JP2001082512A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

Info

Publication number
JP2001082512A
JP2001082512A JP25994299A JP25994299A JP2001082512A JP 2001082512 A JP2001082512 A JP 2001082512A JP 25994299 A JP25994299 A JP 25994299A JP 25994299 A JP25994299 A JP 25994299A JP 2001082512 A JP2001082512 A JP 2001082512A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
piston
roller
transmission system
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25994299A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Kato
芳章 加藤
Yorito Nakao
頼人 中尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP25994299A priority Critical patent/JP2001082512A/ja
Publication of JP2001082512A publication Critical patent/JP2001082512A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細かな締結力の調整が可能なすべり制御型ク
ラッチの機能を確保しつつ、入出力間を継続的に締結さ
せるために必要なエネルギーを軽減させ、併せて、装置
内の省スペース化と共にコストの低減を図ることであ
る。 【解決手段】 クラッチアーム11およびクラッチハブ12
それぞれに設けたクラッチプレート3,4をピストン5
で押圧することによって締結される湿式多板クラッチ1
を有する動力伝達系を具えるクラッチ装置において、ア
ーム11およびハブ12側間に形成されたクサビ空間に介在
するローラ6がアーム11およびハブ12のいずれか一方に
固定されたロータ19r内に収納され、かつ、クラッチケ
ース18に固定された電磁コイル19cの作用により、該ク
サビ空間に押し込まれることによって締結されるローラ
クラッチ2を有する動力伝達系を付加して具え、多板ク
ラッチ伝達系のピストン5を、多板クラッチ伝達系およ
びローラクラッチ伝達系の動力伝達部材の一部として併
用するクラッチ装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入出力側部材の摩
擦部材間に生じるすべり摩擦力を締結力とするすべり制
御型クラッチ伝動系を有するクラッチ装置に、入出力側
部材間に形成されたクサビ空間に介在する回転体に生じ
るクサビ力を締結力とするクサビ力制御型クラッチ伝達
系を付加する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のすべり制御型クラッチとしては、
例えば、図5,6に示すような電制多板クラッチがあ
る。図5は、非通電時の電制多板クラッチを側面から示
した模式断面図、また、図6は、通電時の電制多板クラ
ッチを側面から示した模式断面図である。
【0003】図5,6は同一の電磁式の湿式多板クラッ
チであって、基本的には、入出力間を直結または開放す
るメインクラッチ21と、このメインクラッチ21を動作さ
せるパイロットクラッチ27と、メインクラッチ21および
パイロットクラッチ27間に設けたローディングカム機構
23で構成される。
【0004】メインクラッチ21は、入力シャフト20と一
体のケーシング内に設けた多数のクラッチプレート21a
と、出力シャフト22と一体に設けた多数のクラッチプレ
ート21bとを交互に配し、入出力間を直結するに際して
は、入力側クラッチプレート21aと、出力側クラッチプ
レート21bとの間を押圧させることにより、これらクラ
ッチプレート21a,21b間に生じるすべり摩擦力を締結
力とする。
【0005】パイロットクラッチ27は、入力シャフト20
に設けた多数のクラッチプレート27aと、ローディング
カム機構23を構成するパイロットカム25に設けた多数の
クラッチプレート27bとを交互に配して構成される。パ
イロットクラッチ27は、電磁コイル29に供給される電流
で作動する。電流が供給された場合は、図6(a)に示
す如く、パイロットクラッチ27内に磁界Eが発生するこ
とによって、パイロットクラッチ27の入出力側クラッチ
プレート27a,27b間を押圧させ、パイロットクラッチ
27を直結し、また、電流が供給されない場合は、図5
(a)に示す如く、パイロットクラッチ27内に磁界Eが
発生しないため、パイロットクラッチ27の入出力側クラ
