぞ
れ異なるモノマーを選んでも、一つの式の中から可変基
の異なる複数のモノマーを選んでもよい。具体的には、
式(1)の中から選ばれた1種のモノマーと式(2)の
中から選ばれた1種モノマーの組み合わせ、式(1)の
中から可変基の異なる2種のモノマーの組み合わせ等が
例示できる。このようにして選ばれたモノマーを共重合
する際には、式(1)、(2)および(3)以外の共重
合可能なモノマーを加えて共重合してもよい。
【0020】共重合の方法は特に限定されず公知の方法
を用いることができる。このような共重合の方法として
は、例えば、式(1)、(2)および(3)で表わされ
るモノマー群の中から選ばれる少なくとも2種のモノマ
ーと、任意にこれと共重合可能なモノマーと、重合開始
剤を溶解する任意の溶媒に溶解した液を、加熱した溶媒
に滴下する方法等が挙げられる。重合開始剤の種類とし
ては、アゾ系、過酸化物系、レドックス系等が用いられ
る。
【0021】本発明のガスハイドレートの生成制御剤
は、このようにして共重合することによって得られる高
分子化合物そのもの、またはこの高分子化合物を有効成
分として含んでなるものである。この高分子化合物の分
子量は、1,000〜500,000の範囲が好まし
く、さらには、3,000〜100,000の範囲が好
ましい。分子量は大きほどガスハイドレートの安定化効
果および生成抑制効果が向上し、小さいほど系の粘度が
低くなるので取り扱いが容易になる。
【0022】本発明のガスハイドレートの生成制御方法
は、前述した本発明のガスハイドレートの生成制御剤
を、ガスハイドレートが生成可能な系に添加するもので
ある。ここでガスハイドレートが生成可能な系とは、例
えば、J. Long, A. Lederhos,A. Sum, R. Christianse
n, E. D. Sloan; Prep. 73rd Ann. GPA Conv., 1994,1
〜9ページに記載されているような、ガスハイドレート
を形成する物質が水性溶媒に溶解した系等を指す。この
ような系は、特定の圧力・温度条件下で、ガスハイドレ
ートが結晶物として析出する。
【0023】ガスハイドレートを形成する物質として
は、二酸化炭素、窒素、酸素、硫化水素、アルゴン、キ
セノン、エタン、プロパン等の気体やテトラヒドロフラ
ン等の液体が挙げられる。
【0024】またガスハイドレートが生成可能な系とし
ては、例えば、天然ガス井や油井において、水や海水等
の水性溶媒にエタンやプロパン等の気体が溶解した水相
が、液化ガスや原油等の油相中に懸濁・分散した状態で
存在する系や、該水相中に天然ガス等の気相が存在する
系等が挙げられる。
【0025】ガスハイドレートが生成可能な系に本発明
のガスハイドレート生成制御剤を添加する方法は特に限
定されないが、水および/または水と混和性の溶媒に溶
解した後に添加することが好ましい。水と混和性の溶媒
とは、水と任意の割合で混合する溶媒をいい、例えば、
メタノール、エタノール、アセトンが挙げられる。
【0026】ガスハイドレートの生成制御剤を添加する
量は、ガスハイドレートが生成可能な系に含まれる自由
水100重量部に対して、0.01〜30重量部が好ま
しく、0.01〜10重量部であることがより好まし
い。ガスハイドレートの生成制御剤を添加する量は、多
いほどガスハイドレートの安定化効果が向上し、少ない
ほど系の粘度が低くなり流動性が向上する。ただし、極
端に添加する量が多くなるとガスハイドレートの安定化
効果が逆に低下する場合がある。
【0027】本発明のガスハイドレートの生成制御剤を
使用する際には、例えば、防錆剤、潤滑剤、分散剤、ス
ケール付着防止剤、腐食防止剤等の種々の添加剤を併用
してもよい。また、本発明のガスハイドレート生成制御
剤は単独で用いてもよいし、本発明による2種以上の生
成制御剤を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0028】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0029】<評価装置>ガスハイドレートの生成制御
剤のガスハイドレート生成阻害性能の指標となるガスハ
イドレートの生成温度、およびガスハイドレート安定化
性能の指標となるガスハイドレートの分解終了温度は、
図1に示した装置を使用して測定した。
【0030】この装置において、反応高圧セル1は内容
量100mlで、20MPaまでの常用耐圧設計となっ
ている。このセルには、ガス導入ライン1、液導入ライ
ン2、パージライン3、セル内温度計5、セル内圧力計
6および反応セル内攪拌機7が備えられている。セル全
体は恒温槽8の内部に収められており、セル内温度は恒
温槽8の温度により調節できる。反応高圧セル1には、
直径3cmの内部観測用窓(図示せず)を3カ所に設け
てあり、セル内部の様子が観察できるようになってい
る。
【0031】<生成阻害性能の評価方法>ガスハイドレ
ート生成阻害性能は、次のように評価した。すなわち、
