JP2001080981A - 有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両 - Google Patents

有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両

Info

Publication number
JP2001080981A
JP2001080981A JP25022899A JP25022899A JP2001080981A JP 2001080981 A JP2001080981 A JP 2001080981A JP 25022899 A JP25022899 A JP 25022899A JP 25022899 A JP25022899 A JP 25022899A JP 2001080981 A JP2001080981 A JP 2001080981A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic waste
water
fermenter
liquid fertilizer
extract
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25022899A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinsuke Kataoka
岡 伸 介 片
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DAIWA SHOJI CO Ltd
DAIWA SHOJI KK
Original Assignee
DAIWA SHOJI CO Ltd
DAIWA SHOJI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DAIWA SHOJI CO Ltd, DAIWA SHOJI KK filed Critical DAIWA SHOJI CO Ltd
Priority to JP25022899A priority Critical patent/JP2001080981A/ja
Publication of JP2001080981A publication Critical patent/JP2001080981A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/20Fertilizers of biological origin, e.g. guano or fertilizers made from animal corpses

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】(i)ほぼ水平な回転軸を中心に所定方向
に回転自在な発酵槽内に有機廃棄物を投入し、 (ii)前
記発酵槽を連続的または間欠的に回転させるとともに、
前記有機廃棄物をバクテリアによって無機分解物まで生
分解させ、(iii)前記有機廃棄物に水を過剰に供給し
て、前記生分解中の有機廃棄物から水溶性無機分解物を
抽出し、(iv)得られた抽出液を液肥として外部に取出す
ことを特徴とする液肥製造方法、およびこれを実施する
ための液肥製造装置。 【効果】 本発明によれば、有機廃棄物を効率よく液肥
とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、畜産廃物、農業廃物、水
産廃物、食品加工および飲料工業廃物などの産業有機廃
棄物、または食堂残渣および家庭の生ごみなどの都市有
機廃棄物を、効率よく液肥とすることができる有機廃棄
物を用いた液肥製造方法、この方法を実施するのに好適
な液肥製造装置、およびこの装置を搭載した車両に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】農林水産業、食品加工業または飲
料工業などで発生する産業有機廃棄物、食堂残渣や家庭
の生ごみなどを含む都市有機廃棄物、或いは生活排水お
よび産業排水処理時に生産される有機汚泥は、多くが埋
め立てや焼却などによって処理されている。
【0003】ところが、近年、特に都市有機廃棄物の増
加に伴い、埋立て処分場の確保が著しく困難となり、石
油などを用いた燃焼処理での二酸化炭素の増加などによ
る環境悪化が問題となってきた。このような現状から、
資源の有効利用による最終的な廃棄物の量低減が強く要
請され、有機廃棄物を堆肥として再利用するコンポスト
化技術が注目されている。
【0004】コンポスト化は、好気性細菌または嫌気性
細菌を主とするバクテリア群によって、有機廃棄物に含
まれる不安定な有機物を分解・安定化して堆肥を生産す
る技術である。従来より、産業有機廃棄物あるいは都市
有機廃棄物を集積して工業的に大量処理する種々のコン
ポスト化プラントが提案されかつ建設されてきた。しか
し、このようなコンポスト化プラントでは、プラント建
設に多大な費用を要し、かつ有機廃棄物の集積に手間が
かかるという問題があった。また、緑農地での堆肥需要
量は冬季および夏期に著しく減少するため、恒常的に生
産される堆肥の貯蔵施設が不可欠となるが、このような
多量な堆肥の貯蔵用地を確保することが困難であるとい
う問題があった。
【0005】さらに、堆肥は固体であるため、貯蔵作
業、梱包作業および運搬作業での取り扱いが面倒であ
り、かつ緑農地への施肥作業に手間がかかるという問題
もあった。今日では、このようなプラントに換えて、撹
拌羽を有する発酵槽を備え、有機廃棄物を籾殻などの吸
水材と混合しながら生分解させ、堆肥とした後に取り出
す所謂バッチ式の小型コンポスト化装置が提案されてい
る。このような小型コンポスト化装置によれば、有機廃
棄物の生産現場、例えば家庭や食堂、または小規模な食
品加工工場等の現場において、コンポストを生産するこ
とができ、有機廃棄物を一カ所に集積する必要がない。
【0006】しかしながら、このような生産現場でのコ
ンポスト化においても、生産される堆肥が固体であるた
め取り扱い、搬送および施肥作業が面倒であると言う問
