JP2001081685A - 積層板用不織布 - Google Patents

積層板用不織布

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JP2001081685A
JP2001081685A JP25806899A JP25806899A JP2001081685A JP 2001081685 A JP2001081685 A JP 2001081685A JP 25806899 A JP25806899 A JP 25806899A JP 25806899 A JP25806899 A JP 25806899A JP 2001081685 A JP2001081685 A JP 2001081685A
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fiber
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inorganic hybrid
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JP25806899A
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Tomoyuki Terao
知之 寺尾
Setsuo Toyoshima
節夫 豊島
Satoshi Demura
智 出村
Kazutoshi Haraguchi
和敏 原口
Akira Obayashi
明 王林
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New Oji Paper Co Ltd
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Oji Paper Co Ltd
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、プリント
配線板をはじめとする電気絶縁材料として有用な、高温
下での強度に優れ、且つ低吸湿性で低熱膨張率の積層板
用不織布、該不織布の製造方法、該不織布を用いたプリ
プレグ、及び積層板を提供することにある。 【解決手段】 メタ系芳香族ポリアミド中に、平均粒径
が8〜300nm、アルカリ金属含有率が2重量%以下
のガラス5〜65重量%を均一に含有するか、又は層状
粘土鉱物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集
厚みが10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイ
ブリッド繊維と有機繊維と必要に応じて熱硬化性樹脂バ
インダーとから成り、有機/無機ハイブリッド繊維の有
機成分と有機繊維とを結合せしめた積層板用不織布、そ
の製造方法、該不織布から成るプリプレグ、及び積層
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板を
はじめとする電気絶縁材料用の基材不織布に関し、更に
詳しくは、低吸湿、低熱膨張率で、反りの少ない積層板
を得るのに好適な積層板用不織布、その製造方法、該積
層板用不織布に熱硬化性樹脂を含浸乾燥してなるプリプ
レグ、及び該プリプレグから成る積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】電気絶縁積層板は一般に、紙、ガラス
布、ガラス不織布等の基材にフェノール樹脂、エポキシ
樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し、これを加熱乾燥して半
硬化状態のプリプレグとし、このプリプレグを複数枚積
層して金属箔(一般的には銅箔)とともに熱圧成型する
ことにより製造され、主にプリント配線板として民生
用、産業用の電子機器など広範な分野に使用されてい
る。
【0003】しかし、近年の電子工業の著しい発展によ
り、プリント配線板への要求品質が益々高度化してい
る。例えば、従来の多層板における層間の接続はスルー
ホールが主流であったが、高密度化のためにレーザー光
の照射によるIVH(非貫通穴)加工が採用されつつあ
り、プリント配線板にレーザー加工適性が望まれてい
る。また、信号伝送速度の向上のため低誘電率化が求め
られているが、誘電特性は水分の影響が大きいことから
基板の低吸湿化が望まれている。
【0004】更に、配線の高密度化のためにリードレス
チップ部品をプリント配線板に表面実装する方式が主流
となってきており、プリント配線板の平面方向における
熱膨張係数がリードレスチップ部品の熱膨張係数(2〜
7ppm/℃)にできるだけ近いことや反りの少ないこ
とが望まれている。
【0005】上記課題を解決するために、例えばパラ系
アラミド繊維を主原料とする不織布が提案されている。
パラ系アラミド繊維はその軸方向において高弾性率で負
の熱膨張を示すため、積層板とした時の樹脂の熱膨張を
抑制し、平面方向において従来にない低熱膨張率の基板
が得られる。しかし、パラ系アラミド繊維はその厚さ方
向への熱膨張が大きく、基板の厚さ方向の熱膨張が大き
くなるという欠点がある。
【0006】また、パラ系アラミド繊維のバインダーと
して熱硬化性樹脂バインダーを使用しているため、バイ
ンダー樹脂の熱膨張の影響が大きく、パラ系アラミド繊
維の特徴を活かしきれていない。更に、高温雰囲気下で
の強度が弱いため、樹脂ワニス含浸後の乾燥工程や積層
板成型時の熱プレス等の加熱工程において不織布の変形
が生じ易く、反りの要因となると考えられる。
【0007】一方、バインダーとして樹脂バインダーの
代わりにメタ系アラミド繊維を配合する方法やメタ系ア
ラミドパルプを配合する方法が提案されている。しか
し、メタ系アラミドはパラ系アラミド繊維や樹脂バイン
ダーに比べ吸湿性が高いため、不織布の吸湿性が高くな
るといった問題がある。
【0008】また、低吸湿、低熱膨張係数の無機物を填
料として不織布中に含有せしめる方法が考えられるが、
繊維間の結合を阻害することから不織布の強度低下が問
題となったり、含浸する樹脂との相性によっては基板の
耐熱性や電気特性悪化要因ともなる。更にレーザー加工
適性を損なうことからも、従来、無機填料の混入は好ま
しくなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、プリント配線板をはじめとする電気絶縁材
料として有用な、高温下での強度に優れ、且つ低吸湿性
で低熱膨張率の積層板用不織布、該不織布の製造方法、
該不織布を用いたプリプレグ、及び積層板を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、有機/無機ハイブリッド繊維と有機繊維
とを結合させた不織布を用いることにより、上記課題を
解決できることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0011】即ち、本発明は、(1)メタ系芳香族ポリ
アミド中に平均粒径が8〜300nm、アルカリ金属含
有率が2重量%以下のガラス5〜65重量%を均一に含
有する有機/無機ハイブリッド繊維と有機繊維とから成
り、有機/無機ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊維
とを結合せしめた積層板用不織布と、(2)メタ系芳香
族ポリアミド中に平均粒径が8〜300nm、アルカリ
金属含有率が2重量%以下のガラス5〜65重量%を均
一に含有する有機/無機ハイブリッド繊維と有機繊維と
熱硬化性樹脂バインダーとから成り、有機/無機ハイブ
リッド繊維の有機成分と有機繊維と熱硬化性樹脂バイン
ダーとを結合せしめた積層板用不織布と、(3)熱硬化
性樹脂バインダーの含有率が0.1〜5重量%である
(2)に記載の積層板用不織布と、(4)有機/無機ハ
イブリッド繊維が、水と水ガラスとジアミンモノマーと
を必須成分とする水溶液相と、有機溶媒とアシル化した
ジカルボン酸モノマーとを必須成分とする有機溶液相と
を接触させて得られたものである(1)〜(3)のいず
れか一つに記載の積層板用不織布と、
【0012】(5)メタ系芳香族ポリアミド中に層状粘
土鉱物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集厚
みが10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイブ
リッド繊維と有機繊維とから成り、有機/無機ハイブリ
ッド繊維の有機成分と有機繊維とを結合せしめた積層板
用不織布と、(6)メタ系芳香族ポリアミド中に層状粘
土鉱物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集厚
みが10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイブ
リッド繊維と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダーとから
成り、有機/無機ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊
維と熱硬化性樹脂バインダーとを結合せしめた積層板用
不織布と、(7)熱硬化性樹脂バインダーの含有率が
0.1〜5重量%である(6)に記載の積層板用不織布
と、(8)有機/無機ハイブリッド繊維が、メタ系芳香
族ポリアミドと層状粘土鉱物とを有機溶媒に完全に溶解
し、該溶液から有機溶媒を除去して得たものであること
を特徴とする(5)〜(7)のいずれか一つに記載の積
層板用不織布と、
【0013】(9)メタ系芳香族ポリアミドがポリ(m
−フェニレンイソフタラミド)であることを特徴とする
(1)〜(8)のいずれか一つに記載の積層板用不織布
と、(10)有機/無機ハイブリッド繊維:有機繊維の
重量比が4:96〜37:63である(1)〜(9)の
いずれか一つに記載の積層板用不織布と、(11)上記
の(1)〜(10)のいずれか一つに記載の積層板用不
織布に熱硬化性樹脂を含浸乾燥してなるプリプレグと、
(12)上記の(11)に記載のプリプレグを少なくと
も1枚以上積層した積層板と、
【0014】(13)メタ系芳香族ポリアミド中に平均
粒径が8〜300nm、アルカリ金属含有率が2重量%
以下のガラス5〜65重量%を均一に含有する有機/無
機ハイブリッド繊維と有機繊維とを加熱加圧して、有機
/無機ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊維とを結合
せしめる積層板用不織布の製造方法と、(14)メタ系
芳香族ポリアミド中に平均粒径が8〜300nm、アル
カリ金属含有率が2重量%以下のガラス5〜65重量%
を均一に含有する有機/無機ハイブリッド繊維と有機繊
維と熱硬化性樹脂バインダーとを加熱加圧して、有機/
無機ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊維と熱硬化性
樹脂バインダーとを結合せしめる積層板用不織布の製造
方法と、(15)熱硬化性樹脂バインダーの含有率が
0.1〜5重量%である(14)に記載の積層板用不織
布の製造方法と、
【0015】(16)メタ系芳香族ポリアミド中に層状
粘土鉱物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集
厚みが10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイ
ブリッド繊維と有機繊維とを加熱加圧して、有機/無機
ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊維とを結合せしめ
る積層板用不織布の製造方法と、(17)メタ系芳香族
ポリアミド中に層状粘土鉱物8〜23重量%を、その層
厚み方向の平均凝集厚みが10nm以下で分散して含有
する有機/無機ハイブリッド繊維と有機繊維と熱硬化性
樹脂バインダーとを加熱加圧して、有機/無機ハイブリ
ッド繊維の有機成分と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダ
ーとを結合せしめる積層板用不織布の製造方法と、(1
8)熱硬化性樹脂バインダーの含有率が0.1〜5重量
%である(17)に記載の積層板用不織布の製造方法
と、
【0016】(19)有機/無機ハイブリッド繊維を、
メタ系芳香族ポリアミドと層状粘土鉱物とを有機溶媒に
完全に溶解し、次いで該溶液から有機溶媒を除去して得
ることを特徴とする(16)〜(18)のいずれか一つ
に記載の積層板用不織布の製造方法と、(20)メタ系
芳香族ポリアミドがポリ(m−フェニレンイソフタラミ
