JP2001110759A - 銅の研磨に用いる化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents

銅の研磨に用いる化学機械研磨用水系分散体

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JP2001110759A JP28846199A JP28846199A JP2001110759A JP 2001110759 A JP2001110759 A JP 2001110759A JP 28846199 A JP28846199 A JP 28846199A JP 28846199 A JP28846199 A JP 28846199A JP 2001110759 A JP2001110759 A JP 2001110759A
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博之 矢野
Masayuki Motonari
正之 元成
Masayuki Hattori
雅幸 服部
Nobuo Kawahashi
信夫 川橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に、半導体装置の研磨に好適に用いられ、
研磨速度が大きく、エロージョンを低く抑えることので
きる水系分散体を提供する。 【解決手段】 イオン交換水に、研磨粒子(ヒュームド
法アルミナ粒子等)と、キノリン酸と、酸化剤(過硫酸
カリウム等)等を加え、pHを8に調整して得る。この
水系分散体は、水不溶性銅化合物と水可溶性銅化合物の
両方を含有する膜を銅を含有する被研磨面に形成するこ
とができる。このため、酸化抑制剤のみを含有する水系
分散体により形成される水不溶性銅化合物のみからなる
膜に比べて研磨速度を大きく向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造
において有用な化学機械研磨用水系分散体(以下、単に
「水系分散体」ともいう。)に関する。本発明の水系分
散体はDRAM及び高速ロジックLSI等の0.1μm
程度の微細な配線から100μm程度の広い配線の混載
を必要とする半導体装置の配線形成工程において好適に
使用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体装置の高密度化に伴い、形
成される配線の微細化が進んでいる。この配線の更なる
微細化を達成することができる技術として注目されてい
る方法にダマシン法と称されるものがある。この方法
は、絶縁材中に形成された溝等に配線材料を埋め込んだ
後、化学機械研磨により余剰な配線材料を除去すること
によって正確な配線を形成するものである。この方法で
は、研磨速度の更なる高速化、及びエロージョンの更な
る低下が特に重要な課題となっている。更に、この研磨
に使用されるスラリーの分散安定性の向上も重要な課題
となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決するものであり、銅の化学機械研磨において研磨速度
を大きくすることができ、エロージョンを抑制すること
ができる水系分散体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、研磨時に供給
する水系分散体により銅配線表面に形成される膜が、水
に不溶な銅化合物と可溶な銅化合物との混合物であれば
研磨速度を向上させることができるという知見に基づき
なされたものである。更に、これらの膜のうち水不溶性
部分をその硬度が小さい有機化合物により構成すること
で、スクラッチ等を防止することができ、エロージョン
を抑制することができるという知見に基づく。尚、本発
明にいう「エロージョン」とは、例えばダマシン法等に
より絶縁材中に埋め込まれる配線により形成される絶縁
材と配線との所望の平坦面から、研磨により生じる凹み
をいう。即ち、配線周縁から配線部が削り込まれている
状態を意味する。「エロージョンを抑制する」とは、こ
の凹みを小さく抑えることを意味する。
【0005】上記課題は、第1に被研磨面の銅を含有す
る表面に、水不溶性銅化合物と水可溶性銅化合物を含有
する膜を形成する化学機械研磨用水系分散体(以下、第
1発明という。)により達成される。また、上記課題
は、第2に水不溶性銅化合物及び水可溶性銅化合物が異
なる成分から形成されること(以下、第2発明とい
う。)により達成される。上記課題は、第3に水不溶性
銅化合物及び水可溶性銅化合物が所定のpH域において
1種の成分より形成されること(以下、第3発明とい
う。)により達成される。更に、上記課題は、第4に水
不溶性銅化合物の構造を特定すること(以下、第4発明
という。)により達成される。上記課題は、第5に水可
溶性銅化合物の構造を特定すること(以下、第5発明と
いう。)により達成される。
【0006】第1発明の銅の研磨に用いる化学機械研磨
