JP2001099573A - ロータリーキルン式溶融炉 - Google Patents

ロータリーキルン式溶融炉

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JP2001099573A JP27751399A JP27751399A JP2001099573A JP 2001099573 A JP2001099573 A JP 2001099573A JP 27751399 A JP27751399 A JP 27751399A JP 27751399 A JP27751399 A JP 27751399A JP 2001099573 A JP2001099573 A JP 2001099573A
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裕美 持田
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昭善 辰亥
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉内で生成する流動体に含まれる有価金属の
溶融メタルを溶融スラグと分離した状態で排出し回収す
るロータリーキルン式溶融炉の提供。 【解決手段】 ロータリーキルンの排出部開放端に円環
形の排出堰を付設すると共に、当該排出堰の外周縁近傍
位置に溶融メタルの排出口を設け、排出堰の内周側の開
放縁に溶融スラグの排出口を設けたロータリーキルン式
溶融炉。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はロータリーキルン式
溶融炉、さらに詳しくは炉内で生成された溶融メタルを
溶融スラグから分離した状態で排出して回収することが
できるようにしたロータリーキルン式溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融炉による高温溶融処理は、産業廃棄
物を処理する有効な方法としてその評価を高めており、
溶融炉の一つとしてロータリーキルンを用いたロータリ
ーキルン式溶融炉も提供され利用されている。この溶融
処理は、自動車のシュレッダーダストや廃家電品など金
属を含有する産業廃棄物を溶融してスラグ化するもので
あるが、Cuなどの有価金属を各種含むにも拘らず、こ
れまでその回収と有効利用は十分に図られていなかっ
た。これは、溶融炉から排出して水砕したスラグを選別
し含有金属を回収する従来の炉外回収作業が経済的に引
き合わなかったことによるものと考えられる。この点、
溶融炉内で生成した溶融メタルを炉内で分離して排出さ
せることができれば、経済的負担は大きく低減するもの
と予測される。また、溶融炉の中でも排出部へ向かって
傾斜したロータリーキルンは、排出部に流動体を滞留さ
せ溶融メタルと溶融スラグに分離するにも適しているも
のと推定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術に徴
しても、ロータリーキルン式溶融炉の炉内で溶融メタル
を溶融スラグと分離し、この溶融メタルを溶融スラグと
分離された状態で排出して回収する方法や装置に関する
提案を見出すことはできなかった。本発明はかかる問題
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、炉
内で生成する流動体に含まれる有価金属の溶融メタルを
溶融スラグと分離した状態で排出し回収することができ
るロータリーキルン式溶融炉を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決し目的を達成するため、以下の構成とした。請求項
1記載の発明は、ロータリーキルンの排出部開放端に外
径を適合させた円環形の排出堰を付設すると共に、当該
排出堰の外周縁近傍位置に溶融メタルの排出口を設け、
排出堰の内周側の開放縁に溶融スラグの排出口を設け
た、ことを特徴とする。これは、ロータリーキルンの排
出部に生成した流動体を溶融メタルと溶融スラグとに比
重分離する滞留部を形成すると共に、ロータリーキルン
の回転に伴って溶融メタルと溶融スラグの各別の分離位
置に定時的に照応する専用の排出口を与えたもので、溶
融メタルの分離回収を確保するものである。請求項2記
載の発明は、前記溶融メタルの排出口と溶融スラグの排
出口とがロータリーキルンの回転軸線の軸対称位置に配
設されている、ことを特徴とする。これは、溶融メタル
の排出口と溶融スラグの排出口を空間的に離隔し、溶融
スラグの排出によって妨げ或いは損ねられる虞のない溶
融メタルの安定的な回収を確保するものである。請求項
3記載の発明は、ロータリーキルンの排出部に外壁の外
径と内壁の内径を拡張した湯溜り部を設けた、ことを特
徴とする。これは、容積の大きな湯溜り部を形成して、
流動体の安定した滞留と分離を図ったものである。請求
項4記載の発明は、ロータリーキルンの内壁の耐火物と
してMgOを主成分とするマグネシア系耐火材を用い
