JP2001127584A - 圧電共振子 - Google Patents

圧電共振子

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JP2001127584A
JP2001127584A JP30676299A JP30676299A JP2001127584A JP 2001127584 A JP2001127584 A JP 2001127584A JP 30676299 A JP30676299 A JP 30676299A JP 30676299 A JP30676299 A JP 30676299A JP 2001127584 A JP2001127584 A JP 2001127584A
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Japan
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acoustic
piezoelectric resonator
electrode
piezoelectric
layer
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JP30676299A
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Hiroyuki Nishikawa
洋行 西川
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Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動のエネルギー損失が少なく、損傷や破損の
恐れが少なく、大気中の水分やゴミによる共振周波数の
変動や誤動作を防止できる小型の圧電共振子を提供する
ことを目的としている。 【解決手段】基体1と、該基体1上に形成され、一対の
電極4、6で圧電体5を挟持してなる振動体7とを具備
してなる圧電共振子において、該振動体7表面に底面9
が当接され、かつ前記底面9に対して略45°の角度を
なす一対の傾斜面10a、10bが形成された音響反射
体8aを複数連続して設けてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話や無線L
AN等に用いられる圧電共振子、特に、携帯端末やIC
カードなどに用いられる薄膜圧電共振子に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】電子デバイスの分野では、無線通信や電気
回路における周波数の高周波数化が進むとともに、携帯
電話やPDA(Personal Digital Assistant)などに代
表される携帯端末やICカードのように厚みの非常に薄
い部品を要求する製品が出現しており、部品の小型化お
よび薄肉化が強く求められ、開発が行われている。
【0003】特に、圧電共振子は、バルク・ アコーステ
ィック・ ウェーブ・ レゾネーター(BAWR)などの高
周波対応の共振子の開発が進められている。例えば、従
来のBAWRとしては、図6に示すように、基体61
と、該基体61表面上に形成された支持膜62と、該支
持膜62上に形成された密着層63と、該密着層63上
に形成された第1電極64と、該第1電極64上に形成
された圧電体65と、該圧電体65上に形成された2つ
の第2電極66とからなるものである(USP4,32
0,365号公報)。第1電極64と圧電体65と第2
電極66とにより振動体67が構成され、第1電極64
と第2電極66との間に高周波電界が印加されることに
より、振動体67、並びにその下方に形成された密着層
63と、支持膜62が振動し、振動部分となる。支持膜
62の振動部分は振動空間Aに露出している。
【0004】しかしながら、上記の薄膜圧電共振子は、
そのままでは他の素子や基板などと接触してキズが入っ
て破壊される恐れがあり、また、空気中の水分や微細な
浮遊物(ゴミ)が電極や圧電体に付着すると共振周波数
が変化したり、結露による電気的短絡で誤動作が発生す
るため、振動エネルギーの閉じこめられる部分が自由に
振動できるような中空構造を持つように、圧電共振子を
保護ケース内に収め、外部の環境から遮断した圧電共振
装置が提案されている(例えば特開平8−23259号
公報)。
【0005】このような圧電共振子では、外部環境から
の水分やゴミによる影響を防止できるが、保護ケースを
