JP2001086680A - 多相交流電気機械の電機子巻線 - Google Patents

多相交流電気機械の電機子巻線

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JP2001086680A
JP2001086680A JP25993499A JP25993499A JP2001086680A JP 2001086680 A JP2001086680 A JP 2001086680A JP 25993499 A JP25993499 A JP 25993499A JP 25993499 A JP25993499 A JP 25993499A JP 2001086680 A JP2001086680 A JP 2001086680A
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bar coil
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armature
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Hitoshi Niikura
仁之 新倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電機子電流によって電機子巻線に発生する渦流
損の発生量を抑制しつつ製造工数を低減できる多相交流
電気機械の電機子巻線を提供する。 【解決手段】多相交流電気機械の電機子巻線1は、従来
例と対比すると、540〔°〕の転位角度の上バーコイ
ル2と360〔°〕の転位角度の下バーコイル5とを組
み合わせて用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、大容量の交流発
電機などの多相交流電気機械が備える転位が施されたバ
ーコイルを用いた電機子巻線に係わり、電機子巻線に発
生する損失を抑制しつつ製造工数の低減を図る上で好適
なその構成に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量の多相交流電気機械では電機子巻
線で発生する損失を低減するために、転位が施されたバ
ーコイルを電機子巻線に用いることが一般である。バー
コイルを用いた電機子巻線としてはタービン発電機や水
車発電機などの大容量の多相交流発電機に用いられる電
機子巻線が著名である。以下に、大容量の多相交流発電
機の電機子巻線の場合に代表させて従来例の多相交流電
気機械の電機子巻線を説明するが、まずは、図2〜図6
によって転位が施されたバーコイルを用いた一般例の多
相交流電気機械の電機子巻線を説明する。
【0003】ここで図2は多相交流電気機械のコイルス
ロットに装填された部位の一般例の電機子巻線を電機子
鉄心と共に示す要部の断面図であり、図3は図2に示し
たバーコイルの半製状態の斜視図であり、図4は図2に
よる電機子巻線のコイルエンド部の要部を示す断面図で
ある。図5はバーコイルが装填されたコイルスロットに
発生する漏れ磁束を説明する説明図であり、図6はバー
コイルのコイルエンド部が配設されている部位に発生す
る漏れ磁束を説明する説明図である。なお、図2ではバ
ーコイルを図3のA−A断面図として示している。ま
た、図5および図6には、漏れ磁束の磁束密度のバーコ
イルの位置との関係を明らかにするために、電機子巻線
の要部の半切図を併記してある。
【0004】図2〜図4において、9は、上バーコイル
8,下バーコイル7,スロット楔93,楔下絶縁層9
4,コイル間絶縁層95と、上バーコイル8および下バ
ーコイル7のそれぞれに施された対地絶縁層99,コイ
ルエンド部絶縁層98を備えた大容量の多相交流発電機
の一般例の電機子巻線である。また6は、薄板材製の鉄
心板の多数をその板厚方向で積層し、鉄心長LF (図示
せず)を持つ円筒状に形成された電機子鉄心である。電
機子鉄心6にはその内周に沿って複数のコイルスロット
61が等角度間隔で形成されている。電機子巻線9の上
バーコイル8および下バーコイル7は、平角状の断面形
状を持つ導体である平角銅線に素線絶縁が施された素線
92を用いて転位が施されたバーコイルとして作製され
る。
【0005】すなわち、真っ直ぐな状態の素線92のコ
イルスロット61内に納められる部位に転位ピッチPd
に適合する形状・寸法で幅方向成形や厚さ方向成形がま
ず施される。次に前記成形が施された素線92の複数を
