JP2001080571A - 摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法 - Google Patents
摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法Info
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- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 多量の気体を低コストで水中に送出すること
が可能な摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法を提供
する。 【解決手段】 水中へ気体を送出することにより、航行
中の船体外板２上に気泡を介在させ、船体と水との摩擦
抵抗を低減させる摩擦抵抗低減船であって、主機１０か
らの排気ガスに含まれる汚染物質を除去もしくは無害化
するための洗浄部１２と、洗浄部１２からのガスを水中
へ送出するための気体送出部１３とを備えるように構成
する。
が可能な摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法を提供
する。 【解決手段】 水中へ気体を送出することにより、航行
中の船体外板２上に気泡を介在させ、船体と水との摩擦
抵抗を低減させる摩擦抵抗低減船であって、主機１０か
らの排気ガスに含まれる汚染物質を除去もしくは無害化
するための洗浄部１２と、洗浄部１２からのガスを水中
へ送出するための気体送出部１３とを備えるように構成
する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中へ気体を送出
することにより、航行状態にある船体の船体外板上に気
泡を介在させて船体と水との摩擦抵抗を低減させる摩擦
抵抗低減船に関する。
することにより、航行状態にある船体の船体外板上に気
泡を介在させて船体と水との摩擦抵抗を低減させる摩擦
抵抗低減船に関する。
【０００２】
【従来の技術】特開昭５０−８３９９２号、特開昭５３
−１３６２８９号、特開昭６０−１３９５８６号、特開
昭６１−７１２９０号、実開昭６１−３９６９１号、及
び実開昭６１−１２８１８５号公報等に、摩擦抵抗低減
船に係わる技術が開示されている。この摩擦抵抗低減船
は、航行状態において船体表面（船体外板）から空気等
の気体を水中に送出して船体外板上に多数の気泡（マイ
クロバブル）を介在させ、このマイクロバブルの介在に
よって船体と水との間に作用する摩擦抵抗を低減させ
て、少ない動力コストで航行することを目的とするもの
である。
−１３６２８９号、特開昭６０−１３９５８６号、特開
昭６１−７１２９０号、実開昭６１−３９６９１号、及
び実開昭６１−１２８１８５号公報等に、摩擦抵抗低減
船に係わる技術が開示されている。この摩擦抵抗低減船
は、航行状態において船体表面（船体外板）から空気等
の気体を水中に送出して船体外板上に多数の気泡（マイ
クロバブル）を介在させ、このマイクロバブルの介在に
よって船体と水との間に作用する摩擦抵抗を低減させ
て、少ない動力コストで航行することを目的とするもの
である。
【０００３】本出願人は、このような摩擦抵抗低減船に
係わる技術として、例えば船首近傍から水中に気体（例
えば空気）を送出して船体外板上にマイクロバブルを介
在させる技術を提案している。この技術は、船首近傍か
ら気体を送出することによって生じたマイクロバブルを
船体外板上の水の流線に沿って拡散させ、船体をマイク
ロバブルで覆うことを意図したものである。こうした技
術では、一般に、水中へ気体を送出するための手段とし
て、例えばブロアなどの気体供給装置が用いられてい
る。
係わる技術として、例えば船首近傍から水中に気体（例
えば空気）を送出して船体外板上にマイクロバブルを介
在させる技術を提案している。この技術は、船首近傍か
ら気体を送出することによって生じたマイクロバブルを
船体外板上の水の流線に沿って拡散させ、船体をマイク
ロバブルで覆うことを意図したものである。こうした技
術では、一般に、水中へ気体を送出するための手段とし
て、例えばブロアなどの気体供給装置が用いられてい
