JP2001098280A - オレフィン製造用炭化水素分解炉の脱コークス化中に排出物中のコークスダストを大幅に減らす方法および装置 - Google Patents

オレフィン製造用炭化水素分解炉の脱コークス化中に排出物中のコークスダストを大幅に減らす方法および装置

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JP2001098280A JP2000058384A JP2000058384A JP2001098280A JP 2001098280 A JP2001098280 A JP 2001098280A JP 2000058384 A JP2000058384 A JP 2000058384A JP 2000058384 A JP2000058384 A JP 2000058384A JP 2001098280 A JP2001098280 A JP 2001098280A
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ピッチオッティ マルチェッロ
Dario Beltrame
ベルトラーメ ダリオ
Cintio Roberto Di
ディ チンティーオ ロベルト
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】炭化水素分解炉の脱コークス化中に、気体排出
物中のコークダストを大幅に減らす方法及び装置を提供
する。 【解決手段】本発明による炭化水素分解炉の脱コークス
化排出物中のコークスダストを減らす装置は、排出物を
凝縮させる手段と、凝縮液を捕集する手段と、該凝縮液
を濾過する手段と、凝縮させることができない残留蒸気
と気体とをコークスから適切に濾過された同じ凝縮液を
使用することにより洗浄する手段とを備え、濾過された
凝縮液が後続の大気中への放出のために入力脱コークス
化気体の熱含量を使用することにより蒸発させられる。
本発明による炭化水素分解炉の脱コークス化排出物中の
コークスダストを減らす方法は、脱コークス化からの気
体排出物中の固形物成分を、該気体排出物からの凝縮液
の濾過と、含まれている凝縮させることができない気体
と蒸気との洗浄とにより除去することからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン製造
用、特にエチレン製造用炭化水素分解炉の脱コークス化
中に、気体排出物中のダストの乾燥含有量が気体1Nm
あたり50mg未満で、処理すべきその他の液体および/
または固体排出物が存在しない状態で、排出煙道ガスお
よび蒸気中のコークスダストを大幅に減らす方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン製造用炭化水素分解炉の放熱
部のチューブの内側は、運転中に発生する非常に硬い炭
素付着物により汚れ、従って、炭素付着物をいわゆる
「脱コークス化」により定期的に除去しなければならな
いことは公知である。かかる炭素付着物は、工程の温度
により成長するものであって、該工程温度は典型的には
850〜870℃の範囲であり、炉が清浄化された状態でのコ
イルのスキン温度が950〜980℃である。運転中に、上記
温度は、上記付着物のために次第に上昇し、1110〜1150
℃の最大値に達する。この時点で、炉は「脱コークス
化」のために停止しなければならない。
【0003】脱コークス化作業は、燃焼温度を700〜800
℃の範囲に保つよう注意しつつ、空気および蒸気により
制御された燃焼によりコークスを除去することからな
る。かかる作業は非常にデリケートなものであり、チュ
ーブの材料を損傷させることになるために、コークスの
燃焼が速すぎることのないよう注意しつつ、徐々に行わ
れる。この目的のために、脱コークス化は当初は蒸気に
より開始されるが、蒸気は徐々に減らされ、好ましくは
以降の3段階で、燃焼を支援する空気に代えられる。
【0004】作業の開始時には、コークスを破砕および
/または粉砕するコイルの材料の熱収縮によりコイルの
内部表面からのほとんど機械的なコークスの除去が行わ
れ、その結果、ある一定のサイズのコークススケールが
排出物中に存在することになる。かかるコイルの収縮が
起こるのは、脱コークス化温度が通常の運転温度よりも
本質的に低いからである。燃焼が始まると、燃焼ガス中
の粒子のサイズは次第に小さくなり、排出物中の酸素含
有率は低下し、一方、COは増加する。
【0005】燃焼が継続し、コークスの除去がほぼ終了
した時には、空気の量は増加し、排出物中のCOは減
少し始める。排出物中で測定されたCOが気体の総体
積に関して0.5%未満になったら、脱コークス化は終了
