JP2001113142A - 低圧損濾過フィルター - Google Patents

低圧損濾過フィルター

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JP2001113142A
JP2001113142A JP33035599A JP33035599A JP2001113142A JP 2001113142 A JP2001113142 A JP 2001113142A JP 33035599 A JP33035599 A JP 33035599A JP 33035599 A JP33035599 A JP 33035599A JP 2001113142 A JP2001113142 A JP 2001113142A
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邦男 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】懸濁質分散液体の濾過に於いてサブミクロン以
下の孔径を有する膜に固有の膜汚染(ファーリングおよ
びスケーリング)による濾過特性の低下を防止する。 【解決手段】膜汚染による濾過特性の低下の少ない濾材
とその方法に於いて、極細繊維と1層以上の多層緻密層
とからなるハイブリッド構造を有する濾材を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食品・医薬製造・化学分
野で、博く行われている濾過において、臨界的な範囲の
濾過技術に適用する。具体的には、上水精製用としてフ
ミン質の除去及び凝集濾過用に、食品工業用としてはウ
ーロン茶の滅菌濾過、果汁・ワイン等液体食品のオリ除
去など最終濾過用に、及び医薬品製造用としてペニシリ
ン培養液の抽出前工程に於ける菌体分離など、サブミク
ロン以下の濾過精度を要求される臨界的な濾過工程に利
用可能である。
【0002】
【従来の技術】現在、食品・医薬・化学分野では、広く
膜技術がその製造工程に組み込まれ、生産工程の合理化
及び品質の向上に非常に役に立っている。逆浸透膜製造
技術として有名なLaeb法によりセルロース系膜、ポ
リスルホン膜、ポリアミド系膜などが、プリーツ折り円
筒状フィルター、細円筒状ホロファイバー・フィルター
として製造されている。
【0003】これらの濾過において濾過精度はサブミク
ロン以下であり、濾過圧として表現されるエネルギーは
濾材の濾過精度が高くなる、つまり孔径が小さくなれば
なるほど非常に大きくなっていく。例えば、逆浸透膜
(以下RO膜と称する。)の濾過精度はナノメータ以下
であり、濾過圧には濾液原液と濾過液のイオン濃度差に
基づく浸透圧差が付加され、十数気圧以上に達する。サ
ブミクロン以下の孔径を有する膜には界面電気化学現象
の効果が顕著に現れてくる。その「臨界的」サイズがサ
ブミクロンである。濾過圧の低減のための工夫は種々為
されている。例えば、Laeb膜製造において表面近傍
のみを緻密な薄膜にし徐々に粗い構造にする「拡散」層
構造が多く採られている。USP 5,876,602
にはポリスルホン多孔性支持膜の上に界面重合法により
ポリアミド薄層を形成した後、40〜100℃水中で予
めソーキングした後アルカリ性次亜塩素酸(ナトリウ
ム)水溶液で表面をハロゲン化処理することを提唱して
いる。この表面処理により、脱塩率の低減が無く透水率
が使用時に徐々に向上するばかりか、洗浄時の耐アルカ
リ性に優れるRO膜を得ている(S.D.Jons e
tal ,USP5876,602)。清澄濾過膜(以
下MF膜と称する)及び限外濾過膜(以下UF膜と称す
る)を含めた、これら液体濾過膜に特徴的なことは材質
表面が親水性であるため、濾過すべき液体中に空気の混
入・連行していた場合、膜の微細な孔にメニスカスを形
成し、非常に濾過抵抗が大きくなるエアーロック現象が
ある。対照とする膜がエアー・ロック現象を生じ易いか
どうかの判断の代表的指標としてバブルポイント値が考
えられる。ここでいう、バブルポイント値とは親溶媒で
膜を予め十分濡らした後、清浄な空気を導入して、徐々
に加圧していき、液膜が破瓜・貫通する圧力を測定する
試験方法である。最大径を有する連通孔が最初に破瓜す
るので、主として、MF膜の精度を表す孔径指標値とし
て用いられる。バブルポイント値は孔の形状に左右され
る相対値である。エアーロックした濾過を通常状態に戻
すには膜表面空気を透過・逃散する必要があり、これに
要する圧力は通常の操業圧力より高い場合が多いので、