ド)であることを特徴とする(13)〜(19)のいず
れか一つに記載の積層板用不織布の製造方法と、(2
1)有機/無機ハイブリッド繊維:有機繊維の重量比が
4:96〜37:63である(13)〜(20)のいず
れか一つに記載の積層板用不織布の製造方法とを含むも
のである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の積層板用不織布は、ま
ず、有機/無機ハイブリッド繊維(以下、単にハイブリ
ッド繊維とも記す)と、有機繊維からなるスラリーを湿
式抄紙し、必要に応じてこれに熱硬化性バインダーを添
加せしめた後、加熱加圧し、有機繊維を結合させて得ら
れるものである。
【0018】使用する有機繊維は、特に限定されるもの
ではないが、本発明の目的とするところが低吸湿、低熱
膨張率の積層板を提供することであることから、低吸
湿、低熱膨張率、高弾性率の有機繊維が好ましい。この
ような繊維としては、パラ系アラミド繊維(例えばテク
ノーラ/帝人社製)、ポリアリレート系繊維(例えばベ
クトラン/クラレ社製)、PBO繊維(例えばザイロン
/東洋紡社製)等を挙げることができる。
【0019】本発明でいう有機/無機ハイブリッド繊維
とは、ガラス又は層状粘土鉱物を含有するメタ系芳香族
ポリアミド繊維を指す。ガラスを含有するメタ系芳香族
ポリアミド繊維とは、水と水ガラスとジアミンモノマー
とを含む水溶液相(A)と、有機溶媒とアシル化したジ
カルボン酸モノマーとを含む有機溶液相(B)とを接触
させて得たガラスとポリアミドとのハイブリッド繊維
(C)を指す。
【0020】水溶液(A)と有機溶液(B)の接触によ
り、その界面にて液中のモノマーが重縮合しポリアミド
を与える。係る反応は、ショッテン−バウマン反応を有
機ポリマー生成に応用したものであり、それぞれの相中
の二官能性モノマーを重合させる、いわゆる界面重縮合
反応として知られる。
【0021】この反応により、水溶液相(A)中のジア
ミンモノマーと、有機溶液相中(B)のアシル化したジ
カルボン酸モノマーから、ポリアミドが常温で殆ど瞬時
に得られる。また、本反応は重縮合反応であるにもかか
わらず、実質的に非平衡反応であり、両モノマーのモル
比は生成有機ポリマーの重合度にあまり影響しない。従
って、両モノマーのモル比の厳密な管理が不要である。
【0022】アシル化したジカルボン酸モノマーとして
は、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、及びこ
れらの芳香族環の一個以上の水素をハロゲン、ニトロ
基、シアノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エト
キシ基から選ばれる一種以上の基で置換された芳香族ジ
カルボン酸二塩化物が代表的な例として挙げられ、単独
又は組み合わせた形で用いられて良い。
【0023】また、ジアミンモノマーとしては、m−フ
ェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5’
−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、
2,3−ジアミノナフタレン、3,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’
−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、及びこれらの芳香族環の一個以上の水素をハロゲ
ン、ニトロ基、又はアルキル基で置換した芳香族ジアミ
ンが代表例として挙げられ、単独又は組み合わせた形で
用いられて良い。
【0024】これらモノマーの組合せとしては、ポリ
(m−フェニレンイソフタラミド)を与える塩化イソフ
タロイルとm−フェニレンジアミンの組合せが好まし
い。これら界面重縮合反応を行う際に、水溶液相(A)
に水ガラスを共存させることにより、ポリアミドの生成
及び、これへのガラスの均一なる導入を同時に行い、ハ
イブリッド繊維(C)を得るものである。水溶液相
(A)と有機溶液相(B)との界面でのポリアミドの生
成に伴い、反応系に存在する水ガラスが、常温かつ瞬時
に生成ポリアミドのマトリックス中に均一に取り込まれ
る。
【0025】ここでいう水ガラスとは、アルカリ金属
(M)と珪素と酸素を主な構成元素とし、一般にM2
・nSiO2の組成式を有するガラスであり、水に対す
る大きな溶解度のため普通のガラスと区別される。尚、
わが国では上記の水ガラスを水に溶解せしめた溶液を、
水ガラスと呼称することが多いが、本発明においては水
分を含まないガラス成分自身を水ガラスと定義する。
【0026】係る水ガラスとしては、Mがナトリウムも
しくはカリウムといったアルカリ金属であることが好ま
しく、また水への溶解性に優れる点でnの範囲が1.2
≦n≦4であることが好ましい。水ガラスを各種の酸に
よる加水分解や、シリル化といった前処理を一切必要と
せずに、直接使用出来ることも本発明の特長の一つであ
る。
【0027】水溶液相(A)と有機溶液相(B)とは、
予め別々に調製される。水溶液相(A)中の水ガラスの
濃度は4〜100g/L(L=リットル)の範囲が好ま
しい。水ガラス濃度が4g/L未満であると、ポリアミ
ドへの十分な量の複合化が行われず、100g/Lを超
えると後述のアルカリ金属除去が不十分となる不具合を
生ずる。複合体中のガラス分率は、水ガラスの濃度を調
製することにより容易に制御でき上記濃度範囲から5〜
65重量%とすることが可能である。
【0028】水溶液相(A)中のジアミンモノマーの濃
度としては、重縮合反応を十分に進行させる観点から、
0.01〜5モル/Lの濃度範囲が好ましい。水溶液相
(A)は、水ガラス及びジアミンモノマーを水に添加し
て得られ、添加の順序は特に制限されないが、水ガラス
の添加に際しては、予め水ガラスを水に溶解せしめた水
溶液を用いることも可能である。例えば、日本工業規格
(JIS K1408−1950)に記載の水ガラス1
号、2号、3号、4号といった予め水に溶解せしめた水
ガラス(M2O・nSiO2の組成式においてMがナトリ
ウムであり、1.2≦n≦4である)を使用することが
出来る。
【0029】モノマーの重縮合反応を十分に促進させる
目的で、水酸化ナトリウム等の酸受容体及び/又はラウ
リル硫酸ナトリウム等の界面活性剤が添加されてもよ