厚さ方向に積層した積層体91の1対(91A,91
B)が準備され、両者を素線92の幅方向に関して左右
に配列して整列配置する。その際に素線92の前記成形
部が組み合わせられて、図3に例示したような転位部構
造を持つバーコイルの半製品が作製される。前記のよう
にして作製されたバーコイル(上バーコイル8および下
バーコイル7)の半製品は、コイルエンド部(バーコイ
ルの両端部のコイルスロット61内に納められない部
位)の素線92に曲げ加工が施されて上バーコイル8お
よび下バーコイル7が完成する。なお、上バーコイル8
と下バーコイル7とではコイルエンド部の曲げ方向が互
いに逆方向となる関係にある。
【0006】また、上バーコイル8と下バーコイル7の
外周部には、コイルスロット61内に納められる部位の
外周部には対地絶縁用の電気絶縁層である主絶縁層99
が、また、コイルエンド部の外周部にはコイルエンド部
絶縁層98がそれぞれ形成される。そうして、主絶縁層
99などが形成された上バーコイル8と下バーコイル7
とは、まず下バーコイル7が、続いて上バーコイル8
が、コイルスロット61に装填される。その際、下バー
コイル7の主絶縁層99と上バーコイル8の主絶縁層9
9との間には、コイル間絶縁層95が介挿される。
【0007】ところで、電機子巻線9の上バーコイル8
および下バーコイル7には、電機子電流が通流すること
によって、直流抵抗損,交流抵抗損および渦流損が発生
することが知られている。直流抵抗損は素線92の平角
銅線が持つ固有抵抗に従うジュール損であり、交流抵抗
損は素線92に交流電流が通流する際に交流電流が素線
92の表面付近に多く分布して通流することが原因で発
生する損失である。電機子巻線9に電機子電流が通流す
ると漏れ磁束が発生し、この漏れ磁束の一部は上バーコ
イル8,下バーコイル7を貫通して通流するが、渦流損
はこの貫通して通流する漏れ磁束が原因となって上バー
コイル8,下バーコイル7に発生する渦電流によるジュ
ール損である。
【0008】次に、渦流損の直接原因である漏れ磁束に
ついて、図5,図6を合わせ用いて説明する。電機子巻
線9の渦流損の観点からは、漏れ磁束はコイルスロット
61内に発生するスロット部漏れ磁束と、コイルエンド
部で発生するコイルエンド部漏れ磁束が対象である。ス
ロット部漏れ磁束は、それぞれのコイルスロット61に
装填された部位の上バーコイル8および下バーコイル7
に通流する電機子電流により図5に示すような磁束密度
の分布で発生し、上バーコイル8,下バーコイル7を横
切るように貫通して通流する。また、コイルエンド部漏
れ磁束は、多相交流発電機の各相の電機子巻線9がそれ
ぞれに持つ多数の上バーコイル8,下バーコイル7に通
流する電機子電流により、任意の上バーコイル8,下バ
ーコイル7が配設されている部位に図6に示すような磁
束密度の分布で発生し、上バーコイル8,下バーコイル
7を貫通して通流する。そうして、スロット部漏れ磁束
およびコイルエンド部漏れ磁束の磁束密度は共に、上バ
ーコイル8よりも下バーコイル7で小さい。
【0009】直流抵抗損および交流抵抗損は交流電流が
素線92に通流することによって発生する本質的な損失
であるが、渦流損は上バーコイル8,下バーコイル7を
貫通して通流する漏れ磁束の磁束密度を低減することで
抑制することができる。この漏れ磁束の磁束密度を低減
するために行われているのが上バーコイル8,下バーコ
イル7に対する前記転位である。すなわち、上バーコイ
ル8,下バーコイル7の転位は、漏れ磁束の直接的な発
生源である上バーコイル8,下バーコイル7に通流する
電機子電流による起磁力を低減するために行われる。
【0010】漏れ磁束の発生源である起磁力の転位を行
うことによる低減効果については、電気角で360
〔°〕の転位が施されたバーコイル(360〔°〕の転
位角度のバーコイル)を用いる従来例の電機子巻線9A
については図7,図8を用いて、また、電気角で540
〔°〕の転位が施されたバーコイル(540〔°〕の転
位角度のバーコイル)を用いる従来例の電機子巻線9B
については図9,図10を用いてそれぞれ説明する。な
お、以下の説明においては、図2〜図6に示した一般例
の電機子巻線および電機子鉄心と同一部分には同じ符号
を付しその説明を省略する。
【0011】ここで図7は、360〔°〕の転位角度の
バーコイルを用いた従来例の多相交流電気機械の電機子
巻線のコイルスロットに装填された部位を電機子鉄心と