題については、有効な解決策とはなり得なかった。ま
た、従来のコンポスト化装置では、バッチ式の装置であ
るため、得られた堆肥を装置から取り出した後、新しい
有機廃棄物を仕込まなければならず、堆肥作成作業が面
倒であるという問題があった。
【0007】本発明者等は、このような従来技術に係る
問題点を解決すべく種々検討・研究した結果、発酵槽の
有機廃棄物をバクテリアで無機分解物まで生分解させ、
次いで過剰の水を供給して生分解中の有機廃棄物から水
溶性無機分解物を水側に抽出し、得られた抽出液を液肥
として分離することにより、有機廃棄物を完全に分解し
ながら、取り扱いが簡単で施肥の容易な液肥を連続的に
効率よく生産できることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0008】
【発明の目的】本発明は、このような従来技術に係る問
題点を解決すべくなされたものであり、有機廃棄物を効
率よく液肥とすることができる液肥製造方法、この方法
を実施するのに好適な液肥製造装置、およびこの装置を
搭載した車両を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る有機廃棄物を用いた液肥製
造方法は、(i)ほぼ水平な回転軸を中心に所定方向に
回転自在な発酵槽内に有機廃棄物を投入し、(ii)前記発
酵槽を連続的または間欠的に回転させながら、前記有機
廃棄物をバクテリアによって無機分解物まで生分解さ
せ、(iii)前記有機廃棄物に水を過剰に供給して、前記
生分解中の有機廃棄物から水溶性無機分解物を抽出し、
(iv)得られた抽出液を液肥として外部に取出すことを特
徴としている。
【0010】本発明に係る液肥製造方法では、前記抽出
液を貯留するとともに、前記工程(iii)において、前記
貯留した抽出液の一部を前記発酵槽内の有機廃棄物に循
環・供給し、かつ前記工程(iv)において、貯留した抽
出液の一部を前記液肥として外部に取出すことが望まし
い。本発明に係る液肥製造装置は、保温槽内にほぼ水平
かつ回転自在に収容され、内部に収容した有機廃棄物を
バクテリアに無機分解物まで生分解させる発酵槽と、前
記発酵槽を所定方向に回転させて、発酵槽内の有機廃棄
物を切り返す駆動手段と、前記有機廃棄物に水溶性無機
物を抽出するための水を供給する水供給手段と、得られ
た抽出液を液肥として外部に取出すための取出口と、を
備えることを特徴としている。
【0011】本発明に係る液肥製造装置では、前記水供
給手段が、前記抽出液を貯留するための貯水槽と、該貯
水槽に貯留された抽出液を圧送して前記発酵槽内部の有
機廃棄物に循環・供給するための水循環ポンプとを有し
ていてもよい。本発明の液肥製造装置では、前記発酵槽
が、複数の透水孔を形成された透水部を少なくとも一部
に有する周壁を備え、かつ前記水循環ポンプにより圧送
される水が発酵槽上方に配設された散水ノズルから発酵
槽に散水されることにより、前記透水孔を介して前記有
機廃棄物に供給されるようにしてもよい。
【0012】また、前記発酵槽は、有機廃棄物の投入口
側が高くなるように傾斜して配設されることが望まし
く、この発酵槽の周壁には、内方向に向かって形成され
た切返し用突出部を配設してもよい。本発明に係る液肥
製造用車両は、このような液肥製造装置を搭載したこと
を特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る有機廃棄物を
用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車
両を、更に具体的に説明する。本発明に係る有機廃棄物
を用いた液肥製造方法は、特定の発酵槽内に有機廃棄物
を投入する投入工程(i)と、その発酵槽内で有機廃棄物
をバクテリアによって無機分解物まで生分解させる生分
解工程(ii)と、生分解中の有機廃棄物へ水を供給して
無機分解物を抽出する抽出工程(iii)と、無機分解物を
含む抽出液を外部に取り出す取出し工程(iv)を有して
いる。まず、これら工程を具体的に説明する。投入工程(i) 本発明の液肥製造方法において、この工程(i)で発酵槽
に投入される有機廃棄物は、バクテリアにより生分解可
能な有機物を含むものであれが特に限定されない。この
ような有機廃棄物としては、例えば:家畜糞尿、鶏糞、
獣骨、食肉残渣などの畜産廃物;もみがら、わら、野菜
くずなどの農業廃物;樹皮、鋸くずなどの林業廃物;魚
腸骨、鰯鱗、養殖へい死魚などの水産廃物;おから、発
酵工業廃物、菓子くず、馬鈴薯くずなどの食品加工業廃
物;ビールかす、ジュースかす、コーヒーかすなどの飲
料工業廃物;レストラン、酒場および食堂などの飲食店
残渣や家庭の生ごみなどの都市廃棄物;あるいは家庭排
水処理用または集合住宅排水処理用の浄化槽、または下
水処理用および産業排水処理用の浄化設備などで生産さ
れる有機汚泥などを例示できる。これら有機廃棄物は、
単独で用いても適宜混合されていてもよく、このように
混合することで、製造される液肥の成分組成を調節する
こともできる。
【0014】また、本発明の液肥製造方法では、有機廃
棄物の材料性状を改善するなどの目的で、種々の添加材
を加えてもよい。このような添加剤は、その目的に応じ
て、上述の有機廃棄物の中から選択してもよく、また全
く別の無機材料などを用いてもよい。例えば、発酵槽に
は、後述する発酵槽の回転による有機廃棄物の切り返し
を容易とし、空隙が形成されやすくしてバクテリアによ
る発酵効率を向上させるなど目的で、比較的嵩高く、空
隙を有しかつ生分解され難い有機材料(例えば稲わら、
もみがら、鋸くず、コーヒーかす、木片、紙など)、或
いは切断ゴムなどを膨化材として添加することができ
る。
【0015】また、発酵槽には、多孔性無機粒子、例え
ば多孔性セラミックおよび多孔性火成岩などを添加する
ことも可能である。このような多孔性無機粒子は、有機
廃棄物の切り返しによる破砕に役立つ他、有機廃棄物内
に空隙を形成し、かつその小孔にバクテリアが付着、生
息しやすいため、バクテリアの繁殖を促進し発酵効率を
向上させるのに好適である。また、多孔性無機粒子は、
生分解されずに発酵槽内に残留するため、バクテリアの
