JP2001124771A - 免疫クロマトグラフィーによる検出装置 - Google Patents

免疫クロマトグラフィーによる検出装置

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JP2001124771A
JP2001124771A JP30802899A JP30802899A JP2001124771A JP 2001124771 A JP2001124771 A JP 2001124771A JP 30802899 A JP30802899 A JP 30802899A JP 30802899 A JP30802899 A JP 30802899A JP 2001124771 A JP2001124771 A JP 2001124771A
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Sukeyasu Yoneda
祐康 米田
Toshiyuki Itooka
利行 糸岡
Mitsuaki Ogami
光明 大上
Kaoru Nakagawa
かおる 中川
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Nippon Gene KK
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Nippon Gene KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 免疫クロマトグラフィー法でのサンドイッチ
法に適さない分析対象物であっても、その検出を可能と
すると共に、正確な判定を可能とする。 【解決手段】 液状の検体が適用される検体適用部位2
と、標識特異結合物質を含有した標識特異結合物質含有
部位3と、標識特異結合物質を検出する検出部位4とが
多孔質キャリアによって形成されると共に、上流側から
下流側に向かって順に並べられている。標識特異結合物
質含有部位3には、湿潤状態において検出部位4へ移動
可能であって、且つ分析対象物と結合する標識化された
特異結合物質が一定量含有される。検出部位4には、分
析対象物又は分析対象物の化学修飾物6が固定化されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫クロマトグラ
フィー法によって分析対象物を検出する検出装置に関す
る。特に、本発明は、サンドイッチ法が可能な分析対象
物と特異結合物質との組合せはもちろん、サンドイッチ
法が困難または不可能な分析対象物と特異結合物質との
組合せにおいても、分析対象物の検出が可能である検出
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】血液、尿等の生体試料中に含まれる微量
物質や、環境中に存在する微生物や微量物質の検出に
は、その感度や特異性の高さから免疫化学的測定法が汎
用されている。この測定法の内、免疫化学的測定法にク
ロマトグラフィーを応用した、いわゆる免疫クロマトグ
ラフィー法は、他の免疫化学的測定法に比べて、操作が
簡単であり、検定に要する時間も短く、判定に特殊な機
器を必要とせず、熟練を要しないことから、現在多くの
場面、例えば病院における臨床検査、研究室等における
検定試験、環境検査現場における検定試験、家庭におけ
る妊娠反応の検定試験等に広く使用されている。
【0003】最も一般的な免疫クロマトグラフィー法に
おける分析対象物の検出では、分析対象物と、分析対象
物に対する種々の標識を付した特異結合物質とをクロマ
トグラフィー材上で反応させて分析対象物と標識特異結
合物質との複合体(例えば、抗原−抗体複合体)を生成
させ、その複合体の標識を種々の手段により検出するこ
とが行われている。
【0004】この方法に用いる標識としては、放射性同
位元素、発色物質、蛍光物質、着色物質、酵素等があ
り、検出手投としては、放射線検出器、分光光度計或い
は目視によって行われる。検出結果の判定を行うにあた
り、標識を検出するための特殊な機器を必要とせず、標
識を検出し易くするための抗原抗体反応以外の反応を行
う必要もなく、判定にも熟練を要しないことから、着色
物質を用いて標識を行い、目視で判定を行うことが汎用
されている。着色物質としては、金属ゾル、染料ゾル、