実操業上、濾滓による目詰まりと区別しにくい。濾過精
度が高ければ高いほど、つまり孔径が小さければ小さい
ほど液膜を破瓜して空気を通すには指数関数的に大きな
圧力を要することになる。このため、操業管理上、バブ
ルポイント値の出来る限り低い膜が好ましい。材質がポ
リプロピレンなど疎水性の膜は、一般にパブルポイント
値が低い傾向があるが、疎水性膜の場合には濾過初期に
孔内に存在する空気が液体の侵入を阻止する逆エアロッ
ク現象がある問題がある。孔内に存在する空気を水で押
し出すのには水の高界面張力により高圧力を要する実工
程上の難点があるので、疎水性膜はあまり用いられてな
い。疎水性膜を水系媒体の濾過に用いる場合、アルコー
ルなどの低界面張力の極性溶媒により一旦、膜を湿潤化
し、孔内の空気を追い出してから濾液と置換した後、濾
過を開始する方法を採らなければならないが、方法およ
び条件によって、必ずしも完全に空気を追い出すことが
困難である。しかし、ポリプロピレン不織布から成る膜
によりウーロン茶を濾過した場合、初期は残留する空気
による逆エアロックのため濾過量は小さいが、徐々に、
同精度の親水性膜と同等の濾過速度に達する現象が見ら
れ、濾過時間と共に表面が親水化し、表面が茶褐色に呈
色してくる。これはウーロン茶に含まれるタンニンなど
のポリフェノールが界面活性能を有し、表面に吸着して
表面を親水化するためであると考えられ、天然の界面活
性剤として知られているレシチンを含む水性懸濁質を濾
過する場合にも同様な現象が認められる。一方ポリテト
ラフルオロエチレン(以下PTFEと称する。)は疎油
性・疎水性であり、一般にバブルポイントは同精度のポ
リプロピレンMF膜に比べて高い傾向がある。USP
5,842,173には半径方向に拡張可能なPTFE
テープ補強血管代替品として膜構造を有するテープを使
用する記載がある。ここには、PTFE膜の微細構造に
ついて記述がある。PTFEはフッ素原子の強い極性結
合力により、高分子鎖同士が揃って微結晶状繊維(ミク
ロフィブリル)を生成しやすく、延伸加工によりミクロ
フィブリルの集合体である繊維状組織と、そうでない節
部とから成る網目状構造を呈する。この構造から成るP
TFE膜はPTFEの耐化学薬品性を応用して、MF膜
として利用されている。
【0004】これらの膜に固有の問題として膜汚染によ
る細孔の閉塞があり、濾過流量の急激且つ顕著な低下の
原因としてよく知られている。膜汚染にはファーリング
とスケーリングの二種に分類でき、それぞれ有機化合物
の吸着および無機化合物の界面析出に由来する。ファー
リングの例として、ポリフェノール系化合物を含む液を
濾過すると表面に化合物が吸着し、濾過が非常に困難に
なる問題がある。A.MurphyとM.K.Pric
eらは酢酸セルロース系RO膜を用いた水処理装置を検
討し、RO膜に限らずMF(0.45μ)においてもフ
ァーリングが起こり、表面吸着を伴う濾過膜孔の閉塞で
あるとしている。この原因としてカテコール、1,2.
3−トリハイドロキシベンゼン(ピロガロール)などポ
リハイドロキシ芳香族化合物が空気中の酸素や、第二鉄
イオンなどにより酸化され、より高分子の物質パープロ
ガリン(C11)を生成し、表面に吸着するこ
とを挙げている。パープロガリンはトロポロン類の一種
で放線菌の発酵代謝物としてペニシリン発酵用培地に大
量に含まれているものである。この現象はファーリング
として博く知られている。一方、濾過膜近傍の濃度分極
によるカルシウムイオンや塩化アルミニウムの析出によ
る濾過流量の低下をスケーリングと呼んでいる。スケー
リングとは、該当物質がイオン電解質もしくは溶液であ
るにもかかわらず、濾過膜表面近傍にて、濃度の上昇も
しくは加水分解等の界面反応による析出が起こり、濾滓
として堆積する現象であり、濾過流量が大幅に低下す
る。スケーリングに於ける析出物はコロイドもしくはゲ
ル様で、非常に細かいので、濾材の間隙深くまで堆積
し、逆洗など通常の洗浄法では拭い去ることが出来な
い、いわゆる不可逆性を示す。実際の膜汚染として、例
えば、ウーロン茶の濾過、及びポリ塩化アルミニウム溶
液等を水処理用凝集剤として用いた凝集沈殿濾過の際
に、この様な膜汚染現象が起こり、それぞれファーリン
グおよびスケーリングの典型例として挙げられる。濾過
に伴う経時的濾過流量の低下は、濾滓が濾過膜表面上に
堆積した場合にも当然生ずるが、ファーリングの場合の
濾過流量の低減は突然といっていいほど急速に生じ、こ
の場合、ファーリングかどうかを識別する方法としては