用いて気密構造をとるために圧電共振装置が大型化し、
薄肉化に対応できないという欠点があった。また、直接
保護層を共振子の上に形成するような従来の方法では端
部からのエネルギーの損失が大きいので、エネルギー透
過を小さくするとともに、ゴミなどの影響をなくすため
に、振動体表面に保護層を形成することが特開10−2
70979号公報で提案されている。
【0006】この公報に開示された圧電共振子は、図7
に示すように、基体71上に、下層72aと中層72b
と上層72cとからなる第1音響反射層72が設けら
れ、その上に第1電極73と圧電体74と第2電極75
とにより振動体76が構成され、さらにその上に下層7
7aと中層77bと上層77cとからなる第2音響反射
層77が形成され、その上に保護膜78が設けられてい
る。
【0007】このような圧電共振子では、第1電極73
と第2電極75との間に高周波電界が印加されることに
より、振動体76が振動して音響波が発生する。音響波
は基体71方向に進み、第1音響反射層72で反射さ
れ、反対側の第2音響反射層77まで達し、再度反射さ
れる。このように第1および第2音響反射層72,77
間にエネルギーが閉じこめられる。
【0008】さらに、第2音響反射層77の上に保護膜
78が形成されているため、外部環境の影響を受けにく
い構成になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−270979号公報で開示された音響反射層7
2、77は、音響インピーダンスの異なる2つの膜の界
面、例えば音響の反射層を構成する薄膜層である下層7
7aと中層77bとの界面では振動波を一部反射するも
のの、残りは透過してしまうため、完全な振動エネルギ
ーの閉じこめが実現でないという問題があった。
【0010】そこで、反射率を上げるために、音響イン
ピーダンスの異なる2つの材料を交互に多重に重ねる必
要があった。しかしながら、反射率を上げるためには、
単に積層しただけでは効果が小さく、効率よく反射させ
るためには、音響反射層77を構成する下層77a、中
層77b、上層77cの厚みを共振周波数(λ)の1/
4(λ/4)にする必要があり、製造上困難を伴うという
問題があった。
【0011】また、実際に音響反射層77は、振動体7
6の上部に形成するので、音響反射層77の下方に位置
する層のうねりや凹凸などの影響により下層77a、中
層77b、上層77cの膜厚にバラツキが生じてしまう
ため、たとえ何層も繰返し形成しても、λ/4の周期性が
損なわれて反射率が低下してしまう。したがって、この
反射層を透過してしまう振動波が存在するため、エネル
ギーの閉じ込めが不完全となって振動の減衰が生じてし
まう。そのため、圧電共振子の挿入損失が大きくなって
しまう問題があった。
【0012】本発明は、振動のエネルギー損失が少な
く、損傷や破損の恐れが少なく、大気中の水分やゴミに
よる共振周波数の変動や誤動作を防止できる小型の圧電
共振子を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電共振子は、
基体と、該基体上に形成され、一対の電極で圧電体を挟
持してなる振動体の表面に底面が当接され、かつ前記底
面に対して略45°の角度をなす一対の傾斜面が形成さ
れた音響反射体を複数設けてなることを特徴とすること
を特徴とする。
【0014】このような構成を採用することにより、音
響波の反射率を著しく高めることができるので、振動の
エネルギー損失を減少することができる。すなわち、振
動体から外部に漏れてきた音響波は、音響反射体にその
傾斜面に対して45°の角度で入射する。ここで、音響
波は全反射し、もう一方の傾斜面に対して45°の角度
で入射し、全反射して振動体に戻る。このため、音響波
のエネルギーを効率よく閉じこめることが可能となり、
エネルギー損失の少ない圧電共振子が実現できる。
【0015】また、音響反射体を形成することによっ
て、電極や金属配線は前記音響反射体を構成する材料で
被覆されるので、大気中の水分やゴミの影響を受けるこ
とが無く、また保護ケースのような装置の大型化につな
がる封止構造をとる必要がないので、圧電共振装置とし
て保護ケースが不要となり、小型化が可能となる。
【0016】ここで、少なくとも音響反射体の表面に反
射促進体を設け、該反射促進体内の音速度を、前記音響
反射体の音速度の21/2倍以上とすることが望ましい。
このような構成を採用することにより、音響波は前記音
