JP2001077436A - 積層型圧電アクチュエータ - Google Patents

積層型圧電アクチュエータ

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JP2001077436A
JP2001077436A JP24534899A JP24534899A JP2001077436A JP 2001077436 A JP2001077436 A JP 2001077436A JP 24534899 A JP24534899 A JP 24534899A JP 24534899 A JP24534899 A JP 24534899A JP 2001077436 A JP2001077436 A JP 2001077436A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高信頼性、長寿命の積層型圧電アクチュエータ
を提供すること。 【解決手段】圧電体層13と内部電極層15とを交互に
積層してなるアクチュエータ本体11と、該アクチュエ
ータ本体11の側面に形成された外部電極17とを具備
するとともに、アクチュエータ本体11の側面に露出し
た第1または第2内部電極層15a、bの端部間に、第
1または第2内部電極層15a、b間に位置する第2ま
たは第1内部電極層15a、bの端部が底面に露出する
凹溝19を形成し、該凹溝19に絶縁体21を充填して
なり、凹溝19が圧電体層13の積層方向に平行な平坦
状底面23を有しており、該平坦状底面23の積層方向
における長さをL、内部電極層15の厚さをt1 、圧電
体層13の厚みをt2 とした時、0.2≦(L−t1
/t2 <1を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型圧電アクチ
ュエータに係わり、例えば、光学装置等の精密位置決め
装置や振動防止用の駆動素子、自動車エンジンの燃料噴
射用の駆動素子等に使用される積層型圧電アクチュエー
タに関するものである。
【0002】
【従来技術】従来から、圧電体層と内部電極層を交互に
複数枚積層し、各圧電体層を挟む電極間に電圧を印加
し、圧電体層に生じる逆圧電効果を利用して、大きな変
位を得る積層型圧電アクチュエータが提案され、アクチ
ュエータとして利用されている。
【0003】積層型圧電アクチュエータを作製する方法
としては、同時焼成による方法がある。この同時焼成に
よる方法では、圧電体層の厚みを薄くすることが比較的
容易であり、低電圧で印加電界を高くできるため、大き
な変位量が得られる。
【0004】このような積層型圧電アクチュエータの構
造としては、内部電極層が圧電体層の面積より小さい、
部分電極構造の積層型圧電アクチュエータが知られてい
る。
【0005】図7は、このような部分電極構造の積層型
圧電アクチュエータを示すもので、複数の圧電体層1と
内部電極層2とを交互に積層してアクチュエータ本体3
が形成され、その側面には一対の外部電極4が形成され
ている。
【0006】即ち、内部電極層2は交互に第1内部電極
層2aまたは第2内部電極層2bとされ、該第1内部電
極層2a、第2内部電極層2bの端部がそれぞれアクチ
ュエータ本体3の異なる側面に露出しており、第1内部
電極層2aおよび第2内部電極層2bの端部が露出した
側面には、それぞれ外部電極4a、4bが形成され、電
気的に接続されている。圧電体層1は、それぞれ図示の
矢印の方向に分極処理されている。
【0007】また、他の積層型圧電アクチュエータとし
て、例えば、特開平1−147880号公報に開示され
たものがある。この積層型圧電アクチュエータでは、圧
電アクチュエータ本体の異なる側面に外部電極を形成し
て構成されている。
【0008】アクチュエータ本体は、複数の圧電体層と
複数の内部電極層とを交互に積層して構成され、内部電
極層が交互に第1内部電極層または第2内部電極層とさ
れ、第1内部電極層、第2内部電極層の端部が異なる側
面に露出し、外部電極とそれぞれ接続されている。
【0009】そして、アクチュエータ本体の側面に露出
した内部電極層の端部間に凹溝が形成されており、該凹
溝には絶縁体が充填されている。この凹溝の断面形状
は、矩形又は、底部が円弧状など形状は問わないとされ
ている。
【0010】このような積層型圧電アクチュエータで
は、凹溝に絶縁体を充填することにより、アクチュエー