着色ラテックス等が使用される。また、検出結果はクロ
マトグラフィーによってB/F分離が行われるため、ク
ロマトグラフィー材上での目視がより明確に可能な着色
状態となる。
【0005】かかる目視可能な着色を与える方法として
は、あらかじめクロマトグラフィー材上に分析対象物に
対する特異結合物質を固定化し、分析対象物と標識特異
結合物質との複合体と、分析対象物に対する固定化特異
結合物質とを反応させることにより、標識特異結合物質
と固定化特異桔合物質との間に分析対象物を挟み込む形
態で検出部位上に複合体が結合する、いわゆるサンドイ
ッチ法が汎用されている。
【0006】サンドイッチ法では、効率良く目視可能な
着色を行わせるため、使用する標識特異結合物質と固定
化された特異結合物質について、分析対象物に対して異
なる結合部位(エピトープ)を有した物質、すなわち2
種類の特異結合物質を使用することが必要であり、又、
分析対象物についても異なるエピトープを有した物質で
あることが必要となる。
【0007】なお、例外として、分析対象物が同じエピ
トープを複数与えることが可能な均合は、1種の特異結
合物質のみでもサンドイッチ法を適用することができる
が、この場合は、2種類の特異結合物質と異なるエピト
ープを与える分析対象物の組合せを使用する場合に比
べ、サンドイッチ法での着色効率が悪い組合せとなって
いる。しかしながら、選択した特異結合物質及び分析対
象物がサンドイッチ法が可態な組合せとしても、分析対
象物そのものの形やエピトープの位置によっては立体的
な障害が発生し、サンドイッチ法が困難または不可能な
場合には、満足できる検出結果が得られない。従って、
サンドイッチ法は全ての分析対象物と特異結合物質の組
合せに効率良く適用できる方法ではなく、ハプテン等の
低分子量物質を分析対象物として検出する場合には不向
きとなっている。
【0008】また、サンドイッチ法では分析対象物と標
識特異結合物質との複合体を形成する際に過剰の分析対
象物が存在する場合、分析対象物と標識特異結合物質と
の複合体を形成していない遊離の分析対象物の割合が多
くなる。このため、サンドイッチ型の複合体の形成率が
低下して、分析対象物が多くあるのに反して、結果とし
て得られる着色が少なくなる現象、いわゆるプロゾーン
現象が発生する。
【0009】他の目視可能な着色を与える方法として、
特公平7−46107号公報には、競合法による免疫ク
ロマトグラフィーによりエストリオールを検出する方法
が記載されている。この競合法による免疫クロマトグラ
フィー法では、標識特異結合物質に分析対象物そのもの
や分析対象物の化学修飾物を用いるものであり、サンド
イッチ法とは大きく異なるものである。
【0010】競合法による免疫クロマトグラフィーは、
分析対象物や分析対象物の化学修飾物が標識されてお
り、クロマトグラフィー材上で検体中の分析対象物と標
識分析対象物とが混合状態を形成し、この混合状態でク
ロマトグラフィー材上で分析対象物に対する特異結合物
質があらかじめ固定化してある検出部位までクロマトグ
ラフィーにより移動し、混合物が固定化特異結合物質と
競合的に反応して、標識分析対象物と固定化特異括合物
質との複合体が目視可能な着色を与える方法である。
【0011】この競合法では、標識分析対象物と固定化
特異結合物質との複合体のみで目視可能な着色を与える
ことから、サンドイッチ法が可能な特異結合物質と分析
対象物との組合せの場合はもちろん、1種の特異結合物
質と1つのエピトープしか与えることができない分析対
象物との組合せでも使用可能な方法であり、従って、ハ
プテン等の低分子量物質を分析対象物とした場合にも使
用することが可能となっている。
【0012】ハプテン等の低分子量物質を分析対象物と
する場合、標識分析対象物には分析対象物の化学修飾物
が多く使用されている。これはハプテン等の低分子量物
質を直接標識することが困難な場合があることや、標識
特異結合物質と固定化特異結合物質の反応効率を上昇さ
せるためである。分析対象物の化学修飾法としては、B
SA(ウシ血清アルブミン)等のタンパク質担体に複数
の分析対象物を結合させる方法が汎用されている。
【0013】特公平7−46107号公報には、エスト
リオールとBSAの結合物を調製し、その結合物に染料
ゾルの標識を行う方法、そしてそれらを使用した競合法
による免疫クロマトグラフィー法が記載されている。こ
