JP2001129586A - 公共下水および/または産業廃水を浄化および/または処理するための汚水浄化処理方法および汚水浄化処理装置 - Google Patents

公共下水および/または産業廃水を浄化および/または処理するための汚水浄化処理方法および汚水浄化処理装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海運施設で生じる液圧負荷に大きな変化のあ
る汚水流を、殆ど閉鎖された汚水浄化処理装置で連続的
に処理できる汚水浄化処理方法と装置を得る。 【解決手段】汚水浄化処理装置10は生物学的反応装置
12を有する。浄化処理される汚水11は生物学的反応
装置12へ入れられる。生物学的反応装置12の内部に
は高濃度の微生物量が懸濁している。浄化処理された汚
水は薄膜分離装置14へ入れられる。続いて、汚水は薄
膜分離装置14の内部で透過物150と滞留物160と
に分けられる。滞留物160はその一部が生物学的反応
装置12へ戻されるのに対して、透過物150は用水ま
たは純水として外部へ排出されるか生物学的反応装置1
2へ戻される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特に海洋設備ないし
海運施設で公共下水(生活排水)および/または産業廃
水(工場排水)を浄化または処理するための汚水浄化処
理方法および該方法を実施するための汚水浄化処理装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】公共下水および/または産業廃水の多く
は公共(市町村)の下水処理場で処理されるが、公共
(市町村)の下水処理場で処理できない汚水は環境へ流
す前に非集中式設備で浄化または処理を行わなければな
らない。汚水を浄化または処理する分散式設備は大きく
3つの典型的な型に分けられる。即ち、第1は例えば地
方自治体にあるような汚水浄化処理設備に接続されてい
ないものである(第1型)。次は、状況が悪いためにC
SBからBSB5に集中する資材から生じる工場汚水の
浄化処理設備(第2型)であつて、この種の工場汚水は
従来の汚水浄化処理設備では取り扱うことができない。
特に問題なのは船舶のような海運施設での汚水浄化処理
設備である(第3型)。
【0003】特に、上述の第1型から第3型までの汚水
浄化処理設備の場合には、量の多さや組成が非常に異な
る汚水を処理しなければならない。第3型の汚水浄化処
理設備の場合には、船舶のような海運施設にも配慮しな
ければならない。
【0004】特に、汚水浄化処理設備を例えば船舶の甲
板のような海運施設に設置し使用する場合、海運施設か
ら海中への有害物質の投棄に関して、最近IMO(Inte
rnational Maritime Organisation )のような国際汚水
浄化機構により非常に厳格な規定が定められた。同規定
に規定された許容限界値は、部分的には陸上の定置式汚
水浄化処理設備から浄化された汚水を流す際の通常の許
容限界値よりも低くなつている。世界の海域、例えば北
極圏や南極圏のような汚染されやすい海域にも、研究
船、漁船だけでなく、最近では客船(大洋航海船)も航
海するので、この状況を考慮して非常に厳しい規定が発
令された。今まで海運施設で生じた汚水はタンクに集め
られた後に船舶の寄港地へ卸されるが、場合によつては
汚水浄化処理設備は許されないような不完全な清掃をし
たままで船舶は出港していた。それどころか船舶の積載
水は有害物質に満ちたまま浄化されないで海中へ捨てら
れていた。
【0005】これは上述の理由から極めて有害なことで
あり、将来はもう許されなくなるであろう。一方、海運
施設での汚水の浄化とか処理は、場所の制約が非常に大
きいという理由から、極めて緊密で小形の汚水浄化処理
装置や汚水浄化処理設備が強く要請される。また、別の
大きな問題は船舶に傾きやローリングが生じても、汚水
の浄化処理は必ず保証されなければならない。換言すれ
ば、そのような限界状況の下でも、汚水浄化処理は連続
的かつ無制限に実現できなければならないということで
ある。更に海運施設にありがちな汚水の浄化および/ま
たは処理の困難性は、汚水流が例えば船の甲板では分離
されない点である。即ち、これは公共下水と産業廃水が
混合していることに原因がある。特に、工業溶液(脂
肪、洗剤、界面活性剤、消毒剤など)が混合すると、C