繁殖後は所謂たねとして機能し、例えば、先に投入した
有機廃棄物が無機分解物まで分解された後、新たな有機
廃棄物を発酵槽に投入して処理する場合にバクテリアの
種付けが必要なくなるという利点もある。
【0016】本発明の工程(i)において、このような有
機廃棄物および添加剤などを投入する発酵槽は、ほぼ水
平な回転軸を中心に所定方向に回転自在となっている。
本発明の液肥製造方法で使用される発酵槽は、投入工程
(i)において、投入された有機廃棄物が発酵槽の回転に
よって順次奥に移動するように、一方端側、特に一方の
端面に投入口を形成し、この投入口が高くなるように回
転軸を傾斜させて支持してもよい。
【0017】このような発酵槽の構造に関しては、後述
する本発明に係る液肥製造装置の説明において、更に具
体的に説明する。生分解工程(ii) 本発明の液肥製造方法では、次の生分解工程(ii)におい
て、投入された有機廃棄物をバクテリアによって無機分
解物まで生分解させる。本工程(ii)では、発酵槽を、有
機廃棄物を切り返すために、間欠的または連続的に回転
させる。
【0018】発酵槽は、このような回転によって有機廃
棄物の切り返しを行うのであって、この切り返しに適し
た部材、例えば切返し羽、切返し棒などの内側に突出し
た切返し用突起を周壁に有していてもよい。有機廃棄物
には、主に炭水化物、脂肪およびタンパク質などの基質
が含まれている。この工程(ii)では、これら基質は、バ
クテリアによって二酸化炭素、水、アンモニア、硝酸お
よび燐酸などの無機物に分解される。また、有機廃棄物
には、微量成分として、カリウム、マグネシウム、カル
シウムなどの金属元素が含まれており、これらは生分解
によって、例えば上記酸の塩となる。
【0019】生分解工程(ii)では、このような無機分解
物の内、一部はガスとして大気中に放出されるが、大部
分は、生分解中の有機廃棄物内の水分に溶解した状態
で、残留している。このような有機廃棄物の生分解を行
うバクテリアとしては、好気性菌、例えばBacillus sub
tils、 Bacilus lichenifromisおよびBacilus polymyxa
などのバチルス属バクテリア、およびPseudomonus aeru
ginosa(例えば、米国特許第4288545号記載の菌株)、P
seudomonas fluoroscens(例えば、米国特許第4282632
号記載の菌株)、Pseudomonas hermai(例えば、米国特
許第4350770号記載の菌株)およびPseudomonas stutzen
などのシュードモナス属バクテリアなどを例示すること
ができる。
【0020】これらバクテリアは、複数種の菌を含む細
菌群を構成し、生分解工程(ii)において、発酵槽内の有
機廃棄物中に一定の細菌相を形成する。細菌群を構成す
るバクテリアの組み合わせとしては、特にバチルス属バ
クテリアおよびシュードモナス属バクテリアの両方が含
まれる組み合わせが好ましい。このような細菌群からな
る細菌相を形成するには、工程(i)で投入される有機廃
棄物中または空気中に存在するバクテリアを利用しても
よい。この場合、生分解工程(ii)で、所望により間欠的
にまたは連続的に発酵槽を回転させるとともに、一定の
温度、湿度などの条件を一定期間維持することで有機廃
棄物などに既に存在するバクテリアを繁殖させ、安定し
た細菌相を形成すればよい。
【0021】また、最初に細菌相を形成する場合には、
所謂種付けを行ってもよい。種付けは、新鮮な有機廃棄
物とともに、半分解有機廃棄物、堆肥、庭土、畜糞、鶏
糞、または市販されるなどして入手可能なバクテリアを
投入することで行うことができる。例えば、このような
種付け用のバクテリア組成物としては、バイケム TD
(Trad & Drain)800S(Sybron Chemicals Inc.(米
国)製)などを例示できる。このバクテリア組成物は、上
述の3種のバチルス属バクテリアと、4種のシュードモ
ナス属バクテリアを全て含んでいる。
【0022】種菌を用いた種付は、このような複数種の
バクテリアを含むバクテリア組成物を用いてもよく、単
一のバクテリアを含む種を複数組み合わせて使用しても
よい。安定した細菌相を最初に形成するには或程度の時
間を要する。しかし、一旦安定した細菌相を形成すれ
ば、次の有機廃棄物の処理は、上述の未分解の有機廃棄
物を残した状態で新たな有機廃棄物を投入するか、多孔
性無機粒子あるいは後述する抽出液に含まれるバクテリ
アを利用することで、所望の発酵作用および発酵効率を
より速やかに実現できる。
【0023】本発明の液肥製造方法において、生分解工
程(ii)での発酵槽内の発酵条件、例えば有機廃棄物の温
度および水分量などは、有機廃棄物の種類および細菌相
などによって適宜選択することができ、特に限定されな
い。また、これら発酵条件は、所望の細菌相が形成され
て生分解が順調に進行している場合には、特に調節操作
をする必要はない。
【0024】しかしながら、例えば生分解中の有機廃棄
物の水分量は、発酵熱による蒸発で失われるため、通常
30〜80%、好ましくは40〜50%に調節すること
が望ましい。水分量が30%より低いと、バクテリアの
増殖速度が低下し発酵効率が低下する傾向がある。水分
量が80%を越えると、酸素の供給が制限され、好適な
細菌相を維持できなくなる傾向がある。
【0025】このような水分量の調節は、生分解中の有
機廃棄物に水を供給し、蒸発によって失われる水を補給
することで行うことができる。なお、後述する抽出工程
(iii)を行うために、発酵槽は、生分解中の有機廃棄物
への水の供給が可能な構造を有している必要がある。生
分解工程(ii)での水の補給は、この水供給構造を利用し
て行うことができる。
【0026】また、生分解中の有機廃棄物の温度は、発
酵熱によって上昇し、かつ外部への放熱により低下する
が、通常20〜60℃、好ましくは30〜40℃に調節
することが好ましい。温度が20℃より低いと、バクテ
リアの活動が低下し発酵効率が低下する他、有害細菌が
増殖することがある。温度が60℃を越えると、やはり
バクテリアの活動が著しく低下するため、好ましくな
