JP2001138232A - ダイヤモンド膜の研磨砥石とその研磨方法 - Google Patents

ダイヤモンド膜の研磨砥石とその研磨方法

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JP2001138232A
JP2001138232A JP31901499A JP31901499A JP2001138232A JP 2001138232 A JP2001138232 A JP 2001138232A JP 31901499 A JP31901499 A JP 31901499A JP 31901499 A JP31901499 A JP 31901499A JP 2001138232 A JP2001138232 A JP 2001138232A
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polishing
diamond
abrasive grains
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diamond abrasive
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Yuichiro Seki
裕一郎 関
Keiji Ishibashi
恵二 石橋
Satoru Fujii
知 藤井
Shinichi Shikada
真一 鹿田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイヤモンドの膜の凹凸表面を、機械研磨法
を用いて、膜が基板から剥離しない程度に低い負荷で、
表面に欠陥を発生させることなく高品質に、高速に、基
板全面を均一に研磨するための砥石および研磨方法を提
供する。 【解決手段】 凹凸の多い無定型砥粒を使用し,砥粒の
突き出し量を砥粒の平均直径の1/5以下とし,ボンド
材としてビトリファイドボンドを用いた砥石を使用して
ダイヤモンドを研磨する。また,砥石とダイヤモンド表
面の間の摩擦係数を研磨の進行とともに連続的または段
階的に小さくしていく。摩擦係数は,砥粒の突き出し
量,研磨雰囲気の湿度または研磨剤散布の有無によって
変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に気相合成法に
よって得られるダイヤモンド膜の表面を平滑に研磨する
研磨砥石とその研磨方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】気相合成法(CVD法)によってダイヤ
モンド膜が得られることは良く知られている。ダイヤモ
ンドの気相合成法は主に炭化水素と水素の混合ガスを用
いる。この混合ガスを、高温に熱したフィラメントある
いは高周波(マイクロ波)プラズマで活性化し、ダイヤ
モンドを析出させる方法が広く研究、利用されている。
このような気相合成によるダイヤモンドの膜は多結晶で
あり、表面に0.1〜数μmの凹凸を有するため平滑性
に欠け、この状態では応用範囲が限定される。
【0003】例えばダイヤモンド膜を素子の基板として
使用する場合、作製される素子の配線幅がμm〜サブμ
mの細さとなるため、基板の表面は欠陥のない平滑なも
のであることが望まれる。また、凹凸が大きいままの状
態では本来透明であるダイヤモンドの表面が白く曇って
おり、光学的特性も十分に発揮することができない。こ
の表面を平滑化させることができればダイヤモンドを配
線基板やヒートシンク、半導体素子を作製するためのウ
エハとして活用できる。
【0004】そこでこのようなダイヤモンド膜を研磨、
平滑化させることを考える必要がある。まず挙げられる
のは、ダイヤモンド同士、すなわちダイヤモンド砥粒の
砥石を用いた共擦り法である。この方法は単結晶ダイヤ