い。酸受容体は反応により放出されるプロトンを中和
し、また界面活性剤はモノマー間の接触効率を上昇させ
反応を促進する。但し、酸受容体、界面活性剤を用いな
くともポリアミドの生成は十分に行える場合が多い。
尚、水ガラス自身も塩基性であり、酸受容体としての作
用も有する。
【0030】各成分の水への溶解は室温にて行うことが
可能である。得られた水溶液相(A)は均一透明である
ことが好ましい。また、有機溶液相(B)に使用す有機
溶媒としては、一般的に界面重縮合に使用される、例え
ばトルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2−ブタノ
ンを代表的例として挙げることが出来る。
【0031】有機溶液相(A)中のアシル化したジカル
ボン酸モノマーの濃度としては、重縮合反応が十分に進
行すれば特に制限されないが、0.01〜5モル/Lの
濃度範囲が好ましい。これら溶液相の調製法は、特に限
定されるものではないが、例えば常温で溶媒中に上述の
成分を添加、攪拌すれば良い。この際、各成分は予め該
溶媒に溶解し溶液状態とした形で添加しても良い。水溶
液相と有機溶液相はともに均一透明であることが好まし
い。次いで、得られた水溶液相と有機溶液相を接触させ
て反応を行う。
【0032】重縮合反応の速度が速いため、反応を−5
℃〜40℃の範囲で行うことが可能で、特に加熱設備を
必要とせずに常温で反応を行うことが出来る。係る反応
は静止系又は撹拌系にて行うことが可能である。静止系
においては、水溶液相(A)と有機溶液相(B)の界面
にて生成するハイブリッドを糸状に引きながら連続的に
紡糸することが可能であり、紡糸後の長尺の繊維を機械
的に裁断して、抄紙可能なハイブリッド繊維(C)が得
られる。
【0033】静止系にて得た繊維長は後述の撹拌にて得
たそれより通常大であり、強度に優れるペーパーを与え
るが、いったん紡糸されたハイブリッド繊維(C)は強
靱であるが故に、強い裁断力が要求され、例えば高速で
回転する金属刃等の適用が望ましい。本発明によるハイ
ブリッド繊維(C)はガラスが均一に導入されているた
め、機械的裁断が純ポリアミドに比し容易であるといっ
た製法上の利点を有する。
【0034】撹拌系においては水溶液相(A)と有機溶
液相(B)の一方を撹拌しながら、もう片方の成分を一
度にもしくは滴下にて添加するが、この際裁断能のある
撹拌系は静止系に比し反応時間が短く、例えば2分程度
に設定できる利点がある。但し、撹拌系においてポリマ
ー生成反応と裁断とを同時に、裁断効率の強すぎる条件
にて行うと、繊維長が短くその抄紙性を損なう恐れがあ
るため、条件設定には注意を要する。パルプ長は任意に
設定でき、例えば、150〜10000μmの範囲で繊
維長を調節することが容易で、なかでも200〜800
0μmの範囲が良い抄紙性を与える。
【0035】いずれの場合においても、裁断の前後に適
宜未反応モノマーや副生成物を完全に除去する目的で有
機溶媒や水で洗浄する工程を導入しても良く、例えば先
ずアセトンで洗浄し、次いで濾別し、続いて水洗をした
後に裁断することも可能である。尚、モノマー種や溶媒
種、その他の共存成分により生成ハイブリッドが必ずし
も繊維状とならず、微粉体等の形状で得られる場合もあ
るが、生成ポリアミド成分の良溶媒中にいったん溶解さ
せ、次いで水等の凝固浴に剪断応力作用下にて再凝固す
ると上記性状のハイブリッド繊維が得られる。係る良溶
媒への溶解は完全でなくとも繊維状物が得られれば差し
支えない。溶解時に、ハイブリッドと共に、そのポリア
ミド成分と同一の分子構造をもつ純ポリアミドを共に溶
解させると繊維状物を得やすい。
【0036】いずれの場合も、界面反応時には水溶液相
(A)に存在する水ガラスが、生成ポリアミドに均一に
取り込まれるが、本発明の特長のひとつは、水ガラスの
ポリアミドへの複合化に伴い、化1及び化2に示すよう
な、水ガラスの加水分解及び脱水縮合が進行し、アリカ
リ金属成分の極めて少ない良質なガラスとして繊維中に
取り込まれることである。
【0037】
【化1】
【0038】
【化2】
【0039】ここでいうハイブリッド繊維(C)中のガ
ラス含有率の測定は、このものを空気中で600℃以上
の温度にて焼成することによりポリアミド成分を除去し
て灰分を測定することにより行える。灰分(重量%)は
合成時の水溶液相(A)中の水ガラス濃度等の条件を設
定することにより制御することが可能である。一般に、
高い水ガラス濃度は高い灰分を与え、前述のごとくガラ
ス分率を5〜65重量%に制御可能である。
【0040】焼成後の灰は焼成前と同一の形状を保ち、
このことは無機成分であるガラスがポリアミドマトリッ
クス中に均一に分布していることを示す。ガラスの均一
なる微分散は耐熱性及び常温での強度等の機械的特性の
向上に極めて効果的である。ガラスの分散性の具体的評
価は、マイクロトームで切断した超薄切片試料の透過型
電子顕微鏡写真図の高倍率観察を行い、100個程度の
分散体の平均値として得ることが出来る。
【0041】ハイブリッド繊維(C)中のガラスは8〜
300nmの粒径をもつ球状微粒子として存在し、十分
な耐熱性、機械的特性の発現する8〜160nmの粒径
とすることが容易である。複合体中でのガラスとポリア
ミドとの接着性は非常に良好である。
【0042】ハイブリッド繊維中のガラスのアルカリ金
属量は、原料水ガラスのそれに比し低減されることは既
に触れたが、具体的には複合体のガラス中のアルカリ金
属量が2重量%未満である複合体を得ることが可能とな
る。係るガラス中のアルカリ金属量(重量%)は、原子
吸光分析に代表されるフレーム分光法にて求まる複合体
中のアルカリ金属量と灰分との比から求めることが出来
る。
【0043】アルカリ金属の除去された割合で換算する
と、例えば、水ガラスの濃度条件を4〜100g/dL
とすることにより、ガラス中のアルカリ金属を93%以
上除去することが可能である。更に該濃度条件を7〜4
0g/dLに限定するとアルカリ金属を98%以上除去
できる。前者の条件ではガラス中のアルカリ金属量を2
重量%以下、後者の条件では1重量%以下とすることが
可能である。
【0044】本発明で用いる層状粘土鉱物を含有するメ
タ系芳香族ポリアミド繊維とは、メタ系芳香族ポリアミ
ド(以下、芳香族ポリアミド(D)と記す)と特定種の
層状粘土鉱物(E)と有機溶媒(F)とからなる溶液か
ら、有機溶媒(F)を除去する方法により層状粘土鉱物