い。
【0027】このような温度の調節は、発酵槽を保温槽
内に収容して外気温度に影響され難くすること、発酵槽
内の温度を保温槽内に装備したヒータ、クーラあるいは
換気などによって調節することで行われる。また、生分
解中の有機廃棄物に水を供給し、この水の蒸発熱を利用
して温度調節することも可能である。その他、発酵槽内
の酸素濃度およびpHなども、必要に応じて調節すること
ができる。
【0028】酸素濃度は、例えば、発酵槽またはこれを
収容する保温槽を換気し、排出される空気内の酸素濃度
を測定して間接的にモニターでき、これが所定の値以上
となるように換気速度を設定することで調節することが
できる。また、生分解中の有機廃棄物のpHは、良好な発
酵条件下ではアルカリ側、例えばpH8〜10であり、酸
性側となった場合には発酵速度が低下する。このような
有機廃棄物のpHは、例えば、後述の抽出工程(iii)で
得られる抽出液のpHを測定することで間接的にモニター
できる。検出される抽出液のpHデータにより、有機廃棄
物のpHが酸性側に傾いたことが検知された場合には、発
酵槽にアンモニアなどのアルカリを添加することでpH調
節することができる。
【0029】なお、有機廃棄物のpHが酸性側となった場
合に最も効率的な方法としては、通常アンモニアを含有
する次の抽出工程(iii)で得られる抽出液を貯留してお
き、適宜その一部を発酵槽に返送することである。抽出工程(iii) 生分解工程(ii)で生産された無機分解物は、上述したよ
うにその殆どが水溶性の無機分解物である。本発明の液
肥製造方法では、これら水溶性無機分解物を、抽出工程
(iii)において、過剰な水を供給することで抽出する。
【0030】したがって、発酵槽は、生分解中の有機廃
棄物への水の供給が可能な構造を有する必要がある。こ
のような水の供給構造は、特に限定されないが、例えば
周壁に複数の透水孔を形成した透水部を設け、この透水
部の透水孔を介して行ってもよい。例えば、透水部は、
金属板で形成された周壁全体にまたはその一部に複数の
透水孔を設けて形成してもよく、周壁全体またはその一
部を金属製網状体とすることで形成してもよい。
【0031】この抽出工程(iii)において、「過剰な
水」とは、例えば生分解中の有機廃棄物が吸収可能な量
を超える量であり、このようにして有機廃棄物と分離可
能な抽出液を得ることができる。抽出工程(iii)で散水
される水の量は、上述の条件を満足させれば特に限定さ
れないが、通常有機廃棄物の体積の10〜30倍量(体
積比)、好ましくは15〜20倍量である。
【0032】抽出工程(iii)での水の供給は、例えば上
述の水供給用透水部を有する発酵槽を用いた場合には、
発酵槽上方に設けた散水ノズルなどから散水すること
で、上方を向いた透水部を介して行うことができる。こ
の場合、得られた抽出液は、未分解の有機廃棄物と分離
され、下方に向いた透水部を介して下方に落下するよう
にしてもよい。取り出し工程(iv) 本発明に係る液肥製造方法の取出し工程(iv)では、この
ようにして得られた抽出液が、液肥として外部に取り出
される。
【0033】また、本発明では、例えば一旦抽出液を貯
留し、貯留された抽出液の一部を工程(ii)での水分量調
節あるいは抽出工程 (iii)での抽出に用いる水として、
発酵槽に循環供給することができる。この場合、抽出液
にバクテリアが含まれているため、これを有機廃棄物の
分解に再利用できるという利点がある。また、取出し工
程(iv)は、貯留槽から抽出液の一部を取り出すことによ
って行うことができる。
【0034】また、貯留槽内の抽出液は、生分解工程(i
i)および/または抽出工程(iii)で発酵槽に循環・返送
する場合には、返送時に過度に有機廃棄物を冷却して発
酵条件を悪化させないように、通常14〜55℃、好ま
しくは30〜35℃に維持することが望ましい。以上、
本発明に係る液肥製造方法の各工程(i)〜(iv)を具体
的に説明したが、本発明では、所望により、これらの幾
つかを複数回行ってもよく、あるいは工程番号と異なる
順序で行ってもよい。
【0035】例えば、上述した生分解工程(ii)は、一回
で、未分解の有機廃棄物が新たな有機廃棄物を投入でき
る量となるようにしてもよく、生分解工程(ii)および抽
出工程(iii)を所定の時間間隔で交互に繰り返して行
い、所定の未分解有機廃棄物量となるようにしてもよ
い。抽出液を貯留した場合、取出し工程(iv)は、貯留槽
から抽出液の一部を取り出すことによって任意の時期に
行うことができる。
【0036】このようにして、発酵槽内の未分解有機廃
棄物が所定量となった後、再度上記工程(i)〜(iv)を繰
り返すことで、新たな有機廃棄物を、未分解有機廃棄物
を取り出すことなく、連続的に生分解して液肥とするこ
とができる。そして、得られた液肥は、バクテリアと、
上述の水溶性無機分解物、特にアンモニアおよび硝酸な
どのチッ素化合物、リン酸などのリン化合物、あるいは
カリウムなどの微量金属の塩などとをバランスよく含ん
でいる。
【0037】次に、本発明に係る液肥製造装置を、添付
図1および図2を参照して、具体的に説明する。添付図
1は、本発明に係る液肥製造装置の好ましい一態様を示
す断面図であり、図2は保温槽および発酵槽の投入口を
開放した状態を示す部分的断面図である。
【0038】図示されるように、本態様の液肥製造装置
1は、保温槽3と、保温槽3内に収容された発酵槽5と
を備えている。保温槽3は、その一方端に有機廃棄物の
投入口7を形成され、この投入口7は、下方端縁部がヒ
ンジを介して固定された保温槽用蓋体8によって開閉で
きるようになっている。
【0039】また、保温槽3は、傾斜した隔壁9によっ
て、投入口7側の上方が広い第一室R1と、反対側の下
方が広い第二室R2とに分割される。隔壁9の下部には
フィルタ11が装着された開口が設けられており、保温
槽3の下部は、このフィルタ11によって第一室R1側
および第二室R2側に仕切られた第一貯留槽12を構成
する。そして、この保温槽3の投入口7と反対側の外壁
に接するように、第二貯留槽13が設けられている。
【0040】発酵槽5は、第一室R1内に収容された円
