JP2001123243A - 高い衝撃吸収エネルギーを有する薄手高強度鋼板 - Google Patents

高い衝撃吸収エネルギーを有する薄手高強度鋼板

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JP2001123243A
JP2001123243A JP29927099A JP29927099A JP2001123243A JP 2001123243 A JP2001123243 A JP 2001123243A JP 29927099 A JP29927099 A JP 29927099A JP 29927099 A JP29927099 A JP 29927099A JP 2001123243 A JP2001123243 A JP 2001123243A
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ray diffraction
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Yoshihide Nagai
嘉秀 長井
Akihiko Kojima
明彦 児島
Atsuhiko Yoshie
淳彦 吉江
Kazuo Koyama
一夫 小山
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】板厚20mm以下で高い衝撃吸収エネルギーを
有する高強度鋼板。 【解決手段】重量%で、C:0.03〜0.1、Mn:
1.0〜2.0、Nb:0.01〜0.1、Ti:0.
005〜0.02、N:0.001〜0.006を含有
し、以下、Si:0.5、P:0.02、S:0.00
3、Al:0.06、O:0.005以下で、残部が鉄
および不可避的不純物からなる化学成分を有し、圧延集
合組織が、(1)式を満たす、高い衝撃吸収エネルギー
を有する板厚20mm以下の薄手高強度鋼板。log
[I/I0{100}×I/I0{111}]≦0.5・・・
(1)。I:本発明鋼についてX線回折により得られる
面強度。I0:ランダム結晶方位を有する試料のX線回
折により得られる面強度。I/I0{hkl}:フェライトの
格子面{hkl}の面強度Iとフェライトの格子面{h
kl}の面強度I0との比。ただし、X線回折の測定面
は、板厚方向1/4厚位置の圧延面に平行な面とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板厚20mm以下
の薄手材で優れた衝撃吸収エネルギー(Cv)特性を有
する高強度鋼に関するものであり、原油・天然ガス等の
輸送用ラインパイプ用鋼板の他、タンク用鋼等として利
用できる。
【0002】
【従来の技術】X65〜X70級の強度を持つ鋼板はフ
ェライト+パーライト組織ないし、これに一部ベイナイ
トが混ざった組織を有し、この強度レベルで高いCv
(衝撃吸収エネルギー)を得るのは困難であった。さら
に、セパレーションと呼ばれる衝撃試験片破面に存在す
る圧延面に平行な層状の割れがCvを低下させ、不安定
延性破壊発生の原因となる。このため、高Cv鋼板製造
の方策のひとつとしてセパレーションの抑制が行われて
きた(例えば、特開昭54−1226号公報)。このセ
パレーションの発生量と圧延集合組織との間には相関が
あり、圧延集合組織の発達を抑制することによりセパレ
ーションは抑制され高いCvが得られるが(たとえば、
鉄と鋼第68年(1982)pp435〜443)、圧
延集合組織とセパレーション発生量およびCv値との関
係を定量化したものはない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、圧延集合組
織の発達度合を規定することによりセパレーションを抑
制し、板厚20mm以下の薄手でも高いCv値を有する
X65〜X70級(API規格)の高強度鋼板の製造を
可能とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは圧延集合組
織をlog[I/I0{100}×I/I0{111}]≦0.5に
規定することにより、Cv特性を劣化させるとされるセ
パレーションの発生を抑制し、高強度かつ高いCvを有
する鋼板が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】本発明の要旨は、重量%で、C:0.03
〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜2.
0%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、N
b:0.01〜0.1%、Ti:0.005〜0.02
%、Al:0.06%以下、N:0.001〜0.00
6%、O:0.005%以下を含有し、さらに必要に応
じて、Cu:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0
%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜0.3
%、V:0.01〜0.1%、Mg:0.0001〜
0.003%、B:0.0003〜0.002%、の1
種または2種以上、および/または、Ca:0.001
〜0.005%、REM:0.002〜0.02%の1
種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不
純物からなる化学成分を有し、X線回折により得られる
ミラー指数で{100}、{111}面のフェライトの
面強度がランダム方位試料のそれに対する比(I/
0)をlog[I/I0{100}×I/I0{111}]≦0.