タ本体の側面に露出した内部電極層と、凹溝の底面に露
出した内部電極層との導通を防止することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
示したような部分電極構造の積層型圧電アクチュエータ
においては、第1内部電極層2aと第2内部電極層2b
が相互に重なり合う部分(圧電体層1が内部電極層2に
より挟持された部分)では逆圧電効果によって歪みが発
生するが、アクチュエータ本体の側面近傍では、圧電体
層1が内部電極層2により挟持されていないため逆圧電
効果が発生せず、積層型圧電アクチュエータ全体として
の変位量が低いという問題があった。
【0012】さらに、同一圧電体層1中にて、逆圧電効
果によって発生する歪みが不均一になることより、内部
電極層2の先端付近に大きな応力集中が発生する。この
ような応力集中により、内部電極層2先端から圧電体層
1にクラックが進展して、圧電体層1の破壊に至るとい
う問題があった(例えば、Destruction Mechanisms in
Ceramic Multilayer Actuators(Japan Journal Appl. P
hysics Vol.33(1994)pp.3091-3094) 。
【0013】また、特開平1−147880号公報に開
示された圧電アクチュエータでは、溝の形状、寸法の効
果により生じる圧電体層内での電界集中、および応力集
中が定量的に測定または評価されていなかったため、溝
の形状、寸法が最適なものとされておらず、電界集中に
起因する応力集中、および形状に起因する応力集中を充
分に低く抑えることができない。
【0014】特に、外部電極と凹溝内の絶縁体で絶縁さ
れている内部電極層先端付近では電界分布が大きく集中
し、圧電体層や圧電体層と内部電極層との界面で応力集
中が発生し機械的破壊が生じたり、凹溝内の絶縁体が絶
縁破壊し、寿命が短くなるという問題があった。
【0015】本発明は、絶縁破壊、機械的破壊が生じに
くく高信頼性で寿命が長い、積層型圧電アクチュエータ
を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型圧電アク
チュエータは、複数の圧電体層と複数の内部電極層とを
交互に積層してなり、前記内部電極層が交互に第1内部
電極層または第2内部電極層とされ、該第1内部電極
層、第2内部電極層の端部がそれぞれ異なる側面に露出
する多角柱状のアクチュエータ本体と、該アクチュエー
タ本体の第1または第2内部電極層の端部が露出した側
面にそれぞれ形成された外部電極とを具備するととも
に、前記アクチュエータ本体の側面に露出した第1また
は第2内部電極層の端部間に、第1または第2内部電極
層間に位置する第2または第1内部電極層の端部が底面
に露出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填してな
る積層型圧電アクチュエータにおいて、前記凹溝が前記
圧電体層の積層方向に平行な平坦状底面を有しており、
該平坦状底面の積層方向における長さをL、前記内部電
極層の厚みをt1 、前記圧電体層の厚みをt2 とした
時、0.2≦(L−t1 )/t2 <1の関係を満足する
ものである。
【0017】このような構成を採用することにより、凹
溝内の絶縁体で外部電極と絶縁された内部電極層の先端
付近の圧電体層内での電界集中の度合いが低下し、その
圧電体層内および凹溝内の絶縁体の絶縁破壊を防止でき
るとともに、内部電極層先端付近での電界集中に起因す
る圧電体層および内部電極層における応力集中を抑制す
ることができ、機械的破壊を防止して積層型圧電アクチ
ュエータの信頼性を高め、長寿命化を図ることができ
る。
【0018】ここで、圧電体層の分極方向誘電率ε1
絶縁体の誘電率ε2 との比が、ε2/ε1 <1の関係を
満足することが望ましい。このような構成を採用するこ
とにより、凹溝内の絶縁体で外部電極と絶縁された内部
電極層先端付近での電界集中をさらに抑制できる。
【0019】また、アクチュエータ本体が、四角柱の2
つの側面角部を面取りして形成され、他の側面よりも面
積が狭い2つの外部電極形成用側面を有する六角柱とさ
れていることが望ましい。このような構成を採用するこ
とにより、一対の外部電極が形成される部分を、四角柱
状のアクチュエータ本体の側面の2つの角部を面取りす
ることにより形成でき、その面に凹溝を形成することに
