JP2001122798A - 骨関連疾患治療剤ならびにそのスクリーニング方法 - Google Patents

骨関連疾患治療剤ならびにそのスクリーニング方法

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JP2001122798A
JP2001122798A JP30334299A JP30334299A JP2001122798A JP 2001122798 A JP2001122798 A JP 2001122798A JP 30334299 A JP30334299 A JP 30334299A JP 30334299 A JP30334299 A JP 30334299A JP 2001122798 A JP2001122798 A JP 2001122798A
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Shinichi Hayashi
眞一 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新しい破骨細胞分化調節作用を有する分子、
ならびにそれらを見いだすスクリーニング方法を得る。 【解決手段】 ヒト由来分子のノッチリガンドポリペプ
チド分子を有効成分とする骨関連疾患治療剤である。 【効果】 本薬剤は破骨細胞の分化を調節する骨関連疾
患治療剤として利用でき、さらにノッチシグナル関連分
子は骨関連疾患の治療剤をスクリーニングする方法とし
て利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生理活性物質の新
規な用途に関し、とくに骨関連疾患治療剤ならびにその
スクリーニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】骨粗鬆症は高齢化の進む日本のみならず
欧米においても、その患者数は急速な増加を示してい
る。骨粗鬆症の進展に伴い骨の脆弱化によって起こる骨
折、特に大腿骨頸部骨折など、生命余後に関わる骨折を
含めた患者数も増大している。この骨粗鬆症の治療にと
って治療方法、新たな医薬品の開発はその社会的な意義
からも重要と考えられる。骨粗鬆症に対する医薬品は、
骨の組織を形成する細胞に作用することを指標にして探
し出すことができる。特にカルシウム代謝バランスにお
いて骨吸収を担う破骨細胞と骨形成を担う骨芽細胞は相
互に影響しあってそのバランスをとっている。
【0003】したがって、骨の脆弱化すなわち骨量の減
少を引き起こす骨粗鬆症の治療にとって破骨細胞の機能
阻害と分化抑制、また骨芽細胞の機能亢進と分化促進が
重要な働きとなる。これら骨の細胞生物学、分子生物学
的な最新知識は「骨形成・骨吸収のメカニズムと骨粗鬆
症‘98〜’99−分子から見た骨研究の最先端」野口
政樹編実験医学増刊(1998年、羊土社)を参考でき
る。
【0004】骨粗鬆症の治療剤としては、上記の本の中
の井上、松本の章「骨粗鬆症の分子診断と治療の問題
点」同書のp178−183に記載されている。この頁
中で彼らは現在の治療剤にはまだ問題点などがありより
新しい治療剤が望まれているとされ、新たなメカニズム
に基づいた新しい治療剤、また治療方法の確立が必要で
ある。特に現在の薬剤は破骨細胞の機能抑制に基づいた
薬理作用が中心であり、破骨細胞の分化自身を抑制する
様な作用を有しているわけではなく、破骨細胞に作用す
るにしてもその分化自身をコントロールしうる医薬品が
望まれている。
【0005】近年、破骨細胞分化の抑制分子として、O
steoclastogenesis−inhibit
ory factor/Osteoprotegeri
n(以下OCIF/OPGと略す)の同定と遺伝子クロ
ーニングがなされ、さらに、その後の研究から、このO
CIF/OPGは破骨細胞分化誘導因子(Osteoc
last differentiation fact
or:以下ODFと略す)の同定と遺伝子クローニング
に至った。
【0006】また、前記のODFは別名としてRANK
