JP2001083153A - 免疫学的クロマト方式を利用した測定方法 - Google Patents
免疫学的クロマト方式を利用した測定方法Info
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Abstract
いて,その同一膜上に一定の色調が現れる部分と検体の
濃度依存性の色調が現れる部分を備え,それらの色調を
光学的濃度測定装置または目視的に読み取り未知検体の
濃度を測定する方法。 【解決の手段】区分Aに少なくとも2種類以上の異種の
標識抗体を移動可能なように設置し,区分Bには測定項
目の抗体を,区分Cには一定の色調が現れる測定項目に
関係ない抗体を固定してなる免疫学的クロマト分析片に
おいて,未知濃度の検体を2のサンプル注入部より注入
しクロマト展開させた後,区分BとCを光学的に無比書
くし定量する。また区分BとCの色調を目視で比較して
おおよその未知検体の濃度を知る。
Description
クロマト(グラフィー)を使用した体液成分測定方法。
は,一般的には尿糖試験紙や尿蛋白試験紙で使われてお
り,これらは特定成分を化学反応により発色させてその
色調を目視や電気光学的に読みとる方式を取っていた。
尿糖試験紙片を例にとれば,被検査尿による発色度を目
視で,別に印刷した階段状の色調表と比較して,大体の
濃度をつかもうとする方式である。これらの自動読み取
り装置も既に発売され臨床検査に使われている。また化
学反応で検出できない測定対象例えば極微量の蛋白成分
やウイルスなどの測定に、最近は免疫学的クロマト方式
を用いた測定法が普及し,既に多くのキットが発売され
ている。一例を挙げると,妊娠判定試薬やLHホルモン
測定試薬や大腸癌(便潜血反応)の試薬,肝炎ウイルス
(HBsAgやHBsAb,HCAbなど)の試薬およ
びクラミジア検出試薬などが発売されている。免疫学的
クロマト方式を用いた測定法は,既に原理等も公開され
ており実用化されている。この測定法は,図5に示すよ
うに血液や血清、尿などの検体(4)を所定の検体注入
部(2)へ注入すると,ペーパクロマトの原理に従って
検体は移動する。この展開の途中,区分Aに金コロイド
標識抗体や色素標識ラテックス抗体(5)が設置してあ
り,検体(4)が移動し標識抗体(5)と接触する事に
より抗原抗体複合物が形成される。この複合物はさらに
移動し,区分B(6)や区分(7)でそれぞれ免疫学的
に補足されるように構成されているのが一般的であっ
た。またこれらの免疫学的クロマト方式の標識抗体
(5)は,測定項目が2つであれば2種類の標識抗体が
使われていた。これらは区分BとCでそれぞれ別の測定
項目の測定に利用されている。これらは標識抗体の残り
がさらに移動し区分Dで捉えられる方法であった。当然
区分Bで捉えられる標識抗体は,被検検体の濃度で変わ
る。残った標識抗体も当然被検検体濃度で変化し,区分
Dの濃度は変わる。今まで市販されている免疫学的クロ
マト方式を用いた測定法は,区分Dを一般的にコントロ
ールラインと称しているが,それは単に被検検体がクロ
マト方式の最後まで移動したことを示すだけに留まって
いた。図5には,従来法である免疫学的クロマト方式の
測定法である妊娠診断薬を例に取り説明する。区分Aに
は金コロイド標識抗ヒトhCGマウス抗体(5)が移動
可能なように設置され,区分Bには抗ヒトhCGマウス
抗体(6)が固定されており,区分Cには抗マウスヤギ
抗体(7)が固定されている。妊娠している尿検体
(4)を所定の注入部(2)へ注入すると,ペーパクロ
マトの原理に従って検体(4)は移動する。この尿中の
hCGは展開の途中の区分Aで金コロイド標識抗体
(5)と結合し,この複合物はさらに移動し区分Bに固
定された抗ヒトhCGマウス抗体(6)に捉えられる
(ヒトのhCG側を認識)。余った標識抗体(5)はさ
らに移動し区分Cで抗マウスヤギ抗体(7)に捉えられ
る(標識抗体側を認識)。また尿中にhCGがない場合
は,標識抗体が区分Bに結合することなく通過し,区分
Cで捉えられる。従って妊娠反応陽性なら区分BとCに
ラインが出現し,陰性なら区分Cにのみラインが出現す
る。この従来法では,区分Cに捉えられた金コロイド標
識抗体は,検体のhCGの量により変化する。いわゆる
区分Cの色調は一定でないことになる。 参考文献 丸尾 猛他:高感度hCG検出キット、HCGテスト
パック・プラスの基礎的検討と臨床応用、産科と婦人科
58(8)1423,1991 特許公報,特公平7−46107 公開特許公報,特開平10−48212
は一般的に定性の測定法であった。本発明はこの定性法
を,ある程度濃度の変化が分かる方法または定量法とし
て使える新しい方法に関するものである。免疫学的クロ
マト方式の測定法は、定量性が乏しいと言われている。
その定量性が乏しい理由は,たとえ光学的に出現した色