の競合法による免疫クロマトグラフィー法では、検体中
の反応対象物の量そのものではなく、分析対象物と標識
分析対象物の混合比に依存して判定結果が与えられる。
従って、安定な測定結果を得るには、分析対象物と標識
分析対象物とがクロマトグラフィー材上で均一な混合状
態を形成していることが必要であり、クロマトグラフィ
ー材上で部分的に不均一な混合状態を形成している場合
や、測定毎に混合状態に違いが生じる場合には、安定な
測定結果が得られない。さらに、検体中の分析対象物が
ハプテン等の低分子物質の場合、分析対象物と標識分析
対象物との物理的性質の違いが大きくなり、それによっ
てクロマトグラフィー材上を移動する速度に差が生じ
て、均一な混合状態は得られ難くなる。
【0014】また、検体中にハプテン等の低分子物質で
ある分析対象物が多く存在すればするほど、クロマトグ
ラフィー材上の移動速度の差により、分析対象物と標識
分析対象物の混合液の展開液の先端側で分析対象物過多
の傾向が大きくなる。これにより、均一な混合状態を形
成している場合に比べ、あらかじめ多くの分析対象物が
固定化特異結合物質と結合することによる着色の減少が
起こる状態、すなわちサンドイッチ法におけるプロゾー
ン現象的な状態が発生し、分析対象物の測定範囲が狭く
なる。
【0015】以上のことから、ハプテン等の低分子量物
質の検出においては、免疫クロマトグラフィー法を採用
するには至っていない。例えば、検体を尿としたエスト
リオールの検出には、免疫クロマトグラフィーではな
く、スライド板上等での免疫凝集阻止反応が用いられて
いる。
【0016】尿中のエストリオールの免疫凝集阻止反応
では、少なくとも2種の試薬が必要となっている。試薬
1としては、標識された抗エストリオール抗体が液体中
に分散している試薬である。標識としては、金コロイ
ド、ラテックス、赤血球等が使用され、これらの標識と
抗体とを結合させることは常法により行われる。試薬2
としては、エストリオールが複数結合した担体が液体中
に分散している試薬であり、担体としては、試薬1と同
様でも良く、例えばBSA等の蛋白分子でも良い。後者
のエストリオールのBSAへの結合は、各種文献に記載
されている方法により行うことが可能である。
【0017】尿中のエストリオールの免疫凝集阻止反応
では、まず試薬1と検体とを混合して十分に反応させ、
次に試薬2を添加して反応させる。この時、検体中に一
定量以上のエストリオールが存在する場合は、試薬1と
尿中のエストリオールが結合していることにより、試薬
1と試薬2の抗原抗体反応が阻害され、試薬1と試薬2
は抗原抗体反応による凝集塊を生成しない。一方、検体
中のエストリオールが一定量以下の場合は、試薬1と尿
中のエストリオールの結合が少ないため、試薬1と試薬
2の抗原抗体反応が阻害されないため、試薬1と試薬2
の抗原抗体反応による凝集塊が生成する。
【0018】スライド板上での免疫凝集阻止反応は、こ
のように試薬1と検体との反応を行い、次ぎに試薬2と
の反応を行うことによって、検体中のエストリオールが
試薬1と試薬2の凝集反応を阻害することを利用し、生
じる凝集塊の有無または凝集塊の状態によってエストリ
オールの検出を行うものである。この場合、検体中のエ
ストリオールを半定量する場合は、検体を数種の倍率に
希釈し、それぞれの希釈した検体について同様の検査を
行い、検体の希釈倍率と凝集塊の有無によって検体中の
エストリオールを半定量することができる。
【0019】しかしながら、このような凝集塊の有無ま
たは凝集塊の状態による測定結果の日視判定では、得ら
れた凝集塊の状態により、経験豊富な技師でも正確に判
定するのが困難であり、正確な判定には熟練を要してい
る。また、半定量のための検体の希釈や数段階の試薬添
加操作が必要なため、操作が頻雑であり、判定のし易い
簡便な方法とはなっていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】免疫クロマトグラフィ
ー法は、感度や特異性が高く、判定に特殊な機器を必要
とせず、操作が簡便であるが、判定結果を与えるために
サンドイッチ法を選択した場合、効率良く判定結果を与
えるためには分析対象物と特異結合物質とがサンドイッ
チ法に適した組合せであることが必要であり、特異的結
合が可能なすべての分析対象物を対象とすることはでき
ないものである。