ッチプレート27a,27b間を押圧させることなく、パイ
ロットクラッチ27を開放する。
【0006】ローディングカム機構23は、出力シャフト
22を軸方向に摺動自在なメインカム24とパイロットカム
25との間にボール部材26が介在し、メインカム24は、そ
の軸方向への摺動によって、メインクラッチ21を押圧す
ることができる。
【0007】図5(b)および図6(b)は、ローディ
ングカム機構23を拡大した模式図である。図5(b)に
示すように、ローディングカム機構23は、パイロットク
ラッチ27が開放された状態では、ボール部材26がメイン
カム24およびパイロットカム25に形成された溝内に嵌り
込んで軸方向に押し縮まった状態になる。つまり、電磁
コイル29に電流が供給されない場合、メインクラッチ21
に対してメインカム24からの押圧力が発生しないから、
メインクラッチ21のクラッチプレート21a, 21b間は開
放される。従って、電磁コイル29に電流が供給されない
場合は、メインクラッチ21は開放され、入力シャフト20
からのトルクは出力シャフト22に伝達されない。
【0008】これに対して、パイロットクラッチ27が直
結される状態では、ローディングカム機構23は、図6
(b)に示すように、ボール部材26がメインカム24およ
びパイロットカム25に形成された溝内からずれて軸方向
に押し開かれた状態になる。つまり、電磁コイル29に電
流が供給された場合、メインクラッチ21に対してメイン
カム24からの押圧力が発生するから、メインクラッチ21
のクラッチプレート21a, 21b間は締結される。従っ
て、電磁コイル29に電流が供給された場合は、メインク
ラッチ21が直結され、入力シャフト20からのトルクT
は、メインクラッチ21を介して出力シャフト22に伝達さ
れる。
【0009】一方、従来のクサビ力制御型クラッチとし
ては、例えば、図7〜9に示すような電制ローラクラッ
チがある。図7は、電制ローラクラッチを示し、(a)
は軸方向から示した断面図、また、(b)は側面から示
した断面図である。ローラクラッチは、トルク伝達部お
よび電磁クラッチ部から構成され、多角形状の断面を有
した入力シャフト30と、出力シャフトの外輪32との間に
複数の回転体としての回転ローラ31が介在するものであ
る。
【0010】トルク伝達部は、入力シャフト30、出力シ
ャフトの外輪32、回転ローラ(係合子)31および保持器
34で構成され、入力シャフトのカム面30fと、出力外輪
の内周面32fでクサビ空間を形成し、スイッチばね37に
よって保持器34と回転ローラ31をカム面30fに対して中
立位置に支持している。入力シャフト30は、例えば、図
(a)に示すように、6つのカム面30fを有した六角形
断面で、そのカム面30fそれぞれに保持器34で回転自在
に支持された6つの回転ローラ31を具える。但し入力シ
ャフト30の断面形状および回転ローラ31の個数は、6つ
に限定されるものではない。出力外輪32は、中空の円筒
形であるため、回転ローラ31がカム面30fに対して中立
位置にある場合、回転ローラ31は、入力シャフトのカム
面30fおよび出力外輪の内周面32fの間を空転する。
【0011】電磁クラッチ部は、アーマチュア33,電磁
コイル35およびロータ36で構成され、アーマチュア33に
は保持器34が取り付けられている。電磁クラッチ部は、
電磁コイル35に供給される電流で作動する。電流が供給
された場合は、アーマチュア33がロータ36に吸引される
ため、保持器34がロータ36に対して固定され、また、電
流が供給されない場合は、アーマチュア33がロータ36に
吸引されることがないため、保持器34はロータ36に対し
て開放される。
【0012】図8は、ローラクラッチ内で伝達されるト
ルクTを説明するための作用図である。図8において、
上半分はクラッチが開放されたニュートラルポジション
(中立位置)を示し、図(a)は正面からクラッチを示
した断面図、図(b)は側面から示した断面図である。
また、図8において、下半分はクラッチが締結されたロ
ックポジション(係合位置)を示し、図(c)は正面か
らクラッチを示した断面図、図(d)は側面から示した
断面図である。
【0013】図9は、カム面30fと出力外輪32fとの間
で生じるクサビ力を説明するための作用図であり、
(a)はクラッチが締結されたロックポジション、
(b)はクラッチが開放されたニュートラルポジション
を示している。なお、図9(c)は、入出力側が逆向き
になった他の形態であって、入力側に外輪40を設けると
共に、出力シャフト42の外周にカム面42fを形成し、入
力外輪の内周面40fと出力シャフトのカム面42fとの間
に保持器44で保持された回転ローラ41を介在させたもの
である。
【0014】ここで、図7〜9を参照して、上記電制ロ
ーラクラッチの作用を詳細に説明する。
【0015】図8(b)に示すように、ローラクラッチ
は、アーマチュア33がロータ36に吸引されない状態で
は、ロータ36から離れた状態になる。つまり、電磁コイ
ル35に電流を供給しない場合、保持器34にはスイッチば
