JP2001105014A - 金属帯の調質圧延における形状制御方法 - Google Patents

金属帯の調質圧延における形状制御方法

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JP2001105014A
JP2001105014A JP27969699A JP27969699A JP2001105014A JP 2001105014 A JP2001105014 A JP 2001105014A JP 27969699 A JP27969699 A JP 27969699A JP 27969699 A JP27969699 A JP 27969699A JP 2001105014 A JP2001105014 A JP 2001105014A
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temper rolling
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Yukihiro Matsuura
征浩 松浦
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に、2Hi圧延機のように形状制御アクチ
ュエータを持たない調質圧延ラインにおいて、大幅な設
備投資を必要とせずに、圧延荷重が変動しても、優れた
形状の金属帯を安定して圧延可能な調質圧延における形
状制御方法を提供する。 【解決手段】 冷間圧延後焼鈍された金属帯に、気体を
混合し微細な液滴とした調質圧延剤を吹き付けて調質圧
延を行うに際し、金属帯の伸び差率が幅方向に均一にな
るように、調質圧延剤の吹き付け量の幅方向分布を調整
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷間圧延後焼鈍され
た金属帯の調質圧延方法に関し、特に中伸びや端伸びな
どの形状不良を抑制し、形状が良好な金属帯を安定して
製造することができる金属帯の調質圧延における形状制
御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、冷間圧延された鋼帯は、焼鈍
後、伸び率が0.5%〜3.0%程度の冷間加工を行う
いわゆる調質圧延が施される。調質圧延方法には、圧延
油等の潤滑油を用いるいわゆるウエット圧延と潤滑油を
用いないドライ圧延がある。この調質圧延の目的は、焼
鈍後の鋼帯の降伏点伸びの消去、形状矯正ならびに表面
性状の調整等であるが、形状矯正は製品の基本的品質を
決定するために重要である。
【0003】調質圧延の形状矯正法としては、ロール撓
みによるロール間隙の変化を各種アクチュエータによっ
て補償する方法が主流であり、特に油圧によりワークロ
ールに曲げ変形を与えるロールベンダ方式が最も一般的
である。その他に中間ロールシフト機能を有する6Hi
ミルや油圧によるクラウン可変機能をバックアップ(B
UR)に備えた4HiVCミル等が用いられている。
【0004】しかし、これらのアクチュエータを持たな
い圧延機、あるいは2Hi式圧延機等では、ワークロー
ルに予めイニシャルクラウンを付与することで形状矯正
が実施される。特に、ステンレス鋼帯の調質圧延では、
高い表面光沢が要求されるため、通常、直径が700m
m程度の大径のワークロールを備えた2Hi圧延機が用
いられる。このような圧延機では、ロールベンダなどの
形状制御アクチュエータを仮に設置しても、胴長に対し
ロール径が大きく、制御効果が期待できない。従って、
ステンレス鋼帯の調質圧延における形状矯正は、イニシ
ャルクラウンの付与で対応しているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】イニシャルクラウンの
付与で最適な形状を得るためには、鋼種、寸法、設定の
伸び率が変わる度にワークロールを交換し、イニシャル
クラウンを最適化することが必要となる。