SB対BSB5の比は普通の公共下水の水準以上にな
り、CSB対BSB5の比が飛躍的に上昇することさえ
ある。従来の生物学的反応装置の場合には生物量集中度
が最大5g/lと微生物の濃度が低いことから、CSB
対BSB5の比の差を考慮に入れることはできず、生物
学的な分解反応の程度は大幅に低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがつて、本発明の
課題は冒頭に記載した形式の汚水浄化処理方法と汚水浄
化処理装置、例えば船舶のような海運施設で生じるよう
な液圧負荷に大きな変化のある汚水流を、殆ど閉鎖され
た汚水浄化処理装置で連続的に処理することができ、し
かも構造や配備が簡単で、実施や管理に要する費用が非
常に安い汚水浄化処理方法と汚水浄化処理装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の方法は海運施設で公共下水および/または
産業廃水を浄化しかつ/または処理する方法において、
浄化または処理すべき汚水を高濃度の生物量が懸濁して
いる生物学的反応装置へ入れ、該生物学的反応装置の内
部で汚水を処理した後に薄膜分離装置へ入れて透過物と
滞留物とに分離し、該透過物を用水または純水として排
出するか、前記透過物の少くとも一部を生物学的反応装
置の内部へ還流させることを特徴とする。
【0008】また、本発明の装置は汚水の収容、浄化お
よび/または処理に要する生物学的反応装置を有する、
海運施設で公共下水および/または産業廃水を浄化およ
び/または処理する汚水浄化処理装置において、生物学
的反応装置を薄膜分離装置の透過物取出口および/また
は滞留物取出口と連絡している少くとも1つの容器から
構成し、薄膜分離装置の透過物取出口および/または滞
留物取出口が生物学的反応装置の取入口へ選択的に接続
可能であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の課題は浄化または処理し
ようとする汚水を、濃度の高い生物量が縣濁状態にある
生物学的反応装置へ入れ、生物学的反応装置で処理され
た汚水を薄膜分離装置へ入れ、薄膜分離装置で透過物と
滞留物とに分け、透過物は用水または純水として排出す
るか、または透過物の少くとも一部を生物学的反応装置
に戻すことにより解決される。
【0010】本発明による汚水浄化処理方法の実質的な
利点は次のような点にある。即ち、本発明による汚水浄
化処理方法では、高い生物量濃度により浄化または処理
される汚水が生物学的反応装置の取出口から、従来の汚
水浄化処理装置では達成できなかつた集中排水を行うこ
とができる。本発明の汚水浄化処理方法のもう1つの利
点は、前段の生物学的反応装置で浄化した汚水から後段
の薄膜分離装置により、従来の汚水浄化処理装置では出
来なかつたウイルスや細菌を取り除くことができる。本
発明の汚水浄化処理方法の更にもう1つの利点は、本発
明の汚水浄化処理方法は汚水を殆ど連続的に循環して実
施できる。
【0011】本発明の汚水浄化処理方法の好適な実施形
態では、十分な量の汚水が浄化および/または処理のた
めに供給される場合に、少くとも滞留物の一部が生物学
的反応装置へ戻される。
【0012】原理的にはやや不正確ではあるが、生物反
応器とも呼ばれる各種の生物学的反応装置の使用が可能
であるが、本発明による生物学的反応装置は高密度容器
内発酵(Hochzelldichtefermentation)の原理に従つて
運転されることである。即ち、従来の汚水浄化処理装置
では生物量集中度が最大5g/lであるのに対して、本
発明による汚水浄化処理装置は生物量集中度が約30g
/lで運転するのが好ましい。
【0013】浄化ないし処理しようとする汚水を生物学
的反応装置へ入れる前に、部分的に予め機械的に清澄す
るのが好ましい。予備清澄により汚水の生物学的な処理
は微粒子状の物質を使わずに、生物学的反応装置で微生
物により簡単に行われる。
【0014】生物学的分解に備えるために、空気または
酸素を生物学的反応装置へ供給し、付加的な攪拌機や他
の機械的設備を使わずに、生物学的反応装置で汚水と空
気または酸素を混合する。
【0015】生物学的反応装置への汚水の流入温度が原
因で、生物学的反応装置から薄膜分離装置へ送られる汚
水の温度がしばしば変化する。汚水の温度が特定の値の