響反射体の傾斜面で全反射を起こすために、音響波は全
て反射して振動体に戻るため、エネルギー損失を極めて
少なくできる。
【0017】特に、反射促進体が窒化珪素、炭化珪素お
よびダイヤモンドから構成することが好ましい。これら
の材料は音速度が大きいため、音速度の大きな音響反射
体の採用が可能となり、共振周波数を高くすることがで
きる。
【0018】また、基体は、振動空間を有しており、該
振動空間と振動体との間に支持膜が形成されていること
が好ましい。このような構成を採用することにより、厚
み縦振動を用いて高周波数に対応でき、エネルギー損失
が少なく、環境に強い圧電共振子を実現できる。
【0019】さらに、基体と振動体との間に2種以上の
異なる薄膜の積層体からなる音響反射層が形成されてい
ることが好ましい。このような構成を採用することによ
り、機械的負荷により破壊されやすい支持膜を省くこと
ができるので機械的信頼性が高く、よりエネルギー損失
が少なく、環境に強い圧電共振子を実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の圧電共振子では、例えば
図1(a)および(b)に示すように、基体1上に支持
膜2が形成され、この支持膜2の上面に密着層3が形成
され、密着層3の上面に第1電極4、圧電体5、第2電
極6が順次形成されている。すなわち、密着層3上には
第1電極4および第2電極6で圧電体5を挟持した振動
体7が形成されている。また、支持膜2の振動体7形成
面の反対側には、振動空間Aが設けられている。
【0021】そして、振動体7の上に、複数の音響反射
体8aが連続して形成され、これらの音響反射体8aの
周辺には、音響反射体8aと同一形状の硬質保護膜8b
が形成されている。ここで、音響反射体8aの底面9が
振動体7に当接しているが、実際には振動体7の表面に
は第2電極6が位置するため、この第2電極6上に音響
反射体8aの底面9が当接する。複数の音響反射体8a
は、その底面9同士が第2電極6に当接した状態、言い
換えれば、音響反射体8aが連続して形成され8aによ
り第2電極6が完全に被覆されている。
【0022】また、音響反射体8aは、一対の傾斜面1
0a、10bを有している。この傾斜面10a、10b
は、図2に示したように底面9に対して角度θだけ傾い
た状態で形成されている。
【0023】音響反射体8aは、スパッタ法やCVD法
などの手法により薄膜を形成し、加工により傾斜面を形
成することができる。この時、傾斜面10a、10bが
底面9に対してなす角度θは、図2に示すように、音響
波が音響反射体8aの内部で反射されて振動体へ戻るた
めに、正確に45°にすることが望ましい。すなわち、
音響反射体8aは断面が直角二等辺三角形とされてい
る。
【0024】しかし、実際に製造する場合には、共振特
性を低下させない範囲でその角度を設定すれば共振が維
持され、実質上問題はない。すなわち、音響反射体8a
の傾斜面10a、10bが第2電極6となす角度θは、
42.5〜47.5°、好適には44〜46°の範囲
で、かつ左右の対称性が保たれていることが好ましい。
【0025】この加工は、例えば機械的加工や異方性エ
ッチングを用いて、V字状の溝を形成し、底面9に対し
て略45°の角度を持つ傾斜面を形成することができ
る。また、音響反射体8aの高さhは、共振周波数1G
Hz以上を達成するために、10μm以下、特に5μm
以下が好ましい。
【0026】この音響反射体8aは、非晶質SiO2
窒化珪素などの無機材料からなり、振動体7およびその
周囲の表面を被覆しているため、大気中の水分やゴミが
圧電共振子と直接接触することがないので、安定した特
性が保証できる。さらに、図1(b)に示すように、第
1電極4と第2電極6は外部と電気的な導通を保つため
に、引き出し電極4a、6aにそれぞれ接続されてい
る。引き出し電極4a、6aに外部信号が印加される
が、その接点と引き出し電極4a、6aを樹脂で覆うこ
とにより、電気的な短絡や酸化による材料劣化を避ける
ことができる。
【0027】また、硬質保護膜8bは、図1(a)、
(b)に示したように、音響反射体8aの周囲に形成さ
れており、音響反射体8aとは同一材料で良く、その形
状は音響反射体8aと同一でも良いが、その下地の保護
膜として大気中の水分やゴミの影響を除くことができれ
ば特にこれに限るものではない。すなわち、上記の方法
で薄膜を一面に形成し、溝加工をすることにより、音響
反射体8aと硬質保護膜8bを形成することができる。
【0028】基体1は、シリコンやサファイアなどであ
