JP2001113437A - 主軸部材の着脱機能付き加工ユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】熟練者または新人のどんなレベルの作業者でも
簡単にワンタッチで主軸部材の着脱が可能である作業性
を向上した主軸部材のクイックチェンジ式着脱機能付き
加工ユニットを提供する。 【解決手段】工具ホルダ６を装着するスピンドルと該ス
ピンドルにドライブシャフト１１からの回転を伝達する
伝達手段及び該伝達手段によって伝えられた回転運動を
直線運動に変換して前記スピンドルを軸方向に進退移動
させる変換手段とで構成したマスタスクリュアッシー２
０を加工ユニット１０に着脱自在に係止及び解除する即
時交換型係合手段３０を備えた構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ドリル加工あるい
はタップ加工などを行う際に使用する加工ユニットに関
するもので、特に、ドリルやタップ等の工具ホルダを取
り付けて工具に回転と切削送りを与えるマスタスクリュ
アッシー等の主軸部材をユニット本体に容易に取り付け
たりはずしたりできる即時交換（クイックチェンジ）型
着脱機能付き加工ユニットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ドリル加工、タップ加工を自動的に行う
加工ユニットは多種多様に開発されている。例えば、駆
動部の回転力を主軸部にスプライン機構を介して伝達す
る回転伝達機能を備え、さらに、工具の送りを早送りと
切削送りの２段階送りにする各種変速機能とを備えた加
工ユニットが多数公知である。その中でも早送りをエア
ーによるピストン／シリンダ機構とし、切削送りを精度
の良い送りネジ機構とした加工ユニットが、小型でしか
も簡易構造でありながら、精度や作業性が良いため広く
活用されている。

【０００３】図４に従来の加工ユニット４９におけるマ
スタスクリュアッシー部の拡大断面図を示す。この図面
は、タップ（工具）４８をチャッキングしたツールホル
ダ４６をスピンドル４１の先端部に取り付けた状態を表
している。マスタスクリュアッシーは、スピンドル４１
とナット部材４２及びスクリュキャップ４５とで構成さ
れ、スピンドル後端部にはスプライン機構４３を設けて
駆動部（図示せず）からの回転運動をツールホルダ４６
に伝達している。また、ナット部材４２はラム４７先端
部に挿着され回り止め機能により回転不能とし、スクリ
ュキャップ４５でラム４７に固着されており、その内部
でスピンドル４１と送りネジ機構４４により係合してい
る。送りネジ機構４４は、タップ（工具）４８のピッチ
にあわせて、駆動部からの回転運動を直線運動に変換し
ているため、タップ仕様が変更になった場合にマスタス
クリュアッシーを変換しなければならない。その交換手
順は、ツールホルダー４６をスピンドル４１から離脱さ
せ、スクリュキャップ４５を緩めてスピンドル４１とナ
ット部材４２をラム４７から取りはずし、新しいスピン
ドルとナット部材をラム４７の回り止め溝にナット部材
に設けたピンを合わせながらラム４７に挿入し、スクリ
ュキャップ４５をラム４７にねじ込むことで固着させて
から新しいツールホルダを取り付けていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】つまり、この種の加工
ユニットは、主軸の回転運動を軸方向の切削送り用直線
運動へ変換する送りネジ機構を備えたマスタスクリュア
ッシー等の主軸部材のみの交換で、種々工具サイズに対
応できる構造としているため、１機種で多数の仕様に対
応できる構成である反面、仕様変更による段取り換えご
とに、主軸部材を加工ユニットから分解して新しいもの
を組み込むといった分解組立て作業が必要であった。

【０００５】仕様変更ごとに、主軸部材の分解組立て作
業は作業性が非常に悪く、また、作業者の熟練度にも作
業効率がかなり影響されるといった問題があった。

【０００６】本発明は以上の問題点に鑑みてなされたも
のであり、熟練者または新人のどんなレベルの作業者で
も簡単にワンタッチで主軸部材の着脱が可能なまでに作
業性を向上した主軸部材のクイックチェンジ式着脱機能
付き加工ユニットを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、工具ホルダを装着するスピ
ンドルと該スピンドルにドライブシャフトからの回転を
伝達する伝達手段及び該伝達手段によって伝えられた回
転運動を直線運動に変換して前記スピンドルを軸方向に
進退移動させる変換手段とで構成した主軸部材と、該主
軸部材全体を軸方向に進退移動する送り機構部と、前記
ドライブシャフトに回転を与える回転駆動部とを備えた
加工ユニットであって、前記送り機構部の先端に装着さ
れ、前記主軸部材を加工ユニット本体から着脱自在に係
止及び解除する即時交換型係合手段をさらに備えたこと
を特徴とする主軸部材の着脱機能付き加工ユニットを提
供する。

