JP2001127351A - 超伝導回路装置及びその製造方法 - Google Patents

超伝導回路装置及びその製造方法

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JP2001127351A
JP2001127351A JP30217299A JP30217299A JP2001127351A JP 2001127351 A JP2001127351 A JP 2001127351A JP 30217299 A JP30217299 A JP 30217299A JP 30217299 A JP30217299 A JP 30217299A JP 2001127351 A JP2001127351 A JP 2001127351A
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pad
superconducting
dielectric
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dielectric substrate
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JP30217299A
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English (en)
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Yoichi Enomoto
陽一 榎本
Hideo Suzuki
秀雄 鈴木
Teruo Izumi
輝郎 和泉
Toru Shiobara
融 塩原
Michitomo Iiyama
道朝 飯山
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International Superconductivity Technology Center
Fujitsu Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
International Superconductivity Technology Center
Fujitsu Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常電導ワイヤを用いることなく、超伝導回路
基板を実装基板上に実装することが可能な超伝導回路装
置を提供する。 【解決手段】 複数のパッドが、誘電体基板の主表面上
に離散的に配置されている。パッドは、酸化物超伝導材
料により形成されている。接地導電膜が、誘電体基板の
主表面上に配置されている。接地導電膜は、酸化物超伝
導材料により形成されている。誘電体膜が、接地導電膜
の表面を覆う。超伝導回路パターンが、誘電体膜の表面
上に配置されている。超伝導回路パターンは、パッドに
接続されている。接地導電膜、誘電体膜、及び超伝導回
路パターンの厚さの合計が、パッドの高さよりも小さ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導材料を用い
た電子回路を有する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気配線に超伝導材料を用いると、高周
波電流に対する表面抵抗を低くすることができる。ま
た、超伝導のトンネル効果素子を使用すると、消費電力
の低減及び動作の高速化が可能になる。超伝導材料がこ
れらの優れた特性を有することから、高周波回路への超
伝導材料の適用が進められている。超伝導転移温度が液
化窒素温度を超える酸化物超伝導材料の発見以来、配線
に酸化物超伝導材料を使用する試みがなされている。
【0003】高周波回路では、信号を効率よく伝搬させ
るために、一般的にマイクロストリップライン構造が採
用される。マイクロストリップライン構造の誘電層に
は、誘電特性(tanδ)に優れた材料が適している。
また、誘電層上に酸化物超伝導薄膜をエピタキシャル成
長させることができることが好ましい。これらの理由に
より、酸化物超伝導材料を用いたマイクロストリップラ
イン構造の誘電層としてMgOが用いられる場合が多
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】配線の特性インピーダ