た、ことを特徴とする。これは、溶融炉の耐久性向上を
図ったものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図1乃至図4に基づいて説明する。図1に示す通
り、本実施形態に係るロータリーキルン1は、その基本
的な構成に於いては従来例と同様で、中空円筒形の炉を
基部Aから排出部Bに僅かに傾斜させて設置し、基部A
側から投入された廃棄物Wを炉の回転と傾斜によって排
出部B方向へ送りながら、溶融メタルMと溶融スラグS
からなる溶融状態の流動体Fとするものである。
【0006】但し、本実施形態では、このロータリーキ
ルン1の排出部Bに炉の内部で生成し流下する流動体F
を溶融状態で滞留させる湯溜り部1aを形成すると共
に、排出部Bの開放端に排出堰2を付設し、当該排出堰
2に相互に独立した溶融メタルMの排出口2aと溶融ス
ラグSの排出口2bとを設けた。湯溜り部1aは、ロー
タリーキルン1排出部Bの外壁1bの外径と内壁1cの
内径を拡張して十分な容積の滞留部を構成するよう形成
しており、その排出端縁に収容堰を設けることなく開放
端としている。排出堰2は、湯溜り部1aによって拡張
されたロータリーキルン1の排出部B開放端に適合する
外径を有し、中央部を切り欠いた耐火物からなる円環形
の閉止板であって、ロータリーキルン1と共に回転する
よう取付固定されている。また、当該排出堰2板面の外
周縁近傍位置に溶融金属Mの排出口2aを開口すると共
に、内周側の開放縁に溶融スラグSの排出口をなす凹溝
部2bを穿設し、この排出口2aと凹溝部2bとをロー
タリーキルン1の回転軸線の軸対称位置に配設した。
【0007】尚、上記の円環形をなす排出堰2の板面方
向の幅と内周側開放縁に設ける凹溝部2bの位置は、湯
溜り部1aに滞留させる流動体Fの量を勘案・計算して
設定している。同様に、溶融メタルMの排出口2aの開
口面積も、湯溜り部1aに比重分離する溶融メタルMの
量を勘案・計算して設定した。また、ロータリーキルン
1の内壁1cと排出堰2には、耐火材として塩基性マグ
ネシア系煉瓦、具体的にはマグネシア・クロミア系煉瓦
(MgO−Cr2O3煉瓦)を用いている。
【0008】本実施形態に係るロータリーキルン1の構
成は以上の通りであり、以下に説明する如く、溶融炉内
で生成した溶融状態の流動体Fから有価金属の溶融メタ
ルMを溶融スラグSと分離した状態で排出する。即ち、
ロータリーキルン1内に投入された廃棄物Wは、炉の回
転によって基部Aから排出部B方向へ送られながら溶融
状態の流動体Fとなり、図3及び図4に示す通り、排出
部Bの開放端に付設された排出堰2にせき止められる形
で湯溜り部1aに滞留し、その比重差によって下層の溶
融メタルMと上層の溶融スラグSに分離する。なお、こ
の湯溜り部1aは、ガスバーナー、重油バーナー、電気
抵抗等の補助熱源が付いていることが望ましい。
【0009】尚、この比重分離に当たっては、溶融スラ
グSが高粘度で分離が円滑に進まない場合もあり得る。
このような場合には、溶融スラグSの塩基度(CaO/
SiO2重量比)を調整して溶融温度を下げ、分離性を
改善することができる。具体的には、石灰石、消石灰、
CaOを含む中和沈澱物や他の製造工程で得られるCa
Oに富むスラグなど、CaOを含むスラグ溶融剤をロー
タリーキルン1に添加して塩基度を0.35〜1.35
の範囲内に調整し、スラグの溶融温度を1360℃以下
にする。これにより、溶融スラグSの流動性が増して溶
融メタルMとの分離も良好になる。また、このスラグ溶
融剤を添加した場合、溶融スラグSの塩基度が高くなる
ので、ロータリーキルンの内壁の浸食を防ぐため、耐火
物としてMgOを主成分とするマグネシア系耐火材を利
用することが好ましい。
【0010】ここで、ロータリーキルン1の回転に伴っ
て回転する排出堰2の外周縁近傍位置には、溶融メタル
Mの排出口2aが開口されている。したがって、当該排
出口2aは、図3に示す如く、自らが描く回転軌跡の下
端部に位置する時、湯溜り部1aの下層に分離した溶融
メタルMの沈澱位置と照応し、その開口から分離された
溶融メタルMを排出する。同様に、排出堰2の内周側開
放縁に穿設された凹溝部2bもロータリーキルン1の回
転に伴って回転する関係にある。したがって、凹溝部2
bは、図4に示す如く、その回転軌跡の下端部に位置
し、上層に分離した溶融スラグSの表面位置と照応する
時、分離された溶融スラグSを炉外に溢出させる。この
ように、本実施形態に係るロータリーキルン1は、自ら
の連続回転によって、溶融金属Mと溶融スラグSとを、
相互に独立した別個の排出口2a、2bから、分離され
た各別の状態で、一定の時間間隔をおいて交互に定時的
に排出することができる。
【0011】特に、本実施形態に於いては、前記排出口
2aと凹溝部2bとをロータリーキルン1の回転軸線の
軸対称位置に配設しているため、そのいずれか一方が回
転軌跡の下部位置に到来して排出状態にある時、他方は
回転軌跡の上端部位置を占めて排出不能な関係におかれ
