JP2001093141A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
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- JP2001093141A JP2001093141A JP26479399A JP26479399A JP2001093141A JP 2001093141 A JP2001093141 A JP 2001093141A JP 26479399 A JP26479399 A JP 26479399A JP 26479399 A JP26479399 A JP 26479399A JP 2001093141 A JP2001093141 A JP 2001093141A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 磁気記録媒体の製造方法に関し、磁気記録媒
体に於ける保護膜上に潤滑剤被膜を形成した場合に於け
るスティクションの発生を防止し、また、磁気記録媒体
の回転時に於ける潤滑剤のスピンオフを抑止できるよう
にする。 【解決手段】 非磁性支持体（基板）１上に少なくとも
磁気記録層３及びダイヤモンドライクカーボン（ＤＬ
Ｃ）からなる保護膜４を積層形成し、保護膜４の表面を
プラズマ処理してから非磁性基板１全体を熱処理し、プ
ラズマ処理及び熱処理された保護膜４の表面に潤滑剤を
塗布して被膜５を形成し、潤滑剤被膜５が形成された非
磁性基板１の熱処理を行なう。
体に於ける保護膜上に潤滑剤被膜を形成した場合に於け
るスティクションの発生を防止し、また、磁気記録媒体
の回転時に於ける潤滑剤のスピンオフを抑止できるよう
にする。 【解決手段】 非磁性支持体（基板）１上に少なくとも
磁気記録層３及びダイヤモンドライクカーボン（ＤＬ
Ｃ）からなる保護膜４を積層形成し、保護膜４の表面を
プラズマ処理してから非磁性基板１全体を熱処理し、プ
ラズマ処理及び熱処理された保護膜４の表面に潤滑剤を
塗布して被膜５を形成し、潤滑剤被膜５が形成された非
磁性基板１の熱処理を行なう。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報通信などの分
野で多用されている磁気記録媒体を製造する方法の改良
に関する。
野で多用されている磁気記録媒体を製造する方法の改良
に関する。
【０００２】
【従来の技術】一般に、磁気記録媒体（磁気ディスク）
は非磁性支持体（基板）上に磁性層、保護膜などが積層
形成され、保護膜上には潤滑剤を塗布している。
は非磁性支持体（基板）上に磁性層、保護膜などが積層
形成され、保護膜上には潤滑剤を塗布している。
【０００３】図２は標準的な磁気記録媒体の構造を説明
する為の要部切断側面図であり、図に於いて、１は基
板、２は鍍金膜、３は磁気記録層、４は保護膜、５は潤
滑剤被膜をそれぞれ示している。
する為の要部切断側面図であり、図に於いて、１は基
板、２は鍍金膜、３は磁気記録層、４は保護膜、５は潤
滑剤被膜をそれぞれ示している。
【０００４】図から明らかなように、磁気記録層３上に
は保護膜４が積層形成されていて、通常、保護膜４の膜
厚は５〔ｎｍ〕乃至５０〔ｎｍ〕の範囲で選択され、ま
た、その材料には石英（ＳｉＯ2 ）、ジルコニア（Ｚｒ
Ｏ2 ）、カーボン系などが用いられている。
は保護膜４が積層形成されていて、通常、保護膜４の膜
厚は５〔ｎｍ〕乃至５０〔ｎｍ〕の範囲で選択され、ま
た、その材料には石英（ＳｉＯ2 ）、ジルコニア（Ｚｒ
Ｏ2 ）、カーボン系などが用いられている。
【０００５】然しながら、現在はカーボン系保護膜を用
いることが主流となりつつあり、そのなかでもダイヤモ
ンド・ライク・カーボン（ｄｉａｍｏｎｄ ｌｉｋｅ
ｃａｒｂｏｎ：ＤＬＣ）が多用される傾向にあり、ま
た、成膜するには、スパッタリング法、プラズマＣＶＤ
（ｐｌａｓｍａ ｃｈｅｍｉｃａｌ ｖａｐｏｕｒ ｄ
ｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）法、イオン・プレーティング法、
レーザ・アブレーション法などが適用されている。