ンスが空間的に変動すると、特性インピーダンスの変化
点で信号の反射が生じ、信号の減衰や波形の歪が生ず
る。信号の周波数が高くなると、信号の減衰や波形歪が
顕著になる。
【0005】マイクロストリップライン構造の特性イン
ピーダンスは、誘電体層の誘電率、その厚さ、及び配線
幅等によって近似的に決定される。誘電体層としてMg
Oを用い、特性インピーダンスを50Ω程度に設定する
ためには、誘電体層の厚さと配線幅とを同程度にしなけ
ればならない。
【0006】超伝導集積回路装置の作製には、薄膜多層
化技術が用いられる。この場合、薄膜表面の凹凸、結晶
性、及び成長時間等から、通常、薄膜の厚さは1μm以
下に設定される。MgOからなる誘電体層の厚さが1μ
m以下のときにマイクロストリップラインの特性インピ
ーダンスを50Ωにするためには、配線幅を1μm以下
にする必要がある。
【0007】一方、集積回路装置に接続される外部の配
線は同軸構造を有し、その中心導体の太さは、細くても
0.1mm程度である。集積回路装置の配線幅と同軸ケ
ーブルの中心導体の太さとの大きな相違が、組み立てを
困難にし、インピーダンス不整合による反射を大きくす
る。
【0008】また、金属系の超伝導材料を使用する場合
には、集積回路基板と実装基板との接続にフリップチッ
プボンディングが用いられる。ところが、酸化物超伝導
材料を用いる場合には、フリップチップボンディングを
行うことが困難であり、常電導ワイヤを介した接続方法
が採用されてきた。常電導ワイヤを用いると、超伝導材
料同士を直接接続する場合に比べて、伝送特性が劣化し
てしまう。
【0009】本発明の目的は、常電導ワイヤを用いるこ
となく、超伝導回路基板を実装基板上に実装することが
可能な超伝導回路装置及びその製造方法を提供すること
である。
【0010】本発明の他の目的は、超伝導回路装置と外
部線路との特性インピーダンスの整合を図ることが可能
な超伝導回路装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、第1の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の主表
面上に離散的に配置され、酸化物超伝導材料により形成
された複数の第1のパッドと、前記第1の誘電体基板の
主表面上に配置され、酸化物超伝導材料により形成され
た接地導電膜と、前記接地導電膜の表面を覆う誘電体膜
と、前記誘電体膜の表面上に配置され、酸化物超伝導材
料で形成され、前記第1のパッドに接続された超伝導回
路パターンとを有し、前記接地導電膜、前記誘電体膜、
及び前記超伝導回路パターンの厚さの合計が、前記第1
のパッドの高さよりも小さい超伝導回路装置が提供され
る。
【0012】第1のパッドが比較的高いため、第1の誘
電体基板や、それを実装するための実装基板に反りがあ
っても、第1のパッドと実装基板側のパッドとを安定し
て接着することができる。
【0013】本発明の他の観点によると、第1の誘電体
基板の主表面上に、第1の酸化物超伝導膜を形成する工
程と、前記第1の酸化物超伝導膜をパターニングし、離
散的に分布する複数の第1のパッドを残す工程と、前記
第1の誘電体基板の主表面の一部の領域上に、酸化物超
伝導材料からなる接地導電膜を形成する工程と、前記接
地導電膜の表面上に、誘電体薄膜を形成する工程と、前
記誘電体薄膜の表面上に、酸化物超伝導材料からなり、
前記第1のパッドに接続された超伝導回路パターンを形
成する工程とを有する超伝導回路装置の製造方法が提供
される。
【0014】超伝導回路パターンを形成する工程とは異
なる工程で第1のパッドが形成される。このため、第1
のパッドの高さを、超伝導回路パターンの厚さとは独立
して設定することが可能になる。第1のパッドを高くす
ると、基板の反り等の影響を受けにくくなる。
【0015】本発明の他の観点によると、主表面が誘電
体材料で形成され、主表面よりも下方に誘電体材料と酸
化物超伝導材料との界面が形成された複合基板であっ
て、該基板の主表面内に第1の領域とそれに隣接する第
2の領域が画定され、該第1の領域においては、主表面
から前記界面までの深さがほぼ一定であり、該第2の領
域においては、主表面から前記界面までの深さが、前記
第1の領域から離れるに従って深くなっている前記複合
