JP4198182B1 - イムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キット - Google Patents

イムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キット Download PDF

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Abstract

【課題】 多様な分析対象への応用が可能で、高感度な分析が可能なイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットを提供する。
【解決手段】 試料中の被検物質を標識物質により標識するとともに捕捉抗体により固定化して検出する。試料に対して、当該被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質と、標識物質を含み被検物質の特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬とを作用させるとともに、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体と結合させることで捕捉する。この時、試料に対して特定反応物質を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、標識試薬を作用させて被検物質を標識するようにしてもよい。また、試料に対して特定反応物質及び標識試薬を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、標識試薬を再度作用させて増感することも可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、抗体を固定化した支持体(ストリップ)の一端から毛細管現象を利用して試験溶液を展開し、標識した被検物質を捕捉して検出するイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットに関するものである。
イムノクロマト分析法は、妊娠検査やインフルエンザ検査において、簡易検査キットとして広く用いられる技術であり、目視のみで検出可能という簡便性を有することから利用分野も拡大する傾向にある。例えば、アレルギー患者のアレルゲンを決定するための一次スクリーニングへの適用等もその一例である。
前記イムノクロマト分析法としては、いわゆるサンドイッチ法を利用したイムノクロマトが代表的である。サンドイッチ法を利用したイムノクロマトでは、先ず、被検物質の異なる部位を認識する2種類の抗体とストリップとを用意し、一方の抗体(捕捉抗体)はストリップのテストラインと呼ばれる領域に固定化しておき、他方の抗体は例えば金コロイド粒子を標識して金コロイド標識抗体とする。そして、試験溶液を金コロイド標識抗体と混合した後、ストリップの一端に吸収させ、展開する。試験溶液中に被検物質が含まれる場合、被検物質と金コロイド標識抗体とが反応して被検物質−金コロイド標識抗体複合体が形成され、この複合体がテストライン上を通過する際に捕捉抗体に捕捉され、捕捉抗体−被検物質−金コロイド標識抗体複合体が形成される。その結果、テストラインにおいて、金コロイド標識抗体の赤色の発色が観察される。
アレルゲン決定のための一次スクリーニングにおいても同様の手法が踏襲されており、例えば特許文献1においては、アレルゲン特異的IgE抗体を分析対象物質とするイムノクロマトグラフ法が、特許文献2においては、イムノクロマト法によるアレルゲンの検出方法が、それぞれ提案されている。
例えば、特許文献1に記載されるイムノクロマトグラフ法は、複数の分析対象物質を含む可能性のある被検試料について、(1)分析対象物質のいずれか1つとのみ、それぞれ特異的に結合することができ、しかも、支持体上にそれぞれ別々に固定化された特定免疫反応性物質と、(2)分析対象物質と、(3)複数の分析対象物質の全てと結合することができ、しかも標識物質で標識化された共通免疫反応性物質とを含む免疫複合体に由来する標識の信号を分析することにより、被検試料中の各分析対象物質を分析するというものである。分析対象物質がアレルゲン特異的IgE抗体である場合を例に挙げると、前記特定免疫反応性物質としてアレルゲンを固定化メンブレンに固定化しておくとともに、標識化された共通免疫反応性物質(抗IgE抗体)を用い、アレルゲン−分析対象物質(アレルゲン特異的IgE抗体)−標識化共通免疫反応性物質(標識化抗IgE抗体)からなる免疫複合体を形成し、前記分析を行う。
特許文献2に記載されるアレルゲンの検出方法は、変性及び未変性のアレルゲンに対するモノクローナル抗体に金コロイドを結合した金コロイド標識抗体と、前記金コロイド標識抗体と異なるエピトープを認識する変性及び未変性のアレルゲンに対するモノクローナル抗体が所定の位置に固定された展開支持体と、アレルゲンを含む食品等の被検試料から、SDSと2−メルカプトエタノールを用いて抽出した変性及び未変性のアレルゲンの測定サンプルを含む展開液を用い、展開支持体に展開させた後、金コロイドの集積の有無により、アレルゲンを検出するというものである。
特開2002−286716号公報 特開2007−278773号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術では、例えばアレルゲン特異的IgE抗体を分析対象としてイムノクロマト分析を行う場合、アレルゲンをメンブレンに固定しておく必要があり、認識部位が隠蔽されて感度が低下することが懸念される。アレルゲン特異的IgE抗体は、アレルゲン表面の認識部位を認識して結合するが、アレルゲンの固定化の際に、前記認識部位が隠れてしまう可能性がある。認識部位が全く隠れないようにアレルゲンを固定することは、現実的には難しい。