【0021】また、分析対象物と特異結合物質がサンド
イッチ法に適した組合せであったとしても、検体中に過
剰の分析対象物が存在する場合には、プロゾーン現象に
より正確な判定結果を得ることができない。
【0022】競合法は、サンドイッチ法に適さない分析
対象物と特異結合物質との組合せに適用可能であるが、
クロマトグラフィー材上での分析対象物と標識分析対象
物との混合状態によって判定結果が左右される。また、
ハプテン等の低分子量物質を分析対象物とする場合は、
分析対象物と標識分析対象物の物理的性質の違いが大き
くなって、混合状態が不均一の状態となり、これにより
サンドイッチ法でのプロゾーン現象的な現象が生じ、分
析対象物の測定範囲が狭くなっている。
【0023】また、競合法において、ハプテン等の低分
子量物質を分析対象物とする場合は、標識分析対象物と
して分析対象物の化学修飾物を用いることが多く、その
場合は、分析対象物をBSA等の担体等との結合物に調
整し、さらにその結合物を標識しなければならず、試薬
の調整に手間を要している。
【0024】スライド板上等での免疫凝集阻止反応は、
ハプテン等の低分子量物質を分析対象物としているが、
得られた凝集塊の状態によっては、経験豊富な技師でも
正確に判定するのが困難であり、正確な判定には熟練を
要すること、数段階の試薬添加操作が必要であるため操
作が頻雑で時間もかかっている。このため、必ずしも判
定のし易い簡便な方法とはなっていない。
【0025】本発明は、このような従来の問題点を考慮
してなされたものであり、サンドイッチ法に適さない分
析対象物と特異結合物質の組合せに対しても分析対象物
の検出が可能であると共にプロゾーン現象を回避でき、
競合法による免疫クロマトグラフィー法に比べ、特にハ
プテン等の低分子量物質の検出における判定結果をより
正確にできると共に試薬の調製を簡素化でき、例えば、
ハプテンの一種であるエストリオールの検出において
も、結果判定がし易く、操作方法が簡便である免役クロ
マトグラフィーによる検出装置を提供することを目的と
する。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、液状の検体が適用される検体適
用部位と、標識特異結合物質を含有した標識特異結合物
質含有部位と、標識特異結合物質を検出する検出部位と
が多孔質キャリアによって形成されると共に、上流側か
ら下流側に向かって順に並べられており、前記標識特異
結合物質含有部位には、湿潤状態において前記検出部位
へ移動可能であって、且つ分析対象物と結合する標識化
された特異結合物質が一定量含有され、前記検出部位に
は、分析対象物又は分析対象物の化学修飾物が固定化さ
れていることを特徴とする。
【0027】請求項2の発明は、請求項1記載の発明で
あって、前記検体適用部位、標識特異結合物質含有部位
及び検出部位における上流側の部位の一部が下流側の部
位の一部の上に重なっていることを特徴とする。
【0028】請求項3の発明は、請求項1又は2記載の
発明であって、前記検体適用部位、標識特異結合物質含
有部位及び検出部位が帯状に形成され、台紙上に接合さ
れていることを特徴とする。
【0029】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載の発明であって、前記分析対象物がハプテンで
あり、前記分析対象物の化学修飾物がハプテンと担体蛋
白質との結合物であることを特徴とする。
【0030】これらの発明において、検体適用部位に液
状の検体を添加すると、検体が標識特異結合物質含有部
位へ移動し、標識特異結合物質を含有した部位が液状の
検体によって湿潤状態になると同時に、検体中の分析対
象物と標識特異結合物質とが混合されて、分析対象物と
標識特異結合物質との特異的結合反応が起きる。この反
応により、検体中の分析対象物と標識特異結合物質との
結合物である分析対象物−標識特異結合物質複合体が形
成される。
【0031】この分析対象物−標識特異結合物質複合体
の量は、検体中の分析対象物の量に依存した量だけが形
成される。従って、標識特異結合物質含有部位に一定量
存在していた標識特異結合物質のうち、分析対象物と複
合体を形成しなかった標識特異結合物質の量も検体中の
分析対象物の量に依存した量だけ存在する。これによ
り、検体中の分析対象物の量に依存した分析対象物−標