基板と、前記複合基板の主表面内の前記第1の領域上に
形成された超伝導回路パターンと、前記複合基板の主表
面内の前記第2の領域上に形成され、超伝導材料からな
る引出パターンであって、該引出パターンは前記第1の
領域と第2の領域との境界線と交差する方向に延在し、
前記超伝導回路パターンに接続され、前記第1の領域か
ら離れるに従って徐々に太くなっている前記引出パター
ンとを有する超伝導回路装置が提供される。
【0016】この超伝導回路装置は、複合基板の誘電体
材料と超伝導材料との界面を接地導体面とするマイクロ
ストリップライン構造を有する。引出パターンと接地導
体面との間隔が広くなるに従って、引出パターンが太く
なっている。このため、引出パターンの特性インピーダ
ンスの空間的な変動を少なくすることができる。引出パ
ターンの太い部分に、高周波コネクタ等の導線を容易に
接着することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1〜図4を参照して、本発明の
第1の実施例による超伝導回路装置について説明する。
【0018】図1(A)は、第1の実施例による超伝導
回路装置の概略断面図を示し、図1(B)は平面図を示
す。図1(B)の一点鎖線A1−A1における断面図
が、図1(A)に相当する。超伝導回路装置は、基本的
に超伝導回路基板1と実装基板50とを含んで構成され
る。超伝導回路基板1は、MgOからなる誘電体基板5
とYBa2Cu37-d(YBCO)からなる複数の第1
のパッド10を含んで構成される。ここでdは、酸素の
欠損量である。複数の第1のパッド10は、誘電体基板
5の主表面上に離散的に分布する。超伝導回路基板1の
より詳細な構成については、図2及び図3を参照して後
述する。
【0019】実装基板50は、MgOからなる誘電体基
板51と、その主表面上に形成されたYBCOからなる
複数の第2のパッド55、配線56及び外部接続用パッ
ド57を含んで構成される。第2のパッド55は、誘電
体基板5と51とを、それらの主表面同士を対向させて
配置したとき、第1のパッド10に対応する位置に配置
されている。第2のパッド55は、それぞれ配線56を
介して外部接続用パッド57に電気的に接続されてい
る。
【0020】第1のパッド10の各々の上面が、当該第
1のパッド10に対応する第2のパッド55の上面に接
着されている。パッド同士の接着は、両者を接触させ
て、酸素雰囲気中で、920℃で2時間加熱することに
より行われる。920℃は、YBCOの焼結温度であ
る。なお、パッド同士を加圧することにより、加熱温度
を下げることができる。例えば、ステンレスバネを用い
て加圧した場合、900℃の温度で両者が接着した。
【0021】外部接続用パッド57に、高周波コネクタ
の中心導体60が圧着されている。なお、高周波コネク
タの外部導体は、実装基板50の配線パターンのグラン
ド面に接続する。高周波コネクタに、外部信号線が接続
される。外部信号線として、通常、同軸ケーブルが使用
される。
【0022】次に、図2及び図3を参照して、超伝導回
路基板1の製造方法について説明する。
【0023】図2(A)に示すように、MgOからなる
誘電体基板5を準備する。誘電体基板5の主表面上に、
YBCOからなる厚さ10μmの超伝導厚膜6を形成す
る。超伝導厚膜6の形成は、液相結晶成長(LPE)に
より行われる。MgO基板上にYBCO膜をLPE法を
用いて形成する方法は、例えば特開平7−33590号
公報に詳細に説明されている。以下、超伝導厚膜6の形
成方法を簡単に説明する。
【0024】まず、誘電体基板5の主表面上に、プラズ
マ蒸着法により厚さ0.01〜1μmのYBCO膜を成
長させる。プラズマ蒸着法により形成されたYBCO膜
の上に、LPE法を用いて厚いYBCO膜を成長させ
る。溶媒としてBaOとCuOとの混合融液を用いる。
BaとCuとのモル比は3:5である。溶質供給物質と
してY2BaCuO5を用いる。溶質と溶媒を入れたるつ
ぼを加熱し、溶質と溶媒を溶融させる。その後、表面温
度を1000℃に、るつぼ底部を1010℃に調整す
る。この状態では、液体状態の溶媒の下部に溶質供給物
質が沈殿している。溶媒中には、溶質供給物質が溶解し
ている。
【0025】この溶液にプラズマ蒸着法で形成されたY
BCO膜の表面を接触させ、回転数を毎分100回転と
してYBCO厚膜を成長させる。プラズマ蒸着法で形成