いることが主流となりつつあり、そのなかでもダイヤモ
ンド・ライク・カーボン（ｄｉａｍｏｎｄ ｌｉｋｅ
ｃａｒｂｏｎ：ＤＬＣ）が多用される傾向にあり、ま
た、成膜するには、スパッタリング法、プラズマＣＶＤ
（ｐｌａｓｍａ ｃｈｅｍｉｃａｌ ｖａｐｏｕｒ ｄ
ｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）法、イオン・プレーティング法、
レーザ・アブレーション法などが適用されている。
【０００６】ＤＬＣ保護膜にも種々と改善が施されてい
て、例えば摩擦耐性などを向上させる為、表面近傍や内
部に水素原子或いは窒素原子を含有させて作成したり、
或いは、ＤＬＣ保護膜を形成してからダイナミック・ミ
キシング法、スタティック・ミキシング法などを適用し
て水素イオンや窒素イオンを打ち込むなどの手段も採ら
れている。
て、例えば摩擦耐性などを向上させる為、表面近傍や内
部に水素原子或いは窒素原子を含有させて作成したり、
或いは、ＤＬＣ保護膜を形成してからダイナミック・ミ
キシング法、スタティック・ミキシング法などを適用し
て水素イオンや窒素イオンを打ち込むなどの手段も採ら
れている。
【０００７】保護膜は、磁性層に記録された情報を保護
する目的の他、磁気ヘッドの摺動性を良好にすることを
目的として形成されるのであるが、保護膜のみでは動作
させた場合の耐久性が乏しいので、保護膜表面に厚さ１
〔ｎｍ〕乃至２〔ｎｍ〕程度の潤滑剤からなる被膜を形
成することが行なわれている。
する目的の他、磁気ヘッドの摺動性を良好にすることを
目的として形成されるのであるが、保護膜のみでは動作
させた場合の耐久性が乏しいので、保護膜表面に厚さ１
〔ｎｍ〕乃至２〔ｎｍ〕程度の潤滑剤からなる被膜を形
成することが行なわれている。
【０００８】その潤滑剤としては、パーフルオロポリエ
ーテル（ＰＦＰＥ）系としてＦｏｍｂｌｉｎ（商品名
アウジモント社製 イタリア）、Ｄｅｍｎｕｍ−ＳＡ
（商品名 ダイキン工業製 日本）、Ｋｒｙｔｏｘ（商
品名 デュポン社製 アメリカ）などが用いられ、ま
た、磁気記録媒体がフロッピディスクなどフレキシブル
である場合には脂肪族炭化水素系も用いられている。
ーテル（ＰＦＰＥ）系としてＦｏｍｂｌｉｎ（商品名
アウジモント社製 イタリア）、Ｄｅｍｎｕｍ−ＳＡ
（商品名 ダイキン工業製 日本）、Ｋｒｙｔｏｘ（商
品名 デュポン社製 アメリカ）などが用いられ、ま
た、磁気記録媒体がフロッピディスクなどフレキシブル
である場合には脂肪族炭化水素系も用いられている。
【０００９】潤滑剤の主な役割は、保護膜表面に吸着
し、磁気ヘッド・スライダが保護膜に直接接触すること
を防止すること、また、磁気記録媒体と摺動可能に接触
する磁気ヘッド・スライダとの間に於ける摩擦力を低減
させることにある。
し、磁気ヘッド・スライダが保護膜に直接接触すること
を防止すること、また、磁気記録媒体と摺動可能に接触
する磁気ヘッド・スライダとの間に於ける摩擦力を低減
させることにある。
【００１０】通常、磁気記録再生装置はＣＳＳ（ｃｏｎ
ｔａｃｔ ｓｔａｒｔ ｓｔｏｐ）方式に依って駆動さ
れ、動作時には、磁気記録媒体が停止状態から瞬時に回
転加速され、それに伴って発生する浮力で磁気ヘッドは
浮上し、停止時には、磁気記録媒体を回転させているモ
ータが停止し、磁気ヘッドと磁気記録媒体とが高速で接
触を起こして摺動する。
ｔａｃｔ ｓｔａｒｔ ｓｔｏｐ）方式に依って駆動さ
れ、動作時には、磁気記録媒体が停止状態から瞬時に回
転加速され、それに伴って発生する浮力で磁気ヘッドは
浮上し、停止時には、磁気記録媒体を回転させているモ
ータが停止し、磁気ヘッドと磁気記録媒体とが高速で接
触を起こして摺動する。
【００１１】この場合、動摩擦係数低減の為に潤滑剤被
膜を設けることは有効であるが、その潤滑剤被膜を厚膜
化した場合には、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間に潤
滑剤の表面張力に起因するマイクロメニスカスが生成さ
れ、磁気ヘッドが磁気記録媒体に吸着してしまい、いわ
ゆるスティクション（ｓｔｉｃｔｉｏｎ）と呼ばれる現