場合には、生物学的反応装置での生物学的予備浄化およ
び/または薄膜分離装置での分離効果が最大になるの
で、浄化すべき汚水の温度を生物学的反応装置および/
または薄膜分離装置へ入れる前に調節するのが好まし
い。
【0016】薄膜分離装置で排水を滞留物と透過物とに
分離する工程を実施するために、連続して供給される汚
水取入口側の供給圧が確実に一定の値を保つように、生
物学的反応装置で処理された汚水は薄膜分離装置へ送る
前に圧力を高められる。
【0017】生物学的反応装置へ供給される空気または
酸素は1〜1.2バールの気圧を有するのが好ましい。
即ち、この空気は大気圧または大気圧よりも0.2バー
ル高い圧力で供給される。しかし、生物学的反応装置に
は上記以外の圧力が加えられた酸素を選択することもで
きる。
【0018】汚水の量の多さにより、生物学的反応装置
の内部の汚水(最初の汚水と滞留物)の水面が検出可能
な下限に達すると透過物の還流が可能になり、生物学的
反応装置の内部の汚水(最初の汚水と滞留物と透過物)
の水面が上限に達すると透過物は用水として外部へ排出
される。生物学的反応装置の内部の汚水の水面の上限と
下限の検出は工学的に全範囲にわたつて自動化できるの
で、水面検出のために手動操作に切り換えたりする必要
はなく、手動操作に切り換えれば却つて有害なこともあ
る。何故なら、連続的な処理を行うためには不正確な結
果になることがあるからである。
【0019】薄膜分離装置を再生するには、通常は生物
学的反応装置に溜つている予備浄化ないし予備処理され
た汚水が薄膜分離装置へ供給されないようにするが、薄
膜分離装置をほぼ連続的に運転するには、滞留物および
/または透過物の少くとも一部を高圧のもとで薄膜分離
装置へ循環式に戻すのが好ましい。こうすれば、薄膜分
離装置が長時間運転される場合には、化学的に行う必要
がある薄膜分離装置の再生ないし浄化はしなくてよい。
【0020】公共下水および/または産業廃水を浄化お
よび/または処理するための汚水浄化処理装置を特に海
運施設で使用するには、実質的に浄化ないし処理される
汚水を入れるための生物学的に運転される生物学的反応
装置が備えられる。
【0021】前述した課題の解決策として、本発明は生
物学的反応装置を薄膜分離装置の取入口に連結された少
くとも1つの容器(セル)から構成し、薄膜分離装置の
透過物取出口および/または滞留物取出口を生物学的反
応装置の複数の取入口に選択的に接続することを提案す
る。
【0022】本発明の汚水浄化処理装置の実質的な利点
は、生物学的反応装置または薄膜分離装置へ一時的に汚
水が入らないことがあつても、切換え手段例えば切換弁
により簡単な仕方で、生物学的反応装置または薄膜分離
装置をほぼ連続的に運転できることにある。加えて、生
物学的反応装置から薄膜分離装置に至る循環系から出る
透過物はウイルスや細菌を分離されるので、細菌および
/またはウイルスを破壊する透過物の2次処理は不必要
である。
【0023】生物学的反応装置は攪拌機のない理想的な
攪拌容器として運転できるのが好ましい。何故なら、ポ
ンプにより空気または酸素を生物学的反応装置へ送り、
生物学的反応装置の内容物の理想的な混合が行われるか
らである。
【0024】汚水は特別に設けた濾過装置により浄化な
いし処理してから、生物学的反応装置へ供給される。濾
過作用の態様は濾過装置の使用条件により異なる。濾過
装置は特に機械的な濾過装置として構成され、メツシユ
(網目)の大きさは60〜400μmの範囲である。濾
過装置はいわゆる洗い戻し可能なフイルタとして形成す
ることができる。
【0025】生物学的反応装置と薄膜分離装置の取入口
とを結ぶ連結導管の内部には熱交換器を設けて、薄膜分
離装置へ供給される汚水を、生物学的反応装置および/
または薄膜分離装置の運転に最適な温度に保つようにす
るのが好ましい。
【0026】上述の熱交換器には、温度を上げるか下げ
る温度調整剤を選択的に収容できるのが好ましく、温度
調整剤は例えば連続加熱器により加熱されて温度を上げ
る液状熱媒体か、温度を下げる液状冷却媒体である。
【0027】薄膜分離装置の機能発揮に必要な、予備浄
化された汚水の圧力を確実かつ連続的に維持するため
に、生物学的反応装置と薄膜分離装置の取入口とを結ぶ
連結導管の内部に、少くとも1つのポンプを設けるのが