一方、特許文献2記載の技術は、アレルゲン自体の検出に限られ、例えばアレルゲン特異的IgE抗体を被検物質とする分析に適用することは難しい。前述の通り、イムノクロマト分析法においては、様々な分析への応用が期待されているが、特許文献2記載の技術では、多様な分析対象(被検物質)に対応することは難しく、利用分野を拡大することは難しい。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、多様な分析対象への応用が可能で、認識部位の隠蔽による感度低下等を招くことのない新規なイムノクロマト分析法を提供することを目的とし、さらにはイムノクロマト分析キットを提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明に係るイムノクロマト分析法は、試料に対して、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質と、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬とを作用させるとともに、被検物質と結合した特定反応物質を前記捕捉抗体と結合させ、試料中の被検物質を標識物質により標識するとともに捕捉抗体により固定化して検出するイムノクロマト分析法であって、所定の位置に捕捉抗体が固定された検出用ストリップに対し、試料を特定反応物質及び標識試薬とともに流した後、展開液により再度標識試薬を流すことにより、前記試料に対して、前記特定反応物質及び標識試薬を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、前記標識試薬を再度作用させることを特徴とする。
また、本発明のイムノクロマト分析キットは、捕捉抗体が所定の位置に固定された検出用ストリップと、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質を保持する第1パッドと、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬を保持する第2パッドとを備え、第2パッド、第1パッド、検出用ストリップの順に配列され、これら第1パッド、第2パッド及び検出用ストリップが容器内に収容されるとともに、当該容器には、第1パッド及び第2パッドに対応した位置にそれぞれ溶液供給孔が形成され、前記第1パッドに対応する溶液供給孔から試料溶液を滴下した後、第2パッドに対応する溶液供給孔から展開液を滴下することによりイムノクロマト分析が行われることを特徴とする。さらには、捕捉抗体が所定の位置に固定された検出用ストリップと、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質を保持する第1パッドと、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬を保持する第2パッドとを備え、第1パッド、第2パッド、検出用ストリップの順に配列され、これら第1パッド、第2パッド及び検出用ストリップが容器内に収容されるとともに、標識試薬を含む展開液が添付され、前記容器には、第1パッドに対応した位置に溶液供給孔が形成され、当該溶液供給孔から試料溶液を滴下した後、標識試薬を含む展開液を滴下することによりイムノクロマト分析が行われることを特徴とする。
本発明のイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットにおいては、検出対象となる被検物質を、単に標識抗体と捕捉抗体とでサンドイッチした状態の複合体を形成して検出を行うのではなく、被検物質と特定反応物質とを結合させるとともに、被検物質に標識試薬を結合させ、前記特定反応物質に捕捉抗体を結合させることで、標識された被検物質の捕捉及び検出を行うようにしている。したがって、被検物質に応じて特定反応物質を選択することで、多様な被検物質に対応することが可能になる。例えば、アレルゲンを認識する抗体を被検物質とする分析も可能である。
また、被検物質を、当該被検物質と特異的に結合する特定反応物質を介して捕捉抗体により捕捉するようにしているので、認識部位の隠蔽の問題も解消される。被検物質と直接結合する特定反応物質を固定する必要がないからである。特定反応物質は、被検物質と自由に反応することが可能である。例えばアレルゲンを認識する抗体を被検物質とする場合、アレルゲンを固定する必要がないためアレルゲン表面の認識部位が隠蔽されることがなく、被検物質と前記アレルゲン表面の認識部位との結合が阻害されることがない。
さらに、特定反応物質や標識物質を作用させる手順を工夫することで、共存する非特異的抗体による競合的な阻害によって生じる感度低下を回避することも可能である。これを規定したのが本願の請求項2記載発明、あるいは請求項4記載の発明である。すなわち、前記試料に対して、前記特定反応物質を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、前記標識試薬を作用させて前記被検物質を標識することを特徴とする。あるいは、前記試料に対して、前記特定反応物質及び標識試薬を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、前記標識試薬を再度作用させることを特徴とする。