用水系分散体は、被研磨面の銅を含有する表面に、水不
溶性銅化合物と水可溶性銅化合物を含有する膜を形成す
ることを特徴とする。
【0007】上記「水不溶性銅化合物」とは、本発明の
水系分散体を構成する水系媒体に不溶である銅化合物を
いい、この銅化合物はpH値に関係なく不溶であっても
よく、所定のpH域において不溶であってもよい。更
に、水不溶性銅化合物は2種以上が混在していてもよ
い。上記「水可溶性銅化合物」とは、同様な水系媒体中
において可溶である銅化合物をいい、この銅化合物はp
H値に関係なく可溶であっも、所定のpH域において可
溶であってもよい。更に、水可溶性銅化合物は2種以上
が混在していてもよい。
【0008】これらの不溶性銅化合物及び可溶性銅化合
物は、各々本発明の水系分散体中に配合されている成分
と、被研磨面に含まれる銅とが反応することにより形成
される化合物であってもよく、また、本発明の水系分散
体に含まれる成分に関係なく、pH等の条件によって、
被研磨面に含まれる銅が反応することにより形成される
Cu(OH)及びCu(OH)2等の化合物であっても
よい。水系分散体中に配合されている成分と反応するこ
とにより形成される化合物としては、炭素環化合物及び
ヘテロ環化合物等を挙げることができる。
【0009】これら水不溶性銅化合物及び水可溶性銅化
合物は、配線材料等である銅の表面に膜を形成し、酸化
剤等による孔食を防止する。この膜が水不溶性銅化合物
のみからなる場合は研磨速度を大きくすることが困難で
ある、しかし、水可溶性銅化合物が膜中に含有されるこ
とにより研磨速度を大きく向上させることができる。
【0010】第2発明は、銅の研磨に用いる化学機械研
磨用水系分散体において水不溶性銅化合物及び水可溶性
銅化合物が各々異なる成分より形成されることを規定す
るものである。
【0011】水不溶性銅化合物及び水可溶性銅化合物
は、第1発明におけると同様である。但し、これらの銅
化合物は、本発明の水系分散体中に配合されている「各
々異なる成分」により形成される。これら水不溶性銅化
合物及び水可溶性銅化合物は、配線材料等である銅の表
面に膜を形成し、酸化剤等による孔食を防止する。この
膜が水不溶性銅化合物のみからなる場合は研磨速度を大
きくすることが困難である、しかし、水可溶性銅化合物
が適度に膜中に含有されることにより研磨速度を大きく
向上させることができる。
【0012】このような水不溶性銅化合物を形成するこ
とのできる成分としては、例えば、複素環化合物の他、
クペロン、サリチルアルドキシム、システイン、p−ア
ミノベンズアルデヒド、ハロ酢酸及びドデシルメルカプ
タン等を挙げることができる。また、水可溶性銅化合物
を形成することのできる成分としては、例えば、アンモ
ニウムイオンの他、アンモニア、エチレンジアミン、グ
リシン、トリエタノールアミン、硫酸、ホスホン酸等の
化合物を挙げることができる。尚、アンモニウムイオン
は酸化剤等として添加する化合物より生成されるもので
あってもよい。
【0013】また、形成される水不溶性銅化合物及び水
可溶性銅化合物の割合は特に限定されないが、通常、水
可溶性銅化合物よりも水不溶性銅化合物の割合が多い方
が好ましい。この割合(水不溶性銅化合物/可溶性銅化
合物)は、モル比で2〜50であることが好ましく、2
〜10であることがより好ましい。
【0014】第3発明は、銅の研磨に用いる化学機械研
磨用水系分散体において水不溶性銅化合物及び水可溶性
銅化合物の混合物が、所定のpH域において、1種の成
分より形成されることを規定するものである。
【0015】上記「水不溶性銅化合物」及び上記「水可
溶性銅化合物」は、第1発明におけると同様である。但
し、これらの銅化合物は上記「1種類の成分」によりい
ずれもが形成される。これら水不溶性銅化合物及び水可
溶性銅化合物は第2発明におけると同様な効果を発揮す
る。
【0016】この形成される水不溶性銅化合物及び水可
溶性銅化合物の割合は特に限定されないが、通常、水可
溶性銅化合物よりも水不溶性銅化合物の割合が多い方が
好ましい。この割合(水不溶性銅化合物/可溶性銅化合
物)は、モル比で1〜50であることが好ましく、2〜
10であることがより好ましく、この割合はpHによっ
て制御することができる。
【0017】このように1種類の化合物より水不溶性及
び水可溶性の両方の銅化合物を形成することのできる化
合物としては、キノリン酸、トリプトファン等を挙げる
ことができる。
【0018】pHの調整は特に限定されないが、アルカ
リ金属の水酸化物或いはアンモニア、無機酸若しくは有
機酸を配合することにより行うことができる。アルカリ
金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等を使用
することができる。更に、無機酸としては硝酸、硫酸及
びリン酸等を、有機酸としてはギ酸、酢酸、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸及び安息香酸等を使用することがで