したとみなすことができる。約805〜810℃の空気とコー
クスと煙道ガスとの混合物は、反応ガスを急冷し、好ま
しくない反応を防止するために、120バール程度の非常
に高い圧力で蒸気を発生させる熱交換器の中を通過させ
られる。脱コークス化中には、かかる熱交換器、いわゆ
る「急冷ボイラ」のジャケットには水が満たされてい
る。かかる交換器の中を通過する時に、蒸気の混合物は
340〜350℃に急冷され、その後に、サイクロンの中を通
過し、その結果、気体は大気中に放出される前にコーク
ス粒子から逃げ出すことになる。
【0006】3つの異なる脱コークス段階中の小型炉お
よび中型炉(25,000t/年および50,000t/年)の場合の
気体および固体排出物の典型的な組成と流速とが下記の
表1、2および3に示してある。現在までのところ、イ
タリアの基準は、気体排出物中の固体含有量は総体積
(蒸気プラス気体)1Nmあたり30mg未満でなければ
ならないと定めている。将来は欧州規則として採用され
るであろうと考えられる欧州数カ国の規則は、排出物中
の最大許容コークス含有量は乾燥気体1Nmあたり50
mg未満とすると定めている。
【0007】下記の表4および5は、能力が各25,000t
/年および50,000t/年の炉の場合の総排出物量に関し
て許容される上記の規定値と等価の最大コークスダスト
含有量を示したものである。現在の技術はより大きな能
力(最大120,000t/年)の炉の製造を可能にしており、
これらの炉について類似の表を示すこともできる。より
厳しい規則が最大許容コークスダスト含有量をこれまで
の10〜20分の1と大幅に低下させている。これから
は、蒸気中で許容されるのは、これまでの規則による3
0mg/Nmではなく、1.5〜3mg/Nmである。
【0008】実際に、コークス粒子を脱コークス化ガス
から除去するための適当な装置の必要性はすでにずっと
前から当業者には公知であったが、しかしながら、かか
るデリケートな作業でさえも本質的には炉を清浄化する
ための不連続なメンテナンス作業であるとみなされてい
たために、設計者の注目を集めることにはならなかっ
た。事実、脱コークスは、油分解炉の場合が60〜70
日毎、気体分解炉の場合が80〜120日毎に必要とな
るにすぎない。もし分解温度をより低くし、蒸気希釈比
(蒸気の重量と炭化水素の重量との比)を従来の比より
も、典型的には、エタンの場合0.25〜0.30、バージンナ
フサの場合0.45〜0.55、より重い炭化水素のバッチの場
合0.60〜0.80または1.0よりも大きくすることが可能で
あれば、或る脱コークス化作業と次回の脱コークス化作
業との間の期間はさらに長くなる。
【0009】除去すべきコークスの性質は、気体状バッ
チの場合はより金属的で、非常に重いバッチの場合はよ
り瀝青質で、タール状で、軟らかい炭化水素の性質に大
きく左右される。ところで、現在のところ、市場には、
かかる用途について評価を受け、限定的な投資コスト
と、全体寸法の縮小と、簡単な取り扱いと、メンテナン
スの減少とを保証してくれる技術はまだ提供されていな
い。事実、新しい規則により、最大保持率99.9%でも、
前記の規則により定められた1.5〜3mg/Nmではなく、
20mg/Nmしか達成できない従来のサイクロンを脱コ
ークス化排出物中に設置した分解プラントは非合法とな
る。
【0010】従って、本発明は、頑丈で、融通性があ
り、特に汚れたり、腐食したり、詰まったりすることが
なく、しかも、前記のように、脱コークス化段階中に異
なる性質と形態とを有する気体排出物から分離すべき固
体含有物の特性がもたらす困難な問題にもかかわらず、
脱コークス化中に排出物中に含まれた石炭ダストを大幅
に減らすことが可能である装置を提供しようとするもの
である。
【0011】その他の技術よりも好ましい実施例を示し
た添付図面を参照した下記の記載から、本発明に対する
理解が深まることになるであろう。該実施例は本発明を
限定するものではない。記載された装置および技術は、
気体により運ばれる石炭ダストを、上記の規則が要求す
る値まで大幅に減らすことを可能にする。
【0012】特に、本発明は、多数の代替的解決策と比
較し創出されたものであり、その結果は表T1およびT
2に示してある。表T1及びT2において、実験番号7
は本発明であり、実験番号1〜6及び8〜10は代替的
解決策である。これらの表から明らかなのは、本発明が
いかなる観点からも最適の結果をもたらしているという
ことである。コークスの付着を防止するために、最新の
分解技術では、セラミックコーティングまたは材料から
なるコイルのライニングが実際に提供されている。ま