象が起こって、静摩擦係数が増加し、磁気ヘッドが磁気
記録媒体に吸着したままの状態となって起動しないこと
がある。
膜を設けることは有効であるが、その潤滑剤被膜を厚膜
化した場合には、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間に潤
滑剤の表面張力に起因するマイクロメニスカスが生成さ
れ、磁気ヘッドが磁気記録媒体に吸着してしまい、いわ
ゆるスティクション（ｓｔｉｃｔｉｏｎ）と呼ばれる現
象が起こって、静摩擦係数が増加し、磁気ヘッドが磁気
記録媒体に吸着したままの状態となって起動しないこと
がある。
【００１２】また、磁気記録媒体の回転速度の高速化に
伴い、遠心力で潤滑剤が支持体の外周方向に飛散（スピ
ンオフ）し、いわゆるマイグレーション（ｍｉｇｒａｔ
ｉｏｎ）と呼ばれる現象が起こり、このような潤滑剤の
スピンオフは、その膜厚を現象させ、耐久性を低下させ
る。
伴い、遠心力で潤滑剤が支持体の外周方向に飛散（スピ
ンオフ）し、いわゆるマイグレーション（ｍｉｇｒａｔ
ｉｏｎ）と呼ばれる現象が起こり、このような潤滑剤の
スピンオフは、その膜厚を現象させ、耐久性を低下させ
る。
【００１３】ところで、保護膜上に塗布された潤滑剤か
らなる被膜は保護膜との密着性の面で十分な性能がな
く、また、磁気記録媒体の起動時に於けるスティクショ
ンが発生したり、磁気記録媒体の回転時に於ける潤滑剤
のスピンオフを抑止できない旨の問題がある。
らなる被膜は保護膜との密着性の面で十分な性能がな
く、また、磁気記録媒体の起動時に於けるスティクショ
ンが発生したり、磁気記録媒体の回転時に於ける潤滑剤
のスピンオフを抑止できない旨の問題がある。
【００１４】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、磁気記録
媒体に於ける保護膜上に潤滑剤被膜を形成した場合に於
けるスティクションの発生を防止し、また、磁気記録媒
体の回転時に於ける潤滑剤のスピンオフを抑止できるよ
うにする。
媒体に於ける保護膜上に潤滑剤被膜を形成した場合に於
けるスティクションの発生を防止し、また、磁気記録媒
体の回転時に於ける潤滑剤のスピンオフを抑止できるよ
うにする。
【００１５】
【課題を解決するための手段】前記説明したスティクシ
ョンの発生や潤滑剤のスピンオフを抑止する為には、非
磁性支持体上の保護膜と潤滑剤分子とを有効に結合させ
て強固に固着させることが肝要である。
ョンの発生や潤滑剤のスピンオフを抑止する為には、非
磁性支持体上の保護膜と潤滑剤分子とを有効に結合させ
て強固に固着させることが肝要である。
【００１６】本発明者等が知得したところに依れば、Ｄ
ＬＣ保護膜の表面には自然酸化膜状態で、水酸基（Ｏ−
Ｈ）、ケトン基（＞Ｃ＝Ｏ）、カルボキシル基（−ＣＯ
ＯＨ）などの官能基が存在していることが知られてはい
るが、保護膜と潤滑剤との吸着態様については未知の状
態であって、状況からすると、それ等の間の吸着は水素
結合のような弱いものであって、吸着力は化学吸着ほど
大きくはないものと認識される。
ＬＣ保護膜の表面には自然酸化膜状態で、水酸基（Ｏ−
Ｈ）、ケトン基（＞Ｃ＝Ｏ）、カルボキシル基（−ＣＯ
ＯＨ）などの官能基が存在していることが知られてはい
るが、保護膜と潤滑剤との吸着態様については未知の状
態であって、状況からすると、それ等の間の吸着は水素
結合のような弱いものであって、吸着力は化学吸着ほど
大きくはないものと認識される。
【００１７】そこで、本発明に依る磁気記録媒体の製造
方法に於いては、（１）非磁性基板（例えば非磁性支持
体１：図２参照、以下同じ）上に少なくとも磁気記録層
（例えば磁気記録層３）及びダイヤモンドライクカーボ
ン（ＤＬＣ）からなる保護膜（例えば保護膜４）を積層
形成する工程と、次いで、該保護膜の表面をプラズマ処
理してから該非磁性基板を熱処理する工程と、次いで、
プラズマ処理及び熱処理された該保護膜の表面に潤滑剤
を塗布して被膜（例えば潤滑剤被膜５）を形成する工程
と、次いで、該潤滑剤被膜が形成された非磁性基板の熱
処理を行なう工程とが含まれてなることを特徴とする
か、或いは、