モンドや焼結体ダイヤモンドの加工においては一般的に
使用されてきた。これはほぼ同じ硬度のものを摺り合わ
せることによって加工を進めるため、ダイヤモンド表面
に極めて大きな負荷が加わる。気相法によって基板上に
堆積させたダイヤモンド膜の場合、このような高負荷研
磨では膜が基板から剥離してしまう。また、ダイヤモン
ドウエハの表面の所々に結晶の脱落や割れが生じやす
い。このためにウエハの表面に穴や隙間といった欠陥が
残ることとなり,完全な平滑面を得ることができなかっ
た。
【0005】そこでダイヤモンド膜に過大な負荷をかけ
ない研磨方法として、特開昭62−41800号公報に
はダイヤモンド膜の表面を非酸化性雰囲気で加熱して黒
鉛化し、その黒鉛を除去することにより研磨する方法が
提案されている。また特開平2−26900号公報に
は、ダイヤモンド膜の表面を金属平滑面と接触させなが
ら酸化性雰囲気中加熱し、ダイヤモンド膜の表面を炭酸
ガス化させて研磨する方法が提案されている。さらに、
特開平7−314299号公報には、ダイヤモンド膜の
表面に接触させる金属の温度を調整することにより、研
磨速度を制御する方法も提案されている。
【0006】しかしこれらの方法では、特定の雰囲気中
または高温で研磨を行う必要があるために、大面積の基
板を多数枚同時に研磨する場合には装置が大型になり高
価なものになる。また、ウエハを研磨する場合ホルダー
に接着剤で固定するが、高温での研磨においては接着強
度が不足するという問題がある。また、化学的作用を利
用する研磨方法の場合、ダイヤモンド膜の結晶性が不均
一であると化学反応の速度(エッチングレート)が場所
によって異なるために、基板全面を均一に平滑化するこ
とが難しかった。
【0007】又、メタルボンドを結合材とするダイヤモ
ンド砥粒から成る砥石の形態として、特開平5−160
70号公報には図5に示すようなツルーイング手段が提
案されている。図5(イ)は、結合材であるメタルボン
ド20に、不揃いに保持されているダイヤモンド砥粒1
0の切刃高さを揃える第1のツルーイング工程を示して
いる。図5(ロ)は、メタルボンド20を電気分解さ
せ、ダイヤモンド砥粒10を残してメタルボンド20の
表面を一様に除去する電解ドレッシングによつて、ダイ
ヤモンド砥粒10の切刃をSだけ突出させるドレッシン
グ工程である。図5(ハ)は、ダイヤモンド砥粒10の
切刃先端を平坦に研磨し、且つ、tの範囲に揃える第2
のツルーイング工程である。
【0008】この砥石の仕様を実施例から推測すると、
ダイヤモンド砥粒の平均直径は、3〜90μm、好まし
くは20μm以下であり、切刃の突出量Sは3μmであ
り、切刃平坦面の位置は0.5μm以内に揃っている。
そしてこの砥石は、磁気ヘツドの浮上面をラッピングと
同程度の面粗さに研削するのに好適であると説明されて
いる。しかし、メタルボンドのような剛性の高い結合材
によって形成された砥石は、ウエハ基板上の脆性材料で
あるダイヤモンド膜を精密な欠陥のない平坦面に研削す
るのは困難であり、特開平5−16070号公報には、
ツルーイングの詳細な方法は開示されているものの、ダ
イヤモンド膜を基盤から剥離しない程度に低い負荷で、
欠陥を発生させることなく高品質に、高速に、研磨する
方法は示されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決するためになされたもので,その目的は、基板上
に析出させた高硬度で脆性材料であるダイヤモンドの膜
の凹凸表面を、機械研磨法を用いて、膜が基板から剥離
しない程度に低い負荷で、表面に欠陥を発生させること
なく高品質に、高速に、基板全面を均一に研磨するため
の研磨砥石および研磨方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるダイヤモン
ド膜の研磨砥石は、ダイヤモンド砥粒をビトリファイド
ボンドで結合した砥石であって、ビトリファイドボンド
の表面からダイヤモンド砥粒の先端までの距離が砥粒の
平均直径の1/5以下であり、ダイヤモンド砥粒の先端
部に砥粒の平均直径の少なくとも1/4以上の長さを有
する平坦な領域が存在し、かつダイヤモンド砥粒の先端
の位置が各砥粒について0.5μmの範囲内で揃ってい
て、ダイヤモンド砥粒の個体体積の1/20以上の大き
さの凹状窪みが、前記個体体積の10%以上である無定
形の前記ダイヤモンド砥粒を用いる。
【0011】そしてビトリファイドボンドの充填材とし
て平均直径が15μm以下のSiC粉末を用い、ダイヤ
モンド砥粒は平均直径が25μmないし200μmの範
囲のものを用い、ダイヤモンド砥粒の集中度は50ない
し150であることが好ましい。
【0012】本発明によるダイヤモンド膜の研磨方法
は、ダイヤモンド膜の表面を前記の研磨砥石を用いて研
磨する方法であって、研磨初期には研磨砥石表面からの
ダイヤモンド砥粒の突出量が比較的大きい砥石を使用
し、研磨後期には研磨砥石表面からのダイヤモンド砥粒
の突出量が比較的小さい砥石を使用して研磨することを
特徴とする。
【0013】また、研磨初期には雰囲気中の湿度を相対
的に高くして研磨し、研磨の進行と共に雰囲気中の湿度
を連続的または段階的に低くする。雰囲気中の相対湿度
は、研磨初期には60%より高く保ち、研磨後期には6
0%以下に保つことが好ましい。さらに、研磨初期には
研磨剤を使用せず、研磨後期にはAl23、SiC、お
よびcBNのうち少なくとも一種を含む研磨剤を使用し
て研磨するのが好ましい。
【0014】本発明における「砥粒の集中度」とは、研
磨砥石中に占めるダイヤモンド砥粒の体積比を表わす尺
度で、集中度100がダイヤモンド砥粒含有量25vo
l%に相当する。したがって、集中度50〜150と
は、ダイヤモンド砥粒含有量12.5vol%から3
7.5vol%に相当する。
【0015】
【発明の実施の形態】ダイヤモンドは脆性材料であるた
め、強い衝撃や負荷を加えると微小な割れや欠損が生じ
る。研磨加工において、膜の表面から過度の圧力を加え
ると、膜の表面及び中に微細で多数のクラックが生じ
る。これらのクラックは、平滑な研磨面上に存在する微
小な穴欠陥になる。加工条件が厳しい場合、このような
クラックは膜の奥深くまで侵入するので、表面上の穴欠
陥は膜を多めに削りこんでいっても発生する。従って、
良好な研磨面を得るためには、強い衝撃を加えることな
く、微量ずつながらも安定してダイヤが除去されるよう
な加工を実現させなければならない。このような加工
は、ダイヤを一定の速度で摩耗させるような加工を実現
させてやれば良い。
【0016】また研磨面に加える負荷を小さくしていく
と、ダイヤモンドの微小破砕の発生する位置が表面に近
づき、ダイヤモンドの表面近傍に集中してくる。このよ
うな場合、破砕による加工と表面の摩耗による加工の区
別はできなくなってくる。このような状態は「摩耗によ
る加工」と考えることができ、破砕(破壊)が支配的な
加工とは異なって、その加工表面に平均的に存在する穴
欠陥は極めて少なくなる。
【0017】研磨砥石の表面のダイヤモンド砥粒の突き
出し、およびダイヤモンド砥粒の表面形状は研磨に大き
な影響を及ぼす。研磨砥石が新品の状態の場合は、ダイ
ヤモンド砥粒の先端はランダムに研磨砥石表面から突き
出ている。この状態の場合、加工対象となるダイヤモン
ド膜の表面には条痕が残り、局所的に欠陥が多く入った
ものとなり、表面の面精度も悪い。また研磨砥石を使用
すると、ダイヤモンド砥粒の突出量が減少したり、研磨
砥石の研磨面が荒れてくる。本発明の研磨砥石は、その
研磨面の状態を修正するツルーイング(予備研磨工程)
と、突出量を修正するドレッサー工程で再生される。