ね37による復元力が働くから、図9(b)に示す如く、
回転ローラ31はニュートラルポジションを保持され、そ
れ以後は、入力シャフト30と出力外輪32とが相対回転す
る空転状態となる。従って、電磁コイル35に電流を供給
しない場合は、図8(a)の如く、入力シャフト30と出
力外輪32との間が開放され、入力シャフト30からのトル
クTは出力外輪32に伝達されない。
【0016】これに対して、アーマチュア33がロータ36
に吸引される状態では、アーマチュア33とロータ36との
間に摩擦が発生する。この摩擦力は、スイッチばね37の
力よりも大きく、入力シャフト30が出力外輪32に対して
相対回転しようとすると、図8(d)に示すように、保
持器34がロータ36に対して固定された状態になる。つま
り、電磁コイル35に電流を供給した場合、アーマチュア
33がロータ36に吸引されるから、図9(a)に示す如
く、回転ローラ31が入力シャフトのカム面30fおよび出
力外輪の内周面32fで形成されたクサビ形状部に嵌り込
んだロックポジションに固定され、それ以後、入力シャ
フト30と出力外輪32とは相対回転が不可能な直結状態と
なる。従って、電磁コイル35に電流を供給する場合は、
図8(c)の如く、入力シャフト30と出力外輪32との間
が締結され、入力シャフト30からのトルクTは出力外輪
32に伝達される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うな電制多板クラッチにあっては、電磁コイル29に発生
する電磁力Eの大小に応じてクラッチプレート21a, 21
b間を押圧し、メインクラッチ21で伝達可能なトルクを
決定する。つまり、すべり制御型クラッチにあっては、
入出力シャフト20,22それぞれに有したクラッチプレー
ト21a,21b間に生じるすべり摩擦力を締結力として、
メインクラッチ21を締結する。
【0018】このため、上述のすべり制御型クラッチに
あっては、クラッチ21を締結するに際し、クラッチプレ
ート21a,21b間で生じるすべり摩擦によるエネルギー
損失を免れない。また、エンジン駆動による通常走行
時、または、惰性走行時のように、クラッチ21を継続的
に締結する必要がある場合は、クラッチプレート21a,
21b間を常時押圧させておかなければならないため、こ
の押圧力を発生させるためのエネルギー消費を免れな
い。
【0019】また、すべり制御型クラッチとして電制多
板クラッチを採用する場合には、図5,6に示す如く、
電磁コイルと多板クラッチとを直列配置する必要があっ
たため、特に、大容量のトルクを伝達するクラッチとし
ては、パッケージングの面で不利になっていた。
【0020】一方、クサビ力制御型クラッチは、大容量
のトルクに対しても、コンパクト化が可能であるが、ク
サビ力を利用して一気に締結してしまうため、すべり制
御型クラッチのように滑らかな締結を行うことができな
いという不都合がある。
【0021】そこで、すべり制御型クラッチおよびクサ
ビ力制御型クラッチを一体にした複合クラッチ装置が考
えられる。図4は、複合クラッチの一例を側面から示し
た断面図であって、すべり制御型クラッチとして湿式多
板クラッチを採用したものである。
【0022】上記複合クラッチ装置は、入力軸40および
出力軸43間に、湿式多板クラッチ60およびローラクラッ
チ70を並置したものであって、クラッチケース56の油路
57から供給される油圧で作動ピストン55をスライドさ
せ、作動ピストン55の動作に伴いクラッチピストン65が
クラッチプレート61,62を押圧することにより湿式多板
クラッチ60の締結を開始したのち、出力外周に設けたス
リップリング77からロ−ラクラッチ70の電磁コイル65に
電流を供給し、入力カム面51fおよび出力外輪の内周面
53fで形成されたクサビ空間に回転ローラ71が押し込ま
れることによりローラクラッチ70の締結を行うものであ
る。
【0023】しかして、こうしたローラクラッチでは、
ON/OFFクラッチ用の電磁コイル65の通電用にスリ
ップリング77を必要とし、コスト的に不利である。しか
も、このスリップリング77は、クラッチ装置に関する軸
寸法の増大をもたらし、また、オイルが充填された湿式
多板クラッチを採用するにあっては、スリップリングが
油中で使用されることによる耐久性および信頼性が問題
となる。
【0024】本発明の解決すべき課題は、上述の事実に
鑑みてなされたものであり、細かな締結力の調整が可能
なすべり制御型クラッチの機能を確保しつつ、入出力間
を継続的に締結させるために必要なエネルギーを軽減さ
せ、併せて、装置内の省スペース化と共にコストの低減
を図ることである。
【0025】
【課題を解決するための手段】この目的のため、先ず第
1発明によるクラッチ装置は、入力側部材および出力側
部材それぞれに設けた摩擦部材を、軸方向に移動可能な
ピストンで押圧し、該摩擦部材間に生じるすべり摩擦力
によってクラッチ締結が行われるすべり制御型クラッチ
を有する動力伝達系を具えるクラッチ装置において、前