方法に於いては、（１）非磁性基板（例えば非磁性支持
体１：図２参照、以下同じ）上に少なくとも磁気記録層
（例えば磁気記録層３）及びダイヤモンドライクカーボ
ン（ＤＬＣ）からなる保護膜（例えば保護膜４）を積層
形成する工程と、次いで、該保護膜の表面をプラズマ処
理してから該非磁性基板を熱処理する工程と、次いで、
プラズマ処理及び熱処理された該保護膜の表面に潤滑剤
を塗布して被膜（例えば潤滑剤被膜５）を形成する工程
と、次いで、該潤滑剤被膜が形成された非磁性基板の熱
処理を行なう工程とが含まれてなることを特徴とする
か、或いは、
【００１８】（２）前記（１）に於いて、前記保護膜の
表面をプラズマ処理する際に用いるガスが酸素であるこ
とを特徴とするか、或いは、
表面をプラズマ処理する際に用いるガスが酸素であるこ
とを特徴とするか、或いは、
【００１９】（３）前記（１）に於いて、前記保護膜の
表面をプラズマ処理する際に用いるガスが不活性ガス
（例えばＮ2 、Ｈｅ、Ｎｅ、Ａｒ、Ｋｒ、Ｘｅなど）で
あることを特徴とする。
表面をプラズマ処理する際に用いるガスが不活性ガス
（例えばＮ2 、Ｈｅ、Ｎｅ、Ａｒ、Ｋｒ、Ｘｅなど）で
あることを特徴とする。
【００２０】前記手段を採ることに依って得られる磁気
記録媒体に於いては、保護膜と潤滑剤被膜との密着性は
十分に大きくなり、従って、磁気記録媒体の回転による
潤滑剤被膜の膜厚減少は小さくなって、長期に亙って高
い信頼性を維持することができ、従って、磁気記録再生
装置を安定に動作させることができる。
記録媒体に於いては、保護膜と潤滑剤被膜との密着性は
十分に大きくなり、従って、磁気記録媒体の回転による
潤滑剤被膜の膜厚減少は小さくなって、長期に亙って高
い信頼性を維持することができ、従って、磁気記録再生
装置を安定に動作させることができる。
【００２１】ところで、目的、構成、効果が相違するの
で、本発明の先行技術では有り得ないが、磁気記録媒体
の製造時にプラズマＣＶＤ（ｃｈｅｍｉｃａｌ ｖａｐ
ｏｒｄｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）法を用いる発明が特開平６
−８９４２８号公報に開示されているので、それについ
て説明しておくことは、本発明と相違する発明であるこ
とを明らかにする上で有効であると思われる。
で、本発明の先行技術では有り得ないが、磁気記録媒体
の製造時にプラズマＣＶＤ（ｃｈｅｍｉｃａｌ ｖａｐ
ｏｒｄｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）法を用いる発明が特開平６
−８９４２８号公報に開示されているので、それについ
て説明しておくことは、本発明と相違する発明であるこ
とを明らかにする上で有効であると思われる。
【００２２】即ち、当該公報に開示された発明では、Ｄ
ＬＣからなる保護膜を成膜する為、カーボン系ガスを用
いたプラズマＣＶＤ法を適用するものであり、それに依
って作成されたＤＬＣ保護膜は下地である磁気記録媒体
との密着性が改善されるとしている。
ＬＣからなる保護膜を成膜する為、カーボン系ガスを用
いたプラズマＣＶＤ法を適用するものであり、それに依
って作成されたＤＬＣ保護膜は下地である磁気記録媒体
との密着性が改善されるとしている。
【００２３】然しながら、当該公報に開示された発明に
は、保護膜の表面を酸素ガス或いは不活性ガスを用いた
プラズマ処理に依って改質し、潤滑剤被膜との密着性を
改善しようとする技術は存在せず、本発明とは無縁であ
る。
は、保護膜の表面を酸素ガス或いは不活性ガスを用いた
プラズマ処理に依って改質し、潤滑剤被膜との密着性を
改善しようとする技術は存在せず、本発明とは無縁であ
る。
【００２４】
【発明の実施の形態】本発明に於ける一実施の形態につ
いて説明するが、本発明を実施して製造される磁気記録
媒体（磁気ディスク）の構造は、基本的に図２について
説明した従来の磁気記録媒体の構造と同一であり、従っ
て、必要あれば図２を参照されると良い。
いて説明するが、本発明を実施して製造される磁気記録
媒体（磁気ディスク）の構造は、基本的に図２について
説明した従来の磁気記録媒体の構造と同一であり、従っ