【0018】新品の研磨砥石のランダムに突き出してい
るダイヤモンド砥粒の先端は、ツルーイング用砥石のダ
イヤモンド砥粒との予備研磨によって、研磨砥石の最表
面の高さを揃える。予備研磨は、メタルボンド等の剛性
の高い結合材によってダイヤモンド砥粒の固定された円
盤状のツルーイング用砥石が水平に回転している表面
に、ダイヤモンド膜の研磨砥石を直角に突き当て、微少
量ずつツルーイング用砥石を接近させながら実施する。
研磨砥石の最表面は平坦になっているので、その形状が
転写されるダイヤモンド膜の表面も、平坦で平滑な鏡面
となる。
【0019】本発明の研磨砥石は、ダイヤモンド砥粒の
先端部が砥粒の平均直径の1/4以上の長さを有する平
坦な領域を持つ程度まで、ツルーイング用砥石による予
備研磨を実施する。ツルーイングによって得られる平坦
部は通常無定形である。砥粒の平均直径の1/4以上の
長さを有する平坦な領域とは、1個の無定形な平坦部を
直線で切ったときに最も長くなる直線が、砥粒の平均直
径の1/4以上の長さを有するという意味である。
【0020】ダイヤモンド砥粒形状が不規則で細かい凹
凸の多いものは剛性が低く、破砕しやすい。このため、
新しい切れ刃が常に再生されるため切れ味は良い。よっ
て、平滑な研磨面を得るためには、ダイヤモンド砥粒の
個体体積の1/20以上の大きさの凹状窪みが、個体体
積の10%以上である無定形な、かつ比較的小粒のダイ
ヤモンド砥粒の含有量を多くして密集した平坦部を形成
するのが好ましい。
【0021】ところが、このような状態においてもダイ
ヤモンド砥粒の突き出しが大きい場合は、全研磨荷重が
ダイヤモンド砥粒先端に集中するためにダイヤモンド砥
粒自体や接触しているダイヤモンド膜の表面に大きな負
荷が加えられ、ダイヤモンド砥粒の欠損やダイヤモンド
膜中への欠陥の侵入を招く。ダイヤモンド砥粒の欠損が
起こった場合、破片がダイヤモンド砥粒とダイヤモンド
膜間に介在し、さらにダイヤモンド膜への欠陥の介入を
促進することになる。
【0022】そこで、ダイヤモンド砥粒の先端を予備研
磨によって平坦にさせて高さを揃え、かつ、例えばダイ
ヤモンド砥粒の平均直径が50μmの場合には全砥粒の
平均突出量を2〜10μmにすることにより、これ等の
問題は解決できる。ダイヤモンド砥粒の突出量は、研磨
砥石の正面にアルミナ砥石から成るドレッサーを軽く突
き当てビトリファイドボンドの表面に摺接させることに
より、ダイヤモンド砥粒が脱落することなく所定の突出
量に調整できる。一般的にダイヤモンド砥粒の突出量は
砥粒の平均直径の1/5以下であることが望ましい。
【0023】ダイヤモンド砥粒の平均直径は25μmな
いし200μmの範囲にあることが望ましい。ダイヤモ
ンド砥粒の平均直径が25μmよりも小さすぎると、研
磨圧力で砥粒がボンド内に埋まり、ボンド部分が直接ダ
イヤモンド膜に接することになる。この場合、特に凹凸
の大きいダイヤモンド膜を研磨している場合、ダイヤモ
ンド膜にボンドが抉られる状況となり砥石は激しく劣化
する。その結果、ダイヤモンド砥粒の脱落や欠損が多く
なり、得られる研磨面は激しく荒れたものとなる。逆に
ダイヤモンド砥粒の平均直径が200μmよりも大きす
ぎる場合は、ダイヤモンド砥粒の先端を平坦に揃えるこ
とが困難となる。また、ダイヤモンド砥粒から加わる圧
力が小さくなるため、全体としての研磨圧力が等しい場
合、ダイヤモンド砥粒の食い込みが小さくなり、時間当
たりの研磨深さを示す研磨レートが小さくなる、という
状況となる。
【0024】ダイヤモンド砥粒の集中度は50〜150
であることが望ましい。集中度が50よりも小さすぎる
と作用するダイヤモンド砥粒が少なくなり、密集した平
坦部が形成されず研磨レートが小さくなる。また、15
0よりも多すぎると、ダイヤモンド砥粒1ヶあたりの荷
重が小さくなるため、研磨レートが小さくなる。