た、化学イオウ組成の添加によりコークスの付着を減ら
すことを目的としたその他の技術が開発中であり、特
に、例えばジメチルジスルフィド等のエタン/プロパン
のような気体炭化水素に関して開発中である。
【0013】これまでに多くの反対者が現れたにもかか
わらず、脱コークス化蒸気と煙道ガスとを燃焼室の内部
に運び、そこでコークスを最終的に除去するという傾向
がいまだに存在している。しかしながら、これには、放
熱エリアと対流エリアの双方における浸食や汚れの問
題、煙道ガス中の黒色粒子の存在等のような問題点があ
る。かかる問題点をなくすために、特にヨーロッパにお
いては、水スクラバーを使用する傾向があるが、しかし
ながら、水スクラバーはダスト除去効率が低く、特に空
気から水に汚染を運び、その結果、水処理の問題が生じ
ることになる。最後に、洗浄の効率を高めるために、高
い投資コストと、さらには、ポンピング手段の提供コス
トと冷却水のような運転流体のコストとをかけて、蒸気
の全ての凝縮させる傾向がある。
【0014】炭素粒子による汚染に加えて、蒸気飽和気
体が周辺住民に不安と不快感をもたらす大きな白煙を室
温で発生させることから、脱コークス化排出物が無視で
きない視覚的影響を与えることにも注意しなければなら
ない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脱コークス
化煙道ガス中のコークスダストを減らすために現在使用
されているシステムに見られる問題点の全てを解消する
だけではなく、コイルのライニングや燃焼室の内部での
燃焼のような上記の技術を適用することができない古い
プラントの問題をも解消する。さらに、世界の既存のエ
チレン生産用プラントは、公知の技術を適用することが
できない施設よりなるものであり、従って、本発明は、
エチレン生産用プラントの分解炉から出る脱コークス化
排出物の処理に伴う問題を最終的に解決することができ
るのである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、コークスを分
離するための排出物の凝縮と凝縮物の濾過とをベースに
している。凝縮することができないものは、いったん濾
過され、冷却されて蒸発器のジャケット内で冷却剤とし
て使用される凝縮液蒸発生成物とともに大気中に放出さ
れる前に、濾過された凝縮液により洗浄される。
【0017】
【発明の実施の形態】第1図の線図は、凝縮と、すでに
濾過されそして外部冷却器内で冷却された濃縮液の(気
体の熱含量により支援された)後続の蒸発とを作動原理
とする「自熱分離器(autothermal separator)」と呼ば
れる装置を示したものである。固形物成分はフィルタか
ら回収される。
【0018】本発明の明らかな効果は下記のとおりであ
る: − 液体排出物、すなわち、処理すべき黒色水の完全な
除去; − フィルタにより捕捉された固形物の取り扱いシステ
ムの簡素化; − 視覚的影響なし(大気中に放出される煙道ガスと蒸
気とが非常に高温); − サービス流体の消費量が極めて少ない; − 低投資コスト; − 限られた設計寸法; − 完全自動運転; − 捕集されたコークスは乾燥しており、そのままで、
すなわち、コークスダストとして使用することもできる
し、黒鉛炭素の含有率が高いために、別の用途向けに運
搬することもできる。この装置はコークスを完全に分離
および乾燥し、プラントに入る気体混合物と同量の気体
と蒸気とが大気中に逃げることを可能にする。
【0019】第1図の線図を参照すると、本発明による
自熱分離器は、凝縮器/蒸発器の機能を果たす垂直管巣
交換器(vertical tube nest exchanger)E-1を含むもの
であって、該交換器は水平タンクV-1の一端に配置され
ており、該水平タンクは、コークスを含む凝縮液を捕集
するための、ガスと凝縮液との分離器の機能を有するも
のであり、該水平タンクの他端に垂直洗浄塔T-1が備え
られている。
【0020】ライン1を高速(40〜50m/s)で流れる煙
道ガス/蒸気/コークスは、凝縮器/蒸発器E-1の高温
ヘッドの中に上から流入し、該凝縮器/蒸発器内には、
交換器の管巣分配器(tube nest distributer)を固形物
粒子から保護するために穿孔プレートが設けられてい
る。交換器E-1を通過する時に、大量の蒸気が管巣の内
部表面上で凝縮し、それによって下降固形物の速度を落
とし(slow down)、該下降固形物は、タンクV-1内に捕集
された凝縮液中に捕捉され、ポンプP-1によりライン
2、フィルタF-1およびライン3を経て冷却器E-2に送ら
れる。コークスは、フィルタF-1の垂直フィルタパネル
に付着する一方、凝縮液は、冷却器E-2のジャケットで