5に規定することにより、高いCv(衝撃吸収エネルギ
ー)を有することを特徴とする板厚20mm以下の高強
度鋼板である。
【0006】ただし、上記式中において、 I:本発明鋼についてX線回折により得られる面強度 I0:ランダム結晶方位を有する試料のX線回折により
得られる面強度 I/I0{hkl}:フェライトの格子面{hkl}の面強度
Iとフェライトの格子面{hkl}の面強度I0との比 を意味し、X線回折の測定面は、板厚方向1/4厚位置
の圧延面に平行な面とする。
【0007】
【発明の実施の形態】高いCvを得るにはセパレーショ
ンを抑制することが必要であり、本発明では、圧延集合
組織を制御することによりセパレーション発生量を抑制
し、高いCvを得ることを特徴としている。
【0008】本発明者らはlog[I/I0{100}×I/
0{111}]なる指標を導入することにより、圧延集合組
織の制御による高Cv鋼板の製造を可能とした。
【0009】IはX線回折(XRD)により得られる面
強度であり、I0は結晶方位がランダムである試料の面
強度である。I/I0{100}はフェライト{100}面に
おけるランダム方位試料に対する面強度比である。セパ
レーション発生に影響を及ぼす集合組織は圧延面に平行
な面におけるフェライト{100}面、{111}面で
あり、上記指標は両者を同時に評価するものである。
【0010】ここでXRDの測定はMoターゲット、Z
rフィルタを使用し、サンプリングステップを0.05
°以下、スキャン速度を2°/min以下とし、試験片
はランダム方位標準試料も含め全て同一サイズとする。
また、圧延面に平行な板厚1/4部の面を測定するもの
とする。ただし、サンプリングステップは0.02°以
下、スキャン速度は1°/min以下が望ましい。
【0011】セパレーション発生量の指標として、セパ
レーションインデックス(SI)を衝撃破面単位面積あ
たりに存在するセパレーションの総長と定義すると、図
1および図2に示すように、SIおよびCvとlog
[I/I0{100}×I/I0{111}]には相関関係が存在
し、図からも分かるように、log[I/I0{100}×I
/I0{111}]≦0.5とすることでセパレーションの発
生を抑制することができ、例えばJIS4号フルサイズ
換算で−20℃でのCvが300Jを超えるような優れ
た衝撃特性を有する鋼板が得られる。
【0012】log[I/I0{100}×I/I0{111}]≦
0.5を満足するような鋼板の製造方法の一例として、
請求項記載組成の鋳片を添加Nbが十分溶解する高温に
再加熱した後、850℃以下の累積圧下量が50%以
下、かつAr3以上の高温で圧延を終了させる。圧延後
の冷却方法は加速冷却、空冷どちらでもかまわない。
【0013】次に各化学成分の限定理由について説明す
る。
【0014】Cは、(1)式を満足し且つ、強度を確保
するためには最低0.03%は必要である。しかし、C
が多すぎると、靭性および衝撃特性の劣化を招くため、
上限を0.1%とした。
【0015】Siは脱酸を行うために、添加される元素
であるが、多量に添加すると衝撃特性を著しく劣化させ
る島上マルテンサイトが多量に生成するため、上限を
0.5%とした。鋼の脱酸はTiないしAlでも可能で
あり、必ずしも添加する必要はない。
【0016】Mnは強度、靭性の確保に不可欠な元素で
あり、Ar3を低下させ集合組織の発達を抑制する働き
があるため、下限を1.0%とする。しかし、Mnが多すぎ
るとスラブの中心偏析を助長し、板厚中心部の靭性およ
び衝撃特性を劣化させるので上限を2.0%とする。
【0017】Pは多量に存在すると、中心偏析を助長
し、さらに結晶粒界に粒界偏析する事により粒界脆化を
引き起こし、著しい靭性および衝撃特性の低下を引き起
こす。このため、Pは0.02%以下とする。
【0018】Sについても多量に存在すると、中心偏析
を助長し、また伸長したMnSが多量に生成し、靭性お
よび衝撃特性を劣化させるため、その上限を0.003
%とする。
【0019】Alは通常脱酸材として鋼に含まれる元素
で組織の微細化にも効果を有する。しかし、Al量が
0.06%を超えるとAl系非金属介在物が増加し、鋼
の清浄度を害するので上限を0.06%とする。脱酸は
Ti、Siでも可能でありAlは必ずしも添加する必要
はない。
【0020】Nbは結晶粒を微細化するとともに析出強
化元素として、鋼板の機械特性を向上させる。このため
最小値を0.01%とする。しかしながら、多すぎると
溶接時の継手靭性が劣化するため上限を0.1%とし
た。
【0021】Tiはピンニング粒子であるTiNを形成
し、加熱時および溶接熱影響部(HAZ)のオーステナ
イト粒の粗大化を抑制し、母材およびHAZの靭性を向
上させる。このため、下限を0.005%とする。しか
し、Tiが多すぎるとTiNの粗大化やTiCが生成し
靭性および衝撃特性を劣化させるため、上限を0.02
%とする。
【0022】Nはピンニング粒子であるTiNを形成
し、加熱時およびHAZのオーステナイト粒の粗大化を
抑制し靭性を向上させる。しかし、多すぎるとスラブ表
面疵や固溶Nが過剰となりHAZ靭性の劣化の原因とな
るため、0.001〜0.006%と定義する。
【0023】Oは、鋼中の酸化物を低減し清浄度の改善
と靭性の向上のため、0.005%以下とする。
【0024】CuはNiとほぼ同様の効果を持ち0.0
5%以上で、耐食性、耐水素誘起割れ性などにも効果が
あるが、0.5%を超えると熱間圧延時にCuクラック
が発生し、製造困難となる。このため、上限を1.0%
とした。
【0025】Niは、靭性および衝撃特性を劣化させる
ことなく強度を上昇させる元素として有効である。Ni
は、MnやCr、Moと比較して衝撃特性を著しく劣化
させる島状マルテンサイトを形成することが少なく、微
量の添加で溶接部の靭性向上にも有効である。この効果
を発揮させるには、0.1%以上の添加が必要である
が、添加量が多すぎると経済性が損なわれるため、上限
を1.0%とした。
【0026】Crは母材、HAZの強度を増加させる効
果があり、この効果を発揮させるには0.1%以上の添
加が必要である。しかしながら多すぎるとHAZ靭性が
著しく劣化するため上限を1.0%とする。
【0027】Moは鋼の焼入れ性を向上させ、ベイナイ
ト組織とすることでセパレーション発生に有害な圧延集
合組織を抑制するとともに、強度上昇にも有効である。
しかしながら過剰なMo添加はHAZ靭性を劣化させる
のでMoの添加量は0.05〜0.3%とした。
【0028】VはほぼNbと同様の効果を有し、下限を
0.01%、上限を0.1%とする。
【0029】Mgは加熱オーステナイト粒径の粗大化を
抑制し、鋼板の機械特性を向上させる。また、溶接時の
継手靭性を向上にも非常に有効である。上記効果を得る
には0.0001%以上のMgが必要となるが、上記効
果はMgが0.003%あれば十分であり、これ以上の
Mgの添加は単にコスト上昇となるため上限を0.00
3%とする。
【0030】Bは焼入れ性を向上させ、強度を上昇させ
るが、多すぎると靭性の劣化を招くだけでなく、焼入れ
性向上効果を消失せしめることもあるので、下限を0.