【0025】砥粒が砥石から脱落しないようにするため
に、砥粒の保持剛性を強くする必要がある。しかしダイ
ヤモンド膜に強い衝撃を与えないためには、砥石がある
程度衝撃を吸収するような材質であることが必要であ
る。一般に研磨砥石のボンドをメタル(電着)、ビトリ
ファイド、レジンの3種に分けた場合、メタルボンドは
保持剛性が高く、研磨時の衝撃を吸収しにくい。このた
め、ダイヤモンド膜を研磨する砥石のボンド材料として
は、メタルボンドのような剛性の高いボンド材料は避け
るべきである。一方フェノールレジンは剛性が弱くまた
熱にも弱いため好ましくない。ビトリファイドボンドは
保持剛性と衝撃吸収特性のバランスが良く、ダイヤモン
ド膜の研磨に適している。
【0026】通常、ボンドの充填材は砥石の強度を保つ
意味と、ワークに対して加工性能を発揮する両面の意味
がある。ダイヤモンド膜の加工においては、この充填材
が摩耗粉となり、これが砥粒と研磨面の摩擦抵抗を下げ
る役割がある。摩擦抵抗が下がると、研磨レートは下が
るが焼き付きや過大な負荷を抑えることができるので、
欠陥の少ない研磨面を得るためには有効である。ボンド
の充填材として平均直径が15μm以下のSiC粉末を
用いる。SiCを用いるのはボンドによるダイヤモンド
砥粒の保持剛性を高めるためと,摩耗粉の凝集を防ぐた
めである。SiC粉末の平均直径が15μmを超えると
上記2点の効果が弱くなるため15μm以下が好適であ
る。
【0027】以上の研磨砥石を用いて、平滑なダイヤモ
ンド膜を効率よく得るためには、次の加工条件を整える
のが好ましい。摩耗による加工は破砕による加工に較べ
て加工速度が遅い。摩耗による加工の中でも、摩擦力が
大きいと摩耗の進行が速くなり、突発的な欠損(欠陥)
が生じる確率も高くなる。また摩擦力が小さいと摩耗の
進行が遅くなり、欠陥の発生も少なくなる。したがっ
て、欠陥の数と研磨速度のバランスを保ち、良好な精密
研磨面を得るためには、摩擦係数を調節することが重要
となってくる。この調節とは以下のようなものである。
【0028】まず、精密研磨加工の初期段階では、ダイ
ヤ膜合成後の凹凸の大きい部分を平坦化する必要があ
る。このためには大きな研磨速度が必要である。そのた
め、この段階では摩耗効率を高めるために摩擦係数を大
きくする。加工が進み大きな凹凸が無くなると、突発的
に大きな欠陥が入らないように、かつ前半の研磨で入っ
た欠陥を除去するため、摩擦係数をやや小さくした状態
で研磨を行う。仕上げ段階では、表面上に残った微小な
欠陥を除去するため、小さい研磨速度で丁寧に仕上げる
べく、摩擦係数を小さくする。このように摩擦係数を調
節する方法には以下のような方法がある。
【0029】ダイヤモンド砥粒の突出量を変えることに
よって、言い換えれば予め突出量の異なる研磨砥石を準
備することによって、選択的に摩擦係数を変えることも
できる。突出量が大きいとダイヤモンド砥粒に大きな垂
直の負荷が加わり、ダイヤモンド膜の微小破砕を発生さ
せ、摩擦は大きくなる。突出量が小さい場合は、ボンド
の摩耗粉がダイヤモンド砥粒とダイヤモンド膜の間に介
在し、これがベアリングの役割を果たして、摩擦係数が
小さくなる。
【0030】ベアリングとなる摩耗粉の成分によって摩
擦係数が異なる。摩耗粉の分散性が良く、個々の大きさ
が小さい場合は、摩擦係数が小さくなり研磨速度は小さ
くなる。摩耗粉が凝集しやすい場合は、摩擦係数は大き
くなり、研磨速度は大きくなる。このような調整を行う
ために、研磨砥石の結合材はビトリファイドボンドであ
ることが望ましい。
【0031】また、研磨加工中の雰囲気の湿度を変える
ことによって、摩擦係数が変わる。湿度が上がると摩擦
係数が上がる。これは一般的なダイヤモンドとダイヤモ
ンドの摩擦の場合とは反対である。これは、湿度が上が
ることによって、前述した摩耗粉の凝集性が向上し、こ