例えば、主たる対象被験物質である免疫グロブリンは血液中に多種類含まれており、特定の抗原をそれぞれ認識する。したがって、特定の免疫グロブリンを被検物質とすると、その他の抗原に対する免疫グロブリンは非特異的抗原として競合的に標識物質との結合を阻害することになる。特定反応物質を作用させ、捕捉抗体によって捕捉した後に標識試薬を作用させることで、あるいは、特定反応物質及び標識試薬を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、標識試薬を再度作用させることで、特定の免疫グロブリンのみが効率的に標識され、阻害による感度低下が回避され、十分な発色強度が得られる。
本発明のイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットによれば、多様な分析対象(被検物質)について、イムノクロマト分析を行うことが可能であり、イムノクロマト分析の利用分野を大幅に拡大することが可能である。また、本発明のイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットによれば、被検物質と直接結合する特定反応物質の認識部位の隠蔽による感度低下等を招くことがなく、高感度な検出を実現することが可能である。さらに、本発明のイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットによれば、共存する非特異的抗体による競合的な阻害によって生じる感度低下を回避することも可能である。
以下、本発明を適用したイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のイムノクロマト分析法は、前述の通り、試料中の被検物質を標識物質により標識するとともに捕捉抗体により固定化して検出するイムノクロマト分析法であって、前記試料に対して、当該被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質と、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に特異的に結合する標識試薬とを作用させるとともに、被検物質と結合した特定反応物質を前記捕捉抗体と結合させるようにする。これにより、標識試薬−被検物質−特定反応物質複合体が形成され、さらに、この標識試薬−被検物質−特定反応物質複合体が捕捉抗体と結合して、標識試薬−被検物質−特定反応物質−捕捉抗体複合体が形成される。前記捕捉抗体は、支持体であるストリップ等にストライプ状に固定され、この捕捉抗体が固定された部分が判定部となる。この判定部に前記標識試薬−被検物質−特定反応物質−捕捉抗体複合体が集積することで標識物質が視認され、試料中における被検物質の存在が検出される。
本発明において、検出対象となる被検物質としては、免疫反応性物質を含有するものであれば任意の物質に適用することができ、例えば各種抗体や抗原等を挙げることができる。ここで、抗体(IgG、IgM、IgE、IgD、IgA等)としては、抗DNA抗体、抗ENA抗体、抗カルジオリビン抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体等に代表される自己抗体や各種免疫グロブリン等を挙げることができ、例えばアレルゲンを特異的に認識する特異的免疫グロブリン(特異的IgE等)の分析等にも適用することが可能である。また、抗原としては、糖タンパク質や複数のサブユニットから構成される特定タンパク質、前立腺特異的抗原(PSA)等のタンパク質複合体等を挙げることができる。
特定反応物質は、前記被検物質に応じて選定すればよく、例えば被検物質が前記自己抗体(例えば抗DNA抗体)である場合には、当該抗DNA抗体が認識する特定のDNAを特定反応物質として用いれば良く、被検物質がγグロブリンクラスがIgGである自己抗体である場合には、特定反応物質として当該IgGが認識する特定のタンパク質やタンパク質複合体等の抗原を用いればよい。被検物質が抗原(例えばアレルゲン)を特異的に認識する免疫グロブリン(IgEやIgG等)である場合には、抗原であるアレルゲンを特定反応物質とすればよい。被検物質が、糖タンパク質や特定タンパク質、タンパク質複合体等の抗原である場合には、所定のタンパク質部分を認識する抗体を特定反応物質として用いれば良い。また、特定反応物質としては、前記各抗体自体を用いても良いし、それらの断片(フラグメント)を用いても良い。これら被検物質と特定反応物質の組み合わせにより、多様な被検物質についてイムノクロマト分析が可能となる。
一方、前記被検物質と結合し、これを標識する標識試薬としては、例えば被検物質を抗原として認識する標識抗体と標識物質とが結合したものを用いることができる。被検物質を抗原として認識する標識抗体は、被検物質の前記特定反応物質との反応部位とは異なる部位を認識するものであれば、特定反応物質と結合した被検物質に対してさらに結合することが可能である。係る標識試薬を用いれば、被検物質に対して標識物質が標識抗体を介して結合し、これを標識する。
前記標識物質としては、発色物質や発光物質等を標識物質として用いることできるが、迅速且つ簡便な検出を可能とするためには、発色物質を用いることが好ましい。ここで、発色物質としては、金属微粒子、ラテックス微粒子、有機高分子微粒子、無機微粒子、発色剤を包含したリポソーム等の発色微粒子等を用いることができる。金属微粒子としては、金微粒子、銀微粒子、白金微粒子等の貴金属微粒子、チタン微粒子、鉄微粒子、ニッケル微粒子等が例示される。金属微粒子は、粒径1nm〜100nmのコロイド状の金属微粒子であってもよい。すなわち、金コロイド粒子、銀コロイド粒子、白金コロイド粒子等の貴金属コロイド粒子や、チタンコロイド粒子、鉄コロイド粒子、ニッケルコロイド粒子を用いてもよい。ラテックス微粒子としては、ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体等から選ばれる少なくとも1種を含む微粒子が例示される。有機高分子微粒子としては、不溶性アガロース、セルロース、不溶性デキストラン等から選ばれる少なくとも1種を含む微粒子が例示される。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ等が例示される。これらの中でも、汎用性の高い貴金属コロイド粒子、ラテックス微粒子等を用いることが好ましく、特に、明瞭な発色が得られることから、金コロイド粒子を用いることが好ましい。
