JP2001079577A - 浄化槽及び浄化槽の脱臭方法 - Google Patents

浄化槽及び浄化槽の脱臭方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気を供給するブロア管が内部に設けらた処
理室を備える浄化槽を、内部で発生する気体の完全な脱
臭を可能とするように改良する。 【解決手段】 本発明の浄化槽は、処理室10を備え
る。処理室10は、隔壁11aにより、嫌気性菌処理室
12、好気性菌処理室13及び後処理室14に分割さ
れ、好気性菌処理室13内にはブロア管30が設けられ
ている。嫌気性菌処理室12には、汚水X流入用の流入
管20が接続され、後処理室14には処理後の汚水Xを
排出する流出管40が接続されている。上記流入管20
の処理室10近傍には、オゾン発生器22から延設され
たオゾン供給管21が、処理室10に臨む向きで連通さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄化槽に関し、よ
り詳細には浄化槽が備える処理室から漏れ出す悪臭を防
止するための脱臭技術に関する。
【0002】
【従来の技術】下水道設備の普及が完全でない場合、生
活にともなって生じる生活排水や汚水(この明細書で
は、汚水と総称する。)は、浄化槽による処理に頼らざ
るをえない。このような浄化槽は、空気を供給するブロ
ア管がその内部に設けられた処理室を基本に据え、この
処理室に、汚水を供給する流入管と、処理後の汚水を排
出する流出管とを連通させて構成するのが一般的となっ
ている。上記ブロア管は、処理室を好気性にするのに寄
与し、好気性に保たれた処理室内では、好気性菌による
効率的な汚水処理が行われる。
【0003】このような浄化槽は、汚水の浄化を行うと
いう機能についてはそれほど問題を生じない。しかしな
がら、浄化槽から悪臭が発生し易いという不具合を有し
ている。ブロア管が内部に設けられた処理室を有する浄
化槽は、処理室内部の好気性を維持するために継続的な
空気の供給を行う必要があるため、処理室内部が外部よ
りも高圧になる。従って、処理室内で発生する悪臭を伴
う気体は、この高圧により処理室内部へと押し出され、
浄化槽の外部へ悪臭が漏れ出すことになる。また、浄化
槽内では、水位の上下が頻繁に生じるため、水位上昇に
より悪臭を伴なう気体が外部へ押し出されることがまま
ある。
【0004】上述の如き浄化槽は、人が生活する場に近
接して設けられる場合が多いので、そこから発生する悪
臭を低減するための様々な工夫が提案されている。その
中で一般的なのは、オゾンを用いて悪臭を低減させるこ
とである。具体的には、上記処理室に隣接させてオゾン
発生器を設け、このオゾン発生器からオゾン供給管を介
して処理室へとオゾンを導くことにより悪臭を低減させ
るという技術が用いられている。
【0005】この技術は、ある程度の効果をあげてお
り、広く普及している。しかしながら、単にオゾンを利
用するだけでは完全な脱臭を行うことはできないのもま
た事実であり、浄化槽においてより完全な脱臭を行なえ
るようにする技術が求められているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みてなされたものであり、空気を供給するブロ
ア管がその内部に設けらた処理室を備える浄化槽を、そ
の内部で発生する気体の完全な脱臭を可能とするように
改良するための技術を提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明による浄化槽は、空気を供給するブロア管がそ
の内部に配されると共に、汚水を供給する流入管及び処
理後の汚水を排出する流出管が連通された処理室と、オ
ゾン発生器から延設され、前記処理室内にオゾンを供給
するオゾン供給管とを備える浄化槽を基本としつつ、そ
のオゾン供給管が、流入管に連通されていることを特徴
とする浄化槽である。この浄化槽は、処理室内で発生し
た悪臭を伴う気体が最も多量に漏れ出すのは、流入管か
らであるという知見に基づいて創案されたものである。
この浄化槽によれば、悪臭を伴う気体が最も多量に漏れ
出す部位である流入管にオゾン供給管を連通させること
で、かかる気体の脱臭を効率的に行うことができる。