り、基体1表面に形成する振動体7の表面が平滑になる
ために、十分な平坦度と表面粗さ、例えば5μm以下の
平坦度とRa0.1μm以下の表面粗さを保有していれ
ば、特に材料を限定するものではない。また、基体1は
振動空間Aを有しており、空間Aは支持膜2を形成後に
エッチング等により形成される。
【0029】圧電体5は、ゾル・ゲル法、あるいはスパ
ッタ法に代表される気相合成法等で形成することができ
る。圧電体5の厚みは使用する共振子の周波数帯にもよ
るが、1μm以下であることが望ましい。これは、厚み
縦振動により1GHz以上の共振周波数を得るためであ
る。
【0030】また、圧電体5としてZnOやAlNのよ
うな強誘電体以外の圧電体を用いて共振子を構成する
と、大面積となって小型の共振子を実現できないため、
本発明の圧電体5には、比誘電率の大きい強誘電体が適
している。
【0031】特に、Pb(Zr1-xTix)O3のような
ペロブスカイト型構造をもつ強誘電体薄膜は、大きな自
発分極を保有し、大きな圧電性が得られるとともに、強
誘電体以外の圧電体ZnO、AlNなどに比べ比誘電率
が約100倍も大きく、インピーダンスの決定要因の一
つである電極面積を約1/100と小さくできるため、
共振子のサイズを小さくできる。
【0032】ペロブスカイト型構造をもつ強誘電体とし
ては、上記Pb(Zr1-xTix)O 3やPbTiO3、B
aTiO3などがある。また、ペロブスカイト型構造以
外の強誘電体薄膜、例えばタングステンブロンズ構造を
もつSr2KNb515なども使用できる。
【0033】強誘電体の中では、特にPb(Zr1-x
x)O3を基本組成としたものが好ましい。Pb(Zr
1-xTix)O3を基本組成としたものは、薄膜にしても
大きな圧電性と比誘電率を示すからである。
【0034】第1電極4および第2電極6は、CVD
法、スパッタ法、真空蒸着法などの気相合成法により作
製して得られる。特に、立体的な複雑形状を持つ基体に
対しては、複雑な形状でも比較的均一な膜厚が得られる
MOCVD法などに代表されるCVD法が好ましい。ま
た、平坦で、層状構造の基体に対しては、コストや簡便
さからスパッタ法や蒸着法が好ましい。電極の膜厚は、
高い共振周波数を得るために、0.05〜0.3μmの
厚みが望ましく、特には、0.1〜0.2μmが好まし
い。
【0035】第1電極4および第2電極6には、従来か
ら一般的に用いられているAl、Au等の金属材料を用
いることができる。圧電体5への質量負荷が小さく圧電
振動を抑制し難い事と電気抵抗率が小さく共振子のQ値
の低下が小さい事からAlが望ましい。
【0036】密着層3は、Tiおよびその化合物または
誘電体などの酸化物など、支持膜2および第1電極4の
いずれとも密着性の良好な材料である。
【0037】以上のように構成された本発明の圧電共振
子では、振動体7は、その厚み方向に振動し、発生した
音響波の一部が振動体7から外部へ漏れだし、この漏れ
出た音響波は音響反射体8aの傾斜面10aおよび10
bで反射して振動体に効率よくもどるため、振動エネル
ギーの損失が小さくなる。
【0038】また、図3は本発明のその他の例を示すも
のであり、基体11上に支持膜12が形成され、この支
持膜12の上面に密着層13が形成され、密着層13の
上面に第1電極14、圧電体15、第2電極16を順次
形成し、第1電極14および第2電極16で圧電体15
を挟持した振動体17が形成されている。
【0039】そして、振動体17の上に、高さhで複数
の音響反射体18aが形成され、音響反射体18aの底
面19aが振動体17に当接されている。また、音響反
射体18aは、一対の傾斜面19b、19cを有し、こ
れらの傾斜面19b、19cは底面19aに対して略4
5°の角度θをなす一対の傾斜面を持つ。さらに、音響
反射体18aの上に、反射促進体20が設けてある。
【0040】この反射促進体20は、スパッタ法やCV
D法などの手法により形成されるが、音響波が音響反射
体18aと反射促進体20との界面で効率よく反射され
るために、この部分は音響反射体18aよりも大きな音
速を有する材料から形成されている。
【0041】音響反射体18aおよび反射促進体20の
材料は、反射促進体20内の音速が、音響反射体18a
内の音速に対して21/2倍以上になるように組み合わせ
ることが好ましい。この条件を満たすことにより、傾斜
面19b、19cで全反射を起こすことができる。特
に、音響反射体18aの材料は、SiO2やSi34