識特異結合物質複合体と未反応の標識特異結合物質との
混合物が形成される。
【0032】かかる混合物は、クロマトグラフィーによ
って検出部位へ移動する。検出部位では、同部位に固定
化されている分析対象物又は分析対象物の化学修飾物
と、検体中の標識特異結合物質とが結合する。この場
合、検出部位に固定化されている分析対象物又は分析対
象物の化学修飾物は、検体中の分析対象物の量に依存し
た未反応の標識特異結合物質に相当する量が結合する。
そして、この結合により、着色複合体が検出部位に生
じ、検体中の分析対象物の量に依存した着色を与える。
なお、分析対象物−標識特異総合物質複合体は、検出部
位に固定化されている分析対象物とは反応しないため、
検出部位をそのまま通過する。
【0033】以上の反応によって検出部位に与えられる
着色は、検体中の分析対象物の量に反比例して得られ
る。すなわち、検体中の分析対象物の量が多いほど、検
出部位に着色を与える未反応の標識特異結合物質が少な
くなり、着色が弱くなる。
【0034】このような発明では、検体中の分析対象物
が検出部位では反応しないので、たとえ標識特異結合物
質とは未反応の分析対象物が検出部位に達したとして
も、サンドイッチ法や競合法による免疫クロマトグラフ
ィー法のように検出部位での着色反応に関与しないこと
から、プロゾーン現象やプロゾーン現象的な現象による
着色不足による判定の不正確さは発生することがなくな
る。
【0035】以上の測定に使用する特異結合物質として
は、分析対象物を抗原として、常法によりマウス、ラッ
ト、ウサギ、ヤギ等の動物に免疫することにより得られ
る分析対象物に対する抗体を用いればよい。使用する抗
体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体に関わ
らず使用することができ、免疫動物や抗体の種類につい
ては、必要な検出感度、検出範囲に適合するものを選択
することができる。
【0036】請求項4の発明では、ハプテンを分析対象
物としている。ハプテンとは、抗体が免疫化学的に結合
することが可能であるが、そのままを抗原として免疫を
行っても、動物の免疫機能、抗体産生能を誘導できない
物質である。このハプテンに対しては、常法によってB
SA等の蛋白質担体と結合させた化学修飾物を調製する
ことによって、抗体産生能を誘導できる抗原とすること
ができ、これを上述したマウスなどのような動物に常法
によって免疫することで、ハプテンに対する抗体を得る
ことができる。ただし、この場合に得られる抗体を使用
する場合は、蛋白質担体に結合する抗体を完全に取り除
いておくことが必要である。
【0037】標識特異結合物質の調製には、上述した方
法で得られた抗体を、放射性同位元素、発色物質、蛍光
物質、着色物質、酵素等を用いて常法によって標識化す
ることができる。比較的簡単な目視による検出結果の判
定を行う場合には、着色物質を用いて標識することが好
ましい。着色物質としては、金属ゾル、染料ゾル、着色
ラテックス等を選択することができる。これらの着色物
質による抗体の標識は、常法によって簡単に行うことが
できる。なお、着色物質の選択や、標識時の抗体と着色
物質の割合、検査に用いる標識抗体の量などは、必要な
検出感度と検出範囲から選択されるものである。
【0038】多孔質キャリア上の検出部位に分析対象物
を固定化する場合、特にハプテン等の低分子量物質を固
定化する場合は、そのままの状態では多孔質キャリア上
に固定化することが困難な場合が多く、標識抗体との反
応効率も悪いことから、分析対象物をBSA等の担体蛋
白質と結合させた化学修飾物を用いることが望ましい。
これによって、分析対象物そのものでは多孔質キャリア
上に固定することができない場合にも、分析対象物をB
SA等の担体蛋白質と結合させた化学修飾物質を用いる
ため、多孔質キャリア上に確実に分析対象物を固定化す
ることができる。これにより、着色反応効率も向上す
る。多孔質キャリア上への分析対象物又は分析対象物の
化学修飾物の固定化の量は、必要な検出感度と検出範囲
から選択するものである。
【0039】請求項2の発明では、検体適用部位、標識
特異結合物質含有部位及び検出部位における上流側の部
位の一部が下流側の部位の一部の上に重なっている。こ
の重なりによって、検体が下流側の部位に移動すること
ができるため、クロマトグラフィーによる多孔質キャリ
