JP2001107206A - βチタン合金細線及びその製造方法 - Google Patents
βチタン合金細線及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来のβチタン合金細線にない低ヤング率
(しなやかさ)を有しながら、充分な強度をも兼ね備え
たβチタン合金細線及びその製造方法を提供すること 【解決手段】 線径Dが0.01〜2.0mmであるβチ
タン合金細線であって、横断面組織におけるβ相の平均
結晶粒面積Aが1〜80μm2 であり、縦断面組織にお
けるβ相の平均結晶粒長さLが10〜1000μmであ
り、L/√A=5〜1000である。
(しなやかさ)を有しながら、充分な強度をも兼ね備え
たβチタン合金細線及びその製造方法を提供すること 【解決手段】 線径Dが0.01〜2.0mmであるβチ
タン合金細線であって、横断面組織におけるβ相の平均
結晶粒面積Aが1〜80μm2 であり、縦断面組織にお
けるβ相の平均結晶粒長さLが10〜1000μmであ
り、L/√A=5〜1000である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度且つ低ヤン
グ率のβチタン合金細線及びその製造方法に関し、特
に、通信ケーブル用テンションメンバー、導電検査用の
プローブカードピン、金属製釣り糸等として好適に用い
ることができるβチタン合金細線及びその製造方法に関
する。
グ率のβチタン合金細線及びその製造方法に関し、特
に、通信ケーブル用テンションメンバー、導電検査用の
プローブカードピン、金属製釣り糸等として好適に用い
ることができるβチタン合金細線及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術および背景】チタンは常温で六方最密構造
(hcp、α組織)であるが、1158K以上では同素
変態して体心立方構造(bcc、β組織)になる。チタ
ンの密度は鉄の約60%であり、比強度(耐力/密度)
が金属の中で最も高く、ヤング率と熱膨脹係数はステン
レス鋼の約半分であり、比熱と電気および熱伝導度はA
l合金やMg合金に比べて著しく低く、化学的性質にお
いては酸化性環境に対して完全に耐食性であり、塩素イ
オンに対しても耐食性が優れている等の数々の優れた特
性を有しているので、冷却海水が流れる火力および原子
力発電所の熱交換器用伝熱管、海水淡水化装置、各種電
解用電極、石油精製プラントなど、各種の工業分野で広
く使用されている。
(hcp、α組織)であるが、1158K以上では同素
変態して体心立方構造(bcc、β組織)になる。チタ
ンの密度は鉄の約60%であり、比強度(耐力/密度)
が金属の中で最も高く、ヤング率と熱膨脹係数はステン
レス鋼の約半分であり、比熱と電気および熱伝導度はA
l合金やMg合金に比べて著しく低く、化学的性質にお
いては酸化性環境に対して完全に耐食性であり、塩素イ
オンに対しても耐食性が優れている等の数々の優れた特
性を有しているので、冷却海水が流れる火力および原子
力発電所の熱交換器用伝熱管、海水淡水化装置、各種電
解用電極、石油精製プラントなど、各種の工業分野で広
く使用されている。
【0003】係るチタン基の2元系平衡状態図は、α安
定型、β安定型、β共析型、α−β全率固溶体型の4種
類に分類され、α相領域を高温側に拡げてα−β変態点
を上昇させるα安定化元素(例えば、Al、Snなど)
や、β相領域を低温側に拡げてα−β変態点を低下させ
るβ安定化元素(例えば、V、Crなど)や、相安定性
に影響を及ぼさない中性的元素(例えば、Zr、Hfな
ど)の組合せによって得られるTi合金は、常温のミク
ロ組織を構成する相の結晶構造により、αTi合金(h
cp)、α+β型Ti合金(hcp+bcc)、βTi
合金(bcc)に大別できる。
定型、β安定型、β共析型、α−β全率固溶体型の4種
類に分類され、α相領域を高温側に拡げてα−β変態点
を上昇させるα安定化元素(例えば、Al、Snなど)
や、β相領域を低温側に拡げてα−β変態点を低下させ
るβ安定化元素(例えば、V、Crなど)や、相安定性
に影響を及ぼさない中性的元素(例えば、Zr、Hfな
ど)の組合せによって得られるTi合金は、常温のミク
ロ組織を構成する相の結晶構造により、αTi合金(h
cp)、α+β型Ti合金(hcp+bcc)、βTi
合金(bcc)に大別できる。
【0004】αTi合金は、チタンにα安定化元素を添
加して固溶硬化させた単相合金で、添加元素としてはチ
タンに対して大きな固溶度をもち、しかも、固溶強化能
が大きいアルミニウムが主に使われているので、高温で
の耐酸化性が優れているが、加工性がやや劣っている。
α+β型Ti合金は、α安定化元素とβ安定化元素を複
合添加することにより、常温でα相とβ相を共存させた
2相合金であり、代表的なα+β型Ti合金であるTi
−6Al−4Vは高比強度と高靱性を有するが、熱間加
工において加工条件を十分に制御しないと脆性を示すこ
とがある。
加して固溶硬化させた単相合金で、添加元素としてはチ