【0006】しかし、このような方式では、 1)多くのロールを保有する必要がある、 2)ロール替え・ロール研磨が頻繁となり、生産性が低
下する、 3)調質圧延での形状矯正能力の不足を後工程のレベラ
で補うことは可能であるが、レベラでは鋼帯表裏面は拘
束せずに引張り変形を加えるため、鋼帯表裏面が自由変
形しやすく、冷間圧延・調質圧延工程で確保した表面光
沢が劣化する、といった問題が発生する。
【0007】更に、上記方式では、圧延加減速による荷
重変動などが発生した場合の形状不良には対応ができな
いという問題がある。
【0008】本発明の課題は、特に、2Hi圧延機のよ
うに形状制御アクチュエータを持たない調質圧延ライン
において、大幅な設備投資を必要とせずに、圧延荷重が
変動しても、優れた形状の金属帯を安定して圧延可能な
調質圧延における形状制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】ところで、本発明者ら
は、特開平8−215706号公報で、調質圧延剤と気
体とを混合して平均径で30μm以下の液滴として吹き
付け、1パスの圧延により高伸び率で高光沢度を得るこ
とができるステンレス鋼帯の調質圧延方法を提示した。
【0010】本発明者らは、上記課題を解決するため、
上記公報に開示した調質圧延方法に基づく形状矯正方法
を検討し、下記の知見を得た。
【0011】a.微細な液滴とした調質圧延剤(単に、
調質圧延剤ともいう)の吹き付け量を幅方向に変更する
ことにより、被圧延材に付着する調質圧延剤の量(以
下、付着量ともいう)が幅方向に変化して伸び率が幅方
向に変わる。したがって、調質圧延剤の吹き付け量を幅
方向に変更して調質圧延を行うことにより形状矯正が可
能である。なお、従来のウェット圧延では、潤滑油の吹
き付け量の幅方向分布を変更しても潤滑油が幅方向に流
れ広がるために、付着量を幅方向に変化させることはで
きない。
【0012】図1は、調質圧延剤の吹き付け量の幅方向
分布を変更して調質圧延したときの被圧延材の形状を伸
び差率の幅方向分布として調質圧延剤を吹き付けないド
ライ圧延と比較して吹き付け量の幅方向分布とともに模
式的に示すグラフで、同図(a)はドライ圧延の場合、
同図 (b) は調質圧延剤の吹き付け量を幅方向に均一に
して噴射した場合、同図 (c) は吹き付け量を板中央部
に多く、端部で少なくした場合、同図 (d) は逆に吹き
付け量を板中央部で少なく、端部で多くした場合であ
り、何れもロールはイニシャルクラウンを付与しないフ
ラットロールとしている。
【0013】なお、伸び差率(Δε)は、調質圧延後の
鋼帯形状から以下のように定義される。 Δε=2.47×λ2 但し、λ=H/L、 λ:急峻度、H:波高さ、L:1波長ピッチ 同図(a)〜(d)は、圧延荷重が同一であると仮定す
ると、ロールの撓み変形・扁平変形は同一となるため、
ロールギャッププロフィールは何れも同一の中高形状と
なる。
【0014】ドライ圧延では、図1(a)に示すよう
に、板中央部に比べ両端部の伸びが大きい、端伸び状態
となる。微細な液滴を吹き付けて圧延を行う場合、幅方
向に均一に吹き付けると、ロールと被圧延材との間の摩
擦係数が低下するため、幅方向全体に伸び率が上昇する
が、図1 (b) に示すように、伸び率分布の不均一性は
残り、端伸び状態となる。両端部に比べ板中央部への吹
き付け量を多くして圧延を行うと、両端部に比べ板中央
部の摩擦係数が小さくなり、中高のギャッププロフィル
に起因する端伸びが抑制され、図1(c)に示すよう
に、伸び差率が幅方向に均一化され板形状はフラットと
なる。これに対し、両端部に比べ板中央部への吹き付け
量を少なくすると、図1 (d) に示すように、端伸びが
助長される。
【0015】b.微細な液滴とした吹き付けられた調質
圧延剤は、ロールバイト入口で油溜りを形成せず、板と
ともに出側に運び出される。従って、吹き付け量を変化
させればそのまま付着量が変化し、潤滑状態を極めて短
時間で変更することができる。なお、従来のウェット圧
延では、ロールバイト入口に油溜まりが形成されてお
