JP2001113559A - 低発泡熱可塑性樹脂インサート成形品 - Google Patents

低発泡熱可塑性樹脂インサート成形品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インサートを被覆するなどの前処理を行う必
要がなく、高温度で発泡させる必要がなく、樹脂部の破
壊やインサートの変形等の不具合のないインサートと熱
可塑性樹脂からなる射出成形品を提供する。 【解決手段】 インサートと熱可塑性樹脂からなる射出
成形品であって、熱可塑性樹脂を特定の低倍率で発泡さ
せることにより、樹脂の内部歪を低減させ、同時にその
内部歪を発泡セルにより分散させるため、樹脂部の破壊
やインサートに変形等の不具合を発生させないことを特
徴とする射出成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインサートと低発泡
熱可塑性樹脂からなる射出成形品、特にシートベルト用
スルーアンカー類に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂成形金型にインサートをセットし、
熱可塑性樹脂を射出成形して一体化するインサート成形
品は、電機、自動車分野を中心に、幅広い産業分野で使
用されている。金属部品をインサート成形することによ
り、樹脂単体に比べ、精度や強度が向上する。しかし、
金属部品がインサートされる場合、技術資料「クリープ
・応力緩和を考慮したジュラコンの設計法」(ポリプラ
スチックス(株)社、1999年5月発行)にも記載さ
れているように樹脂の成形収縮や後収縮等の影響で樹脂
部に亀裂が入ったり、破壊してしまったり、インサート
物が変形してしまうことが知られている。例えば特開平
1−225523号公報には、インサートに弾性率の低
い材料等を緩衝層として被覆する前処理してから金型に
セットして成形を行なう提案がされている。この方法で
は、緩衝層としての被覆材を予めセットする手間が必要
になったり、緩衝層と樹脂、緩衝層と金属との接着が不
充分になる場合が生じたり、樹脂のクリープ破壊もしく
はインサートの変形を充分に防止できないという問題が
ある。
【0003】特開平2−216854号公報(特許第2
902013号)には、成形収縮率が0.2〜0.8%
のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物(耐熱オイル入
り)で電子部品を封止成形してなる電子部品封止成形物
であって、最大孔径50〜300μmの独立気泡が1〜
5容積%で存在し、成形物表面が緻密である電子部品封
止成形物が開示されている。この技術はポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物を射出成形する際の射出成形保持
圧力を低圧力でコントロールすることにより、独立気泡
を1〜5容積%で生じさせ、水分等の侵入による電子部
品の劣化を防止している。しかしながら、このような方
法では、樹脂組成が限定されているため、他の要求特性
を満たすための組成比の変更が困難である。また、PO
Mのような他の熱可塑性樹脂に対して応用することも難
しい。
【0004】また、従来、車両には衝突の際に乗員等が
座席から飛び出さないように保持するためのシートベル
ト装置が設けられている。シートベルト装置は、通常、
合成繊維性の薄く、強靱なベルトを使用して、ベルトの
一端側を座席の直後にあるセンターピラー上部に揺動可
能に固定されたスルーアンカーを通して、センターピラ
ー下部のリトラクターに巻き取り可能に固定し、ベルト
の他端側を、座席のセンターピラー側の床面に設けられ
たボルトにアンカープレートを介して固定し、ベルトの
途中にスルータングを設けて、該スルータングを座席の
他方側の床面から伸びたバックルにはめて固定すること
により、スルータングを通して折り返されたベルトの一
方は体の横腹から肩を通過し、折り返されたベルトの他
方は横腹から膝の上を通過して、乗員等を座席に安全に
保持するようにできている。したがって、シートベルト
着脱時にベルトがスルーアンカー内のベルトスロットを
自由に滑ることができて、衝撃時にベルトがスルーアン
カー内のベルトスロットで傷ついたり、さらにはベルト
スロットが割れてむき出しになった金属プレートで切れ
たりしないことが重要である。このためスルーアンカー
の芯材を成す金属プレートの下端部は割れにくい樹脂で
被覆され、該被覆された長孔はベルトスロットを形成す
る。しかしながら、クリープ破壊特性の低い樹脂で金属
プレートを包み込むように下端部をインサート成形する
と、長期間使用した場合に、金属プレートの外周部、特
にエッジ部分に亀裂等の劣化が生じやすく、衝突の際に
乗員を確実に保持できない問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
サートを被覆するなどの前処理を行なう必要が無く、高
温度で発泡させる必要が無く、樹脂部の破壊やインサー
トの変形等の不具合のないインサートと熱可塑性樹脂か
らなる射出成形品、例えばシートベルトのスルーアンカ
ー類を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる状況
に鑑み鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂を特定の低倍率で
発泡させる場合には、樹脂の内部歪を低減させ、同時に
その内部歪を発泡セルにより分散させるので、樹脂部の
破壊やインサートに変形等の不具合が発生しないが、発
泡倍率が大きすぎると、発泡セルが大きくなりすぎて樹
脂部の物性が低下し、かえって樹脂の破壊を促進した