より、外部電極の形成面積に応じて外部電極形成用側面
の面積を増減することができるとともに、他の側面の面
積より充分に小さい最小限の外部電極形成用側面とする
ことができ、加工が容易になり加工コストが低減される
のみならず、内部電極層先端付近で発生する応力集中を
低下することができ、寿命の向上に寄与する。
【0020】さらに、凹溝の底面隅部の曲率半径Rが、
0.05t2 ≦R≦0.3t2 の関係を満足することが
望ましい。このような構成を採用することにより、凹溝
の底面隅部付近での電界集中を低くでき、圧電体層の絶
縁破壊を防止でき、凹溝の平坦状底面の長さも充分に確
保できる。
【0021】また、凹溝に充填される絶縁体の縦弾性率
2 が、圧電体層の分極方向縦弾性率Y1 に対して、Y
2 /Y1 <1であることが望ましい。このような構成を
採用することにより、内部電極層先端付近および凹溝の
底面隅部付近での応力集中を更に抑制できる。
【0022】凹溝の深さDを圧電体層の厚みt2 よりも
深く形成すれば、内部電極層先端と外部電極との間隔が
隣り合う内部電極層の間隔よりも大きくなり、電気的絶
縁性を向上することができ、絶縁体の絶縁破壊を防止で
きる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明の積層型圧電アクチ
ュエータを示すもので、(a)が平面図を示し、(b)
が(a)のA−A線に沿う断面の一部を示す図である。
【0024】図において、符号11は六角柱状のアクチ
ュエータ本体を示すもので、このアクチュエータ本体1
1は、複数の圧電体層13と複数の内部電極層15を交
互に積層して構成されている。
【0025】内部電極層15の端部はアクチュエータ本
体11の六側面に露出しており、また、内部電極層15
の上下両側に位置する圧電体層13は、向きが反対とな
るように分極処理され、図2(b)に示す矢印の方向に
分極処理されている。
【0026】内部電極層15は積層順に交互に第1内部
電極層15aまたは第2内部電極層15bとされ、第1
内部電極層15aと第2内部電極層15bに異なる電位
を与えることによって、圧電体層13に厚さ方向の電界
を印加できる。
【0027】アクチュエータ本体11は、四角柱の2つ
の側面角部を面取りして、他の側面よりも面積が狭い2
つの対向する外部電極形成用側面16a、16bを有す
る六角柱とされており、これらの外部電極形成用側面1
6a、16bに外部電極17a、17bがそれぞれ形成
されている。外部電極17aには第1内部電極層15a
の端部が接続され、第2内部電極層15bの端部とは絶
縁され、また外部電極17bには第2内部電極層15b
が接続され、第1内部電極層15aの端部とは絶縁され
ている。
【0028】即ち、第1内部電極層15aの端部は外部
電極形成用側面16aに露出し、第2内部電極層15b
の端部は、凹溝19内に充填された絶縁体21により、
外部電極形成用側面16aには露出していない。このた
め、外部電極形成用側面16aに外部電極17aを形成
した際には、第1内部電極層15aの端部のみが外部電
極17aと接続されることになる。
【0029】一方、第2内部電極層15bの端部は外部
電極形成用側面16bに露出し、第1内部電極層15a
の端部は、凹溝19内に充填された絶縁体21により、
外部電極形成用側面16bには露出していない。このた
め、外部電極形成用側面16bに外部電極17bを形成
した際には、第2内部電極層15bの端部のみが外部電
極17bと接続されることになる。
【0030】即ち、外部電極形成用側面16aに形成さ
れた凹溝19の平坦状底面23の中央部には、第2内部
電極層15bの端部が露出し、外部電極17aとは絶縁
体21により絶縁され、外部電極形成用側面16bに形
成された凹溝19の平坦状底面23の中央部には、第1
内部電極層15aの端部が露出し、外部電極17bとは
絶縁体21を介して絶縁されている。
【0031】そして、本発明の積層型圧電アクチュエー
タでは、図2に示すように、凹溝19が圧電体層13の
積層方向に平行な平坦状底面23を有しており、平坦状
底面23の積層方向における長さをL、内部電極層15
の厚みをt1 、圧電体層13の厚みをt2 とした時、
0.2≦(L−t1 )/t2 <1を満足している。
【0032】このように0.2≦(L−t1 )/t2
1を満足せしめたのは、(L−t1)/t2 の値が0.