(E)を分子レベルで分散してなる芳香族ポリアミドの
ハイブリッド繊維(G)をいう。
【0045】ここでいう芳香族ポリアミドとは、繰り返
し単位が −NH−Ph−NHCO−Ph−CO− 又は −NH−Ph−X−Ph−NHCO−Ph−CO− 又は −NH−Ph−CO− で構成されるものを指す。[式中−Ph−はm−フェニ
レン基、p−フェニレン基、又はこれらの一個以上の水
素をハロゲン、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル
基、メトキシ基、エトキシ基から選ばれる一種以上の基
で置換されたものを、-X-は-O-、-CH2-、-SO2-、
-CO-から選ばれる一種以上の基を表す]
【0046】上式の芳香族ポリアミド(D)のなかで
も、脂肪族鎖を全く有さない全芳香族ポリアミドが好ま
しい。芳香族ポリアミド(D)は、添加金属塩を用いず
にアミド系の有機溶媒に溶解することが必要であり、そ
の代表例としてポリ(m−フェニレンイソフタラミド)
を挙げることができる。
【0047】また、本発明で用いる層状粘土鉱物の基本
をなす骨格層としては、スメクタイトと称される一群の
粘土鉱物の骨格構造をもつものが挙げられ、スメクタイ
トにはヘクトライト、モンモリロナイト、マグネシアン
モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サ
ポナイト、ソーコナイトが含まれ、なかでもヘクトライ
トが好ましい。粘土鉱物の一次粒子の結晶学的XY方向
の粒径(層厚み[Z軸方向]に垂直な方向の最大長さ)
は5nm〜100nmであることが好ましい。
【0048】これらの骨格層は構成金属の置換により陰
電荷を有しているが、その電荷密度は骨格のケイ素原子
1個につき0.2〜0.4個であることが好ましい。層
間には骨格層の陰電荷を補う形で陽イオンが存在する
が、陽イオンとしては芳香族ポリアミドへの分子レベル
での十分な分散性を与え得る観点から、メチルトリオク
チルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0049】本発明の製法では、上記の芳香族ポリアミ
ド(D)と層状粘土鉱物(E)が共に有機溶媒(F)に
溶解してなる溶液を先ず調製する。ここで用いる有機溶
媒(F)としてはアミド系の溶媒、即ちアミド基もしく
はアミド基の一個以上の水素をメチル基、エチル基等の
アルキル基で置換した常温で液状の化合物をさし、その
代表例としてN−メチル−2−ピロリジノン(NM
P)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,
N’−テトラメチル尿素などが挙げられる。
【0050】これらは層状粘土鉱物(E)と十分に相互
作用して相溶性を有し、単独もしくは組み合わせて用い
られて良い。係る溶液の調製方法は、透明な溶液が得ら
れれば特に限定されないが、芳香族ポリアミド(D)も
しくは層状粘土鉱物(E)を溶解した溶液に、残りの成
分を添加する方法、両者を同時に溶解する方法が挙げら
れる。系の撹拌により効率的な溶解が行える。溶解時の
温度としては0〜150℃の範囲が挙げられる。
【0051】溶液中の芳香族ポリアミド(D)濃度は特
に限定されないが、例えば1重量%以上で行え、好まし
くは3〜20重量%、更に好ましくは5〜12重量%の
範囲が挙げられる。また層状粘土鉱物(E)の濃度はそ
の固形分中、即ち(E)/[(E)+(D)]×100で
示される重量分率を1〜60%、好ましくは8〜2 3
%とする条件が挙げられ、得られた溶液は、少なくとも
層状粘土鉱物(E)が完全に溶解している必要があり、
更に芳香族ポリアミド(D)も完全に溶解し均一透明な
外観を有することが好ましい。該重量分率が8%未満で
は無機成分導入の効果が必ずしも顕著でなく、23%を
越えるとハイブリッド繊維(G)が脆弱化してくる。
【0052】一般に粘土鉱物等の無機巨大分子は有機溶
媒への親和性に乏しく、溶媒に分散はしても、相溶し完
全に溶解するものは極めて稀であるが、本発明において
は、有機溶媒(F)中で層状粘土鉱物(E)の層間がへ
き開して完全に溶解することが特徴的である。層状粘土
鉱物(E)自身の濃度としては有機溶媒(F)中の濃度
が8%以下であれば完全に溶解し均一透明な溶液を与え
得る。
【0053】温度と濃度条件設定にあたっては、芳香族
ポリアミド(D)が析出やゲル化をおこさないよう留意
することが望ましい。例えば100℃以上の高温条件は
不可逆的ゲル化を引き起こし易いので注意を要する。溶
解操作は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。
【0054】次いで、得られた溶液を水などの凝固浴中
に、剪断作用の働く条件下で注ぐことにより粘土鉱物が
分子レベルで分散した複合体の繊維が得られる。本法で
もパルプ長を任意に設定でき、例えば、150〜100
00μmの範囲で繊維長を調節することが容易で、なか
でも200〜8000μmの範囲が良い抄紙性を与え
る。
【0055】上述の分子レベルでの分散とは、層状粘土
鉱物(E)の層厚み方向の平均凝集厚みが10nm以下
であることを意味し、更に好ましくは4nm以下であ
る。また、層厚み方向と垂直な方向の径は、粘土鉱物の
一次粒子の結晶学的XY方向の粒径と同一であることが
好ましい。粘土鉱物の分散で問題になるのは分子間相互
作用の働く、層厚み方向における分散性である。係る高
分散した粘土鉱物の層厚み方向の平均凝集径は、マイク
ロトームで切断した超薄切片試料の透過型電子顕微鏡写
真図の高倍率観察から判定できる。
【0056】次に、本発明においては、前記ハイブリッ
ド繊維と有機繊維からなる湿式不織布を加熱加圧するこ
とでハイブリッド繊維がバインダー繊維の機能を果た
し、有機繊維間を強固に融着、結合することで不織布の
強度が発現するが、通常のメタ系アラミド繊維や熱硬化
性樹脂バインダーを用いた場合よりも、特に高温雰囲気
下での強度(以下、熱間強度と記す)に優れた特性を示
す。
【0057】また、本発明におけるハイブリッド繊維中
の無機物はいずれも低吸湿、低熱膨張の材料であること
から通常のメタ系アラミドよりも低吸湿、低熱膨張であ
り、通常のメタ系アラミドを用いた場合よりも低吸湿、
低熱膨張の基板を得ることが出来る。
【0058】ハイブリッド繊維:有機繊維の重量比は
