JP2001089390A - 軟骨障害治療剤の新規なスクリーニング方法 - Google Patents

軟骨障害治療剤の新規なスクリーニング方法

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JP2001089390A JP26149899A JP26149899A JP2001089390A JP 2001089390 A JP2001089390 A JP 2001089390A JP 26149899 A JP26149899 A JP 26149899A JP 26149899 A JP26149899 A JP 26149899A JP 2001089390 A JP2001089390 A JP 2001089390A
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cartilage
chondron
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screening
ascorbic acid
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Yuji Kai
祐司 開
Kiyoko Kokita
季世子 小北
Takashi Katsumata
隆 勝又
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟骨障害治療剤の新規なスクリーニング方法
等を提供すること。 【解決手段】 培養軟骨細胞を用いてコンドロン形成活
性を測定することを特徴とする軟骨障害治療剤のスクリ
ーニング方法、および該スクリーニング方法を用いて得
られる軟骨障害治療剤等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟骨障害治療剤の
新規なスクリーニング方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、培養軟骨細胞を用いてコンドロン形成活性を
測定することを特徴とする軟骨障害治療剤のスクリーニ
ング方法、および該スクリーニング方法を用いて得られ
る軟骨障害治療剤などに関する。
【0002】
【従来の技術】軟骨は軟骨細胞とこれを取り囲む基質か
らなる結合組織であり、関節、脊柱の椎間板、肋軟骨、
耳介、外耳道、恥骨結合、咽喉蓋などに存在する。軟骨
は、軟骨細胞および軟骨細胞が産生する軟骨基質からな
り、軟骨基質は軟骨の張力、剪断力および剛性に関与す
るコラーゲン線維などの線維成分、軟骨組織特有の膨潤
性(すなわち圧縮力に対する強度)に関与するプロテオ
グリカン、および水を主な成分としている。軟骨は軟骨
基質の混じりぐあいにより、硝子軟骨(肋軟骨、咽喉軟
骨、関節軟骨など)、弾性軟骨(耳介軟骨など)及び線
維軟骨(椎間板軟骨、恥骨軟骨など)に分類することが
できる。このうち硝子軟骨における軟骨細胞とその特異
的なミクロ環境は、コンドロン(またはラクナ)と呼ば
れている(C.A. Poole , H. Shinkai : The Bone, 4 :
45-50 ,1990)。このコンドロンは、軟骨細胞、その周
囲の間隙(ラクナスペース)、および外周囲の囲みから
構成される繭状の構造で、軟骨基質のホメオスターシス
を保つうえで、機能と代謝にあずかる単位であると言わ
れている。コンドロンは、コラーゲン、プロテオグリカ
ンおよび糖蛋白を成分としたヘテロな複合体を、その周
囲の基質の成分よりもさらに高密度で構成し、外圧から
の軟骨細胞保護、あるいは細胞と基質間の物質透過の働
きをしていると言われている(C. A. Poole : J. Ana
t.,191 : 1-13 ,1997)。このように軟骨組織の機能維
持においてコンドロンが重要な役割を果たしていること
が近年明らかになってきたが、当該コンドロンを in vi
troで形成させたという報告はなく、また、このコンド
ロンの形成現象に着目してこれを医薬品(軟骨障害治療
剤)の開発に利用したといった報告もなされていない。
【0003】ところで軟骨障害に関しては、従来より軟
骨の障害に起因する種々の疾患が知られており、例え
ば、変形性関節症をはじめとして、軟骨形成の障害によ
る骨折の修復・治癒不全などが知られている。特に、高
齢化社会の到来、あるいはスポーツによる外傷の増加な
どにより関節障害患者は著しく増加しており、この領域
における医療の進歩が要望されている。従来から軟骨障
害を治療するために種々の治療法が試みられてきている
が、それらは直接的な原因の解消を目的とするものでは
なく、例えば抗炎症剤などを投与することにより、その
疾患に基づく痛みなどの障害を抑制する方法、あるいは
関節にヒアルロン酸製剤などを注入して関節の動きを潤