きる。尚、このpHを調整によって、同時に研磨粒子の
分散性及び安定性を向上させることもできる。
【0019】第4発明は、銅の研磨に用いる化学機械研
磨用水系分散体により形成される膜に含まれる水不溶性
銅化合物を規定するものである。この水不溶性銅化合物
としては、複素五員環部又は複素六員環部を備える縮合
環を有する化合物を挙げることができる。
【0020】上記「複素五員環部を備える縮合環を有す
る」水不溶性銅化合物は、複素五員環を備える縮合環化
合物(以下、単に「縮合環化合物」ともいう。)より形
成させることができる。また、上記「複素六員環部を備
える縮合環を有する」水不溶性化合物は、複素六員環を
備える縮合環化合物(以下、単に「縮合環化合物」とも
いう。)より形成させることができる。このような縮合
環化合物は銅に対する配位力が強く、水に不溶の銅錯体
を形成させることができる。特に、イミノ基、アミノ
基、オキシイミノ基、ニトロアミノ基、ニトロソアミノ
基、オキシアミノ基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、
メルカプト基、スルフィノ基、スルホ基、ヒドロキシル
基等のN、O及びSを有する官能基を備える縮合環化合
物は銅に対する配位力が大きいため好ましい。
【0021】このような複素五員環部を備える縮合環化
合物としては、例えば、トリアゾール、インドール、ベ
ンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾフラ
ン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチオフェン及びベンゾ
チアゾール等の誘導体化合物を挙げることができる。ま
た、複素六員環を備える縮合環化合物としては、例え
ば、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、ベンゾキノ
リン、ベンゾピラン及びベンゾオキサジンの誘導体化合
物を挙げることができる。中でも、キノリンの誘導体で
あるキナルジン酸、ベンゾトリアゾールの誘導体、ベン
ズイミダゾール及びトリアゾール等を使用することが好
ましい。
【0022】これらの化合物から形成される銅配線表面
に形成される膜の硬度は低く、研磨時にこの膜が粉砕さ
れることにより形成される水不溶性銅化合物からなる粒
子が研磨粒子として機能することは少ない。しかし、こ
の水不溶性銅化合物の粒子は研磨時に生じる被研磨面の
凹部に留められ、研磨粒子による、又は酸化剤による研
磨、浸食を抑制することができるものと考えられる。即
ち、凹部が過度に研磨されることを防止することができ
る。従って、特に、エロージョンの低い研磨面が得られ
る。
【0023】また、この膜が粉砕されることにより形成
される水不溶性銅化合物からなる粒子は、その一部が炭
素環化合物及びヘテロ環化合物等から形成されている場
合、これらに由来する疎水性部と、その炭素環化合物及
びヘテロ環化合物等が有するカルボキシル基、アミノ基
等の官能基に由来する親水性部とを同時に有する。この
ため、研磨パッドがウレタン等の疎水性の強い化合物か
ら形成され、また、親水性が高いために分散性に優れる
研磨粒子が水系分散体に含有される場合は、この研磨パ
ッドと研磨粒子を相互になじませることができ、研磨速
度を大きく向上させることができる。
【0024】第5発明は、銅の研磨に用いる化学機械研
磨用水系分散体により形成される膜に含まれる水可溶性
銅化合物を規定するものである。この水可溶性銅化合物
としては、アンミン錯体、クロロ錯体、アクア錯体及び
アクアアンミン錯体のうちの少なくとも1種を挙げるこ
とができる。
【0025】このような錯体を形成させることのできる
成分としては、アンモニア、水、エチレンジアミン、ア
ミノ酸、トリエタノールアミン及びホスホン酸類等を挙
げることができる。これらのうち特にアンモニア及びエ
チレンジアミンを使用することが好ましい。
【0026】本発明の水系分散体には、通常、シリカ、
アルミナ、ジルコニア及び/又はセリア等からなる研磨
粒子、過酸化水素、過硫酸アンモニウム等を含有する酸
化剤、pH調整剤としての酸性又はアルカリ性を水系媒
体中において呈する化合物等が含有される。これらの成
分、組成及び配合割合等は特に限定されず、公知の成分
のものを使用することができ、公知の組成及び配合割合
で使用することができる。更に、研磨粒子等の分散安定
性を向上させるために、カチオン系界面活性剤、アニオ
ン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の界面活性剤
を配合することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を詳
しく説明する。 (1)被研磨用基板の作製 銅配線が形成された被研磨用基板a シリコンからなる基板表面に、深さ1μmの溝で形成さ
れたパターンを備える絶縁層を積層した。次いで、絶縁