液導入ライン2より評価対象であるガスハイドレートの
生成制御剤の0.5質量%水溶液を導入し、ガス導入ラ
イン1よりメタンガスを導入してセル内部の圧力を10
MPaとし、セル内温度をその圧力におけるメタンハイ
ドレートの生成平衡温度よりも明らかに高い温度である
20℃に設定した。その後セル内部を攪拌しつつ−4℃
/hrで徐々にセル内温度を降下させると、ある温度に
おいてセル内部にメタンハイドレートが生成する様子が
観察される。メタンハイドレートの生成によりセル内圧
力は低下し、同時にガスハイドレートの生成は発熱反応
であるため、セル内温度はわずかに上昇する。この圧力
が大きく低下し始める時のセル内温度、すなわちメタン
ハイドレートの生成温度が低いほどガスハイドレート生
成阻害性能が大きいと評価した。
【0032】<安定化性能の評価方法>ガスハイドレー
ト安定化性能は、次のように評価した。すなわち、前述
した性能の評価でメタンハイドレートの生成温度を測定
した後、そのメタンハイドレートの生成開始温度よりも
2℃恒温槽温度を下げ、セル内圧力とセル内温度が一定
となるまで放置する。その後、セル内温度を4℃/hr
で上昇させると徐々にセル内のメタンハイドレートが分
解を始め、最終的に完全に水とメタンガスに分離する。
この時のセル内温度、すなわちメタンハイドレートの分
解終了温度が高いほどガスハイドレート安定化性能が大
きい評価した。
【0033】<速度論的分解遅延性能の評価方法>速度
論的にガスハイドレートの分解速度を減少させる、即ち
ガスハイドレートの分解を遅延させる速度論的安定化性
能は次のように評価した。前述した性能の評価でメタン
ハイドレートの生成温度を測定した後、恒温槽温度を2
℃とし、セル内圧力とセル内温度が一定となるまで放置
する。その後、セル内のメタンガスを排出してセル内圧
力を2MPaとする。この条件でセルを密閉しセル内圧
力がほぼ一定となるまでの時間を測定した。この時間が
長いほどメタンハイドレートの分解における速度論的分
解遅延性能が大きいと評価した。
【0034】<実施例1>300mlセパラブルフラス
コに重合溶媒として20gのt−ブタノールを入れ、窒
素バブリングして溶存酸素を除去した。この後、80℃
までフラスコ内の温度を上げ、窒素流通下攪拌しなが
ら、N−イソプロピルメタクリルアミド(三菱レイヨン
社製)11.42g、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド(三菱レイヨン社製)15.29g、アゾ系重
合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)(V−59)(和光純薬工業社製)0.5g
を80gのt−ブタノールに溶解した液を作成し、窒素
バブリングで溶存酸素を除去した液を、2時間かけてフ
ラスコ内に滴下することにより重合を行った。滴下終了
後も4時間反応を継続させたのち放冷した。この重合液
をn−ヘキサン2L中に攪拌しつつ投入し、沈殿物とし
て得られたポリマーを70℃で真空乾燥した。このポリ
マーを200gのアセトンに溶解した後、再度n−ヘキ
サン2L中に滴下し、沈殿物として得られたポリマーを
70℃で一晩真空乾燥して、14.5gの白色粉末状の
ポリマーを得た。
【0035】得られたポリマーの組成を1H-NMRを用
いて測定した結果、N−イソプロピルメタクリルアミド
とジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの組成比は
モル比で55:45であった。また、ジメチルホルムア
ミドを移動相としたGPCを用いた分子量測定の結果、
標準ポリスチレン換算で数平均分子量が6,000、質
量平均分子量が18,000であった。
【0036】このようにして得られたN−イソプロピル
メタクリルアミド/ジメチルアミノプロピルメタクリル
アミド共重合体(ガスハイドレートの生成制御剤)を評
価したところ、ガスハイドレートの生成温度は3.2
℃、ガスハイドレートの分解終了温度は17.0℃であ
った。また、速度論的分解遅延性能時間は305分であ
った。
【0037】<実施例2>300mlセパラブルフラス
コに重合溶媒として20gのt−ブタノールを入れ、窒
素バブリングして溶存酸素を除去した。この後、80℃
までフラスコ内の温度を上げ、窒素流通下攪拌しなが
ら、N−イソプロピルアクリルアミド(三菱レイヨン社
製)10.16g、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト(三菱レイヨン社製)11.69g、アゾ系重合開始
剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)(V−59)(和光純薬工業社製)0.5gを80
gのt−ブタノールに溶解した液を作成し、窒素バブリ
ングで溶存酸素を除去した液を、2時間かけてフラスコ
内に滴下することにより重合を行った。滴下終了後4時
間反応を継続させたのち放冷した。この重合液をn−ヘ