L/TRANCEとあるが、本発明においては全てOD
Fとする。このODFとOCIF/OPGの関係はOC
IF/OPGはODFのリセプターであるRANKに対
する結合を阻害するデコイリセプターとして機能し、生
体内のアンタゴニストであることが知られている。これ
らの詳細は上記の本の中の東尾らの章「破骨細胞分化誘
導因子ODF(OCIF/OPGリガンド)のクローニ
ング」同書のp54−61に詳細に解説されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ODF分子が破骨細胞
の分化誘導にとって必須の分子であり、OCIF/OP
Gが破骨細胞の分化を阻害する分子であることは間違い
ないが、本発明者は他の破骨細胞の分化を制御する分子
が存在すると考え、その分子についての探索を行った。
本発明の課題は、OCIF/OPGによる破骨細胞の分
化を抑制する作用とは異なる新しいメカニズムによる新
しい分子を用いた新しい医薬品とくに骨関連疾患治療剤
ならびにそのスクリーニング方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決する手段】上記の課題に対して本発明者は
ノッチによる分化抑制に着目した。すなわち、ノッチ
(Notch)はショウジョウバエで発見された神経細
胞の分化制御に関わるリセプター型膜蛋白質であり、ノ
ッチのホモログは線虫(Lin−12)、アフリカツメ
ガエル(Xotch)、マウス(Motch)、ヒト
(TAN−1)などの無脊椎動物、脊椎動物の分類を越
えた広い動物種から見いだされている。一方、ショウジ
ョウバエノッチのリガンドとしてショウジョウバエデル
タ(Delta)およびショウジョウバエセレイト(S
errate)の2つが見いだされており、リセプター
のノッチと同様に広い動物種からノッチリガンドホモロ
グが見いだされている(Artavanis−Tsak
onas et al.,Science 284,7
70−776,1999)。
【0009】特にヒトに関して、ヒトノッチホモログは
4種類の分子、すなわちノッチ−1〜4が報告されてい
る。一方、ヒトノッチリガンド分子に関しては坂野らの
国際公開番号WO97/19172にはヒトデルタ−1
とヒトセレイト−1が、国際公開番号WO98/024
58にはヒトセレイト−2が、国際公開番号WO98/
51799にはヒトデルタ−2が、特願平11−381
39号明細書にはヒトデルタ−3がそれら分子のアミノ
酸配列、遺伝子配列が開示されている。これらを参考に
すれば、ノッチリガンドのポリペプチドを作製すること
が出来る。
【0010】ノッチリガンド分子由来のポリペプチドを
用いた分化抑制等の活性について、本発明の出願時点で
は、ヒト、マウスなどの高等生物の細胞株などを用いた
実験においては筋肉細胞(Lindsell et a
l.,Cell 80,909−917,1995)、
オリゴデンドロサイト(Wang et al.,Ne
uron 20,667−681,1998)、血液未
分化細胞(国際公開番号WO97/19172、国際公
開番号WO98/02458、国際公開番号WO98/
51799)、血管内皮細胞(国際公開番号WO98/
02458、国際公開番号WO98/51799、特開
平10−316582号)を除いて示されておらず、破
骨細胞に関しての記述はまったく皆無であった。
【0011】国際公開番号WO97/19172、国際
公開番号WO98/02458、国際公開番号WO98
/51799の方法に従い、ヒトノッチリガンドポリペ
プチドを作製し、これらをマウス前破骨細胞株C7細胞
の2つの異なる破骨細胞分化誘導実験系に添加した結
果、驚くべきことにストローマ細胞を用いた分化誘導系
においてはノッチリガンドは容量依存的に分化の抑制を
引き起こし、また、ストローマ細胞のないODFを用い
た分化誘導系では逆に分化の促進を示した。
【0012】この結果から、より生体内に近いストロー
マ細胞を用いた分化誘導系での結果が生体内での反応で
あると考えられ、ノッチリガンドは生体内で破骨細胞の
分化を抑制する作用を有する。さらに、この作用はスト