【０００８】また、請求項２に係る発明は、請求項１に
記載の主軸部材の着脱機能付き加工ユニットにおいて、
前記係合手段が前記変換手段を挿嵌する主軸部材ホルダ
と、該主軸部材ホルダと摺動可能に嵌装し、内部先端部
に環状の開口凹溝部と、該凹溝深部からユニット先端部
から離れる方向に縮径するテーパ面とを設けた外周段付
きカラーと、該カラーの小径外周に装着したスプリング
と、前記主軸部材ホルダに設けた抜き孔に配設してカラ
ー内面と係止し、前記カラーの摺動により前記変換手段
の外周部に設けた前記凹溝部に出没自在に移動する複数
の球体とからなることを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】請求項１の発明によれば工具サイズ等仕様変更
ごとに専用機に組み込まれた加工ユニットをいちいち取
りはずしてからマスタスクリュアッシー等の主軸部材の
分解及び組み立て作業を行う必要がなく、加工ユニット
の先端部に設けた即時交換（クイックチェンジ）型係合
手段のワンタッチ操作により、送りネジ機構を備えたマ
スタスクリュアッシー等の主軸部材を工具及び工具ホル
ダを取り付けたままの状態で交換が可能となり、しか
も、加工ユニットを専用機に組み込んだままの状態で仕
様変更が可能となるため段取り換え作業が短時間ででき
るようになった。

【００１０】また、クイックチェンジ型係合手段として
は、請求項２の発明の如く、変換手段の外周部に凹溝部
を設け、その溝部に主軸部材ホルダに設けた抜き孔に配
設してカラー内面と係止させた複数の球体を、スプリン
グによって常時加工ユニットの前方に付勢されているカ
ラーの摺動によりはめたりはずしたりすることで、ワン
タッチで主軸部材を着脱するカップリング方式の構成と
したものが効果的である。

【００１１】なお、上述のカップリング方式以外のクイ
ックチェンジ型係合手段としては、キャッチクリップ式
のものも採用できる。つまり、主軸部材の変換手段と加
工ユニット側の主軸部材ホルダとの装嵌関係を形成する
係合手段であればその構成は限定されない。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の第一の実施形態に
ついて、図面を参照して説明する。図１は、本発明によ
る即時交換（クイックチェンジ）型着脱機能付き加工ユ
ニットの一例を示す部分断面平面図である。また、図２
は、ネジ送り機構及びスプライン機構を備えたマスタス
クリュアッシーの拡大図である。

【００１３】この加工ユニット１０は、ラム７の略中央
外周部に設けたピストン７ａとユニット外筒９でエアー
シリンダ機構を構成しており、ツールホルダ６に保持さ
せた工具８の先端部を被加工物のちょっと手前まで移動
させる早送りをエアーで行っている。早送り後の切削送
りは、主軸の回転運動を軸方向の直線運動へ変換する送
りネジ機構部の変換手段で行っている。具体的には、ス
ピンドル１の部分的外周部に設けたオスネジ部と、その
スピンドル１に嵌装され前記オスネジ部と噛み合うメス
ネジ部を部分的内面に設けたナット部材２とで一体的に
構成したマスタスクリュアッシー２０で切削送りを行っ
ているため、精度の良い切削加工が効率良く可能であ
る。

【００１４】また、スピンドル１の後端部にスプライン
機構部３を設けてスピンドル１と加工ユニット１０の駆
動部に連結されたドライブシャフト１１とをドライブス
リーブ１２を介して主軸回転を伝達させているため、マ
スタスクリュアッシー２０として、加工ユニット１０か
ら一体的に取りはずしたり、または、加工ユニット１０
に一体的に取り付けても、スプライン機構部３の凹凸条
で簡単にスピンドル１とドライブスリーブ１２を係合で
き、回転動作及び切削送り動作になんら問題はない。

【００１５】以上のように一体的に組み込んだマスタス
クリュアッシー２０は、そのままラム７の先端部に装着
されたクイックチェンジ式係合手段３０にワンタッチで
簡単に着脱できる構成となっている。

【００１６】ここで、さらにマスタスクリュアッシーと
前記係合手段との係止及び解除状態につき詳細に図３を
用いて説明する。

【００１７】図３（ａ）に本実施例の係合手段にマスタ
スクリュアッシーを装着させた係止状態の拡大平面断面
図と、図３（ｂ）に本実施例の係合手段に装着したマス
タスクリュアッシー係止解除状態の拡大平面断面図を示
す。