ア上の移動を確実に行うことができる。
【0040】請求項3の発明では、検体適用部位、標識
特異結合物質含有部位及び検出部位が帯状に形成される
と共に、台紙上に接合されている。従って、検体適用部
位、標識特異結合物質含有部位及び検出部位に一定の剛
性が付与され、撓んだり、変形することがなく、測定を
円滑に行うことができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下の実施の形態では、尿中のエ
ストリオールの検出に適用した場合を説明する。
【0042】エストリオールは卵胞ホルモン、エストロ
ゲンの3分画の一つであり、エストラジオールより転換
されて生成され、血中、尿中に大量に生成分泌される。
尿中に排泄されるときには、主としてエストリオール−
16−グルクロナイドの形が90%以上を占める。
【0043】妊娠時は胎児副腎より分泌されるdehy
droepiandrosterone sulfat
eを基質として、胎盤において多量に生成されるため、
母体血中あるいは尿中エストリオールの測定は妊娠の進
行に伴う胎児胎盤系の機能検査として不可欠となってい
る。また、尿中エストリオールの測定は胎児予後とも相
関するので、妊娠中毒症の重症化、子宮内胎児発育遅延
の経過観察に役立つ。さらに、分娩予定日超過に伴う潜
在胎児仮死の予知すなわち過期産の管理にも有効となっ
ている。又、無能児妊娠、子宮内胎児死亡、胎盤スルフ
ァターゼ欠損症、胎盤アロマターゼ欠損症が疑われる場
合も、尿中エストリオールの測定は重要な診断根拠とな
る。この場合の測定の測定値は正常値よりも低値を示
す。
【0044】図1及び図2は、この実施の形態に使用さ
れる検出装置を示す。液状の検体が適用される上流側か
ら下流側に向かって検体適用部位2、標識特異結合物質
含有部位3、検出部位4及び吸収部位5が順に並べられ
ている。これらの検体適用部位2、標識特異結合物質含
有部位3、検出部位4及び吸収部位5は、多孔質キャリ
アを帯状に成形することにより形成されている。多孔質
キャリアとしては、ポリオレフィンなどの多孔質プラス
チックや紙材、その他のものなどを使用することができ
る。
【0045】この実施の形態の検出装置では、上流側の
部位が下流側の部位の一部の上に重なるように並べられ
ている。すなわち、検体適用部位2の下流側端部が標識
特異結合物質含有部位3の上流側端部の上に重なってお
り、標識特異結合物質含有部位3の下流側端部が検出部
位4の上流側端部の上に重なっている。
【0046】このような重ね状態では、毛管現象によっ
て検体が下流側に順次、円滑に移動することができる。
このため、クロマトグラフィーによる複数の多孔質キャ
リア上の移動を確実に行うことができる。なお、吸収部
位5は測定終了液を吸収するシンクとして作用するもの
であり、その上流側端部は検出部位4の下流側端部の上
に重ねられるものである。
【0047】以上の検体適用部位2、標識特異結合物質
含有部位3、検出部位4及び吸収部位5は台紙1上に接
合されて固定されている。台紙1としては、厚紙などの
紙材、プラスチック板が使用され、この台紙1上に検体
適用部位2、標識特異結合物質含有部位3、検出部位4
及び吸収部位5が帯状となって接合されている。接合手
段は、接着、溶着、その他によって行うことができる。
このように台紙1上に接合されることにより、検体適用
部位2、標識特異結合物質含有部位3、検出部位4及び
吸収部位5に一定の剛性を付与することができる。これ
により、撓んだり、変形することがなく、測定を円滑に
行うことができる。
【0048】なお、以上の形態の検出装置は、図示を省
略したケースや袋体内に収納されて、或いは透明なフィ
ルムや、印刷によってデザイン処理されたフィルム等を
最上部に貼り付けた状態で市場に供給されるものであ
る。
【0049】この実施の形態において、標識特異結合物
質含有部位3には、湿潤状態において多孔質キャリア上
を検出部位4へと順次移動可能なエストリオールに対す
る標識抗体が一定量含有されている。検出部位4には、
ウサギ血清アルブミンと結合したエストリオール−16
−グルクロナイド(E3−16G−RSA)が、分析対
象物の化学修飾物6として固定化されている。
【0050】抗体としては、特開昭58−9068号公
報に記載されている方法によって得られた抗エストリオ
ールウサギポリクローナル抗体を用い、標識には、標識