ローマ細胞のないODFを用いた分化誘導系では異なる
作用を示したことから、OCIF/OPGの作用とは全
く異なることが推察される。このようにして、ノッチリ
ガンド分子の新しい作用、すなわち破骨細胞分化抑制作
用が解明され、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明は、ノッチリガンドポリペ
プチド分子を有効成分として含む骨関連疾患治療剤に関
し、ノッチリガンドポリペプチド分子がヒト由来分子で
ある骨関連疾患治療剤、ノッチリガンドポリペプチド分
子がヒトデルタ−1、ヒトデルタ−2由来分子である骨
関連疾患治療剤、骨関連疾患が骨粗鬆症である骨関連疾
患治療剤に関する。また、さらに化合物群とノッチリセ
プター発現細胞を一定期間反応させ、ノッチリガンドと
同等にノッチリセプターを活性化させることを指標にし
た骨粗鬆症を含む骨関連疾患の治療剤をスクリーニング
する方法に関する。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いたヒト由来のノッチリガンドポリペプチド分子は、
坂野らの国際公開番号WO97/19172、国際公開
番号WO98/02458、国際公開番号WO98/5
1799、特願平11−38139号明細書に記載の方
法に従って作製することが出来る。その作成方法に関し
ては簡単に後述の実施例に例示した。
【0015】前破骨細胞株C7は本発明者らによって樹
立されたマウス由来の細胞株であり、本発明者らの論文
(Miyamoto et al.Biochem.B
iophys.Res.Commun.,242,70
3−709,1998)に示した方法にて樹立された。
尚、この細胞株(鳥取大学医学部にて保管)は本発明者
から供与可能である。また、日本国理化学研究所細胞開
発銀行からRCB1449として入手もできる。このC
7細胞の破骨細胞への分化は、実施例に示した方法、ま
た本発明者らの論文(Miyamoto et al.
Biochem.Biophys.Res.Commu
n.,242,703−709,1998)に記述され
た方法で行うことが出来る。
【0016】また、本発明において骨関連疾患とは骨粗
鬆症を含む骨の損傷、形成不全に起因するあらゆる疾患
を意味する。さらに、本発明においてノッチとは現在ま
で知られているほ乳類の4種のノッチ分子、すなわちノ
ッチ−1〜4を意味する。さらに、ノッチリガンドとは
現在まで知られているほ乳類の5種のノッチリガンド分
子、すなわちデルタ−1、デルタ−2、デルタ−3、ジ
ャギド−1,ジャギド−2を意味する。
【0017】これらの分子に関しては前述のArtav
anis−Tsakonas etal.のレビューお
よびこれに引用されている論文を参照すれば理解でき
る。また、特に断りのない限りノッチリガンドポリペプ
チド分子と記載した場合は、上記の五つのノッチリガン
ド分子のアミノ酸一次配列において、その活性中心であ
るアミノ末端からDSLドメインと言われるノッチリガ
ンドに特異的なドメインまでのアミノ酸配列を有するポ
リペプチドを少なくとも含む分子を意味する。
【0018】骨に関連する実験系は須田立雄編「骨形成
と骨吸収及びそれらの調節因子」廣川書店、平成7年に
詳細な実験方法などが記述されており、それらを参考に
することによって骨関連細胞ならびに骨関連疾患に対す
る薬理作用を調べることができる。実施例1に示したよ
うに本発明者はマウス前破骨細胞株C7を用いて2つの
異なった破骨細胞分化実験系を用いて次のことを明らか
にした。 1.ノッチリガンドは生体内の環境下では破骨細胞分化
抑制作用を示す。 2.その作用はOCIF/OPGとは異なり、新しい作
用点とメカニズムに基づく。
【0019】これらの知見からノッチリガンドポリペプ
チド分子を有効成分として含む薬剤は骨粗鬆症を初めと
する骨関連疾患の治療薬として使用できる。その作成方
法、使用方法を簡単に概説すると、ノッチリガンドポリ
ペプチド分子を適当な安定化剤、例えばヒト血清アルブ
ミンなどと共に凍結乾燥品を作製し、用時注射用蒸留水
