JP2001074549A - 赤外線センサ及びその製造方法 - Google Patents

赤外線センサ及びその製造方法

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JP2001074549A
JP2001074549A JP31396499A JP31396499A JP2001074549A JP 2001074549 A JP2001074549 A JP 2001074549A JP 31396499 A JP31396499 A JP 31396499A JP 31396499 A JP31396499 A JP 31396499A JP 2001074549 A JP2001074549 A JP 2001074549A
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浩幸 ▲樽▼見
Hiroyuki Tarumi
Hiroshi Ando
浩 安藤
Takeshi Nakagawa
剛 中川
Masafumi Otsuka
雅史 大塚
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特性が悪化することなくメンブレンに対する
金属黒の密着力を高めることができる赤外線センサを提
供する。 【解決手段】 赤外線センサを構成する熱検知素子16
は、メンブレン16a上に熱抵抗素子部16bを形成
し、さらに熱抵抗素子部16b上に白金黒吸収膜からな
る赤外線吸収膜16cを形成してなる。ここで、白金黒
吸収膜は、メンブレン16a側のクラスタサイズが小さ
く、中間は大きく、表面側は小さく形成されている。こ
れにより、白金黒のメンブレン16aに対する密着力を
高めることができると共に、大きなクラスタサイズによ
りメンブレン16aの重量が大きくなって熱検知素子1
6の特性が悪化してしまうことを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線を吸収した
熱により信号を得る赤外線センサに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の赤外線センサでは、基板に断熱
構造で支持されたメンブレン(熱分離構造部)の吸熱効
率を高めるために、メンブレン上に光吸収層を形成する
ようにしている。この光吸収層として、金属材料を真空
蒸着或いは電着によりポーラス状に形成した金属黒と称
されるものがある。この金属黒は、入射した光を乱反射
しながら吸収することから、光を熱エネルギに効率よく
変換することができる。この金属黒として金を用いた場
合には金黒と称され、白金を用いた場合には白金黒と称
されるものであり、赤外線に対して高い吸収率を持つも
のとして知られている技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特開平6−
342942号公報のものでは、白金黒を電気化学的処
理において成膜する技術を開示している。つまり、メン
ブレンが形成された構造体に白金電極を施して電気メッ
キを行うことにより、白金電極に白金黒を電着すること
により白金黒吸収膜を形成するようにしている。
【0004】しかしながら、白金黒吸収膜は白金黒の粒
子が積層されることにより形成されているので、白金電
極との密着性が悪く、後工程において白金黒がメンブレ
ンから剥離してしまう虞がある。特に、白金黒吸収膜の
成膜後に半導体工程を実行する場合には、白金黒が剥離
し易く歩留りが悪い。
【0005】この場合、白金黒吸収膜の膜厚を大きくす
ることによりメンブレンに対する密着性を高めることが
考えられるが、赤外線センサにおいてメンブレンの重
量、密度は時定数、強度等に大きく関与し、メンブレン
に占める金属黒吸収膜の重量割合が大きくなると、それ
だけ赤外線センサの特性が悪化する。
【0006】また、赤外線センサ作成の最終工程で白金
黒の電着(メッキ)を行うため、電着用の電極がそのま
ま残ることになる。このため、電着用の電極を通じた熱
逃げの影響が懸念され、特に赤外線センサを真空封止し
て製作した場合には、メンブレン自体からの熱逃げがな
いことから、電着用の電極を通じた熱逃げによる影響は
大きい。
【0007】さらに、白金黒電着用電極はメンブレンの
重量軽減のために極めて薄く形成されていることから、
白金黒電着用電極の抵抗値が熱検知素子製造用のウェハ
