JP2001133752A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

Info

Publication number
JP2001133752A
JP2001133752A JP31285399A JP31285399A JP2001133752A JP 2001133752 A JP2001133752 A JP 2001133752A JP 31285399 A JP31285399 A JP 31285399A JP 31285399 A JP31285399 A JP 31285399A JP 2001133752 A JP2001133752 A JP 2001133752A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
electric field
display device
state
electric signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31285399A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Ito
信行 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP31285399A priority Critical patent/JP2001133752A/ja
Publication of JP2001133752A publication Critical patent/JP2001133752A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な対向基板電極構造で高速応答化および
広視野角化し、動画ボケのない広視野角な液晶表示装置
を提供する。 【解決手段】 電界の印加されない定常状態において、
液晶は、広がり変形および捻じれ変形の配向状態を呈
し、分極を生じていない。電界を印加すると、広がり変
形および捻じれ変形に伴う撓電効果によって分極が生じ
る。この分極により、液晶は、上記電界の印加されてい
ない定常状態のときとは別の広がり変形および捻じれ変
形へと配向状態を変化させる。また、別の電界を印加す
ると、上記撓電効果によって、この電界の強度に応じた
別の分極が生じる。この分極により、液晶は、別の広が
り変形および捻じれ変形へと配向状態を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータやテ
レビ受像機その他の画像情報表示に用いられる液晶表示
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、図17および図18に
示すように、一対の透明な基板1、2を、電極3、4が
形成された面が内側になるように直交させて貼り合わせ
て作製する。図19は、その断面構造を示したものであ
り、透明な電極3、4上には必要に応じて絶縁膜5、
6、配向膜7、8が積層され、配向膜には必要に応じて
ラビング等の配向処理が施される。所望の径のスペーサ
ー9を基板上に配置することにより均等な間隙を確保し
て、両基板を貼り合わせ接着剤10によって固定する。
最後に、接着剤の一部に開けられた孔より液晶11を注
入し、注入孔を封止して完成する。配向膜に施される配
向処理により、液晶は一様配向を呈する。各々の電極は
外部に引き出し部を有しており、任意の信号波形電界を
液晶に印加できるようになっている。印加される電界に
応じて液晶は配向を変化させ、液晶層を通過する光を偏
光、変調させる。必要に応じて光の偏光、変調を可視化
する偏光板(偏光子)12、13を設置することによ
り、表示装置としての機能を得ることができる。液晶層
に光を通過させるため、少なくとも一方の電極はITO
(Indium-Tin Oxide、インジウム錫酸化物)等から成る
透明電極である必要がある。
【0003】図17および図18に示すように、液晶表
示装置はその電極構造により2種類がある。ストライプ
形状に形成した電極を交差させる単純マトリクス方式
(図17)と、一方基板に交差する信号電極14とトラ
ンジスターなどのスイッチング素子15を形成するアク
ティブマトリクス方式(図18)である。液晶材料とし
ては、どちらの方式も現在のところほとんどがネマティ
ック液晶が使用されている。
【0004】単純マトリクス方式は構造が簡単で作製が
容易である反面、画素ごとにスイッチング素子を持たな
いためすべての画素が液晶の静電容量で結合され、画素
数の増加に伴い画素ごとのスイッチングのしきい値が明
確でなくなり表示画像が不鮮明になる、いわゆるクロス
トークの問題を本質的に抱えている。また、透明電極で
あるITOやネサ膜は電導体であっても金属等に比較し
て抵抗値が100倍から1000倍程度高く、表示装置
の大型化、大表示容量化に伴い透明電極の電極抵抗によ
る信号波形の歪みが重大な問題となる。特開平9−12
7494号公報(特願平7−287671号)のように
透明電極と金属配線とを並列に設置することで電極抵抗
を低減する試みも成されているが、開口率が狭くなるこ
とによる輝度の低下や単純マトリクス本来の特徴である
製造の容易さが失われる結果となっている。
【0005】一方、アクティブマトリクス方式は画素ご
とにスイッチング素子を作り込むため、単純マトリクス
方式に比べると作製は容易ではないが、各画素を独立に
駆動することができるので、クロストークの問題が無
く、単純マトリクス方式に比べると格段に鮮明な画像を
表示することができる。また、光の透過に寄与しない信
号線をTi、Alといった金属で作製することができ、
また、対向の透明電極もパターンの必要のないベタ形状
であるため電極抵抗による信号波形の歪みの問題が極め
て少ない。このため、表示装置の大型化、大表示容量化
についても比較的容易に対応することができる。
【0006】単純マトリクス方式の構造の簡単さを活か
して、クロストークの問題を強誘電性液晶を利用して解
決しようとする試みが成されている(N. Itoh 等による
Proceedings of The Fifth International Display Wor
kshop(IDW'98),(1998)p.205「17”Video-Rate Full Col
or FLCD」、以下文献1と称する)。強誘電性液晶はメ
モリー性とμs(μ秒)桁の高速応答性を有するため
(N.Clark 等によるApply.Phys.Lett.、36(1980)、p.
899 「Submicrosecond bistable electro-opticswitchi
ng in liquid crystals」、以下文献2と称する)、従
来のメモリー性を持たないネマティック液晶を用いた単
純マトリクス方式とは異なり、走査線ごとに高速で表示
情報を、書き込まれた表示情報を書き換え信号が入力さ
れるまで電圧を印加しないで保持する、線順次駆動方式
を適用することが可能である。これによりクロストーク
が発生することなく、単純マトリクス方式でもアクティ
ブマトリクス方式と変わらない鮮明な画像を表示するこ
とができる。
【0007】しかし、単純マトリクス方式であれば、強
誘電性液晶を利用した場合でも電極抵抗の問題は解決さ
れない。電極抵抗の問題は信号波形の歪みという問題を
発生させるが、この問題は表示装置の大型化、大表示容
量化だけでなく、信号波形の高速化に対しても重大な問
題となり、特に高速応答性を利用する強誘電性液晶では
前述の透明電極と金属配線を並列に設置する技術が不可
欠であり、開口率が狭くなることによる輝度の低下や、
単純マトリクス本来の特徴である製造の容易さが失われ
る結果となっている。また、電極抵抗の問題は消費電力
の増加、パネルの発熱と言った問題も発生させてしま
う。
【0008】このような点から、一部の低機能の表示装
置を除いて、高解像度の動画表示対応の液晶表示装置と
してはアクティブマトリクス方式が優れている。この中
でも、3端子素子である薄膜トランジスター(TFT)
方式が他の2端子素子である金属・絶縁膜・金属積層
(MIM)方式等に比べ優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】現在、TFT方式とネ
マティック液晶を組み合わせた表示装置により20型の
液晶テレビも実現しており、一見すると平面表示装置
は、現在のTFT−ネマティック液晶の方式で技術的に
完成し、あとはさらなる大型化、大表示容量化に向けて
改良されていくだけのように思われる。
【0010】しかし、液晶表示装置が現在、表示装置の
主流であるCRTと競合し、将来、平面表示装置とし
て、大型、大重量という問題を抱えるCRTに置き換わ
るには画質の点で幾つかの重大な問題が残されている。
【0011】最も重要な問題は、液晶の信号波形電界に
対する応答速度が遅いことであり、もう一つは、充分に
広い視野角が得られていないことである。
【0012】はじめに、液晶の応答速度と画質の関係に
ついて説明する。
【0013】現在のTFT−ネマティック液晶表示装置
(以下LCDと表現する)では、動画表示でボケ妨害が
知覚され、大きな問題となっている。その原因が、栗田
による平成10年液晶学会:LCDフォーラム主催「L
CDがCRTモニター市場に食い込むには−動画表示の
観点から−」、1項「ホールド型ディスプレイの表示方
式と動画表示における画質」(以下文献3と称する)に
詳しく説明されている。
【0014】CRTとLCDとではその表示光の時間応
答が異なっており、図20に示すようにCRTの表示光
はインパルス型であり、図21に示すようにLCDの表
示光はホールド型である。これは液晶が自発光ではな
く、バックライトの光を透過、遮光させるシャッターと
してのみ機能していることと、現在の液晶の応答速度が
15ms程度であるため、16.7msの1フィールド
(1表示期間)内いっぱいを使って応答していることに
よるものである。
【0015】説明のため、応答時間も応答速度と同一の
意味として表現する。
【0016】このようなホールド型表示では、眼球運動
のうち、動画像を知覚する上で最も重要な随従運動(左
右両眼がほぼ同様に動物体に滑らかに追従する動き)
と、視覚の時間積分効果とがほぼ完全であれば、観察者
に知覚されるのはいくつかの画素の平均の明るさとな
り、異なる画素で表現されるはずの画像内容は完全に消
失してしまう。
【0017】随従運動は、動き速度の増大とともにその
眼球運動に占める割合が低下するが、4〜5(度/秒)
以内の動きであれば随従運動のみで追従できるとされて
いる。また、短時間での随従の最高速度は30(度/
秒)とされる。時間積分効果については、ある程度以下
の輝度であれば、数10ms以内の短時間内の光刺激は
ほぼ完全に積分されると考えられる。実際に表示される
多くの動画像が、これらの角速度および輝度を満たすた
め、ホールド型表示ではいわゆるアイトラッキングによ
って動画ボケが生じてしまう。
【0018】LCDで動画ボケを根本的に無くすために
は、CRTと同じインパルス型表示にする必要がある。
これには、バックライトを現在のように常時点灯させる
のではなく、シャッターを用いて見かけ上のインパルス
発光にする方法や、高速にブラッシングさせる方法があ
るが、いずれの場合も液晶の応答速度を現在よりも大幅
に高速化する必要がある。
【0019】図22を用いてこの説明を行う。図22は
横軸に時間、縦軸にバックライトの発光量とLCDの透
過光量を示したものである。図22中で、tはTFTの
走査信号線であるゲートを開くために必要な時間(ゲー
トON時間)であり、nは走査信号線(ゲートライン)
の本数である。このため、走査線数(走査ライン数)n
本の表示装置であれば、全てのTFTをONするために
はt×nの時間を必要とする。
【0020】図22中の曲線は液晶の時間応答特性であ
り、τは液晶の応答速度(応答時間)である。
【0021】最終のn本目のゲートラインをONしてか
ら、nライン目の液晶が応答した後に、バックライトを
点灯あるいは発光させることにより、CRTと同様なイ
ンパルス型表示を行うことができる。
【0022】インパルス型表示として有効なバックライ
トの発光期間比率(コンパクション比)は、上記文献3
によると、1フィールド(1表示期間)16.7msの
うちの25%とされており、これにより、光源点灯期間
(バックライトの発光期間)Tは約4msとしなければ
ならない。また、走査線数1025本のハイビジョン放
送を再現しようとすれば、nは約1000である。
【0023】液晶の応答速度は、 τ=16.7ms−t×n−T である。このため、 τ≦16.7ms−4ms−t×n とする必要がある。
【0024】現在、TFTのゲートON時間tは、2
0" の大型表示装置が実現しているアモルファスシリコ
ンαSi−TFTで約10μs、大型化は困難であるが
電子移動度の高いポリシリコンPSi−TFTで約3μ
sである。
【0025】このことから、動画ボケの無いフルスペッ
クの動画像を実現するために必要な液晶の応答速度は、
αSi−TFTを用いた場合に2.7ms以下、PSi