にて溶解もしくは懸濁して使用し得る形状とする。そし
て、例えば0.1から1000μg/mlの濃度に調製
した注射剤、点滴剤として提供することができる。ま
た、本発明で使用したノッチリガンドポリペプチド分子
の毒性は、マウスに対していずれのポリペプチドも10
mg/Kgを腹腔内投与したがマウスの死亡例は確認さ
れなかった。
【0020】また、同時にノッチリガンドの作用と同等
な作用を有する化合物は公知のノッチリガンド、ノッチ
リセプターのシグナルメカニズムを利用した薬物スクリ
ーニング法を用いることにより、各種細胞培養上清や化
合物バンクから見つけだすことができる。たとえば、ノ
ッチリセプターを活性化することを指標にする方法とし
てはノッチリセプターの下流分子である転写因子HES
−1,HES−5のプロモータアッセイ系などがあげら
れる。このようなプロモーターの制御下にルシフェラー
ゼ酵素をコードする遺伝子が発現するベクターを作成
し、このベクターをノッチリセプターを発現する動物細
胞株に遺伝子導入し、この細胞と各種細胞上清や化合物
バンク由来の検体を反応させ、そのルシフェラーゼ酵素
活性をルミノメータで測定することによりスクリーニン
グする事ができる。
【0021】したがって、本発明はこれらの方法で見い
だされた化合物が骨粗鬆症に代表される骨関連疾患の治
療薬として使用できることを明らかとしている。したが
って、ノッチリセプターの活性化を引き起こす、もしく
はそれと同等の効果を有する化合物を有効成分として含
む薬剤についても本発明に含まれる。さらに、これら化
合物を見いだす方法について、上記に例示した方法、も
しくは最近の分子生物学的な手法を用いたあらゆる方法
が利用可能である。したがって、骨粗鬆症を含む骨関連
疾患の治療剤を得る目的とした、ノッチリガンドを用い
る、もしくはノッチリセプターを用いる、もしくはノッ
チシグナルに関連する分子、たとえばRBPJ−κ、A
DAM10、HES−1、HES−5、Fringeな
どを用いた薬物スクリーニング方法も本発明に含まれ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に発明を実施する形態につい
て実施例を示すが、必ずしもこれらに限定されるもので
はない。
【実施例】ヒトノッチリガンドを用いたC7細胞の破骨
細胞分化に対する作用 ヒトノッチリガンドの細胞外部分とヒトIgG1のFc
部分との融合蛋白はヒトデルタ−1については国際公開
番号WO97/19172に記述の方法に従い、またヒ
トデルター2に関しては国際公開番号WO98/517
99に記述の方法に従い各々作製、精製した。
【0023】すなわち、上記の国際公開番号WO97/
19172、国際公開番号WO98/51799に記載
されている方法に従い、ヒトデルタ−1の細胞外部分と
ヒトIgGのFc部分とのキメラ蛋白(以下D1Fcと
略す)の発現ベクター、およびヒトデルタ−2の細胞外
部分とヒトIgGのFc部分とのキメラ蛋白(以下D2
Fcと略す)の発現ベクターを作成し、これら発現ベク
ターをCOS−7細胞(理化学研究所、細胞開発銀行R
CB0539)にエレクトロポレーション法にて遺伝子
導入した。これらの細胞を無血清培地にて培養し、その
上清を集めた。この集められた上清をProteinA
セファロースゲル(アマシャムファルマシア社製)で作
成されたカラムに流して、濃縮精製した。このようにし
て濃縮精製したキメラ蛋白を更にゲル濾過にて精製し、
同時にPBS(−)にbuffer置換を行い、タンパ
ク質を定量した。
【0024】こうして得られたD1FcとD2Fcを次
に実験系に添加した。C7細胞はMiyamotoらの
方法(Miyamoto et al.Bioche
m.Biophys.Res.Commun.,24
2,703−709,1998)に従って培養した。す
なわち、10%FCSを含むα−MEM培地(Gibc
o−BRL社製)に0.5ng/mlのヒトM−CSF
(peprotech社製)を添加し、CO2 インキュ
ベーターにて培養した。
【0025】また、マウスストローマ細胞株ST−2