前記捕捉抗体は、前記特定反応物質及び標識試薬が結合した標識試薬−被検物質−特定反応物質複合体を捕捉するものであり、前記特定反応物質を抗原と認識して結合する抗体が使用可能である。この場合、前記捕捉抗体が直接的に特定反応物質を認識するものであってもよいし、特定反応物質表面に固定された抗原を認識するものであってもよい。例えば、特定反応物質がアレルゲンである場合、前記捕捉抗体はアレルゲンを抗原として認識する抗体であってもよいし、アレルゲン表面に付着されたビオチンを抗原として認識する抗体であってもよい。後者の場合、ビオチンが付着したアレルゲンが特定反応物質に相当することになる。アレルゲン表面にビオチンを付着し、アレルゲン表面の認識部位をビオチンとした場合、ビオチンをアレルゲンに複数個付着することで確実に固定する部分を確保でき、感度を上げることもできる。アレルゲン自体を捕捉抗体で固定すると、捕捉抗体の認識部位と近い部位を認識する被検物質(例えばIgE)の測定を阻害することになり、感度の低下を招くおそれがある。アレルゲン表面の認識部位をビオチンとすれば、これを防ぐことができ、感度を上げることができる。
試料溶液中の被検物質を検出するには、例えば先ず、試料溶液と特定反応物質及び標識試薬を混合し、標識試薬−被検物質−特定反応物複合体を形成させた後、捕捉抗体を固定した支持体(検出用ストリップ)に供給する。供給された試料溶液(混合液)は検出用ストリップに浸透し、毛細管現象により展開される。試料溶液中に被検物質が存在する場合、検出用ストリップに固定された捕捉抗体が前記複合体の特定反応物質と結合し、結果として被検物質に応じた量の標識物質が判定部(捕捉抗体が固定された部分)に集積されて可視化される。分析者は、前記判定部の発色の有無を目視により確認することで、被検物質の有無を簡単に判定することができる。なお、判定部の発色や発光は、デンシトメーター等の機器を用いて検出することにより被検物質の検出や定量を行うことも可能である。
前述のイムノクロマト分析法は、前記特定反応物質や標識試薬を含むパッドや、捕捉抗体を固定した検出用ストリップ等から構成されるイムノクロマト分析キットを用いることにより、簡便に実施することが可能である。
イムノクロマト分析キットの構成としては、捕捉抗体が所定の位置に固定された検出用ストリップと、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質を保持する第1パッドと、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬を保持する第2パッドとを備えていればよい。例えば、第1パッド、第2パッド、検出用ストリップの順に配列してこれらを結合し、イムノクロマト分析キットとすれば、前記一連の分析を当該イムノクロマト分析キットに試料溶液を第1パッドに滴下するだけで、迅速に行うことができる。
前記構成のイムノクロマト分析キットの第1パッドに試料溶液を滴下すると、第1パッドに浸透し、試料溶液に含まれる被検物質が第1パッドに含まれる特定反応物質と反応する。さらに、試料溶液は第2パッドへと浸透し、特定反応物質が結合した被検物質は、第2パッドに含まれる標識試薬と反応する。これにより、標識試薬−被検物質−特定物質複合体が形成される。この複合体を含む溶液は、検出用ストリップへと浸透し展開される。検出用ストリップでは、前記複合体が固定された捕捉抗体により捕捉され、標識物質が集積されることにより可視化される。
前述のイムノクロマト分析法やイムノクロマト分析キットは、生体物質、合成物質等あらゆる物質を被検物質とすることができる。したがって、被検物質を含む試料溶液としても、例えば血液、血清、尿等の生体由来の溶液や、自然環境から採取した水や土壌等を含む溶液、さらにはこれらを用いて調製して得た溶液等、任意のものを用いることができる。
ただし、試料によっては阻害効果によって感度が低下する場合がある。例えば、被検物質が特定の抗原(例えばアレルゲン)を認識する特異的免疫グロブリンである場合、試料(検体)中には当該特異的免疫グロブリンの他、非特異的免疫グロブリンも含まれる。このように非特異的免疫グロブリンと分析対象である特異的免疫グロブリンが混在している場合、標識試薬が非特異的免疫グロブリンとも結合してしまい、特異的免疫グロブリンの検出感度が低下する。そのような場合には、阻害効果を避けるための対策を講ずることが好ましい。
前記非特異的免疫グロブリンの混在による阻害効果を回避するためには、標識試薬が非特異的免疫グロブリンと結合するのを避ける方法(以下、回避法と称する。)や、捕捉抗体で捕捉された被検物質を再度標識試薬で標識する方法(以下、増感法と称する。)等を挙げることができる。
ここで、前記回避法は、前記の通り、標識試薬が非特異的免疫グロブリンと結合するのを避ける方法であり、特定反応物質と結合した被検物質を捕捉抗体で固定化した後に、標識試薬を作用させる方法である。回避法では、試料に対して特定反応物質を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、標識試薬を作用させて被検物質を標識する。これを実現するためには、所定の位置に捕捉抗体が固定された検出用ストリップに対し、試料を特定反応物質とともに流した後、展開液により標識試薬を流せばよい。