滑にする方法など、対症療法的なものでしかない。また
軟骨欠損に対する治療法として、軟骨細胞移植が行なわ
れているが、移植後のホスト側の軟骨基質との接着が不
十分であり、治療法としての確立はなされていない。さ
らに軟骨細胞移植治療法は侵襲性であることから、患者
への負担が大きく、また感染の可能性も否定できない。
以上のように軟骨障害の根治的治療法は見出されていな
いことから、特に患者数が多い変形性関節症などでは、
その有効な治療剤、および当該治療剤探索のための新規
なスクリーニング系の構築が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軟骨障害治
療剤の新規なスクリーニング方法を提供することを目的
とする。すなわち本発明は、培養軟骨細胞を用いてコン
ドロン形成活性を測定することを特徴とする軟骨障害治
療剤のスクリーニング方法、および該スクリーニング方
法を用いて得られる軟骨障害治療剤などを提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは従来より、
培養軟骨細胞を用いて種々の機能検討を行ってきた。そ
の過程で本発明者らは、培養軟骨細胞にアスコルビン酸
を添加することにより、軟骨基質のホメオスターシスを
保つうえで機能と代謝にあずかる単位であるコンドロン
が形成されるという現象を見出した。このような、in v
itroでコンドロンの形成をみたのは本発明がはじめてで
あり、また当該コンドロンの形成がアスコルビン酸の作
用により起こることも、本発明において初めて見出した
ものである。
【0006】アスコルビン酸に関しては、軟骨障害に対
して治療効果を有することが既にinvivoで知られてい
た。すなわち、モルモットの軟骨変性モデルにアスコル
ビン酸を投与したところ、軟骨の変性が抑制されたと報
告されている( K.C.R.Meacock et al : J.Exp.Path.,
71 : 279 - 293 , 1990 、Edith R.S. et al : Arthrit
is. Rheum., 24(11)1345 - 1355 , 1981 、Edith R.S.
et al :Lab. AnimalSci., 31 : 683 - 687)。また変形
性関節症患者にアスコルビン酸を大量に投与した結果、
膝の痛みの緩和、および軟骨変性の進行の抑制が報告さ
れている( Timothy M. et al : Ann. Rheum. Dis., 56
: 397 - 402 , 1997 )。
【0007】このように、アスコルビン酸はin vivoで
軟骨変性抑制作用を有することが知られていた。しか
し、当該アスコルビン酸の生理作用は多岐にわたってお
り、軟骨障害治療剤、変形性関節症治療剤としての利用
を考えた場合には目的とされる以外の生理作用を有しな
い治療薬が望まれること、さらにアスコルビン酸は酸化
分解しやすく不安定であることなどから、アスコルビン
酸自身は治療薬として限界があると考えられていた。こ
のような背景から、アスコルビン酸と同様の軟骨変性抑
制作用を有する別の化合物の同定が望まれている状況に
あった。しかし、アスコルビン酸の in vivoでの軟骨変
性抑制作用は前記の如く公知であったが、その作用機序
は未だ特定されていなかったため、軟骨に対するアスコ
ルビン酸様の作用を有する物質をin vitroで効率良くか
つ迅速にスクリーニングする手段は未だ見出されていな
かった。
【0008】前記のように本発明において初めて、アス
コルビン酸の軟骨に対する in vitroの作用としてコン
ドロン形成活性を有することが明らかとなった。そして
この知見を得たことにより、アスコルビン酸様作用を有
する物質をin vitroで効率良くかつ迅速にスクリーニン
グする系を構築することに成功した。すなわち本発明の
スクリーニング系は、培養軟骨細胞を用いてコンドロン
形成活性を測定することを特徴とするものであり、当該
スクリーニング系は、アスコルビン酸の化学構造にとら
われることなく、幅広い化学構造の化合物を対象として
当該アスコルビン酸様作用(コンドロン形成作用)を保
持する軟骨障害治療剤を探索することができるものであ
る。さらに、in vitroでコンドロンが形成されるという
事象を見たのは本発明がはじめてであり、従って本発明
は、コンドロン形成のメカニズム等を解析する上での重
要な手段を提供するという側面も有するものである。本
発明は、以上のような知見に基づき完成するに至ったも
のである。
【0009】すなわち本発明は、(1) 培養軟骨細胞
に被験物質を添加し、コンドロン形成活性を測定するこ
とを特徴とする、コンドロン形成促進剤のスクリーニン
グ方法、(2) 培養軟骨細胞に被験物質を添加し、コ
ンドロン形成活性を測定することを特徴とする、軟骨障