好ましい。このポンプは汚水の圧力を確実かつ連続的に
維持するだけでなく、薄膜分離装置の内部に生じた滞留
物の流れの少くとも一部を繰り返し薄膜分離装置の取入
口へ戻す機能を果す。
【0028】特に、生物学的反応装置はそれぞれが機能
を完全に発揮する多数の生物学的反応装置(モジユー
ル)を含む容器(セル)から構成される。このモジユー
ル構造は生物学的反応装置の十分な検査が可能であり、
個々の容器の手入れと機能を発揮しない容器の交換がで
きる。これらの容器は特に平行ないし並列に配設され、
総生物学的反応装置として運転される。
【0029】
【実施例】本発明を一実施例を図式化して示す唯一の図
に基づき詳細に説明する。図1は本発明の汚水浄化処理
方法を実施する公共下水および/または産業廃水の浄化
処理装置の模式図である。
【0030】図1には既に述べた汚水浄化処理方法を実
施するための公共下水および/または産業廃水11の汚
水浄化処理装置10が示される。汚水浄化処理装置10
には多数の容器(セル)121,122,123から構
成される生物学的反応装置12が備えられる。容器12
1,122,123は全体で生物学的反応装置12を構
成しており、機能を発揮できるように平行ないし並列に
接続してある。ここで、図1に例示した3個の容器の数
は生物学的反応装置12の大きさに特定してある。容器
の数は汚水浄化処理装置10で達成されるべき浄化や処
理の効率という課題に応じて変更可能である。
【0031】相互に連結された容器121,122,1
23は連結導管21を介して薄膜分離装置14の取入口
13に連結されている。この連結導管21には2つのポ
ンプ23,24が直列に接続してあり、これら2つのポ
ンプ23と24の間の連結導管21には更にもう1つの
熱交換器22が接続されている。熱交換器22はポンプ
24と薄膜分離装置14とを結ぶ連結導管21の内部へ
収容することも、また外部に付設することもできる。薄
膜分離装置14の滞留物取出口16は、一方ではポンプ
24の取入口に、他方では生物学的反応装置12の取入
口17に接続している。こうして、滞留物取出口16か
ら出て来る滞留物は2つの部分流に分けられる。即ち、
1つは生物学的反応装置12の内部へ戻され、もう1つ
は再びポンプ24の吸込口へ戻される。透過物取出口1
5は浄化された汚水を透過物150として用意し、この
透過物150は薄膜分離装置14から用水として供給さ
れるか、環境へ放出される汚水として薄膜分離装置14
から出て行く。また、透過物150は別の取入口18か
ら生物学的反応装置12へ戻される。
【0032】空気または酸素20は送風機の機能を果た
すポンプ19により生物学的反応装置12へ供給され
る。空気または酸素20は三方向弁27の適当な切換え
により、上または下から、さらに両方向から生物学的反
応装置12へ送給される。空気または酸素20の搬入機
関としていわゆるガス・液体圧縮機が働く。これらのガ
ス・液体圧縮機は例えば薄膜分離装置14の滞留物16
0の圧力保持の度合または滞留物160の量に応じて液
圧式でも運転することができる。汚水浄化処理装置10
により浄化されかつ/または処理されるべき汚水11
は、予め図示してない例えばメツシユ幅60〜400μ
mの洗い戻し可能な機械的フイルタとして形成される濾
過装置へ貫流される。既に述べた連結導管21に接続さ
れた熱交換器22は、例えば連続加熱器28のような放
熱作用のある媒体発生装置または図示してない冷媒発生
装置に連結される。生物学的反応装置12で予備浄化ま
たは予備処理され、ポンプ23、熱交換器22を経て薄
膜分離装置14の取入口13へ供給される汚水は、温度
を最適な値に保つように熱交換器22により調整され
る。この温度制御は連結導管21の内部温度の検知によ
り自動的になされる。海運施設の甲板に配置される連続
加熱器28の代りに、甲板に配置される液状および/ま
たはガス状の媒体を熱交換器22の1次媒体として使用
してもよい。
【0033】生物学的反応装置12は生物量26を生物
学的反応装置12から除去する別の取出口31をポンプ
25と連結され、このポンプ25は生物量26を図示し
てない他の場所の貯蔵装置または計量装置へ送ることが
できる。
【0034】薄膜分離装置14は分子重量カツト・オフ
が50000〜200000g/mol の限外濾過原理に
従つて作動する。こうして、微生物、バクテリア、ウイ