共に示す要部の断面図であり、図8は、360〔°〕の
転位角度のバーコイルによる起磁力の低減の効果を説明
する説明図である。また、図9は、540〔°〕の転位
角度のバーコイルを用いた従来例の多相交流電気機械の
電機子巻線のコイルスロットに装填された部位を電機子
鉄心と共に示す要部の断面図であり、図10は、540
〔°〕の転位角度のバーコイルによる起磁力の低減の効
果を説明する説明図である。
【0012】まず、電機子巻線9Aは、図2〜図4に示
した一般例の電機子巻線9と対比して、上バーコイル8
と下バーコイル7に替えて、電気角で360〔°〕の転
位角度の転位が共に施された上バーコイル4および下バ
ーコイル5を用いることのみが相異している。360
〔°〕の転位角度の上バーコイル4,下バーコイル5で
は、電機子鉄心6の鉄心長LF に沿う方向のコイルスロ
ット61の一方の端部における素線92の配列位置と、
鉄心長LF に沿う方向のコイルスロット61の他方の端
部における素線92の配列位置とは同一である。そうし
て、N(偶数)本の素線92を持つ上バーコイル4,下
バーコイル5の転位ピッチPd (図3を参照)は、「P
d =LF /N」の関係で示される値となる。
【0013】ところで電機子巻線9Aが持つ上バーコイ
ル4および下バーコイル5では、図3,図7に例示した
ように複数(偶数)の素線92は整列配置されているの
で、例えば、コイルスロット61の電機子鉄心6の鉄心
長LF に沿う方向の一方の端部において、一方の積層体
91Aの最上部に配置された素線92aと,他方の積層
体91Bの最下部に配置されて素線92aに対して電気
角で180〔°〕ずらした転位が施されている素線92
b(図3を参照)とに着目すると、両素線92a,92
bに通流する電機子電流によって発生する起磁力の観点
からは、電機子電流はこの両素線92a,92bを循環
して通流する循環電流と同じ働きをすることが知られて
いる。
【0014】すなわち素線92a,92bの対に関し
て、循環電流は図8(イ)に示すように循環して通流す
る。そうして、素線92a,92bの対に関して、スロ
ット部漏れ磁束が通流する方向は図8(イ)に示すよう
な位置関係になる。また、循環電流が通流する素線92
a,92bの各部には、循環電流によって起磁力が図8
(ロ)に示したような方向関係と、図8(ハ)に示した
ような量の関係で発生する。コイルスロット61に装填
された部位の素線92a,92bの各部で発生する起磁
力は、図8(ハ)で右下がりのハッチングを付した部分
と右上がりのハッチングを付した部分のようになり、両
者の面積は同一であることによって、コイルスロット6
1内に配設される素線92a,92bに通流する循環電
流は、全体としては起磁力の生成には寄与しないことが
分かる。
【0015】このことは素線92aと素線92bの対以
外の素線92の対でも、その位置関係が転位ピッチPd
だけ順次ずれることを除けば同様に生じている。すなわ
ち、電機子巻線9Aの上バーコイル4,下バーコイル5
では、コイルスロット61内に配設される複数の素線9
2に通流する電機子電流によって生成されてスロット部
漏れ磁束の直接的な発生源である起磁力は、理論的には
零になる。この結果電機子巻線9Aでは、スロット部漏
れ磁束により生じる渦流損の発生量を転位を行わない場
合に対して大幅に低減できて、その温度上昇を低減でき
る。
【0016】しかしながら電機子巻線9Aでは、循環電
流によってそれぞれのコイルエンド部の素線92a,9
2bで発生する起磁力は同一方向〔図8(ハ)を参照〕
であるために、コイルエンド部に配設される素線92
a,92bに通流する循環電流コイルエンド部には転位
を行わない場合と同等の起磁力を発生する。そうして、
このことは素線92aと素線92bの対以外の素線92
の対でも同様であるので、電機子巻線9Aでは、コイル
エンド部には転位を行わない場合と大差の無い磁束密度
のコイルエンド部漏れ磁束が発生する。この結果、電機
子巻線9Aでは転位を行わない場合に対して渦流損を低
減できるのであるが、コイルエンド部漏れ磁束が主原因
での渦流損の発生を免れることができない。これを解決
したのが540〔°〕の転位角度のバーコイルを用いた
電機子巻線9Bである。
【0017】この電機子巻線9Bは、従来例の電機子巻
線9Aと対比して、上バーコイル4と下バーコイル5に
替えて、電気角で540〔°〕の転位角度の転位が共に
施された上バーコイル2および下バーコイル3を用いる