害治療剤のスクリーニング方法、(3) 軟骨障害が、
変形性関節症、軟骨の欠損、軟骨損傷又は半月板損傷で
ある、前記(2)記載のスクリーニング方法、(4)
軟骨障害治療剤の他のスクリーニング方法により少なく
とも一次評価された候補物質を培養軟骨細胞に添加し、
コンドロン形成活性の有無を測定する方法、(5) 培
養軟骨細胞にアスコルビン酸またはその類縁体を添加す
ることによりコンドロンの形成される現象を利用した、
培養軟骨細胞に対するアスコルビン酸またはその類縁体
の作用の解析方法、(6) インターロイキン1、イン
ターロイキン6、またはTNFなどの炎症性サイトカイ
ンで処理した培養軟骨細胞を用いる、前記(1)〜
(5)いずれか記載の方法、(7) グルココルチコイ
ドなどのステロイドホルモンで処理した培養軟骨細胞を
用いる、前記(1)〜(5)いずれか記載の方法、なら
びに(8) 前記(1)、(2)、(3)、(4)、
(6)又は(7)に記載の方法を用いて得られる、アス
コルビン酸以外の軟骨障害治療剤、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のスクリーニング方法と
は、培養軟骨細胞に被験物質を添加し、コンドロン形成
活性を測定することを特徴とする、コンドロン形成促進
剤、軟骨障害治療剤のスクリーニング方法である。
【0011】本発明のスクリーニング方法において用い
られる培養軟骨細胞とは、軟骨より単離・調製された細
胞を指し、当該培養軟骨細胞としては、たとえばウサギ
肋軟骨・関節軟骨由来の初代培養軟骨細胞が挙げられ
る。また該細胞以外に、ウサギ以外の動物種の初代培養
軟骨細胞、または株化された軟骨細胞も使用することが
できる。株化軟骨細胞としては、SW1353細胞、
HIG−82細胞(米国アメリカン タイプ カルチャー
コレクション)などが挙げられる。 前記初代培養軟骨
細胞は、例えば Calcif.Tissue Res., 19,(1975)に記載
の方法等の常法に準じて単離することができる。また前
記初代培養軟骨細胞および株化軟骨細胞は、通常の培養
条件により培養することができる。なお初代培養軟骨細
胞の場合、軟骨細胞としての性質がスクリーニングに使
用するために許容される範囲内であれば、一定期間、継
代して使用することもできる。
【0012】以上のような培養軟骨細胞を実際にスクリ
ーニングに用いる際には、正常な状態のものを用いるこ
ともできるが、インターロイキン1(IL-1)、インター
ロイキン6(IL-6)、またはTNFなどの炎症性サイトカ
インで処理した当該軟骨細胞も用いることができる。す
なわち、これら炎症性サイトカインで軟骨細胞を処理す
ることにより細胞は障害を受け、より軟骨障害に近い状
態になることが知られていることから(P.Thomas et al
: Ann. Rheum. Dis., 50: 75 - 80 , 1991 )、軟骨障
害治療剤のスクリーニングにおいては、以上のようなサ
イトカインで処理した軟骨細胞も用いることができる。
なお、当該サイトカインはいずれも市販されており、シ
グマ社製のものなどを使用することができる。
【0013】さらに前記スクリーニングにおいては、グ
ルココルチコイドなどのステロイドホルモンで処理した
培養軟骨細胞も使用することができる。すなわち、変形
性関節症ではステロイドホルモンを関節内に投与する治
療法が行われているが、当該治療法では軟骨細胞に対し
悪影響を及ぼす可能性が報告されていることから(Frie
dman D.M. et al : J. Rheumatol., 7 ( 6 ) : 850 - 8
56 , 1980 )、本発明の軟骨障害治療剤のスクリーニン
グにおいては、グルココルチコイドのようなステロイド
ホルモンで処理してダメージを与えた軟骨細胞も用いる
ことができる。なお、当該ステロイドホルモンはいずれ
も市販されており、シグマ社製のものなどを使用するこ
とができる。
【0014】本発明においてコンドロンとは、コラーゲ
ン、プロテオグリカンおよび糖蛋白を成分としたヘテロ
な複合体であり、軟骨細胞、その周囲の間隙(ラクナス
ペース)、および外周囲の囲みから構成される繭状の構
造を示す。当該繭状構造はコンドロンに特有の構造であ
ることから、たとえば、培養した軟骨細胞に適切な染色
を施した後、顕微鏡下で観察することにより、当該コン
ドロンを同定・計数することができる。
【0015】本発明におけるコンドロン形成活性の測定
は、培養軟骨細胞に被験物質を添加して行うものであ
り、例えば以下の方法に準じて行うことができる。すな
わち、培養軟骨細胞に対して培養液中の濃度が1〜30μ
M程度になるように被験物質を添加し、その後適当な時
間インキュベーションをした後、培地を除去して95%エ
タノールで細胞を固定する。固定後、エタノールを除去