方法の簡便さから金コロイドを用いている。なお、抗エ
ストリオール抗体としては、マウス、ラット、ウサギ、
ヤギ等のあらゆる動物種由来の抗体を用いることがで
き、モノクローナル抗体を用いても良い。
【0051】検出部位4に固定化された分析対象物の化
学修飾物6であるウサギ血清アルブミン結合エストリオ
ール−16−グルクロナイド(E3−16G−RSA)
は、特開昭58−9068号公報記載の方法で得ること
ができる。なお、分析対象物の化学修飾物6としては、
担体蛋白質をウシ血清アルブミンとしても良く、抗体結
合部位を破壊することなく多孔質キャリア上に確実に固
定化することができるものであれば、担体の種類は問わ
ない。
【0052】分析対象物の化学修飾物6であるE3−1
6G−RSAの固定化は、一定速度で一方向に移動して
いる多孔質キャリアに対して、注射器等から一定量を連
続的に塗出することにより、帯状の多孔質キャリアを横
切るライン状に塗布し、その後、乾燥することにより行
う。このように多孔質キャリアを横切るライン状に設け
る場合には、スポット的に設ける場合に比べて帯状の全
体で反応するため、部分的な反応漏れを防止することが
できる。
【0053】以上の検出装置において、尿中のエストリ
オールは、抗原抗体反応により標識抗体と複合体を形成
し、多孔質キャリア上を移動する。この実施の形態の作
用について場合を分けて説明する。
【0054】(1)検体中のエストリオール量が一定量
以下の場合(すなわち、標識特異結合物質含有部位3に
存在するエストリオールに対する標識抗体の量よりも検
体中のエストリオールの量が少ない場合)。エストリオ
ール量が一定量以下のため、標識抗体が全て複合体を形
成するわけではなく、複合体を形成していない標識抗体
も検体と共に同時に多孔質キャリア上を移動する。そし
て、E3−16G−RSAが固定化されている検出部位
4では、エストリオールと複合体を形成した標識抗体は
E3−16G−RSAと結合することなく検出部位4を
通過する。これに対し、複合体を形成していない標識抗
体がE3−16G−RSAと結合し、多孔質キャリア上
に金コロイドによるライン状の赤紫色の着色を与える。
【0055】このように、尿中のエストリオール量が一
定量以下の項合には、多孔質キャリア上に金コロイドに
よるライン状の赤紫色の着色が認められ、またエストリ
オール量が少ないほど強い着色が認められる。
【0056】(2)検体中のエストリオール量が一定量
以上である場合(すなわち、標識特異結合物質含有部位
3に存在するエストリオールに対する標識抗体の量より
も検体中のエストリオールの量が多い場合)。尿中のエ
ストリオール量が一定量以上であるため、ほとんどの標
識抗体が抗体抗原反応によりエストリオールと複合体を
形成し、多孔質キャリア上を移動する。そして、エスト
リオールと複合体を形成した標識抗体は、検出部位4に
固定化されているE3−16G−RSAと結合すること
なく多孔質キャリア上を移動する。従って、尿中のエス
トリオール量が一定量以上の場合には、多孔質キャリア
上に金コロイドによるライン状の赤紫色の着色は認めら
れない。
【0057】なお、この場合、完全に全ての標識抗体が
複合体を形成していなくても、検出部位4に固定化され
ているE3−16G−RSAに結合する標識抗体が非常
に少ないため、肉眼的に判定できるだけの金コロイドに
よるライン状の赤紫色の着色は形成されることがない。
【0058】以上のように、この実施の形態では、尿中
のエストリオール量が一定量以下であるか、一定量以上
であるかを、金コロイドによるライン状の赤紫色の着色
の有無によって肉眼的に容易に判定することが可能とな
る。しかも、エストリオール量が少ないほど金コロイド
によるライン状の赤紫色の着色が強く形成されるため、
尿中のエストリオール量の低下度の推測、またはエスト
リオール量の定性を行うことが可能となっている。
【0059】加えて、検出装置に使用する各種試薬の濃
度を調整することにより、尿中のエストリオール量にお
けるカットオフ値を、健常者のエストリオール量と、各
種エストリオール量の低下を伴う疾病が疑われる場合の
エストリオール量との間に設定することができる。それ
により、着色が得られた場合には、エストリオール量の
異常低下が示されており、その着色が強いほど、エスト
リオール量の低下を伴う各種の疾病が強く疑われ、着色