−TFTを用いることができても9.7ms以下でなけ
ればならないことがわかる。実際は、PSi−TFTは
プロセス温度が1000℃以上と高いため、通常のガラ
ス基板を使用することができず石英ガラスを使用しなけ
ればならない。このため、大型化が困難であり、フルス
ペックのハイビジョン放送を実現する表示装置は実現性
が乏しい。
【0026】現在の液晶の応答速度は、前述した様に1
5ms程度であり、バックライトシステムをインパルス
型に変更しても、αSi−TFTを用いて2.7ms以
下の応答速度で、動画ボケの無いフルスペックの動画像
を実現することは無理である。
【0027】現在の液晶の応答速度が遅いことは以下の
理由による。
【0028】図23は現在のネマティック液晶の電界応
答を示している。円柱は液晶分子16を表現している。
ネマティック液晶は分子長軸方向と分子短軸方向との誘
電率の差である誘電異方性Δεによってスイッチング
(配向状態の変化)し、印加される電界Eとの間に発生
する(1/2)ΔεE2 の誘電エネルギーによりトルク
を生じて配向を変化させる。Δεが正の場合、図23
(b)に示すように、分子長軸が電界と一致するように
配向を変化させ、Δεが負の場合、分子長軸が電界と直
交するように配向を変化させる。
【0029】誘電異方性Δεによる応答は、そのエネル
ギーが小さいため、このタイプの応答をする液晶では一
般に数100ms〜数10msの応答速度しか得られな
い。誘電エネルギー(1/2)ΔεE2 は電界Eの方向
に依存しないスカラー量であるため、電界Eが交流であ
ってもネマティック液晶は一方向にのみ変化するだけで
ある。電界を除去した後は、液晶の粘性緩和により初期
配向状態に復帰するため、一般に電界印加による立ち上
がり(その時間をτrとする)よりも、電界除去後の立
ち下がり(その時間をτdとする)はさらに遅い。
【0030】前述の強誘電性液晶は自発分極を有し、1
ms以下の応答速度を容易に得ることができるため、メ
モリー性を活かした単純マトリクス方式ではなく、TF
Tと組み合わせて動画画質の改善を図ろうとする研究も
行われている(寺田等による第46回応用物理学関係連
合講演会講演予稿集第3分冊1316項28p−V−8
「Half−V字スイッチングモードFLCD」、以下
文献4と称する)。
【0031】図24は強誘電性液晶の電界応答を示して
いる。強誘電性液晶は自発分極Psと電界Eとの内積エ
ネルギーであるPs・Eによってスイッチングし、自発
分極Psの方向が電界方向と一致することにより、基板
面内に平行な状態でスイッチングするいわゆるインプレ
インスイッチングをする。自発分極Psによる応答は、
そのエネルギーが大きいため、1ms以下の数100μ
s〜数10μsの応答速度が容易に得られる。自発分極
Psと電界Eとの内積エネルギーであるPs・Eは電界
Eの方向に依存するベクトル量であるため、電界Eの方
向によって光学的な立ち上がり(τr)と立ち下がり
(τd)とを同様に高速で切り替えることができる。
【0032】また、従来、単純マトリクス方式では困難
であった中間調(階調)表示も、TFTと組み合わせる
ことで容易に達成されている。
【0033】このように応答速度の点では非常に有利な
強誘電性液晶であるが、ネマティック液晶には無い多数
の特有の問題がある。強誘電性液晶はスメクチック液晶
であり、ネマティック液晶に比較すると結晶に近く、分
子配列に層構造が存在する。このため、広い面積に渡っ
て均一に配向させることが難しい。また、層構造が機械
的衝撃で乱れやすく、配向が不均一になるため、信頼性
の面で問題がある。表示装置内に壁状構造物を形成して
基板を強固に固定することで、耐衝撃性を解決すること
はできるが(上記文献1参照)、壁を形成することでさ
らに配向性が難しくなる。
【0034】また、強誘電性液晶は、自発分極を有して
いるために、表示信号を入力してスイッチングさせてい
ないと自発分極が一方向に向いたままとなり、長時間こ
の状態が続くと強誘電性液晶と配向膜の界面で電荷が溜
まってしまい、いわゆる焼き付き現象が起こるという問
題もある。
【0035】さらに、強誘電性液晶は、その特性を充分
引き出すために2μm〜1.5μmという薄いセル厚構
造にする必要がある。通常のネマティック液晶を用いた
場合は4μm程度のセル厚である。このためセル容量が
通常のネマティック液晶よりも大きくなり、必要時間内
でのTFTによる画素への電荷充電量が少なくなりスイ
ッチングが不十分になる恐れがある。この問題を解決す
るためには、TFTの充電能力を向上させなければなら
ないが、TFTの大幅な構造変更は、製造の困難さを高
めるため、コスト面から好ましいものではない。
【0036】このような理由から、従来から使用されて
いるネマティック液晶の応答速度を向上させようとする
研究も盛んに行われている。実際には、現在主流で用い
られておりよく知られているTN(ツイストネマティッ
ク)配向とは別の配向状態を用いて応答速度を向上させ
ようという研究が行われている。
【0037】それらのうち、ベンドセルあるいはパイセ
ルと言われる配向状態を用いてネマティック液晶を高速
応答化する研究が良く知られている(T.Miyashita 等に
よるConference Proceedings of The 13th Internation
al Display Research Conference(Euro Display ’9
3)、(1993)p.149 「Wide viewing Angle display mo
de for active matrix LCD using bend alignment liqu
id crystal cell」、以下文献5と称する)。ベンド配
向セルでは、従来、15ms程度であるTN配向セルの
応答速度が、2ms程度まで短くなることが報告されて
いる。この高速応答化は、液晶の応答によってセル内に
生じる液晶の流れ(フロー)をコントロールすることで
達成されている(宮下等による平成10年液晶学会:L
CDフォーラム主催「LCDがCRTモニター市場に食
い込むには−動画表示の観点から−」、7項「OCB液
晶の高速応答特性を利用したフィールドシーケンシャル
フルカラー液晶ディスプレイ」、以下文献6と称す
る)。誘電異方性を利用している点は従来のネマティッ
ク液晶と同様である。
【0038】ただし、上記文献5にも報告されているよ
うに、ベンド配向の応答速度は中間調表示レベルに大き
く依存する。一般に、誘電異方性を利用するネマティッ
ク液晶の応答速度は、誘電異方性が正の場合、初期配向
状態から電界方向に液晶分子長軸が完全に揃うような強
い電界を印加した場合が、分子の動く角度が最も大きい
にもかかわらず最も速い。誘電異方性が負の場合も同様
に、初期配向状態から電界方向に液晶分子長軸が完全に
垂直になるような強い電界を印加した場合が、分子の動
く角度が最も大きいにもかかわらず最も速い。
【0039】これは、ネマティック液晶の応答速度が液
晶分子の動く角度や距離で決まるのではなく、図25お
よび図26に示すように、最初に付与されるトルクによ
って決まるからである。図25は完全スイッチングであ
り、図26は中間調スイッチングである。このためベン
ド配向の場合も完全明暗間の応答速度は2ms以下と短
いが、中間調表示間の応答速度は遅くなり、7msを超
える場合もある。
【0040】先に説明した動画ボケの画質改善に必要な
液晶の高速応答は、もちろん全ての中間調表示間におい
て達成されなければならない。
【0041】また、ベンド配向セルは、前述の文献や図
27に示すようにそのベンド配向を形成するためにバイ
アス電圧が必要であり、また視野角が狭いため視野角拡
大用の位相差板が必要である。バイアス電圧は消費電力
の増加につながるので大きな問題である。
【0042】視野角については後で説明するが、フルス
ペックの動画を実現するためには位相差板を用いる方法
では全く不十分でり、またコストの面からも好ましいも
のではない。
【0043】これらの中間調表示の応答速度の不十分
さ、バイアス電圧の必要性、視野角の狭さからベンド配
向セルで動画ボケの画質改善を達成して、フルスペック
の動画を実現する表示装置を得ることはできない。
【0044】ベンド配向セルのバイアス電圧が必要であ
る問題を解決する方法として、HAN配向セルが提案さ
れている。HAN配向セルは、一方基板で液晶を水平配
向させ、他方基板では液晶を垂直配向させるいわゆるハ
イブリッド配向をさせる。こうしてベンド配向の半分の
配向状態をバイアス電圧無しで実現することができる
(T.Saitoh等によるProceedings of Society for Infor
mation Display(SID96)、(1996)p.171 「HAN-LCDs
with Dual Subpixels Fabricated Using a Photopolyme
r Film Exhibitng Wide Viewing Angle 、Fast Res
ponse Time 、and Low Driving Voltage 」(以下文献
7と称する)、あるいは特開平11−14990号公
報)。しかし、ベンド配向セルと同様に、応答速度は中
間調表示に対しては10ms以上と遅く、視野角を広げ
るために位相差板が必要である。
【0045】以上のように、現在報告されている、従来
のTN配向とは別の配向を用いてネマティック液晶の応
答速度を改善する方法では、中間調表示を含めての満足
な高速応答化は無理である。
【0046】次に、視野角について説明する。視野角に
ついては、応答速度ほど絶対的な定量評価は進んでいな
い。これは、画面を視聴する方向が表示装置の画面サイ
ズだけでなく、視聴される場所、形態等に大きく依存す
るためである。しかしながら、前述したように液晶表示
装置がCRTと競合し、将来、CRTに置き換わるに
は、可能な限り広い視野角が必要である。ちなみにCR
Tでは正面方向から観察した場合に対して、輝度が1/
2に低下するまでの範囲を有効な視野角としており、ほ
とんどの機種で±80°が達成されている。
【0047】自発光でない液晶表示装置で広い視野角を
実現するためには、よく知られているようにインプレイ
ンスイッチングさせることが必要である。図28および
図29を用いて従来の液晶のスイッチング(バーティカ
ルスイッチング)(図28)とインプレインスイッチン
グ(図29)の違いについて説明する。
【0048】従来の液晶のスイッチング(バーティカル
スイッチング)では、観察者から見た液晶分子の形状
(正面図)が、スイッチングの2状態で大きく変化す
る。液晶分子は屈折率異方性(n//>n⊥)を有してい
るため、見かけの分子形状の違いが大きいと、実効的な
屈折率異方性の違いも大きくなり、わずかな観察方向の
変化によって2状態間のコントラストや輝度が変化した
り、反転したりする。
【0049】これに対して、インプレインスイッチング
では、観察者から見た液晶分子の形状(正面図)が、ス
イッチングの2状態でほとんど変化しない。このため、
実効的な屈折率異方性が観察方向にほとんど依存せず、
コントラストや輝度といった表示特性が変化しにくく、
広い視野角で安定した表示が得られる。
【0050】これまで説明した従来のTN配向セル、ベ
ンド配向セル、HANセルはいずれもすべてバーティカ
ルスイッチングであり、視野角が狭い。ベンド配向セ
ル、H配向セルでは、上記文献5、上記文献7、あるい
は上記特開平11−14990号公報に示されているよ
うに位相差板を用いて視野角を広げているが、いずれも
正面から±40°程度の範囲でしか、正面の1/2の輝
度が達成されておらず、位相差板を用いているにもかか
わらずCRTの半分の視野角しか達成できていない。も
ちろん、位相差板を使用することはコスト的に好ましく
ない。
【0051】インプレインスイッチングを達成するため
には、図17および図18のような通常の対向基板電極
構造で自発的にインプレインスイッチングする液晶を利
用する方法と、図30のように一方の基板上に正負の櫛
歯電極を形成し、電界を基板に平行に印加して通常のネ
マティック液晶をインプレインスイッチングさせる方法
とがある。対向基板電極構造で自発的にインプレインス
イッチングする液晶としては強誘電性液晶がよく知られ
ている。
【0052】翻って、応答速度については、ネマティッ
ク液晶の櫛歯電極によるインプレインスイッチングセル
の応答速度は、先に説明した各種方式のネマティック液
晶セルよりもさらに遅く、応答速度20ms以上であ
る。通常は、対向電極間に電界を印加するので電極間距
離は長くても5μm程度である。櫛歯電極の場合にも同
程度の電圧で充分な電界を印加しようとすれば、櫛歯の
ピッチを短くしなければならないが、開口率の点から電
極間距離はこれより長くなってしまう。また、櫛歯電極
によるインプレインスイッチングセルでは、図30から
明らかなように、漏れ電界を利用するため、電界が液晶
に有効に印加されない。
【0053】さらに、基板付近の液晶が基板界面に規制
される、いわゆる界面ラッチの効果が大きくなる。この
ような理由から、ネマティック液晶の櫛歯電極によるイ