て、必要あれば図２を参照されると良い。
【００２５】通常の技法を適用することに依って、基板
１上に鍍金膜２、磁気記録層３、保護膜４が積層形成す
る。
１上に鍍金膜２、磁気記録層３、保護膜４が積層形成す
る。
【００２６】該基板１を成膜装置のチャンバ中にセット
してから、チャンバ内が１０-4〔Ｔｏｒｒ〕乃至１０-5
〔Ｔｏｒｒ〕となるように真空引きを行なう。
してから、チャンバ内が１０-4〔Ｔｏｒｒ〕乃至１０-5
〔Ｔｏｒｒ〕となるように真空引きを行なう。
【００２７】次いで、以下の条件の下で前記チャンバ内
にプラズマを生成させて保護膜４の表面をプラズマ処理
する。 条件 酸素ガスの流量：１０〔ｓｃｃｍ〕乃至１２０〔ｓｃｃ
ｍ〕の範囲 好ましくは２５〔ｎｍ〕乃至１００〔ｓｃｃｍ〕の範囲 印加パワー：５〔Ｗ〕乃至７５〔Ｗ〕の範囲 好ましくは１０〔Ｗ〕乃至５０〔Ｗ〕の範囲 時間：３０〔秒〕乃至１５０〔秒〕の範囲 好ましくは９０〔秒〕乃至１２０〔秒〕の範囲 尚、酸素ガスは、不活性ガス、例えば窒素ガス、アルゴ
ン・ガスなどに代替して良い。
にプラズマを生成させて保護膜４の表面をプラズマ処理
する。 条件 酸素ガスの流量：１０〔ｓｃｃｍ〕乃至１２０〔ｓｃｃ
ｍ〕の範囲 好ましくは２５〔ｎｍ〕乃至１００〔ｓｃｃｍ〕の範囲 印加パワー：５〔Ｗ〕乃至７５〔Ｗ〕の範囲 好ましくは１０〔Ｗ〕乃至５０〔Ｗ〕の範囲 時間：３０〔秒〕乃至１５０〔秒〕の範囲 好ましくは９０〔秒〕乃至１２０〔秒〕の範囲 尚、酸素ガスは、不活性ガス、例えば窒素ガス、アルゴ
ン・ガスなどに代替して良い。
【００２８】次いで、以下の条件の下で基板１を加熱す
る。 条件 温度：８０〔℃〕乃至２００〔℃〕の範囲 好ましくは１２０〔℃〕乃至１７０〔℃〕の範囲 加熱方式：恒温槽に依る加熱、或いは、大気中のホット
・プレートに依る加熱
る。 条件 温度：８０〔℃〕乃至２００〔℃〕の範囲 好ましくは１２０〔℃〕乃至１７０〔℃〕の範囲 加熱方式：恒温槽に依る加熱、或いは、大気中のホット
・プレートに依る加熱
【００２９】次いで、前記加熱された基板１の保護膜４
上に潤滑剤を塗布して被膜５を形成する。
上に潤滑剤を塗布して被膜５を形成する。
【００３０】この場合、潤滑剤にはＦｏｍｂｌｉｎ Ａ
Ｍ３００１を用い、潤滑剤を溶解する溶媒にはフロリナ
ートＦＣ７７（商品名 住友３Ｍ社製 日本）を用い
た。
Ｍ３００１を用い、潤滑剤を溶解する溶媒にはフロリナ
ートＦＣ７７（商品名 住友３Ｍ社製 日本）を用い
た。
【００３１】潤滑剤の塗布にはディップ法を適用し、そ
して、潤滑剤溶液中への浸漬時間は３０〔秒〕、浸漬後
の引き上げ速度は１０〔ｍｍ／秒〕とした。
して、潤滑剤溶液中への浸漬時間は３０〔秒〕、浸漬後
の引き上げ速度は１０〔ｍｍ／秒〕とした。
【００３２】潤滑剤被膜５の形成後に再び基板１を前記
条件と同条件の下で加熱した。
条件と同条件の下で加熱した。
【００３３】前記のようにして製造した磁気記録媒体に
ついて、基板１に施したプラズマ処理及び熱処理と、保
護膜４の表面と化学的に結合する潤滑剤の量との関係を
調べた。
ついて、基板１に施したプラズマ処理及び熱処理と、保
護膜４の表面と化学的に結合する潤滑剤の量との関係を
調べた。
【００３４】保護膜４上に塗布された潤滑剤のうち、ど
の程度の量の潤滑剤が保護膜４と化学的に結合している
かを知る目安として、潤滑剤被膜５を形成した後の基板
１をパーフルオロポリエーテルを溶解する溶媒中に浸漬
し、浸漬前の膜厚Ａ及び浸漬後の膜厚Ｂの比Ｂ／Ａを採
り上げた。
の程度の量の潤滑剤が保護膜４と化学的に結合している
かを知る目安として、潤滑剤被膜５を形成した後の基板
１をパーフルオロポリエーテルを溶解する溶媒中に浸漬
し、浸漬前の膜厚Ａ及び浸漬後の膜厚Ｂの比Ｂ／Ａを採
り上げた。
【００３５】この場合、Ｂ／Ａの値が大きい程、溶媒中
に溶け出す潤滑剤の量が少ないことを示し、保護膜表面
と化学的に結合している潤滑剤の量が多いことになる。
そこで、この値を残存比と定義する。
に溶け出す潤滑剤の量が少ないことを示し、保護膜表面
と化学的に結合している潤滑剤の量が多いことになる。
そこで、この値を残存比と定義する。
【００３６】膜厚Ａ並びにＢは、フーリエ変換赤外分光