濾過すべき液をファーリング物質の含まない純溶媒、例
えばウーロン茶の場合には純水に、切り替えて濾過流量
を測定し、初期濾過流量と比較することにより比較的簡
単に判別できる。該濾液と純溶媒の濾過流量が初期に比
べ同一の比率で低減している場合が濾滓の堆積による流
量低下であり、該濾液の低減率が純溶媒の低減率に比べ
極端に大きい場合がファーリングである。これらの膜汚
染が生ずると、濾過時間の延長による工程効率の低下お
よび濾材の破壊による濾過液品質の低下を招き、生産管
理上非常にいやがられる。これらに対する対策として
は、円筒状フィルターの場合には、スポンジボールによ
る定期的洗浄や一般的には酸・アルカリなどによる化学
洗浄などが行われているが、いずれも対処療法的対策で
あり、根本的対策は無い。これは、これらサブミクロン
サイズの膜に共通した問題であり、界面相互作用が濾過
に要するエネルギーに大きく寄与している所以である。
【0005】PTFEのMF膜を用いてアルコールで湿
潤状態にしてから水と置換する前処理を濾過直前に行っ
た後、ウーロン茶を濾過したところ、他の同精度の親水
性MF膜に比べて2、3倍ファーリングする迄の濾過量
が増大した。しかし、PTFEは撥油・撥水性なので、
PTFE−MF膜を用いて水系懸濁液液を濾過する場合
には、予めアルコールで湿潤、水置換してからでないと
通常の圧力での濾過は不可能であり、又、水置換した際
の濾液は捨てなければならないなど実用上問題があり、
食品工業や水処理には用いられにくい。また往々にして
エアロックを生じやすいので操業上細心の注意を要する
欠点がある。又、濾材を多段に設置して、粗い濾材から
順次細かい目の濾材を用いるように濾過していけば、フ
ァーリングやスケーリングが防止できるはずと考え、市
販の不織布濾材と膜を組み合わせて濾過を行ったが、目
的とする濾過精度に対して、膜汚染による濾過特性の劣
化は防止できなかった。吸着による膜汚染現象は、サブ
ミクロン精度の膜に特異的に起こり、それ以上の孔径を
有する膜では起こらず、かつ膜汚染物質の除去防止でき
ず、前処理として有効でないことが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、サブミクロ
ン以下の精度を有する濾材を用いる濾過において、発生
するファーリングやスケーリングによる濾過寿命の低下
を遅延もしくは防止するフィルターの膜構造及びその方
法に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意研究を重ねた結果、汚染物質の堆積・
吸着により濾過流路を閉塞しない膜構造を見いだし、極
細繊維層に一層以上の多重の緻密な膜を生成する様に製
造条件などに工夫をこらせば問題が解決することにより
本発明を完成させた。
【0008】すなわち本発明は、例えば抄紙法により極
細繊維状物質を分散剤・可溶性樹脂と共に溶媒に分散さ
せた液を原料として成形して出来る濾材製造方法に於い
て、溶液の突沸しない乾燥条件で成形した後、樹脂分を
加熱乾燥硬化させることにより、膜構造として、極細繊
維層と少なくとも1層以上の緻密な層を有するハイブリ
ッド膜構造を有する濾材が得られ、これを用いたフィル
ターは膜汚染対策として有効である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。極細繊維
とバインダーとして親水性有機高分子を水と混合し抄紙
法によりゲル様物質を得、これを溶媒である水が突沸し
ないような加熱条件で、乾燥して得られる膜は平滑かつ
均一であり、白色である。使用する極細繊維としては繊
雑径(代表長さ)が濾過精度の孔径以上かつ濾過精度の
50倍以下の範囲の繊維を用いる。繊維の堆積状況の観
点から孔径以下の繊維径の繊維を用いると、抄紙前の分
散が困難になるばかりか、繊維同士が絡み合い、生成し
た膜が不均一になり所定の精度が得られなくなる。一
方、粗大な径を有する繊維を用いて抄紙して得られる膜
は繊維間の間隙が粗くなり、表面の凹凸が大きく、平滑
性が失われるので樹脂の緻密な層が得られなくなり、所
定の濾過精度が得られない。繊維の繊維方向長さとして
は製膜技術上の観点及び所与の膜構造を得る観点から繊
維径の少なくとも1000倍以上、好ましくは1000
0倍以上が必要である。短繊維であればあれほど、抄紙
前の混合が容易であり、得られる膜の特性も良好なもの
が得られるが、機械的強度が低下する。
【0010】用いられる繊維としては、特に制限はな
く、ポリエチレン、ポリプロピレンなどポリオレフィン