ルスおよび懸濁内容物の完全な除去が保証される。即
ち、それらの菌は薄膜分離装置14から出る透過物15
0(用水)には含まれない。この薄膜バリアにより薄膜
分離装置14の内部の生物量集中度は、明らかに従来公
知の設備よりも高い水準で操作される。生物量集中度が
高い場合に、化学的浄化ないし再生を行わないでも薄膜
分離装置14の安定した運転を確保するために、規則的
時間間隔をおいて圧縮空気32により透過物取出口15
側から薄膜分離装置14を洗い戻すことができる。
【0035】公共下水および/または産業廃水11の浄
化処理方法の行程ないし過程は以下の通りである。ま
ず、生物学的反応装置12へ水に懸濁する高濃度の生物
量を入れる。生物学的反応装置12の内部の生物量濃度
(生物量集中度)は、1〜2g/lの出発培養液からも
始めることができる。この生物量濃度はその後所望の濃
度に高められる。この生物量濃度は例えば前述の汚水浄
化処理方法のどれを選択するかとは無関係に、その後の
汚水浄化処理過程を経るために約30g/lとなる。次
いで、処理すべき汚水11を機械的フイルタを介して適
当に予備浄化してから生物学的反応装置12へ入れる。
ポンプ19および/または三方向弁27を介して空気ま
たは酸素20が生物学的反応装置12へ供給される。生
物学的反応装置12の内部では生化学的反応に基づい
て、内部の汚水が排出濃度になるまで浄化される。この
予備浄化または予備処理された汚水は、生物学的反応装
置12の取出口30から連結導管21を経てポンプ23
へ送られ、このポンプ23は汚水を熱交換器22を経て
ポンプ24へ供給する。熱交換器22の内部では、汚水
が薄膜分離装置14の内部での分離工程に最適な温度に
調節され、ポンプ24が薄膜分離装置14の取入口13
へ、最適な温度に調節された予備浄化または予備処理さ
れた汚水を供給する。ポンプ23は汚水に薄膜分離装置
14の機能発揮に必要な圧力を付与する。ポンプ24は
実質的に薄膜分離装置14へ供給された予備浄化または
予備処理された汚水の流速を高めるように働く。
【0036】薄膜分離装置14の内部では、汚水が透過
物150と滞留物160とに公知の仕方で分離される。
滞留物160は薄膜分離装置14から出て少くとも一部
が生物学的反応装置12へ戻される。
【0037】汚水11が生物学的反応装置12へ戻され
ない汚水浄化処理装置10の特定の運転状態では、滞留
物160の一部がポンプ24の吸込口側へ戻され、薄膜
分離装置14はその状態にほぼ連続して運転され、こう
して薄膜分離装置14の継続的な機能維持が保証され
る。
【0038】透過物150は用水または純水として薄膜
分離装置14から出され、新たな汚水11が生物学的反
応装置12へ供給されない場合は、透過物150が生物
学的反応装置12へ戻される。
【0039】本発明の汚水浄化処理方法は、一定の時間
間隔をおいて生物学的反応装置12へ送る汚水11が集
まらない場合でも殆ど連続的に実施される。生物学的反
応装置12の内部の汚水11(元々の汚水11と滞留物
160)の水面が下限に達した時、工程の適当な制御に
より薄膜分離装置14からの透過物150が生物学的反
応装置12へ還流され、生物学的反応装置12の内部の
汚水11(元々の汚水11と滞留物160と透過物15
0)の水面が上限に達した時、薄膜分離装置14からの
透過物150は外部へ排出される。
【0040】ポンプ23は連続的に運転される。予備浄
化または予備処理された汚水は、ポンプ24により連結
導管21を経て薄膜分離装置14へ供給される。なお、
生物学的反応装置12の内部の汚水11に含まれる成分
の生物学的分解は、汚水11に懸濁している微生物の成
長をもたらし(系内部の乾燥物質含有量の増加)、生物
学的反応装置12の内部の汚水の酸素を消耗する。汚水
11に懸濁している微生物の成長や消耗の程度は、適当
な検知器により検出することができ、検知器は調整工学
的課題の達成のための汚水浄化処理装置10の制御の他
に、本発明の汚水浄化処理方法の達成度を示すインジケ
ータとして機能する。既に述べたポンプ25は薄膜分離
装置14の機能と組み合わされ、生物学的反応装置12
の内部の生物量濃度の安定を保証する。生物学的反応装
置12の内部の生物量(乾燥物質含有量=TS)が規定
された濃度を超えると、例えば汚水流入量の2〜5%が
過剰汚水として吸引される。乾燥物質含有量が規定され