ことのみが相異している。540〔°〕の転位角度の上
バーコイル2,下バーコイル3では、電機子鉄心6の鉄
心長LF に沿う方向のコイルスロット61の一方の端部
における素線92の配列位置と、鉄心長LF に沿う方向
のコイルスロット61の他方の端部における素線92の
配列位置とは電気角で180〔度〕ずれている。また、
N(偶数)本の素線92を持つ上バーコイル2,下バー
コイル3の転位ピッチPd は、「Pd =LF /(1.5
N)」の関係で示される値となり、転位部の個数は電機
子巻線9Aの場合の1.5倍になる。
【0018】そうして電機子巻線9Bが持つ上バーコイ
ル2および下バーコイル3の場合も電機子巻線9Aの場
合と同様に、コイルスロット61の電機子鉄心6の鉄心
長L F に沿う方向の一方の端部において、一方の積層体
91Aの最上部に配置された素線92aと,他方の積層
体91Bの最下部に配置された素線92bとに着目する
と、両素線92a,92bに通流する電機子電流によっ
て発生する起磁力の観点からは、電機子電流はこの両素
線92a,92bを循環して通流する循環電流と同じ働
きをする。
【0019】すなわち素線92a,92bの対に関し
て、循環電流は図10(イ)に示すように循環して通流
する。そうして、素線92a,92bの対に関して、ス
ロット部漏れ磁束が通流する方向は図10(イ)に示す
ような位置関係になる。また、循環電流が通流する素線
92a,92bの各部には、循環電流によって起磁力が
図10(ロ)に示したような方向関係と、図10(ハ)
に示したような量の関係で発生する。コイルスロット6
1に装填された部位の素線92a,92bの各部で発生
する起磁力は、図10(ハ)で右下がりのハッチングを
付した部分と右上がりのハッチングを付した部分のよう
になり、両者の面積は同一であることによって、コイル
スロット61内に配設される素線92a,92bに通流
する循環電流は、全体としては起磁力の生成には寄与し
ないことが分かる。
【0020】このことは素線92aと素線92bの対以
外の素線92の対でも、その位置関係が転位ピッチPd
だけ順次ずれることを除けば同様に生じている。すなわ
ち、電機子巻線9Bの上バーコイル2,下バーコイル3
では、コイルスロット61内に配設される素線92に通
流する電機子電流によって生成されてスロット部漏れ磁
束の直接的な発生源である起磁力は、理論的には零にな
る。この結果電機子巻線9Bでは、スロット部漏れ磁束
により生じる渦流損の発生量を電機子巻線9Aの場合と
同等レベルに低減できる。
【0021】また電機子巻線9Bでは、循環電流によっ
てそれぞれのコイルエンド部に配設される素線92a,
92bで発生する起磁力は、コイルスロット61の一方
の端部における素線92の配列位置と,コイルスロット
61の他方の端部における素線92の配列位置とが電気
角で180〔度〕ずれていることによって、互いに逆向
きの関係になる〔図10(ハ)を参照〕。すなわち、素
線92a,92bに通流する電機子電流によって生成さ
れてコイルエンド部漏れ磁束の直接的な発生源である起
磁力は、理論的には零になる。このことは、素線92
a,素線92bの対以外の素線92の対でも、その位置
関係が転位ピッチPd だけ順次ずれることを除けば同様
である。
【0022】したがって、電機子巻線9Bに通流する電
機子電流によりそれぞれの上バーコイル2,下バーコイ
ル3のコイルエンド部に発生する起磁力の総和は理論的
には零になる。そうして、多相交流電気機械の電機子巻
線9Bのそれぞれのコイルエンド部で電機子電流により
発生する起磁力の総和は、互いに位相が異なる複数相の
上バーコイル2,下バーコイル3のそれぞれのコイルエ
ンド部に通流する電機子電流により発生される起磁力が
互いに打ち消し合う関係で重畳されることによって、理
論的には零になる。
【0023】すなわち電機子巻線9Bでは、任意の上バ
ーコイル2,下バーコイル3のコイルエンド部が配設さ
れた部位に生じるコイルエンド部漏れ磁束の磁束密度
は、電機子巻線9Aの場合よりも大幅に低減される。こ
の結果電機子巻線9Bでは、コイルエンド部漏れ磁束に
より生じる渦流損の発生量を電機子巻線9Aの場合より
も大幅に低減できて、その温度上昇を電機子巻線9Aの
場合よりもさらに低減できる。発明者らが同一仕様の多
相交流発電機の電機子巻線に対して調査したところで
は、電機子巻線9Bの温度上昇値は電機子巻線9Aの場
合の約80〔%〕にまで低減できることが確認されてい