冷却された後、ライン4によって蒸発器E-1のジャケッ
トに流れ込む。蒸発器E-1の低温管の中を通過する時
に、脱コークス化ガスは凝縮し、水がジャケットから蒸
発する。固形物の大部分を内部に捕捉している凝縮液
は、凝縮液の分離器タンクV-1内に捕集される。
【0021】実際、凝縮器E-1の管の内部表面上で凝縮
する脱コークス化ガスの蒸気は、ガスに対して速度が遅
くなり、固形物と衝突しそして捕捉される液体層を形成
する。コークスを含む凝縮液は、入ってくる高温煙道ガ
スの固体−気体混合物からの凝縮液を受け取るタンクV-
1に向かって下向きにスピードアップされる。凝縮液内
に捕捉されたコークスの固形物粒子は、蒸発器/凝縮器
E-1の下に配置された凝縮液タンクV-1の底で層状化す
る。
【0022】タンク/分離器V-1の内部で凝縮させるこ
とができない気体と蒸気とは、凝縮液から分離され、洗
浄塔T-1に流れ、洗浄塔において向流の中で洗浄され
る。F-1内で濾過され、E-2内で冷却された凝縮液の一部
は、ライン6に配置された制御バルブv-4により流速を
制御されて再び塔に送られる。気体洗浄と蒸気のさらな
る凝縮とは、塔T-1内で行われる。システムの凝縮液の
総量は、凝縮器/蒸発器E-1の管内で生成された凝縮液
の量と塔内で生成された凝縮液の量との合計に等しい。
凝縮されなかった蒸気は、ベントバルブv-1を経て蒸発
器E-1のジャケットに戻り、大気中に放出される前に高
温煙道ガスにより過熱される。
【0023】システムの圧力は、タンクV-1の上方の洗
浄塔T-1の圧力コントローラPCによって制御される。タ
ンクV-1によってコントロールバルブv-2が作動される。
該コントロールバルブv-2は、E-1からV-1までのライン
5の越流せきの流れを絞り、ライン7内の塔T-1のベン
トバルブv-1を開く。該ベントバルブv-1は、装置に入る
気体・蒸気混合物と同量の気体・蒸気混合物を、凝縮器
E-1のジャケットとパイプ9とを経て大気中に放出す
る。
【0024】分離器内に入ってくる混合物は蒸発器の管
巣の下の分離器V-1内の液面を上昇させるものであり、
該混合物により生成された凝縮物はポンプP-1により吸
引され、ライン2によってコークスの分離のためにフィ
ルタF-1に送られる。濾液はその後ライン3により冷却
器E-2に送られ、そこで冷却され、その後、一部はライ
ン6により塔T-1に送られ、残りの部分はライン4によ
り蒸発器のジャケットに送られる。
【0025】本発明によれば、蒸発による処理を行うた
めに、冷却器E-2内での冷却の後に、タンクV-1内の液面
を上昇させる凝縮液だけが凝縮器E-1のジャケットに送
られることが高く評価されるはずである。従って、シス
テム内の初期水分量が運転中ほぼ変化することがない。
特に、タンクV-1内の液面はライン4のコントロールバ
ルブv-3により制御され、タンクV-1の液面コントローラ
LCにより作動させられる。ライン9のベントパイプ内の
温度コントローラTCにより、排出温度を、ライン8のバ
イパス冷却器E-2内のコントロールバルブv-5の作動によ
り所望のままにすることが可能である。
【0026】システムは始動時に水循環状態に保たれ、
凝縮器E-1には越流せきの高さまで水が満たされてお
り、タンクV-1内の液面は低い。塔T-1内の圧力コントロ
ーラPCは約2バールの絶対圧力にセットされており、従
って、ライン7のコントロールバルブv-1は閉じ、ライ
ン5のバルブv-2は開いている。タンクV-1に入っている
水は、ポンプP-1により、蒸発器E-1のジャケットを含む
装置全体を循環させられ、塔T-1と、バルブv-2が一時的
に開いている凝縮器E-1のジャケットの越流ライン5と
を経て、タンクV-1に戻る。かかる運転条件の下で、装
置は脱コークス化排出物を受け取り可能な態勢にある。
【0027】気体/蒸気混合物が炉から出てくると同時
に、装置内の圧力が上昇し、塔T-1の圧力コントローラP
Cにより示される。凝縮させることのできない気体が存
在する場合は、圧力コントローラPCにより示される所定
の値まで圧力が急上昇し、圧力コントローラPCは直ちに
バルブv-2を絞り、瞬間的に開くバルブv-1を通じて気体
と蒸気とを逃がす。システム内の圧力上昇により、蒸気
凝縮速度が上昇し、その結果、入ってくる凝縮された蒸
気がタンクV-1内に滴下し、その液面を上昇させる。従
って、凝縮液はポンプP-1により送られ、フィルタF-1に
より濾過され、その後に冷却器E-2と、タンクV-1の液面
コントローラLCにより作動させられるコントロールバル
ブv-3とを通過し、蒸発器E-1のジャケットに移送され
る。蒸発器のジャケット内の最初は冷たかった水は入っ