筒状容器であり、金属製網状体からなる周壁14と、隔
壁9側の端部に一端が固定された回転軸15と、他端部
に形成された第二投入口16とを備えている。発酵槽5
の周壁14は、網状体の網目が透水孔として機能し、こ
れを介して給水および抽出液分離を行う。したがって、
本態様の発酵槽5では、周壁14の全体に上述の透水部
が形成されていることとなる。また、発酵槽5の周壁1
4の内側には、内側に向かって張り出した切返し羽14
a、14aが配設されている。
【0041】発酵槽5の隔壁9側端部に設けられた回転
軸15は、第二投入口16が高くなるように傾斜して隔
壁9に設けられた軸受け(不図示)に挿通され、第二室
R2に突出している。そして、発酵槽5の他端部には、
その周縁から第二投入口16を囲むように長手方向に延
出された環状レール17が設けられている。保温槽3の
底部には、先端に発酵槽5の回転軸と平衡な回転軸を有
するロール19を備えた支持アーム21が立設されてお
り、ロール19は、環状レール17を、その外周面に当
接・支持している。すなわち、発酵槽5は、その回転軸
15および環状レール17で、隔壁9の軸受けおよび支
持アーム21のロール19により、第二投入口16側が
高くなった状態で回転自在に支持されている。回転軸1
3の傾斜角度は、通常30°以下に設定することが好ま
しい。
【0042】なお、発酵槽5は、その材質を特に限定さ
れないが、耐腐食性の観点から、ステンレス製およびセ
ラミック製とすることが好ましく、特に無機多孔質粒子
を投入する場合には、耐摩耗性の観点からセラミック製
とすることが好ましい。このような発酵槽5の隔壁9の
上部には、駆動軸の先端が第二室R2側に位置するよう
に駆動モータ23が固定されており、その駆動軸の先端
には駆動プーリ25が取り付けられている。また、発酵
槽5の回転軸13の第二室R2側に突出した部分には、
受動プーリ26が固定され、この受動プーリ26と駆動
モータ23の駆動プーリ25にはVベルト27が巻回さ
れている。発酵槽5は、このような駆動モータ25、受
動プーリ26およびVベルト27からなる駆動手段によ
って、回転軸15を中心に所望の方向に回転できるよう
になっている。
【0043】発酵槽5の第二投入口16は、一方端縁部
がヒンジを介して固定された発酵槽用蓋体29によって
開閉できるようになっている。発酵槽用二体29と、保
温槽用蓋体8とは、各々に固定される球面軸受け31お
よび32と、各軸受け31、32に両端の球面ジャーナ
ルが装着された連結軸33とで連結されている。発酵槽
5側の球面軸受け31は、保温槽5の回転軸の延長線と
蓋体9表面の交点を挟んで、ヒンジが固定される端縁部
の反対側に位置し、保温槽3側の球面軸受け32は、保
温槽5の回転軸の延長線上に位置する。
【0044】したがって、図1に示すように、第一およ
び第二投入口7、16閉塞時には、発酵槽5は所定方向
に自由に回転でき、かつ図2に示すように、保温槽用蓋
体8を開いたときには、それと連動して発酵槽用蓋体2
9も開放されるようになっている。保温槽3の第一貯留
槽12には、外部の水源からの水供給手段(不図示)が
接続されており、抽出液の取り出しによって減少した水
を適宜補給できるようになっている。また、第一貯留槽
12内には、第一室R1側にヒータ34が配設されてお
り、このヒータ34は、第一貯留槽12に貯留される水
(または抽出液)の温度を、所定の温度、通常14〜5
5℃に維持している。
【0045】そして、第一貯留槽12の第二室R2側に
は、ポンプPが配設されており、ポンプPは、配管35
を介して、発酵槽5の上方にその長手方向の全体に亘っ
て配設された散水管37に接続されており、この散水管
37には、所定間隔で複数の散水ノズル38、3
8...が設けられている。したがって、このポンプP
が作動すると、第一貯留槽12内の水または抽出液が、
配管35、散水管37および散水ノズル38、3
8...を介して、発酵槽5の周壁14に向けて散水さ
れる。
【0046】配管35の途中には、切換弁39が設けら
れており、この切替弁39には第二貯留槽13への抽出
液取出し口41が接続されている。第二貯留槽13は、
フィルタ43によって上下二段13a、13bに仕切ら
れており、下段13bには、液肥取出し口44が配設さ
れている。このような第二貯留槽18の上段14aに
は、抽出液取出し口41から吐出される抽出液が導入さ
れ、導入された抽出液はフィルタ43によって濾過され
て下段14bに液肥として貯留される。また、上段14a
に過剰に供給された過剰な抽出液は、保温槽3の壁部に
設けられた返還用開口45を介して、第一貯留槽12に
返還される。
【0047】以上説明した構造を有する本態様の液肥製
造装置1は、本発明に係る液肥製造方法を実施する際
に、例えば以下のように運転される。すなわち、まず投
入工程(i)では、保温槽用蓋体8および発酵槽用蓋体2
9を開放し、発酵槽5内に有機廃棄物および所望により
上述の添加材を投入し、蓋体8、29を閉塞する。そし
て、駆動モータ23を作動させて発酵槽5を回転させ
る。この際、発酵槽5が上述のように傾斜して配設され
ているため、発酵槽5の回転にしたがって有機廃棄物は
順次奥に移動する。また、投入された有機廃棄物など
は、発酵槽5内に設けられた切返し羽14b、14bによ
って、効率よく混合・撹拌される。
【0048】なお、発酵槽5の回転による切り返しは、
従来のコンポスト化装置の回転フィンと比較して、有機
廃棄物または添加材との接触による摩耗および故障の発
生が少ないため、本体用の装置1は、長期間安定して運
転することができる。次いで、生分解工程(ii)では、有
機廃棄物を発酵・生分解させる。この際、発酵槽5は、
駆動モータ23によって、間欠的または連続的に回転さ
せる。
【0049】生分解工程(ii)では、所望により、例えば
最初に、或いは所定時間間隔で、モータPを駆動し、散
水ノズル38、38...から回転する発酵槽5の周壁
14に散水して有機廃棄物の水分調節を行う。すなわ
ち、散水された水は周壁14を構成する網状体の網目か
ら有機廃棄物に供給される。この際供給される水は、有