キサン2L中に攪拌しつつ投入し、沈殿物として得られ
たポリマーを70℃で真空乾燥した。このポリマーを2
00gのアセトンに溶解した後、再度n−ヘキサン2L
中に滴下し、沈殿物として得られたポリマーを70℃で
一晩真空乾燥して、11.5gの白色粉末状のポリマー
を得た。
【0038】得られたポリマーの組成を1H-NMRを用
いて測定した結果、N−イソプロピルアクリルアミドと
2−ヒドロキシエチルメタクリレートの組成比はモル比
で57:43であった。また、ジメチルホルムアミドを
移動相としたGPCを用いた分子量測定の結果、標準ポ
リスチレン換算で数平均分子量が12,000、質量平
均分子量が26,000であった。
【0039】このようにして得られたN−イソプロピル
アクリルアミド/2−ヒドロキシエチルメタクリレート
共重合体(ガスハイドレートの生成制御剤)を評価した
ところ、ガスハイドレートの生成温度は4.4℃、ガス
ハイドレートの分解終了温度は17.0℃であった。ま
た、速度論的分解遅延性能時間は280分であった。
【0040】<比較例1>ガスハイドレートの生成制御
剤の水溶液の代わりに、同量の蒸留水を用いた以外は実
施例1と同様にしてガスハイドレートの生成温度とガス
ハイドレートの分解終了温度を測定したところ、ガスハ
イドレートの生成温度は8.9℃、ガスハイドレートの
分解終了温度は11.9℃であった。また、速度論的分
解遅延性能時間は40分であった。
【0041】<比較例2>重合モノマーとしてN−イソ
プロピルアクリルアミドのみを用いて実施例1と同様に
重合を行い、N−イソプロピルアクリルアミドのホモポ
リマーを得た。このN−イソプロピルアクリルアミドの
ホモポリマーについて評価を行ったところ、ガスハイド
レート生成温度は4.4℃、ガスハイドレート分解終了
温度は14.2℃であった。また、速度論的分解遅延性
能時間は200分であった。
【0042】
【発明の効果】本発明のガスハイドレートの生成制御剤
は、ガスハイドレートが形成される条件下においては、
その生成を抑制する阻害効果を持ち、逆にガスハイドレ
ートが徐々に分解して行く条件下においては、その分解
を遅延させる安定化効果を持つものである。この2つの
効果を併せ持つ本発明のガスハイドレートの生成制御剤
を用いることにより、効果的にガスハイドレートの生成
を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガスハイドレートの生成制御剤の性能評価す
るための装置の概略構成図。
【符号の説明】 1 ガス導入ライン 2 液導入ライン 3 パージライン 4 反応用高圧セル 5 反応セル内温度計 6 反応セル内圧力計 7 反応セル内攪拌機 8 恒温槽

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)、(2)および(3)で表わさ
    れるモノマー群の中から選ばれる少なくとも2種のモノ
    マーを共重合して得られる高分子化合物を含んでなるガ
    スハイドレートの生成制御剤。 【化1】 【化2】 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7はそ
    れぞれ独立に水素原子もしくは炭素数1〜3の炭化水素
    基、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガスハイドレートの生成
    制御剤を、ガスハイドレートが生成可能な系に添加する
    ことを特徴とするガスハイドレートの生成制御方法。
  3. 【請求項3】 水および/または水と混和性の溶媒に請
    求項1記載のハイドレート生成制御剤を溶解したものを
    ガスハイドレートが生成可能な系に添加する請求項2記
    載のガスハイドレートの生成制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のハイドレート生成制御剤
    の添加量が、ガスハイドレートが生成可能な系に含まれ
    る自由水100重量部に対して、0.01〜30重量部
    であることを特徴とする請求項2または3記載のガスハ
    イドレートの生成制御方法。
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WO2002010318A1 (fr) * 2000-07-28 2002-02-07 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Inhibiteur de formation d'hydrates de gaz et procede d'inhibition de la formation d'hydrates de gaz au moyen dudit inhibiteur
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