して蒸留水で洗浄し、その後適当な染色液で細胞を染色
する。染色液としては、トルイジンブルー液、アルシア
ンブルー液などが挙げられる。その後プレートを風乾
し、光学顕微鏡下でコンドロン形成の有無およびコンド
ロン数をカウントすることにより、被験物質がコンドロ
ン形成活性を有するか否かを測定することができる。そ
の際、コントロールである無処置群ではコンドロンが形
成されないのに対して、被験物質処置群ではコンドロン
が形成されていれば、その被験物質はコンドロン形成活
性を有すると判断される。さらに、コンドロン数をカウ
ントすることにより、コンドロン形成活性の程度を判断
することができる。以上のような測定法の具体例は、後
述の実施例に記載されている。
【0016】さらに、上記のような測定方法の他、コン
ドロンを選択的に染色可能な方法、たとえばコンドロン
の成分に対する抗体を酵素標識あるいは蛍光標識するこ
とによる抗体染色法などによっても、コンドロン形成活
性を測定することができる。
【0017】本発明のスクリーニング方法により、単独
でコンドロン形成活性を有する物質を選択できる他、ア
スコルビン酸の有するコンドロン形成活性をさらに促進
する物質をも選択することができる。すなわち、培養軟
骨細胞に対してアスコルビン酸と共に被験物質を添加す
ることにより、アスコルビン酸の有するコンドロン形成
活性を促進する物質をスクリーニングすることができ
る。
【0018】以上のようなスクリーニング方法を用いる
ことにより、コンドロン形成促進剤を容易に選別するこ
とができる。選別されたコンドロン形成促進剤の中に
は、アスコルビン酸の如き軟骨障害治療剤が存在する。
【0019】さらに前記スクリーニング方法は、ケミカ
ルライブラリー等を対象としたいわゆる一次スクリーニ
ングにおいて使用されるのみならず、軟骨障害治療剤の
他のスクリーニング方法により少なくとも一次評価され
た候補化合物(陽性化合物)がコンドロン形成活性を有
するか否かを評価・特徴付けするためにも使用される。
また、軟骨の周囲に存在する骨、靭帯、腱などに対する
何らかの作用が知られているあるいは予想される候補化
合物がコンドロン形成活性を有するか否かを評価・特徴
付けするためにも使用される。具体的には、前記の如く
少なくとも一次評価された候補化合物、あるいは他の組
織での活性が評価ないしは予想された候補化合物を培養
軟骨細胞に添加し、前記と同様のコンドロン形成活性を
測定することにより実施することができる。なおその
際、炎症性サイトカインやステロイドホルモンで処理し
た培養軟骨細胞も用い得ることは言うまでもない。
【0020】本発明においては、以上のような本発明の
スクリーニング方法や二次評価方法を通して選択される
軟骨障害治療剤をも包含するものであり、当該軟骨障害
治療剤としては、例えばアスコルビン酸の類縁体である
イソプロピリジンアスコルビン酸やデヒドロアスコルビ
ン酸(30,136-1、26,155-6,アルドリッチ)等から選択
され得る。ここで治療対象となる軟骨障害とは、具体的
には、例えば変形性関節症、軟骨の欠損、軟骨損傷、半
月板損傷などが挙げられる。また、軟骨細胞移植時の補
助療法剤としての用途も軟骨障害治療剤の用途に含まれ
る。
【0021】本発明の軟骨障害治療剤は、以下のような
投与方法、投与形態および投与量が使用され得る。すな
わち、本発明の軟骨障害治療剤の患者への投与方法とし
ては、経口投与による投与が好ましいが、坐薬としての
投与、静脈内投与、皮下注射、筋肉注射、局所注入、腹
腔内投与なども行い得る。本発明の軟骨障害治療剤は、
上記の投与方法に依存して、種々の単位投与形態で投与
することができる。例えば経口投与のための医薬組成物
は、例えば結合剤(例えばポリビニルピロリドンまたは
ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例え
ばラクトース、セルロースまたはリン酸カルシウム)、
滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウムまたはタル
ク)、崩壊剤(例えば澱粉グリコール酸ナトリウム)な
どの薬学上許容可能な賦形剤を用いて常法により製造し
た錠剤、粉末剤またはカプセルの形態をとることができ
る。錠剤は、当該技術分野の周知の方法によってコーテ
ィングを施すことができる。
【0022】経口投与用の液体製剤は、例えば溶液、シ
ロップまたは懸濁液の形態をとることができ、またはこ
れらを使用前に水または他の適当なビヒクルで構成する
乾燥生成物として提供することができる。このような液
体製剤は、懸濁剤(例えばソルビトールシロップまたは
メチルセルロース)、乳化剤(例えばレシチン)、非水
性ビヒクル(例えば油状エステルまたはエチルアルコー