したがって、前記回避法を実施するためのイムノクロマト分析キットでは、第2パッド、第1パッド、検出用ストリップの順に配列する必要がある。なお、イムノクロマト分析キットは、前記第1パッド、第2パッド及び検出用ストリップをプラスチック等からなる容器内に収容した状態で提供されることが多いが、この場合、当該容器には、第1パッド及び第2パッドに対応した位置にそれぞれ溶液供給孔を形成しておく。分析に際しては、第1パッドに対応する溶液供給孔から試料溶液を滴下した後、第2パッドに対応する溶液供給孔から展開液を滴下する。第1パッドに対応する溶液供給孔から試料溶液を滴下すれば、試料に対して特定反応物質のみが反応し、被検物質と結合した特定反応物質が捕捉抗体により捕捉される。次いで、第2パッドに対応する溶液供給孔から展開液を滴下すれば、捕捉された被検物質と標識試薬が接触し標識される。
前記回避法では、阻害物質(例えば非特異的免疫グロブリン)が流れてしまった後に標識試薬を作用させ、捕捉された被検物質に標識試薬を選択的に結合するようにしているので、阻害物質による阻害効果を受けることなく被検物質を検出することができ、感度を向上することができる。
一方、増感法は、展開時に標識試薬で標識されなかった被検物質を再度標識し、発色を増強する方法である。増感法では、試料に対して、前記特定反応物質及び標識試薬を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、前記標識試薬を再度作用させる。これを実現するためには、所定の位置に捕捉抗体が固定された検出用ストリップに対し、試料を特定反応物質及び標識試薬とともに流した後、展開液により再度標識試薬を流せばよい。
前記増感法を実施するためのイムノクロマト分析キットでは、前記回避法の場合とは異なり、第1パッド、第2パッド、検出用ストリップの順に配列されていればよい。これら第1パッド、第2パッド及び検出用ストリップを容器内に収容し、容器の第1パッドに対応した位置に溶液供給孔を形成する。また、標識試薬を含む展開液を添付する。分析に際しては、先ず、前記溶液供給孔から試料溶液を滴下して通常通り展開を行い、標識試薬−被検物質−特定物質複合体を捕捉抗体で固定化した後、標識試薬を含む展開液を滴下する。
前記増感法では、阻害物質(例えば非特異的免疫グロブリン)の影響で標識試薬と結合できなかった被検物質も再度の標識で標識試薬と結合し、発色が増強される。したがって、検出感度を高めることが可能である。また、この増強機序に加えて、標識物質が複数の結合部位を持つ場合、被験物質と競合する阻害物質が被験物質とは異なる部位に結合した阻害物質に対して追加した標識試薬が結合し、さらに発色を増強することもある。この場合は、さらに検出感度を上昇させることができる。
次に、アレルゲンを認識する特異的IgEを被検物質とする場合を例に挙げて、本発明のイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットをより具体的に説明する。
(イムノクロマト分析の基本原理)
図1は、本実施形態のイムノクロマト分析法及びイムノクロマト分析キットを説明する模式図である。本実施形態では、被検物質がアレルゲンを認識する特異的IgEであり、したがって、アレルゲン(ここではビオチンが付着したアレルゲン)が特定反応物質に相当する。標識試薬は、金コロイド標識抗IgE抗体である。アレルゲンの表面にはビオチンが付着されており、捕捉抗体としてビオチンを認識する抗ビオチン抗体を用いる。
イムノクロマト分析キットは、短冊状の検出用ストリップ1と、当該検出用ストリップ1の端部に結合された第1パッド2及び第2パッド3とから構成されている。これらの配列順序は、上流側から第1パッド2、第2パッド3、検出用ストリップ1の順である。なお、検出用ストリップ1の下流側に、展開後の試料溶液を吸収する吸収パッドを備えていてもよい。
前記第1パッド2や第2パッド3には、例えばグラスウール等の上面に吸水性に優れたろ紙等が積層されたもの等が用いられ、第1パッド2には特定反応物質(ビオチンが付着したアレルゲン4)が保持されている。第2パッド3には標識試薬である金コロイド標識抗IgE抗体5が保持されている。金コロイド標識抗IgE抗体5は、発色物質である金コロイド5aの表面に抗IgE抗体5bが固定されたものである。したがって、この金コロイド標識抗IgE抗体5は、IgEを抗原として認識し、これと結合する。
検出用ストリップ1には、この種のイムノクロマト法に用いられるメンブレンであれば制限無く使用することができ、例えばニトロセルロース等を用いることができる。検出用ストリップ1の中途位置には、捕捉抗体である抗ビオチン抗体6が固定されており、判定部を構成している。判定部は、検出用ストリップ1における展開方向と直交する方向の線状パターンとして形成されている。
以上の構成のイムノクロマト分析キットを用いて特異的IgE(被検物質)の検出を行う場合、図1(a)に示すように、検体である血清を展開液で希釈した試料溶液7を第1パッド2に滴下する。試料溶液7中には、被検物質である特異的IgE8の他、アレルゲンを認識しない非特異的IgE9も含まれている。
第1パッド2に試料溶液7を滴下すると、試料溶液7は、第1パッド2、第3パッド、さらには検出用ストリップ1へと浸透する。この過程において、各パッドからアレルゲン4や金コロイド標識抗IgE抗体5が溶出し、試料溶液7中の特異的IgE8と抗原抗体反応により結合する。すなわち、図1(b)に示すように、特異的IgE8にアレルゲン4や金コロイド標識抗IgE抗体5が結合した複合体10が形成される。なお、金コロイド標識抗IgE抗体5は、非特異的IgE9にも結合する。したがって、アレルゲン4と結合した特異的IgE8の一部は、金コロイド標識抗IgE抗体5と結合することなくそのまま展開される。