り、仮に、圧延中に吹き付けを停止しても、ロールと被
圧延材との間の潤滑状態を変更するのには長時間を要す
る。
【0016】c.ノズルの間隔やノズルの個数などノズ
ル配置を適正化することにより、ノズル同士の干渉を防
ぎ幅方向の所定の位置のみの付着量を変化させることが
できる。従って、1/4幅部(幅中央部と端部との中間
位置)が伸びるクオータバックルなどの複合的な伸び不
均一の抑制も可能である。
【0017】d.調質圧延機の出側で平坦度(急峻度)
を測定し、測定した平坦度から伸び差率の幅方向分布を
求め、その伸び差率の幅方向分布に基づき吹き付け量を
幅方向に変更することにより形状の制御が可能である。
すなわち、相対的に伸び差率が小さい部分には吹き付け
量を増大し、あるいは、相対的に伸び差率が大きい部分
には吹き付け量を減少する。
【0018】本発明は、上記の知見に基づき完成された
もので、その要旨は以下の通りである。
【0019】(1)冷間圧延後焼鈍された金属帯に、気
体を混合し微細な液滴とした調質圧延剤を板幅方向に設
けた複数のノズルで吹き付けておこなう調質圧延に際
し、該調質圧延により生じる金属帯の伸び差率が幅方向
に均一になるように、上記ノズルによる吹き付け量の幅
方向分布を調整することを特徴とする金属帯の調質圧延
における形状制御方法。
【0020】(2)上記調質圧延を2Hi圧延機で行う
ことを特徴とする上記(1)項に記載の金属帯の調質圧
延における形状制御方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、金属帯を鋼帯として説明す
る。図2は、本発明方法を実施する調質圧延設備例を模
式的に示す概要図で、符号1は調質圧延機、2はワーク
ロール、3はノズル、4は鋼帯、5は気体圧設定装置、
6は液圧設定装置、7、8はブライドルロールである。
【0022】図2に示すように、上下にワークロール2
を有する調質圧延機1の入側に複数のノズル3を幅方向
に設置し、各ノズル3に調質圧延剤と気体とを混合して
微細な液滴とした調質圧延剤を鋼帯4に噴射して調質圧
延を行う。
【0023】上記調質圧延において、本発明の方法は、
調質圧延により生じる鋼帯の伸び差率が幅方向に均一に
なるように、調質圧延剤の吹き付け量の幅方向分布を幅
方向に調整して行うことを特徴とする。
【0024】調質圧延剤とは、調質圧延時のワークロー
ルと鋼帯との潤滑に用いられる液であり、通常は有機系
潤滑剤を数%〜10数%の濃度で水と混合させた水溶液が
用いられる。液滴径は30μm以下とするとよい。ま
た、調質圧延剤に混合される気体は、通常、空気が用い
られる。
【0025】調質圧延剤を鋼帯に噴射する位置は、調質
圧延機の入側の鋼帯表面やワークロール表面とするのが
よい。この際、隣合ったノズルから噴射される調質圧延
剤が互いに干渉しないように、隣接するノズルの間隔や
ノズルと鋼帯との距離を決めるのがよい。
【0026】図示例では、調質圧延機として、2Hi圧
延機を示したが、本発明は特に圧延機の型式に限定され
るものでなく、例えば、ワークロールとバックアップロ
ールを備えた4段圧延機であっても、また、ワークロー
ルとバックアップロール以外に中間ロールを備えた6段
圧延機でもよい。特に、本発明の方法は大径のワークロ
ールを有する2Hi圧延機を備えた調質圧延装置に適用
すると好適である。
【0027】図3は、本発明を模式的に説明する伸び差
率と吹き付け量の幅方向分布を示すグラフで、同図の
(a)は本発明を実施する前の例えばドライ圧延を実施
した際の伸び差率の分布、(b)は本発明を実施する際
の吹き付け量の分布、(c)は本発明方法を実施した後
の伸び差率の分布を示す。
【0028】図3のケースAにおいて、(a)の中伸び
形状の鋼帯に対し、(b)に示すように、板中央部に比
べ両端部における調質圧延剤の吹き付け量を大きくして
圧延を行うことにより、(c)に示すように、伸び差率
を幅方向に均一にすることができる。また、図3のケー
スBにおいて、(a)の端伸び形状の鋼帯に対し、