る。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ところで、マイクロバ
ブルによる摩擦抵抗の低減効果を動力コストの低減に効
果的に結び付けるには、気体送出に要する動力をできる
だけ少なくするとともに、気体送出のための設備コスト
をできるだけ抑制する必要がある。また、可能な限り多
くの気体を水中へ送出することで、船体の摩擦抵抗をよ
り効果的に低減できることが分かっている。ところが、
例えば、気体供給装置を用いて水中へ気体を送出する場
合、多量の気体を送出しようとすると、装置が大きくな
って設備コストが増大してしまいやすい。このため、多
量の気体を低コストで水中に送出することができる技術
の確立が望まれている。
ブルによる摩擦抵抗の低減効果を動力コストの低減に効
果的に結び付けるには、気体送出に要する動力をできる
だけ少なくするとともに、気体送出のための設備コスト
をできるだけ抑制する必要がある。また、可能な限り多
くの気体を水中へ送出することで、船体の摩擦抵抗をよ
り効果的に低減できることが分かっている。ところが、
例えば、気体供給装置を用いて水中へ気体を送出する場
合、多量の気体を送出しようとすると、装置が大きくな
って設備コストが増大してしまいやすい。このため、多
量の気体を低コストで水中に送出することができる技術
の確立が望まれている。
【０００５】本発明は、上述する事情に鑑みてなされた
ものであり、多量の気体を低コストで水中に送出するこ
とが可能な摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法を提
供することを目的とする。
ものであり、多量の気体を低コストで水中に送出するこ
とが可能な摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法を提
供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項１に係る発明は、水中へ気体を送出すること
により、航行中の船体外板上に気泡を介在させ、船体と
水との摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減船であって、
主機からの排気ガスに含まれる汚染物質を除去するため
の洗浄部と、この洗浄部からのガスを水中へ送出するた
めの気体送出部とを備える技術が採用される。この摩擦
抵抗低減船では、排気ガスを利用して水中へ気体を送出
するので、ブロアなどの気体送出装置を新たに設けるこ
となく、多量の気体を水中へ送出することが可能であ
る。そのため、設備コストを大きく増大させることな
く、気体を水中に送出することが可能となる。
め、請求項１に係る発明は、水中へ気体を送出すること
により、航行中の船体外板上に気泡を介在させ、船体と
水との摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減船であって、
主機からの排気ガスに含まれる汚染物質を除去するため
の洗浄部と、この洗浄部からのガスを水中へ送出するた
めの気体送出部とを備える技術が採用される。この摩擦
抵抗低減船では、排気ガスを利用して水中へ気体を送出
するので、ブロアなどの気体送出装置を新たに設けるこ
となく、多量の気体を水中へ送出することが可能であ
る。そのため、設備コストを大きく増大させることな
く、気体を水中に送出することが可能となる。
【０００７】また、請求項２に係る発明は、請求項１の
摩擦抵抗低減船において、洗浄部が、主機からの排気ガ
スに対向流に液体を流して排気ガスに含まれる所定の物
質を除去するスクラバを備える技術が採用される。
摩擦抵抗低減船において、洗浄部が、主機からの排気ガ
スに対向流に液体を流して排気ガスに含まれる所定の物
質を除去するスクラバを備える技術が採用される。
【０００８】また、請求項３に係る発明は、船体と水と
の摩擦抵抗を低減させるために、水中へ気体を送出して
航行中の船体外板上に気泡を介在させる摩擦抵抗低減船
の気体送出方法であって、主機からの排気ガスを水中に
送出することで、排気ガスに含まれる汚染物質を無害化
する技術が採用される。
の摩擦抵抗を低減させるために、水中へ気体を送出して
航行中の船体外板上に気泡を介在させる摩擦抵抗低減船