れが介在することによって摩擦係数が上がると考えられ
る。よって、加工の進行としては、加工の前半、湿度を
あげて、摩擦係数をあげ、加工速度を確保して、後半に
湿度を下げて摩擦係数を下げ、欠陥を除去する、という
段階を経た加工が好ましい。
【0032】さらに、前述した摩擦係数調整方法は、い
ずれもダイヤモンド砥粒とダイヤモンド膜の間に介在し
た摩耗粉に関連した方法である。したがって、摩耗粉が
この調整を行うに十分な量がないときはこれらの方法は
使えない。このような場合は、ダイヤモンド砥粒やダイ
ヤモンド膜よりも硬度の低い研磨剤である、Al23
SiC,cBNの粉末を研磨砥石表面に散布することに
よって、これらの粉をダイヤモンド砥粒とダイヤモンド
膜の間に介在させ、ベアリング効果を発生させることに
よって摩擦係数を下げる。その結果、欠陥の少ない研磨
面を得ることができる。粉末の散布は元から粉末である
ものを用いる方法の他、砥石状になったものを研磨砥石
表面に擦りつけるようにしても同様の効果が得られる。
【0033】
【実施例】基板として直径50mm、厚み1mmのSi
ウェハ上に熱フィラメントCVD法によってダイヤモン
ドを25μm堆積させ、その後、研磨加工によって表面
の凹凸を平坦化させた。このウェハはその後デバイスプ
ロセスに対応させるため、表面には0.5〜1μm以上
の欠陥があってはならない。人造ダイヤモンドをサイク
ロンによる遠心分級によって平均粒径が120μmとな
るよう選別して、直径400mmのビトリファイドボン
ド砥石を用意した。そして、研磨条件として研磨砥石回
転数を1000rpm、研磨圧を78.4Nに設定し
た。
【0034】図1に、砥石断面におけるビトリファイド
ボンドで固定された人造ダイヤモンド砥粒を模式的に示
す。各試料のダイヤモンド砥粒1の先端を他のダイヤモ
ンド砥石によってツルーイングして、ダイヤモンド砥粒
1の先端の位置を0.5μmのバラツキ範囲に揃え、か
つダイヤモンド砥粒1の平均直径の少なくとも1/4の
長さを有する平坦部を形成し、アルミナ砥石から成るド
レッサーを用いて、ビトリファイドボンド2の表面高さ
を調節することで、ダイヤモンド砥粒1の突出量Sおよ
び砥粒形状が異なる4種類の研磨砥石を用意した。突出
量Sの測定は触針式の面粗さ計を用いて測定した。面粗
さ計によって測定した一例を図2に示す。
【0035】表1の仕様の研磨砥石を用い、表2の研磨
条件にて研磨を行なった4枚のウェハのダイヤ研磨面に
存在する欠陥の数の評価を行なった。評価には、図3に
示す半導体ウェハ欠陥検査装置100を用いた。回転自
在でかつスライド可能な検査ステージ101に、被検査
物であるウェハ102の研磨面を上にして載置する。ウ
ェハ102はドーム103にて遮光され、その一部にレ
ーザーダイオードを用いた発射管104からレーザー光
が発射され、正反射光は窓105から抜け、研磨面上の
凹凸による散乱光が光電子増倍管106で検出された
後、ウェハ102全面の画像が処理され、欠陥が図4の
如く定量化される。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表3に各ウェハの研磨レートおよび測定し
た欠陥数を示す。測定は0.5μm以上のパーティクル
を測定するレンジを用いた。実施例である無定形砥粒を
用いて砥粒突出量が6,15μmである研磨砥石の場
合、欠陥数が少ない。比較例であるブロック状砥粒を用
いて砥粒突出量が6μmである研磨砥石の場合、欠陥数
は少ないものの研磨レートが小さすぎる。一方無定形砥
粒を用いた研磨砥石でも砥粒突出量が25μmになる
と、欠陥数が飛躍的に多くなることが分かる。得られた
研磨面の平滑度を、汎用の触針式の面粗さ計およびAF
Mを用いて測定した。その結果、どの基板においても、
平滑度はほぼ一定で、Rmax=10nm程度であっ