(b)に示すように、両端部に比べ板中央部における調
質圧延剤の吹き付け量を大きくして圧延を行うことによ
り、(c)に示すように、伸び差率を幅方向に均一にす
ることができる。
【0029】すなわち、調質圧延剤の吹き付け量の幅方
向分布を変更することにより、伸び歪みの幅方向分布の
変更が可能となり、従って形状の制御が可能となる。上
記例は、中伸びと端伸びの発生を防止するものである
が、吹き付け量の幅方向分布を適宜変更することによ
り、複合的な伸び不均一による形状不良も防止すること
ができる。
【0030】次に、本発明の実施態様例を下記の3ケー
スで説明する。 1.板厚の異なる材料を圧延する場合:調質圧延での伸
び率は寸法によらず、鋼種によって狙い値が決められる
場合が一般的である。従って、板幅・材質が同じ場合で
も板厚が変われば、同一伸び率を得るための圧延荷重は
変化する。先行材をほぼフラットな断面形状で圧延した
後、板厚が異なる後行材の圧延に際しては、圧延荷重が
変化するため、従来はイニシャルクラウンの異なるロー
ルとの交換が必要になる。しかし、本発明の方法によれ
ば、板厚が異なる材料の圧延に際しても、調質圧延剤の
吹き付け量の幅方向分布を変更するのみで形状をフラッ
トに保つことができる。従って、イニシャルクラウン変
更のためのロール替えは不要となる。
【0031】2.同一コイル内で圧延速度が低速から高
速に変化する場合:低速圧延時にフラット形状になるよ
うに凸状のイニシャルクラウンが付与されたロールを用
いて高速圧延を行うと、ロールたわみが増大するため、
低速圧延時に平坦であった鋼帯は端伸び形状となる。す
なわち、圧延速度の上昇とともに、材料の変形抵抗が増
大する。特に焼鈍後の鋼帯は変形抵抗の歪み速度依存性
が著しく大きく、圧延速度の上昇は変形抵抗の上昇、即
ち圧延荷重の増大を招き、その結果、上記端伸び形状と
なる。しかし、このような場合、本発明方法によれば、
両端部に対し中央部への調質圧延剤の吹き付け量を増や
すことで平坦な形状を確保することができる。
【0032】逆に、高速圧延時にフラット形状となるよ
うに凸状のイニシャルクラウンが付与されたロールを用
いると、低速圧延では中伸びの形状不良が発生する。こ
のような場合、本発明方法によれば、板の中央部に対し
て両端部の吹き付け量を増やすことで平坦な形状を確保
することができる。
【0033】また、低速圧延から高速圧延に移行する
際、あるいは高速圧延から低速圧延に移行する際の加減
速圧延時においても、圧延荷重の変化に伴い形状不良が
発生しやすいが、このような場合においても、本発明に
よれば、調質圧延剤の吹き付け量を幅方向に変更するこ
とにより平坦な形状を確保することができる。
【0034】3.局部的な伸びの不均一がある場合:冷
間圧延工程までにおいて板に局所的な変形抵抗の変化、
あるいは板厚の変化等があれば、その部分だけが局所的
に伸びる、といった現象が発生する。このような現象に
対して、従来のアクチュエータでは対処できなかった。
しかし、本発明方法によれば、伸びの大きな部分のみ調
質圧延剤の吹きつけを止めることで、伸びを幅方向に均
一化させることができる。逆に、局所的に伸びない部分
があれば、その部分にのみ調質圧延剤を吹き付けること
により、伸びを幅方向に均一化することができる。
【0035】次に本発明の方法における吹き付け量の調
整方法について説明する。
【0036】図4は、本発明方法において液圧と気体圧
とを変化させたときの調質圧延剤の吹き付け量と液滴径
の変化を模式的に示すグラフである。
【0037】図4から、液滴径を適正な範囲に保ちなが
ら、液圧と気体圧とを変更することにより吹き付け量を
調整することができることがわかる。したがって、吹き
付け量の幅方向分布を変更するには、幅方向に設けた複
数のノズルの液圧と気体圧を調節すればよい。
【0038】図5は、本発明に使用するノズルの例を示
す断面図である。符号3はノズル、10は第1噴射管、
11は第2噴射管、12は調質圧延剤、13は気体、1