り、外観に問題が発生してしまうことを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の第1は、インサートと熱
可塑性樹脂からなる射出成形品であって、発泡剤を使用
して熱可塑性樹脂を発泡倍率が1.01〜1.50倍の
範囲になるように発泡さてなるインサート成形品を提供
する。本発明の第2は、熱可塑性樹脂がポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
エステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンオ
キサイド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、
ポリケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹
脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイ
ミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイ
ミド系樹脂、サーモトロピック液晶樹脂及びこれらの混
合物である第1の発明のインサート成形品を提供する。
本発明の第3は、樹脂部の最小肉厚部の厚みをtとし、
その最小肉厚部を通過してインサートに直角な断面にお
ける樹脂部とインサート部の最小界面距離をLとすると t≦0.8×L1/2 を満たすことを特徴とする本発明の第1又は2のインサ
ート成形品を提供する。本発明の第4は、成形品がシー
トベルト部品のスルーアンカー類であり、熱可塑性樹脂
がポリアセタール樹脂である本発明の第1〜3のいずれ
かのインサート成形品を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的構成につ
いて詳しく述べる。本発明において、低発泡インサート
射出成形のために用いる熱可塑性樹脂は特に限定され
ず、射出成形が可能であればいずれの熱可塑性樹脂も使
用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ4−メチルペンテンのようなポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニルのよう
な汎用樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシ
クロヘキシレンテレフタレート等のポリエステル系樹
脂;ポリアリレート系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;
ポリオキシメチレン(ポリポリアセタール)系樹脂;ポ
リフェニレンオキサイド系樹脂;ポリフェニレンサルフ
ァイド系樹脂;ポリケトン系樹脂;ポリエーテルエーテ
ルケトン系樹脂;ポリサルフォン系樹脂;ナイロン−
6、ナイロン−66、ナイロン−46、ポリフタルアミ
ド等のポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミ
ドイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;およびサ
ーモトロピック液晶樹脂等が例示される。これら等樹脂
には、さらに天然ゴム、合成ゴム等のエラストマー等を
配合することができる。
【0009】成形品が自動車用等のシートベルト部品の
スルーアンカー類である場合には、これらの中でも、ポ
リアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン
等が好ましく、特にポリアセタールが摺動性、耐摩耗性
等の点から好ましい。
【0010】次に、本発明において樹脂を発泡させる方
法について説明する。熱可塑性樹脂を発泡させる方法と
しては、発泡剤として、解性発泡剤、揮発性の液体、又
はガスを使用する方法がある。好ましくは、分解性発泡
剤を使用する方法である。
【0011】上記分解性発泡剤としては、アゾジカルボ
ンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合
物;オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドなどのス
ルホヒドラジド化合物;N,N−ジニトロソペンタメチ
レンテトラミンなどのニトロソ化合物;p−トルエンス
ルホニルセミカルバジドなどのアジド化合物;テトラゾ
ール類等の有機発泡剤;酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸アン
モニウム、重炭酸ソーダ、クエン酸ソーダ等の無機発泡
剤が挙げられ、これらは1種類或いは2種類以上を混合
して使用することができる。
【0012】さらに発泡剤の分解温度を調整するために
公知の助剤が必要に応じて併用される。これらの助剤と
してはサリチル酸、ステアリン酸、アジピン酸、尿素、
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ス
テアリン酸鉛等が挙げられる。
【0013】発泡剤としての揮発性の液体としては、低
沸点の有機化合物、例えばブタン、ペンタン、シクロペ
ンタンなどの低沸点炭化水素、イソピロピルアルコール
などの低沸点アルコール等が挙げられる。ガスとして
は、二酸化炭素、チッ素等が挙げられる。
【0014】発泡剤は、あらかじめ、樹脂に混合してお
くことが好ましい。発泡剤はそのまま樹脂に添加して
も、予め発泡剤を樹脂に練り込んだ発泡性樹脂組成物、
いわゆる発泡剤マスターバッチを調製しておき、使用す
る樹脂のペレットとブレンドし成形する方法の何れの方
法でも構わない。
【0015】熱可塑性樹脂の発泡倍率は1.01〜1.