タンに対して大きな固溶度をもち、しかも、固溶強化能
が大きいアルミニウムが主に使われているので、高温で
の耐酸化性が優れているが、加工性がやや劣っている。
α+β型Ti合金は、α安定化元素とβ安定化元素を複
合添加することにより、常温でα相とβ相を共存させた
2相合金であり、代表的なα+β型Ti合金であるTi
−6Al−4Vは高比強度と高靱性を有するが、熱間加
工において加工条件を十分に制御しないと脆性を示すこ
とがある。
【0005】これらに対してβTi合金は、高温β相を
常温で完全に残留させた単相合金であり、冷間加工性に
優れ、熱処理により優れた強度と靱性が得られるので、
近年その研究が活発に行われている。例えば、Ti−1
5V−3Cr−3Sn−3Alでは、冷間圧延および溶
体化処理条件を最適化することにより、1.9GPaに
近い引張り強さと10%の伸びが得られたとの報告があ
る。そして、特開平11−71621号公報には、時効
処理前にβ相の加工集合組織を形成し、時効処理で析出
するα相の変態集合組織を制御することにより強度と延
性を高めたβ型チタン合金棒線に関する発明として、
「β型チタン合金棒線を、β変態点超の温度で溶体化処
理或いは熱間圧延した後、減面率30%以上の冷間加工
を加え、続いてβ変態点−100℃〜β変態点−10℃
の温度域で焼鈍した後、所定の形状に成形し、時効処理
することを特徴とする高強度・高延性β型チタン合金棒
線の製造方法」が開示されている(以下「従来のβチタ
ン合金棒線の製造方法」という)。
常温で完全に残留させた単相合金であり、冷間加工性に
優れ、熱処理により優れた強度と靱性が得られるので、
近年その研究が活発に行われている。例えば、Ti−1
5V−3Cr−3Sn−3Alでは、冷間圧延および溶
体化処理条件を最適化することにより、1.9GPaに
近い引張り強さと10%の伸びが得られたとの報告があ
る。そして、特開平11−71621号公報には、時効
処理前にβ相の加工集合組織を形成し、時効処理で析出
するα相の変態集合組織を制御することにより強度と延
性を高めたβ型チタン合金棒線に関する発明として、
「β型チタン合金棒線を、β変態点超の温度で溶体化処
理或いは熱間圧延した後、減面率30%以上の冷間加工
を加え、続いてβ変態点−100℃〜β変態点−10℃
の温度域で焼鈍した後、所定の形状に成形し、時効処理
することを特徴とする高強度・高延性β型チタン合金棒
線の製造方法」が開示されている(以下「従来のβチタ
ン合金棒線の製造方法」という)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のβチタン合金棒
線の製造方法によれば、減面率30%以上の冷間加工を
行うことによりβ相の加工集合組織を形成し、次いで、
β変態点−100℃〜β変態点−10℃の温度域での焼
鈍により、再結晶を抑制して加工集合組織のランダム化
を避けて加工硬化した棒線を軟化し、所定形状に成形し
た後、時効処理を行うことによりβ相中に微細なα相を
析出させて強度を高めることができる。
線の製造方法によれば、減面率30%以上の冷間加工を
行うことによりβ相の加工集合組織を形成し、次いで、
β変態点−100℃〜β変態点−10℃の温度域での焼
鈍により、再結晶を抑制して加工集合組織のランダム化
を避けて加工硬化した棒線を軟化し、所定形状に成形し
た後、時効処理を行うことによりβ相中に微細なα相を
析出させて強度を高めることができる。
【0007】このように、従来のβチタン合金棒線の製
造方法によれば、β型チタン合金棒線の強度を高めるこ
とは可能であるが、低弾性は得られない。従って、通信
ケーブル用テンションメンバー、導電検査用のプローブ
カードピン、金属製釣り糸等の低ヤング率(しなやか
さ)が要求される金属細線の製造に従来のβチタン合金
棒線の製造方法を適用することはできない。
造方法によれば、β型チタン合金棒線の強度を高めるこ
とは可能であるが、低弾性は得られない。従って、通信
ケーブル用テンションメンバー、導電検査用のプローブ
カードピン、金属製釣り糸等の低ヤング率(しなやか
さ)が要求される金属細線の製造に従来のβチタン合金
棒線の製造方法を適用することはできない。
【0008】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来
のβチタン合金細線にない低ヤング率(しなやかさ)を
有しながら、充分な強度をも兼ね備えたβチタン合金細
線及びその製造方法を提供することにある。
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来
のβチタン合金細線にない低ヤング率(しなやかさ)を
有しながら、充分な強度をも兼ね備えたβチタン合金細
線及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者は、βチタン合金細線の低ヤング率(しなや
かさ)に影響を及ぼす要因について研究した。その結
果、β相結晶粒の形状と大きさを特定することにより、
高強度と低ヤング率を兼ね備えたβチタン合金細線が得