機廃棄物の水分量を調節するための水であり、過剰量で
ある必要はない。均一な水供給を行うため、散水時には
発酵槽5を回転させることが望ましい。
【0050】適量の水を供給した後、ポンプPを停止
し、所定期間バクテリアを繁殖させて有機廃棄物の生分
解を進行させる。また、生分解工程(ii)では、このよう
な水分調節以外に、温度調節およびpH調節などの目的
で、間欠的にモータPを駆動させ、散水を行ってもよ
い。このような温度調節およびpH調節は、適当な検出手
段(不図示)によって、または手動で、有機廃棄物の温
度およびサンプリングした抽出液のpHを測定しながら行
うことができる。
【0051】このように、所望により間欠的にまたは連
続的に発酵槽5を回転させるとともに、一定の温度、水
分量などの条件を一定期間維持することでバクテリアを
繁殖させて、安定した細菌相を形成する。生分解工程
(ii)を所定期間行なった後、抽出工程(iii)が行われ
る。抽出工程(iii)では、ポンプPを駆動させて第一貯
留槽12の水を汲み上げ、散水ノズル38、38...か
ら散水することにより、生分解中の有機廃棄物に過剰の
水を供給する。なお、抽出効率の観点から、散水時には
駆動モータ23によって発酵槽5を回転させることが好
ましい。
【0052】この抽出工程(iii)で散水される水の量
は、生分解中の有機廃棄物の水吸収量を超える量であれ
ば特に限定されないが、例えば有機廃棄物の体積の10
〜20倍量(体積比)である。生分解中の有機廃棄物に
は、バクテリアとともに、炭水化物、脂肪およびタンパ
ク質などの基質の無機分解物である二酸化炭素、水、ア
ンモニア、硝酸および燐酸、あるいはカリウムなどの微
量金属の塩などの無機物が含まれている。これら無機分
解物は、過剰な水を供給することにより水側に抽出さ
れ、得られた抽出液は、周壁14の網目を介して下方の
第一貯留槽12に落下し貯留されることとなる。
【0053】以上説明した生分解工程(ii)および抽出工
程(iii)は、抽出工程後に残渣として残る未分解有機廃
棄物の量によっては、一回づつ行うことで終了させるこ
ともできるが、通常は、複数回交互に繰り返して行った
後に終了する。有機廃棄物の生分解が進行して発酵槽5
内の未分解有機廃棄物量が減少するに従い、第一貯留槽
12に貯留される抽出液は、その無機分解物濃度が上昇
する。その結果、バクテリアとともに、チッ素化合物、
リン酸化合物およびカリウムなどの微量元素化合物など
をバランスよく含む抽出液が第一貯留槽12に貯留され
ることとなる。
【0054】発酵槽5内の未分解の有機廃棄物が、所定
量に減少した後は、これを取り除くことなく新たな有機
廃棄物を投入することで、次の有機廃棄物の処理を連続
的に開始することができる。この際、発酵槽5内に残る
未分解の有機廃棄物と、新たに投入する有機廃棄物の量
比は、発酵槽5の容量、未分解有機廃棄物に残されるバ
クテリア量および基質組成等に基づく発酵効率などに応
じて適宜選択すればよい。
【0055】取出し工程(iv)では、適当な時期に、切換
弁39を切り換え、ポンプPを駆動することにより、第
一貯留槽12の第二室R2側の抽出液を、取出し口41
から第二貯留槽13の上段13aに導入する。ポンプP
を駆動することにより、第一貯留槽12の第二室R2側
の水位が低下するが、これは第一室R1側の抽出液がフ
ィルタ11を通過して濾過されながら移動することで補
われる。
【0056】また、第二貯留槽13の上段13aに導入
された抽出液は、フィルタ43によって更に濾過されて
微細な残渣が除去され、第二貯留槽13の下段13bに
液肥として貯留されることとなる。また、上段14aに
過剰に供給された抽出液は、返還用開口45を介して、
第一貯留槽12に返還される。下段13bに貯留された
液肥は、液肥取出し口44から適宜取り出される。
【0057】本態様の液肥製造装置1では、このような
取出し工程(iv)は、第二貯留槽13に貯留される抽出
液内の無機分解物が所望の組成および濃度となった後
は、いかなる時期に行ってもよい。なお、装置1の外部
に液肥を取り出した場合には、第一貯留槽12に接続さ
れる水供給手段(不図示)によって、消費された分の水
を供給することが望ましい。
【0058】以上、本発明に係る液肥製造装置を、その
好ましい一態様を挙げて具体的に説明したが、本発明は
この態様に限定されるものではなく、本発明の目的に反
しない限り、種々の設計変更を行うことができることは
いうまでもない。また、以上説明した本発明に係る液肥
製造装置は、家庭、レストラン、酒場および食堂等の飲
食店、食品製造工場、下水または産業排水処理施設また
はゴミ処理施設などに設置して使用できる他、車両に搭
載することも可能である。
【0059】次に、液肥製造装置を搭載した本発明に係
る車両を、添付図3を参照して、具体的に説明する。添
付図3は、本発明に係る液肥製造用車両の好ましい一態
様を示す側面図である。図示されるように、本態様の液
肥製造用車両101は、保温槽3、発酵槽5、第一貯留
槽12、ポンプ23、散水ノズル38等を備えた図1に
示す液肥製造装置を搭載している。なお、図3中、図1
と同様の部分には同様の符号を付す。
【0060】このような液肥製造用車両101では、蓋
体8を開放して有機廃棄物を発酵槽5に投入し、発酵槽
5を回転させて生ごみを発酵分解し、散水ノズル38か
らの散水により分解物(チッ素、リン酸等の水溶性無機
物)を抽出して液肥とすることができる。この液肥は、
第二貯留槽(不図示)を介して取出し口44から取り出
すことができる。
【0061】したがって、この車両101を用いて特定
範囲に散在する家庭、食堂、食品製造工場、下水処理施
設またはゴミ捨て場などを巡回し有機廃棄物を収集し
て、この有機廃棄物を処理し、かつ液肥を製造できる。
以上、具体的な態様を示して説明した本発明に係る液肥
製造用車両にあっても、この態様に限定されるものでは
なく、本発明の目的に反しない限り、種々の設計変更を
行うことができる。例えば本発明に係る液肥製造用車両
は、有機廃棄物を発酵槽内に自動的に投入する自動投入
手段を設けてもよい。
【0062】
【発明の効果】本発明に係る有機廃棄物を用いた液肥製