記入力側部材および前記出力側部材間に形成されたクサ
ビ空間に回転体を介在させ、該回転体が、前記入力側部
材および前記出力側部材のいずれか一方に固定されたロ
ータ内に収納され、かつ、前記クラッチ装置を収容する
クラッチケースに固定された電磁コイルの作用により、
前記クサビ空間に押し込まれることによって生じるクサ
ビ力によってクラッチ締結が行われるクサビ力制御型ク
ラッチを有する動力伝達系を付加して具え、前記すべり
制御型クラッチ伝達系の前記ピストンを、該すべり制御
型クラッチ伝達系および前記クサビ力制御型クラッチ伝
達系の動力伝達部材の一部として併用することを特徴と
することを特徴とするものである。
【0026】第2発明である複合クラッチ装置は、上記
第1発明において、前記併用ピストンを、動力伝達系内
にスプライン嵌合させることを特徴とするものである。
【0027】第3発明である複合クラッチ装置は、上記
第2発明において、前記スプラインのうちの一方が、前
記摩擦要素を取り付けるために形成されたスプラインで
あることを特徴とするものである。
【0028】第4発明である複合クラッチ装置は、上記
第1発明において、前記併用ピストンは、動力伝達系内
にボールスプライン嵌合されていることを特徴とするも
のである。
【0029】第5発明である複合クラッチ装置は、上記
第1乃至4発明のいずれか一発明において、前記ピスト
ンが、スラスト軸受を介して前記クラッチケースに設け
られた非回転の作動ピストンによって押圧されるもので
あることを特徴とするものである。
【0030】
【発明の効果】第1発明であるクラッチ装置の締結は、
摩擦部材を押圧するために大きなエネルギを必要とする
すべり制御型クラッチを始動させたのち、入力側部材お
よび出力側部材間を継続的に締結するために必要なエネ
ルギが小さく済むクサビ制御型クラッチを動作させるこ
とによって行われる。このため、前記すべり制御型クラ
ッチによる締結は、少なくとも、前記クサビ力制御型ク
ラッチの締結が完了するまでの短時間でよい。
【0031】また、第1発明では、前記すべり制御型ク
ラッチ伝達系の前記ピストンを、該すべり制御型クラッ
チ伝達系および前記クサビ力制御型伝達系の動力伝達部
材の一部として併用するため、前記クサビ力制御型クラ
ッチの電磁コイルを収納するロータを動力伝達部材の外
周に取り付け、かつ、電磁コイルをクラッチケースに固
定するレイアウトを成立させることができるから、環境
に応じて耐久性および信頼性が変化しやすく、かつ、軸
方向寸法の増大をもたらすスリップリングを前記電磁コ
イルに通電するために用いる必要がない。
【0032】従って第1発明によれば、細かな締結力の
調整が可能なすべり制御型クラッチの機能を確保しつ
つ、入出力間を継続的に締結させるために必要なエネル
ギーを軽減させ、併せて、装置内の省スペース化と共に
コストの低減を図ることができる。
【0033】第2発明であるクラッチ装置は、上記第1
発明において、動力伝達系内にスプライン嵌合されてい
るから、前記ピストンの組み付けを容易に行うことがで
きる。
【0034】第3発明であるクラッチ装置は、上記第2
発明において、前記スプラインのうちの一方は、前記摩
擦要素を取り付けるために形成されたスプラインである
から、前記ピストンを組み付けるための加工の一部を省
略でき、製造コストを軽減することができる。
【0035】第4発明である複合クラッチ装置は、上記
第1発明において、動力伝達系内にボールスプライン嵌
合されているから、前記ピストンのスライドを円滑に行
うことができる。
【0036】第5発明である複合クラッチ装置は、上記
第1乃至第4発明のいずれか一発明において、前記ピス
トンは、スラスト軸受を介して前記クラッチケースに設
けられた非回転の作動ピストンによって押圧されるもの
であるから、該作動ピストンの気密性が確保され、前記
ピストンを効率的に動作させることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。
【0038】以下、本発明であるクラッチ装置の一実施
形態を、図5,6および図7〜9で説明した電制湿式多
板クラッチおよび電制ローラクラッチを参照して詳細に
説明する。
【0039】図1は、本発明であるクラッチ装置の一実
施形態を側面から示した断面図であって、ケーシング18
内に、クサビ力制御型クラッチであるローラクラッチ2
をすべり制御型クラッチである湿式多板クラッチ1と並
列に配置したものである。本形態の装置では、入力シャ
フト10の出力側端部が開口し、この開口部に出力シャフ
ト13の入力側端部を突き当てした状態で構成されてお
り、出力シャフト13は、軸受B1 を介して入力シャフト
10に支持されている。
【0040】湿式多板クラッチ1の動力伝達系は、クラ
ッチピストン5を介して入力シャフト10と一体に取り付
けられたクラッチアーム11と、出力シャフト13と一体に
取り付けられたクラッチハブ12とで構成され、クラッチ
アーム11の入力側内周面に設けた多数のクラッチプレー
ト3と、クラッチハブ12の外周面に設けた多数のクラッ