の気体送出方法であって、主機からの排気ガスを水中に
送出することで、排気ガスに含まれる汚染物質を無害化
する技術が採用される。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる摩擦抵抗低
減船の一実施形態について図面を参照して説明する。図
１には、本実施形態に係る摩擦抵抗低減船の推進機関の
要部構成が示されており、この摩擦抵抗低減船では、主
機１０（メインエンジン）にディーゼル機関が採用さ
れ、この主機１０に対して過給機１１（ターボ・チャー
ジャー）から過給が行われるようになっている。すなわ
ち、推進機関は、主機１０からの排気ガスのエネルギー
を利用して過給機１１のタービン翼を回転させ、その回
転力を利用して主機１０のシリンダ内に送られる供給ガ
スの圧力（密度）を高めるように構成されている。
減船の一実施形態について図面を参照して説明する。図
１には、本実施形態に係る摩擦抵抗低減船の推進機関の
要部構成が示されており、この摩擦抵抗低減船では、主
機１０（メインエンジン）にディーゼル機関が採用さ
れ、この主機１０に対して過給機１１（ターボ・チャー
ジャー）から過給が行われるようになっている。すなわ
ち、推進機関は、主機１０からの排気ガスのエネルギー
を利用して過給機１１のタービン翼を回転させ、その回
転力を利用して主機１０のシリンダ内に送られる供給ガ
スの圧力（密度）を高めるように構成されている。
【００１０】また、本実施形態の摩擦抵抗低減船は、主
機１０からの排気ガスを、洗浄部１２を介してダストや
汚染物質を除去もしくは無害化した後、船首１ａ近傍の
船底１ｂに設けられた気体送出部１３から水中へ送出す
るように構成されている。以下、推進機関および洗浄部
１２について説明する。
機１０からの排気ガスを、洗浄部１２を介してダストや
汚染物質を除去もしくは無害化した後、船首１ａ近傍の
船底１ｂに設けられた気体送出部１３から水中へ送出す
るように構成されている。以下、推進機関および洗浄部
１２について説明する。
【００１１】図２には、本実施形態に係る推進機関の構
成例が示されている。この推進機関では、主機１０の複
数のシリンダ２０から排出された排気ガスが、各シリン
ダ２０共通のマニホールド２１に貯えられて定圧化され
た後、ノズル２２を通ってタービン翼２３を回転させ、
排出部２４へ流れる。タービン翼２３の回転力は、回転
シャフト２５を介して圧縮部２６に伝えられ、圧縮翼２
７を回転させる。圧縮部２６では、圧縮翼２７の回転に
伴い、フィルタ２８を介して流れ込んだ気体が所定の圧
力に圧縮され、主機１０へ送られるようになっている。
成例が示されている。この推進機関では、主機１０の複
数のシリンダ２０から排出された排気ガスが、各シリン
ダ２０共通のマニホールド２１に貯えられて定圧化され
た後、ノズル２２を通ってタービン翼２３を回転させ、
排出部２４へ流れる。タービン翼２３の回転力は、回転
シャフト２５を介して圧縮部２６に伝えられ、圧縮翼２
７を回転させる。圧縮部２６では、圧縮翼２７の回転に
伴い、フィルタ２８を介して流れ込んだ気体が所定の圧
力に圧縮され、主機１０へ送られるようになっている。
【００１２】過給機１１から送られた気体は、配管２９
内を流れて冷却器３０で冷却された後、スカベンジボッ
クス３１へ送り込まれ、供給口３２からシリンダ２０内
へ供給される。このとき、シリンダ２０内への供給ガス
の圧力が高まることにより、主機１０における燃焼効率
が向上する。なお、配管２９途中の補助ブロア３３は、
船体の航行速度等の諸条件に応じてスカベンジボックス
３１内の圧力を調節するためのものであり、推進機関の
動力性能に応じて適宜設けられる。
内を流れて冷却器３０で冷却された後、スカベンジボッ
クス３１へ送り込まれ、供給口３２からシリンダ２０内
へ供給される。このとき、シリンダ２０内への供給ガス
の圧力が高まることにより、主機１０における燃焼効率
が向上する。なお、配管２９途中の補助ブロア３３は、
船体の航行速度等の諸条件に応じてスカベンジボックス
３１内の圧力を調節するためのものであり、推進機関の
動力性能に応じて適宜設けられる。
【００１３】図３には、本実施形態に係る洗浄部１２の
構成例が示されている。洗浄部１２は、スプレー４０を
介してミストもしくは粒子状の処理液（スクラバ液）を