装置（Ｆｏｕｒｉｅｒ ｔｒａｎｓｆｏｒｍ ｉｎｆｒ
ａｒｅｄ ｓｐｅｃｔｒｏｓｃｏｐｙ：ＦＴ−ＩＲ）を
用いて約１２８０〔cm-1〕近傍で検出される潤滑剤の中
の直鎖、即ち、−（Ｆ−Ｃ−Ｆ）−部分に由来する吸光
度と、Ｘ線光電子分光装置（Ｘ−ｒａｙ Ｐｈｏｔｏｅ
ｌｅｃｔｒｏｎ ｓｐｅｃｔｒｏｓｃｏｐｙ：ＸＰＳ）
に依って測定した膜厚絶対値との相関、即ち、検量式
（関数）を予め求めておき、膜厚が未知である試料に対
して、随時、ＦＴ−ＩＲを用いて−（Ｆ−Ｃ−Ｆ）−部
分の吸光度を測定し、これを変数として検量式に代入
し、関数の値、即ち、従属変数を導出することに依って
決定する。尚、ＦＴ−ＩＲ測定は、一つの試料について
複数回実施して、その平均値を用いることにした。
装置（Ｆｏｕｒｉｅｒ ｔｒａｎｓｆｏｒｍ ｉｎｆｒ
ａｒｅｄ ｓｐｅｃｔｒｏｓｃｏｐｙ：ＦＴ−ＩＲ）を
用いて約１２８０〔cm-1〕近傍で検出される潤滑剤の中
の直鎖、即ち、−（Ｆ−Ｃ−Ｆ）−部分に由来する吸光
度と、Ｘ線光電子分光装置（Ｘ−ｒａｙ Ｐｈｏｔｏｅ
ｌｅｃｔｒｏｎ ｓｐｅｃｔｒｏｓｃｏｐｙ：ＸＰＳ）
に依って測定した膜厚絶対値との相関、即ち、検量式
（関数）を予め求めておき、膜厚が未知である試料に対
して、随時、ＦＴ−ＩＲを用いて−（Ｆ−Ｃ−Ｆ）−部
分の吸光度を測定し、これを変数として検量式に代入
し、関数の値、即ち、従属変数を導出することに依って
決定する。尚、ＦＴ−ＩＲ測定は、一つの試料について
複数回実施して、その平均値を用いることにした。
【００３７】前記の結果、保護膜４を形成した後、未処
理のまま潤滑剤を塗布した場合、残存比は約０．４０〜
０．４７であり、これに対し、保護膜４を形成してから
プラズマ処理及び前加熱処理を施し、潤滑剤被膜５を形
成してから後加熱処理を施した場合、即ち、本発明を実
施した場合、残存比は０．９３〜１．００となって飛躍
的に向上した。
理のまま潤滑剤を塗布した場合、残存比は約０．４０〜
０．４７であり、これに対し、保護膜４を形成してから
プラズマ処理及び前加熱処理を施し、潤滑剤被膜５を形
成してから後加熱処理を施した場合、即ち、本発明を実
施した場合、残存比は０．９３〜１．００となって飛躍
的に向上した。
【００３８】図１は各種試料について潤滑剤の残存比を
測定した結果を表すグラフであり、縦軸には膜厚を、ま
た、横軸のａ乃至ｅは試料の別をそれぞれ示し、何れの
試料に於いても、Ａは前記したように潤滑剤被膜５をパ
ーフルオロポリエーテルを溶解する溶媒中に浸漬する前
の膜厚、Ｂは前記したように潤滑剤被膜５をパーフルオ
ロポリエーテルを溶解する溶媒中に浸漬した後の膜厚を
それぞれ示している。
測定した結果を表すグラフであり、縦軸には膜厚を、ま
た、横軸のａ乃至ｅは試料の別をそれぞれ示し、何れの
試料に於いても、Ａは前記したように潤滑剤被膜５をパ
ーフルオロポリエーテルを溶解する溶媒中に浸漬する前
の膜厚、Ｂは前記したように潤滑剤被膜５をパーフルオ
ロポリエーテルを溶解する溶媒中に浸漬した後の膜厚を
それぞれ示している。
【００３９】図に於いて、ａは未処理の試料、ｂは潤滑
剤塗布前及び後に熱処理、ｃはＡｒプラズマ処理＋潤滑
剤塗布前及び後に熱処理、ｄはＮ2 プラズマ処理＋潤滑
剤塗布前及び後に熱処理、ｅはＯ2 プラズマ処理＋潤滑
剤塗布前及び後に熱処理をそれぞれ施した試料を示して
いる。
剤塗布前及び後に熱処理、ｃはＡｒプラズマ処理＋潤滑
剤塗布前及び後に熱処理、ｄはＮ2 プラズマ処理＋潤滑
剤塗布前及び後に熱処理、ｅはＯ2 プラズマ処理＋潤滑
剤塗布前及び後に熱処理をそれぞれ施した試料を示して
いる。
【００４０】図から明らかなように、保護膜４を形成し
た後、未処理のまま潤滑剤を塗布した試料ａでは、残存
比が約０．４０から０．４７であり、これに対し、保護
膜４を形成した後、プラズマ処理及び前熱処理を施し、
潤滑剤被膜５を形成してから後熱処理を施した場合、残
存比は０．９３から１．００に向上している。
た後、未処理のまま潤滑剤を塗布した試料ａでは、残存
比が約０．４０から０．４７であり、これに対し、保護
膜４を形成した後、プラズマ処理及び前熱処理を施し、