る。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】540〔°〕の転位角
度の上バーコイル2および下バーコイル3を用いる前述
した従来例による電機子巻線9Bは、360〔°〕の転
位角度の上バーコイル4および下バーコイル5を用いる
従来例による電機子巻線9Aに対して温度上昇値を約8
0〔%〕に低減できる。しかしながら、前述したように
バーコイルに必要な転位ピッチPd は「Pd =LF
(1.5N)」であり、電機子巻線9Aの場合の転位ピ
ッチ「Pd =LF /N」の約67〔%〕と大幅に短くす
る必要があると共に転位部の個数が1.5倍となる。
【0025】大容量の多相交流発電機では素線92には
大きな断面積の平角銅線などが採用されるが、図3を用
いて説明したように、バーコイルの転位部はこの素線9
2に大きな変形を伴う成形加工を施す必要があり、しか
も、転位部の素線絶縁に損傷を与えないためには、高い
寸法精度の成形加工が必要である。したがって、素線9
2に大幅に短い転位ピッチPd による成形加工を1.5
倍の箇所に対して必要になる電機子巻線9Bでは、電機
子巻線9Aと対比すると製造工数が増大することで製造
原価の大幅な増大を招いていた。
【0026】この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑
みなされ、その目的は、電機子電流によって電機子巻線
に発生する渦流損の発生量を抑制しつつ製造工数を低減
できる電気機械の電機子巻線を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】この発明では前述の目的
は、 1)複数のコイルスロットを持つ電機子鉄心のそれぞれ
のコイルスロットに装填された上バーコイルおよび下バ
ーコイルでなる多相交流電気機械の電機子巻線におい
て、前記上バーコイルおよび前記下バーコイルは共に素
線を整列配置して形成され、上バーコイルの素線には5
40〔°〕の転位角度による転位が施され、下バーコイ
ルの素線には360〔°〕の転位角度による転位が施さ
れることにより達成される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において
は、図7〜図10に示した従来例の電機子巻線と同一部
分には同じ符号を付しその説明を省略する。図1は、多
相交流電気機械のコイルスロットに装填された部位のこ
の発明の実施の形態の一例による電機子巻線を電機子鉄
心と共に示す要部の断面図である。図1において、1
は、図9に示した従来例による電機子巻線9Bに対し
て、540〔°〕の転位角度の下バーコイル3に替え
て、360〔°〕の転位角度の下バーコイル5を用いる
ようにした電機子巻線である。
【0029】発明者らは、図6においてコイルエンド部
漏れ磁束の磁束密度が上バーコイル部よりも下バーコイ
ル部において小さいことに着目してこの発明に到った。
すなわち、電機子電流により発生される起磁力がコイル
エンド部に存在する場合において、大きな磁束密度のコ
イルエンド部漏れ磁束が通流することになる上バーコイ
ルでは、この漏れ磁束によって上バーコイルに発生され
る渦流損の量が大きいので、コイルエンド部に配設され
る素線92で発生する起磁力を理論的に零にすることが
できる540〔°〕の転位角度のバーコイルを用いるこ
とが、コイルエンド部での渦流損の発生量の抑制を図る
見地から是非必要である。
【0030】しかしながら、相対的に小さな磁束密度の
コイルエンド部漏れ磁束が通流することになる下バーコ
イルでは、この漏れ磁束によって下バーコイルに発生さ
れる渦流損の量が相対的に小さいので、コイルエンド部
での渦流損の発生量の抑制を図る見地からはコイルエン
ド部に配設される素線92で発生する起磁力を理論的に
零にする必要性は低い。そうして重要なことは、前述し
たところにより、360〔°〕の転位角度の下バーコイ
ル5は540〔°〕の転位角度の下バーコイル3よりも
製造工数を大幅に低減できることである。発明者らはこ
れ等のことを巧みに組み合わせことで電機子巻線1を発
明した。
【0031】すなわち、電機子巻線1の上バーコイル2
は540〔°〕の転位角度のバーコイルなので前述した
ところにより、コイルエンド部とコイルスロット部での
漏れ磁束の直接的な発生源である前記起磁力を理論的に
零にすることができる。また、電機子巻線1の下バーコ