流すためのスクラバ４１と、処理液（スクラバ液）を貯
溜する供給タンク４２と、供給タンク４２からスクラバ
へ処理液を送液する送液ポンプ４３と、処理液を冷却す
るための熱交換器４４と、スクラバ４１から排出される
液体を回収するための回収タンク４５とを含んで構成さ
れている。
構成例が示されている。洗浄部１２は、スプレー４０を
介してミストもしくは粒子状の処理液（スクラバ液）を
流すためのスクラバ４１と、処理液（スクラバ液）を貯
溜する供給タンク４２と、供給タンク４２からスクラバ
へ処理液を送液する送液ポンプ４３と、処理液を冷却す
るための熱交換器４４と、スクラバ４１から排出される
液体を回収するための回収タンク４５とを含んで構成さ
れている。
【００１４】スクラバ４１は、比較的低温のスクラバ液
を前述した排出部２４からの高温の排気ガスに対向流で
流し、汚染物質を排気ガスから除去するものである。本
実施形態では、汚染物質の代表的なものとして、窒素酸
化物（ＮＯｘ）および硫黄酸化物（ＳＯｘ）を対象とし
ている。これらの汚染物質は、大気中に排出されること
で温暖化などの環境破壊の要因物質となりやすく、ま
た、船体の金属に対する腐食物質として作用しやすい。
を前述した排出部２４からの高温の排気ガスに対向流で
流し、汚染物質を排気ガスから除去するものである。本
実施形態では、汚染物質の代表的なものとして、窒素酸
化物（ＮＯｘ）および硫黄酸化物（ＳＯｘ）を対象とし
ている。これらの汚染物質は、大気中に排出されること
で温暖化などの環境破壊の要因物質となりやすく、ま
た、船体の金属に対する腐食物質として作用しやすい。
【００１５】スクラバ４１では、高温のガスに低温のス
クラバ液が接することで、排気ガス中の水蒸気が凝縮
し、排気ガスから効率的に汚染物質が除去される。例え
ば、主機１０での燃焼過程で生じたＮＯなどの窒素酸化
物は、スクラバ４１へ到達するまでに水溶性の高い二酸
化窒素（ＮＯ2 ）に酸化され、その多くがスクラバ４１
内でスクラバ液に吸着される。なお、スクラバ４１は、
スプレー４０を介してミストを生成するものに限らず、
泡状の液体を流す構成であってもよい。
クラバ液が接することで、排気ガス中の水蒸気が凝縮
し、排気ガスから効率的に汚染物質が除去される。例え
ば、主機１０での燃焼過程で生じたＮＯなどの窒素酸化
物は、スクラバ４１へ到達するまでに水溶性の高い二酸
化窒素（ＮＯ2 ）に酸化され、その多くがスクラバ４１
内でスクラバ液に吸着される。なお、スクラバ４１は、
スプレー４０を介してミストを生成するものに限らず、
泡状の液体を流す構成であってもよい。
【００１６】本実施形態では、洗浄部１２は、スクラバ
４１で使用した処理液を回収タンク４５で回収し、供給
タンク４２でその処理液の濃度等を調整するとともに熱
交換器４４で冷却してスクラバ４１へ送り、洗浄用に再
利用するように構成されている。熱交換器４４で回収さ
れた熱は、図示しないヒートポンプ等に送られて、船内
のさまざまな熱源や発電機の動力として利用されるよう
になっている。
４１で使用した処理液を回収タンク４５で回収し、供給
タンク４２でその処理液の濃度等を調整するとともに熱
交換器４４で冷却してスクラバ４１へ送り、洗浄用に再
利用するように構成されている。熱交換器４４で回収さ
れた熱は、図示しないヒートポンプ等に送られて、船内
のさまざまな熱源や発電機の動力として利用されるよう
になっている。
【００１７】また、排気ガスを洗浄するための処理液に
は、水および薬液が用いられる。供給タンク４２には、
所定の薬液を供給可能な薬液供給部４６が接続されてい
る。薬液としては、酸性の排ガスを中和するためのアル
カリ液、あるいは消臭液などが用いられ、この薬液は排
気ガスの特性に応じて定められる。これにより、回収タ
ンク４５には、化学反応後の液体と不溶性の沈殿物とが
貯溜される。
は、水および薬液が用いられる。供給タンク４２には、
所定の薬液を供給可能な薬液供給部４６が接続されてい
る。薬液としては、酸性の排ガスを中和するためのアル
カリ液、あるいは消臭液などが用いられ、この薬液は排
気ガスの特性に応じて定められる。これにより、回収タ
ンク４５には、化学反応後の液体と不溶性の沈殿物とが
貯溜される。
【００１８】本実施形態では、薬液として希薄なＮＡＯ