てくる凝縮蒸気により急速に加熱され、入ってくる蒸気
の温度を下げ、凝縮させるために、入ってくる蒸気の熱
と同量の熱を吸収するまでは、蒸発により沸点に達す
る。
【0028】本発明による装置は、内部に含まれたコー
クスダストを除去された入ってくる混合物と同量の清浄
化空気/蒸気混合物を空気中に放出することを特徴とす
る静止状態に迅速に到達する。入力気体の体積が減少
し、脱コークス化運転が終了しようとすると同時に、装
置は初期状態に戻る態勢を整えている。すなわち、圧力
が低下するにつれて、バルブv-1はその吐き出し量を減
らし、徐々に閉じ、バルブv-2は開き、初期水循環を再
び確立する。
【0029】脱コークス化が終了しようとしている時に
は、ライン7のベントバルブv-1が閉じ、ライン5の下
降支流のバルブv-2が開き、両方のバルブが塔T-1内に配
置された圧力コントローラPCにより分割範囲で制御され
る静止状態までシステムが自己制御を行うのは自明のこ
とである。動的シミュレーション技術をベースにした装
置の運転は、システムが冷たい状態から、すなわち、循
環している冷水だけで、すぐに活動を開始することか
ら、自己安定性を有しており、熱い脱コークス化気体が
送られると同時に、システムは凝縮させることができな
かった気体と清浄化蒸気とを排出物に含まれているのと
同量だけ自動的に空気中に逃がす。脱コークス化が終了
すると、オペレータの制御なしで、システムは初期状態
まで自己制御を行う。
【0030】
【実施例】設計の例 本発明による装置の例示的設計のために、25,000t/年
と50,000t/年との2基の炉が同時に操業を行うことを
前提とした。かかる炉の固体および気体排出物について
は、蒸発器の運転のための下記の2つの基本的な特性、
すなわち、 − 最大熱負荷 − 最小水損失 を保証するために、そのピーク値が下記の表1〜3に示
してある。従って、温度340℃において、 蒸気流量: 27,200 kg/h 気体流量: 5,200 kg/h 排出物の総流量: 32,400 kg/h となる。もちろん、本発明はその他のあらゆる脱コーク
ス化気体排出条件においても安定的に適用することが可
能である。
【0031】外部冷却器E-2の最大熱負荷Qは、340℃で
入ってくる気体の熱含量Heと、180℃で大気中に放出
される気体の熱含量Huとの差に等しい、すなわち、 Q = He−Hu = 2.4 MMkcal/h となる。かかる設計条件の下では、蒸発器/凝縮器E-1
は、各約110℃及び2バールである凝縮の絶対圧力と温
度とにおいて、気体中に含まれている27.2トンの蒸気か
ら20,000kg/hの量Aを凝縮させる。
【0032】凝縮器E-1内で凝縮されずそしてタンクV-1
内で発生した気体(=5,200kg/h)と蒸気(7,200kg/h)
との混合物は、蒸気70vol.%および気体30vol.%の
組成を有し、凝縮させることができないガスは平均分子
量30を有する。タンクV-1内の圧力は、絶対圧力2.04
バールに等しく、排出物の利用可能熱含量は約14MM
kcal/hである。初期温度50℃から濾過された凝縮液の
蒸発による生成の後に、蒸気が180℃で大気中に放出さ
れると仮定すると、蒸発器/凝縮器E-1により処理され
る凝縮液PCの流量は、下記の式のごとくなる。ここに、
630kg/hは、180℃の蒸気と50℃の水のエンタルピーの
差である。
【0033】
【式1】
【0034】従って、塔T-1により放出される気体を過
熱することにより吸収され、蒸発器E-1の高い部分の中
に入った顕熱は、無視されている。22,000kg/hの水が蒸
発器/凝縮器E-1のジャケットから蒸発し、チューブ内
で凝縮するのはA=20,000kg/hだけであるので、蒸発器
の熱勘定に合わせるために、凝縮液の流量B=2,000kg/
hがまだ必要である。そこで、塔T-1内では、2,000kg/h
の蒸気が、気体・蒸気混合物中に含まれそして蒸発器E-
1の出力において凝縮液から発生した7,200kg/hの蒸気か
ら凝縮される。その結果、蒸発器E-1内で凝縮しなかっ
た気体混合物の蒸気含有率は、塔T-1の入口における7
0vol.%から塔自体のヘッドの出力における62vol.%
へと低下する。従って、概数では、50℃における凝縮
液の流量Pを、すなわち下記の式2より18,000 kg/h
を塔T-1のヘッドに送るべきであり、これが、分離器V-1
に戻る液体の温度が110℃の場合に2,000kg/hの蒸気を凝
縮させるのに必要な正しい水量であり、107℃で塔から
出ていく気体・蒸気混合物の顕熱は無視してある。
【0035】
【式2】
【0036】結論として、ポンプP-1の再循環流量は、