チプレート4とを交互に配する。
【0041】クラッチピストン5の一端は、入力シャフ
ト10に対して軸方向にスライド自在にスプラインSで嵌
合され、その他端は、クラッチプレート3を取り付ける
ためのスプラインS1 に軸方向にスライド自在に嵌合さ
れている。またクラッチピストン5の一側面には、クラ
ッチケース18に設けられた非回転の油圧ピストン15がス
ラスト軸受Bs を介して接触し、その他側面には、クラ
ッチピストン5を最も外側の位置に復帰させるためのリ
ターンスプリングrが具えられている。
【0042】油圧ピストン15は、ハウジング16に設けた
油路17から供給される油圧の大小によってクラッチピス
トン5を押圧し、このクラッチピストン5を軸方向に移
動させる。つまり、湿式多板クラッチ1が入力シャフト
10および出力シャフト13間を直結するに際しては、オイ
ルを供給された油圧ピストン15の押し力が、クラッチピ
ストン5を介して、入力側クラッチプレート3および出
力側クラッチプレート4間を押圧させることにより、こ
れらクラッチプレート3,4間に生じるすべり摩擦力を
締結力とする。
【0043】ここで、湿式多板クラッチ1の作用を説明
する。
【0044】湿式多板クラッチ1は、油路17からオイル
が供給されない場合、油圧ピストン15の押し力が生じな
いから、リターンスプリングrの反力によって入出力側
クラッチプレート3,4間を押圧させることなく、これ
らクラッチプレート3,4間を開放する。従って、油路
17からオイルが供給されない場合は、クラッチピストン
5からの押力が生じないため、クラッチアーム11とクラ
ッチハブ12との間が開放され、入力シャフト10からのト
ルクは出力シャフト13に伝達されない。
【0045】これに対して、油路17からオイルが供給さ
れた場合は、油圧ピストン15の押し力が生じ、この押し
力が、クラッチピストン5を介して、入力側クラッチプ
レート3および出力側クラッチプレート4間を押圧させ
ることにより、これらクラッチプレート3,4間を締結
する。従って、油路17からオイルが供給された場合は、
リターンスプリングrの反力に対抗するクラッチピスト
ン5からの押力によって、クラッチアーム11aとクラッ
チハブ12との間が直結され、入力シャフト10からのトル
クは出力シャフト13に伝達される。
【0046】ローラクラッチ2は、図7〜9で説明のロ
ーラクラッチと同様、トルク伝達部および電磁クラッチ
部で構成され、クラッチアーム11と一体に設けられたロ
ーラクラッチ内周面11fと、出力シャフト13に形成され
た多角形状の断面(カム面13f )との間に複数の回転ロ
ーラ6が介在するものである。
【0047】本形態のトルク伝達部は、入力シャフト1
0、クラッチピストン5、クラッチアーム11、回転ロー
ラ6および保持器7、出力シャフト13で構成され、クラ
ッチアーム11の出力側端部の内周面11fと出力シャフト
13のカム面13f とでクサビ形状部(図7〜9で説明した
カム面30fおよび内周面32fで形成したクサビ形状部に
相当)を形成し、回転ローラ6と保持器7とをカム面13
f に対して中立位置に支持している。
【0048】出力シャフト13は、6つのカム面(図7〜
9で説明したカム面30fに相当)13f を有した六角形断
面で、カム面13f それぞれに保持器(図7〜9で説明し
た保持器34に相当)7で回転自在に支持された6つの回
転ローラ(図7〜9で説明した回転ローラ31に相当)6
を具える。クラッチアーム11の出力側端部は、中空の円
筒形であるため、回転ローラ6がカム面13f に対して中
立位置にある場合、回転ローラ6は、クラッチアームの
内周面11fおよび出力シャフト13のカム面13fの間を空
転する。
【0049】電磁クラッチ部は、アーマチュア8および
電磁ソレノイド19で構成され、アーマチュア8には保持
器7が取り付けられている。電磁クラッチ部は、電磁ソ
レノイド19に供給される電流で作動する。電流が供給さ
れた場合は、アーマチュア8が電磁ソレノイド19側に吸
引されるため、保持器7が電磁ソレノイド19側に固定さ
れ、また、電流が供給されない場合は、アーマチュア8
が電磁ソレノイド19側に吸引されることがないため、保
持器7は電磁ソレノイド19側に対して開放される。
【0050】ここで、ローラクラッチ2の作用を説明す
る。
【0051】ローラクラッチ2は、アーマチュア8が電
磁ソレノイド19側に吸引されない状態では、図8(b)
で説明と同様、電磁ソレノイド19側(図7〜9で説明し
たロータ36に相当)から離れた状態になる。つまり、電
磁ソレノイド19に電流を供給しない場合、保持器7には
図示せぬスイッチばね(図7で説明したスイッチばね37
に相当)による復元力が働くから、図9(b)で説明と
同様、回転ローラ6はニュートラルポジションを保持さ
れ、それ以後は、クラッチアームの出力側端部の内周面
(図7〜9で説明した入力シャフト30に相当)11bと出
力シャフト13のカム面(図7〜9で説明した出力外輪32
に相当)13fとが相対回転する空転状態となる。従っ