(日本国理化学研究所細胞開発銀行から入手可能:Ce
ll No.RCB0224)は10%FCSを含むα
−MEM培地でCO2 インキュベーターにて培養した。
実験に用いた培地はすべて明治製菓社製のストレプトマ
イシンを50U/mlとペニシリンを50μg/mlを
添加した。
【0026】破骨細胞に分化させる方法として以下の2
つの実験系で行った。分化実験系1:細胞株ST−2を
24穴プレート(ファルコン社製)にて培養し、それに
対して、最終濃度が10nMの1α、25−dehyd
roxyvitamin D3(BIOMOL Res
earch Laboratories社製、以下VD
3と略す)と100nMデキサメタゾン(Sigma社
製、以下DEXと略す)を添加し、それに対してC7細
胞を1×104 個を加え、CO 2 インキュベーターにて
培養を行った。
【0027】3日目に同様な培地に培地交換をおこな
い、6日目に細胞固定と酒石酸耐性酸性アルカリフォス
ファターゼ(以下TRAPと略す)染色をShevde
らの方法(Shevde et al.,Proc.S
oc.Exp.Biol.Med.205,306−3
15,1994)に従って行い、TRAP陽性の細胞数
とTRAP陽性の多核細胞数を顕微鏡下で計測した。
【0028】分化実験系2:C7細胞1×104 個に対
してヒトODF(human RANKL、pepro
tech社製)を50ng/mlとヒトM−CSFを5
0ng/ml添加した10%FCSを含むα−MEM培
地でCO2 インキュベーターにて培養した。3日目に同
様な培地に培地交換をおこない、6日目に細胞固定とT
RAP染色をShevdeらの方法で行い、TRAP陽
性の細胞数とTRAP陽性の多核細胞数を顕微鏡下で計
測した。
【0029】上記の2つの分化実験系は次の目的で行っ
た。生物体内ではストローマ細胞と破骨細胞は必ず共存
しており、分化実験系1は生体内での破骨細胞分化を調
べるための方法である。一方、分化実験系2は破骨細胞
だけで分化を見ることができる系であり、条件が単純で
ODF、M−CSF以外のまだ未知のストローマ細胞由
来因子の影響を排除できる方法である。
【0030】また、TRAP陽性細胞の全細胞数と多核
細胞数は、前者が破骨細胞への運命決定して分化したも
のを示し、後者は前者からさらに最終的に骨を吸収する
機能を獲得した最終分化に至ったものを意味する。これ
らの実験は全て3区画で行い、平均値ならびに標準偏差
値を求め、t検定にてP値を求め有意差の検定を行っ
た。これら2つの分化実験系に対して、培養液中にD1
Fcを0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/m
lの各濃度添加及び無添加で行い比較を行った。分化実
験系1の結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1の結果から、ストローマ細胞がある分
化実験系1においてD1Fcの添加はC7細胞の破骨細
胞分化は著明に抑制され、また、この分化抑制は容量依
存的に起こる。また、この分化抑制は、t検定の結果、
D1Fc未添加(濃度0)に対していずれの添加区にお
いてもTRAP陽性の細胞数、TRAP陽性の多核細胞
数はp<0.05であり有意差を持ったものであった。
【0033】この分化実験系1の結果から、ノッチリガ
ンドは生体内において破骨細胞の分化を抑制する作用を
有する。したがって、何らかの方法でノッチリガンドを
ヒトに注入した場合、体内では破骨細胞はストローマ細
胞と共存して存在するため分化実験系1の効果、すなわ
ち破骨細胞分化抑制作用が期待できる。その結果、骨粗
鬆症を代表例とする破骨細胞分化抑制によって治療効果
が期待できる疾患の治療に利用できることが明かとなっ
た。一方、ストローマ細胞がない分化実験系2の結果を
表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果から、ストローマ細胞がない分
化実験系2においてD1Fcの添加はストローマ細胞が
ある分化実験系1の結果とは逆に分化を促進する結果と