【0008】かかる浄化槽におけるオゾン供給管は流入
管に連通されていれば足りるが、流入管の、処理室と近
接する位置に連通されるのが好ましい。流入管の、処理
室と近接する位置にオゾン供給管を連通させることで、
悪臭を伴う気体が処理室へ流入することを効率的に防止
できるようになり、更には、処理室内にオゾンを効率よ
く充満させられるようになるので、処理室内における悪
臭の発生自体を低減させられるからである。
【0009】本発明による浄化槽におけるオゾン供給管
は、流入管を貫通し且つその開口が前記処理室に臨む方
向で流入管に接続されるのが好ましい。オゾン供給管を
このように構成することで、流入管に流れ込んでくる悪
臭を伴う気体に対して、対向する方向でオゾンを供給で
きるようになり、流入管に対する悪臭を伴う気体の進入
を、より一層効果的に防止できるようになる。
【0010】本発明による浄化槽における処理室は、ブ
ロア管が内部に配された好気性菌処理室と、ブロア管が
内部に設けられていない嫌気性菌処理室とを備えるもの
とすることができる。このような好気性菌処理室と、嫌
気性菌処理室とを組み合わせることで、汚水処理の効率
を向上させることができる。
【0011】本発明は、空気を供給するブロア管がその
内部に設けられると共に、汚水を供給する流入管及び処
理後の汚水を排出する流出管が連通された処理室を備え
る浄化槽で用いられる脱臭方法をも提供する。具体的に
は、かかる浄化槽の流入管にオゾンを供給することで脱
臭を行う浄化槽の脱臭方法である。この場合におけるオ
ゾンの供給は、流入管への悪臭を伴う気体の進入を防止
するという観点からすれば、流入管内の主たるオゾンの
流れが、浄化槽に向かうようにすることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図1を参照して本発明の好
ましい実施形態の一例について説明を行う。
【0013】この実施形態による浄化槽の概略的な断面
図を図1に示している。この浄化槽は、設置時に地中へ
埋設される処理室10を備えている。この処理室10
は、隔壁11a、11aにより、上流側から、嫌気性菌
処理室12、好気性菌処理室13及び後処理室14に分
割されている。補助壁11b、11bは、嫌気性菌処理
室12、好気性菌処理室13で処理を行われていない汚
水Xが、隔壁11、11を乗り越えて好気性菌処理室1
3、後処理室14へ進むのを防止するためのものであ
る。汚水Xは、嫌気性菌処理室12から好気性菌処理室
13へ進む場合や好気性菌処理室13から後処理室14
へ進む場合には、補助壁11b、11bの下端を必ず回
り込むことになる。従って、汚水Xは、強制的に嫌気性
菌処理室12、好気性菌処理室13の下部に導かれるこ
とになり、その過程で処理が行われることになる。
【0014】尚、処理室10の上部には、隔壁11a、
11aのそれぞれに沿い、且つ浄化室10の底部との間
に隙間を有する補助壁11b、11bが取り付けられて
いる。嫌気性菌処理室12、好気性菌処理室13及び後
処理室14の上部には、埋設時において地表に露出する
マンホール12a、13a、14aが各々設けられてお
り、これらマンホール12a、13a、14aは、取り
外し可能とされたマンホール蓋12b、13b、14b
で各々塞がれている。これらマンホール12a、13
a、14aは、嫌気性菌処理室12、好気性菌処理室1
3及び後処理室14内の清掃、点検などを行う場合にマ
ンホール蓋12b、13b、14bを外して用いられ
る。
【0015】上記嫌気性菌処理室12は、腐敗菌などの
嫌気性菌による有機物分解が行なわれる部分である。嫌
気性菌処理室12には、汚水Xを供給するための流入管
20が連通されている。この流入管20の内部には、流
入管20を貫通させたオゾン供給管21が配されてい
る。オゾン供給管21は、流入管20の、浄化槽10と
近接する部位に連通されており、且つその先端部開口2
1aが浄化室10を臨む向きとされている。また、この
流入管20は、その基端で地上に設置されるオゾン発生
器22及びポンプ23と接続されており、オゾン発生器
22で発生させたオゾンを、オゾン供給管21を介して
浄化室10へと導くこととしている。
【0016】好気性菌処理室13は、好気性菌による有