て、電磁ソレノイド19に電流を供給しない場合は、図8
(a)で説明と同様、クラッチアームの内周面11fと出
力シャフトのカム面13 fとの間が開放され、クラッチア
ーム11からのトルクは出力シャフト13に伝達されない。
【0052】これに対して、アーマチュア8が電磁ソレ
ノイド19側に吸引される状態では、アーマチュア8と電
磁ソレノイド19側との間に摩擦が発生する。この摩擦力
は、前記スイッチばねの力よりも大きく、クラッチアー
ムの内周面11fが出力シャフトのカム面13fに対して相
対回転しようとすると、図8(d)で説明と同様、保持
器7が電磁ソレノイド19側に対して固定された状態にな
る。つまり、電磁ソレノイド19に電流を供給した場合、
アーマチュア8が電磁ソレノイド19側に吸引されるか
ら、図9(a)で説明と同様、回転ローラ6がクラッチ
アームの内周面11fおよび出力シャフトのカム面13fで
形成されたクサビ形状部に嵌り込んだロックポジション
に固定され、それ以後、クラッチアームの内周面11fと
出力シャフトのカム面13fとは相対回転が不可能な直結
状態となる。従って、電磁ソレノイド19に電流を供給す
る場合は、図8(c)で説明と同様、クラッチアームの
内周面11fと出力シャフトのカム面13fとの間が締結さ
れ、クラッチアーム11からのトルクは出力シャフト13に
伝達される。
【0053】図1の装置は、上述の如く、多板クラッチ
1にローラクラッチ2を付加して具え、クラッチアーム
11とクラッチピストン5とを入力シャフト10に一体に取
り付け、多板クラッチ伝達系のクラッチピストン5を、
多板クラッチ伝達系およびローラクラッチ伝達系の動力
伝達部材の一部として併用すると共に、ローラクラッチ
2を多板クラッチ1と並列に配置したものである。
【0054】本実施形態である装置の締結は、クラッチ
プレート3,4を押圧するために大きなエネルギを必要
とする湿式多板クラッチ1を始動させたのち、入出力間
を継続的に締結するために必要なエネルギが小さく済む
ローラクラッチ2を動作させることによって行われる。
このため、湿式多板クラッチ1による締結は、少なくと
も、ローラクラッチ2の締結が完了するまでの短時間で
よい。
【0055】また、湿式多板クラッチ伝達系のクラッチ
ピストン5を、この湿式多板クラッチ伝達系およびロー
ラクラッチ伝達系の動力伝達部材の一部として併用する
ため、ローラクラッチ2の電磁コイル19cを収納するロ
ータ19rを動力伝達部材の外周に取り付け、かつ、電磁
コイル19cをクラッチケース18に固定するレイアウトを
成立させることができるから、環境に応じて耐久性およ
び信頼性が変化しやすく、かつ、軸方向寸法の増大をも
たらすスリップリング77(図4参照)を電磁コイル19c
に通電するために用いる必要がない。
【0056】従って本形態によれば、細かな締結力の調
整が可能な湿式多板クラッチの機能を確保しつつ、入出
力間を継続的に締結させるために必要なエネルギーを軽
減させ、併せて、装置内の省スペース化と共にコストの
低減を図ることができる。
【0057】また、本形態の装置では、クラッチピスト
ン5が動力伝達系内にスプラインS,S1 に嵌合されて
いるから、装置に対するクラッチピストン5の組み付け
を容易に行うことができる。加えて本形態の装置は、ス
プラインS1 が入力側クラッチプレート3を取り付ける
ために形成されたスプラインであるから、クラッチピス
トン5を組み付けるための加工の一部を省略でき、製造
コストを軽減することができる。
【0058】クラッチピストン5は、スラスト軸受Bs
を介してクラッチケース18に設けられた非回転の油圧ピ
ストン15によって押圧されるものであるから、この油圧
ピストン15の気密性が確保され、クラッチピストン5を
効率的に動作させることができる。
【0059】ここで、図2,3は、本発明であるクラッ
チ装置の第2実施形態であって、図2は、本実施形態を
側面から示した断面図、図3は、図2のA−A断面図で
ある。なお、図2,3において、第1実施形態と同一部
分は同一符号をもって説明を省略する。
【0060】本実施形態のクラッチピストン5は、入力
シャフト10およびクラッチアーム11それぞれのスプライ
ン嵌合部をボールスプライン 100a,200aに変更したも
のである。なお、クラッチアーム11側のボールスプライ
ン 200aは、湿式多板クラッチのクラッチアーム11とク
ラッチプレート3とを連結するスプラインS1 の一部を
切り欠いた部分の数カ所に設けられている。
【0061】この実施形態によれば、クラッチピストン
5は動力伝達系内にボールスプライン嵌合されているか
ら、湿式多板クラッチ2の締結に際し、クラッチピスト
ン5のスライドを円滑に行うことができる。
【0062】上述したところは、本発明の好適な実施形
態を示したにすぎず、当業者によれば、請求の範囲にお
いて種々の変更を加えることができる。他のすべり制御
型クラッチとしては、例えば、特開平8−219190