イル5は360〔°〕の転位角度のバーコイルなので前
述したところにより、コイルスロット部での漏れ磁束の
直接的な発生源である前記起磁力を理論的に零にするこ
とができると共に製造工数を相対的にかなり低減できる
が、コイルエンド部には前記起磁力が存在することによ
って渦流損が発生する。しかしこの渦流損の発生量は前
記した理由により360〔°〕の転位角度の上バーコイ
ル4で発生する値よりも大幅に少ない。
【0032】発明者らが電機子巻線9Bを用いた多相交
流発電機と同一仕様の多相交流発電機の電機子巻線に対
して調査したところでは、電機子巻線1の温度上昇値は
電機子巻線9Bの場合の約101〔%〕と、電機子巻線
9Bと実質的に同等と見做すことができる値にとどまま
ることが確認されている。なお比較のために、360
〔°〕の転位角度の上バーコイル4と540〔°〕の転
位角度の下バーコイル3とを組み合わせて用いた多相交
流発電機についても調査したが、この場合の電機子巻線
の温度上昇値は電機子巻線9Bの場合の約123〔%〕
であり、電機子巻線9Aの場合に対して大差の無い温度
上昇値であった。
【0033】
【発明の効果】この発明による電気機械の電機子巻線で
は、前記課題を解決するための手段の項で述べた構成と
することで、電気角で540〔°〕の転位が施された上
バーコイルおよび下バーコイルを用いる従来例に対して
約101〔%〕とほぼ同等の温度上昇値としながら、従
来例に対して下バーコイルの転位部の個数が2/3に減
少されると共に,転位ピッチPd が1.5倍に増大され
ることにより、製造工数を大幅に低減することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多相交流電気機械のコイルスロットに装填され
た部位のこの発明の実施の形態の一例による電機子巻線
を電機子鉄心と共に示す要部の断面図
【図2】多相交流電気機械のコイルスロットに装填され
た部位の一般例の電機子巻線を電機子鉄心と共に示す要
部の断面図
【図3】図2に示したバーコイルの半製状態の斜視図
【図4】図2による電機子巻線のコイルエンド部の要部
を示す断面図
【図5】バーコイルが装填されたコイルスロットに発生
する漏れ磁束を説明する説明図
【図6】バーコイルのコイルエンド部が配設されている
部位に発生する漏れ磁束を説明する説明図
【図7】360〔°〕の転位角度のバーコイルを用いた
従来例の多相交流電気機械の電機子巻線のコイルスロッ
トに装填された部位を電機子鉄心と共に示す要部の断面
【図8】360〔°〕の転位角度のバーコイルによる起
磁力の低減の効果を説明する説明図
【図9】540〔°〕の転位角度のバーコイルを用いた
従来例の多相交流電気機械の電機子巻線のコイルスロッ
トに装填された部位を電機子鉄心と共に示す要部の断面
【図10】540〔°〕の転位角度のバーコイルによる
起磁力の低減の効果を説明する説明図
【符号の説明】
1 電機子巻線 2 上バーコイル 5 下バーコイル

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のコイルスロットを持つ電機子鉄心の
    それぞれのコイルスロットに装填された上バーコイルお
    よび下バーコイルでなる多相交流電気機械の電機子巻線
    において、 前記上バーコイルおよび前記下バーコイルは共に素線を
    整列配置して形成され、上バーコイルの素線には540
    〔°〕の転位角度による転位が施され、下バーコイルの
    素線には360〔°〕の転位角度による転位が施される
    ことを特徴とする多相交流電気機械の電機子巻線。
JP25993499A 1999-09-14 1999-09-14 多相交流電気機械の電機子巻線 Withdrawn JP2001086680A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016540482A (ja) * 2013-12-11 2016-12-22 ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングGeneral Electric Technology GmbH 電気機械用の巻線
JP7372128B2 (ja) 2019-12-03 2023-10-31 ファナック株式会社 電動機および電動機の製造方法

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