Ｈ液が用いられ、このＮＡＯＨ液が排気ガス中の硫黄酸
化物（ＳＯｘ）と反応することにより、回収タンク４５
内に硫酸ナトリウム（Ｎａ2ＳＯ4）が生成される。主機
１０での燃焼過程で生じた石油中の金属成分は、スクラ
バ液に吸着されて不溶性沈殿物として回収タンク４５内
に沈殿し、この不溶性沈殿物は、汚泥として分離・回収
される。また、回収タンク４５の液体中に残留している
硫酸ナトリウムなど残留物質は、自然塩分として海中に
排出される。
Ｈ液が用いられ、このＮＡＯＨ液が排気ガス中の硫黄酸
化物（ＳＯｘ）と反応することにより、回収タンク４５
内に硫酸ナトリウム（Ｎａ2ＳＯ4）が生成される。主機
１０での燃焼過程で生じた石油中の金属成分は、スクラ
バ液に吸着されて不溶性沈殿物として回収タンク４５内
に沈殿し、この不溶性沈殿物は、汚泥として分離・回収
される。また、回収タンク４５の液体中に残留している
硫酸ナトリウムなど残留物質は、自然塩分として海中に
排出される。
【００１９】また、スクラバ４１で洗浄され、汚染物質
が除去されたガスは、配管５０を通って気体送出部１３
へ送られる。気体送出部１３は、その外表面が下方に湾
曲して形成されており、その頂部付近にはガスの送出口
５１が設けられている。気体送出部１３が下方に湾曲し
て形成されているため、航行時に気体送出部１３を流れ
る水は頂部付近でその流速が増大し、これに伴って送出
口５１付近の静水圧が低くなる。
が除去されたガスは、配管５０を通って気体送出部１３
へ送られる。気体送出部１３は、その外表面が下方に湾
曲して形成されており、その頂部付近にはガスの送出口
５１が設けられている。気体送出部１３が下方に湾曲し
て形成されているため、航行時に気体送出部１３を流れ
る水は頂部付近でその流速が増大し、これに伴って送出
口５１付近の静水圧が低くなる。
【００２０】また、本実施形態の摩擦抵抗低減船では、
一般的なガスタービンエンジンに比べて過給機１１の吐
出圧力が所定量（例えば１〜２ｋｇｆ／ｃｍ2 Ｇ）だけ
高くなるように設計されている。これは、主機１０から
の排気ガスの吐出圧力を通常よりも高くして送出口５１
から気体を十分に送出できるようにするためである。上
述したように、航行時には、送出口５１付近の静水圧が
低くなるので、水中への気体の送出に必要な圧力は停船
中に比べると少なくて済む。このため、主機１０および
過給機１１は、航行時に十分に送出口５１から気体を送
出できるようにその仕様が定められている。
一般的なガスタービンエンジンに比べて過給機１１の吐
出圧力が所定量（例えば１〜２ｋｇｆ／ｃｍ2 Ｇ）だけ
高くなるように設計されている。これは、主機１０から
の排気ガスの吐出圧力を通常よりも高くして送出口５１
から気体を十分に送出できるようにするためである。上
述したように、航行時には、送出口５１付近の静水圧が
低くなるので、水中への気体の送出に必要な圧力は停船
中に比べると少なくて済む。このため、主機１０および
過給機１１は、航行時に十分に送出口５１から気体を送
出できるようにその仕様が定められている。
【００２１】そして、燃焼過程で生じたＮＯなどの窒素
酸化物のうち、スクラバ４１内でスクラバ液に吸着され
なかったものは、水中に送出されることでその多くが水
に溶ける。そのため、窒素酸化物の大気への放出が大幅
に少なくなり大気汚染が抑制される。
酸化物のうち、スクラバ４１内でスクラバ液に吸着され
なかったものは、水中に送出されることでその多くが水
に溶ける。そのため、窒素酸化物の大気への放出が大幅
に少なくなり大気汚染が抑制される。
【００２２】このように、本実施形態の摩擦抵抗低減船
によれば、主機１０からの排気ガスを気体送出部１３か
ら水中へ送出するため、ブロアなどの気体送出装置を新
たに設けることなく、多量の気体を水中に送出すること
ができる。そして、水中に送出した気体によって船体の
摩擦抵抗を効果的に低減することが可能である。また、
排気ガスに含まれるＮＯｘやＳＯｘなどの汚染物質を洗
浄部１２で除去したり、無害な状態で水中に送出した
り、あるいは、無害な状態で水中へ溶かしたりするの
で、排気ガスを利用するにも関わらず、環境に対する汚
染が少ない。また、洗浄部１２では、主機１０からの排
気ガスに対向流にミスト状の処理液を流すので、ガスに
含まれる汚染物質をミストに吸着させて効率的に除去す