4:96〜50:50、好ましくは4:96〜37:6
3を例示できる。該比が4:96未満では熱間強度が十
分に発現せず、50:50を超えると熱間強度向上効果
が飽和してくるばかりか、不織布の吸湿性増加に伴う基
板の吸湿性増加が問題となる。前記したごとく、本発明
におけるハイブリッド繊維は無機物が有機マトリックス
に微細に分散するため有機繊維間の結合を妨げず、レー
ザー加工適性も維持される。
【0059】熱硬化性樹脂バインダーの含有率は0〜5
重量%が好ましい。熱硬化性樹脂バインダーの含有率は
低いほど良いが、抄紙工程及び熱ロール間での加熱加圧
処理工程での最低限必要な強度を付与する上で必要であ
れば添加してもよい。但し、5重量%を超えて熱硬化性
樹脂バインダーが多くなると積層板の熱膨張係数への影
響が顕著になるので好ましくない。熱硬化性樹脂バイン
ダーとしては、例えばエポキシエマルジョン、自己架橋
型アクリルエマルジョン、フェノール樹脂エマルジョ
ン、水溶性シリコーン樹脂等を例示できるが、特にこれ
らに限定されるものではない。
【0060】次に本発明の不織布は熱ロール間で加熱加
圧し、ハイブリッド繊維の有機成分を軟化させることで
有機繊維間の融着を行い樹脂含浸工程に耐え得る強度を
得るとともに、樹脂ワニス含浸に適正な密度とする。熱
ロールの温度はハイブリッド繊維の軟化点以上で、且つ
有機繊維、ハイブリッド繊維の分解温度よりも低い温度
であり、この範囲内でできるだけ高温で処理することが
望ましい。
【0061】不織布に要求される強度、密度は、含浸す
る樹脂ワニスの溶剤の種類やワニスの粘度により異なる
ため一概には言えないが、例えば密度としては0.5〜
0.7g/cm3程度が好ましい。
【0062】本発明の不織布に熱硬化性樹脂ワニスを含
浸、加熱乾燥することでプリプレグが得られる。含浸す
る樹脂は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂等の低吸湿性の樹脂が好ましい。得られたプリプ
レグを熱プレスにより加熱加圧成形することで積層板が
作製される。熱プレスの方法についても特に制限され
ず、含浸する樹脂の特性に応じて適宜決定される。
【0063】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は無論これらに限定されるものでは
ない。
【0064】(製造例1)(ハイブリッド繊維Aの製
造) 水ガラス溶液(キシダ化学株式会社製、ケイ酸ナトリウ
ム溶液(3号)組成式Na2O・3.1SiO2、水分=
60重量%)300重量部と、m−フェニレンジアミン
43.2重量部とに、室温で蒸留水を加えながら撹拌
し、均一透明な水ガラス濃度=100g/Lである12
00mLの水溶液を調製した。別に、塩化イソフタロイ
ル81.2重量部に室温でテトラヒドロフランを加えて
撹拌し、均一透明な1200mLの有機溶液を調製し
た。
【0065】次いでブレンダー瓶に水溶液を入れ、付属
の撹拌翼を毎分20000回転で撹拌しながら、25℃
にて有機溶液相を一度に混合した。溶液から直ちに白色
の複合体が分離生成し、2分間撹拌を続けた。得られた
複合体を濾別したのち、沸騰アセトン、次いで蒸留水で
洗浄し、引き続き真空中80℃で乾燥して白色で粉末状
のガラスとポリ(m−フェニレンイソフタラミド)との
均一な複合物の粉末172重量部を得た。複合物中のガ
ラス分率は48重量%で、ガラス中のナトリウム量は
0.35重量%(ナトリウム除去率=97%)であっ
た。
【0066】次いで、125重量部の上記複合物の粉末
と175重量部のポリ(m−フェニレンイソフタラミ
ド)の粉末を、窒素雰囲気下室温で撹拌下にある320
0mLのN−メチル−2−ピロリジノンに添加後、更に
撹拌を続けながら30分で60℃まで昇温させ、その温
度で120分撹拌を行い、混合液を得た。
【0067】混合液中のポリ(m−フェニレンイソフタ
ラミド)の総濃度は7重量%である。得られた混合液
を、撹拌下にある大量の水中(室温)に注いで得た沈殿
物を繰り返し水洗してハイブリッド繊維Aを得た。ハイ
ブリッド繊維A中のガラス含有率=20重量%で、その
平均粒径は20nmであった。
【0068】(製造例2)(ハイブリッド繊維Bの製
造) 10重量部のポリ(m−フェニレンイソフタラミド)
[濃硫酸溶液中30℃にて求めたインヘレント粘度=
1.74dL/g]及び2.5重量部の層間にメチルト
リオクチルアンモニウムイオンを有するヘクトライト
[組成式:[CH3(C 8173N]0.33(Mg2.67Li
0.33)Si410(OH)2]を140重量部のN−メチ
ル−2−ピロリジノンに65℃で完全に溶解させ均一透
明溶液を得た。次いでこの溶液を高速ブレンダー中10
000回転で激しく撹拌されている1Lの水中に注ぎ、
得られた沈殿物を繰り返し水洗してハイブリッド繊維B
を得た。ハイブリッド繊維B中のヘクトライト含有率=
20重量%であり、その層厚み方向の平均凝集厚みは3
nmであった。
【0069】(実施例1)(不織布の製造) パラ系アラミド繊維とハイブリッド繊維A(有機物:ポ
リ(m−フェニレンイソフタラミド)/無機物:ガラス
/無機含有率20%)を抄紙後の固形分比率(重量)で
95:5となるように湿式抄紙した後、加熱乾燥して不
織布を得た。更にこの不織布を線圧170kg/cm、
温度325℃に設定した熱キャレンダーに通すことによ
り加熱加圧した。
【0070】(プリプレグの製造)上記の不織布に臭素
化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸乾燥し
て、樹脂含有率54%のプリプレグを得た。
【0071】(積層板の製造)上記のプリプレグを12
枚重ねあわせ、温度170℃、圧力30kg/cm2
1時間加熱加圧成形し、樹脂含有率52%の積層板を得
た。
【0072】(実施例2)抄紙後のパラ系アラミド繊維
とハイブリッド繊維Aの固形分比率(重量)が90:1
0となるように湿式抄紙した以外は、実施例1と同様に
して不織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0073】(実施例3)抄紙後のパラ系アラミド繊維
とハイブリッド繊維Aの固形分比率(重量)が80:2
0となるように湿式抄紙した以外は、実施例1と同様に
して不織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0074】(実施例4)抄紙後のパラ系アラミド繊維