前記試料溶液7は、前記反応の後、検出用ストリップ1において毛細管現象により図中左から右に向かって展開され、図1(c)に示すように、判定部においてアレルゲン4と抗ビオチン抗体6の結合によって複合体10が捕捉される。この時、複合体10のみならず、金コロイド標識抗IgE抗体5で標識されていないアレルゲン4のみと結合した特異的IgE8や、過剰なアレルゲン4も捕捉される。
以上により、検出用ストリップ1の判定部には、特異的IgE8の濃度に依存して金コロイド標識抗IgE抗体5が結合し、金コロイド5aが集積される。この金コロイド5aの集積により判定部(テストライン)が線状に発色し、目視によりアレルギーの有無を判定することができる。
(変形例1:回避法)
図1に示す手順によりイムノクロマト分析を行った場合、図1(c)にも示す通り、判定部に金コロイド標識抗IgE抗体5で標識されていない特異的IgE8も捕捉され、検出感度が低下する。特に、非特異的IgE9が試料中に多く存在している場合、試料溶液や展開液の適用後、複合体10形成の際に、標識試薬である金コロイド標識抗IgE抗体5と特異的IgE8の結合を競合的に妨げる。その結果、判定部にトラップされた特異的IgE8のうち、標識されない特異的IgE8の割合が増え、テストラインの発色が抑制される。
そこで、本実施形態においては、反応の順序を変えることでこれを回避するようにしている。図2に、本実施形態における反応手順を示す。
図2(a)に示すように、本実施形態では、上流側から金コロイド標識抗IgE抗体5を保持した第2パッド3、アレルゲン4を保持した第1パッド2、検出用ストリップ1の順に配列する。また、これらをプラスチック製の容器に収容して提供する場合には、第1パッド2及び第2パッド3に対応した位置にそれぞれ溶液供給孔を形成しておく。
本実施形態の場合、先ず、図2(a)に示すように、第2パッド3よりも検出用ストリップ1の近い位置に配された第1パッド2に試料溶液7を滴下する。すると、第1パッド2に含まれるアレルゲン4が溶出し、図2(b)に示すように特異的IgE8と反応して結合する。非特異的IgE9にはアレルゲン4は結合しない。また、試料溶液7は、図中左から右に向かって展開されるので、検出用ストリップ1から離れた位置に配される第2パッド3に含まれる金コロイド標識抗IgE抗体5がこの段階で溶出することはない。
前記反応の後、図2(c)に示すように、固定化された抗ビオチン抗体6とアレルゲン4の反応により、特異的IgE8とアレルゲン4とが結合した複合体が判定部にトラップされる。この時、非特異的IgE9にはアレルゲン4が結合していないので、そのまま流れてしまう。
次いで、図2(d)に示すように、第2パッド3に展開液11を滴下する。すると、図2(e)に示すように、展開液11中に第2パッド3に含まれる金コロイド標識抗IgE抗体5が溶出し、判定部に流れ込む。判定部においては、抗原抗体反応により金コロイド標識抗IgE抗体5が特異的IgE8と結合することで、アレルゲン4を介して固定化されている特異的IgE8が標識され、テストラインを発色させる。その際、これを妨害する非特異的IgE9は存在しないため、金コロイド標識抗IgE抗体5と特異的IgE8とが効率的に結合し、結果として高感度に特異的IgE8を検出することができる。
(変形例2:増感法)
本実施形態において、第1パッド2、第2パッド3、及び検出用ストリップ1の配列は図1と同様であり、図1(a)〜図1(c)に示す手順と同様の手順で、特異的IgE8にアレルゲン4や金コロイド標識抗IgE抗体5が結合した複合体10を抗ビオチン抗体6によってトラップする。そして、本実施形態では、阻害物質(非特異的IgE9)の影響で金コロイド標識抗IgE抗体5と結合できなかった特異的IgE8を再度標識することで発色の増強を行う。
すなわち、複合体10のトラップの後、図3(a)に示すように、金コロイド標識抗IgE抗体5を含む展開液12を第1パッド2に滴下し、再度の展開を行う。この時点では、第1パッド2や第2パッド3には何も保持されておらず、図3(b)に示すように、前記展開によって金コロイド標識抗IgE抗体5のみが流れていく。
判定部に流れた金コロイド標識抗IgE抗体5は、図3(c)に示すように、金コロイド標識抗IgE抗体5と結合していない特異的IgE8と結合し、これを標識する。このように、試料溶液7の展開が終わった後に金コロイド標識抗IgE抗体5を含む展開液12を展開することで、非特異的IgE9の影響で標識されなかった特異的IgE8に金コロイド標識抗IgE抗体5が結合し、発色が増強されて検出感度が向上する。
さらに、図3(d)に示すように、展開液12中の金コロイド標識抗IgE抗体5は、既に特異的IgE8を介して固定化されている金コロイド標識抗IgE抗体5と結合する非特異的IgE9にも結合し、テストラインにおける金コロイド5aの集積度を上げる効果もあり、これも検出感度を高める効果に寄与している。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
[スギ花粉特異的IgEの検出]
スギ花粉をアレルゲンとして認識する特異的IgEを被検物質とし、図1に示す方法(通常法)、図2に示す方法(回避法)及び図3に示す方法(増感法)によりイムノクロマト分析を行った。
試料としては陽性コントロール血清サンプル20μLを用い、これを希釈溶液(1%BSAリン酸緩衝液)20μLで希釈して試料溶液とした。展開液としては、前記希釈液と同様の溶液(1%BSAリン酸緩衝液)30μLを用いた。増感法では金コロイド標識抗IgE抗体を含む展開液を用いたが、当該展開液として増感液(OD580=1.2金コロイド標識抗IgE抗体/1%BSAリン酸緩衝液)を用いた。検出用ストリップには、抗ビオチン抗体を固定して線状の判定部を形成し、第1パッドにはビオチンで修飾したアレルゲンを担持させた。第2パッドには、金コロイド標識抗IgE抗体を担持させた。