50、好ましくは1.01〜1.30倍である。発泡倍
率が1.01未満では、クリープ破壊を防止する効果が
小さすぎ、発泡倍率が1.50倍を超えると表面外観が
悪くなり、さらに発泡倍率が大きくなると、中にすがあ
いたりして強度低下等の問題が生じる。樹脂は均一に発
泡されており、表面層に気泡の存在が認められないよう
にする必要は必ずしも無い。
【0016】本発明において、例えば、ポリアセタール
樹脂(POM)に使用する場合は、分解性発泡剤を使用
し、ポリアセタール樹脂中の添加量の範囲は0.05〜
3.0wt%、好ましくは0.1〜0.5wt%であ
る。
【0017】上記熱可塑性樹脂には、発泡倍率が上記範
囲を満足する限りにおいて必要とする特性を付与するた
めに各種の充填剤を混入してもよい。更に目的に応じて
他の樹脂を配合してもよい。さらに、その他、酸化防止
剤、老化防止剤、耐光安定剤等の公知の安定剤、可塑
剤、滑剤、離型剤等の添加剤を配合してもよい。
【0018】本発明に係るインサートの材質としては、
従来使用されているものが全て使用可能であり、金属、
セラミック、ガラス、他のプラスチック、天然物等が挙
げられる。スルーアンカー類用には、鋼板等が使用され
る。以下、インサートが金属製の場合には、金属インサ
ートという。インサートの形状は特に制限はなく、また
樹脂はインサートの全体又は一部を包むようにインサー
ト成形しても、インサートの片面及び/又は両面をイン
サート成形してもよい。スルーアンカー類の場合には、
通常は金属インサートの長孔を含む部分がインサート成
形される(詳しくは図3及び図4参照。)。
【0019】次にインサートをセットし、発泡成形する
ために射出成形装置が用いられる。本発明にて使用する
射出成形装置は特殊なものではなく、一般に市販されて
いる射出成形機を用いて何等構わないが、射出シンリン
ダーの先端部にシャットオフノズルが装着された装置が
好ましい。本発明において成形条件に関しては特に制限
はないが、インサート成形における一般常識として、溶
融樹脂がインサートとしっかり接触し、所定の発泡倍率
になるように条件調整することが望ましい。樹脂を溶融
させる温度は、樹脂の融点より少し上であればよく、ま
た金型温度も150℃以下、好ましくは100℃以下で
成形が可能である。従って、成形サイクルを充分速くす
ることができる。
【0020】インサート成形品の樹脂部のクリープ破壊
は、樹脂部の最小肉厚部で最も起こりやすいと考えられ
る。そこで、樹脂部の最小肉厚部の厚みをtとし、その
最小肉厚部を通過するインサートに直角な断面における
樹脂部とインサート部の界面距離をLとすると、肉厚t
が0.8×L1/2以上であると通常の射出成形でもクリ
ープ破壊寿命の長い成形品を得ることが出来る。しか
し、tが0.8×L1/2より小さく、特に0.4×L1/2
以下の場合には、通常の射出成形で得られる成形品は、
短期間でクリープ破壊を起こす可能性が高くなり、成形
品の信頼性上、問題である。ところが、インサート成形
時に熱可塑性樹脂を発泡倍率が上記特定の範囲になるよ
うに発泡させることにより、tが上記のように小さく、
短期間でクリープ破壊を起こす可能性が高い成形品にお
いても、本発明によればクリープ破壊寿命が長く、成形
品の信頼性上問題のない成形品が得られる。すなわち本
発明の発泡倍率が上記特定の範囲のインサート成形品
は、樹脂部の最小肉厚部の厚みをtとし、その最小肉厚
部を通過するインサートに直角な断面における樹脂部と
インサート部の最小界面距離をLとすると、t≦0.8
×L1/ 2、更にはt≦0.4×L1/2においてもクリープ
破壊寿命が長く、成形品の信頼性上問題のない成形品で
ある。tの上限は特に制限はないが、下限は樹脂充填が
可能かどうかにより制限される。
【0021】この応用として、自動車、船舶、航空機等
のシートベルト用スルーアンカー(但し、シートベルト
の各所において適用可能であり、センターピラーに設け
るものに限らない。)やリトラクターに巻き取られるベ
ルトをガイドするもの等(スルーアンカー類という。)
に適用可能である。その他の適用例としては、歯車類、
把手類、自転車ブレーキハンドル、ローラー、プーリー
等が挙げられる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施
例において、クリープ破壊寿命試験に用いた促進試験方
法は以下の通りである。クリープ破壊寿命試験:インサ
ート射出成形で得られたインサート成形品を23℃、5
0%RHに24時間放置後、市販の棚式熱風乾燥機の中