されたYBCO膜が種結晶となる。成長後のYBCO厚
膜の厚さが10μmよりもやや厚くなるように、YBC
O厚膜を成長させる。成長後、YBCO厚膜の表面を研
磨して、厚さ10μmの超伝導厚膜6を形成する。
【0026】図2(B)に示すように、超伝導厚膜6を
パターニングして、複数のパッド10を残す。パッド1
0は、誘電体基板5の主表面上に離散的に分布する。超
伝導厚膜6のパターニングは、例えば硝酸を用いたウェ
ットエッチングにより行う。各パッド10の直径は、例
えば0.5mm程度である。
【0027】図2(C)に示すように、誘電体基板5の
主表面及びパッド10の表面を覆うように、YBCOか
らなる厚さ0.2〜0.3μmの超伝導薄膜12を形成
する。超伝導薄膜12の形成は、例えば、レーザ蒸着に
より行う。
【0028】図2(D)に示すように、超伝導薄膜12
をパターニングする。誘電体基板5の主表面の、パッド
10の配置されていない領域上に、接地導電膜12aが
残る。パッド10の各々の表面上にも、超伝導薄膜12
bが残る。接地導電膜12aは、少なくともひとつのパ
ッド10を覆う超伝導薄膜12bに連続する。また、少
なくともひとつのパッド10は、接地導電膜12aから
電気的に分離される。図2(B)においては、右側のパ
ッド10を覆う超伝導薄膜12bが接地導電膜12aに
連続し、左側のパッド10が接地導電膜12aから電気
的に分離されている。
【0029】図3(E)に示すように、基板上に、Mg
Oからなる厚さ0.2〜0.3μmの誘電体薄膜13を
形成する。誘電体薄膜13の形成は、例えばレーザ蒸着
またはスパッタリング等により行うことができる。
【0030】図3(F)に示すように、パッド10を覆
う誘電体薄膜13を除去する。接地導電膜12aを覆う
誘電体薄膜13aが残る。誘電体薄膜13の部分的な除
去は、残すべき部分をレジストパターンで覆って、露出
した部分をイオンミリングすることにより行うことがで
きる。
【0031】図3(G)に示すように、誘電体薄膜13
aの表面上に、YBCOからなる超伝導回路パターン1
5aを形成するとともに、パッド10を覆う超伝導薄膜
12bの上に、さらにYBCOからなる超伝導薄膜15
bを積層する。超伝導回路パターン15a及び超伝導薄
膜15bは、基板上にYBCO薄膜を成長させた後、こ
のYBCO薄膜をパターニングすることにより形成され
る。超伝導回路パターン15a及び超伝導薄膜15bの
厚さは、0.2〜0.3μmである。
【0032】図2(A)から図3(G)までの工程を経
て、マイクロストリップライン構造の超伝導回路基板1
が作製される。超伝導回路の例として、論理回路が挙げ
られる。比較回路の一構成例が、IEEEトランザクシ
ョン オン アプライド スーパーコンダクティビティ
の第7巻第2号(1997年6月)(IEEE TRA
NSACTIONS ON APPLIED SUPE
RCONDUCTIVITY,VOL.7,NO.2,
JUNE 1997)の2987〜2992頁に記載さ
れている。
【0033】図1(A)に示す実装基板50は、誘電体
基板51の表面上に、図3(G)で説明した超伝導回路
パターン15a及び超伝導薄膜15bの形成と同様の方
法で超電導パターンを形成することにより作製される。
実装基板50側のパッド55の高さは、配線56の厚さ
と同程度でよい。
【0034】図4は、図1(A)のパッド10とパッド5
5との間の抵抗の温度依存性を示す。横軸は温度を単位
「K」で表し、縦軸は抵抗を単位「Ω」で表す。抵抗の
測定は、4端子法を用いて行った。YBCOの超伝導転
移温度である約90K以下の範囲において、抵抗が非常
に低くなっていることがわかる。YBCOを超伝導状態
にすることにより、超伝導回路基板上の超伝導回路パタ
ーンと実装基板上の配線とを、低抵抗で接続することが
可能である。
【0035】なお、電流電圧特性から判断すると、パッ
ド10とパッド55との間は、完全な超伝導状態にはな
っておらず、わずかな残留抵抗が残っていると思われ
る。ただし、この程度の残留抵抗は、高周波回路の動作
にほとんど影響を及ぼさない。残留抵抗が残る原因とし
て、パッド間の界面の結晶粒界に起因する抵抗が考えら
れる。この抵抗は、パッドの接触前に、両者の表面処理
を最適化することにより減少させることができると考え
られる。
【0036】パッド10の高さが10μm程度であるた