ンプレインスイッチングセルでは、広い視野角は達成で
きても、高速応答を達成することが困難である。
【0054】また、液晶の配向を改良するだけではな
く、TFT構造も従来の対向基板電極から櫛歯電極に構
造を変更しなければならず、コストの面で好ましくな
い。
【0055】以上説明した通り、これまでは、比較的扱
いやすく問題の少ないネマティック液晶では、高速応答
性およびインプレインスイッチングによる広視野角とい
う重要な問題を解決する手段は無かった。強誘電性液晶
は、高速応答性とインプレインスイッチングによる広視
野角を従来の簡単な対向基板電極構造で達成することが
できるが、前述の通り、特有の多くの問題を抱えてい
る。
【0056】ベンド配向セルやHAN配向セルは、液晶
のフローを制御して応答速度の改善を図ったものである
が、誘電異方性による応答である点は従来のネマティッ
ク液晶と同様である。このため、自発分極による応答で
ある強誘電性液晶に比べて応答速度が遅い。
【0057】誘電異方性によらないネマティック液晶の
応答として、撓電効果(フレクソエレクトリック効果)
が知られている。フレクソエレクトリック効果について
は、D.Demus 等によるHandbook of Liquid crystals 、
vol.1 (1998)p.4939.3.1.3Flexo-Electric Phenomena
(以下文献8と称する)に詳しく説明されているが、
簡単に説明する。
【0058】通常、液晶分子はこれまで表現してきたよ
うに円柱状あるいはよく知られるように細長い楕円状と
して取り扱われる。ただし、これはマクロ的に考えた場
合であり、液晶分子が化合物である限り分子一つ一つの
形状には必ず非対称性が存在する。形状の非対称によ
り、分子レベルでは分極が生じており、形状の非対称性
と分極の関係で可能なものは図31・図32と図33・
図34との2種類がある。一つは分子長軸方向の非対称
性であり涙型分子19と呼ばれるものである(図31・
図32)。もう一つは分子短軸方向の非対称性でありバ
ナナ型分子20と呼ばれるものである(図33・図3
4)。それぞれの形状の分子は矢印で示した方向の分極
21を有している。
【0059】これらの液晶分子が自然な状態で存在して
いる場合には、各々図31や図33のように各分子の分
極も完全にランダムで打ち消しあっている。この状態で
は、液晶分子を通常の円柱状として取り扱うことができ
る。
【0060】しかし、図32や図34のように配向に一
定の変形を与えてやると、分子の配向方向に存在確率の
違いが生じ、外部に分極P22が現れる。涙型分子の場
合は広がり(スプレイ)変形であり、バナナ型分子の場
合は曲がり(ベンド)変形である。
【0061】実際には涙型、バナナ型とはっきり分ける
ことのできる分子は少なく、これらの特徴を併せ持った
図35のような分子がほとんどであり、広がり変形でも
曲がり変形でも区別することなく、何らかの配向変形が
起こると、外部に分極が現れる。
【0062】フレクソエレクトリック効果は、配向変形
による分極の発生だけではなく、上記文献8や、D.Demu
s 等による Handbook of Liquid crystals、vol.2 (19
98)2.4.3 The Molecular Picture (以下文献9と称す
る)にあるように、電界により分子の運動が制限される
ことで微小な分極が生じ、生じた微小な分極と電界との
作用により配向変形が誘起され、より大きな分極が発生
し、さらに配向が変形するという具合に、雪崩式に分極
および配向変形が大きくなるという特徴も有している。
【0063】フレクソエレクトリック効果によるネマテ
ィック液晶の電界応答は、強誘電性液晶の自発分極とは
異なるが、分極による応答なので、従来の誘電異方性に
よる応答よりもかなり高速である。
【0064】フレクソエレクトリック効果を利用した、
液晶の電界応答について既に報告されている技術を説明
する。
【0065】図36に示すように、らせん構造を形成す
るコレステリック液晶のらせん軸に垂直に電界を印加す
ると、らせん軸に対して分子が傾くことが、D.Demus 等
によるHandbook of Liquid crystals 、vol.2 (1998)
2.4.6 The Flexoelectrooptic Effect(以下文献10と
称する)や、J.Patel 等によるJ.Appl.Phys.、66(198
9)p.1879「Fast electro-optic effect based on chol
esteric liquid Crystals」(以下文献11と称する)
に記されている。
【0066】図36ではxy面が基板に相当し、対向す
る基板の間にらせん軸zを基板に平行にしてコレステリ
ック液晶が配向している。
【0067】電界無印加(E=0)状態(図36
(b))では、通常のコレステリック液晶の配向である
が、電界を印加すると、らせん軸はそのままで、液晶分
子がらせん軸に対して傾く(図36(a)・図36
(c))。この変形は局所的な広がり変形と曲がり変形
との組み合わせであることが判っている。この現象は、
上述したように、電界により局所的に微小な分極が生
じ、生じた微小な分極と電界との作用により配向変形が
誘起され、より大きな分極が発生し、さらに配向が変形
するものである。
【0068】この効果について詳しく研究をした、P.Ru
dquist等によるJ.Appl.Phys.、76(1994)P.7778「Line
ar electro-optice effect based on flexoelectricity
ina cholestreric with sign change of dielectric a
nisotropy」(以下文献12と称する)によると、25
°近い傾き角度γが得られることが報告されている。
【0069】分子の傾く方向は電界の方向に依存するの
で、傾き角度γが22.5°であれば、2方向の電界に
より±22.5°のスイッチング、すなわち45°のイ
ンプレインスイッチングが可能であり、クロスニコル偏
光板と組み合わせて理論的に最大のコントラストが得ら
れる。
【0070】応答速度は非常に高速で、100μs程度
である。これは、通常の誘電異方性によるネマティック
液晶の応答速度よりも20倍から100倍も高速であ
る。
【0071】また、分子の傾き角度γは電界強度に対し
て線形に変化するので、アナログ的に無限な中間の状態
を制御することが容易である。また、応答速度は電界強
度に依存せず、一定である。
【0072】ただし、この方式はらせん構造を形成して
いるため、入射光に対して選択反射が生じてしまう。こ
のため、十分な暗状態を得ることができない。また、明
状態も、特定の着色を生じ、完全な白表示とはならな
い。光を高速で変調するだけの光学素子としては魅力的
であるが、表示装置としては不十分である。
【0073】上記文献12には、フレクソエレクトリッ
ク効果を利用した液晶デバイスが、従来の誘電異方性に
よるネマティック液晶よりも非常に高速応答であること
が示されている。その中には、フレクソエレクトリック
効果による高速応答性を十分に発揮させるためには、誘
電異方性Δεの絶対値が小さいことが必要であることが
示されている。この文献12では、誘電異方性の絶対値
|Δε|は0.1以下である。このことは、フレクソエ
レクトリック効果が配向変形により分極を誘起し、誘起
された分極と電界との作用により高速応答性を発揮する
のに対して、誘電異方性は液晶分子を一方向に配向させ
るように働き、配向変形を消滅させようとするため、2
つの効果が相反する性質のものであることを示してい
る。
【0074】表示装置として大きな問題となるらせん構
造を形成しない技術としては、R.Barberi 等によるApp
l.Phys.Left. 、60(1992)p.1085「Flexoelectrically
controlled surface bistable switching in nematic
liquid crystals」(以下文献13と称する)に報告さ
れている、バイステーブルネマティック液晶方式があ
る。
【0075】これは、図37に示すように、2種類の広
がり変形の間を電界の方向によってスイッチングさせる
もので、高速応答とインプレインスイッチングとを両立
する方式として有効である。応答速度は実用的な電圧で
数10μsを達成することができる。
【0076】ただし、この方式は双安定であり、中間調
表示が行えないという問題がある。また、図37から明
らかなように、液晶の配向変化は強誘電性液晶と同じよ
うな運動であり、本来、ネマティック液晶では制御でき
ないものである。
【0077】上記文献13では、SiO2 の斜方蒸着を
配向制御層として用い、蒸着条件(蒸着角度、蒸着膜厚
等)を極めて精密に制御することで、界面の不安定性を
利用して、このようなスイッチングを実現している。こ
の技術については、特表平3−502969号公報に詳
しく説明がなされている。
【0078】ただし、この技術に使われている斜方蒸着
法は、基板が大型になると蒸着角度が基板内で変化して
しまうという基本的な問題を抱えている。また、角度を
付けて蒸着するため、蒸着ターゲットから基板までの距
離を長くする必要があり、必然的に装置が大型化してし
まう。このように斜方蒸着法は生産性の点で非常に問題
が多い。
【0079】また、上記文献13や上記特表平3−50
2969号公報に記載されている蒸着条件は、非常に微
妙なものであり、大面積にわたって均一に達成すること
が極めて困難である。
【0080】このような理由から、この方式は全く実用
にはなっていない。
【0081】また、この方式では電界の無い定常状態に
おいても常に分極が発生しており、強誘電性液晶と同じ
ように焼き付きが発生してしまう。
【0082】青木等による第46回応用物理学関係連合
講演会講演予稿集第3分冊1316項28p−V−9
「ネマチック液晶のフレクソエレクトリック効果を用い
た準双安定横電界モードの最適化」(以下文献14と称
する)には、通常、平行配向を用いるインプレインスイ
ッチング方式に、図38に示すように広がり変形配向を
利用して広視野角の特徴を活かしながら高速応答化を図
る方法(インプレインスプレイ)が記載されている。
【0083】この方法では、通常数10msであったイ
ンプレインスイッチングが数msまでは高速化できる。
しかし、フレクソエレクトリック効果を利用しているに
もかかわらず、基本的にインプレインスイッチングの応
答速度が基板界面ラッチに規制されるため、それ以上の
高速応答化は困難である。
【0084】また、この方式も、電界の無い定常状態に
おいても常に分極が発生しており、強誘電性液晶と同じ
ように焼き付きが発生してしまう。
【0085】このように、これまでは、高速応答、広視
野角、コントラスト、焼き付き等、表示装置として必要
な十分な特性を有する技術は存在しなかった。
【0086】本発明はこのような従来技術の問題を解決
するものであって、高速応答およびインプレインスイッ
チングによる広視野角ではあるが、配向の均一性・耐衝
撃性や焼き付きといった特有の問題を有する強誘電性液
晶ではなく、従来から広く利用されており、比較的扱い
やすく問題の少ないネマティック液晶を用いて、高速応
答化と広視野角化の問題を従来の簡単な対向基板電極構
造で達成し、動画ボケのない、広視野角な液晶表示装置
を提供することを目的としている。
【0087】すなわち、本発明は、1ms以下μsオー
ダーの高速応答性、インプレインスイッチングによる広
視野角特性、十分な高コントラストであり、焼き付きが
無い表示装置を提供するものである。
【0088】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の液晶表示装置は、液晶に光を入射させると
ともに表示画像に応じた信号波形に沿った電界を液晶に
印加して上記電界に応じて液晶の配向状態を変化させる
ことにより上記入射光を変調する液晶表示装置におい
て、液晶が、電界の印加されていない定常状態におい
て、ある広がり変形および捻じれ変形の配向状態を呈し
ており、分極を生じておらず、電界が印加されると、広
がり変形および捻じれ変形に伴う撓電効果によって分極
を生じさせ、この分極により、少なくとも部分的に、上
記電界の印加されていない定常状態のときとは別の、印
加される上記電界に応じた広がり変形および捻じれ変形
へと配向状態を変化させることを特徴としている。
【0089】上記の構成により、電界の印加されない定
常状態において、例えば対向する基板間で、液晶は、広
がり変形および捻じれ変形の配向状態を呈しており、分
極を生じていない。電界を印加すると、広がり変形およ
び捻じれ変形に伴う撓電効果によって分極が生じる。こ
の分極により、液晶は、例えば少なくとも一方の基板近
傍において、上記電界の印加されていない定常状態のと
きとは別の広がり変形および捻じれ変形へと配向状態を
変化させる。強度の異なる別の電界を印加すると、上記
撓電効果によって、この電界の強度に応じた別の分極が
生じる。この分極により、液晶は、例えば少なくとも他
方の基板近傍において、別の広がり変形および捻じれ変