蒸発器E-1内の凝縮液Aと塔T-1内の凝縮液Bと塔に供給
される水Pとの合計、すなわち、 P=A+B+P=20,000+2,000+18,000=40,000 kg
/h となり、凝縮させるべき部分PEは、蒸発器E-1内と塔T
-1内との2つの凝縮液の合計に等しい総凝縮液量PCであ
り、すなわちPEは下記の如くなる。 PE = PC = A + B = 20,000 + 2,000 = 22,000 kg/h 総再循環流量P=40,000 kg/hの110℃から50℃への冷却
により生じる外部冷却器E-2に対する熱負荷Qは、 Q = 40,000 ×(110℃−50℃)= 2,400,000 kcal/h となり、これは、すでに示したように、システムの入力
ガスHeと出力ガスHuとの総エンタルピーの差に等し
い。
【0037】冷却器E-2の熱交換表面積Sは120mであ
る。15℃の(30から45℃への)温度上昇による冷
却器E-2内での水消費量は、2,400,000/15=160m/hに
等しい。凝縮器/蒸発器E-1の総熱負荷は、(上記の条
件に基づいて計算すると)熱交換表面積S=1800m
で、約14,000,000 kcal/hである。
【0038】フィルタF-1に関する限りは、エチレンメ
ーカーにより提供されたコークスサンプルの水溶液を使
用して行われた実験に従って選ばれたものであることが
高く評価されるべきである。試運転の結果、いわゆる
「葉状」タイプの金属フィルタが特に適していることが
明らかになった。何故ならば、ケーキを効率的に乾燥さ
せ、装置を開けずにフィルタを清浄化することが可能で
あるからである。特に、排出物中のダスト含有率に関す
る仕様を満たすには、80μmのフィルタで十分である
と思われる。かかるフィルタが、運転開始時から澄んだ
濾液を生成する40μmのフィルタよりも明らかに大き
な機械強度と耐摩耗性とを有することも高く評価される
べきである。
【0039】上述の実施例による100mの濾過表面積
は、フィルタへのケーキの付着が全ての運転段階におい
て保証されるように、最小検出可能水流量に従って必要
な大きさにすべきである。この例における1200リットル
のケーキ体積は、フィルタF-1の2回の清浄化作業の間
の脱コークス化サイクルに従って計算されたものであ
り、それによりフィルタの体積を決定する。
【0040】本発明によれば、ケーキが設計による体積
に到達したときに必要となるフィルタの清浄化を、濾過
されたケーキに連結された機械式振動器により自動的に
行うことができるという利点がある。かかる清浄化は、
水側でフィルタの流れを絞り、ケーキを空気中で乾燥さ
せた後に、装置が運転中ではない時に行わなければなら
ない。ケーキが設計による体積に到達するにつれて、フ
ィルタF-1の清浄化の必要性がフィルタの負荷損失の増
加により示されることに注目すべきである。
【0041】乾燥したコークスダストは、その除去と以
降の処理(例えば、販売用に小さなシリンダ内で焼結)
または生産プラントの加熱プラント内でのダストの形で
の直接利用のために、容器内のフィルタの下部円錐部に
より捕集される。凝縮液だけを濾過し、脱コークス化煙
道ガス中の気体や蒸気の濾過は行わずに、コークスダス
トの除去が行われ、その結果、フィルタ手段の全体寸法
と体積とを大幅に縮小することができるという利点を有
することが高く評価されるべきである。同様に、前記パ
イプ9による大気中への放出の前だけに凝縮液が熱回収
とともに蒸発させられることから、凝縮させることがで
きない気体の洗浄も限定された体積の気体と蒸気につい
てだけしか行われない。
【0042】本発明の不可欠の部分は、基本的には以下
の段階を含む方法である: − 凝縮器/蒸発器E-1内で凝縮させることができる脱
コークス化段階からの煙道ガスの部分を凝縮; − 気体・凝縮液分離器V-1内にコークスを含む凝縮液
を捕集; − フィルタF-1によりコークスを含む凝縮液を濾過; − 適当な洗浄塔T-1内で凝縮させることができない気
体と蒸気とを洗浄; − 凝縮器/蒸発器E-1内での蒸発の後に洗浄された気
体と蒸気と濾過された凝縮液とを大気中に放出。
【0043】コークスからの濾過された凝縮液の蒸発が
入力排出物の熱により行われることから、該方法は、本
質的に自熱性である。脱コークス化段階からの気体の熱
含量の一部は、冷却器(E-2)に移送され、熱は外部で
処理される。本発明による方法は、蒸気・気体混合物を
固形物含有量が50mg/Nm乾燥気体未満の状態で180℃
以上の温度において大気中に放出することを可能にす
る。
【0044】さらに、この方法は、コークス粒子成分を
連続的に処理せねばならないことから汚染の原因となる