特異的IgEを0IU/mL(アレルギークラス0)、0.7IU/mL(アレルギークラス2下限値)、1.99IU/mL(アレルギークラス2)含む試料溶液について、それぞれ15分間展開し、判定部の色の濃さ(発色強度)をデンシトメーターにより測定した。結果を図4に示す。
図4から明らかなように、いずれの方法においても、特異的IgEの濃度に応じて色の濃さが増加しており、特異的IgEが試料中に存在する場合、判定部の発色を目視にて確認することができた。また、回避法や増感法においては、色の濃さの上昇率が大きく、感度が向上していることがわかる。
[HCGに特異的なマウスIgGの検出(その1)]
本実施例では、HCGに特異的なマウスIgGを被検物質として、図1に示す方法(通常法)及び図3に示す方法(増感法)によるイムノクロマト分析(IgGの検出)を行った。捕捉抗体(一次抗体)は抗ヒトHCG抗体(ウサギ由来ポリクローナル)であり、特定反応物質は抗原であるHCGである。また、抗マウスIgG抗体(ヤギ由来ポリクローナル)を二次抗体とし、この二次抗体を金コロイド標識したものを標識試薬とした。
HCG抗原(特定反応物質)を含む第1パッド、金コロイド標識抗マウスIgG抗体(標識試薬)を含む第2パッド、捕捉抗体である一次抗体(抗ヒトHCG抗体)を塗布したストリップをこの順に重ねたテストキットの特定反応物質を含む第1パッド部分にサンプル溶液(特異的及び非特異的マウスIgGを含む)を滴下した。滴下したサンプル溶液は20μLである。サンプル溶液は、マウス由来IgG(抗PSA抗体:非特異IgG)0〜100ng/mLに10ng/mLのマウス由来IgG(抗HCG抗体:測定対象特異IgG)を含む。サンプル溶液は、パッド中のHCG抗原や標識試薬を溶かしだし、混合し抗原抗体反応を起こして、複合体を形成しながら捕捉抗体に捕捉され、標識試薬がライン上に並んで検出される。
このとき、非特異的なIgGが存在すると特異的IgG(被検物質)と標識試薬の結合が妨げられる。そこで、以上の操作を通常法とし、さらに追加操作を行って増感法とした。すなわち、増感法では、以上の通常法による測定の後、標識試薬を再度、からになったパッドを介してテストキットに滴下した。なお、増感法では、以下の溶液を増感液として適用した。
金コロイド標識二次抗体(OD=6) 8μL
1%BSA/PBS 20μL
増感法では、テストライン上に捕捉された標識されていない被験物質が標識され、増感される。図5に、通常法と増感法について、測定結果(非特異IgG濃度による発色の相違を示す写真)を示す。また、図6に、通常法と増感法について、特異IgGのみ(非特異IgG濃度0ng/mL)の測定値を100%として測定した各サンプルの発色強度の測定値を示す。なお、非特異IgG濃度が10ng/mLでサンプル溶液中の特異,非特異IgG濃度が等しいことになる。
通常法では、非特異IgGが0.01ng/mL混合されると、テストドット部分の発色強度が小さくなり、非特異的IgG濃度の増加に従って緩やかであるが発色強度が抑制された。したがって、サンプル中に混在する非特異的IgGによる阻害を受けていることが明らかである。これに対して、増感法では、非特異IgGの濃度に関わらず発色強度は通常法よりも高く、増感作用が高かった。また、通常法で阻害効果が発現した0.01 ng/mLの1000倍濃度である10ng/mLでほぼ同程度の阻害を受ける程度であり、明らかに非特異的IgGによる阻害効果が抑制された。
以上の実験結果から、増感法では通常法に比べて発色強度が増強され、目視による判定が容易になると考えられる。また、増感によって、一次抗体に補足されている特異IgGの中で非特異IgGとの競合の影響によって標識抗体と結合していないものが標識され、真の特異IgG値に近い測定値が得られると考えられる。
[HCGに特異的なマウスIgGの検出(その2)]
通常法については、前項(その1)と同様である。また、回避法として図2に示す方法にしたがい以下の操作を行った。
パッドやストリップは通常法と同じものを使用し、標識試薬(金コロイド標識二次抗体を含む第2パッド、特定反応物質(HCG抗原)を含む第1パッド、捕捉抗体(一次抗体)を塗布したストリップの順に重ねたテストキットの特定反応物質を含む第1パッド部分にサンプル溶液を滴下し、HCG抗原を溶かし出しながら、テストストリップ中でサンプル中の被検物質である特異的IgGとHCG抗原を反応させ、捕捉抗体上に複合体を捕捉した。サンプル溶液が捕捉抗体上を流れ終わった後、展開液(1%BSA/PBS 20μL)を標識試薬パッド部分に滴下し、標識試薬を溶かし出しながら、流した。テストストリップを流れる標識試薬は捕捉抗体上にHCG抗原を介して捕捉されている被検物質に結合し、テストライン上に集積することで発色し、被検物質が検出される。
図7に、通常法と回避法について、測定結果(非特異IgG濃度による発色の相違を示す写真)を示す。また、図8に、通常法と回避法について、特異IgGのみ(非特異IgG濃度0ng/mL)の測定値を100%として測定した各サンプルの発色強度の測定値を示す。なお、通常法における測定値がその1の場合と若干異なるが、これはテストストリップのロットの相違等に起因するものと考えられる。
通常法では、混在する非特異IgGの濃度が高くなると発色が弱くなっており、非特異IgGの濃度1ng/mL以上で明らかに非特異的IgGによる濃度依存的な阻害効果が認められた。一方、回避法では非特異IgGの濃度を通常法と比べて100倍高い100ng/mLとした時に非特異的IgGの阻害効果が同程度現れていることから、非特異的IgGによる阻害効果を抑制していることが明らかである。さらに、回避法では通常法と比べて非特異IgGの濃度に関わらず発色強度は高かった。