ル)、および防腐剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチ
ルまたはプロピル)のような薬学上許容可能な添加剤を
用いて常法により製造することができる。口中への局所
投与には、常法で処方した舌下錠、ドロップまたはトロ
ーチなどの形態をとることができる。
【0023】静脈内投与のためには、本発明の治療剤を
水性担体の中に溶解または懸濁させて用いることができ
る。皮下注射、筋肉注射、局所注入、腹腔内投与のため
には、本発明の治療剤を水性または油担体の中に溶解ま
たは懸濁させて用いることができる。あるいは、コラー
ゲン等の生体親和性の材料を用いて、徐放性製剤として
投与することもできる。以上のような軟骨障害治療剤の
投与量は、例えば経口投与の場合、一日量 0.0001mg 〜
1g、好ましくは 0.001mg〜10mg程度を症状が改善される
まで投与することが可能である。
【0024】本発明においてはさらに、培養軟骨細胞に
アスコルビン酸またはその類縁体を添加することにより
コンドロンが形成される現象を利用した、当該軟骨細胞
に対するアスコルビン酸またはその類縁体の作用の解析
方法をも提供するものである。従来技術において記載し
たように、本発明は、培養軟骨細胞にアスコルビン酸を
添加することにより、in vitroではじめて、コンドロン
形成現象を見たものである。ひとたびアスコルビン酸の
作用により軟骨細胞がコンドロンを形成することが明ら
かになれば、この系を利用することにより、アスコルビ
ン酸の軟骨細胞に対する作用メカニズムを詳細に解析す
ることができる。具体的には、例えばこの系にコラーゲ
ン合成阻害剤、アスコルビン酸トランスポーター阻害剤
を添加し、コンドロン形成活性を測定するといった解析
方法が挙げられる。なお、ここで用いられるアスコルビ
ン酸は市販されており、例えば和光純薬社製、関東化学
社製のものなどを用いることができる。また本解析方法
においても、前記の如く炎症性サイトカインやステロイ
ドホルモン等で処理した培養軟骨細胞が使用され得る。
【0025】さらにアスコルビン酸のみならず、当該ア
スコルビン酸の類縁体にもコンドロン形成活性を有する
ものが存在し得、このような類縁体も本解析方法におい
て使用され得る。具体的には、例えばイソプロピリジン
アスコルビン酸やデヒドロアスコルビン酸(30,136-1、
26,155-6,アルドリッチ)等から選択され得る。
【0026】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
なく、本発明の技術分野における通常の変更ができるこ
とは言うまでもない。
【0027】実施例1アスコルビン酸によるコンドロン形成活性の測定 1)細胞と細胞培養 Calcif .Tissue Res.19(1975)に記載の方法をもと
に、3週齢 日本白色ウサギの肋軟骨から成長板軟骨細胞
を単離した。単離された軟骨細胞は、10% FBS、500 U/m
Lペニシリン、50 μg/mlストレプトマイシンを含むDMEM
/F-12等比混合培地(以下、培地Aと称す)中で37 ℃、
5% CO2 / 95 %空気下で維持した。
【0028】2)コンドロン形成活性の測定 前記1)で単離した軟骨細胞を、6 mmウエル(コラーゲ
ンコート96穴プレート)当り2×104 個の密度で播種
し、0.15 mLの培地Aで維持した。24時間後、アスコル
ビン酸(L-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム
塩水和物、和光純薬社製)を含有する0.15 mLの培地
(0.3 % FBS、500 U/mLペニシリン、50 μg/mlストレプ
トマイシンを含むDMEM/F-12等比混合培地、以下培地B
と称す)で48時間インキュベーションした。インキュベ
ーション終了後、培地Bを除去し、95%エタノールで5分
間固定した。固定後、95%エタノールを除去し、蒸留水
で洗浄してから、0.05 % トルイジンブルー液(メルク
社製)で3分間染色した。染色後、蒸留水で洗浄し、プ
レートを風乾させた。光学顕微鏡を用い、コンドロン形
成の有無および1穴当り形成されたコンドロン数をカウ
ントした。その結果、アスコルビン酸は表1に示すよう
にコンドロン形成を誘発・促進することが明らかとなっ
た。
【0029】なお、軟骨細胞のプロテオグリカン合成促
進作用が報告されているTGF-β、IGF-1、PTH、および軟
骨細胞増殖促進作用が報告されているb-FGF(糖質II
(新生化学実験講座3):226〜 ,1991)についても同様
の検討を行ったが、コンドロンの形成は観察されなかっ
た。従ってコンドロンの形成は、プロテオグリカン合成
促進作用あるいは細胞増殖促進作用とは異なった機序の
作用によることが示された。
【0030】
【表1】