ど、また、反射促進体20の材料は、Si34、SiC
およびダイアモンドのいずれかが好適で、高い共振周波
数を得ることができる。
【0042】以上のように構成された本発明の圧電共振
子では、振動体17は、その厚み方向に振動し、発生し
た音響波の一部が振動体17から外部へ漏れ出し、この
漏れ出た音響波は音響反射体18aに伝播し、傾斜面1
9bに到達する。この傾斜面19bは音響反射体18a
と反射促進体20の界面であり、およそ45°の入射角
で入射するので全反射される。従って、伝播してきた音
響波は90°伝播方向を曲げられ、反対側の傾斜面19
cに45°の入射角で入射する。同様に全反射された音
響波は、さらに伝播方向を90°曲げられて振動体17
に戻る。
【0043】また、図4は本発明のさらに他の例を示す
ものであり、基体21上に支持膜22が形成され、この
支持膜22の上面に密着層23が形成され、密着層23
の上面に第1電極24、圧電体25、第2電極26を順
次形成し、第1電極24および第2電極26で圧電体2
5を挟持した振動体27が形成されている。
【0044】そして、振動体27の上に、複数の音響反
射体28aが形成され、音響反射体28aの底面29が
振動体27に当接する。また、音響反射体28aは、底
面29に対して略45°の角度θをなす一対の傾斜面3
0a、30bを持つ。さらに、音響反射体28aの上
に、反射促進体31が設けてあり、さらにその上に、保
護層32が形成されている。
【0045】素子全体を覆う保護層32はポリイミドや
ベンゾシクロブテン(以後、BCBで表す。)といった
有機系の熱硬化材料もしくは光硬化材料が用いられる。
耐湿性などの特性を考慮するとBCBが望ましい。
【0046】保護層32は、素子全体を覆うように形成
される。これは、素子を外部の影響から保護するためで
ある。外部の影響には、湿度や酸素との化学反応による
素子材料の劣化や、ゴミ等の付着による汚染、破損、そ
して機械的衝撃による破損等が含まれる。この保護層3
2は膜厚が数μm以上であり、ポリイミドやBCBとい
った絶縁性、耐湿性に優れ、比較的柔らかく機械的衝撃
を吸収してしまう性質を有している材料が好ましい。
【0047】このように、音響反射体28aおよび反射
促進体31上に保護層32を形成しても、図6の従来構
造と異なってこの部分に音響波がほとんど伝播してこな
いため、振動エネルギーの損失がない。このため、従来
のように、保護ケースを使って圧電共振子を収納する必
要がないため、小型の圧電共振装置を実現でき、圧電共
振子を使った製品の大きさを改善し、特に厚みを薄くす
ることができる。
【0048】また、保護層32が弾力性を有し、素子に
密着した構造であるため、対衝撃性にも優れ、実装時や
比較的強い衝撃に対しても壊れにくいという利点があ
る。
【0049】また、図5は本発明のさらに他の例を示す
ものであり、基体41上に、下層42aと中層42bと
上層42cとからなる音響反射層42が設けられ、その
上に第1電極44と圧電体45と第2電極46とにより
振動体47が構成され、さらにその上に複数の音響反射
体48が形成され、音響反射体48の底面49が振動体
47に当接する。また、音響反射体48は、底面49に
対して略45°の角度θをなす一対の傾斜面50a、5
0bを持つ。さらに、音響反射体48の上に、反射促進
体51が設けてある。
【0050】このような圧電共振子では、第1電極44
と第2電極46との間に高周波電界が印加されることに
より、振動体47が振動して音響波が発生する。音響波
は音響反射体48に進み、傾斜面50a、50bで反射
され、振動体47に戻る。したがって、音響エネルギー
は、音響反射層42と音響反射体48間で閉じこめられ
る。
【0051】この構造を採用することにより、図1に示
された支持膜2と振動空間Aが不要となり、素子全体と
しての強度を高めることができるとともに、支持膜の破
壊や膜の剥離などに寄因する不良を除外することができ
る。
【0052】
【実施例】実施例1 図4の圧電共振子を作製した。ここで、基体に4インチ
φのシリコン(100)ウエハを、支持膜22に窒化珪
素、密着層23にTi、第1電極24及び第2電極26
にAl、圧電体25にPZT、音響反射体28aおよび
硬質保護膜28bにアモルファスSiO2、反射促進体
31に窒化珪素、保護層32にBCB(ベンゾシクロブ
テン)を用いた。
【0053】まず、RCA法でウエハを洗浄後、ECR
スパッタ法により窒化珪素からなる支持膜22を作製し
た。すなわち、プラズマチャンバー(PC)内にArを