に120℃で放置し、24時間毎にクラック発生の有無
を目視にて評価した。寿命は5個のサンプルの測定値の
平均で示した。寿命比率は比較例1の寿命を1にして、
寿命時間をこれに対する比率として計算したものであ
る。使用したポリアセタール樹脂は、ジュラコンTMM9
0−44(ポリプラスチックス(株)社製)。発泡剤と
しては、テトラゾール系化合物を使用した。
【0023】I.モデル実験 初めに、モデル実験に使用する金属インサートの形状
(角ピン型)を図1に示す。金属インサート12は樹脂
で被覆される部分であり、14mm角×長さ24mmで
ある。この金属インサート12を保持部13において射
出成形用金型にセットし、熱可塑性樹脂6で射出成形す
ることにより得られた樹脂成形品の形状を図2に示す。
図2において、樹脂6の部分は21.8mm角×長さ2
6mmである。樹脂6は樹脂ゲート15(2mm角)か
ら注入され、角形金属インサート12を図2(a)のよ
うに被覆した(なお、金属インサートは、図2では図1
よりも45度回転して表示されている。)。したがっ
て、金属インサートの角の稜線部分及び左端面の樹脂厚
みはそれぞれ1mmと最小であり、金属インサートの角
ピンの平面部分に接する樹脂の厚みは最大8.4mmで
ある。図1に示す金属インサートをセットしてインサー
ト成形できる金型を用意した。使用した成形機:FAN
UC AUTOSHOT−MODEL−50B(スクリ
ュー径φ28mm)
【0024】[比較例1]上記金型に金属インサートをセ
ットし、上記無充填ポリアセタール樹脂を使用して、表
1に示すような成形条件で、成形を行ない成形サンプル
を得た。従って、全周囲Lは56mm、L1/2は7.4
8であり、樹脂部の最小肉厚部の厚みtが1mmでは
0.133×L1/2の条件に相当し、通常ではクリープ
破壊が急速に生じる範囲である。得られたサンプルの評
価結果を表2に示す。その結果、サンプルは外観が良好
であったが、34時間後に最も肉の薄い金属インサート
の角の稜線に接する部分、特に樹脂ゲート付近にクラッ
クが発生し、実用には不充分な性能を示した。
【0025】[実施例1]上記無充填ポリアセタール樹脂
に発泡剤を添加し、発泡倍率を1.02倍で、表1に示
すような成形条件で低発泡インサート成形を行った。得
られたサンプルの評価結果を表2に示す。その結果、サ
ンプルは外観が良好であると共に、106時間もクラッ
クが発生せず、十分実用に耐えうる性能を示した。
【0026】[実施例2〜4]発泡倍率を1.10倍(実
施例2)、1.20倍(実施例3)、1.30倍(実施
例3)となるように発泡剤を添加して、表1に示すよう
な成形条件で、成形を行ない成形サンプルを得た。得ら
れたサンプルの評価結果を表2に示す。その結果、サン
プルは外観が良好であると共に、それぞれ、288時間
(実施例2)、312時間(実施例3)、780時間
(実施例4)もクラックが発生せず、十分実用に耐えう
る性能を示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】II.スルーアンカーの成形 上記モデル実験の結果をベースに、自動車用シートベル
ト部品のスルーアンカーをインサート成形により成形し
た。スルーアンカー用射出成形金型を作製し、これに図
3に示す金属インサートをセットして熱可塑性樹脂を注
入して図4に示す形状の成形品を得、クリープ破壊寿命
試験を行った。図3において、金属インサート2の最大
長さ(横幅)は87mm、厚みは3mmである。図4に
おいて、スルーアンカー1の樹脂6の部分の最大長さ
(横幅)は90mm、縦幅は35mmである。樹脂厚み
は、金属インサートのエッジ側1.5mm;金属インサ
ートの平面側の内角側7mm、外角側5mmであり、金
属インサートを含む平面側全厚み15mmである。7は
自動車のセンターピラーのボルトに揺動可能に固定され
るボルト貫通孔であり、9は長孔ベルトスロットであり
シートベルトが滑り可能に挿通される。
【0030】[比較例2]上記スルーアンカー用射出成形
金型に金属インサートをセットし、上記無充填ポリアセ
タール樹脂を使用して、成形を行ない成形サンプルを得
た。従って、樹脂部の最小肉厚部の厚みをtとし、その
最小肉厚部を通過するインサートに直角な断面は、スル
ーアンカーの中心を通る断面である。樹脂部とインサー
ト部の最小界面距離をLとすると全周囲Lは18.0m
m、L1/2は4.2であり、金属インサートのエッジ側
樹脂厚みが最小でt=1.5mmであり、これは0.3
5×L1/2の条件に相当し、通常ではクリープ破壊が急
速に生じる範囲である。得られたサンプルの評価結果を