【００１８】本実施例によるマスタスクリュアッシー２
０は、スピンドル１と該スピンドルと送りネジ機構部に
より螺合させたナット部材２とで一体的に構成してお
り、そのナット部材２は、係合手段を構成する主軸部材
ホルダ１３にそのまま挿入させるため、その挿入部の外
径は主軸部材ホルダ１３の内径とほぼ同じサイズとして
おり、また、挿入基部は挿入部よりも大外径とした段付
き部を形成して挿入時のストッパ的役割りと交換時の把
持部の役割りを持たせている。

【００１９】また、本実施例による前記係合手段３０
は、ラム７の先端部に螺合された主軸部材ホルダ１３
と、該ホルダに摺動可能に嵌装された外周段付きカラー
１４と、該カラーの段付き部と環状スペーサ１６の間の
小径外周部に嵌装され常に前記カラー１４を加工ユニッ
ト前方に付勢するスプリング１５と、前記主軸部材ホル
ダ１３の開口側周側面に設けられた複数の抜き孔に遊嵌
した鋼球５とで構成されている。外周段付きカラー１４
の内周面形状は、内部先端部に設けた環状の開口凹溝部
と、該凹溝の段付き深部からユニット後端部に向かって
縮径する前記鋼球５の直径幅よりやや長めのテーパ面部
と主軸部材ホルダ外径に摺動する円筒内面部とで形成さ
れており、前記テーパ面での前記鋼球を押圧したりはず
したりすることで前記鋼球５を前記マスタスクリュアッ
シーのナット部材２の外周に設けた凹溝部に出没させる
ことで本係合手段にマスタスクリュアッシーを係止した
り解除したりできる構造としている。

【００２０】ツールホルダ６を取り付けたマスタスクリ
ュアッシー２０のナット部材２をその外径とほぼ同じサ
イズの内径を持つ主軸部材ホルダ１３の奥部まで挿入さ
せると、主軸部材ホルダ１３の円周方向に間隔をあけて
配設された複数の抜き孔２１に遊嵌した鋼球５がナット
部材２の外周部に加工された凹溝部２２に落ち込んで、
ナット部材２と主軸部材ホルダ１３とが係合する。鋼球
５の落ち込みにより、スプリング１５によって常にユニ
ット前方へ付勢されている外周段付きカラー１４が矢印
イ側へ移動し、外周段付きカラー１４のテーパ面２３に
より鋼球５を押圧しナット部材２と主軸部材ホルダ１３
を離脱不能に係止する。なお、ナット部材２には回り止
め部（図示なし）を設けてマスタスクリュアッシー全体
の回転動作を阻止している。また、凹溝部２２の後端部
（加工ユニット後方側）は、後方に拡径するテーパ面２
２ａを形成している。

【００２１】マスタスクリュアッシー２０を交換する場
合は、外周段付きカラー１４を矢印ロの方向のユニット
側に移動させ、鋼球５に与えていたテーパ面２３の押圧
力を解除する。ナット部材２の把持部２４をつかみ、マ
スタスクリュアッシー２０を引き抜こうとすると、ナッ
ト部材２の外周部の凹溝部２２に突出していた鋼球５が
凹溝部後部に設けたテーパ面２２ａに沿って外側のカラ
ー１４の開口凹溝部２５へ押されて鋼球５とナット部材
２の係合を解除し、ツールホルダ６を取り付けたままマ
スタスクリュアッシー２０を係合手段３０から抜去する
ことができる。

【００２２】以上のように、本発明のクイックチェンジ
式着脱機能を加工ユニットに備えれば、工具サイズ等仕
様変更が必要な場合には切削送りを制御するマスタスク
リュアッシーのみを加工ユニットから簡単に交換できる
構成としているが、その係合手段には、加工ユニットの
作動中におけるマスタスクリュアッシーの離脱防止につ
いても考慮している。そこで、実際に本発明のマスタス
クリュアッシーを係合手段に挿着した加工ユニットの作
動状態について説明する。

【００２３】外周段付きカラー１４の内面に形成したテ
ーパ面２３は、加工ユニット後端部に向かって縮径する
形状としている。加工ユニットのラム７をエアシリンダ
機構の作用で早送りにて前進させ、被加工物の手前で急
停止をかけた場合、外周段付きカラー１４が慣性により
前進方向へ移動しようとするためテーパ面２３の縮径形
状でくさび効果を増大して鋼球５をより頑強にナット部
材２の外周に設けた凹溝部へ押圧するためマスタスクリ
ュアッシー２０が主軸部材ホルダ１３から離脱すること
を防止する構造としている。