調を読み取ったとしても,バックグランドである支持体
が検体上の物質で僅かに着色したり支持体そのものが不
均一であるため,再現性が良くかった事が原因である。
支持体上を検体が移動するのでその検体の一部や標識抗
体の一部が支持体に残ることは避けられない。測定結果
の色調を光学的に読み取っても検体毎にバックグランド
が変わるので正確な測定が出来なかった。本発明では,
検体毎に異なる支持体のバックグランドの色調に影響を
受けなく,より簡便に正確に測定出来る方法を提供する
ことにある。
の不均一性やバックグランドの相違を考慮し,1検査毎
にまたは同一試験片毎に同じ膜面に検量線を作るための
区分Cまたは区分CとD及び未知検体をとらえる場所で
ある区分Bを持ち,その区分Bおよび区分Cまたは区分
CとDにそれぞれ特異的に結合する金コロイド標識抗体
またはブルーラテックス標識抗体(以後これらを単に標
識抗体という)をあらかじめ区分Aに設置する。区分C
または区分CとDには未知検体と密接な関係のある一定
の濃度が抗原抗体反応により現れるよう調整した抗原ま
たは抗体を設置しておく。本発明においては,区分Cま
たは区分CとDにのみそれぞれ結合する標識抗体の他,
未知検体とのみ結合する別の標識抗体を合わせて設置す
ることで,区分Bの色調と区分Cまたは区分CとDの色
調がそれぞれ異なる色調が現れるよう配置した。(図
1)
ある。1つは自動機器による測定で,一定の色調をもつ
1つの(区分C)ラインか2つの(区分CとD)ライン
と被測定ライン(区分B)の色調をそれぞれ光学的自動
機器で読み取り,それらの相互比較により検体の濃度を
定量しようとした。もう1つは一定の色調をもつ上記区
分Cラインを目視で読み取った場合についてであり,こ
れは当然数字にすることができません。そこで1個の区
分Cラインをもつ場合(図2)について実施形態を説明
する。一定の濃度が現れる区分Cラインの色調と区分B
の被測定ラインとを肉眼で比較して少なくともラインが
「無い」「薄い」「同じ」「濃い」の4つの比較判定
(20)は簡単である。図3にその記録紙を示した。こ
れによると3つの色調と検査日(19)をX軸Y軸と
し,測定結果に従ってただ白丸を黒く塗りつぶす。その
記録紙上の黒丸を線で結べば1つのグラフ(22)が得
られる。このグラフは,一般的に人間の体液いわゆる血
液や尿中にある物質いわゆるタンパク質・糖質・無機質
などの濃度が刻々変化している状態をこのグラフは表し
ている事になる。
を2種類配合し,区分Cで全量捉えることにより予め配
合された一定量の色調が現れるよう工夫した。この実施
例は,定量が必要な癌マーカーである前立腺特異抗原
(PSA)の定量法で説明する。区分Aに,金コロイド
標識抗ヒトPSAウサギ抗体(11)と金コロイド標識
抗ヤギ抗体(12)を移動可能な状態で設置し,区分B
には抗ヒトPSAモノクローナルマウス抗体(13)を
固定し,区分Cには抗ウサギlgGヤギ抗体(14)を
固定した。区分Aの金コロイド標識抗ヤギ抗体(12)
の量は,区分Cで捉えられる金コロイドの色調がPAS
濃度に換算して丁度4ng/mLになるよう調整した。
これらを反射型光学的濃度計で測定した。結果を図4に
示した。図4の未知検体1,2,3の濃度XCは次の計
算式で表現される。 XC=未知検体の区分Bの読み×4.0(ng/mL)
÷区分Cの読み この計算式より未知検体の測定結果は,1 4.7ng
/mL 2 7.1ng/mL 3 9.1ng/mL のようになる。もし,区分Dに別の濃度値と同等の色調
が得られる区分を設定すれば,区分Cと区分Dとから次
の計算式から容易に未知検体の測定値が得られる。区分
Cの値が4ng/mL、区分Dの値が10ng/mLの
場合の未知検体の濃度XCDは次の計算式で与えられ
る。 XCD=(4×未知検体の区分Bの読み−10×区分C
の読み+4×区分Dの読み)÷(区分Dの読み−区分C
の読み)
的に読み取りその結果から未知検体の濃度を測定しよう
とするものであった。この実施例においては,結果の判
定を目視で行った場合の未知検体のおおよその測定値を
得る方法について述べる。本実施例は,黄体形成ホルモ
ン(LH)の測定について述べる。図2において,区分
Aには金コロイド標識抗ヒトLHマウス抗体(16)
と,金コロイド標識抗ウサギ抗体(15)を設置し,区
分Bには抗ヒトLHマウス抗体(17)を固定しまた区
分Cには抗ウサギヤギ抗体(18)を固定した。また区
分Aの金コロイド標識抗ウサギ抗体の量は,区分Cで捉
えられる金コロイドの色調がLH濃度に換算して丁度2
0mlU/mLになるよう調整した。本実施例は,婦人
の尿中の黄体形成ホルモン(LH)が,排卵の開始直前
に急激に上昇することを利用して,不妊症の治療を目的
とした診断薬に適用する。このホルモンは一般的に朝一
番の尿中が一番安定しており濃度も濃い。従って排卵予