とハイブリッド繊維Aの固形分比率(重量)が70:3
0となるように湿式抄紙した以外は、実施例1と同様に
して不織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0075】(実施例5)抄紙後のパラ系アラミド繊維
とハイブリッド繊維Aの固形分比率(重量)を65:3
5となるように湿式抄紙した以外は、実施例1と同様に
して不織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0076】(実施例6)ハイブリッド繊維Aの代わり
に、ハイブリッド繊維B(有機物:ポリ(m−フェニレ
ンイソフタラミド)/無機物:ヘクトライト/無機含有
率20%)を用いた以外は、実施例3と同様にして不織
布、プリプレグ、積層板を得た。
【0077】(実施例7)抄紙後のパラ系アラミド繊維
とハイブリッド繊維Aの固形分比率(重量)が85:1
0となるように湿式抄紙後、熱硬化性樹脂バインダーと
して水溶性エポキシ樹脂を繊維全体との固形分比率(重
量)で95:5となるようにスプレーした後、加熱乾燥
した以外は、実施例1と同様にして不織布、プリプレ
グ、積層板を得た。
【0078】(比較例1)パラ系アラミド繊維とメタ系
アラミドパルプを抄紙後の固形分比率(重量)で90:
10となるように湿式抄紙した以外は、実施例1と同様
にして不織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0079】(比較例2)パラ系アラミド繊維のみから
なるスラリーを湿式抄紙後、水溶性エポキシ樹脂をパラ
系アラミド繊維との固形分比率(重量)で80:20と
なるようにスプレーした後、加熱乾燥した以外は、実施
例1と同様にして不織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0080】(比較例3)パラ系アラミド繊維とメタ系
アラミド繊維を抄紙後の固形分比率(重量)で70:1
5となるように湿式抄紙後、水溶性エポキシ樹脂を繊維
全体との固形分比率で85:15となるようにスプレー
した後、加熱乾燥した以外は、実施例1と同様にして不
織布、プリプレグ、積層板を得た。
【0081】上記の各例における不織布の強度特性及び
積層板の吸湿・吸水特性、熱膨張係数を評価した。 (不織布の強度特性)加熱テンシロンを用い、測定スパ
ン100mm、試料幅15mm、引張速度10mm/分
の条件で不織布の裂断長で測定した。なお、測定は常温
及び170℃×10分加熱下で行った。
【0082】(積層板の吸湿・吸水特性)JIS C−
6481に準拠し、C−96/40/95処理による吸
湿率及びD−2/100処理による吸水率を測定した。
【0083】(積層板の熱膨張係数)TMAを用い、圧
縮荷重法により荷重5g、昇降温速度10℃/分の条件
で室温から230℃の範囲で昇降温を繰り返し、2度目
の昇温時の30〜230℃における平均膨張率で評価し
た。基本的に値が小さい方が良好である。
【0084】表1及び表2に実施例及び比較例の評価結
果を示す。表から明らかなように、本発明による不織布
は高温下での強度(熱間強度)に優れたものであった。
また、この不織布を用いた積層板はバインダーとして通
常のメタ系アラミド繊維や樹脂バインダーを用いた不織
布による積層板に比べ、吸湿特性、熱膨張特性のバラン
スに優れる。即ち、熱膨張特性のバランスが良い。即
ち、常態で2km、熱間で1.83km以上の裂断長、
1.4%以下の吸湿率(C−96/40/95)、1%
以下の吸水率(D−2/100)、270ppm/℃未
満の厚さ方向潜熱膨張係数を満足する。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【発明の効果】本発明は、プリント配線板をはじめとす
る電気絶縁材料として有用な、高温下での強度に優れ、
且つ低吸湿性で低熱膨張率の積層板用不織布、該不織布
の製造方法、該不織布を用いたプリプレグ、及び積層板
を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊島 節夫 東京都江東区東雲1−10−6 王子製紙株 式会社東雲研究センター内 (72)発明者 出村 智 千葉県佐倉市染井野5−47−1 (72)発明者 原口 和敏 千葉県千葉市稲毛区長沼原317−1−4− 901 (72)発明者 王林 明 千葉県佐倉市大大崎台3−4−5−4− 203 Fターム(参考) 4F100 AC03A AC03H AG00A AG00H AK01A AK47A AK47K BA01 DE01A DE01H DG15A DG18A DH01A GB43 JA02 JA03 JA20A JA20H JB13A JG04 JL04 YY00A YY00H 4J002 BG00Y CC02Y CD00Y CL06W CL06X CP03Y DJ037 DL006 FA017 FA086 GF00 GK01 GQ01 4L041 BC07 BD11 BD20 CA30 4L055 AF35 AF43 AH37 AH49 BE02 EA04 EA15 EA16 EA29 EA32 FA11 FA18 GA33 GA39

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタ系芳香族ポリアミド中に平均粒径が
    8〜300nm、アルカリ金属含有率が2重量%以下の
    ガラス5〜65重量%を均一に含有する有機/無機ハイ
    ブリッド繊維と有機繊維とから成り、有機/無機ハイブ
    リッド繊維の有機成分と有機繊維とを結合せしめた積層
    板用不織布。
  2. 【請求項2】 メタ系芳香族ポリアミド中に平均粒径が
    8〜300nm、アルカリ金属含有率が2重量%以下の
    ガラス5〜65重量%を均一に含有する有機/無機ハイ
    ブリッド繊維と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダーとか
    ら成り、有機/無機ハイブリッド繊維の有機成分と有機
    繊維と熱硬化性樹脂バインダーとを結合せしめた積層板
    用不織布。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂バインダーの含有率が0.