2よりも小さい場合には、凹溝19の平坦状底面23に
露出する内部電極層15先端部近傍の圧電体層13に応
力が集中し、この部分にクラック等が入り、破損し易く
なるからである。
【0033】一方、凹溝19の開口部の積層方向長さK
と内部電極層の厚さt1 の差K−t1 が圧電体層13の
厚さt2 以上であると、圧電体層13の側面において、
凹溝加工により除去される部分の方が残される部分より
大きくなり、強度が低くなり、凹溝加工の際に破壊し易
くなるため、K−t1 <t2 である必要がある。従っ
て、凹溝19の平坦状底面23の長さLは凹溝19の開
口部の積層方向の長さK以下であるので、L−t1 <t
2 となる。
【0034】(L−t1 )/t2 の値は、応力集中を抑
制するという点から、0.4以上、特には0.6以上で
あることが望ましい。
【0035】また、圧電体層13の分極方向の誘電率ε
1 と絶縁体21の誘電率ε2 との比は、ε2 /ε1 <1
とされており、これにより、凹溝19の平坦状底面23
に露出した内部電極層先端付近の圧電体層13における
集中電界値を低下させることができる。内部電極層の電
界集中を防止するという点から、ε2 /ε1 ≦0.1で
あることが望ましい。
【0036】さらに、凹溝19の底面隅部の曲率半径R
は、0.05t2 ≦R≦0.3t2を満足することが望
ましい。これは、この範囲では、圧電体層に凹溝の底面
隅部からクラックが発生し難くなり、また凹溝の平坦状
底面23の長さLを0.4t2 以上にできるからであ
る。
【0037】絶縁体21は、例えばシリコンゴムなどの
弾性部材からなり、絶縁体21の剛性による圧電体層1
3の変形の拘束を小さくするためには、この絶縁体21
の縦弾性率Y2 は圧電体層13の縦弾性率Y1 より極め
て低いものがよく、Y2 /Y1 <1、特には、Y2 /Y
1 ≦0.1となることが望ましい。
【0038】このような積層型圧電アクチュエータは、
例えば、Pb(Zr,Ti)O3 等の圧電セラミックス
の仮焼粉末と、所定のバインダーと、可塑剤とを混合し
たスラリーを作製し、ドクターブレード方により、厚み
70〜300μmのセラミックシートを作製する。
【0039】このグリーンシートの片面に内部電極とな
る銀、銀−白金、銀−パラジウム等を主成分とする導電
性ペーストをスクリーン印刷に印刷し、導電性ペースト
が塗布されたグリーンシートを金型内に積層し、加熱加
圧して積層一体化する。これを所定の寸法に切断した
後、所定温度で脱バインダー、焼成を行い、アクチュエ
ータ本体11となる四角柱状の積層焼結体を作製する。
この積層焼結体の4つの側面には内部電極15の端部が
露出している。
【0040】この後、積層焼結体の外周加工を行い、対
角線上に位置する2つの側面角部を面取りし、六角柱形
状とした。面取りした外部電極形成用側面16におい
て、内部電極端部を含む圧電体を、対向する外部電極形
成用側面16で互い違いになるように、一層おきに深さ
250μmの凹溝119を形成し、該溝部にシリコンゴ
ム等の絶縁体21を充填する。
【0041】次に、これらの外部電極形成用側面16に
導電性樹脂を塗布することにより外部電極17を形成す
る。そして、外部電極17に所定の電圧を印加し、分極
処理することにより、本発明の積層型圧電アクチュエー
タを作製する。
【0042】尚、凹溝19の加工は、ダイヤモンド円板
砥石やレーザー等を用いれば良く、各圧電体層13と内
部電極層15の厚さのばらつきを小さくしておけば、予
め多数のダイヤモンド砥石などを所望の間隔でセットし
て、同時に多数の凹溝19を加工することが可能となる
ので望ましい。そして、本発明では、平坦状底面が上記
した関係式を満足するように、例えば、ダイヤモンド円
板砥石を用いる場合には砥石の状態を調製する必要があ
る。
【0043】図3は、凹溝19の平坦状底面23の長さ
Lと内部電極層15の厚さt1 の差L−t1 を圧電体層
13の厚さt2 で規格化した値と、発生する最大主応力
を圧電材料の静的強度で規格化した値の関係を解析した
結果である。解析は、有限要素法による圧電振動解析で
あり、振動の周波数は60Hzである。また、用いた物
性値は、圧電体層がPZT、内部電極が銀、絶縁体がシ
リコンゴムである。また圧電体層の厚みt2 は100μ
m、内部電極層の厚みt1 は3μmとした。
【0044】図3によると、(L−t1 )/t2 が0.