表3に示す。その結果、サンプルは外観が良好であった
が、29時間で最も肉の薄いエッジ側部分にクラックが
発生し、実用には不充分な性能を示した。
【0031】[実施例5]上記無充填ポリアセタール樹脂
に発泡剤を添加し、発泡倍率を1.02倍にした以外は
比較例2と同様にインサート成形を行った。得られたサ
ンプルの評価結果を表3に示す。その結果、サンプルは
外観が良好であると共に、296時間もクラックが発生
せず、十分実用に耐えうる性能を示した。
【0032】[実施例6]発泡倍率を1.25倍となるよ
うに発泡剤を添加した以外は実施例5と同様に行なっ
た。得られたサンプルの評価結果を表3に示す。得られ
たサンプルは外観が良好であると共に、525時間もク
ラックが発生せず、十分実用に耐えうる性能を示した。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】実施例からも分かるように、特定の低倍
率で発泡させることにより、インサートされた射出成形
品であってクリープ破壊寿命の長いものが得られる。従
って、シートベルト部品のスルーアンカーに好適に応用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はモデル実験用角ピン型金属インサ
ートの側面図である。図1(b)はモデル実験用角ピン
型金属インサートの平面図である。
【図2】図2(a)は角ピン型金属インサートを含む射
出成形品の側面図である。図2(b)は角ピン型金属イ
ンサートを含む射出成形品の平面図である。
【図3】図3(a)はスルーアンカー用金属インサート
の平面図である。図3(b)はスルーアンカー用金属イ
ンサートの側面図である。
【図4】図4(a)はスルーアンカーの平面図である。
図4(b)はスルーアンカーの側面図である。
【符号の説明】
1 スルーアンカー 2 スルーアンカー用金属インサート 5 樹脂ゲート 6 樹脂 7 ボルト貫通孔 9 長孔 12 角ピン型金属インサート 13 保持部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:30 B29L 31:30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インサートと熱可塑性樹脂からなる射出
    成形品であって、発泡剤を使用して熱可塑性樹脂を発泡
    倍率が1.01〜1.50倍の範囲になるように発泡さ
    せてなるインサート成形品。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂がポリオレフィン、ポリス
    チレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系
    樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹
    脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンオキサイド
    系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリケト
    ン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリサ
    ルフォン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹
    脂、ポリアミドイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹
    脂、サーモトロピック液晶樹脂及びこれらの混合物であ
    る請求項1記載のインサート成形品。
  3. 【請求項3】 樹脂部の最小肉厚部の厚みをtとし、そ
    の最小肉厚部を通過してインサートに直角な断面におけ
    る樹脂部とインサート部の最小界面距離をLとすると t≦0.8×L1/2 を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載のインサ
    ート成形品。
  4. 【請求項4】 成形品がシートベルト部品のスルーアン
    カー類であり、熱可塑性樹脂がポリアセタール樹脂であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成形品。
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