4は液滴である。図5に示すように、ノズル3は、その
内部に調質圧延剤を噴射する第2噴射管11、その外側
に気体を噴射する第1噴射管10を有する2重管構造
で、調質圧延剤12に気体13を混合し微細な液滴14
として噴射することができる。なお、以下、上記構造の
ノズルを2重管ノズルともいう。
【0039】尚、本発明は、同一圧延機で種々の寸法・
鋼種の鋼帯を圧延する場合や圧延速度を変更する場合に
適用すると好適である。本発明は、ステンレス鋼板ばか
りでなく、鋼板一般に適用可能である。
【0040】
【実施例】(実施例1)図2に示す構成の装置を用い、
コイルX(鋼種:SUS430-2D 、サイズ:板厚0.4mm
×板幅1000mm)とコイルY(鋼種:SUS430-2D 、
サイズ:板厚0.3mm×板幅1000mm)の調質圧
延を両コイルとも狙い伸び率を0.7%として実施し
た。調質圧延機は直径700mmのワークロールを備え
た2Hi圧延機であり、ワークロールにはロール端部に
比べロール中央部の直径が0.02mm大きい凸状のイ
ニシャルクラウンを付与したロールを用いた。なお、こ
のイニシャルクラウン量は、調質圧延剤を吹き付けない
で調質圧延を行ういわゆるドライ圧延を実施したとき
に、コイルXで平坦な形状が得られるように設定した値
である。また、圧延機の入側の上下には、調質圧延剤を
微細な液滴として噴射する図5に示す構造の開口径0.
2mmのノズルをそれぞれ幅方向に5個づつ上下対称の
位置に配置した。
【0041】図6は、ノズルの配置を模式的に示す圧延
機入側上部の正面図である。符号A〜Eはノズル、2は
ワークロール、4−1はコイルである。なお、圧延機入
側下側にも、図6と同様にしてA〜Eのノズルを設け
た。
【0042】図6に示すように、ノズルは、ノズル間隔
を250mm、ノズル−コイル間距離を400mmと
し、ノズル開口部を鋼帯に垂直に向けて設けた。調質圧
延剤には有機系潤滑剤を10重量%含む水溶液を、気体
には空気を用いた。圧延速度は100m/分で一定とし
た。
【0043】先ず、コイルXを対象にドライ圧延を行
い、圧延により得られたコイルの形状を調査した。
【0044】図7は、調質圧延後のコイルXの形状を伸
び差率で表したグラフである。図7に示すように、コイ
ルXではほぼフラットな形状が得られた。
【0045】次いで、コイルYを対象に、板中央部に設
けたCノズルからの吹き付け量を両端部に設けたAとE
ノズルに比べ多くし調質圧延剤を吹き付け圧延を行い、
上記と同様にコイルの形状を調査した。なお、比較例と
して、ドライ圧延も実施した。
【0046】上記吹き付け量の調整は、粒径を28〜3
0μmの範囲で、空気圧と液圧を調節することにより行
った。表1に各ノズルの吹き付け条件を示す。
【0047】
【表1】
【0048】図8は、調質圧延後のコイルXの形状を伸
び差率で表したグラフで、同図(a)は本発明例におけ
る伸び差率と吹き付け量の幅方向分布、同図(b)は比
較例における伸び差率の幅方向分布である。
【0049】図8 (a) に示すように、本発明例では幅
方向に伸び差率がほぼ一様で、ほぼフラットな良好な形
状が得られた。一方、比較例では、図8(b)に示すよ
うに、板中央部に比べ両端部の伸びが大きな端伸び形状
となった。すなわち、比較例ではコイルXに比べ板厚が
薄くなった分、ロールの扁平変形が増大し、圧延荷重が
上昇するために、ロールのたわみが増大したためと推察
される。一方、本発明例では、ロールたわみは同様に増
大するが、板中央部の摩擦係数が両端部に比べ小さくな
るため、たわみ増大に伴う伸び歪みの幅方向不均一が解
消されたものと考えられる。
【0050】(実施例2)実施例1と同様に図2ならび
に図6に示す構成の装置を用い、SUS430のコイル
(板幅1000mm×板厚0.3mm)の調質圧延中
に、圧延速度を30mpm(以下、低速圧延ともいう)
から150mpm(以下、高速圧延ともいう)に変更す
る試験を実施した。ワークロールには、平均直径が70
0mmで、ロール端部に比べロール中央部の直径が0.