た。
【0039】
【表3】
【0040】次に、実施例1ないし2に相当する研磨砥
石を用意し、表2と同様の研磨条件により、ただし雰囲
気中の湿度と噴霧砥粒の条件を表4に示すように変える
ことによって、研磨を行い研磨レート、欠陥数および摩
擦係数の比較を行なった。
【0041】
【表4】
【0042】表4の結果を考察すると、何も噴霧しない
条件では湿度が高くなると摩擦係数が大きくなり、欠陥
数が増える。特に湿度が75%を超えると急激に欠陥が
多くなる。研磨剤としてAl23を噴霧すれば、湿度が
高くても摩擦係数を小さく保つことができ、欠陥数も少
ない。このことから,研磨初期には雰囲気中の湿度を6
0%より高く保ち、研磨の進行と共に雰囲気中の湿度を
連続的または段階的に60%以下にすることによって,
研磨初期には加工速度を確保し、研磨後期には欠陥を除
去することができ精密な欠陥のない研磨面を得ることが
できる。
【0043】
【発明の効果】本発明の研磨砥石は、ビトリファイドボ
ンドの表面からダイヤモンド膜に接触するダイヤモンド
砥粒の突出量をダイヤモンド砥粒の平均直径の1/5以
下に設定し、ツルーイングによってダイヤモンド砥粒の
先端部にダイヤモンド砥粒の平均直径の少なくとも1/
4の長さを有する平坦面を造り、かつダイヤモンド砥粒
の先端の位置を各砥粒について0.5μmの範囲内に揃
えて、ダイヤモンド砥粒の個体体積の1/20以上の大
きさの凹状窪みが、個体体積の10%以上である無定形
の平均直径が25〜200μmのダイヤモンド砥粒を集
中度50〜150の範囲に配合し、ビトリファイドボン
ドの充填材として平均直径が15μm以下のSiC粉末
を用いてあるから、これを使用して研磨加工をすれば、
平滑な欠陥のないダイヤモンド膜を有するウェハを得る
ことができる。
【0044】前記研磨砥石を用いて、研磨初期には研磨
砥石表面からのダイヤモンド砥粒の突出量が比較的大き
い研磨砥石を使用し、研磨後期には研磨砥石表面からの
ダイヤモンド砥粒の突出量が比較的小さい研磨砥石を使
用して研磨したり、研磨初期には雰囲気中の湿度を相対
的に高くし、研磨の進行と共に雰囲気中の湿度を連続的
または段階的に低くする。雰囲気中の相対湿度は、研磨
初期には60%より高く保ち、研磨後期には60%以下
に保って、研磨初期には研磨剤を使用せず、研磨後期に
はAl23、SiC、およびcBNのうち少なくとも一
種を含む研磨剤を使用して研磨する等の研磨方法によっ
て、平滑な欠陥のないダイヤモンド膜を有するウェハを
効率良く経済的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨砥石の断面を模式的に表した説明
図である。
【図2】本発明の研磨砥石の砥粒の突出量を面粗さ計に
よって測定したチャートである。
【図3】ウェハ表面の凹凸を調べる欠陥検査装置の概略
図である。
【図4】欠陥検査装置で捉えたウェハ表面の欠陥を定量
化した画像である。
【図5】従来のダイヤモンド砥石のツルーイング工程の
説明図である。
【符号の説明】
1 ダイヤモンド砥粒 2 ビトリファイドボンド 100 欠陥検査装置 101 検査ステージ 102 ウェハ 103 ドーム 104 発射管 105 窓 106 光電子増倍管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B24D 3/02 310 B24D 3/02 310C 3/14 3/14 H01L 21/304 622 H01L 21/304 622F (72)発明者 藤井 知 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 鹿田 真一 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 3C043 BB00 CC04 CC07 3C047 AA11 AA13 3C049 AA07 AA09 CA01 CA04 3C063 AB07 BB02 BB07 BC05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド砥粒をビトリファイドボン