られることを見いだし、本発明をなすに至った。
に本発明者は、βチタン合金細線の低ヤング率(しなや
かさ)に影響を及ぼす要因について研究した。その結
果、β相結晶粒の形状と大きさを特定することにより、
高強度と低ヤング率を兼ね備えたβチタン合金細線が得
られることを見いだし、本発明をなすに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明の要旨は、線径
が0.01〜2.0mmであるβチタン合金細線であっ
て、横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積Aが1〜
80μm2 であり、縦断面組織におけるβ相の平均結晶
粒長さLが10〜1000μmであり、L/√A=5〜
1000であることを特徴とするβチタン合金細線にあ
る。
が0.01〜2.0mmであるβチタン合金細線であっ
て、横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積Aが1〜
80μm2 であり、縦断面組織におけるβ相の平均結晶
粒長さLが10〜1000μmであり、L/√A=5〜
1000であることを特徴とするβチタン合金細線にあ
る。
【0011】本発明において、形状および大きさを特定
する各要因の限定理由は下記のとおりである。
する各要因の限定理由は下記のとおりである。
【0012】線径が0.01mmに満たない場合、実用的
な強度が得られない。また、線径が2.0mmを超える
と、低ヤング率ではあっても、しなやかさが損なわれ
る。
な強度が得られない。また、線径が2.0mmを超える
と、低ヤング率ではあっても、しなやかさが損なわれ
る。
【0013】横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積
Aが1μm2 に満たないものを伸線加工で得るのは極め
て困難であり、現実的でない。また、その平均結晶粒面
積Aが80μm2 を超えると、強度が低下するので好ま
しくない。
Aが1μm2 に満たないものを伸線加工で得るのは極め
て困難であり、現実的でない。また、その平均結晶粒面
積Aが80μm2 を超えると、強度が低下するので好ま
しくない。
【0014】縦断面組織におけるβ相の平均結晶粒長さ
Lが10μm未満であると、十分な強度が得られないと
いう欠点があり、一方、平均結晶粒長さLが1000μ
mを超える加工は困難である。
Lが10μm未満であると、十分な強度が得られないと
いう欠点があり、一方、平均結晶粒長さLが1000μ
mを超える加工は困難である。
【0015】平均結晶粒長さLと平均結晶粒面積Aの関
係について言えば、L/√A<5であれば、十分な強度
としなやかさが得られないという欠点があり、L/√A
>1000とする加工は困難である。
係について言えば、L/√A<5であれば、十分な強度
としなやかさが得られないという欠点があり、L/√A
>1000とする加工は困難である。
【0016】上記のように、線径、横断面組織における
β相の平均結晶粒面積A、縦断面組織におけるβ相の平
均結晶粒長さL及びL/√Aを本発明の特定範囲に限定
することにより、高強度で低ヤング率のβチタン合金細
線を提供することができる。
β相の平均結晶粒面積A、縦断面組織におけるβ相の平
均結晶粒長さL及びL/√Aを本発明の特定範囲に限定
することにより、高強度で低ヤング率のβチタン合金細
線を提供することができる。
【0017】本発明のβチタン合金細線を製造するに
は、冷間伸線前にβ変態点超の温度で溶体化処理を行
い、α相のない状態にすることにより冷間加工性を良好
にして冷間伸線を容易にすると共に冷間伸線でのβ相の
加工集合組織をより均一に形成することができる。
は、冷間伸線前にβ変態点超の温度で溶体化処理を行
い、α相のない状態にすることにより冷間加工性を良好
にして冷間伸線を容易にすると共に冷間伸線でのβ相の
加工集合組織をより均一に形成することができる。
【0018】βチタンは加工性に優れているが、一方、
凝着しやすい金属であり、伸線加工においてダイス表面
に対する凝着を避けるためには、伸線加工前に適度の酸
化被膜をβチタン合金線に施すことが好ましい。
凝着しやすい金属であり、伸線加工においてダイス表面
に対する凝着を避けるためには、伸線加工前に適度の酸
化被膜をβチタン合金線に施すことが好ましい。
【0019】伸線加工は、カセットローラダイスによる
伸線でも、孔ダイスによる伸線でもよい。
伸線でも、孔ダイスによる伸線でもよい。
【0020】なお、伸線加工後に適正な時効処理を施す
ことにより、β相中に微細なα相を析出させて強度を高
めることができる。時効温度は400〜600℃とし、
時効時間は1〜24時間とするのが好ましい。
ことにより、β相中に微細なα相を析出させて強度を高
めることができる。時効温度は400〜600℃とし、
時効時間は1〜24時間とするのが好ましい。
【0021】上記のような特徴ある結晶粒形状を有する
βチタン合金細線を得るには、総減面率70%以上の冷