03mm大きい凸状のイニシャルクラウンを付与したロ
ールを用いた。なお、このイニシャルクラウン量は、調
質圧延剤を吹き付けないで調質圧延を行ういわゆるドラ
イ圧延の低速圧延を実施したときに、平坦な形状が得ら
れるように設定した値である。低速圧延のときはドライ
圧延とし、高速圧延にした際に調質圧延剤を微細な液滴
として吹き付けた。なお、比較例として調質圧延剤を吹
き付けないドライ圧延による高速圧延も実施した。表2
に吹き付け条件を示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2に示すように、吹き付けは、粒径が3
0μmで、板中央部に設けたCノズルからの吹き付け量
を両端部に設けたAおよびEノズルに比べ多くした。
【0053】図9は低速圧延時の伸び差率の幅方向分布
を示すグラフである。図10は高速圧延時の伸び差率と
吹き付け量の幅方向分布を示すグラフで、同図(a)は
比較例における伸び差率の幅方向分布、同図(b)は本
発明例における伸び差率と吹き付け量の幅方向分布であ
る。
【0054】図9に示すように、低速圧延時には伸び差
率は幅方向にほぼ一様であった。図10(b)に示すよ
うに、本発明例では、高速圧延時においても伸び差率が
幅方向にほぼ一様で、平坦形状の良好なコイルが得られ
た。一方、比較例では、図10(a)に示すように、板
中央部に比べ両端部の伸び差率が大きいいわゆる端伸び
形状となった。比較例では、歪み速度の増大にともな
い、圧延荷重が増大してロールたわみが大きくなり形状
が悪化したが、本発明例では、ロールたわみは同様に増
大するが、板中央部の摩擦係数が両端部に比べ小さくな
るため、たわみ増大に伴う伸び歪みの幅方向不均一が解
消されたものと考えられる。
【0055】次に、高速圧延時にフラット形状となるよ
うに、ロール端部に比べロール中央部の直径が0.04
mm大きい凸状のイニシャルクラウンを付与したワーク
ロールを用いて調質圧延を行った。低速圧延時には板中
央部に設けたCノズルを除く他のノズル(A、B、D、
E)から吹き付けを行い、低速から高速への加速時には
これらのノズル(A、B、D、E)からの吹き付け量を
徐々に減少し、高速圧延時にはドライ圧延として調質圧
延を実施した。なお、比較例として、低速圧延から高速
圧延のすべての速度領域でドライ圧延とした試験も実施
した。
【0056】図11は、圧延速度パターンと伸び差率の
幅方向分布ならびに吹き付け量パターンを模式的に示す
グラフで、同図(a)は比較例、同図(b)は本発明法
を適用した場合である。
【0057】図11(b)に示すように、圧延速度に応
じて幅方向の吹き付け量を変更することにより、全長に
わたりフラットな形状を保つことが可能となった。一
方、図11(a)に示すように、比較例では、低速圧延
ならびに加速圧延時に中伸び形状となり、別ラインでの
矯正が必要となった。
【0058】(実施例3)ワークロール径400mm、
バックアップロール径1500mmでチョック当たり2
0tonのベンダを備え、圧延機入側の上下にそれぞれ
5個の図5に示す構造の2重管ノズルを幅方向に等間隔
(ノズル間隔:300mm)で配置した4段式の調質圧
延機でC:0.1wt%の普通鋼(SPCC)のコイル
(板幅1500mm、板厚0.2mm)を0.8%の設
定伸び率でブライト仕上げの調質圧延を行い、圧延後の
コイル形状ならびにコイル表面光沢を調査した。上記圧
延の際には、2重管ノズルからの吹き付け量を幅方向に
変化させた。なお、比較例としてドライ圧延ならびに従
来のウエット圧延(調質圧延剤を微細な液滴とせずに全
幅に吹き付け)とを実施した。表3に圧延条件と品質の
調査結果を示す
【0059】
【表3】
【0060】表3に示すように、本発明例は比較例1、