形へと配向状態を変化させる。
【0090】したがって、表示画像に応じた信号波形に
沿った電界を液晶に印加すると、配向状態を変化させる
ことにより上記入射光を変調することができる。
【0091】それとともに、強誘電性液晶ではなく、ネ
マティック液晶のように、電界無印加時に全体として分
極がない(常誘電性等)液晶材料を使用可能である。ま
た、電界を印加するための電極構造も、従来の簡単な対
向基板電極構造のままでよい。
【0092】それとともに、誘電異方性を利用した配向
状態変化ではなく、撓電効果(フレクソエレクトリック
効果)を利用したものであるため、応答が非常に高速で
ある。このため、動画ボケを著しく軽減できる。
【0093】それとともに、上記配向状態の変化はイン
プレインスイッチングである。このため、視野角を広く
できる。
【0094】それゆえ、比較的扱いやすく問題の少ない
ネマティック液晶を用いて、高速応答化と広視野角化の
問題を従来の簡単な対向基板電極構造で達成し、動画ボ
ケのない、広視野角な液晶表示装置を提供することがで
きる。
【0095】上記液晶表示装置は、上記液晶が、基板を
対向させて形成される間隙に配置されるように構成する
ことができる。
【0096】また、上記液晶表示装置は、上記液晶が、
電界が印加された定常状態において、少なくとも一方の
基板近傍において垂直配向あるいは略垂直配向状態であ
る、広がり変形の配向状態であり、別の電界が印加され
た定常状態において、少なくとも他方の基板近傍におい
て垂直配向あるいは略垂直配向状態である、別の広がり
変形の配向状態であるように構成してもよい。
【0097】また、本発明の液晶表示装置は、上記の構
成に加えて、1表示期間において、少なくとも全走査線
のうちの半数の走査線から成る第1の走査線群には第1
の電気信号を送り、残りの第2の走査線群には第2の電
気信号を送り、次の1表示期間においては、第1の走査
線群に第2の電気信号を送り、第2の走査線群には第1
の電気信号を送り、第1の電気信号は表示情報を元に戻
す電界であり、第2の電気信号は表示情報を与える電界
であり、第1の電気信号が印加されて液晶分子がリセッ
トされ、第2の電気信号が印加されて液晶分子がスイッ
チングした後光が入射することを特徴としている。
【0098】上記の構成により、1表示期間において、
少なくとも全走査線のうちの半数の走査線から成る第1
の走査線群には第1の電気信号を送り、残りの第2の走
査線群には第2の電気信号を送る。次の1表示期間にお
いては、第1の走査線群に第2の電気信号を送り、第2
の走査線群には第1の電気信号を送る。第1の電気信号
は表示情報を元に戻す電界であり、第2の電気信号は表
示情報を与える電界であり、全ての周期で、第1の電気
信号が印加されて、液晶分子が十分にリセットされ、第
2の電気信号が印加されて、液晶分子が十分にスイッチ
ングした後、光が入射する。
【0099】つまり、各走査線は、1表示期間において
は、表示情報を元に戻す処理と、表示情報を画素電極に
与える処理とのいずれか一方しか行わない。
【0100】したがって、1表示期間中に表示情報を画
素電極に与える処理の回数を減らすことができるので、
1つあたりの走査線での表示情報を画素電極に与える速
度(立ち上がり速度や立ち下がり速度)をそれほど高速
にする必要がなくなる。
【0101】それゆえ、上記構成による効果に加えて、
動画ボケがなく広視野角な液晶表示装置を、作製の容易
な装置を用いて提供することができる。
【0102】また、本発明の液晶表示装置は、上記の構
成に加えて、1表示期間において、各走査線に第1の電
気信号と第2の電気信号とを交互に送り、第1の電気信
号は表示情報を元に戻す電界であり、第2の電気信号は
表示情報を与える電界であり、第1の電気信号が印加さ
れて液晶分子がリセットされ、第2の電気信号が印加さ
れて液晶分子がスイッチングした後光が入射するもので
あり、上記第1の電気信号と第2の電気信号とは極性が
互いに逆であることを特徴としている。
【0103】上記の構成により、第1の電気信号の印加
によって液晶分子をリセットする際に、電界の印加がオ
フになるのではなく、第2の電気信号とは逆極性の電界
が印加される。
【0104】したがって、電界の印加をオフするのと異
なり、リセット状態への移行を急峻にすることができ
る。
【0105】それゆえ、上記構成による効果に加えて、
応答をより高速にでき、動画ボケをいっそう軽減するこ
とができる。
【0106】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図16に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0107】本実施の形態に係る液晶表示装置は、アク
ティブマトリクス方式であり、図18および図19を用
いてすでに説明したようにして製造できる。このため説
明を省略する。
【0108】本実施の形態に係る液晶表示装置では、液
晶は強誘電性液晶ではなくネマティック液晶を用いてい
る。
【0109】液晶材料の誘電異方性は、フレクソエレク
トリック効果を十分に発揮して高速応答させるため、そ
の絶対値が1より小さいことが好ましく、0.5より小
さいことがより望ましい。
【0110】電界の印加されない定常状態では、図1に
示すように、一方の基板近傍においてプレティルト角θ
pで配向するように配向処理を施し、他方の基板近傍に
おいてプレティルト角−θpで配向するように配向処理
を施す。図1では、xy面が基板面に相当し、z軸は液
晶層の層厚方向に相当する。
【0111】2枚の基板をその配向方向が異なる方位角
ψになるように対向させ、貼り合わせて間隙に液晶を設
置して形成する。
【0112】図1中のpola.は偏光板であり、液晶
を挟むように設置されるとともに、それぞれの偏光方向
がx軸、y軸方向に向けられてクロスニコル配置されて
いる。
【0113】一方基板での液晶の方位角は、一方の偏光
板の偏光軸に平行とされ(図1ではx軸)、他方基板で
の液晶の方位角は、どちらの偏光板の偏光軸とも一致し
ないようになっている。他方基板での液晶の方位角ψは
明表示時の輝度を決定するので、45°とすることで最
大の輝度が得られる。
【0114】この定常状態では、広がり変形と捻れ変形
が生じているので、変形の微小空間ではフレクソエレク
トリック効果により分極が発生しているが、表示装置全
体としては、液晶層の層厚方向(Z方向)に対しての変
形が対称なので、外部には分極が現れない(Pf=
0)。この点で強誘電性液晶とは異なり、焼き付きが発
生することはない。図1中の太矢印は、液晶層の上下半
分で反対方向にフレクソ分極が発生していることを示し
ている。
【0115】この表示装置に直流電界を印加すると、電
界の方向および強度に応じて、フレクソ分極の電界方向
成分が最大になるように、液晶の配向が変形する。
【0116】図2のようにz軸に反対方向に充分強度の
強い負の電界を印加した場合は、捻れ変形が解消され、
一方基板の配向方位角(X軸)に平行な広がり変形に変
化する。電界強度が弱い場合は、図1と図2の中間の捻
れ変形の残った状態に電界強度に応じて配向が変化す
る。図2の広がり変形は、配向の方位角ψが偏光板の偏
光軸に平行であるので、消光状態となり暗表示が得られ
る。
【0117】図3のようにz軸方向に充分強度の強い正
の電界を印加した場合は、捻れ変形が解消され、他方基
板の配向方位角ψに平行な広がり変形に変化する。電界
強度が弱い場合は、図1と図3の中間の捻れ変形の残っ
た状態に電界強度に応じて配向が変化する。図3の広が
り変形は、配向の方位角ψがどちらの偏光板の偏光軸に
も平行でないので、透過状態となり明表示が得られる。
方位角を45°としておくことで最大の輝度が得られ
る。
【0118】強度の異なる電界を印加することで、中間
調も得ることができる。図2の暗表示状態と図3の明表
示状態のみならず、電界無印加の定常状態以外では配向
の対称性が崩れるので、電界無印加の定常状態を除く表
示状態では、必ずフレクソ分極が発生している。このこ
とにより、あらゆる中間調表示状態間のスイッチングを
高速で行うことができる。なお、ここで、スイッチング
とは、液晶の配向状態が印加電界に応じて変化すること
である。
【0119】一方で、表示を行わない電界無印加の定常
状態では分極は打ち消し合い、外部に現れないので、焼
き付きは発生しない。
【0120】観察者にとって、この表示装置のスイッチ
ングは、図4のごとくインプレインスイッチングであ
り、広視野角の表示を得ることができる。
【0121】プレティルト角θpは電界無印加の定常状
態の広がり変形の大きさを決定する。広がり変形が大き
いほど微少空間で発生するフレクソ分極は大きくなり、
より応答速度を速くすることができる。
【0122】広がり変形を最大にする点からは、プレテ
ィルト角は45°が理想である。プレティルト角が45
°を超えると広がり変形よりも曲がり変形が安定となっ
てしまう。曲がり変形でもフレクソ分極は発生するが、
本実施の形態のようなスイッチングは発生しないので、
避けられなければならない。ただし、45°のプレティ
ルト角は理想であるが、上述のように広がり変形と曲が
り変形の臨界であるため、信頼性の点で問題がある。そ
のため、表示性能を十分発揮させ、信頼性の点でも問題
を生じさせないためには、プレティルト角を40°以上
で45°より小さくすることが好ましい。そして、プレ
ティルト角は45°を超えない範囲で、より高い値であ
ることが高速応答性の点から好ましい。
【0123】プレティルト角が小さい場合には、発生す
る分極が小さくなり、応答速度が遅くなるが、一般にプ
レティルト角が大きいほど配向処理は安定作製が困難に
なる。
【0124】上記文献8、文献9、文献12にあるよう
に、フレクソ分極による電界応答の応答速度は、フレク
ソ分極の大きさに比例することはもちろん、液晶の粘性
に反比例することも特徴である。そのため、液晶の粘性
が低く、上述のような高いプレティルト角でなくても十
分な高速応答が達成できる場合には、安定作製の困難な
高いプレティルト角を避けて、5°以上のプレティルト
角なら適用することが可能である。このような場合は、
プレティルト角は5°以上、すなわち5°以上で45°
未満であればよい。すなわち、液晶の粘性が20cP
(センチポアズ)〜30cPであれば、プレティルト角
が5°以上40°以下であっても充分高速応答が可能と
なる。
【0125】表1にこれまで説明した各種表示方式の特
徴をまとめた。コントラスト、輝度等、改善の可能性の
あるものは比較せず、本質的な性能のみを比較した。表
中、応答速度は、立ち上がり、立ち下がり、中間調表
示、すべての場合で、最も速い場合〜最も遅い場合で表
記した。また、視野角は、インプレインスイッチングす
るものを○、そうでないものを×とした。
【0126】
【表1】
【0127】表中、コレステリックは螺旋構造を形成し
ているので、本質的に選択反射を生じてしまい、コント
ラストは極めて悪い。表示装置以外の光変調装置にしか
応用できないものである。
【0128】また、表1には記載していないが、強誘電
性液晶は前述の通り、層構造に由来する、配向均一性の
困難さや耐衝撃性の弱さといった特有の多くの問題を有
している。
【0129】表1から明らかなように、本実施の形態に
より、高速応答性、広視野角特性、中間調表示が可能
で、これまで問題であった動画ボケの無い液晶表示装置
を提供することができる。この表示装置は、非表示時に
おける画像焼き付きが無いため、信頼性の点でも満足で
きるものである。
【0130】次に、このような高速応答性の液晶表示装
置で、動画ボケの無いインパルス型の表示を行う方法に
ついて説明する。
【0131】図5に示すように、1表示期間16.7m
s内に、まず、表示情報をリセットする第1信号を全走
査ラインに対して印加走査する。ここでは、表示信号を
印加しない時を暗状態とし、表示信号により対象となる
画素を明状態とするノーマリーブラックを考える。な
お、ここで、リセットとは、液晶が、電界無印加時の配
向状態へ戻ることである。
【0132】続いて、表示信号である第2信号を全走査
ラインに対して印加走査する。ここで、各画素の液晶が
図5のように信号が入力された後、次の信号が入力され
るまでに確実に、立ち下がり・立ち上がりともに十分応
答すれば、最終走査ライン(第nライン)の液晶が十分
にスイッチングした後に、光源を点灯することにより、
全画面で均一なインパルス型表示を行うことができる。
【0133】図5からわかるように、第2信号で表示情
報を書き込んでいる間に表示情報がリセットされればよ
いので、立ち下がり応答はさほど高速でなくてもよい。
ただし、1表示期間に2回の走査を行うため、同じ表示
容量(走査ライン数)の表示を行うためには、ゲートO
N時間が現在のαSi−TFTよりも高速でなければな
らない。
【0134】前述の通り、光源点灯期間Tが4msであ
り、走査ライン数nを1000とすると、ゲートON時
間tは、 t=(16.7ms−τ−T)/(2×n) なので、液晶の応答速度τが0であっても、 t≦(16.7ms−4ms−0)/(2×n)=6.