【0031】実施例2コンドロン形成促進剤のスクリーニング 実施例1で用いたアスコルビン酸の代わりに被験化合物
(培養液中濃度1〜30μM)を用い、実施例1と同様の
手法によりコンドロン形成の有無および形成されたコン
ドロン数をカウントすることにより、被験化合物がコン
ドロン形成活性を有するか否かを測定することができ
る。その際、コントロールである無処置群ではコンドロ
ンが形成されないのに対して、被験物質処置群ではコン
ドロンが形成されていれば、その被験物質はコンドロン
形成活性を有すると判断される。さらに、コンドロン数
をカウントすることにより、コンドロン形成活性の程度
を判断することができる。
【0032】
【発明の効果】本発明により、培養軟骨細胞を用いてコ
ンドロン形成活性を測定することを特徴とする軟骨障害
治療剤のスクリーニング方法、および該スクリーニング
方法を用いて得られる軟骨障害治療剤などが提供され
る。本発明のスクリーニング方法は、アスコルビン酸の
コンドロン形成促進作用と同様の作用を有する、又は当
該アスコルビン酸の作用をさらに促進する作用を有する
物質を選択的かつ迅速にスクリーニングすることができ
るという利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/50 Z Fターム(参考) 2G045 AA40 BA13 BA14 BB20 BB22 BB24 CB13 DA80 FA16 GC22 4B063 QA01 QA05 QQ08 QQ61 QQ79 QQ91 QQ93 QR48 QR51 QR69 QR77 QS11 QS24 QS36 QX01 4C084 AA17 NA20 ZA962 ZC802

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養軟骨細胞に被験物質を添加し、コン
    ドロン形成活性を測定することを特徴とする、コンドロ
    ン形成促進剤のスクリーニング方法。
  2. 【請求項2】 培養軟骨細胞に被験物質を添加し、コン
    ドロン形成活性を測定することを特徴とする、軟骨障害
    治療剤のスクリーニング方法。
  3. 【請求項3】 軟骨障害が、変形性関節症、軟骨の欠
    損、軟骨損傷又は半月板損傷である、請求項2記載のス
    クリーニング方法。
  4. 【請求項4】 軟骨障害治療剤の他のスクリーニング方
    法により少なくとも一次評価された候補物質を培養軟骨
    細胞に添加し、コンドロン形成活性の有無を測定する方
    法。
  5. 【請求項5】 培養軟骨細胞にアスコルビン酸またはそ
    の類縁体を添加することによりコンドロンの形成される
    現象を利用した、培養軟骨細胞に対するアスコルビン酸
    またはその類縁体の作用の解析方法。
  6. 【請求項6】 インターロイキン1、インターロイキン
    6、またはTNFなどの炎症性サイトカインで処理した
    培養軟骨細胞を用いる、請求項1〜5いずれか記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 グルココルチコイドなどのステロイドホ
    ルモンで処理した培養軟骨細胞を用いる、請求項1〜5
    いずれか記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、6又は7に記載
    の方法を用いて得られる、アスコルビン酸以外の軟骨障
    害治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003062457A1 (en) * 2002-01-22 2003-07-31 Rush-Presbyterian-St. Luke's Medical Center Tissue engineered cartilage for drug discovery
US7476257B2 (en) 2001-09-15 2009-01-13 Rush University Medical Center Methods to engineer stratified cartilage tissue
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RU2683277C1 (ru) * 2018-03-02 2019-03-27 Наталья Константиновна Осина Способ использования хондральных клеток для скринирования веществ, обладающих противовоспалительной активностью

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