2未満のとき、急激に最大主応力値が上昇している。
(L−t1 )/t2 が0.20以上の範囲においては、
緩やかに最大主応力値は減少し、しかも最大主応力の圧
電体層強度に対する比率が30%以下となっており、繰
り返し駆動を行うアクチュエータの疲労寿命を長くでき
ることが判る。
【0045】特に、(L−t1 )/t2 が0.40以上
であれば、最大主応力の圧電体強度に対する比率が25
%以下になり、疲労寿命を向上できるため望ましい。
【0046】更に、(L−t1 )/t2 が0.6以上で
あれば、凹溝19の形成位置と絶縁すべき内部電極層1
5の積層方向の位置が、0.1t2 だけずれても最大主
応力の圧電体強度に対する比率が25%以下にすること
ができ、凹溝19の位置が積層方向に少々ずれても所望
の機能が得られるので、加工が容易になり望ましい。
【0047】同時に(L−t1 )/t2 が0.9未満で
あれば、凹溝の底面隅部に曲率半径0.05t2 以上の
Rを設けることができるので、凹溝の底面隅部での応力
集中の緩和が期待できることが判る。
【0048】図4はε2 /ε1 と内部電極層先端付近の
圧電体層13において発生する大きな電界値の、アクチ
ュエータ本体の側面より充分内部の圧電体層13に発生
する一様な電界値に対する比を、上記と同様の条件で解
析して得た結果であり、内部電極層先端で生じる電界集
中はε2 /ε1 =0.1を境に急激に上昇することか
ら、ε2 /ε1 ≦0.1であることが望ましいことが判
る。
【0049】図5は凹溝底面隅部のR半径の圧電体層厚
さt2 に対する比率を横軸に、圧電体層13に発生する
最大電界値をRが0であるときの最大電界値にて規格化
した値を縦軸にとったグラフである。図5より、Rが大
きくなるにつれて、最大電界値が低下する傾向が見ら
れ、Rが圧電体層厚さt2 の5%以上であるとき、最大
電界値はR=0の場合の値の95%以下に低下する。
【0050】一方、Rが0.3t2 以上になると、最大
電界値の低下の度合いは緩やかになり、またRが0.3
2 以上よりも大きくなると凹溝19の平坦状底面23
の長さLが十分にとれなくなることから、R≦0.3t
2 であることが望ましい。更にR≧0.1t2 であれ
ば、最大電界値がR=0の場合の90%以下となり、R
≦0.2t2 であれば凹溝の平坦状底面23の長さLと
内部電極層の厚さt1 の差L−t1 がt2 の60%以上
にすることが可能となるので、一層望ましい。
【0051】図2(b)には、理想的な凹溝の平坦状底
面23の断面形状を実線で示し、凹溝加工によって得ら
れる実際の凹溝の底面の断面形状の例を破線で示した。
そして、図2(b)の凹溝の底部拡大図において、実線
で示した凹溝の平坦状底面の設計値と、破線で示した実
際の凹溝の底面形状との誤差をEとし、Eは溝が設計値
より深く加工される場合が正値であると定め、上記と同
様の条件で解析を行った。図6に示す解析結果より、凹
溝の平坦状底面長さLに対する加工誤差Eの相対値E/
Lが±17%に収まっていれば、溝の底部が理想的に平
坦である場合と比べて電界集中は20%悪化するに過ぎ
ないことから、加工誤差E/L≦±17%であれば、凹
溝底部の平坦部が充分に平坦であると見なしてよいこと
が判る。
【0052】さらにE/L≦±8%とすれば、電界集中
の悪化は10%以下にできるので一層望ましいことが判
る。
【0053】尚、外部電極は、四角柱状アクチュエータ
本体の側面角部を、積層方向に面取りして形成された対
向する面上に配置されることが望ましいが、アクチュエ
ータ本体の形状は円柱状、多角柱状など任意の柱状でも
よく、外部電極は対向する面に形成する必要はない。ま
た図1(a)に示すように、面取り長さCは、4角柱状
アクチュエータ本体の一辺の長さWよりも充分小さく、
かつ外部電極の形成に支障が無い程度に大きいことが望
ましい。
【0054】また、圧電体層13の厚さt2 は、同時焼
成法を採用すれば100μm前後と非常に薄くできる
が、予め焼結された圧電材料板を一層毎に電極板や電極
ペーストなどを介して積層してアクチュエータ本体とし
てもよい。
【0055】以上のように、本発明の積層型圧電アクチ
ュエータでは、内部電極の端部が露出する凹溝の形状、
寸法、凹溝に充填する絶縁体の誘電率と圧電体層の誘電
率の比を最適化することにより、圧電体層に発生する電
界集中、および電界集中と構造に起因して発生する応力
集中を低減し、最大主応力値を材料の静的強度に対して
30%以下に抑制することができ、機械的疲労破壊が発
生し難くできる。
【0056】また、積層体側面より充分内部で発生する
一様な電界に対して、内部電極層先端付近および凹溝の
底面隅部で電界集中が生じることは避け難いが、凹溝を
本発明の形状の範囲にすることにより、電界集中を少な
くできることより、絶縁破壊が生じ難くなり、かつ、電