排出液を生成することがない。事実、排出物中に含まれ
ている蒸気の全ては、入力気体とともに大気中に放出さ
れる。本発明について、装置の好ましい実施例に則して
記載と説明を行ったが、しかしながら、当業者であれ
ば、本工業的発明の範囲から逸脱せずに等価の変更およ
び/または交換を行うことができることは当然のことで
ある。以下には、説明において言及した表1〜5および
T1、T2が示してある。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自然分離機を概念的に示したもので
ある。
【符号の説明】
5:パイプ 9:パイプ E-1:凝縮器/蒸発器 E-2:冷却器 F-1:フィルタ P-1:循環ポンプ T-1:垂直洗浄塔 V-1:分離器 v-1:ベントバルブ v-2:バルブ v-3:コントロールバルブ v-4:制御バルブ v-5:コントロールバルブ LC:液面コントローラ PC:圧力コントローラ TC:温度コントローラ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 29/38 570C (72)発明者 ロベルト ディ チンティーオ イタリア国 00198 ローマ ヴィア ボ ルミーダ 5 Fターム(参考) 4D076 AA01 BA08 BA11 BC02 DA04 DA28 DA36 EA09Y EA12Y FA03 FA12 FA18 HA10 JA03 4H029 AE08 AE27

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化水素分解炉の脱コークス化排出物中の
    コークスダストを減らす装置において、排出物を凝縮さ
    せる手段と、凝縮液を捕集する手段と、該凝縮液を濾過
    する手段と、凝縮させることができない残留蒸気と気体
    とをコークスから適切に濾過された同じ凝縮液を使用す
    ることにより洗浄する手段とを備え、濾過された凝縮液
    が後続の大気中への放出のために入力脱コークス化気体
    の熱含量を使用することにより蒸発させられることを特
    徴とする装置。
  2. 【請求項2】組み合わせの形で、 コークスを含む凝縮液を捕集するための気体と凝縮液と
    の分離器(V-1)の働きを行う水平タンクと、 凝縮器/蒸発器(E-1)の機能を有し、落下する凝縮液
    が気体・凝縮液分離器(V-1)内に捕集されるように、
    該分離器の一端をおおっている垂直管巣交換器と、 コークスダストを凝縮液から分離するためのフィルタ
    (F-1)と、 凝縮液の循環ポンプ(P-1)と、 凝縮液と濾液との冷却器(E-2)と、 分離器(V-1)の他端に配置され、他端をおおってお
    り、凝縮させることができない気体と、分離器(F-1)
    内で濾過され、冷却器(E-1)内で冷却され、塔に送ら
    れる凝縮液の一部とともに向流の中で洗浄すべき濃縮液
    から分離された蒸気とが横断する垂直洗浄塔(T-1)と
    を含むことと、 該凝縮器/蒸発器(E-1)が、入力脱コークス化気体を
    凝縮させ、凝縮自体からの熱により、濾過され、冷却さ
    れた液体を蒸発させ、凝縮させることができない洗浄さ
    れた気体と蒸気とともに大気中に放出することとを特徴
    とする、請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】凝縮させることができない気体と、タンク
    /分離器(V-1)の内部で凝縮液から分離された蒸気と
    が洗浄塔(T-1)に流れ、そこで、濾過され、冷却さ
    れ、制御バルブ(v-4)により流速を制御されて塔(T-
    1)に再び送られる凝縮液の一部とともに、向流の中で
    洗浄され、塔内で気体洗浄と蒸気のさらなる凝縮とが行
    われ、システムの総凝縮液量が、凝縮器/蒸発器(E-
    1)のチューブの内部で生成された凝縮液の量と塔内で
    生成された凝縮液の量との合計に等しく、凝縮されなか
    った気体がベントバルブ(v-1)を経て蒸発器(E-1)の
    ジャケットに戻り、そこで大気中に放出される前に熱い
    煙道ガスにより過熱されることを特徴とする、請求項1
    および2に記載の装置。
  4. 【請求項4】蒸発器(E-1)と分離器(V-1)との間のパ
    イプ(5)越流せきの流れを絞り、装置に入る気体・蒸
    気混合物と同量の気体・蒸気混合物を凝縮器(E-1)の
    ジャケットとパイプ(9)とを経て大気中に放出する洗
    浄塔(T-1)のヘッドベントバルブ(v-1)を開くコント