が得られなかつた場合は、エストリオール量の異常低下
が示されていないことになる。このことから、エストリ
オール量の低下を伴う各種の疾病が疑われる可能性が少
ないというような、判定が容易で、操作が簡便な検出を
行うことができる。
【0060】なお、この実施の形態においては、標識と
して金コロイドを用いることにより赤紫色の線が形成さ
れたが、着色ラテックスなど他の標識を用いることによ
り別の着色を形成しても良い。又、抗体をライン状に固
定化することなく、他の形状に固定化しても良く、これ
により固定化した形状に応じた着色を得ることも可能で
ある。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明の検出装置では、サ
ンドイッチ法には適さないハプテン等の低分子量物質を
分析対象物とした場合においても、分析対象物の検出が
可能となる。又、サンドイッチ法でみられるプロゾーン
現象が回避でき、競合法による免疫クロマトグラフィー
よりも試薬の調製が簡素化するうえに、より正確に分析
対象物の量に依存する結果が得られ、一般的に凝集塊の
有無によって検出を行っている分析対象物に対しても、
より判定がし易くなり、しかも簡便な操作での検出を行
うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における検出装置の平面図
である。
【図2】検出装置の側面図である、
【符号の説明】
1 台紙 2 検体適用部位 3 標識特異結合物質含有部位 4 検出部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大上 光明 富山県富山市荒川1−1−25 株式会社ニ ッポンジーン免疫研究所内 (72)発明者 中川 かおる 富山県富山市荒川1−1−25 株式会社ニ ッポンジーン免疫研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状の検体が適用される検体適用部位
    と、標識特異結合物質を含有した標識特異結合物質含有
    部位と、標識特異結合物質を検出する検出部位とが多孔
    質キャリアによって形成されると共に、上流側から下流
    側に向かって順に並べられており、 前記標識特異結合物質含有部位には、湿潤状態において
    前記検出部位へ移動可能であって、且つ分析対象物と結
    合する標識化された特異結合物質が一定量含有され、 前記検出部位には、分析対象物又は分析対象物の化学修
    飾物が固定化されていることを特徴とする免疫クロマト
    グラフィーによる検出装置。
  2. 【請求項2】 前記検体適用部位、標識特異結合物質含
    有部位及び検出部位における上流側の部位の一部が下流
    側の部位の一部の上に重なっていることを特徴とする請
    求項1記載の免疫クロマトグラフィーによる検出装置。
  3. 【請求項3】 前記検体適用部位、標識特異結合物質含
    有部位及び検出部位が帯状に形成され、台紙上に接合さ
    れていることを特徴とする請求項1又は2記載の免疫ク
    ロマトグラフィーによる検出装置。
  4. 【請求項4】 前記分析対象物がハプテンであり、前記
    分析対象物の化学修飾物がハプテンと担体蛋白質との結
    合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の免疫クロマトグラフィーによる検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008544289A (ja) * 2005-06-28 2008-12-04 ズィービーエックス・コーポレーション 膜アレイ及び分析用装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008544289A (ja) * 2005-06-28 2008-12-04 ズィービーエックス・コーポレーション 膜アレイ及び分析用装置
US8119393B2 (en) 2005-06-28 2012-02-21 Zbx Corporation Membrane array and analytical device

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