ることができる。
によれば、主機１０からの排気ガスを気体送出部１３か
ら水中へ送出するため、ブロアなどの気体送出装置を新
たに設けることなく、多量の気体を水中に送出すること
ができる。そして、水中に送出した気体によって船体の
摩擦抵抗を効果的に低減することが可能である。また、
排気ガスに含まれるＮＯｘやＳＯｘなどの汚染物質を洗
浄部１２で除去したり、無害な状態で水中に送出した
り、あるいは、無害な状態で水中へ溶かしたりするの
で、排気ガスを利用するにも関わらず、環境に対する汚
染が少ない。また、洗浄部１２では、主機１０からの排
気ガスに対向流にミスト状の処理液を流すので、ガスに
含まれる汚染物質をミストに吸着させて効率的に除去す
ることができる。
【００２３】なお、上述した実施形態において示した各
構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発
明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づ
き種々変更可能である。また、上述した実施形態では、
摩擦抵抗低減船の主機としてディーゼル機関を採用して
いるが、本発明はこれに限るものではなく、船体の大き
さなど、種々の条件に応じて、ガスタービン機関や蒸気
タービン機関など、他の機関を採用してもよい。
構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発
明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づ
き種々変更可能である。また、上述した実施形態では、
摩擦抵抗低減船の主機としてディーゼル機関を採用して
いるが、本発明はこれに限るものではなく、船体の大き
さなど、種々の条件に応じて、ガスタービン機関や蒸気
タービン機関など、他の機関を採用してもよい。
【００２４】また、上述した実施形態で示した洗浄部１
２は、上述した構成のものに限らず、タンカー等に一般
的に用いられている不活性ガス発生装置を兼用した構成
としてもよい。
２は、上述した構成のものに限らず、タンカー等に一般
的に用いられている不活性ガス発生装置を兼用した構成
としてもよい。
【００２５】また、排出ガスの全量を水中への気体送出
に用いるのでなく、船体の摩擦抵抗に必要な量だけを水
中へ送出できるような構成にしてもよい。
に用いるのでなく、船体の摩擦抵抗に必要な量だけを水
中へ送出できるような構成にしてもよい。
【００２６】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
以下の効果を得ることができる。請求項１に係る摩擦抵
抗低減船は、排気ガスを利用して水中へ気体を送出する
ので、ブロアなどの気体送出装置を新たに設けることな
く、多量の気体を水中へ送出することが可能である。し
たがって、設備コストを大きく増大させることなく、多
量の気体を低コストで水中に送出することができる。ま
た、この摩擦抵抗低減船では、水中に送出する排気ガス
からＮＯｘやＳＯｘなどの汚染物質を除去したり、これ
らの汚染物質を無害な状態にして海中へ流すため、環境
に対する汚染が少ない。
以下の効果を得ることができる。請求項１に係る摩擦抵
抗低減船は、排気ガスを利用して水中へ気体を送出する
ので、ブロアなどの気体送出装置を新たに設けることな
く、多量の気体を水中へ送出することが可能である。し
たがって、設備コストを大きく増大させることなく、多
量の気体を低コストで水中に送出することができる。ま
た、この摩擦抵抗低減船では、水中に送出する排気ガス
からＮＯｘやＳＯｘなどの汚染物質を除去したり、これ
らの汚染物質を無害な状態にして海中へ流すため、環境
に対する汚染が少ない。
【００２７】請求項２に係る摩擦抵抗低減船では、排気
ガスに対向流に液体を流すので、排気ガスに含まれる汚
染物質を効果的に除去することができる。
ガスに対向流に液体を流すので、排気ガスに含まれる汚
染物質を効果的に除去することができる。
【００２８】請求項３に係る摩擦抵抗低減船の気体送出
方法では、主機からの排気ガスを水中に送出すること
で、排気ガスに含まれる汚染物質を無害化するので、水
中に送出した気体によって船体の摩擦抵抗を低減しなが