潤滑剤被膜５を形成してから後熱処理を施した場合、残
存比は０．９３から１．００に向上している。
【００４１】本発明に於いては、前記実施の形態に限ら
れることなく、また、特許請求の範囲を逸脱することな
く、他に多くの改変を実現することができる。
れることなく、また、特許請求の範囲を逸脱することな
く、他に多くの改変を実現することができる。
【００４２】前記実施の形態に於いては、プラズマ処理
を行なう際に酸素ガスを用いたが、これはＮ2 、Ｈｅ、
Ｎｅ、Ａｒ、Ｋｒ、Ｘｅなどの不活性ガスを用いても同
効であり、その場合のガス流量、プラズマ処理を行なう
場合のパワー、処理時間、更に、熱処理の温度などの条
件は前記実施の形態と全く同じ条件を採用して良い。但
し、ガスは、価格、重さ、取り扱い上などの問題からす
ると酸素ガス、Ａｒガス、Ｎ2 ガスなどを用いるのが適
当である。
を行なう際に酸素ガスを用いたが、これはＮ2 、Ｈｅ、
Ｎｅ、Ａｒ、Ｋｒ、Ｘｅなどの不活性ガスを用いても同
効であり、その場合のガス流量、プラズマ処理を行なう
場合のパワー、処理時間、更に、熱処理の温度などの条
件は前記実施の形態と全く同じ条件を採用して良い。但
し、ガスは、価格、重さ、取り扱い上などの問題からす
ると酸素ガス、Ａｒガス、Ｎ2 ガスなどを用いるのが適
当である。
【００４３】
【発明の効果】本発明に依る磁気記録媒体の製造方法に
於いては、非磁性基板上に少なくとも磁気記録層及びＤ
ＬＣからなる保護膜を積層形成し、保護膜の表面をプラ
ズマ処理してから該非磁性基板を熱処理し、プラズマ処
理及び熱処理された該保護膜の表面に潤滑剤を塗布して
被膜を形成し、潤滑剤被膜が形成された非磁性基板の熱
処理を行なう。
於いては、非磁性基板上に少なくとも磁気記録層及びＤ
ＬＣからなる保護膜を積層形成し、保護膜の表面をプラ
ズマ処理してから該非磁性基板を熱処理し、プラズマ処
理及び熱処理された該保護膜の表面に潤滑剤を塗布して
被膜を形成し、潤滑剤被膜が形成された非磁性基板の熱
処理を行なう。
【００４４】前記構成を採ることに依って作成される磁
気記録媒体に於いては、保護膜と潤滑剤被膜との密着性
は十分に大きく、磁気記録再生装置の起動時に於けるス
ティクションに依る動作不良を防止したり、また、磁気
記録媒体の回転による潤滑剤被膜のスピンオフなどマイ
グレーションを防止するのに有効であり、磁気記録再生
装置を長期に亙って高い信頼性を維持して安定に動作さ
せること可能になる。
気記録媒体に於いては、保護膜と潤滑剤被膜との密着性
は十分に大きく、磁気記録再生装置の起動時に於けるス
ティクションに依る動作不良を防止したり、また、磁気
記録媒体の回転による潤滑剤被膜のスピンオフなどマイ
グレーションを防止するのに有効であり、磁気記録再生
装置を長期に亙って高い信頼性を維持して安定に動作さ
せること可能になる。
【図１】各種試料について潤滑剤の残存比を測定した結
果を表すグラフである。
果を表すグラフである。
【図２】標準的な磁気記録媒体の構造を説明する為の要
部切断側面図である。
部切断側面図である。
Ａ 溶媒に浸漬前の潤滑剤被膜の膜厚 Ｂ 溶媒に浸漬後の潤滑剤被膜の膜厚 ａ〜ｅ 試料 １ 基板 ２ 鍍金膜 ３ 磁気記録層 ４ 保護膜 ５ 潤滑剤被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 祐治 神奈川県川崎市中原区上小田中４丁目１番 １号 富士通株式会社内 (72)発明者 後藤 康之 神奈川県川崎市中原区上小田中４丁目１番 １号 富士通株式会社内 Ｆターム(参考） 4H104 BD06A CD04A PA16 5D112 AA07 AA11 AA24 BC02 BC05 GA02 GA05 GA22 GB01
Claims (3)
- 【請求項１】非磁性基板上に少なくとも磁気記録層及び
ダイヤモンドライクカーボンからなる保護膜を積層形成
する工程と、 次いで、該保護膜の表面をプラズマ処理してから該非磁
性基板を熱処理する工程と、 次いで、プラズマ処理及び熱処理された該保護膜の表面
に潤滑剤を塗布して被膜を形成する工程と、 次いで、該潤滑剤被膜が形成された非磁性基板の熱処理
を行なう工程とが含まれてなることを特徴とする磁気記