間伸線加工が必要であり、90%以上が好ましいが、9
9%を超えると加工硬化が大きすぎて脆くなるので好ま
しくない。
βチタン合金細線を得るには、総減面率70%以上の冷
間伸線加工が必要であり、90%以上が好ましいが、9
9%を超えると加工硬化が大きすぎて脆くなるので好ま
しくない。
【0022】通信ケーブル用テンションメンバー、導電
検査用のプローブカードピン、金属製釣り糸等の金属細
線の線径は、0.01〜2.0mmのものが多く、本発明
の方法で製造しうる線径0.01〜2.0mmのβチタン
合金細線はこれらの用途の金属細線として好適に用いる
ことができる。
検査用のプローブカードピン、金属製釣り糸等の金属細
線の線径は、0.01〜2.0mmのものが多く、本発明
の方法で製造しうる線径0.01〜2.0mmのβチタン
合金細線はこれらの用途の金属細線として好適に用いる
ことができる。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例とともに説明
する。850℃で10分間溶体化処理したTi−15V
−3Cr−3Sn−3Al(β変態点は約760℃)の
βチタン合金線を、700℃の酸素含有雰囲気下で加熱
してそのβチタン合金線に酸化被膜を形成し、次いで、
ローラダイスによる伸線後、孔ダイスを用いて、0.5
mmまで伸線し、さらに、時効処理を施し、β相中に微細
なα相を析出させた。 各実施例および比較例の溶体化
処理直後の線径D(mm)、450℃における時効時間
(hr)、横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積A
(μm2 )、縦断面組織におけるβ相の平均結晶粒長さ
L(μm)、L/√A、冷間伸線加工の総減面率
(%)、引張り強さ(kgf/mm2)およびヤング率(kgf
/mm2)を以下の表1に示す。なお、各実施例および比
較例のβチタン合金線の冷間伸線加工後の線径Dは全て
0.5mmに統一し、それぞれ冷間伸線加工後に450℃
で1〜24時間の範囲で時効処理を施してある。
する。850℃で10分間溶体化処理したTi−15V
−3Cr−3Sn−3Al(β変態点は約760℃)の
βチタン合金線を、700℃の酸素含有雰囲気下で加熱
してそのβチタン合金線に酸化被膜を形成し、次いで、
ローラダイスによる伸線後、孔ダイスを用いて、0.5
mmまで伸線し、さらに、時効処理を施し、β相中に微細
なα相を析出させた。 各実施例および比較例の溶体化
処理直後の線径D(mm)、450℃における時効時間
(hr)、横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積A
(μm2 )、縦断面組織におけるβ相の平均結晶粒長さ
L(μm)、L/√A、冷間伸線加工の総減面率
(%)、引張り強さ(kgf/mm2)およびヤング率(kgf
/mm2)を以下の表1に示す。なお、各実施例および比
較例のβチタン合金線の冷間伸線加工後の線径Dは全て
0.5mmに統一し、それぞれ冷間伸線加工後に450℃
で1〜24時間の範囲で時効処理を施してある。
【0024】また、本発明のA、Lならびに線径Dの意
味について具体的に図で説明すると、図1の概念図に示
すとおりであり、Gは各結晶粒を示す。
味について具体的に図で説明すると、図1の概念図に示
すとおりであり、Gは各結晶粒を示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示すように、本実施例1〜3のβチ
タン合金細線は、いずれも、引張り強さおよびヤング率
ともに、通信ケーブル用テンションメンバー、導電検査
用のプローブカードピン、金属製釣り糸等の要求レベル
を満足しており、本発明のβチタン合金細線はこれらの
技術分野の金属細線として好適に用いることができる。
タン合金細線は、いずれも、引張り強さおよびヤング率
ともに、通信ケーブル用テンションメンバー、導電検査
用のプローブカードピン、金属製釣り糸等の要求レベル
を満足しており、本発明のβチタン合金細線はこれらの
技術分野の金属細線として好適に用いることができる。
【0027】しかし、比較例1は、冷間伸線加工時の総
減面率が小さすぎるので、L/√Aが本発明の範囲の下
限を下回り、引張り強さが低い。
減面率が小さすぎるので、L/√Aが本発明の範囲の下
限を下回り、引張り強さが低い。
【0028】また、比較例2は、減面率ゼロで冷間伸線
加工を行った後に、450℃で24時間時効処理を行っ
て、微細なα相を析出させて強度向上を図ったものであ
るが、冷間伸線加工時の総減面率がゼロであるために、
横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積Aが本発明の
範囲の上限を上回り、L/√Aが本発明の範囲の下限を
下回り、ヤング率が高すぎる。
加工を行った後に、450℃で24時間時効処理を行っ
て、微細なα相を析出させて強度向上を図ったものであ
るが、冷間伸線加工時の総減面率がゼロであるために、
横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積Aが本発明の