0003%、上限を0.002%とする。
【0031】CaおよびREMはともに硫化物(Mn
S)の形態を制御し、衝撃特性を向上させる。しかしな
がら、多すぎると巨大なクラスターを形成し、清浄度が
低下するためCaは0.001〜0.005%、REM
は0.002〜0.02%とする。
【0032】
【実施例】No.1〜7はいずれも本発明条件に合致す
る鋼板であり、十分な強度および優れた衝撃特性を有す
る。No.8、9はlog[I/I0{100}×I/I
0{111}]が0.5を超え、集合組織の制御が出来ていな
いためセパレーションが発生し、Cvが低値となった。
No.10はC量が多すぎるため、集合組織制御が出来
ているもののCvは低値となった。No.11は逆にC
量が少ないため、十分な強度が得られていない。No.
12はSiが多すぎるためCvは低値となった。No.
13はMnが多すぎるためCvは低値となった。No.
14は逆にMnが少ないため、十分な強度が得られな
い。No.15、16はそれぞれ不純物元素であるP、
Sが多すぎるためCvは低値となった。No.17〜1
9はそれぞれCu、Cr、Moが多すぎるためCvは低
値となった。No.20はNbフリーであり、十分な細
粒化が行われず、強度、衝撃特性ともに十分な値は得ら
れない。No.21、22はそれぞれN、Oが多すぎる
ため、やはりCvは低値となった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明により板厚20mm以下の薄手に
ついても高いCvを有する高強度鋼板が製造可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】セパレーションインデックス(SI)と集合組
織(log[I/I0{100}×I/I0{111}])との関係
を示したグラフである。
【図2】衝撃吸収エネルギー(Cv)と圧延集合組織
(log[I/I0{100}×I/I 0{111}])との関係を
示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉江 淳彦 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 小山 一夫 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.1%、S
    i:0.5%以下、Mn:1.0〜2.0%、P:0.
    02%以下、S:0.003%以下、Nb:0.01〜
    0.1%、Ti:0.005〜0.02%、Al:0.
    06%以下、N:0.001〜0.006%、O:0.
    005%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物
    からなる化学成分を有し、圧延集合組織が以下の(1)
    式を満たすことを特徴とする、高い衝撃吸収エネルギー
    を有する板厚20mm以下の薄手高強度鋼板。 log[I/I0{100}×I/I0{111}]≦0.5 ・ ・ ・ (1) I:本発明鋼についてX線回折により得られる面強度 I0:ランダム結晶方位を有する試料のX線回折により
    得られる面強度 I/I0{hkl}:フェライトの格子面{hkl}の面強度
    Iとフェライトの格子面{hkl}の面強度I0との比 ただし、X線回折の測定面は、板厚方向1/4厚位置の
    圧延面に平行な面とする。
  2. 【請求項2】 重量%で更に、Cu:0.1〜1.0
    %、Ni:0.1〜1.0%、Cr:0.1〜1.0
    %、Mo:0.05〜0.3%、V:0.01〜0.1
    %、Mg:0.0001〜0.003%、B:0.00
    03〜0.002%の1種または2種以上を含有するこ
    とを特徴とする、請求項1記載の高い衝撃吸収エネルギ
    ーを有する板厚20mm以下の薄手高強度鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で更に、Ca:0.001〜0.
    005%、REM:0.002〜0.02%の1種また
    は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1また
    は請求項2に記載の高い衝撃吸収エネルギーを有する板
    厚20mm以下の薄手高強度鋼板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101597789B1 (ko) * 2014-09-01 2016-02-26 동국제강주식회사 가열곡직부 특성이 우수한 고강도 후강판 및 제조방법

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