ら、同時に排煙処理を行うことができ、環境汚染処理対
策に要する費用を低減することが可能である。
方法では、主機からの排気ガスを水中に送出すること
で、排気ガスに含まれる汚染物質を無害化するので、水
中に送出した気体によって船体の摩擦抵抗を低減しなが
ら、同時に排煙処理を行うことができ、環境汚染処理対
策に要する費用を低減することが可能である。
【図１】 本発明に係る摩擦抵抗低減船の一実施形態を
示す概略構成図である。
示す概略構成図である。
【図２】 図１の推進機関の構成を示す図である。
【図３】 図１の洗浄部の構成を示す図である。
２ 船体外板 １０ 主機 １１ 過給機 １２ 洗浄部 １３ 気体送出部 ４０ スプレー ４１ スクラバ ４４ 熱交換器 ４６ 薬液供給部 ５０ 配管 ５１ 送出口
Claims (3)
- 【請求項１】 水中へ気体を送出することにより、航行
中の船体外板上に気泡を介在させ、船体と水との摩擦抵
抗を低減させる摩擦抵抗低減船であって、 主機からの排気ガスに含まれる汚染物質を除去もしくは
無害化するための洗浄部と、 該洗浄部からのガスを水中へ送出するための気体送出部
とを備えることを特徴とする摩擦抵抗低減船。 - 【請求項２】 前記洗浄部は、前記主機からの排気ガス
に対向流に液体を流して排気ガスに含まれる所定の物質
を除去するスクラバを備えることを特徴とする請求項１
記載の摩擦抵抗低減船。 - 【請求項３】 船体と水との摩擦抵抗を低減させるため
に、水中へ気体を送出して航行中の船体外板上に気泡を
介在させる摩擦抵抗低減船の気体送出方法であって、 主機からの排気ガスを水中に送出することで、排気ガス
に含まれる汚染物質を無害化することを特徴とする摩擦
抵抗低減船の気体送出方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25628499A JP2001080571A (ja) | 1999-09-09 | 1999-09-09 | 摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25628499A JP2001080571A (ja) | 1999-09-09 | 1999-09-09 | 摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001080571A true JP2001080571A (ja) | 2001-03-27 |
Family
ID=17290522
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25628499A Pending JP2001080571A (ja) | 1999-09-09 | 1999-09-09 | 摩擦抵抗低減船およびその気体送出方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2001080571A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008024279A (ja) * | 2006-07-21 | 2008-02-07 | Tadayoshi Uemoto | 摩擦抵抗低減船 |
| JP2014233991A (ja) * | 2013-05-30 | 2014-12-15 | 住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 | 船舶 |
-
1999
- 1999-09-09 JP JP25628499A patent/JP2001080571A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008024279A (ja) * | 2006-07-21 | 2008-02-07 | Tadayoshi Uemoto | 摩擦抵抗低減船 |
| JP2014233991A (ja) * | 2013-05-30 | 2014-12-15 | 住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 | 船舶 |
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