系樹脂、ポリエステルなど有機高分子繊維やガラス繊維
など無機繊維が挙げられる。製造上、抄紙に於いて親溶
媒性である必要があり、膜の骨構造として十分な硬度を
持つ繊維が望ましく、例えば、ガラス繊維、石英ウー
ル、アルミナ繊維などが挙げられる。これは濾過使用
時、膜面に圧力が掛かり濾過方向の圧密化により膜構造
が変形もしくは破壊することにより透過流量の低下をき
たす場合があるからである。膜の強固な骨構造はこの圧
密化を低減する重要な要因である。
【0011】用いられる分散剤・樹脂としては溶媒に可
溶で均一に溶けるもので、繊維になじみがよく、加熱な
どにより溶媒を除去した場合に固化・硬化し、溶媒に不
溶化する官能基を有する樹脂であれば良い。このような
樹脂としては水を溶媒とする場合、ポリアクリル系樹
脂、メチロール縮合メラミンなどが挙げられ、エステル
反応、シロキサン反応などにより架橋結合を生じ、繊維
のバインダーとして機能するばかりか、薄層の膜構造を
生じうる。得られた膜は親水性を呈し、かつ所与の膜強
度を有する。
【0012】繊維とバインダーをミキサーもしくは撹拌
機にて、よく混合して、金網など繊維を捕捉する器具の
上に流し込み成型後、脱型し、乾燥する。加熱乾燥に当
たっては、緻密且つ均一な樹脂層を得るため、いわゆる
突沸を生ずる条件を避ける工夫が必要である。溶媒に水
を用い、抄紙法により製膜する場合、加熱温度として8
0℃から120℃で乾燥固化すると均一で緻密な層を得
る。この範囲より低温で乾燥する場合には、溶媒として
の水の蒸散・濃化につれ、溶媒内にて樹脂の濃縮団塊構
造を生じ膜内部の繊維間で固化し、緻密な層を形成し所
与の繊維層構造が形成されない。このため、ファーリン
グ及びスケーリングに対して効果が無くなる。一方、こ
の範囲より高い条件で加熱する場合には、溶媒が突沸
し、生成し懸かった緻密層を突き破るので所期の濾過精
度が得られない。用いられる分散剤・樹脂の架橋硬化反
応に要する温度がこの範囲より高い場合には、乾燥後、
再度、所定の硬化温度条件で加熱硬化させる。
【0013】
【作用】ハイブリッド膜構造を有する膜の有効性は、次
の二点から判定される。第一の方式は、この膜を用いて
膜汚染物質を含む濾液を濾過し、濾過流量が1/2に成
る時点までの総濾過流量で表示する、いわゆる限界流量
測定法である。この方法で求まる値を、以下、方式1の
限界流量という。第二の方式は評価すべき膜を前段に配
し、標準膜として所与の精度のLaeb膜を次段に設置
した二段濾過試験に於いて、評価すべき膜の濾液を標準
膜で更に濾過し、その限界流量を標準膜自身の方式1の
限界流量と比較検討する方法である。これを方式2の限
界流量という。実際、評価すべき膜の方式2の限界流量
は、膜汚染物質の除去・防止能を表し、不織布以外のサ
ブミクロン・クラスの膜で膜汚染物質を含むを濾過すれ
ば、膜汚染現象は低減もしくは無くなる事を発見した。
【0014】清澄濾過のための膜構造を得るための製造
方法としては、抄紙法による場合に限らず、請求項記載
の膜構造を有する濾材膜であれば、ファーリング・スケ
ーリング対策として有効である。
【0015】
【実施例】以下に実施例を説明する。まず初めに、ハイ
ブリッド膜構造の濾材を作成した。
【0016】
【製造例1】直径2から3ミクロンの極細ガラス綿を、
数cmの長さにちぎって、トリメチロールメラミンをバ
インダー用樹脂として含む懸濁液に撹拌しながら、少量
ずつ加え、最終的に表−1の抄紙液を得た。40メッシ
ュのステンレス金網を撥水処理したものを抄紙型とし
て、40リットル/mの抄紙液を均一に抄紙型に行き
渡るように流し込み、水切り後、数ミリメーターの厚み
になった時点で、110℃の乾燥機に金網と共にいれ、
30分乾燥し水分を蒸発させた。 脱型後、140℃の乾燥機内で10分硬化し、十分水洗
し可溶性成分を膜から除去した。乾燥した膜は淡黄色、
厚み0.5mm、目付重量として100g/mを得
た。抄紙液成分から換算した繊維ガラス充填量は50g
/mであり、換算樹脂分は50g/mであった。同
様にして、樹脂分の少ない対照例を作成した。乾燥した
膜は白色であり、厚み0.5mm、目付重量35g/m
、換算樹脂分は4g/mであった。
【0017】
【実施例1】製造例1による濾材の濾過精度は0.6ミ
クロンであった。濾過精度は、標準ラテックス粒子を用
いて、レーザー光粒子計で濾液分析を行い、濾液側に粒
子が検出されない粒子径の最大値をもって表示する。市
販ウーロン茶を濾過したところ、従来法による孔径0.