2に比べ、平坦度が良好であり、かつ光沢度が高く、極
めて良好な品質であった。一方、ドライ圧延を実施した
比較例1は、ベンダを使用することで、端伸びは解消さ
れたが、クオーターバックルが発生して形状不良であっ
た。また、比較例2では、荷重が低くなるため、形状の
崩れは小さいが、ブライト品として要求される表面光沢
に劣る結果となった。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、圧延荷重など圧延条件
が変化しても、ロール交換を伴うことなく形状ならびに
光沢に優れた金属帯を安定して圧延することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】調質圧延剤の吹き付け量を幅方向に変化させて
調質圧延したときの形状を伸び差率の幅方向分布として
ドライ圧延と比較して模式的に示すグラフで、同図
(a)はドライ圧延の場合、同図(b)は調質圧延剤の吹
き付け量を幅方向に均一にして噴射した場合、同図(c)
は吹き付け量を板中央部に多く、端部で少なくした場
合、同図(d)は逆に吹き付け量を板中央部で少なく、端
部で多くした場合を示す。
【図2】本発明方法を実施する調質圧延設備例を模式的
に示す概要図である。
【図3】本発明を模式的に説明する伸び差率と吹き付け
量の幅方向分布を示すグラフで、同図の(a)は本発明
を実施する前の例えばドライ圧延を実施した際の伸び差
率の分布、(b)は本発明を実施する際の吹き付け量の
分布、(c)は本発明方法を実施した後の伸び差率の分
布を示す。
【図4】本発明方法において液圧と気体圧とを変化させ
たときの調質圧延剤の吹き付け量と液滴径の変化を模式
的に示すグラフである。
【図5】本発明に使用するノズルの例を示す断面図であ
る。
【図6】ノズルの配置を模式的に示す圧延機入側上部の
正面図である。
【図7】調質圧延後のコイルXの形状を伸び差率で表し
たグラフである。
【図8】調質圧延後のコイルXの形状を伸び差率で表し
たグラフで、同図(a)は本発明例における伸び差率と
吹き付け量の幅方向分布、同図(b)は比較例における
伸び差率の幅方向分布である。
【図9】低速圧延時の伸び差率の幅方向分布を示すグラ
フである。
【図10】高速圧延時の伸び歪みと吹き付け量の幅方向
分布を示すグラフで、同図(a)は比較例における伸び
歪みの幅方向分布、同図(b)は本発明例における伸び
歪みと吹き付け量の幅方向分布である。
【図11】圧延速度パターンと伸び差率の幅方向分布な
らびに吹き付け量パターンを模式的に示すグラフで、同
図(a)は比較例、同図(b)は本発明法を適用した場
合である。
【符号の説明】
1:調質圧延機、2:ワークロール、3:ノズル、4:
鋼帯、4−1:コイル、5:気体圧設定装置、6:液圧
設定装置、10:第1噴射管、11:第2噴射管、1
2:調質圧延剤、13:気体、14:液滴。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷間圧延後焼鈍された金属帯に、気体を
    混合し微細な液滴とした調質圧延剤を板幅方向に設けた
    複数のノズルで吹き付けておこなう調質圧延に際し、該
    調質圧延により生じる金属帯の伸び差率が幅方向に均一
    になるように、上記ノズルによる吹き付け量の幅方向分
    布を調整することを特徴とする金属帯の調質圧延におけ
    る形状制御方法。
  2. 【請求項2】 上記調質圧延を2Hi圧延機で行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の金属帯の調質圧延におけ
    る形状制御方法。
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