層の表面に300ÅのTiN膜を形成し、その後、Cu
をTiN膜で覆われた溝内にスパッタリングにより2μ
m堆積した。
【0028】銅配線が形成された被研磨用基板b シリコンからなる基板表面に、深さ1μmの溝で形成さ
れたパターンを備える絶縁層を積層した。次いで、絶縁
層の表面に300ÅのTaN膜を形成し、その後、Cu
をTaN膜で覆われた溝内にスパッタリング及びめっき
により1.3μm堆積した。
【0029】(2)水系分散体の調製 イオン交換水100重量部に、表1及び2に示す不溶性
銅化合物形成成分及び/又は可溶性銅化合物形成成分、
砥粒並びに酸化剤を、表1及び2に示す量ずつ混合し、
表1及び2に示すpHに調製して水系分散体A〜Hの8
種を得た。尚、表1及び2における砥粒のアルミナは、
ヒュームド法アルミナ粒子(デグサ社製、商品名「Al
minium Oxide C」)を表す。また、酸化
剤のKPSは過硫酸カリウム、APSは過硫酸アンモニ
ウムを表す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】(3)研磨 実施例1〜実施例7及び比較例1において、研磨条件は
以下のものとした。 研磨装置 : ラップマスターSFT社製、型式「LM
−15C」 研磨パッド : Rodel(米国)社製、商品名「I
C1000−050−(603)−(P)−S400
J」 キャリア荷重 : 300g/cm2 キャリア回転数 : 80rpm 定盤回転数 : 100rpm 研磨剤供給量 : 50ミリリットル/分 研磨時間 : 3分。
【0033】実施例1 被研磨用基板aを、水系分散体Aを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが8.5であり、キナルジン
酸を水不溶性銅化合物形成成分として、アンモニアを水
可溶性銅化合物形成成分として使用している。この結
果、Cuの研磨速度は5000Å/分であった。また、
100μm配線エロージョンは750Åであった。
【0034】実施例2 被研磨用基板bを、水系分散体Bを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが8.5であり、キナルジン
酸を水不溶性銅化合物形成成分として、過硫酸アンモニ
アから発生するアンモニウムイオンを水可溶性銅化合物
形成成分として使用している。この結果、Cuの研磨速
度は5500Å/分であった。また、100μm配線エ
ロージョンは660Åであった。
【0035】実施例3 被研磨用基板bを、水系分散体Cを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが8.0であり、キノリン酸
を水不溶性銅化合物及び水可溶性銅化合物の両化合物を
形成する成分として使用している。この結果、Cuの研
磨速度は4500Å/分であった。また、100μm配
線エロージョンは530Åであった。
【0036】実施例4 被研磨用基板bを、水系分散体Dを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが11.0であり、キノリン
酸を水可溶性銅化合物形成成分として使用している。ま
た、pHが高いために形成される水酸化銅が水不溶性銅
化合物となっている。この結果、Cuの研磨速度は47
00Å/分であった。また、100μm配線エロージョ
ンは600Åであった。
【0037】実施例5 被研磨用基板aを、水系分散体Eを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが5.1であり、キナルジン
酸を水不溶性銅化合物形成成分として、アンモニアを水
可溶性銅化合物形成成分として使用している。この結
果、Cuの研磨速度は3700Å/分であった。また、
100μm配線エロージョンは970Åであった。
【0038】実施例6 被研磨用基板aを、水系分散体Fを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが8.3であり、キナルジン
酸を水不溶性銅化合物形成成分として、エチレンジアミ
ンを水可溶性銅化合物形成成分として使用している。こ
の結果、Cuの研磨速度は4700Å/分であった。ま
た、100μm配線エロージョンは520Åであった。
【0039】実施例7 被研磨用基板bを、水系分散体Gを使用して研磨した。
この研磨においては、pHが8.3であり、ベンゾトリ
アゾールを水不溶性銅化合物形成成分として、アンモニ
アを水可溶性銅化合物形成成分として使用している。こ
の結果、Cuの研磨速度は5200Å/分であった。ま
た、100μm配線エロージョンは470Åであった。
【0040】比較例1 被研磨用基板aを水系分散体Hを使用して研磨した。こ
の研磨においては、pHが8.5であり、キナルジン酸
は水不溶性銅化合物形成成分として働くが、水可溶性銅
化合物を形成する成分が無い。このため、被研磨面に形