16sccm、N2を5sccm導入し、出力600W
のマイクロ波によってプラズマ化させ、プラズマチャン
バーを取り囲むコイル磁場により電子サイクロトロン共
鳴(ECR)条件を満たすECRプラズマを発生させ
る。PCに隣接するデポジションチャンバーのPCとの
境界付近に設置してある珪素ターゲットに高周波(R
F)300Wが印加され、珪素がスパッタされて400
℃に加熱された基板上で、活性化した窒素と反応して窒
化珪素薄膜を形成する。膜厚を2μmとした。
【0054】この支持膜22を形成後、基板の裏側より
エッチングを行い、支持膜22に達する振動空間Aを作
製した。エッチングにはKOHを用い、異方性エッチン
グによって振動空間Aを作製した。
【0055】次に、RFスパッタ法によりアルゴン混合
雰囲気中で、膜厚約0.05μmのTiを密着層23と
して形成した後、RFスパッタ法により、膜厚約0.3
μmのAl薄膜を第1電極24として形成し、不要部分
を除去した。続いて、反応性RFスパッタ法により酸素
・アルゴン混合雰囲気中で、膜厚約0.4μmのPZT
を圧電体25として形成した。その上に、RFスパッタ
法により、膜厚約0.3μmのAl薄膜を第2電極26
として形成し、不要部分を除去し、振動体27を形成し
た。そして、フォトレジストを用いたパターン形成と、
RIEエッチング、引き出し電極のAl蒸着を行って共振
子を作製した。
【0056】さらに、この振動体27の上に、RFスパ
ッタ法により、RF出力350W、基板温度400℃
で、膜厚10μmのSiO2薄膜を形成した。そして、
切削加工によりアモルファスSiO2薄膜にV形状の溝
を形成した。音響反射体28aの傾斜面30aと30b
が基体に対して成す角度は45.5°であった。この
時、音響反射体28aの高さhは、10μmであった。
【0057】これに続いて、この音響反射体28aを覆
うように、窒化珪素からなる反射促進体31を、支持膜
22と同様のECRスパッタ法を用いて作製した。
【0058】得られたアモルファスSiO2薄膜内及び
ECRスパッタ窒化珪素薄膜内の音速度を硬度測定の結
果をもとに算出した。アモルファスSiO2薄膜内の音
速度は4.7km/s、ECR窒化珪素薄膜内の音速度
は10.8km/sであった。したがって、ECRスパ
ッタ窒化珪素薄膜の音速度は、アモルファスSiO2
膜内の音速度の約2.3倍であり、全反射条件を満足す
る。
【0059】最後に、BCBを用いて膜厚10μmの層
を形成して保護層32とし、素子全体を封止した。
【0060】このようにして作製した圧電共振子の圧電
共振特性は、共振子構造についてSパラメーターS11の測
定により行った。すなわち、RFネットワークアナライザ
ーHP8719C(ヒューレットパッカード社製)と、RF用ウ
エハマイクロプローブを用い、S11の周波数特性を測定
することにより、共振周波数を評価した。また、入出力
の信号強度から圧電共振子の出力損失を算出した。
【0061】これらの評価を行って以下の結果を得た。
まず、基本共振周波数は、700MHzであり、2次、
3次の共振を用いることにより、1GHzを越える共振
周波数を得ることができた。また、圧電共振子の損失は
2.4%であった。 比較例1 図6にある圧電共振子を作成した。ここで、シリコンウ
エハからなる基体61上に、支持膜62に窒化珪素、密
着層63にTi、第1電極64及び第2電極66にA
l、圧電体65にPZTを用いた。これを作成後にBC
B(ベンゾシクロブテン)にて膜厚10μmの層を形成
して全体の保護層とし、素子全体を封止した。作製方法
は、実施例1と同様であった。
【0062】このようにして作製した圧電共振子の圧電
共振特性と出力損失を実施例1と同様に測定した結果、
基本共振周波数160MHzという結果を得た。また、
出力損失は22%であった。 実施例2 図5に示された構造の圧電共振子を作製した。ここで、
基体41にシリコン(100)ウエハ、音響反射層42
の下層42aと上層42cにアモルファスSiO2、中
層42bに窒化珪素、第1電極44及び第2電極46に
Al、圧電体45にPZT、音響反射体48にアモルフ
ァスSiO2、反射促進体51に窒化珪素を用いた。な
お、保護層として素子全体をBCB(ベンゾシクロブテ
ン)にて膜厚10μmの層を形成して封止した。作製方
法は実施例1と同様であった。
【0063】このようにして作製した圧電共振子の圧電
共振特性と出力損失を実施例1と同様に測定した結果、
基本共振周波数710MHzという結果を得た。また、