    ドで結合した砥石であって、前記ビトリファイドボンド
    の表面から前記ダイヤモンド砥粒の先端までの距離が前
    記砥粒の平均直径の1/5以下であり、前記ダイヤモン
    ド砥粒の先端部に前記砥粒の平均直径の少なくとも1/
    4以上の長さを有する平坦な領域が存在し、かつ前記ダ
    イヤモンド砥粒の先端の位置が各砥粒について0.5μ
    mの範囲内で揃っていて、前記ダイヤモンド砥粒の個体
    体積の1/20以上の大きさの凹状窪みが、前記個体体
    積の10%以上である無定形の前記ダイヤモンド砥粒を
    用いたことを特徴とするダイヤモンド膜の研磨砥石。
  2. 【請求項2】 前記ビトリファイドボンドの充填材とし
    て平均直径が15μm以下のSiC粉末を用いたことを
    特徴とする請求項1記載のダイヤモンド膜の研磨砥石。
  3. 【請求項3】 前記ダイヤモンド砥粒の平均直径が25
    μmないし200μmの範囲にあることを特徴とする請
    求項1記載のダイヤモンド膜の研磨砥石。
  4. 【請求項4】 前記ダイヤモンド砥粒の集中度が50〜
    150の範囲に配合されていることを特徴とする請求項
    1記載のダイヤモンド膜の研磨砥石。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の研
    磨砥石を用いてダイヤモンド膜を研磨する場合に、研磨
    初期には前記研磨砥石表面からの前記ダイヤモンド砥粒
    の突出量が比較的大きい砥石を使用し、研磨後期には前
    記研磨砥石表面からの砥粒の突出量が比較的小さい前記
    研磨砥石を使用して研磨することを特徴とするダイヤモ
    ンド膜の研磨方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の研
    磨砥石を用いてダイヤモンド膜を研磨する場合に、研磨
    初期には雰囲気中の湿度を相対的に高くして研磨し、研
    磨の進行と共に雰囲気中の湿度を連続的または段階的に
    低くすることを特徴とするダイヤモンド膜の研磨方法。
  7. 【請求項7】 雰囲気中の相対湿度を、研磨初期には6
    0%より高く保ち、研磨後期には60%以下に保つこと
    を特徴とする請求項6記載のダイヤモンド膜の研磨方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし4のいずれかに記載の研
    磨砥石を用いてダイヤモンド膜を研磨する場合に、研磨
    初期には研磨剤を使用せず、研磨後期にはAl23、S
    iC、およびcBNのうち少なくとも一種を含む研磨剤
    を使用して研磨することを特徴とするダイヤモンド膜の
    研磨方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101870091A (zh) * 2010-06-17 2010-10-27 大连理工大学 一种陶瓷结合剂超细金刚石砂轮制备方法
CN105522490A (zh) * 2015-12-02 2016-04-27 苏州群力防滑材料有限公司 一种耐冲击的陶瓷砂轮
JP2020041007A (ja) * 2018-09-06 2020-03-19 日東電工株式会社 粘着シート

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