め、誘電体基板5や、実装基板50側の誘電体基板51
に反りがある場合でも、再現性よく安定して超伝導回路
基板1を実装基板50上に接着することができる。ま
た、パッド10が薄すぎると、接着時の加熱によりパッ
ドを形成する超伝導材料が基板内に拡散し、機械的及び
電気的な接着が得られない場合がある。
【0037】発明者らの実験によると、パッド10の高
さが0.4μmよりも低い場合、良好な接着が得られな
かった。パッド10の高さを0.4μm以上にすること
が好ましいであろう。また、接地導電膜12a、誘電体
薄膜13a、及び超伝導回路パターン15aの合計の厚
さよりも、パッド10を高くすることが好ましい。な
お、十分な接着を確保するためには、パッド10の高さ
を1μm以上にすることがより好ましい。
【0038】図1では、1枚の実装基板上に1枚の超伝
導回路基板を実装する場合を説明したが、1枚の実装基
板上に複数枚の超伝導回路基板を実装してもよい。
【0039】図5は、1枚の実装基板上に複数枚の超伝
導回路基板を実装した超伝導回路装置の概略平面図を示
す。実装基板50の主表面上に、複数の超伝導回路基板
1が実装されている。両者の接着は、図1(A)に示す
超伝導回路装置の場合の接着と同じ方法で行われる。
【0040】実装基板50を構成する誘電体基板51の
主表面の外周部近傍の領域上に、複数の外部接続用パッ
ド57が配置されている。外部接続用パッド57は、配
線56により、超伝導回路基板1との接続用パッドに接
続されている。配線58が、超伝導回路基板1との接続
用パッド同士を接続する。
【0041】このように、1枚の実装基板上に複数の超
伝導回路基板を実装することにより、実装密度の向上を
図ることができる。
【0042】次に、図6を参照して、本発明の第2の実
施例による超伝導回路装置について説明する。
【0043】図6(A)は、第2の実施例による超伝導
回路装置の断面図を示し、図6(B)は、その平面図を
示す。図6(B)の一点鎖線A6−A6における断面図
が図6(A)の断面図に相当する。
【0044】複合基板60が、超伝導部材61と2つの
誘電体部材62とを含んで構成される。超伝導部材61
は、断面が台形状の、厚さ0.3mmのYBCOからな
る板である。すなわち、超伝導部材61は、相互に平行
な上面と下面、及び上面と下面とを接続する斜面とを有
する。底面と斜面とのなす角は、例えば45度である。
超伝導部材61は、そのc軸が上面と垂直になるような
結晶面方位とされている。この結晶面方位を採用する
と、磁場の侵入長が短くなり配線のインダクタンスの低
下を図ることができる。
【0045】誘電体部材62の各々は、MgOからなる
板であり、相互に平行な上面と下面、及び上面と下面と
を接続する斜面とを有する。2つの誘電体部材62の斜
面は、それぞれ、YBCOからなる超伝導薄膜64を介
して超伝導部材61の2つの斜面に接着されている。誘
電体部材62の上面は、超伝導部材61の上面とともに
ひとつの仮想平面を画定する。すなわち、超伝導部材6
1と誘電体部材62とにより、1つの平坦な上面が画定
される。誘電体部材62の下面上に、YBCOからなる
超伝導薄膜63が形成されている。超伝導薄膜63の表
面が、超伝導部材61の下面とともにひとつの仮想平面
を画定する。
【0046】超伝導部材61と誘電体部材62の上面上
に、MgOからなる厚さ0.3μmの誘電体薄膜65が
形成されている。複合基板60の表面が、超伝導部材6
1の上面に対応する第1の領域75、斜面に対応する第
2の領域76、及び誘電体部材62の下面に対応する第
3の領域77に区分される。
【0047】複合基板60の表面の第1の領域75の上
に、YBCOからなる厚さ0.3μmの超伝導回路パタ
ーン70Aが形成されている。超伝導回路パターン70
Aは、例えば遅延回路、多段フィルタ、論理回路等であ
る。第2及び第3の領域76及び77の上に、YBCO
からなる厚さ0.3μmの引出パターン70Bが形成さ
れている。引出パターン70Bは、超伝導回路パターン
70Aに接続されている。引出パターン70Bのうち第
2の領域76内に配置された部分の幅が、第1の領域7
5から離れるに従って太くなっている。
【0048】超伝導回路パターン70Aのパターン幅は
0.3μmである。引出パターン70Bのうち、第1の
領域75と第2の領域76との境界上の部分の幅は0.