出力損失は2.8%であった。 比較例2 図7に示された構造の圧電共振子を作製した。ここで、
シリコンウエハからなる基体71上に、第1音響反射層
72および第2音響反射層77の下層と上層にアモルフ
ァスSiO2、中層に窒化珪素、第1電極73及び第2
電極75にAl、圧電体74にPZT、保護膜78に窒
化珪素を用いた。これを作成後にBCB(ベンゾシクロ
ブテン)にて膜厚10μmの層を形成して全体の保護層
とし、素子全体を封止した。作製方法は、実施例2と同
様であった。
【0064】このようにして作製した圧電共振子の圧電
共振特性と出力損失を実施例1と同様に測定した結果、
基本共振周波数710MHzという結果を得た。また、
出力損失は6.8%であった。
【0065】
【発明の効果】本発明の圧電共振子は、音響反射体によ
り振動体から漏れ出た音響波を振動体に戻すため、振動
エネルギーの損失を小さくでき、また音響反射体の存在
により、水分やゴミの影響による共振周波数の変動や誤
動作を防止することができる。また、素子全体を封止す
る保護層を形成しても、共振子の特性劣化がなく、小型
で強固で高効率な圧電共振子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電共振子を示すもので、(a)は圧
電共振子の一部の断面図、(b)は圧電共振子の斜視図
である。
【図2】本発明の圧電共振子の音響反射体およびその周
囲を示す断面図である。
【図3】本発明の他の圧電共振子の一部を示す断面図で
ある。
【図4】本発明のさらに他の圧電共振子の一部を示す断
面図である。
【図5】本発明のさらに他の圧電共振子の一部を示す断
面図である。
【図6】従来の圧電共振子の一部を示す断面図である。
【図7】従来の他の圧電共振子の一部を示す断面図であ
る。
【符号の説明】 1・・・基体 2・・・支持膜 4・・・第1電極 5・・・圧電体 6・・・第2電極 7・・・振動体 8a・・・音響反射体 8b・・・硬質保護膜 9・・・底面 10a、10b・・・傾斜面 20・・・反射促進体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体と、該基体上に設けられ、一対の電極
    で圧電体を挟持してなる振動体とを具備してなる圧電共
    振子において、該振動体表面に底面が当接され、かつ前
    記底面に対して略45°の角度をなす一対の傾斜面が形
    成された音響反射体を複数連続して設けてなることを特
    徴とする圧電共振子。
  2. 【請求項2】少なくとも音響反射体の表面に、該音響反
    射体内における音速度の21/2倍以上の音速度を有する
    反射促進体が設けれられていることを特徴とする請求項
    1記載の圧電共振子。
  3. 【請求項3】反射促進体が窒化珪素、炭化珪素およびダ
    イヤモンドのうちいずれかからなることを特徴とする請
    求項2記載の圧電共振子。
  4. 【請求項4】基体と振動体との間に支持膜が形成されて
    おり、前記振動体の下方の基体には、前記支持膜が露出
    する振動空間が形成されていることを特徴とする請求項
    1乃至3のうちいずれかに記載の圧電共振子。
  5. 【請求項5】基体と振動体との間に、2種以上の異なる
    薄膜の積層体からなる音響反射層が形成されていること
    を特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の圧
    電共振子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20160164489A1 (en) * 2014-12-08 2016-06-09 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Bulk acoustic wave resonator and filter

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20160164489A1 (en) * 2014-12-08 2016-06-09 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Bulk acoustic wave resonator and filter
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