以上の実験結果から、回避法では非特異IgGの影響を受けにくいと考えられる。また、血中の免疫グロブリンの測定を行う場合には、抗原に特異的なIgGを多くの非特異IgGが混在する条件で測定する必要があるが、増感法や回避法はこのような測定の際、非特異的IgGによる阻害効果を抑制し、高感度を目的とする特異的IgGの検出に有効であることが確認された。
本発明のイムノクロマト分析法の基本原理を説明する模式図であり、(a)は試料溶液の滴下、(b)は展開過程、(c)は捕捉抗体による捕捉をそれぞれ示す。 回避法を説明する模式図であり、(a)は第1パッドへの試料溶液の滴下、(b)は展開過程、(c)は捕捉抗体による捕捉、(d)は第2パッドへの展開液の滴下、(e)は捕捉された特異的IgEの標識をそれぞれ示す。 増感法を説明する模式図であり、(a)は第1パッドへの展開液の滴下、(b)は展開液の展開過程、(c)及び(d)は捕捉された特異的IgEの再標識をそれぞれ示す。 通常法、回避法、増感法のぞれぞれについて特異的IgEの濃度と発色強度の関係を示す特性図である。 通常法と増感法における非特異IgG濃度と発色の関係を示す写真である。 通常法と増感法について、特異IgGのみ(非特異IgG濃度0ng/mL)の測定値を100%として測定した各サンプルの発色強度の測定値を示す特性図である。 通常法と回避法における非特異IgG濃度と発色の関係を示す写真である。 通常法と回避法について、特異IgGのみ(非特異IgG濃度0ng/mL)の測定値を100%として測定した各サンプルの発色強度の測定値を示す特性図である。
符号の説明
1 検出用ストリップ、2 第1パッド、3 第2パッド、4 アレルゲン、5 金コロイド標識抗IgE抗体、5a 金コロイド、5b 抗IgE抗体、6 抗ビオチン抗体、7 試料溶液、8 特異的IgE、9 非特異的IgE、10 複合体、11,12 展開液

Claims (8)

  1. 試料に対して、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質と、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬とを作用させるとともに、被検物質と結合した特定反応物質を前記捕捉抗体と結合させ、試料中の被検物質を標識物質により標識するとともに捕捉抗体により固定化して検出するイムノクロマト分析法であって、
    所定の位置に捕捉抗体が固定された検出用ストリップに対し、試料を特定反応物質及び標識試薬とともに流した後、展開液により再度標識試薬を流すことにより、前記試料に対して、前記特定反応物質及び標識試薬を作用させ、被検物質と結合した特定反応物質を捕捉抗体により捕捉した後、前記標識試薬を再度作用させることを特徴とするイムノクロマト分析法。
  2. 前記特定反応物質が抗原を含み、前記被検物質が前記抗原に反応する特異的免疫グロブリンであることを特徴とする請求項1記載のイムノクロマト分析法。
  3. 前記試料は、前記抗原に反応する特異的免疫グロブリンと、前記抗原に反応しない非特異的免疫グロブリンを含むことを特徴とする請求項2記載のイムノクロマト分析法。
  4. 前記特異的免疫グロブリンが特異的IgEであり、前記非特異的免疫グロブリンが非特異的IgEであることを特徴とする請求項3記載のイムノクロマト分析法。
  5. 前記抗原の表面にビオチンが固定されており、前記捕捉抗体は抗原の表面のビオチンと結合することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載のイムノクロマト分析法。
  6. 前記標識試薬は、標識物質として金コロイドを含み、当該金コロイドに被検物質を抗原として認識する抗体が固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のイムノクロマト分析法。
  7. 捕捉抗体が所定の位置に固定された検出用ストリップと、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質を保持する第1パッドと、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬を保持する第2パッドとを備え、
    第2パッド、第1パッド、検出用ストリップの順に配列され、これら第1パッド、第2パッド及び検出用ストリップが容器内に収容されるとともに、当該容器には、第1パッド及び第2パッドに対応した位置にそれぞれ溶液供給孔が形成され、
    前記第1パッドに対応する溶液供給孔から試料溶液を滴下した後、第2パッドに対応する溶液供給孔から展開液を滴下することによりイムノクロマト分析が行われることを特徴とするイムノクロマト分析キット。
  8. 捕捉抗体が所定の位置に固定された検出用ストリップと、被検物質及び捕捉抗体とそれぞれ特異的に結合する特定反応物質を保持する第1パッドと、標識物質を含み前記被検物質の前記特定反応物質の結合部位とは異なる部位に結合する標識試薬を保持する第2パッドとを備え、
    第1パッド、第2パッド、検出用ストリップの順に配列され、これら第1パッド、第2パッド及び検出用ストリップが容器内に収容されるとともに、標識試薬を含む展開液が添付され、
    前記容器には、第1パッドに対応した位置に溶液供給孔が形成され、当該溶液供給孔から試料溶液を滴下した後、標識試薬を含む展開液を滴下することによりイムノクロマト分析が行われることを特徴とするイムノクロマト分析キット。
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