    ロールバルブ(v-2)を作動させる圧力コントローラ(P
    C)を洗浄塔(T-1)内に備えていることを特徴とする、
    請求項1〜3に記載の装置。
  5. 【請求項5】タンク(V-1)内の所定の液面を超える凝
    縮液だけが冷却器(E-2)内での冷却の後にコントロー
    ルバルブ(v-3)により凝縮器(E-1)のジャケットに送
    られ、従って、蒸発による処理を行い、初期水分量を基
    本的に一定に保つことができ、該コントロールバルブ
    (v-3)が、冷却器(E-2)と凝縮器/蒸発器(E-1)と
    から凝縮液が流れ戻るパイプ(4)内に配置されてお
    り、タンク(V-1)の液面コントローラ(LC)により作
    動させられることを特徴とする、請求項1〜4に記載の
    装置。
  6. 【請求項6】ライン(8)のバイパス冷却器(E-2)内
    に配置されたのコントロールバルブ(v-5)を作動させ
    ることにより排出温度を所望の値に調節する温度コント
    ローラ(TC)をライン(9)のベントパイプ内に備えて
    いることを特徴とする、請求項1〜5に記載の装置。
  7. 【請求項7】入ってくるガスの体積が減り、その結果、
    脱コークス化運転が終了しようとすると同時に、洗浄塔
    (T-1)のヘッドベントバルブ(v-1)がその漏れ量を減
    らし、徐々に閉じ、一方、凝縮器とタンクとの間のパイ
    プ(5)内のバルブ(v-2)が開き、初期水循環を再び
    確立し、従って、脱コークス化の終了時には、オペレー
    タなしで、静止状態への装置の自己調節が行われること
    を特徴とする、請求項1〜6に記載の装置。
  8. 【請求項8】ケーキが設計による体積に到達したときに
    必要となるフィルタ(F-1)の清浄化を、濾過されたケ
    ーキに連結された機械式振動器により自動的に行うこと
    ができ、かかる清浄化が、水側でフィルタの流れを絞
    り、ケーキを空気中で乾燥させた後に、装置が運転中で
    はない時に行わなることを特徴とする、請求項1〜7に
    記載の装置。
  9. 【請求項9】ケーキが設計による体積に到達するにつれ
    て、フィルタF-1の清浄化の必要性がフィルタの負荷損
    失の増加により示されることを特徴とする、請求項8に
    記載の装置。
  10. 【請求項10】コークスフィルタ(F-1)が金属葉状タ
    イプであることを特徴とする、請求項1〜9に記載の装
    置。
  11. 【請求項11】フィルタ(F-1)のスクリーンの寸法が
    40〜80μmの範囲にあることを特徴とする、請求項
    1〜10に記載の装置。
  12. 【請求項12】炭化水素分解炉の脱コークス化排出物中
    のコークスダストを減らす方法において、脱コークス化
    からの気体排出物中の固形物成分が、該気体排出物から
    の凝縮液の濾過と、含まれている凝縮させることができ
    ない気体と蒸気との洗浄とにより除去されることを特徴
    とする方法。
  13. 【請求項13】下記の段階、すなわち、 − 凝縮器/蒸発器(E-1)内で凝縮させることができ
    る脱コークス化段階からの煙道ガスの部分を凝縮する段
    階と、 − 気体・凝縮液分離器(V-1)内にコークスを含む凝
    縮液を捕集する段階と、 − フィルタ(F-1)によりコークスを含む凝縮液を濾
    過する段階と、 − 適当な洗浄塔(T-1)内で凝縮させることができな
    い気体と蒸気とを洗浄する段階と、 − 凝縮器/蒸発器(E-1)内での蒸発の後に洗浄され
    たガスと蒸気と濾過された凝縮液とを大気中に放出する
    段階とを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方
    法。
  14. 【請求項14】コークスからの濾過された凝縮液の蒸発
    が入力排出物の熱により行われることから、本質的に自
    熱性であり、脱コークス化段階からの気体の熱含量の一
    部が冷却器(E-2)に移送され、熱が外部で処理される
    ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】塔(T-1)内で凝縮させることができな
    い気体と蒸気との洗浄が、フィルタ(F-1)内で濾過さ
    れ、冷却器(E-2)内で冷却された凝縮液を使用するこ
    とにより行われることを特徴とする、請求項14に記載
    の方法。
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