35μs≒6μs となり、液晶の応答速度τが0であっても、ゲートON
時間tは6μs以下でなければならない。
【0135】αSi−TFTのゲートON時間は約10
μsであるため、直接HDTVの動画表示を行うことは
無理である。ただ、このタイプの表示方法では、上の式
から、走査ライン数525本のSDTVであれば、ゲー
トON時間tは12μsとなり、αSi−TFTでも実
現することができる。
【0136】ここで、上下分割駆動を行うことにより、
走査ライン数1000本のHDTV表示を行うことがで
きる。液晶の立ち上がり応答速度τは、2.7ms以下
でなければならない。液晶の立ち下がり応答速度は、5
00本分の10μsのゲートON時間、すなわち5ms
以下でなければならない。これは、本実施の形態以外
の、従来のネマティック液晶でも、既に報告されている
応答速度では不十分であるが、更なる改良で達成できる
可能性のある応答速度である。ただし、この方式では上
下分割駆動が必ず必要であり、駆動ドライバーの数が2
倍になってしまう。液晶表示装置においてドライバーの
数はもっとも製造コストに影響するものでであり、大き
な問題である。言い換えれば、本表示方式は、応答速度
がそれほど速くなくてもよいが、製造コストの面で大き
な問題がある。
【0137】別のインパルス型の表示方法について説明
する。
【0138】図6に示すように、1表示期間16.7m
s内に全走査線のうちの半数の走査線すなわち(第L1
(1)ライン、第L1 (2)ライン、第L1 (3)ライ
ン、…)から成る第1の走査線群に第1の電気信号を送
り、残りの第2の走査線群すなわち(第L2 (1)ライ
ン、第L2 (2)ライン、第L2 (3)ライン、…)に
は第2の電気信号を送り、次の1表示期間においては、
第1の走査線群に第2の電気信号を送り、第2の走査線
群には第1の電気信号を送る。いわゆるインターレース
表示を行う。
【0139】前述の方法と同様に、第1の電気信号は表
示情報をリセットする信号であり、第2の電気信号は表
示情報を与える電界である。
【0140】ここでも表示信号を印加しない時を暗状態
とし、表示信号により対象となる画素を明状態とするノ
ーマリーブラックを考える。
【0141】各表示期間において、表示信号である第2
信号が印加された画素が、表示情報をリセットする信号
である第1の電気信号が次に入力されるまでに確実に立
ち上がり、表示情報をリセットする信号である第1の電
気信号が印加された画素が、表示信号である第2信号が
次に入力されるまでに確実に立ち下がれば、第1の走査
線群と第2の走査線群のそれぞれの最終走査ラインの液
晶が十分にスイッチングした後に光源を点灯することに
より、全画面で均一なインパルス型表示を行うことがで
きる。
【0142】図6からわかるように、この表示方式で
は、走査線数は実質的に増えることがないので、TFT
は従来の性能で問題無く、ゲートON時間が10μsで
ある現在のαSi−TFTでよい。表示容量は同じよう
に1000本走査とする。
【0143】ただし、液晶の応答速度は立ち上がりだけ
でなく、立ち下がりも同等に高速でなければならない。
【0144】この応答速度は前述の通り2.7ms以下
でなければならない。表1から、本実施の形態の表示方
式が最適であることがわかる。特に、立ち下がりの応答
速度は、現在のネマティック液晶では、達成することは
かなり困難である。
【0145】さらに、全ての中間調表示間の応答速度を
2.7ms以下にするためには、大型基板でのTFT性
能のバラツキ等を考慮すると、単純な立ち上がり、立ち
下がりは1msを大きく下回って100μs程度である
ことが好ましい。
【0146】高速応答の液晶を使用した場合でも、液晶
の立ち下がり応答速度が遅い場合には、図5の表示方式
において、TFTドライバーの数を増やすことにより上
下分割駆動方式を採用すれば、目標とするHDTVのイ
ンパルス型表示を行うことができるが、これは製造コス
ト的に問題がある。
【0147】液晶が、立ち上がり・立ち下がりともに高
速応答であれば、TFTドライバーに負担を掛けない
で、目標とするHDTVのインパルス型表示を行うこと
ができる。この点で、本実施の形態の表示装置は、より
優れたものである。
【0148】実施例に基づき、さらに本発明を詳しく説
明する。なお、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0149】
【実施例】〔誘電異方性の測定〕まずはじめに、ネマテ
ィック液晶MLC−6062(メルク社製)の誘電異方
性を測定した。
【0150】ガラス上に1cm×1cmの正方形のIT
O電極を形成した基板に、図19のように絶縁膜として
Ta2 5 を1000Å成膜し、続いてその上に配向膜
材料としてPVA(ポリビニルアルコール)の水溶液を
スピンコート法により250Å塗布し、120℃で60
分焼成して成膜した。
【0151】同様の基板をもう1枚作製し、これらの基
板にラビング処理を施した。50μm径のスペーサーを
間に挟んでこれらの基板を貼り合わせた。この際に、ラ
ビング方向が同一になるようにした(パラレルラビン
グ)。
【0152】空セルの状態で静電容量を測定した後、M
LC−6062を基板の間隙に毛細管現象により注入
し、注入孔を封止して完成した。
【0153】クロスニコルの偏光顕微鏡下でセルを回転
させながら観察したところ、45°毎に暗視野と明視野
が入れ替わり、一様な水平配向であることが確認され
た。
【0154】ガラス上に1cm×1cmの正方形のIT
O電極を形成した基板に、図19のように絶縁膜として
Ta2 5 を1000Å成膜し、続いてその上に配向膜
材料としてシランカップリング剤DMOAPをスピンコ
ート法により250Å塗布し、150℃で60分焼成し
て成膜した。
【0155】同様の基板をもう1枚作製した。50μm
径のスペーサーを間に挟んでこれらの基板を貼り合わせ
た。
【0156】空セルの状態で静電容量を測定した後、M
LC−6062を基板の間隙に毛細管現象により注入
し、注入孔を封止して完成した。
【0157】クロスニコルの偏光顕微鏡下でセルを回転
させながら観察したところ、常に暗視野であり、一様な
垂直配向であることが確認された。
【0158】これらの水平配向セルと垂直配向セルとの
静電容量を測定し、それぞれの空セルの静電容量との比
から、分子長軸方向の比誘電率ε//と分子短軸方向の比
誘電率ε⊥とを求め、その差から誘電異方性を求めた。
【0159】このようにして求めた、ネマティック液晶
MLC−6062の誘電異方性Δεは非常に小さく、
0.2であった。
【0160】〔実施例1〕 〔液晶表示素子の作製〕ガラス上に1cm×1cmの正
方形のITO電極を形成した基板に、図19のように絶
縁膜としてTa2 5 を1000Å成膜し、続いてその
上に配向膜材料としてポリイミドRN715(日産化学
社製)をNMPを溶媒として、スピンコート法により2
50Å塗布し、190℃で60分焼成して成膜した。
【0161】同様の基板をもう1枚作製し、これらの基
板にラビング処理を施した。50μm径のスペーサーを
間に挟んでこれらの基板を貼り合わせた。この際に、ラ
ビング方向が180°異なるようにした(アンチパラレ
ルラビング)。
【0162】ネマティック液晶MLC−6062を基板
の間隙に毛細管現象により注入し、注入孔を封止して完
成した。
【0163】このセルのプレティルト角を磁場容量法に
よって測定したところ、45°であった。
【0164】同様の基板をもう1組作製し、これらの基
板に上記と同じ条件でラビング処理を施した。5μm径
のスペーサーを間に挟んでこれらの基板を貼り合わせ
た。この際に、ラビング方向が45°異なるようにし
た。
【0165】ネマティック液晶MLC−6062を基板
の間隙に毛細管現象により注入し、注入孔を封止して完
成した。
【0166】この液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察した
ところ、ディスクリネーション(同位線)によって区別
された、2種類の配向状態が観察された。クロスニコル
下で、一方の配向状態は消光位置を示さず、もう一方の
配向状態は消光位置を示した。これにより、消光位置を
示さない配向状態は、広がり変形とねじれ変形による配
向であり、消光位置を示す配向状態は、曲がり変形であ
ることがわかった。
【0167】2種類の配向状態が混在するこの液晶表示
素子に電界を印加したところ、広がり変形とねじれ変形
の配向部分は、透過光強度が変化し、配向が変化してい
ることが確認されたが、曲がり変形の配向部分は透過光
が変化することがなく、配向が変化していないことが確
認された。
【0168】広がり変形と捻じれ変形の配向部分に注目
して、図1のように一方基板のラビング方向に一方偏光
板の偏光軸を一致させる配置とした。この状態では透過
光が生じており、消光はしていない。
【0169】印加する電界を電圧値10V、印加時間1
sの直流電界として、その極性を変化させながら観察す
ると、一方の極性では透過光が消滅して消光したのに対
して、もう一方の極性では電界無印加時よりさらに透過
光が増加した。
【0170】〔電界印加方法(1)および特性測定〕こ
の液晶表示素子に、図7のようにパルス幅100msの
直流電界を1sおくごとに極性を入れ替えながら印加
し、電圧を変化させながら、応答速度と透過光強度を測
定した。
【0171】透過光強度は光電子増倍管の出力電圧とし
て測定し、液晶表示素子の無い場合の偏光板のクロスニ
コルの時の強度を0%、パラレルニコルの時の強度を1
00%として、液晶表示素子を設置して電界を印加した
場合の強度をその間の相対値として定義した。TSは電
界無印加の場合の定常状態の透過光強度である。
【0172】図7に示すように、透過光強度は、パルス
電界の極性と電圧に追従するように、電界無印加の場合
の定常状態の透過光強度TSを中心に変化した。
【0173】図8に図7の時間軸を拡大して示す。T
B、TDはそれぞれ、電界無印加の場合の定常状態の透
過光強度TSに対して明状態(Bright)側の透過
光強度、暗状態(Dark)側の透過光強度であること
を表している。
【0174】透過光強度は印加電界に対して、有限の応
答速度を示した。応答速度は、電界が印加された場合
(立ち上がり)と除去された場合(立ち下がり)とで異
なる値であった。
【0175】図8に示すように、透過光強度が明るくな
る正極性の電界に対して、立ち上がり応答速度をτr
B、立ち下がり応答速度をτdBと定義し、透過光強度
が暗くなる負極性の電界に対して、立ち上がり応答速度
をτrD、立ち下がり応答速度をτdDと定義する。ま
た、τrBとτrDとをτrと総称し、τdBとτdD
とをτdと総称する。電圧を変化させて、これらの応答
速度と透過光強度を測定した結果を図9、図10、図1
1に示す。
【0176】透過光強度は、図9に示すように、電界無
印加時の定常状態を中心にして、電界の方向と電圧によ
り、暗状態と明状態とに変化し、中間調表示も得ること
ができる。電圧値+5Vの場合の透過光強度(最明状
態)と−5Vの場合の透過光強度(最暗状態)との比か
らコントラスト比を求めたところ、500以上という非
常に高いコントラスト比であった。
【0177】立ち上がりの応答速度τrは、図10に示
すように約100μsで、電界の極性にも、電圧にも依
存しない。立ち下がりの応答速度τdは、図11に示す
ように約3ms〜12msで、電界の極性には依存しな
いが、電圧が高いほど遅くなる。
【0178】従来、ネマティック液晶では不可能であっ
た、100μs程度の立ち上がり応答速度を達成するこ
とができた。この液晶表示素子のスイッチングを、クロ
スニコル偏光顕微鏡でセルを回転させながら観察したと
ころ、+5V印加時の最明状態も、−5V印加時の最暗
状態も、どちらも45°毎に消光位置が現れ、インプレ
インスイッチングであることが確認された。
【0179】〔電界印加方法(2)および特性測定〕こ
の液晶表示素子に、図12のようにパルス幅100ms
の双極性電界を1sおくごとに電界強度を増加させなが
ら印加し、電圧を変化させながら、応答速度と透過光強
度を測定した。
【0180】透過光強度は光電子増倍管の出力電圧とし
て測定し、液晶表示素子の無い場合の偏光板のクロスニ
コルの時の強度を0%、パラレルニコルの時の強度を1
00%として、液晶表示素子を設置して電界を印加した
場合の強度をその間の相対値として定義した。TSは電
界無印加の場合の定常状態の透過光強度である。
【0181】図12に示すように、透過光強度は、パル
ス電界の極性と電圧に追従するように、電界無印加の場
合の定常状態の透過光強度TSを中心に変化した。
【0182】図13に図12の時間軸を拡大して示す。
TB、TDはそれぞれ、電界無印加の場合の定常状態の
透過光強度TSに対して明状態(Bright)側の透
過光強度、暗状態(Dark)側の透過光強度であるこ
とを表している。
【0183】透過光強度は印加電界に対して、有限の応
答速度を示した、応答速度は電界が印加された場合(立
ち上がり)と逆極性側に反転させた場合(立ち下がり)
とでほぼ同じ値であった。
【0184】図13に示すように、透過光強度が明るく
なる正極性の電界に対して、立ち上がり応答速度τr、
透過光強度が暗くなる負極性の電界に対して、立ち下が
り応答速度τdを定義する。電圧を変化させて、これら
の応答速度と透過光強度を測定した結果を図14、図1
5、図16に示す。
【0185】透過光強度は、図14に示すように、電界
無印加時の定常状態を中心にして、電界の方向と電圧に
より、暗状態と明状態に変化し、中間調表示も得ること
ができる。電圧値+5Vの場合の透過光強度(最明状
態)と−5Vの場合の透過光強度(最暗状態)との比か
らコントラスト比を求めたところ、500以上という非
常に高いコントラスト比であった。
【0186】立ち上がりの応答速度τrは、図15に示
すように約100μsで、電圧に依存しない。立ち下が
りの応答速度τdも、図16に示すように約100μs
で、電圧に依存しない。
【0187】従来、ネマティック液晶では不可能であっ
た、100μs程度の立ち上がり、立ち下がり応答速度
を達成することができた。
【0188】電界印加方法(1)のような電界の除去に
よる立ち下がり応答は、通常の方式のネマティック液晶
と同様に粘性緩和であるため、応答速度が遅くなってし
まう。一方、本方法のように、逆方向電界により強制的