【００２４】なお、ラム７が加工ユニット本体側へ早戻
り後急停止する時に発生する慣性力は、マスタスクリュ
アッシー２０を加工ユニット側に押し込む方向に作用
し、しかも外周段付きカラー１４はスプリング１５によ
って常にユニット前方へ付勢され、テーパ面２３の縮径
形状により鋼球５が内側軸方向に押圧されているため、
マスタスクリュアッシー２０の離脱を防止できる。

【００２５】

【発明の効果】本発明による即時交換（クイックチェン
ジ）型着脱機能付き加工ユニットによれば、マスタスク
リュアッシー等の主軸部材の交換が、加工ユニットの専
用機への据え付け状態のままワンタッチ操作で可能とな
ったため、従来の加工ユニットのような分解及び組み立
て作業を不要とし、しかも、従来のネジ送り機構による
精度の良い切削加工機能を維持しながら、仕様変更に対
しての段取り換え作業を簡単にして時間短縮を実現でき
た。

【００２６】具体的には、スプリングによって常時加工
ユニットの前方に付勢されているカラーをスプリングに
対抗する方向に移動させ、マスタスクリュアッシーのナ
ット部材の外周溝に突出していた鋼球の逃げ空間を作り
だし、マスタスクリュアッシーのみを引き抜くだけで、
ナット部材の外周溝後部に設けたテーパ面で鋼球を外側
に押し出してマスタスクリュアッシーの係止が解除で
き、逆に、マスタスクリュアッシーを主軸部材ホルダに
挿入押し込むだけでナット部材の外周溝に鋼球が落ち込
み係止できるワンタッチカップリング方式としているた
め、簡単な構成で、しかも確実に係止及び解除が短時間
で可能となった。

【００２７】また、カラー内面に形成したテーパ面を加
工ユニットの後方側に縮径する形状としているため、加
工ユニットの早送り移動時に発生する慣性力を利用し
て、より頑強にマスタスクリュアッシーを係合手段に係
止し、加工ユニット作動中の離脱を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による実施形態の即時交換型着脱機能付
き加工ユニットの部分断面平面図である。

【図２】ネジ送り機構を備えたマスタスクリュアッシー
の拡大図である。

【図３】（ａ）及び（ｂ）は、本実施例の係合手段にマ
スタスクリュアッシーを装着させた係止状態及び解除状
態の拡大断面平面図である。

【図４】従来の加工ユニットにおけるマスタスクリュア
ッシー部係合状態を表す拡大断面平面図である。

【符号の説明】

１，４１ スピンドル ２，４２ ナット部材 ３，４３ スプライン機構部 ４，４４ 送りネジ機構部 ５ 鋼球 ７，４７ ラム ９ ユニット外筒 １０，４９ 加工ユニット １３ 主軸部材ホルダ １４ 外周段付きカラー １５ スプリング １６ スペーサ ２０ マスタスクリュアッシー ２１ 抜き孔 ２２ ナット部材の外周凹溝部 ２２ａ 上記凹溝部の後部テーパ面 ２３ カラーの内部テーパ面 ２４ 把持部 ２５ カラーの開口凹溝部 ３０ 係合手段

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具ホルダを装着するスピンドルと該ス
   ピンドルにドライブシャフトからの回転を伝達する伝達
   手段及び該伝達手段によって伝えられた回転運動を直線
   運動に変換して前記スピンドルを軸方向に進退移動させ
   る変換手段とで構成した主軸部材と、該主軸部材全体を
   軸方向に進退移動する送り機構部と、前記ドライブシャ
   フトに回転を与える回転駆動部とを備えた加工ユニット
   であって、前記送り機構部の先端に装着され、前記主軸
   部材をユニット本体から着脱自在に係止及び解除する即
   時交換型係合手段をさらに備えたことを特徴とする主軸
   部材の着脱機能付き加工ユニット。
2. 【請求項２】 前記係合手段が前記変換手段を挿嵌する
   主軸部材ホルダと、該主軸部材ホルダと摺動可能に嵌装
   し、内部先端部に環状の開口凹溝部と、該凹溝深部から
   ユニット先端部から離れる方向に縮径するテーパ面とを
   設けた外周段付きカラーと、該カラーの小径外周に装着
   したスプリングと、前記主軸部材ホルダに設けた抜き孔
   に配設してカラー内面と係止し、前記カラーの摺動によ
   り前記変換手段の外周部に設けた前記凹溝部に出没自在
   に移動する複数の球体とからなることを特徴とする請求
   項１に記載の主軸部材の着脱機能付き加工ユニット。