た濃度以下になると、乾燥物質含有量の自動的検出に基
づき過剰汚水の吸引を中断するようにポンプ25が制御
される。
【0041】
【発明の効果】本発明は上述のように、海運施設で公共
下水(生活排水)または産業廃水(工場排水)を浄化処
理する方法において、浄化処理すべき汚水を高濃度の生
物量が懸濁している生物学的反応装置へ入れ、該生物学
的反応装置の内部で汚水を処理した後に薄膜分離装置へ
入れて透過物と滞留物とに分離し、該透過物を用水また
は純水として排出するか、前記透過物の一部を生物学的
反応装置の内部へ還流させるものであり、高い生物量濃
度により浄化処理される汚水を、薄膜分離装置の取出口
から集中的に排出することができる。
【0042】本発明の汚水浄化処理方法は殆ど連続的に
循環して実施できる。つまり、生物学的反応装置の汚水
の水面が下限に達すると薄膜分離装置からの透過物が還
流され、生物学的反応装置の汚水の水面が上限に達する
と薄膜分離装置からの透過物が外部へ排出される。ま
た、多量の汚水が薄膜分離装置へ浄化処理のために供給
された時には、滞留物の一部を生物学的反応装置へ戻す
ことができる。
【0043】生物学的反応装置は高密度容器内発酵の原
理に従つて運転されるので装置を小形化でき、ポンプに
より空気または酸素が生物学的反応装置へ送られるの
で、攪拌機がなくても生物学的反応装置の内容物の理想
的な混合が行われる。
【0044】汚水の生物学的な処理は生物学的反応装置
で微生物により簡単に実行される。前段の生物学的反応
装置で浄化された汚水は、後段の薄膜分離装置によりウ
イルスや細菌を取り除かれるので、ウイルスや細菌を破
壊する透過物の2次処理は不必要である。
【0045】生物学的反応装置と薄膜分離装置の間に熱
交換器を配設したので、薄膜分離装置へ供給される汚水
が、薄膜分離装置の運転に最適な温度に保たれる。
【0046】生物学的反応装置と薄膜分離装置の間にポ
ンプを設けたので、汚水の圧力が連続的に保たれ、汚水
が薄膜分離装置で滞留物と透過物とに分離され、滞留物
の一部を薄膜分離装置の取入口へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚水浄化処理装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
10:汚水浄化処理装置 11:汚水 12:生物学的
反応装置 13:取入口 14:薄膜分離装置 15:透過物取出口 16:滞留
物取出口 17:取入口 18:取入口 19:ポンプ
20:空気または酸素 21:連結導管 22:熱交
換器 23:ポンプ 24:ポンプ 25:ポンプ 2
6:生物量 27:三方向弁 28:連続加熱器 3
0:取出口 31:取出口 32:圧縮空気 121:
容器 122:容器 123:容器 150:透過物
160:滞留物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラルフ ギユンテル ドイツ連邦共和国 21244 ブツフホルツ ボイエルスベーグ 4アー Fターム(参考) 4D028 BA00 BC13 BC17 BD11 BD17 CA00 CA09 CD01 CD05

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海運施設で公共下水および/または産業廃
    水を浄化しかつ/または処理する方法において、浄化ま
    たは処理すべき汚水を高濃度の生物量が懸濁している生
    物学的反応装置へ入れ、該生物学的反応装置の内部で汚
    水を処理した後に薄膜分離装置へ入れて透過物と滞留物
    とに分離し、該透過物を用水または純水として排出する
    か、前記透過物の少くとも一部を生物学的反応装置の内
    部へ還流させることを特徴とする汚水浄化処理方法。
  2. 【請求項2】前記滞留物の少くとも一部を前記生物学的
    反応装置の内部へ還流させる、請求項1に記載の汚水浄
    化処理方法。
  3. 【請求項3】前記生物学的反応装置を高密度容器内醗酵
    の原理に従つて運転する、請求項1または2のいずれか
    に記載の汚水浄化処理方法。
  4. 【請求項4】浄化または処理すべき汚水を前記生物学的
    反応装置へ入れる前に予備濾過する、請求項1〜3のい