なった。また、この分化促進は、t検定の結果、D1F
c未添加(濃度0)に対して、1μg/ml添加区のT
RAP陽性の細胞数とTRAP陽性の多核細胞数、10
μg/ml添加区のTRAP陽性の多核細胞数はp<
0.05であり有意差を持ったものである。
【0036】この分化実験系2の結果から、ノッチリガ
ンドは破骨細胞単独に対しては破骨細胞の分化を促進す
る作用を有する。また、この実験系には既にODF、M
−CSFが添加されているため、これら分子と作用が異
なることが推察される。また、既知の破骨細胞分化抑制
因子OCIF/OPGは、ODFの作用を抑制するアン
タゴニスト作用を有するため、この分化実験系1および
2において共に分化抑制作用を示すことは明かである。
しかしながら、ノッチリガンドが異なった作用を示した
ことから、ノッチリガンドは破骨細胞分化においてOC
IF/OPGとは異なった作用点を有し、異なった薬理
作用および効果を有すると推察される。
【0037】また、ノッチリガンドの破骨細胞分化の作
用点は破骨細胞に直接働きかけるのではなく、破骨細胞
の分化を制御するストローマ細胞側に働きかけて、分化
を抑制していることが推察される。また、これらの現象
がノッチリガンドに共通した活性であるかどうかを確認
するため、ヒトデルタ−1とヒトデルタ−2の比較を行
った。実験は上記の分化実験系1及び2でおのおの独立
に行い、また、リガンドの添加はヒトデルタ−1、ヒト
デルタ−2共、添加濃度5μg/mlで行った。その結
果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】これらの結果から明らかなように、ヒトデ
ルタ−2はヒトデルタ−1と同様に破骨細胞に作用す
る。この結果はすべてのノッチリガンドは本発明に示さ
れた効果を持つことを示している。したがって、本発明
で示された活性はすべてのノッチリガンドが保有してお
り、すなわちDSLドメインを有する分子は本発明で示
した活性を有し、本発明で例示した使用が可能である。
【0040】
【発明の効果】ノッチリガンドは骨粗鬆症を初めとする
破骨細胞分化を抑制することにより治療が可能な骨関連
疾患の治療に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/566 33/566 C07K 14/435 // C07K 14/435 C12P 21/02 C C12P 21/02 (C12P 21/02 C (C12P 21/02 C12R 1:91) C12R 1:91) A61K 37/02 Fターム(参考) 2G045 AA40 CB01 CB13 CB17 DA36 DA77 4B064 AG01 CA10 CA19 CC24 CE12 DA01 4C084 AA02 CA18 NA14 ZA961 ZA971 4H045 AA30 BA41 CA40 EA27 GA22 GA26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノッチリガンドポリペプチド分子を有効
    成分として含む骨関連疾患治療剤。
  2. 【請求項2】 ノッチリガンドポリペプチド分子がヒト
    由来分子である請求項1に記載の骨関連疾患治療剤。
  3. 【請求項3】 ノッチリガンドポリペプチド分子がヒト
    デルター1、ヒトデルター2由来分子である請求項1に
    記載の骨関連疾患治療剤。
  4. 【請求項4】 骨関連疾患が骨粗鬆症である請求項1な
    いし3のいずれかの骨関連疾患治療剤。
  5. 【請求項5】 化合物群とノッチリセプター発現細胞を
    一定期間反応させ、ノッチリガンドと同等にノッチリセ
    プターを活性化させることを指標にした骨粗鬆症を含む
    骨関連疾患の治療剤をスクリーニングする方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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