定日の数日前から本診断薬を使って,1日一回少なくと
も4日から7日間試験を続ける。結果は図3の検査結果
表に記録する。区分Cのラインと区分Bにラインを目で
見て,図3の20にある判定基準にあるように「無い」
「薄い」「同じ」「濃い」を比較して対応する白丸を黒
く塗りつぶす等の手段を用いて記録する。この記録紙の
黒丸を図3の22のように線で結べば折れ線グラフが得
られる。このグラフを読むと,ピークが出た5月4日前
後が,このホルモンがいちばん多く分泌されて時であ
り,臨床的にその時期が一番妊娠しやすい頃にあたる事
が誰にでも読み取れる。
正常かの判別や治療中にいかにその値が減少するかが重
大な関心事であるのでどうしても定量法でないといけな
いと言われている。中小病院や開業医において,この測
定項目を定量測定をするには高価な免疫測定装置を使用
するか,検査センターに外注するしか有りませんでし
た。また,微量のホルモンや肝炎ウイルスの測定におい
ても同様専用測定機器の導入や検査センター頼りの状況
であった。本発明により免疫学的クロマト方式が定量ま
たは半定量で使用出来るようになったことは,次の面で
効果的である。 1.感度の非常に高い免疫学的クロマト方式が定量また
は半定量測定法として使用出来るようになった。 2.癌マーカが本発明により定量できるようになった。 3.試薬のほとんどが固相化されているため測定機器を
小型化・低コスト化ができるようになった。 4.ベットサイドや中小の病院,開業医でも本測定法な
ら使用できるようになった。 5.測定項目によっては,測定試薬が室温保存で出来る
ので簡便で非常に扱い易くなった。 6.測定項目によっては,機器による測定でなく,目視
で判定し,本発明実施例2のように,読み取り機器が不
要となった。 7.測定項目によっては,本発明実施例2のように患者
自らが,検査することも可能でかつその結果の判定もで
きるようになった。 8.測定後の取り扱いについては,被測定物いわゆる血
清,全血,尿,糞便などは,吸着パットに吸着されてい
るので,外部に漏れることもなく比較的衛生的である。 以上のように本発明によって,その効果は将来のこの分
野の発展をさらに進展させる事が可能になった。
識抗ヒトhCGマウス抗体 11 金コロイド標識ヒトPSAウサギ抗体 12 金コロイド標識抗ヤギ抗体 13 抗ヒトPSAモノクローナルマウス抗体 14 抗ウサギlgGヤギ抗体 15 金コロイド標識抗ウサギ抗体(20mlU
/mL) 16 金コロイド標識抗ヒトLHマウス抗体 17 抗ヒトLHマウス抗体 18 抗ウサギヤギ抗体 19 検査日欄 20 判定基準 21 記録欄 22 グラフ
Claims (5)
- 【請求項1】セルローズアセテート膜やニトロセルロー
ズ膜などの支持担体上の最初の区分Aに金コロイド標識
抗体や色素標識ラテックス抗体等の複数の標識抗体が移
動可能なように乾燥状態で配置されており,その第1の
標識抗体と特異的に結合する第1の抗体が,クロマトグ
ラフイ展開の次の区分Bに固定され,かつ第2,第3の
標識抗体と特異的に結合する第2,第3の抗体がさらに
次の区分Cまたは区分Dに固定された支持担体におい
て,注入された検体がクロマトグラフィ的に標識抗体と
結合または一緒に移動し,区分B,C,Dの抗体にそれ
ぞれ特異的に結合する。その時現れた同一支持担体上の
区分B,C,Dの色調を光学的測定手段で測定しまたは
単に目視で検出し,区分C,Dの色調を参照として検量
線から区分Bの検体の濃度を測定または判定することを
特徴とした免疫学的クロマト方式を利用した測定方法。 - 【請求項2】複数の標識抗体が,測定対照物(測定項
目)と結合する1個または複数の標識抗体と測定対照物
とは直接関係ない1個または複数の標識抗体を含むこと
を特徴とする請求項1の免疫学的クロマト方式を利用し
た測定方法。 - 【請求項3】区分C,Dの色調が,第2,第3の標識抗
体の抗体量により規定された一定の色調になるようあら
かじめ調整されていることを特徴とする請求項1および
請求項2の免疫学的クロマト方式を利用した測定方法。 - 【請求項4】区分C,Dには,第2,第3の標識抗体を
それぞれ特異的に結合する抗体を固定し,かつその抗体
量は,あらかじめ定められた一定の色調になるよう調整
されていることを特徴とする請求項1および請求項2の
免疫学的クロマト方式を利用した測定方法。 - 【請求項5】区分C,Dには,第2の標識抗体と特異的
に結合する抗体を固定し,かつその抗体量は,あらかじ
め定められた一定の色調比になるよう調整されているこ
とを特徴とする請求項1および請求項2の免疫学的クロ
マト方式を利用した測定方法。
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1999
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