範囲の上限を上回り、L/√Aが本発明の範囲の下限を
下回り、ヤング率が高すぎる。
【0029】
【発明の効果】本発明は上記のとおり構成されているの
で、以下の効果を奏する。 (1)請求項1記載の発明によれば、通信ケーブル用テ
ンションメンバー、導電検査用のプローブカードピン、
金属製釣り糸等の金属細線に好適に用いることができ
る、高強度且つ低ヤング率のβチタン合金細線を提供す
ることができる。 (2)請求項2記載の発明によれば、通信ケーブル用テ
ンションメンバー、導電検査用のプローブカードピン、
金属製釣り糸等の金属細線に好適に用いることができ
る、高強度且つ低ヤング率のβチタン合金細線の製造方
法が示される。
で、以下の効果を奏する。 (1)請求項1記載の発明によれば、通信ケーブル用テ
ンションメンバー、導電検査用のプローブカードピン、
金属製釣り糸等の金属細線に好適に用いることができ
る、高強度且つ低ヤング率のβチタン合金細線を提供す
ることができる。 (2)請求項2記載の発明によれば、通信ケーブル用テ
ンションメンバー、導電検査用のプローブカードピン、
金属製釣り糸等の金属細線に好適に用いることができ
る、高強度且つ低ヤング率のβチタン合金細線の製造方
法が示される。
【図1】βチタン合金細線の長手方向の一部を示す拡大
斜視図である。
斜視図である。
D…線径 A…横断面組織におけるβ相の平均結晶粒面積 L…縦断面組織におけるβ相の平均結晶粒長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 683 C22F 1/00 683 694 694A 694B
Claims (2)
- 【請求項1】 線径が0.01〜2.0mmであるβチタ
ン合金細線であって、横断面組織におけるβ相の平均結
晶粒面積Aが1〜80μm2 であり、縦断面組織におけ
るβ相の平均結晶粒長さLが10〜1000μmであ
り、L/√A=5〜1000であることを特徴とするβ
チタン合金細線。 - 【請求項2】 βチタン合金よりなる線材を溶体化処理
し、次いで、溶体化処理後のβチタン合金線材に酸化被
膜を形成し、さらに、総減面率70〜99%で冷間伸線
加工を施すことにより、線径が0.01〜2.0mmであ
るβチタン合金細線を製造する方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28400699A JP2001107206A (ja) | 1999-10-05 | 1999-10-05 | βチタン合金細線及びその製造方法 |
US09/655,949 US6402859B1 (en) | 1999-09-10 | 2000-09-06 | β-titanium alloy wire, method for its production and medical instruments made by said β-titanium alloy wire |
EP00307786A EP1083243A3 (en) | 1999-09-10 | 2000-09-08 | Beta titanium wire, method for its production and medical devices using beta titanium wire |
US10/120,716 US6800153B2 (en) | 1999-09-10 | 2002-04-11 | Method for producing β-titanium alloy wire |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28400699A JP2001107206A (ja) | 1999-10-05 | 1999-10-05 | βチタン合金細線及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001107206A true JP2001107206A (ja) | 2001-04-17 |
Family
ID=17673084
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28400699A Pending JP2001107206A (ja) | 1999-09-10 | 1999-10-05 | βチタン合金細線及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001107206A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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- 1999-10-05 JP JP28400699A patent/JP2001107206A/ja active Pending
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