に立ち下げれば、立ち上がり応答と同じ高速応答を達成
することができる。本発明のフレクソ分極を利用した液
晶液晶表示素子の駆動方式として有効な手法である。
【0189】この液晶表示素子のスイッチングを、クロ
スニコル偏光顕微鏡でセルを回転させながら観察したと
ころ、+5V印加時の最明状態も、−5V印加時の最暗
状態も、どちらも45°毎に消光位置が現れ、インプレ
インスイッチングであることが確認された。
【0190】〔液晶表示装置の作製(1)〕上記液晶表
示素子を用いて、走査ライン数1000本のαSi−T
FT基板とカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置
を作製した。
【0191】上下分割駆動方式により、映像信号を入力
して表示を行った。消去信号である第1信号は電界印加
方法(1)に従いゼロ電圧とした。
【0192】上下分割駆動方式では、立ち上がり応答速
度は2.7ms以下、立ち下がり応答速度は5ms以下
でなければならない。立ち上がり応答速度は全く問題無
く、立ち下がり応答速度も3ms〜12msであるた
め、概して動画ボケのないシャープな動画像を表示する
ことができ、従来の液晶表示装置に比較して格段に画質
改善が確認された。
【0193】しかし、信号電圧によっては、立ち下がり
応答速度が不足するので一部の映像シーンによっては完
全には動画ボケが改善されなかった。
【0194】視野角を変化させて特性を測定したとこ
ろ、左右80°という非常に広い範囲で、コントラス
ト、輝度がともに正面方向に対して50%以下に低下す
ることがなく、従来の液晶表示装置には無い広視野角特
性であった。
【0195】〔液晶表示装置の作製(2)〕上記液晶表
示素子を用いて、走査ライン数1000本のαSi−T
FT基板とカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置
を作製した。
【0196】上下分割駆動の必要の無い、図6の走査方
式により、映像信号を入力して表示を行った。消去信号
である第1信号は、電界印加方法(2)に従い、表示信
号である第2信号の逆極性信号とした。
【0197】図6の走査方式では、立ち上がり応答速
度、立ち下がり応答速度とも2.7ms以下でなければ
ならない。立ち上がり応答速度、立ち下がり応答速度と
も全く問題無く、動画ボケのないシャープな動画像を表
示することができ、従来の液晶表示装置に比較して格段
に画質改善が確認された。
【0198】視野角を変化させて特性を測定したとこ
ろ、左右80°という非常に広い範囲で、コントラス
ト、輝度がともに正面方向に対して50%以下に低下す
ることがなく、従来の液晶表示装置には無い広視野角特
性であった。
【0199】〔実施例2〕 〔液晶表示素子の作製〕ラビング条件を変えた以外は、
実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。実施例
1と本実施例とでは、ラビングについては、他の条件は
同じであるが、実施例1では2回、本実施例では5回の
ラビングを施した。
【0200】このセルのプレティルト角を磁場容量法に
よって測定したところ、42°であった。
【0201】同様の基板をもう1組作製し、これらの基
板に上記と同じ条件でラビング処理を施した。5μm径
のスペーサーを間に挟んでこれらの基板を貼り合わせ
た。この際に、ラビング方向が45°異なるようにし
た。
【0202】この液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察した
ところ、実施例1のようなディスクリネーション(同位
線)は観察されず、一様な配向状態であった。クロスニ
コル下で、この配向状態は消光位置を示さず、広がり変
形とねじれ変形による配向であることがわかった。
【0203】電界を印加したところ、透過光強度が変化
し、配向が変化していることが確認された。
【0204】図1のように一方基板のラビング方向に一
方偏光板の偏光軸を一致させる配置とした。この状態で
は透過光が生じており、消光はしていない。
【0205】印加する電界を電圧値10V、印加時間1
sの直流電界として、その極性を変化させながら観察す
ると、一方の極性では透過光が消滅して消光したのに対
して、もう一方の極性では電界無印加時よりさらに透過
光が増加した。
【0206】〔電界印加方法(1)および特性測定〕こ
の液晶表示素子に、実施例1と同様に、図7のようにパ
ルス幅100msの直流電界を1sおくごとに極性を入
れ替えながら印加し、電圧を変化させながら、応答速度
と透過光強度を測定した。透過光強度の測定および定義
は実施例1と同様である。その結果、定性的には実施例
1と同様に図7および図8に示すような結果が得られ
た。TS、TB、TD、τrB、τdB、τrD、τd
D、τr、τdの定義は実施例1と同様である。
【0207】すなわち、図7に示すように、透過光強度
は、パルス電界の極性と電圧とに追従するように、電界
無印加の場合の定常状態の透過光強度TSを中心に変化
した。
【0208】図8に示すように、透過光強度は、印加電
界に対して、有限の応答速度を示した。応答速度は、電
界が印加された場合(立ち上がり)と除去された場合
(立ち下がり)とで異なる値であった。
【0209】電圧を変化させて、これらの応答速度と透
過光強度を測定したところ、実施例1で測定された図
9、図10、図11と定性的に同様な特性であった。
【0210】透過光強度は、図9に示すように、電界無
印加時の定常状態を中心にして、電界の方向と電圧によ
り、暗状態と明状態に変化し、中間調表示も得ることが
できる。電圧値+5Vの場合の透過光強度(最明状態)
と−5Vの場合の透過光強度(最暗状態)の比からコン
トラスト比を求めたところ、500以上という非常に高
いコントラスト比であった。
【0211】立ち上がりの応答速度τrは、実施例1の
図10よりわずかに遅く約120μsで、電界の極性に
も、電圧にも依存しない。立ち下がりの応答速度τd
は、図11に示すように約3ms〜12msで、電界の
極性には依存しないが、電圧が高いほど遅くなる。従
来、ネマティック液晶では不可能であった、120μs
程度の立ち上がり応答速度を達成することができた。
【0212】この液晶表示装置のスイッチングを、クロ
スニコル偏光顕微鏡でセルを回転させながら観察したと
ころ、+5V印加時の最明状態も、−5V印加時の最暗
状態も、どちらも45°毎に消光位置が現れ、インプレ
インスイッチングであることが確認された。
【0213】プレティルト角をわずかに小さくすること
で、応答速度は遅くなるが、均一な配向の表示装置を得
ることができる。また、応答速度の劣化は実用的には問
題の無い範囲である。
【0214】〔電界印加方法(2)および特性測定〕こ
の液晶表示素子に、図12のようにパルス幅100ms
の双極性電界を1sおくごとに電界強度を増加させなが
ら印加し、電圧を変化させながら、応答速度と透過光強
度を測定した。透過光強度の測定および定義は実施例1
と同様である。その結果、定性的には実施例1と同様に
図12および図13に示すような結果が得られた。T
S、TB、TD、τrB、τdB、τrD、τdD、τ
r、τdの定義は実施例1と同様である。
【0215】すなわち、図12に示すように、透過光強
度は、パルス電界の極性と電圧に追従するように、電界
無印加の場合の定常状態の透過光強度TSを中心に変化
した。
【0216】図13に示すように、透過光強度は、印加
電界に対して有限の応答速度を示した。応答速度は、電
界が印加された場合(立ち上がり)と逆極性側に反転さ
せた場合(立ち下がり)でほぼ同じ値であった。
【0217】電圧を変化させて、これらの応答速度と透
過光強度を測定した結果、実施例1で測定された図1
4、図15、図16と定性的に同様な特性であった。
【0218】透過光強度は、図14に示すように、電界
無印加時の定常状態を中心にして、電界の方向と電圧に
より、暗状態と明状態に変化し、中間調表示も得ること
ができる。電圧値+5Vの場合の透過光強度(最明状
態)と−5Vの場合の透過光強度(最暗状態)の比から
コントラスト比を求めたところ、500以上という非常
に高いコントラスト比であった。
【0219】立ち上がりの応答速度τrは、図15に示
すよりわずかに遅く約120μsで、電圧に依存しな
い。立ち下がりの応答速度τdも、図16に示すよりわ
ずかに遅く約120μsで、電圧に依存しない。従来、
ネマティック液晶では不可能であった、120μs程度
の立ち上がり、立ち下がり応答速度を達成することがで
きた。
【0220】上記電界印加方法(1)のような電界の除
去による立ち下がり応答は、通常の方式のネマティック
液晶と同様に粘性緩和であるため、応答速度が遅くなっ
てしまう。一方、本方法のように、逆方向電界により強
制的に立ち下げれば、立ち上がり応答と同じ高速応答を
達成することができる。本発明のフレクソ分極を利用し
た液晶表示装置の駆動方式として有効な手法である。
【0221】この液晶表示装置のスイッチングを、クロ
スニコル偏光顕微鏡でセルを回転させながら観察したと
ころ、+5V印加時の最明状態も、−5V印加時の最暗
状態も、どちらも45°毎に消光位置が現れ、インプレ
インスイッチングであることが確認された。
【0222】プレティルト角をわずかに小さくすること
で、応答速度は遅くなるが、均一な配向の表示装置を得
ることができる。また、応答速度の劣化は実用的には問
題の無い範囲である。
【0223】〔液晶表示装置の作製(1)〕上記液晶表
示素子を用いて、走査ライン数1000本のαSi−T
FT基板とカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置
を作製した。
【0224】上下分割駆動方式により、映像信号を入力
して表示を行った。消去信号である第1信号は電界印加
方法(1)に従いゼロ電圧とした。
【0225】上下分割駆動方式では、立ち上がり応答速
度は2.7ms以下、立ち下がり応答速度は5ms以下
でなければならない。立ち上がり応答速度は全く問題無
く、立ち下がり応答速度も3ms〜12msであるた
め、概して動画ボケのないシャープな動画像を表示する
ことができ、従来の液晶表示装置に比較して格段に画質
改善が確認された。
【0226】しかし、信号電圧によっては、立ち下がり
応答速度が不足するので、一部の映像シーンによって
は、完全には動画ボケが改善されなかった。
【0227】視野角を変化させて特性を測定したとこ
ろ、左右80°という非常に広い範囲で、コントラス
ト、輝度がともに正面方向に対して50%以下に低下す
ることがなく、従来の液晶表示装置には無い広視野角特
性であった。
【0228】〔液晶表示装置の作製(2)〕上記液晶表
示素子を用いて、走査ライン数1000本のαSi−T
FT基板とカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置
を作製した。
【0229】上下分割駆動の必要の無い、図6の走査方
式により、映像信号を入力して表示を行った。消去信号
である第1信号は、電界印加方法(2)に従い、表示信
号である第2信号の逆極性信号とした。
【0230】図6の走査方式では、立ち上がり応答速
度、立ち下がり応答速度とも2.7ms以下でなければ
ならない。立ち上がり応答速度、立ち下がり応答速度と
も全く問題無く、動画ボケのないシャープな動画像を表
示することができ、従来の液晶表示装置に比較して格段
に画質改善が確認された。
【0231】視野角を変化させて特性を測定したとこ
ろ、左右80°という非常に広い範囲で、コントラス
ト、輝度がともに正面方向に対して50%以下に低下す
ることがなく、従来の液晶表示装置には無い広視野角特
性であった。
【0232】〔実施例3〕 〔液晶表示素子の作製〕ラビング条件を変えた以外は、
実施例2と同様にして液晶表示素子を作製した。実施例
2と本実施例とでは、ラビングについては、他の条件は
同じであるが、実施例2では5回、本実施例では10回
のラビングを施した。
【0233】このセルのプレティルト角を磁場容量法に
よって測定したところ5°であった。
【0234】同様の基板をもう1組作製し、これらの基
板に上記と同じ条件でラビング処理を施した。5μm径
のスペーサーを間に挟んでこれらの基板を貼り合わせ
た。この際に、ラビング方向が45°異なるようにし
た。
【0235】この液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察した
ところ、実施例1のようなディスクリネーション(回位
線)は観察されず、一様な配向状態であった。クロスニ
コル下で、この配向状態は消光位置を示さず、広がり変
形とねじれ変形による配向であることがわかった。
【0236】電界を印加したところ、透過光強度が変化
し、配向が変化していることが確認された。
【0237】図1のように一方基板のラビング方向に一
方偏光板の偏光軸を一致させる配置とした。この状態で
は透過光が生じており、消光はしていない。
【0238】印加する電界を電圧値10V、印加時間1
sの直流電界として、その極性を変化させながら観察す
ると、一方の極性では透過光が消滅して消光したのに対
して、もう一方の極性では電界無印加時よりさらに透過
光が増加した。
【0239】〔電界印加方法(1)および特性測定〕こ
の液晶表示素子に、実施例1と同様に、図7のようにパ
ルス幅100msの直流電界を1sおくごとに極性を入
れ替えながら印加し、電圧を変化させながら、応答速度
と透過光強度を測定した。透過光強度の測定および定義
は実施例1と同様である。その結果、定性的には実施例
1と同様に図7および図8に示すような結果が得られ
た。TS、TB、TD、τrB、τdB、τrD、τd
D、τr、τdの定義は実施例1と同様である。
【0240】すなわち、図7に示すように、透過光強度
は、パルス電界の極性と電圧とに追従するように、電界
無印加の場合の定常状態の透過光強度TSを中心に変化
した。
【0241】図8に示すように、透過光強度は印加電界
に対して、有限の応答速度を示した。応答速度は、電界
が印加された場合(立ち上がり)と除去された場合(立
ち下がり)で異なる値であった。
【0242】電圧を変化させて、これらの応答速度と透
過光強度を測定したところ、実施例1で測定された図
9、図10、図11と定性的に同様な特性であった。