2ミクロンのポリエーテルスルホン膜(以下、標準膜と
いう。)に比べ限界流量は約10倍向上した。対照例1
では30倍であった。製造例1の膜を用いて濾過したウ
ーロン茶濾液について標準膜で濾過したところ全く濾過
流量の低減が無く、方式2の限界流量は15倍以上であ
った。方式2の限界流量について対照例1は、全く向上
せず、効果がなかった。
【0018】濾過原液として表−3に示す100ppm
ポリ塩化アルミニウム懸濁液について実施例1と同様に
限界流量測定を実施したところ、製造例1は標準膜に比
べ方式1及び方式2の場合、ともに10倍以上を示し
た。対照例1は、方式2の場合、約1倍で、効果がなか
った。
【0019】
【製造例2】小型抄紙設備を用いて、樹脂分としてポリ
アクリル系樹脂、樹脂分13%、目付量82g/m
ガラス繊維フィルター・メディア、A4版サイズのサン
プルを作成した。加熱乾燥にはドラム型連続乾燥機を用
い、平滑な表面の膜を得た。製造例2のサンプルにつき
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で、表面を観察したと
ころ、表面に極く薄い樹脂層膜が存在する事を確認し
た。抄紙方向引っ張り強度は9.9Kgと大幅に向上し
た。
【0020】
【実施例2】製造例2につき、市販の清澄濾過膜と比較
するため透過流速、限界流量、バブルポイント値、過マ
ンガン酸カリウム消費量を測定した。食品・医薬等の基
準を満足し、従来の清澄濾過膜に比べ、低バブルポイン
ト値、高限界流量値を示した。
【0021】
【発明の効果】本発明の膜構造を有する濾材は、例え
ば、上水の急速濾過、ウーロン茶など液体食品の滅菌濾
過に於ける膜汚染対策として有効であり、広く化学・食
品・医薬品工業用の臨界的用途に用いられる。
【0022】
【参照文献】A.Murphy and M.K.P
rice ,UltraPure Water,Ma
r.1992,p22−25 第16回空気清浄とコンタミネーションコントロール
研究大会 A29、1998,4.16 日本空気清浄協会 第17回空気清浄とコンタミネーションコントロール
研究大会 B26、1999,4.23 日本空気清浄協会
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 69/06 B01D 69/06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極細繊維層と1層以上の多層緻密層からな
    る濾材及びこれを成型加工して出来るフィルター
  2. 【請求項2】極細繊維と親水性有機高分子溶液もしくは
    微細分散体を混合し、抄紙法により湿式成型し、膜面が
    突沸しないように加熱乾燥して濾材を形成する請求項1
    記載の濾材製造方法
  3. 【請求項3】極細繊維とシロキサン結合形成液を混合
    し、請求項2による抄紙法により形成する、請求項1記
    載の濾材
  4. 【請求項4】極細繊維としてガラス繊維からなる請求項
    1から請求項3に関わる濾材及びフィルター
  5. 【請求項5】ファーリング物質としてポリフェノール系
    界面活性剤を含む分散液を濾過するための請求項1から
    請求項4迄に記載の濾材及びその濾材を用いて出来るフ
    ィルター
  6. 【請求項6】スケーリング物質としてポリ塩化アルミニ
    ウム溶液を含む懸濁液を濾過するための請求項1から請
    求項4迄に記載の濾材及びその濾材を用いて出来るフィ
    ルター
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012005624A2 (ru) * 2010-07-09 2012-01-12 Общество С Ограниченной Ответственностью "Орион Интегрити" Фильтр для удаления диоксида углерода из газового потока

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012005624A2 (ru) * 2010-07-09 2012-01-12 Общество С Ограниченной Ответственностью "Орион Интегрити" Фильтр для удаления диоксида углерода из газового потока
WO2012005624A3 (ru) * 2010-07-09 2012-08-30 Общество С Ограниченной Ответственностью "Орион Интегрити" Фильтр для удаления диоксида углерода из газового потока

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