造方法および装置によれば、有機廃棄物を発酵槽に収容
し、バクテリアで無機分解物まで生分解させ、次いで過
剰の水を供給して生分解中の有機廃棄物から水溶性無機
分解物を水側に抽出し、得られた抽出液を液肥として分
離しているため、有機廃棄物を完全に分解しながら、効
率的に液肥を生産でき、かつ新たな有機廃棄物を、未分
解有機廃棄物を取り出すことなく、連続的に処理するこ
とが可能である。
【0063】また、本発明に係る液肥製造方法および装
置で得られた液肥は、バクテリアと、上述の水溶性無機
分解物、特にアンモニアおよび硝酸などのチッ素化合
物、リン酸などのリン化合物、あるいはカリウムなどの
微量金属の塩などとをバランスよく含んでおり、土壌の
改良に好適である他、固体である堆肥と比較して、運搬
作業、貯蔵作業および施肥作業などが容易である。
【0064】本発明に係る液肥製造用車両によれば、上
述の液肥製造用装置を搭載しているため、特定範囲に散
在する家庭、飲食店、食品製造工場、下水処理施設また
はゴミ捨て場などを巡回して有機廃棄物を収集するだけ
で、この有機廃棄物の処理および液肥の製造が可能とな
るため、有機廃棄物集積場および処理場の建設の必要が
なくなる。
【0065】以下、本発明を、その実施例をあげて更に
具体的に説明する。
【0066】
【実施例】容量200リットルの発酵槽5を有する図1
に示す液肥製造装置1を用いて、獣骨、頭部を含む魚
骨、野菜くず、肉片などを含む出た生ごみを処理した。
すなわち、発酵槽5に、30kgの生ごみと、バクテリ
アを含む籾殻とを投入して、蓋体8、9を閉めた後、発
酵槽5を回転させた。次いで、20リットルの水を散水
ノズル28、28...から散水し、散水後1分間で発酵
槽5を停止させて、さらに59分間バクテリアの繁殖お
よび生分解を進行させた。
【0067】その後、発酵槽5を回転させ、合計480
リットル/日の水を散水ノズル28、28...から散水
し、抽出を行った。なお、第一貯留槽12の水は、ヒー
タ34によって、35℃に維持した。上記の生分解工程
および抽出工程を、2日間連続して繰り返したところ、
獣骨、魚骨、魚頭部、あるいは堅い野菜芯等以外は生分
解されていた。抽出工程をさらに続けたところ、7日目
で全ての生ごみが生分解されていた。
【0068】また、最終的に第一貯留槽12に貯留され
た抽出液を、切替弁39を切り換え、ポンプPを駆動さ
せて第二貯留槽13に導入し、その下段13bに液肥と
して貯留した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る液肥製造装置の好まし
い一態様を示す断面図である。
【図2】 図2は、保温槽および発酵槽の投入口を開放
した状態を示す部分的断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る液肥製造用車両の好まし
い一態様を示す側面図である。
【符号の説明】
1...液肥製造装置 3...保温槽 5...発酵槽 7...保温槽用投入口 12...第一貯留槽 13...第二貯留槽 14...周壁 15... 回転軸 16...発酵槽用投入口 19...ロール 21...支持アーム 23...駆動モータ 25...駆動プーリ 26...従動プーリ 27...Vベルト 37...散水管 38...散水ノズル 41...抽出液取出口 44...液肥取出口 P...ポンプ 101...液肥製造用車両

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)ほぼ水平な回転軸を中心に所定方向
    に回転自在な発酵槽内に有機廃棄物を投入し、 (ii)前記発酵槽を連続的または間欠的に回転させるとと
    もに、前記有機廃棄物をバクテリアによって無機分解物
    まで生分解させ、 (iii)前記有機廃棄物に水を過剰に供給して、前記生分
    解中の有機廃棄物から水溶性無機分解物を抽出し、 (iv)得られた抽出液を液肥として外部に取出すことを特
    徴とする有機廃棄物を用いた液肥製造方法。
  2. 【請求項2】前記抽出液を貯留するとともに、前記工程
    (iii)において、前記貯留した抽出液の一部を前記発酵
    槽内の有機廃棄物に循環・供給し、かつ前記工程(iv)
    において、貯留した抽出液の一部を前記液肥として外部
    に取出す請求項1記載の液肥製造方法。
  3. 【請求項3】保温槽内にほぼ水平かつ回転自在に収容さ
    れ、内部に収容した有機廃棄物をバクテリアに無機分解
    物まで生分解させる発酵槽と、 前記発酵槽を所定方向に回転させて、発酵槽内の有機廃
    棄物を切り返す駆動手段と、 前記有機廃棄物に水溶性無機物を抽出するための水を供
    給する水供給手段と、 得られた抽出液を液肥として外部に取出すための取出口
    と、を備えることを特徴とする液肥製造装置。
  4. 【請求項4】前記水供給手段が、前記抽出液を貯留する
    ための貯水槽と、該貯水槽に貯留された抽出液を圧送し
    て前記発酵槽内部の有機廃棄物に循環・供給するための
    水循環ポンプとを有する請求項3記載の液肥製造装置。
  5. 【請求項5】前記発酵槽が、複数の透水孔を形成された
    透水部を少なくとも一部に有する周壁を備え、かつ前記
    水循環ポンプにより圧送される水が、発酵槽上方に配設
    された散水ノズルから発酵槽に散水されることにより、
    前記透水孔を介して前記有機廃棄物に供給される請求項
    4記載の液肥製造装置。
  6. 【請求項6】前記発酵槽が、前記有機廃棄物の投入口を
    備え、該投入口側が高くなるように傾斜して配設される
    請求項3〜5の何れか1項に記載の液肥製造装置。
  7. 【請求項7】前記発酵槽の周壁に、内方向に向かって形
    成された切返し用突出部が配設されている請求項3〜6
    の何れか1項に記載の液肥製造装置。
  8. 【請求項8】請求項3〜7のいずれか1項に記載の液肥
    製造装置を搭載した液肥製造用車両。