【0243】透過光強度は、図9に示すように、電界無
印加時の定常状態を中心にして、電界の方向と電圧によ
り、暗状態と明状態に変化し、中間調表示も得ることが
できる。電圧値+5Vの場合の透過光強度(最明状態)
と−5Vの場合の透過光強度(最暗状態)の比からコン
トラスト比を求めたところ、500以上という高いコン
トラスト比であった。
【0244】立ち上がりの応答速度τrは、実施例2の
図10より遅く約1msで、電界の極性にも、電圧にも
依存しない。立ち下がりの応答速度τdは、図11に示
すように約3ms〜12msで、電界の極性には依存し
ないが、電圧が高いほど遅くなる。
【0245】この液晶表示装置のスイッチングを、クロ
スニコル偏光顕微鏡でセルを回転させながら観察したと
ころ、+5V印加時の最明状態も、−5V印加時の最暗
状態も、どちらも45°毎に消光位置が現れ、インプレ
インスイッチングであることが確認された。
【0246】プレティルト角を小さくすることで、応答
速度は遅くなるが、均一な配向の表示装置を得ることが
できる。また、応答速度の劣化は実用的な範囲である。
【0247】〔電界印加方法(2)および特性測定〕こ
の液晶表示素子に、図12のようにパルス幅100ms
の双極性電界を1sおくごとに電界強度を増加させなが
ら印加し、電圧を変化させながら、応答速度と透過光強
度を測定した。透過光強度の測定および定義は実施例1
と同様である。その結果、定性的には実施例1と同様に
図12および図13に示すような結果が得られた。T
S、TB、TD、τrB、τdB、τrD、τdD、τ
r、τdの定義は実施例1と同様である。
【0248】すなわち、図12に示すように、透過光強
度は、パルス電界の極性と電圧に追従するように、電界
無印加の場合の定常状態の透過光強度TSを中心に変化
した。
【0249】図13に示すように、透過光強度は印加電
界に対して、有限の応答速度を示した。応答速度は電界
が印加された場合(立ち上がり)と逆極性側に反転させ
た場合(立ち下がり)でほぼ同じ値であった。
【0250】電圧を変化させて、これらの応答速度と透
過光強度を測定した結果、実施例1で測定された図1
4、図15、図16と定性的に同様な特性であった。
【0251】透過光強度は、図14に示すように、電界
無印加時の定常状態を中心にして、電界の方向と電圧に
より、暗状態と明状態に変化し、中間調表示も得ること
ができる。電圧値+5Vの場合の透過光強度(最明状
態)と−5Vの場合の透過光強度(最暗状態)の比から
コントラスト比を求めたところ、500以上という高い
コントラスト比であった。
【0252】立ち上がりの応答速度τrは、図15に示
すより遅く約1msで、電圧に依存しない。立ち下がり
の応答速度τdも、図16に示すより遅く約1msで、
電圧に依存しない。
【0253】上記電界印加方法(1)のような電界の除
去による立ち下がり応答は、通常の方式のネマティック
液晶と同様に粘性緩和であるため、応答速度が遅くなっ
てしまう。一方、本方法のように、逆方向電界により強
制的に立ち下げれば、立ち上がり応答と同じ高速応答を
達成することができる。本発明のフレクソ分極を利用し
た液晶表示装置の駆動方式として有効な手法である。
【0254】この液晶表示装置のスイッチングを、クロ
スニコル偏光顕微鏡でセルを回転させながら観察したと
ころ、+5V印加時の最明状態も、−5V印加時の最暗
状態も、どちらも45°毎に消光位置が現れ、インプレ
インスイッチングであることが確認された。
【0255】プレティルト角を小さくすることで、応答
速度は遅くなるが、均一な配向の表示装置を得ることが
できる。また、応答速度の劣化は実用的な範囲である。
【0256】〔液晶表示装置の作製(1)〕上記液晶表
示素子を用いて、走査ライン数1000本のαSi−T
FT基板とカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置
を作製した。
【0257】上下分割駆動方式により、映像信号を入力
して表示を行った。消去信号である第1信号は電界印加
方法(1)に従いゼロ電圧とした。
【0258】上下分割駆動方式では、立ち上がり応答速
度は2.7ms以下、立ち下がり応答速度は5ms以下
でなければならない。立ち上がり応答速度はぎりぎり問
題無く、立ち下がり応答速度も3ms〜12msである
ため、概して動画ボケのないシャープな動画像を表示す
ることができ、従来の液晶表示装置に比較して格段に画
質改善が確認された。
【0259】しかし、信号電圧によっては、立ち下がり
応答速度が不足するので一部の映像シーンによっては、
完全には動画ボケが改善されなかった。
【0260】視野角を変化させて特性を測定したとこ
ろ、左右80%という非常に広い範囲で、コントラス
ト、輝度がともに正面方向に対して50%以下に低下す
ることがなく、従来の液晶表示装置には無い広視野角特
性であった。
【0261】〔液晶表示装置の作製(2)〕上記液晶表
示素子を用いて、走査ライン数1000本のαSi−T
FT基板とカラーフィルター基板を用いて液晶表示装置
を作製した。
【0262】上下分割駆動の必要の無い、図6の走査方
式により、映像信号を入力して表示を行った。消去信号
である第1信号は、電界印加方法(2)に従い、表示信
号である第2信号の逆極性信号とした。
【0263】図6の走査方式では、立ち上がり応答速
度、立ち下がり応答速度とも2.7ms以下でなければ
ならない。立ち上がり応答速度、立ち下がり応答速度と
も全く問題無く、動画ボケのないシャープな動画像を表
示することができ、従来の液晶表示装置に比較して格段
に画質改善が確認された。
【0264】視野角を変化させて特性を測定したとこ
ろ、左右80°という非常に広い範囲で、コントラス
ト、輝度がともに正面方向に対して50%以下に低下す
ることがなく、従来の液晶表示装置には無い広視野角特
性であった。
【0265】〔実施例4〕ネマティック液晶MLC−6
062とネマティック液晶E8(メルク社製)を重量比
20:1で混合して、実施例1から実施例3までを同様
に行った。E8の誘電異方性Δεは15.6である。混
合液晶のΔεはほぼ重量比通り0.5であった。ラビン
グ条件を換えながらプレティルト角を変化させ、実施例
1から実施例3を同様に行った。
【0266】実施例1から実施例3(いずれもΔεは
0.2)ではプレティルト角が5°以上であれば、必要
とする高速応答性が得られたが、それに対し、本実施例
では、Δεが大きくなったことでフレクソエレクトリッ
ク効果が小さくなり、プレティルト角が20°以上でな
ければ実施例1から実施例3と同様の結果を得ることが
できなかった。
【0267】〔実施例5〕ネマティック液晶MLC−6
062とネマティック液晶E8を重量比20:2で混合
して、実施例1から実施例3までを同様に行った。E8
の誘電異方性Δεは15.6である。混合液晶のΔεは
ほぼ重量比通り、1.0であった。ラビング条件を換え
ながらプレティルト角を変化させ、実施例1から実施例
3を同様に行った。
【0268】実施例1から実施例3ではプレティルト角
が5°以上であれば、必要とする高速応答性が得られた
が、それに対し、本実施例では、Δεが大きくなったこ
とでフレクソエレクトリック効果が小さくなり、プレテ
ィルト角が40°以上でなければ実施例1から実施例3
と同様の結果を得ることができなかった。
【0269】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0270】なお、本発明に係る液晶表示装置を、下記
のように構成してもよい。すなわち、本発明に係る液晶
表示装置は、外部より光を入射させる光源を備え、少な
くとも一枚の光透過性基板を含む複数の基板を対向させ
て形成される間隙に、液晶を設置して構成される液晶表
示装置であって、基板には外部から液晶に対して任意に
信号波形電界を印加することのできる電極が形成され、
印加される信号波形に応じて液晶が配向状態を変化さ
せ、入射した光を変調するとともに、光の変調を可視化
する機構を備えてなる表示装置において、液晶が常誘電
性であり、電界の印加されない定常状態において、対向
する基板間で広がり変形および捻じれ変形の配向状態を
呈しており分極を生じていないが、電界を印加すると、
広がり変形および捻じれ変形に伴う撓電効果によって生
じる分極により、少なくとも一方の基板近傍において別
の広がり変形および捻じれ変形に配向状態を変化させ、
別の電界を印加すると広がり変形および捻じれ変形に伴
う撓電効果によって生じる分極により、少なくとも他方
の基板近傍において別の広がり変形および捻じれ変形に
配向状態を変化させるように構成してもよい。
【0271】本発明により、ネマティック液晶により高
速応答性、広視野角特性、中間調表示が可能で、これま
で問題であった動画ボケの無い液晶表示装置を提供する
ことができる。この液晶表示装置は、非表示時における
画像焼き付きが無いため、信頼性の点でも満足できるも
のである。
【0272】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置が、電界が印加された定常状態において、
少なくとも一方の基板近傍において垂直配向あるいは略
垂直配向状態である、広がり変形の配向状態であり、別
の電界が印加された定常状態において、少なくとも他方
の基板近傍において垂直配向あるいは略垂直配向状態で
ある、別の広がり変形の配向状態であるように構成して
もよい。
【0273】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置が、電界の印加されない定常状態におい
て、対向する基板間で広がり変形および捻じれ変形の配
向状態を呈しており、電界が印加された定常状態におい
て、少なくとも一方の基板近傍において垂直配向あるい
は略垂直配向状態である、広がり変形の配向状態であ
り、別の電界が印加された定常状態において、少なくと
も他方の基板近傍において垂直配向あるいは略垂直配向
状態である、別の広がり変形の配向状態であり、印加さ
れる電界の方向、電界強度によって、前記の配向状態の
間の任意の広がり変形および捻じれ変形の配向状態に変
形するように構成してもよい。
【0274】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置が、電界の印加されない定常状態におい
て、一方の基板近傍において約45°のプレティルト角
で配向し、他方の基板近傍において約45°のプレティ
ルト角で、前記一方の基板近傍の配向方向とは異なる方
位角で配向し、広がり変形および捻じれ変形の配向状態
であり、配向の変形の微小空間では、撓電効果によって
分極を生じているが、配向の変形の全体空間では分極を
打ち消し、分極を有していないように構成してもよい。
【0275】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置が、電界の印加されない定常状態におい
て、一方の基板近傍において40°以上で45°より小
さいプレティルト角で配向し、他方の基板近傍において
40°以上で45°より小さいプレティルト角で、前記
一方の基板近傍の配向方向とは異なる方位角で配向し、
広がり変形および捻じれ変形の配向状態であり、配向の
変形の微小空間では、撓電効果によって分極を生じてい
るが、配向の変形の全体空間では分極を打ち消し、分極
を有していないように構成してもよい。
【0276】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置が、電界の印加されない定常状態におい
て、一方の基板近傍において5°以上のプレティルト角
で配向し、他方の基板近傍において5°以上のプレティ
ルト角で、前記一方の基板近傍の配向方向とは異なる方
位角で配向し、広がり変形および捻じれ変形の配向状態
であり、配向の変形の微小空間では、撓電効果によって
分極を生じているが、配向の変形の全体空間では分極を
打ち消し、分極を有していないように構成してもよい。
【0277】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置が、誘電異方性の絶対値が1より小さく、
好ましくは0.5より小さいように構成してもよい。
【0278】また、本発明に係る液晶表示装置は、前記
液晶表示装置がアクティブマトリクス型であり、1表示
期間において、少なくとも全走査線のうちの半数の走査
線から成る第1の走査線群には第1の電気信号を送り、
残りの第2の走査線群には第2の電気信号を送り、次の
1表示期間においては、第1の走査線群に第2の電気信
号を送り、第2の走査線群には第1の電気信号を送り、
第1の電気信号は表示情報を元に戻す電界であり、第2
の電気信号は表示情報を与える電界であり、全ての周期
で、第1の電気信号が印加されて、液晶分子が十分にリ
セットされ、第2の電気信号が印加されて、液晶分子が
十分にスイッチングした後、光が入射するように構成し
てもよい。
【0279】
【発明の効果】以上のように、本発明の液晶表示装置
は、液晶が、電界の印加されていない定常状態におい
て、ある広がり変形および捻じれ変形の配向状態を呈し
ており、分極を生じておらず、電界が印加されると、広
がり変形および捻じれ変形に伴う撓電効果によって分極
を生じさせ、この分極により、少なくとも部分的に、上
記電界の印加されていない定常状態のときとは別の、印
加される上記電界に応じた広がり変形および捻じれ変形
へと配向状態を変化させる構成である。
【0280】これにより、撓電効果ゆえ応答が非常に高
速であるとともに、上記配向状態の変化がインプレイン
スイッチングであるため、視野角を広くできる。それゆ
え、高速応答化と広視野角化の問題を従来の簡単な対向
基板電極構造で達成し、動画ボケのない、広視野角な液
晶表示装置を提供することができるという効果を奏す
る。
【0281】また、本発明の液晶表示装置は、上記の構
成に加えて、1表示期間において、少なくとも全走査線
のうちの半数の走査線から成る第1の走査線群には第1
の電気信号を送り、残りの第2の走査線群には第2の電
気信号を送り、次の1表示期間においては、第1の走査
線群に第2の電気信号を送り、第2の走査線群には第1
の電気信号を送り、第1の電気信号は表示情報を元に戻
す電界であり、第2の電気信号は表示情報を与える電界
であり、第1の電気信号が印加されて液晶分子がリセッ