3μmであり、第2の領域76と第3の領域77との境
界上の部分及び第3の領域77内の部分の幅は0.3m
mである。
【0049】複合基板60は、銅製のキャビティ72内
に収納されている。超伝導部材61及び超伝導薄膜63
は、キャビティ72の内面に電気的に接続される。高周
波コネクタの中心導体71が、キャビティ72に設けら
れた貫通孔を経由してキャビティ72内に挿入され、引
出パターン70Bに圧着されている。高周波コネクタの
外部導体は、キャビティ72に接続される。
【0050】超伝導部材61の上面、超伝導薄膜63及
び64を接地導体とするマイクロストリップライン構造
が得られる。複合基板60の主表面、すなわち誘電体薄
膜65の表面から、接地導体までの深さは、第1の領域
75においては一定である。第2の領域76において
は、この深さは、第1の領域75から離れるに従って深
くなっている。
【0051】引出パターン70Bは、複合基板60の主
表面から接地導体までの深さが深くなるに従って、その
深さに応じて太くなっている。このため、引出パターン
の特性インピーダンスを空間的にほぼ一定にすることが
可能になる。引出パターン70Bは、第3の領域77内
において広くされているため、引出パターン70Bと中
心導体71とを容易に圧着することができる。引出パタ
ーン70Bと中心導体71との接触面積が大きくなるた
め、両者の接触抵抗を低減することができる。また、接
続部のインピーダンスが整合しているため、高周波信号
の反射損失を低減することができる。
【0052】次に、第2の実施例による超伝導回路装置
の製造方法について説明する。超伝導部材61及び誘電
体部材62は、それぞれ、YBCOの単結晶基板及びM
gOの単結晶基板の縁を斜めに研磨するか、または斜め
に切り落とすことによって得られる。超伝導薄膜63及
び64は、レーザ蒸着またはスパッタリングにより形成
される。
【0053】超伝導薄膜63及び64を形成した誘電体
部材62と超伝導部材61との接着は、両者の斜面同士
を接触させて920℃程度に過熱することにより行われ
る。
【0054】誘電体薄膜65の形成は、レーザ蒸着によ
り行うことができる。例えば、酸素雰囲気中で、温度7
40℃、圧力200mTorrの条件でレーザ蒸着を行
う。超伝導回路パターン70A及び引出パターン70B
は、YBCO薄膜を形成した後、このYBCO薄膜をパ
ターニングすることにより形成される。YBCO薄膜の
形成は、レーザ蒸着により行う。その条件は、誘電体薄
膜65の形成の場合と同様である。
【0055】上記実施例では、超伝導材料としてYBC
Oを用い、誘電体材料としてMgOを用いたが、他の酸
化物超伝導材料や誘電体材料を用いてもよい。使用可能
な酸化物超伝導材料として、YBCOのYの代わりにN
d、Eu、Ho等を用いた酸化物超伝導材料が挙げられ
る。MgOの他に、チタン酸ストロンチウム(STO)
やLa0.35Sr0.65Al0.675Ta0.3253(LAS
T)等が挙げられる。
【0056】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
超伝導回路基板のパッドを高くすることにより、再現性
よく超伝導回路基板を実装基板上に接着することができ
る。マイクロストリップライン構造の配線と接地導体と
の距離を変化させることにより、配線幅を変化させて
も、その特性インピーダンスを一定に保つことができ
る。外部との接続部の配線幅を太くすることにより、配
線と外部の導体との接着を容易に行うことが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例による超伝導回路装置の断面図及
び平面図である。
【図2】第1の実施例による超伝導回路装置に使用され
る超伝導回路基板の製造方法を説明するための基板の断
面図(その1)である。
【図3】第1の実施例による超伝導回路装置に使用され
る超伝導回路基板の製造方法を説明するための基板の断
面図(その2)である。
【図4】YBCOからなるパッド同士の接続部の抵抗の
温度依存性を示すグラフである。
【図5】1枚の実装基板上に複数の超伝導回路基板を実
装した超伝導回路装置の平面図である。
【図6】第2の実施例による超伝導回路装置の断面図及