JP25022899A 1999-09-03 1999-09-03 有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両 Pending JP2001080981A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25022899A JP2001080981A (ja) 1999-09-03 1999-09-03 有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25022899A JP2001080981A (ja) 1999-09-03 1999-09-03 有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001080981A true JP2001080981A (ja) 2001-03-27

Family

ID=17204753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25022899A Pending JP2001080981A (ja) 1999-09-03 1999-09-03 有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001080981A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006011727A1 (en) * 2004-07-27 2006-02-02 Jong-Wan Im Special vehicle for instantly processing organic wastes and thereafter instantly producing organic lime manure
JP2011189221A (ja) * 2010-03-11 2011-09-29 Hokumei Sangyo Kk 生ごみ回収処理装置用コンテナおよびこれを備えた荷役車両
JPWO2013051648A1 (ja) * 2011-10-07 2015-03-30 Igaバイオリサーチ株式会社 生物由来物質の分解方法及び分解装置
CN112317039A (zh) * 2020-10-12 2021-02-05 蚌埠绿源创芯环保科技有限公司 一种建筑垃圾酸化处理装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006011727A1 (en) * 2004-07-27 2006-02-02 Jong-Wan Im Special vehicle for instantly processing organic wastes and thereafter instantly producing organic lime manure
JP2011189221A (ja) * 2010-03-11 2011-09-29 Hokumei Sangyo Kk 生ごみ回収処理装置用コンテナおよびこれを備えた荷役車両
JPWO2013051648A1 (ja) * 2011-10-07 2015-03-30 Igaバイオリサーチ株式会社 生物由来物質の分解方法及び分解装置
CN112317039A (zh) * 2020-10-12 2021-02-05 蚌埠绿源创芯环保科技有限公司 一种建筑垃圾酸化处理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1471409B (zh) 淤浆分离和沼气生产的方案
KR101359897B1 (ko) 분뇨를 이용한 유기질 비료의 제조방법
KR100852873B1 (ko) 유기물을 함유한 폐기물 및 배설물을 자원화 하는 방법과장치
Skjelhaugen Thermophilic aerobic reactor for processing organic liquid wastes
JPH06345575A (ja) 有機性廃棄物の高速堆肥化施設と有機性廃棄物の再生方法
KR101316089B1 (ko) 호기성 발효를 이용한 액비의 제조방법 및 액비를 이용한 작물 재배방법
JP3706097B2 (ja) 有機廃棄物発酵処理システム
JP2001080981A (ja) 有機廃棄物を用いた液肥製造方法、液肥製造装置および液肥製造用車両
KR100873223B1 (ko) 유기성 폐기물의 퇴비화 시스템의 발효장 어셈블리
AU2021100215A4 (en) Kitchen Waste Convert into an Organic Material Device
JP2000143375A (ja) 堆 肥
KR100348637B1 (ko) 축산폐수의 퇴비화 방법에 의한 무방류 처리공법 및 수도용비
KR100200031B1 (ko) 음식물쓰레기를 이용한 퇴비 발효제와 그 제조방법 및 그를 이용한 축산폐수의 퇴비화 방법
JPH10323652A (ja) 生ごみ処理方法と、その方法を実施するための生ごみ処理装置
JP2006111479A (ja) 有機性廃棄物処理システム
EP0971581A1 (en) Symbiosis of sheds and greenhouses
JP2002361215A (ja) 有機廃棄物の微生物分解方法および装置
KR102664238B1 (ko) 가축분뇨를 이용한 액비의 제조방법 및 액비화 시스템
KR102249102B1 (ko) 유기성폐기물 자원화 방법 및 이를 이용한 친환경 고기능성 퇴비
JP3926550B2 (ja) 柑橘類廃棄物又は該柑橘類廃棄物と茶殼廃棄物の好気性醗酵処理方法
JP3054355B2 (ja) 立体多段型多目的発酵装置
JP2004168564A (ja) 植物廃棄物の処理装置
KR101784953B1 (ko) 혼합미생물(Mix302)이 포함된 미생물 제제 및 이를 이용한 증발식 돈분뇨 처리방법
JPH10287486A (ja) 藻・水草の微生物学的処理システム
KR200223401Y1 (ko) 오폐수 및 가축분뇨 여과처리 시스템