トされ、第2の電気信号が印加されて液晶分子がスイッ
チングした後光が入射する構成である。
【0282】これにより、1表示期間中に表示情報を画
素電極に与える処理の回数を減らすことができ、1つあ
たりの走査線での表示情報を画素電極に与える速度(立
ち上がり速度や立ち下がり速度)をそれほど高速にする
必要がなくなるので、上記構成による効果に加えて、動
画ボケがなく広視野角な液晶表示装置を、作製の容易な
装置を用いて提供することができるという効果を奏す
る。
【0283】また、本発明の液晶表示装置は、上記の構
成に加えて、1表示期間において、各走査線に第1の電
気信号と第2の電気信号とを交互に送り、第1の電気信
号は表示情報を元に戻す電界であり、第2の電気信号は
表示情報を与える電界であり、第1の電気信号が印加さ
れて液晶分子がリセットされ、第2の電気信号が印加さ
れて液晶分子がスイッチングした後光が入射するもので
あり、上記第1の電気信号と第2の電気信号とは極性が
互いに逆である構成である。
【0284】これにより、電界の印加をオフするのと異
なり、リセット状態への移行を急峻にすることができる
ので、上記構成による効果に加えて、応答をより高速に
でき、動画ボケをいっそう軽減することができるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置における液晶の様子を示
す説明図である。
【図2】本発明の液晶表示装置における液晶の様子を示
す説明図である。
【図3】本発明の液晶表示装置における液晶の様子を示
す説明図である。
【図4】本発明の液晶表示装置における液晶の様子を示
す説明図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の走査方式と光源の発光
時期との関係を示す説明図である。
【図6】本発明の液晶表示装置の走査方式と光源の発光
時期との関係を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す説
明図である。
【図8】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す説
明図である。
【図9】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す説
明図である。
【図10】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図11】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図12】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図13】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図14】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図15】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図16】本発明の実施例の液晶表示装置の特性を示す
説明図である。
【図17】単純マトリクス方式の液晶表示装置の構成を
示す斜視図である。
【図18】アクティブマトリクス方式の液晶表示装置の
構成を示す斜視図である。
【図19】液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図20】動画ボケの生じる原因を説明するものであ
り、インパルス型の時間応答を示す説明図である。
【図21】動画ボケの生じる原因を説明するものであ
り、ホールド型の時間応答を示す説明図である。
【図22】液晶でインパルス型表示を行う方法を示す説
明図である。
【図23】(a)および(b)は、従来の誘電異方性に
よるネマティック液晶を用いた液晶表示装置における液
晶の様子を示す説明図である。
【図24】(a)および(b)は、従来の強誘電性液晶
を用いた液晶表示装置における液晶の様子を示す説明図
である。
【図25】(a)および(b)は、従来の誘電異方性に
よるネマティック液晶を用いた液晶表示装置における液
晶の完全スイッチングの様子を示す説明図である。
【図26】(a)および(b)は、従来の誘電異方性に
よるネマティック液晶を用いた液晶表示装置における液
晶の中間調スイッチングの様子を示す説明図である。
【図27】従来の誘電異方性によるネマティック液晶を
用いた液晶表示装置における液晶の様子を示す説明図で
ある。
【図28】(a)ないし(d)は、従来の液晶表示装置
における液晶のバーティカルスイッチングの様子を示す
説明図である。
【図29】(a)ないし(d)は、従来の液晶表示装置
における液晶のインプレインスイッチングの様子を示す
説明図である。
【図30】(a)および(b)は、従来の誘電異方性に
よるネマティック液晶およびインプレインスイッチング
電極を用いた液晶表示装置における液晶の様子を示す説
明図である。
【図31】涙型分子のフレクソエレクトリック効果を示
すものであり、広がり変形のない状態を示す説明図であ
る。
【図32】涙型分子のフレクソエレクトリック効果を示
すものであり、広がり変形した状態を示す説明図であ
る。
【図33】バナナ型分子のフレクソエレクトリック効果
を示すものであり、曲がり変形のない状態を示す説明図
である。
【図34】バナナ型分子のフレクソエレクトリック効果
を示すものであり、曲がり変形した状態を示す説明図で
ある。
【図35】フレクソエレクトリック効果を示す説明図で
ある。
【図36】(a)ないし(c)は、従来のフレクソエレ
クトリック効果によるコレステリック液晶を用いた液晶
表示装置における液晶の様子を示す説明図である。
【図37】(a)ないし(c)は、従来のフレクソエレ
クトリック効果によるネマティック液晶を用いた液晶表
示装置における液晶の様子を示す説明図である。
【図38】(a)および(b)は、従来のフレクソエレ
クトリック効果によるネマティック液晶を用いた液晶表
示装置における液晶の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1、2 基板 3、4 電極 5、6 絶縁膜 7、8 配向膜 9 スペーサー 10 接着剤 11 液晶 12、13 偏光板 14 信号電極 15 スイッチング素子 16 液晶分子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 EA02 GA02 GA17 HA06 HA28 JA04 KA02 KA14 KA26 KA27 KA28 KA30 LA06 LA07 MA07 MA10 MA13 2H093 NA16 NA53 NC34 NC44 ND13 ND32 ND60 NF04 NH01 NH02 NH04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶に光を入射させるとともに表示画像に
    応じた信号波形に沿った電界を液晶に印加して上記電界
    に応じて液晶の配向状態を変化させることにより上記入
    射光を変調する液晶表示装置において、 液晶が、 電界の印加されていない定常状態において、ある広がり
    変形および捻じれ変形の配向状態を呈しており、分極を
    生じておらず、 電界が印加されると、広がり変形および捻じれ変形に伴
    う撓電効果によって分極を生じさせ、この分極により、
    少なくとも部分的に、上記電界の印加されていない定常
    状態のときとは別の、印加される上記電界に応じた広が
    り変形および捻じれ変形へと配向状態を変化させること
    を特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】1表示期間において、少なくとも全走査線
    のうちの半数の走査線から成る第1の走査線群には第1
    の電気信号を送り、残りの第2の走査線群には第2の電
    気信号を送り、次の1表示期間においては、第1の走査
    線群に第2の電気信号を送り、第2の走査線群には第1
    の電気信号を送り、 第1の電気信号は表示情報を元に戻す電界であり、第2
    の電気信号は表示情報を与える電界であり、第1の電気
    信号が印加されて液晶分子がリセットされ、第2の電気
    信号が印加されて液晶分子がスイッチングした後光が入
    射することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装
    置。
  3. 【請求項3】1表示期間において、各走査線に第1の電
    気信号と第2の電気信号とを交互に送り、 第1の電気信号は表示情報を元に戻す電界であり、第2
    の電気信号は表示情報を与える電界であり、第1の電気
    信号が印加されて液晶分子がリセットされ、第2の電気
    信号が印加されて液晶分子がスイッチングした後光が入
    射するものであり、 上記第1の電気信号と第2の電気信号とは極性が互いに
    逆であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装
    置。
JP31285399A 1999-11-02 1999-11-02 液晶表示装置 Pending JP2001133752A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31285399A JP2001133752A (ja) 1999-11-02 1999-11-02 液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31285399A JP2001133752A (ja) 1999-11-02 1999-11-02 液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001133752A true JP2001133752A (ja) 2001-05-18

Family

ID=18034230

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31285399A Pending JP2001133752A (ja) 1999-11-02 1999-11-02 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001133752A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006132361A1 (ja) * 2005-06-10 2006-12-14 Sharp Kabushiki Kaisha 表示素子および表示装置
CN100381888C (zh) * 2004-01-15 2008-04-16 夏普株式会社 显示元件和显示装置
US8111358B2 (en) 2005-09-20 2012-02-07 Sharp Kabushiki Kaisha Dispay panel and display apparatus

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100381888C (zh) * 2004-01-15 2008-04-16 夏普株式会社 显示元件和显示装置
WO2006132361A1 (ja) * 2005-06-10 2006-12-14 Sharp Kabushiki Kaisha 表示素子および表示装置
US8867005B2 (en) 2005-06-10 2014-10-21 Sharp Kabushiki Kaisha Display element and display device
US8111358B2 (en) 2005-09-20 2012-02-07 Sharp Kabushiki Kaisha Dispay panel and display apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6700558B1 (en) Liquid crystal display device and displaying method thereof
US6603525B2 (en) Liquid crystal display
US7161573B1 (en) Liquid crystal display unit and method for driving the same
JP3168974B2 (ja) 液晶表示装置の駆動方法と、それを用いた液晶表示装置
US20060290855A1 (en) Liquid crystal display apparatus
JPH07152017A (ja) 液晶素子の駆動方法及びその液晶素子
KR100554405B1 (ko) 쌍안정 카이랄 스플레이 네마틱 액정 표시 장치
JPH02176625A (ja) 液晶表示装置
KR100725218B1 (ko) 듀얼모드 액정표시장치 및 그의 구동방법
JP3305990B2 (ja) 液晶表示装置およびその駆動方法
Xiang et al. A fast response, three-electrode liquid crystal device
JP2003121882A (ja) 反射形強誘電性液晶表示装置及びその駆動方法
JP3494140B2 (ja) 液晶表示装置の駆動方法と、それを用いた液晶表示装置
JP4599743B2 (ja) ホールド型表示素子、ディスプレイ、モニタ、ライトバルブ及びプロジェクタ
JP2001133752A (ja) 液晶表示装置
JP3404467B2 (ja) 液晶表示装置
JP2977356B2 (ja) アクティブマトリックス液晶表示装置の駆動方法
JP2001174851A (ja) 液晶表示装置
JP3365587B2 (ja) 液晶装置
JP2001255524A (ja) 液晶表示素子
JP2003344857A (ja) 液晶素子、及び該液晶素子の駆動方法
JP2004077541A (ja) 液晶素子及びその駆動方法
JPH0335217A (ja) 液晶表示装置の駆動方式
JP2984496B2 (ja) 液晶表示素子
JP2004077542A (ja) 液晶素子とその駆動方法及び製造方法