る。(図3、図4) このように排出口2aと凹溝部2bとが空間的に離隔さ
れ、溶融メタルMの排出時に溶融スラグSの排出が起き
得ない構成となっているため、溶融メタルMの排出を安
定的に確保することができる。また、両者の排出を等し
い時間間隔で交互に反復させる効果もある。尚、以上の
ように専用の排出口である2a、2bから各別に排出さ
れた溶融メタルMと溶融スラグSは、それぞれ専用に用
意された貯留水槽3a、3bに投入し急冷して水砕する
ことで容易に回収できる。
【0012】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、以下に掲げる効果を奏する。 (1)請求項1記載の発明によれば、ロータリーキルン
の排出部に流動体を滞留させて比重分離すると共に、溶
融メタルと溶融スラグの各別の分離位置に定時的に照応
する専用の排出口を設けているので、有価金属の溶融メ
タルを溶融スラグと分離した状態で排出して回収するロ
ータリーキルン式溶融炉を提供することができる。 (2)請求項2記載の発明によれば、溶融メタルの排出
時に溶融スラグが排出されないよう構成しているので、
溶融メタルの回収を安定的に確保することができる。 (3)請求項3記載の発明によれば、流動体を分離させ
るに適した容積の大きな滞留部を得ることができる。 (4)請求項4記載の発明によれば、溶融炉の耐久性を
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係るロータリーキルンの概略構成
を示す断面図。
【図2】 実施形態に係るロータリーキルンの排出堰の
構成を示す正面図。
【図3】 実施形態に於ける湯溜り部と溶融メタルの排
出口との関係を示す説明図。
【図4】 実施形態に於ける湯溜り部と溶融スラグの排
出部との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1 ロータリーキルン 1a 湯溜り部 1b 外壁 1c 内壁 2 排出堰 2a 溶融メタルの排出口 2b 溶融スラグの排出口 3 貯留水槽 3a 溶融メタルの貯留水槽 3b 溶融スラグの貯留水槽 F 流動体 M 溶融メタル S 溶融スラグ W 廃棄物 A 基部 B 排出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻野 文彦 香川県香川郡直島町4049番地1 三菱マテ リアル株式会社直島製錬所内 Fターム(参考) 3K061 AA07 AB03 AC20 CA01 CA02 CA12 DA15 DB11 DB12 DB19 DB20 KA02 KA09 KA15 KA24 KA25 4K061 AA09 BA12 CA23 CA29 DA01 FA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータリーキルンの排出部開放端に円環
    形の排出堰を付設すると共に、当該排出堰の外周縁近傍
    位置に溶融メタルの排出口を設け、排出堰の内周側の開
    放縁に溶融スラグの排出口を設けた、ことを特徴とする
    ロータリーキルン式溶融炉。
  2. 【請求項2】 前記溶融メタルの排出口と溶融スラグの
    排出口とがロータリーキルンの回転軸線の軸対称位置に
    配設されている、ことを特徴とする請求項1記載のロー
    タリーキルン式溶融炉。
  3. 【請求項3】 ロータリーキルンの排出部に内壁の内径
    を拡張した湯溜り部を設けた、ことを特徴とする請求項
    1又は2記載のロータリーキルン式溶融炉。
  4. 【請求項4】 ロータリーキルンの内壁の耐火物として
    MgOを主成分とするマグネシア系耐火材を用いた、こ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロー
    タリーキルン式溶融炉。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012008453A1 (ja) * 2010-07-12 2012-01-19 住友重機械工業株式会社 ロータリーキルン及び金属回収方法
US8485815B2 (en) 2008-05-13 2013-07-16 Harper International Corporation Overhung rotary tube furnace

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US8485815B2 (en) 2008-05-13 2013-07-16 Harper International Corporation Overhung rotary tube furnace
WO2012008453A1 (ja) * 2010-07-12 2012-01-19 住友重機械工業株式会社 ロータリーキルン及び金属回収方法

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