機物の酸化分解が行なわれる部分である。この好気性菌
処理室14の内部には、ブロア管30が配されている。
ブロア管30は、地上に設置される空気供給ポンプ31
と接続されており、好気性菌処理室14内へ空気を供給
する。この供給される空気により好気性菌処理室13
は、好気性に保たれる。
【0017】後処理室14は、固形物を沈殿させて上澄
みだけを外部へ流出するための沈殿槽として機能する。
後処理室X14には、処理済の汚水Xを外部へ排出する
ための流出管40が設けられている。この流出管40に
は、消毒室41が形成されている。この消毒室41は、
外部へ流出する汚水Xの滅菌を行なう部分である。消毒
室41の上部には浄化槽使用時に地上に現れるマンホー
ル41aと、このマンホール41aを塞ぐ取り外し可能
なマンホール蓋41bが設けられている。
【0018】この浄化槽では、汚水Xを流入管20を介
して浄化室10内へ導き、浄化室10内で所定の処理を
行った後、流出管40から、これを外部へ排出するとい
う過程を経て汚水Xを処理する。具体的には、汚水X
は、嫌気性菌処理室12に導かれ、好気性菌処理室1
3、後処理室14を経て外部へ排出される。
【0019】浄化室10の内部は、ブロア管30から供
給される空気で外部よりも高圧となる。また、各処理室
12、13、14で行われる汚水処理の過程で、悪臭を
伴う気体が浄化室10上部の空間に充満する。この悪臭
を伴う気体は、流入管20に進入しようとするが、オゾ
ン供給管21から供給されるオゾンが、流入管20から
進入しようとする悪臭を伴う気体に対して対向的に供給
されるので、悪臭を伴う気体が外部へ漏れ出しづらくな
ると共にかかる部位で、効率的に脱臭を行えるようにな
る。また、オゾンは浄化室10の上部へ充満し、悪臭を
伴う気体の発生をも抑える。
【0020】
【発明の効果】本発明による浄化槽は、浄化室に汚水を
供給する流入管へオゾン供給管を連通させ、この流入管
へオゾンを供給することで、悪臭を伴う気体が最も流出
しやすい部分で、効率の良い脱臭を行えるようにした。
かかる原理に基づいた脱臭は、流入管へとオゾンを供給
することにより脱臭を行うとする本発明による脱臭方法
によっても、実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による浄化槽の構造を簡略
的に示す断面図。
【符号の説明】
10 処理室 11 隔壁 12 嫌気性菌処理室 13 好気性菌処理室 14 後処理室 20 流入管 21 オゾン供給管 22 オゾン発生器 30 ブロア管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 3/30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気を供給するブロア管がその内部に配
    されると共に、汚水を供給する流入管及び処理後の汚水
    を排出する流出管が連通された処理室と、オゾン発生器
    から延設され、前記処理室内にオゾンを供給するオゾン
    供給管とを備える浄化槽において、 前記オゾン供給管が、前記流入管に連通されていること
    を特徴とする浄化槽。
  2. 【請求項2】 前記オゾン供給管は、流入管の、前記処
    理室と近接する位置に連通されている請求項1記載の浄
    化槽。
  3. 【請求項3】 前記オゾン供給管は、前記流入管を貫通
    し且つその開口が前記処理室に臨む方向で前記流入管に
    接続されている請求項1又は請求項2に記載の浄化槽。
  4. 【請求項4】 前記処理室は、前記ブロア管が内部に配
    された好気性菌処理室と、ブロア管が内部に設けられて
    いない嫌気性菌処理室とを備える請求項1、2又は3の
    いずれかに記載の浄化槽。
  5. 【請求項5】 空気を供給するブロア管がその内部に設
    けられると共に、汚水を供給する流入管及び処理後の汚
    水を排出する流出管が連通された処理室を備える浄化槽
    で用いられる脱臭方法であって、 前記流入管にオゾンを供給することで脱臭を行う浄化槽
    の脱臭方法。
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