び平面図である。
【符号の説明】
1 超伝導回路基板 5 誘電体基板 6 超伝導厚膜 10 パッド 12、12b 超伝導薄膜 12a 接地導電膜 13、13a 誘電体薄膜 15a 超伝導回路パターン 15b 超伝導薄膜 50 実装基板 51 誘電体基板 55 パッド 56、58 配線 57 外部接続用パッド 60 中心導体 61 超伝導部材 62 誘電体部材 63、64 超伝導薄膜 65 誘電体薄膜 70A 超伝導回路パターン 70B 引出パターン 71 中心導体 75 第1の領域 76 第2の領域 77 第3の領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 陽一 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 鈴木 秀雄 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 和泉 輝郎 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 塩原 融 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 (72)発明者 飯山 道朝 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所内 Fターム(参考) 4M114 AA29 BB05 CC09 5J014 CA02 CA05 CA08 CA14 CA42 CA53

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の誘電体基板と、 前記第1の誘電体基板の主表面上に離散的に配置され、
    酸化物超伝導材料により形成された複数の第1のパッド
    と、 前記第1の誘電体基板の主表面上に配置され、酸化物超
    伝導材料により形成された接地導電膜と、 前記接地導電膜の表面を覆う誘電体膜と、 前記誘電体膜の表面上に配置され、酸化物超伝導材料で
    形成され、前記第1のパッドに接続された超伝導回路パ
    ターンとを有し、 前記接地導電膜、前記誘電体膜、及び前記超伝導回路パ
    ターンの厚さの合計が、前記第1のパッドの高さよりも
    小さい超伝導回路装置。
  2. 【請求項2】 前記接地導電膜が、前記複数の第1のパ
    ッドのうち少なくとも1つの第1のパッドの表面を覆
    い、当該第1のパッドに電気的に接続されている請求項
    1に記載の超伝導回路装置。
  3. 【請求項3】 さらに、前記第1の誘電体基板よりも大
    きな第2の誘電体基板と、 前記第2の誘電体基板の主表面上に離散的に配置され、
    酸化物超伝導材料で形成された複数の第2のパッドであ
    って、該第2の誘電体基板の主表面を前記第1の誘電体
    基板の主表面に対向させたとき、該第2のパッドが前記
    第1のパッドと対応する位置に配置されている第2のパ
    ッドと、 前記第2の誘電体基板の主表面上に配置され、酸化物超
    伝導材料で形成され、前記第2のパッドに接続された複
    数の配線とを有し、 前記第2のパッドの各々の上面が、対応する前記第1の
    パッドの上面に接着され、両者が電気的に導通している
    請求項1または2に記載の超伝導回路装置。
  4. 【請求項4】 第1の誘電体基板の主表面上に、第1の
    酸化物超伝導膜を形成する工程と、 前記第1の酸化物超伝導膜をパターニングし、離散的に
    分布する複数の第1のパッドを残す工程と、 前記第1の誘電体基板の主表面の一部の領域上に、酸化
    物超伝導材料からなる接地導電膜を形成する工程と、 前記接地導電膜の表面上に、誘電体薄膜を形成する工程
    と、 前記誘電体薄膜の表面上に、酸化物超伝導材料からな
    り、前記第1のパッドに接続された超伝導回路パターン
    を形成する工程とを有する超伝導回路装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1のパッドの高さが、前記接地導
    電膜と誘電体薄膜と超伝導回路パターンとの合計の厚さ