録媒体の製造方法。 - 【請求項２】前記保護膜の表面をプラズマ処理する際に
用いるガスが酸素であることを特徴とする請求項１記載
の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項３】前記保護膜の表面をプラズマ処理する際に
用いるガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項
１記載の磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26479399A JP2001093141A (ja) | 1999-09-20 | 1999-09-20 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26479399A JP2001093141A (ja) | 1999-09-20 | 1999-09-20 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001093141A true JP2001093141A (ja) | 2001-04-06 |
Family
ID=17408293
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP26479399A Withdrawn JP2001093141A (ja) | 1999-09-20 | 1999-09-20 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001093141A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7650976B2 (en) | 2003-08-22 | 2010-01-26 | Nissan Motor Co., Ltd. | Low-friction sliding member in transmission, and transmission oil therefor |
| US8206035B2 (en) | 2003-08-06 | 2012-06-26 | Nissan Motor Co., Ltd. | Low-friction sliding mechanism, low-friction agent composition and method of friction reduction |
| US8575076B2 (en) | 2003-08-08 | 2013-11-05 | Nissan Motor Co., Ltd. | Sliding member and production process thereof |
-
1999
- 1999-09-20 JP JP26479399A patent/JP2001093141A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8206035B2 (en) | 2003-08-06 | 2012-06-26 | Nissan Motor Co., Ltd. | Low-friction sliding mechanism, low-friction agent composition and method of friction reduction |
| US8575076B2 (en) | 2003-08-08 | 2013-11-05 | Nissan Motor Co., Ltd. | Sliding member and production process thereof |
| US7650976B2 (en) | 2003-08-22 | 2010-01-26 | Nissan Motor Co., Ltd. | Low-friction sliding member in transmission, and transmission oil therefor |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061205 |