成される膜は水不溶性銅化合物のみからなるものと考え
られる。この結果、Cuの研磨速度は800Å/分であ
った。また、100μm配線エロージョンは500Åで
あった。
【0041】(4)評価 尚、上記研磨速度は以下の式より算出した。 研磨速度: 研磨速度(Å/分)=(研磨前の各膜の厚さ−研磨後の
各膜の厚さ)/研磨時間 (尚、各膜の厚さは、抵抗率測定器(NPS社製、型式
「Z−5」)を使用して、直流4針法によりシート抵抗
を測定し、この抵抗率と銅の抵抗率から次式に従い算出
した。 各膜の厚さ(Å)=シート抵抗値(Ω/cm2)×銅の
抵抗率(Ω/cm)×10-8) 更に、エロージョンの評価は、表面粗さ計(KLA−T
encor社製、型式「P−10」)を使用して測定し
た。
【0042】比較例1では可溶性銅化合物を形成するこ
とのできる成分を水系分散体中に添加していないため
に、100μm配線エロージョンは530Åと小さいも
のの、研磨速度は800Å/分と小さい。これに対し
て、実施例1〜7では、可溶性銅化合物及び不溶性銅化
合物の混合物が形成されているため、研磨速度を大幅に
大きくでき、且つ、エロージョンは小さく抑えることが
できることが分かる。
【0043】実施例2では、酸化剤として過硫酸アンモ
ニウムを使用することにより、酸化剤として機能する
他、発生するアンモニウムイオンにより水可溶性化合物
が形成される。実施例3及び4ではキノリン酸を使用し
ている。このキノリン酸は、水不溶性銅化合物及び水可
溶性銅化合物を形成するが、これらを形成することので
きるpH域はアルカリである。従って、同時に不溶性銅
化合物である水酸化銅が形成される。このような実施例
2、3及び4のような水系分散体は、調製は簡便であ
り、作業効率が良い。
【0044】このように、水不溶性銅化合物と水可溶性
銅化合物の混合物が形成されることにより、研磨速度は
3700〜5500Å/分と、比較例1の4.6〜6.
9倍と大きくすることができる。また、100μm配線
エロージョンは470〜970Åに抑えることができ
る。特に、実施例7では、研磨速度は5200Å/分と
大きく、且つ100μm配線エロージョンは470Åと
極めて小さくできることが分かる。
【0045】
【発明の効果】第1発明の水系分散体によると、水不溶
性銅化合物及び水可溶性銅化合物の両方を含有する膜が
形成されることにより、研磨速度を大きく向上させるこ
とができる。第2発明〜第5発明の水系分散体による
と、研磨速度を向上させることにくわえて、エロージョ
ンの低い研磨を行うことができる。これらの水系分散体
は半導体装置の製造過程において使用する研磨剤として
好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 博之 神奈川県横浜市磯子区新杉田8番地 株式 会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 元成 正之 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 服部 雅幸 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 川橋 信夫 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 3C058 AA07 DA02 DA12 DA17 5F043 AA26 BB18 BB30 DD16 DD30 FF07 GG10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅を含有する被研磨面に、水不溶性銅化
    合物と水可溶性銅化合物を含有する膜を形成することを
    特徴とする、銅の研磨に用いる化学機械研磨用水系分散
    体。
  2. 【請求項2】 上記水不溶性銅化合物及び上記水可溶性
    銅化合物は、各々異なる成分より形成される請求項1記
    載の銅の研磨に用いる化学機械研磨用水系分散体。
  3. 【請求項3】 上記水不溶性銅化合物及び上記水可溶性
    銅化合物は、該水不溶性銅化合物及び該水可溶性銅化合
    物の混合物として、所定のpH域において、1種の成分
    により形成される請求項1記載の銅の研磨に用いる化学
    機械研磨用水系分散体。
  4. 【請求項4】 上記水不溶性銅化合物は、複素五員環部
    又は複素六員環部を備える縮合環を有する請求項1乃至
    3のうちのいずれか項に記載の銅の研磨に用いる化学機
    械研磨用水系分散体。
  5. 【請求項5】 上記水可溶性銅化合物は、アンミン錯
    体、クロロ錯体、アクア錯体及びアクアアンミン錯体の
    うちの少なくとも1種である請求項1乃至4のうちのい
    ずれか1項に記載の銅の研磨に用いる化学機械研磨用水
    系分散体。
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