    よりも大きい請求項4に記載の超伝導回路装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記接地導電膜を形成する工程が、 前記第1の誘電体基板の主表面及び前記第1のパッドを
    被覆するように、第2の酸化物超伝導薄膜を形成する工
    程と、 前記第1のパッドのうち少なくともひとつの第1のパッ
    ドが他の第1のパッドから電気的に分離されるように、
    かつ前記第2の酸化物超伝導薄膜が前記第1の誘電体基
    板の主表面の一部の領域上に残るように前記第2の酸化
    物超伝導薄膜をパターニングする工程とを含む請求項4
    または5に記載の超伝導回路装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 さらに、主表面上に、酸化物超伝導材料
    で形成された複数の第2のパッドであって、該第2の誘
    電体基板の主表面を前記第1の誘電体基板の主表面に対
    向させたとき、該第2のパッドが前記第1のパッドと対
    応する位置に配置されている第2のパッドと、酸化物超
    伝導材料で形成され、前記第2のパッドに接続された複
    数の配線とを有する第2の誘電体基板を準備する工程
    と、 前記第1の誘電体基板と前記第2の誘電体基板とを、両
    者の主表面同士を対向させ、前記第2のパッドの各々の
    上面が、対応する前記第1のパッドの上面に接触するよ
    うに配置する工程と、 前記第1の誘電体基板と前記第2の誘電体基板とを加熱
    し、前記第1のパッドとそれに対応する第2のパッドと
    を接着する工程とを含む請求項4〜6のいずれかに記載
    の超伝導回路装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 主表面が誘電体材料で形成され、主表面
    よりも下方に誘電体材料と酸化物超伝導材料との界面が
    形成された複合基板であって、該基板の主表面内に第1
    の領域とそれに隣接する第2の領域が画定され、該第1
    の領域においては、主表面から前記界面までの深さがほ
    ぼ一定であり、該第2の領域においては、主表面から前
    記界面までの深さが、前記第1の領域から離れるに従っ
    て深くなっている前記複合基板と、 前記複合基板の主表面内の前記第1の領域上に形成され
    た超伝導回路パターンと、 前記複合基板の主表面内の前記第2の領域上に形成さ
    れ、超伝導材料からなる引出パターンであって、該引出
    パターンは前記第1の領域と第2の領域との境界線と交
    差する方向に延在し、前記超伝導回路パターンに接続さ
    れ、前記第1の領域から離れるに従って徐々に太くなっ
    ている前記引出パターンとを有する超伝導回路装置。
  9. 【請求項9】 前記複合基板が、 該複合基板の主表面に平行な上面、及び該上面に連続す
    る斜面を有し、酸化物超伝導材料で形成された第1の部
    材と、 前記第1の部材の斜面に密着する斜面、及び前記第1の
    部材の上面とともにひとつの仮想平面を画定する上面を
    有し、誘電体材料で形成された第2の部材と、 前記第1の部材の上面と前記第2の部材の上面とを被覆
    する誘電体薄膜とを含む請求項8に記載の超伝導回路装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7283855B2 (en) 2002-08-30 2007-10-16 Fujitsu Limited Dielectric waveguide having a 45° face and method of production thereof
US7307045B2 (en) 2002-11-07 2007-12-11 Ntt Docomo, Inc. Signal switching device
WO2024063162A1 (ja) * 2022-09-22 2024-03-28 国立研究開発法人産業技術総合研究所 構造体、超伝導装置及び構造体の製造方法

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