界集中に起因する応力集中も抑制できる。
【0057】
【発明の効果】本発明の積層型圧電アクチュエータで
は、アクチュエータ本体の側面に形成された凹溝が、圧
電体層の積層方向に平行な平坦状底面を有しており、該
平坦状底面の積層方向における長さをL、内部電極層の
厚みをt1 、圧電体層の厚みをt2 とした時、0.2≦
(L−t1 )/t2 <1を満足するため、内部電極層先
端付近の圧電体層内での電界集中の度合いが低下し、内
部電極層先端付近での電界集中に起因する応力集中を抑
制することができ、機械的破壊を防止して積層型圧電ア
クチュエータの信頼性を高め、長寿命化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示すもの
で、(a)平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断
面の一部を示す図である。
【図2】図1の凹溝およびその近傍を拡大して示す断面
図である。
【図3】凹溝の平坦状底面の長さと、発生する最大主応
力の圧電体層強度との比の関係を示すグラフである。
【図4】絶縁体の誘電率ε2 と圧電体層の分極方向誘電
率ε1 の比ε2 /ε1 と、アクチュエータ側面より充分
内部で発生する一様な電界値に対する内部電極層先端付
近にて集中する電界の値との比の関係を示すグラフであ
る。
【図5】凹溝の底面隅部のR寸法と、R=0の場合の最
大電界値で規格化した最大電界値の関係を示すグラフで
ある。
【図6】凹溝の平坦状底面の相対的な加工誤差E/Lと
理想的な形状の最大電界値を基準とした最大電界値の増
大量の関係を示すグラフである。
【図7】従来の積層型圧電アクチュエータの一部の断面
図である。
【符号の説明】
11・・・アクチュエータ本体 13・・・圧電体層 15a、15b・・・内部電極層 16a、16b・・・外部電極形成用側面 17a、17b・・・外部電極 19・・・凹溝 21・・・絶縁体 23・・・平坦状底面 t1 ・・・内部電極層の厚さ t2 ・・・圧電体層の厚さ R・・・凹溝の底面隅部のR半径 L・・・凹溝の平坦状底面の長さ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の圧電体層と複数の内部電極層とを交
    互に積層してなり、前記内部電極層が交互に第1内部電
    極層または第2内部電極層とされ、該第1内部電極層、
    第2内部電極層の端部がそれぞれ異なる側面に露出する
    多角柱状のアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本
    体の第1または第2内部電極層の端部が露出した側面に
    それぞれ形成された外部電極とを具備するとともに、前
    記アクチュエータ本体の側面に露出した第1または第2
    内部電極層の端部間に、該第1または第2内部電極層間
    に位置する第2または第1内部電極層の端部が底面に露
    出する凹溝を形成し、該凹溝に絶縁体を充填してなる積
    層型圧電アクチュエータにおいて、前記凹溝が前記圧電
    体層の積層方向に平行な平坦状底面を有しており、該平
    坦状底面の積層方向における長さをL、前記内部電極層
    の厚みをt1 、前記圧電体層の厚みをt2 とした時、
    0.2≦(L−t1 )/t2 <1の関係を満足すること
    を特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】圧電体層の分極方向誘電率ε1 と絶縁体の
    誘電率ε2 との比が、ε2 /ε1 <1の関係を満足する
    ことを特徴とする請求項1記載の積層型圧電アクチュエ
    ータ。
  3. 【請求項3】アクチュエータ本体が、四角柱の2つの側
    面角部を面取りして形成され、他の側面よりも面積が狭
    い2つの外部電極形成用側面を有する六角柱とされてい
    ることを特徴とする請求項1または2記載の積層型圧電
    アクチュエータ。
  4. 【請求項4】凹溝の底面隅部の曲率半径Rが、0.05
    2 ≦R≦0.3t2の関係を満足することを特徴とす
    る請求項1乃至3のうちいずれかに記載の積層型圧電ア
    クチュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007300140A (ja) * 2001-09-11 2007-11-15 Ngk Insulators Ltd 圧電/電歪デバイス
JP2008010529A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Kyocera Corp 積層型圧電素子

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