号公報に記載されたパウダークラッチがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明であるクラッチ装置の第一実施形態を
側面から示した断面図である。
【図2】 本発明であるクラッチ装置の第二実施形態を
側面から示した断面図である。
【図3】 図2のA−A断面図である。
【図4】 湿式多板クラッチおよびローラクラッチを並
置したクラッチ装置を側面から示した断面図である。
【図5】 (a)は、すべり制御型クラッチである電制
多板クラッチを非通電時に側面から示した断面図、
(b)は、ローディングカムの作用を説明する拡大図で
ある。
【図6】 同多板クラッチを通電時に側面から示した断
面図、(b)は、ローディングカムの作用を説明する拡
大図である。
【図7】 (a)は、クサビ力制御型クラッチであるロ
ーラクラッチを正面から示した断面図、(b)は、ロー
ラクラッチを側面から示した断面図である。
【図8】 (a)は、電磁コイルOFF時のローラクラ
ッチを正面から示した断面図、(b)は、同ローラクラ
ッチを側面から示した断面図、(c)は、電磁コイルO
N時のローラクラッチを正面から示した断面図、(d)
は、同ローラクラッチを側面から示した断面図である。
【図9】 (a)は、図7のローラクラッチにクサビ力
が生じたときの正面から示した断面図、(b)は、図7
のローラクラッチにクサビ力が生じないときの正面から
示した断面図、(c)は、他のローラクラッチにクサビ
力が生じたときの正面から示した断面図である。
【符号の説明】
1 多板クラッチ(すべり制御型クラッチ) 2 ローラクラッチ(クサビ力制御型クラッチ) 3 入力側クラッチプレート 4 出力側クラッチプレート 5 クラッチピストン 6 回転ローラ 7 保持器 8 アーマチュア 10 入力シャフト 11 クラッチアーム 11f クラッチアーム内周面 12 クラッチハブ 13 出力シャフト 13f 出力シャフトカム面 15 油圧ピストン 16 ハウジング 17 油路 18 ケーシング 19 電磁ソレノイド 19c 電磁コイル 19r ロータ 100a,200a ボールスプライン B1 ,B2 軸受 Bs スラスト軸受 r リターンスプリング S,S1 ,S2 スプライン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力側部材および出力側部材のそれぞれ
    に設けた摩擦部材を、軸方向に移動可能なピストンで押
    圧し、該摩擦部材間に生じるすべり摩擦力によってクラ
    ッチ締結が行われるすべり制御型クラッチを有する動力
    伝達系を具えるクラッチ装置において、 前記入力側部材および前記出力側部材間に形成されたク
    サビ空間に回転体を介在させ、該回転体が、前記入力側
    部材および前記出力側部材のいずれか一方に固定された
    ロータ内に収納され、かつ、前記クラッチ装置を収容す
    るクラッチケースに固定された電磁コイルの作用によ
    り、前記クサビ空間に押し込まれることによって生じる
    クサビ力によってクラッチ締結が行われるクサビ力制御
    型クラッチを有する動力伝達系を付加して具え、 前記すべり制御型クラッチ伝達系の前記ピストンを、該
    すべり制御型クラッチ伝達系および前記クサビ力制御型
    クラッチ伝達系の動力伝達部材の一部として併用するこ
    とを特徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 前記ピストンは、動力伝達系内にスプラ
    イン嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の
    クラッチ装置。
  3. 【請求項3】 前記スプラインのうちの一方は、前記摩
    擦要素を取り付けるために形成されたスプラインである
    ことを特徴とする請求項2に記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 前記ピストンは、動力伝達系内にボール
    スプライン嵌合されていることを特徴とする請求項1に
    記載のクラッチ装置。
  5. 【請求項5】 前記ピストンは、スラスト軸受を介して
    前記クラッチケースに設けられた非回転の作動ピストン
    によって押圧されるものであることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
JP25994299A 1999-09-14 1999-09-14 クラッチ装置 Pending JP2001082512A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25994299A JP2001082512A (ja) 1999-09-14 1999-09-14 クラッチ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25994299A JP2001082512A (ja) 1999-09-14 1999-09-14 クラッチ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001082512A true JP2001082512A (ja) 2001-03-27