    ずれかに記載の汚水浄化処理方法。
  5. 【請求項5】前記生物学的反応装置へ空気または酸素を
    供給する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の汚水浄
    化処理方法。
  6. 【請求項6】前記生物学的反応装置の内部で処理された
    汚水の温度を前記薄膜分離装置へ入れる前に調節する、
    請求項1〜4のいずれか1つに記載の汚水浄化処理方
    法。
  7. 【請求項7】前記生物学的反応装置の内部で処理された
    汚水の圧力を前記薄膜分離装置へ入れる前に高める、請
    求項1〜6のいずれか1つに記載の汚水浄化処理方法。
  8. 【請求項8】前記生物学的反応装置へ1〜2バールの圧
    力を有する空気または酸素を供給する、請求項4〜6の
    いずれか1つに記載の汚水浄化処理方法。
  9. 【請求項9】前記生物学的反応装置の内部の汚水(元々
    の汚水と滞留物)の水面が下限に達した時前記透過物を
    前記生物学的反応装置の内部へ還流し、前記生物学的反
    応装置の内部の汚水(元々の汚水と滞留物と透過物)の
    水面が上限に達した時前記透過物を排出する、請求項1
    〜8のいずれか1つに記載の汚水浄化処理方法。
  10. 【請求項10】前記滞留物の少くとも一部を圧力を高め
    ながら循環式に前記薄膜分離装置へ還流する、請求項1
    〜9のいずれか1つに記載の汚水浄化処理方法。
  11. 【請求項11】汚水の収容、浄化および/または処理に
    要する生物学的反応装置を有する、海運施設で公共下水
    および/または産業廃水を浄化および/または処理する
    汚水浄化処理装置において、生物学的反応装置(12)
    を薄膜分離装置(14)の透過物取出口(15)および
    /または滞留物取出口(16)と連絡している少くとも
    1つの容器から構成し、薄膜分離装置(14)の透過物
    取出口(15)および/または滞留物取出口(16)が
    生物学的反応装置(12)の取入口(17,18)へ選
    択的に接続可能であることを特徴とする汚水浄化処理装
    置。
  12. 【請求項12】前記生物学的反応装置(12)が攪拌機
    のない理想的攪拌容器として運転可能である、請求項1
    1に記載の汚水浄化処理装置。
  13. 【請求項13】浄化または処理される汚水(11)が前
    記生物学的反応装置(12)へ濾過装置を介して供給さ
    れる、請求項11または12に記載の汚水浄化処理装
    置。
  14. 【請求項14】前記濾過装置はメツシユ幅が60〜40
    0μmの機械的濾過装置である、請求項13に記載の汚
    水浄化処理装置。
  15. 【請求項15】前記生物学的反応装置(12)へ空気ま
    たは酸素(20)を供給するためのポンプ(19)を備
    えた、請求項11〜14に記載の汚水浄化処理装置。
  16. 【請求項16】前記生物学的反応装置(12)と前記薄
    膜分離装置(14)の取入口(13)とを結ぶ連結導管
    (21)に熱交換器(22)を配設した、請求項11〜
    14に記載の汚水浄化処理装置。
  17. 【請求項17】前記熱交換器(22)に温度を上昇させ
    るか温度を下降させる温度調整手段を選択的に作用させ
    ることが可能である、請求項16に記載の汚水浄化処理
    装置。
  18. 【請求項18】前記生物学的反応装置(12)と前記薄
    膜分離装置(14)の取入口(13)とを結ぶ連結導管
    (21)の内部に少くとも1つのポンプ(23,24)
    を配設した、請求項11〜17に記載の汚水浄化処理装
    置。
  19. 【請求項19】前記生物学的反応装置(12)は多数の
    容器(121,122,123)から構成し、各容器が
    それぞれ生物学的反応装置として機能を発揮するように
    した、請求項11〜18に記載の汚水浄化処理装置。
  20. 【請求項20】前記各容器(121,122,123)
    を並列に接続した、請求項19に記載の汚水浄化処理装
    置。
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