    1〜5重量%である請求項2に記載の積層板用不織布。
  4. 【請求項4】 有機/無機ハイブリッド繊維が、水と水
    ガラスとジアミンモノマーとを必須成分とする水溶液相
    と、有機溶媒とアシル化したジカルボン酸モノマーとを
    必須成分とする有機溶液相とを接触させて得られたもの
    である請求項1〜3のいずれか一つに記載の積層板用不
    織布。
  5. 【請求項5】 メタ系芳香族ポリアミド中に層状粘土鉱
    物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集厚みが
    10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイブリッ
    ド繊維と有機繊維とから成り、有機/無機ハイブリッド
    繊維の有機成分と有機繊維とを結合せしめた積層板用不
    織布。
  6. 【請求項6】 メタ系芳香族ポリアミド中に層状粘土鉱
    物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集厚みが
    10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイブリッ
    ド繊維と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダーとから成
    り、有機/無機ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊維
    と熱硬化性樹脂バインダーとを結合せしめた積層板用不
    織布。
  7. 【請求項7】 熱硬化性樹脂バインダーの含有率が0.
    1〜5重量%である請求項6に記載の積層板用不織布。
  8. 【請求項8】 有機/無機ハイブリッド繊維が、メタ系
    芳香族ポリアミドと層状粘土鉱物とを有機溶媒に完全に
    溶解し、該溶液から有機溶媒を除去して得たものである
    ことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の
    積層板用不織布。
  9. 【請求項9】 メタ系芳香族ポリアミドがポリ(m−フ
    ェニレンイソフタラミド)であることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか一つに記載の積層板用不織布。
  10. 【請求項10】 有機/無機ハイブリッド繊維:有機繊
    維の重量比が4:96〜37:63である請求項1〜9
    のいずれか一つに記載の積層板用不織布。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか一つに記載
    の積層板用不織布に熱硬化性樹脂を含浸乾燥してなるプ
    リプレグ。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のプリプレグを少なく
    とも1枚以上積層した積層板。
  13. 【請求項13】 メタ系芳香族ポリアミド中に平均粒径
    が8〜300nm、アルカリ金属含有率が2重量%以下
    のガラス5〜65重量%を均一に含有する有機/無機ハ
    イブリッド繊維と有機繊維とを加熱加圧して、有機/無
    機ハイブリッド繊維の有機成分と有機繊維とを結合せし
    める積層板用不織布の製造方法。
  14. 【請求項14】 メタ系芳香族ポリアミド中に平均粒径
    が8〜300nm、アルカリ金属含有率が2重量%以下
    のガラス5〜65重量%を均一に含有する有機/無機ハ
    イブリッド繊維と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダーと
    を加熱加圧して、有機/無機ハイブリッド繊維の有機成
    分と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダーとを結合せしめ
    る積層板用不織布の製造方法。
  15. 【請求項15】 熱硬化性樹脂バインダーの含有率が
    0.1〜5重量%である請求項14に記載の積層板用不
    織布の製造方法。
  16. 【請求項16】 メタ系芳香族ポリアミド中に層状粘土
    鉱物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集厚み
    が10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイブリ
    ッド繊維と有機繊維とを加熱加圧して、有機/無機ハイ
    ブリッド繊維の有機成分と有機繊維とを結合せしめる積
    層板用不織布の製造方法。
  17. 【請求項17】 メタ系芳香族ポリアミド中に層状粘土
    鉱物8〜23重量%を、その層厚み方向の平均凝集厚み
    が10nm以下で分散して含有する有機/無機ハイブリ
    ッド繊維と有機繊維と熱硬化性樹脂バインダーとを加熱
    加圧して、有機/無機ハイブリッド繊維の有機成分と有
    機繊維と熱硬化性樹脂バインダーとを結合せしめる積層
    板用不織布の製造方法。
  18. 【請求項18】 熱硬化性樹脂バインダーの含有率が
    0.1〜5重量%である請求項17に記載の積層板用不
    織布の製造方法。
  19. 【請求項19】 有機/無機ハイブリッド繊維を、メタ
    系芳香族ポリアミドと層状粘土鉱物とを有機溶媒に完全
    に溶解し、次いで該溶液から有機溶媒を除去して得るこ
    とを特徴とする請求項16〜18のいずれか一つに記載
    の積層板用不織布の製造方法。
  20. 【請求項20】 メタ系芳香族ポリアミドがポリ(m−
    フェニレンイソフタラミド)であることを特徴とする請
    求項13〜19のいずれか一つに記載の積層板用不織布
    の製造方法。
  21. 【請求項21】 有機/無機ハイブリッド繊維:有機繊
    維の重量比が4:96〜37:63である請求項13〜
    20のいずれか一つに記載の積層板用不織布の製造方
    法。
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