Family

ID=17341074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25994299A Pending JP2001082512A (ja) 1999-09-14 1999-09-14 クラッチ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001082512A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003335141A (ja) * 2002-05-22 2003-11-25 Toyoda Mach Works Ltd 車両駆動装置
WO2003097397A1 (fr) * 2002-05-22 2003-11-27 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha Systeme d'entrainement pour vehicule et vehicule a quatre roues motrices utilisant ce systeme
US6688442B2 (en) * 2001-05-14 2004-02-10 Ntn Corporation Power transmission device

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6688442B2 (en) * 2001-05-14 2004-02-10 Ntn Corporation Power transmission device
JP2003335141A (ja) * 2002-05-22 2003-11-25 Toyoda Mach Works Ltd 車両駆動装置
WO2003097397A1 (fr) * 2002-05-22 2003-11-27 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha Systeme d'entrainement pour vehicule et vehicule a quatre roues motrices utilisant ce systeme
US7270205B2 (en) 2002-05-22 2007-09-18 Jtekt Corporation Vehicle drive device, and front-and-rear wheel-driven vehicle formed of the device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3658711B2 (ja) ボールランプ機構及びこれを備えた駆動系クラッチ
JP3658712B2 (ja) ボールランプ機構及びこれを用いた駆動系クラッチ
US6666315B2 (en) Ball ramp clutch with indexing plates
WO2013062063A1 (ja) 動力伝達装置
JP4165362B2 (ja) スタータ
US6888273B2 (en) Integrated motor and clutch assembly
JP4410338B2 (ja) 発進クラッチ
JP2001311460A (ja) 流体伝動装置のロックアップクラッチ
US20020038751A1 (en) Starting clutch and method for controlling same
JP2000310260A (ja) 複合クラッチ装置
EP1503100B1 (en) A power transmitting apparatus with electromagnetically actuated clutching device.
JP2001082512A (ja) クラッチ装置
JP3679335B2 (ja) ハイブリッド自動車における動力伝達装置
JP2005325908A (ja) 回転伝達装置
JP2007002972A (ja) 回転伝達装置
US6708806B2 (en) Power transmission apparatus
CA2561836C (en) Integrated motor and clutch assembly
CN221033697U (zh) 离合器装置及机动二轮车
JP2554096Y2 (ja) クラッチ装置
JP2006349109A (ja) 回転伝達装置
US20230332653A1 (en) Controllable clutch assembly
JP2007051670A (ja) 回転伝達装置
JPH1089381A (ja) クラッチ装置
JPH02256926A (ja) 多板式摩擦要素
JPH07151168A (ja) 電磁クラッチ