の場所によりばらついている。このため、ウェハに複数
の熱検知素子を同時に形成する構成において白金黒吸収
膜を電着によりウェハに成膜する際に、ウェハの場所に
より流れる電流がばらつき、その結果、白金黒吸収膜の
膜厚、或いは密度がばらついてしまって、熱検知素子毎
に赤外線吸収率、構造強度などに差を生じる虞がある。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、熱検知素子が形成されたメンブレン上
に赤外線吸収用の金属黒吸収膜を形成した構成におい
て、第1の目的として特性が悪化することなくメンブレ
ンに対する金属黒の密着力を高めることができ、第2の
目的としてメンブレンからの熱逃げを低減でき、第3の
目的として熱検知素子毎の金属黒吸収膜の膜厚を均一に
形成することができる赤外線センサ及びその製造方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれ
ば、金属黒のクラスタサイズによって電極との密着性向
上、成膜時間の短縮、吸収膜の重量の低減を図ることが
できるので、金属黒のクラスタサイズを膜厚方向に変化
させることにより金属黒吸収膜の特性、ひいては赤外線
センサの特性を任意に制御することができる。
【0010】請求項2の発明によれば、金属黒吸収膜
は、メンブレン側に位置する下部側領域における金属黒
のクラスタサイズが表面側に位置する上部側領域におけ
る金属黒のクラスタサイズよりも小さく形成されている
ので、下部側領域の金属黒はメンブレンに形成された金
属黒電着用電極に強固に密着している。また、上部側領
域における金属黒のクラスタサイズは大きいので、単位
体積当りの重量ひいては金属黒吸収膜全体の重量の軽減
を図ることができる。これにより、金属黒吸収膜のメン
ブレンに対する密着性を高めると共に赤外線吸収率を確
保しながら、赤外線センサとしての特性が悪化してしま
うことを防止できる。
【0011】請求項3の発明によれば、金属黒吸収膜の
上部側領域の表面における金属黒のクラスタサイズは表
面内部における金属黒のクラスタサイズに比較して小さ
く形成されているので、金属黒吸収膜の表面の密度を高
めることにより金属黒吸収膜の強度を高めることができ
る。
【0012】請求項4の発明によれば、金属黒吸収膜上
にコーティング膜が成膜されているので、金属黒吸収膜
への気体や液体の侵入を阻止することができ、赤外線セ
ンサの特性が悪化してしまうことを防止できる。
【0013】請求項5の発明によれば、金属黒吸収膜の
金属黒のクラスタサイズを下部側領域においては0.5
μm以下、上部側領域においては4μm以下に形成する
ことにより、極めて良好な特性を得ることができる。
【0014】請求項6の発明によれば、金属黒吸収膜は
半導体基板に対する電着により形成されているので、大
量生産が可能である。
【0015】請求項7の発明によれば、金属黒のクラス
タサイズは電着時における電流密度の調整により精度よ
く制御することができるので、所望の特性の金属黒吸収
膜を簡単に形成することができる。
【0016】請求項8の発明によれば、不用な金属黒電
着用電極を除去するようにしたので、金属黒電着用電極
からの熱逃げを防止することができる。
【0017】請求項9の発明によれば、金属黒電着用電
極の導電率を高める工程を実行するようにしたので、金
属黒電着用電極が極めて薄く成膜されることにより抵抗
率が大きい場合であっても、金属黒電着用電極全体の導
電率を高めることができる。これにより、金属黒電着用
電極の抵抗のばらつきがなくなり、金属黒吸収膜成膜時
の電流密度のばらつきを防止して金属黒吸収膜を均一に
成膜することができる。
【0018】請求項10の発明によれば、金属黒電着用
電極における所定部位に高導電率の導電性膜を形成した
ので、簡単な工程で金属黒電着用電極全体の導電率を高
めることができる。
【0019】請求項11の発明によれば、金属黒電着用
電極における所定部位の膜厚を高めたので、簡単な工程
で金属黒電着用電極全体の導電率を高めることができ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明の第1の実施の形態を図1乃至図21を参照して説明
する。車室内を示す図2において、車室の天井には赤外
線センサが配置されている。この図2において、赤外線
センサ1,2は車室の天井において前席及び後席に対応
した位置に取付けられている。この場合、前席用赤外線
センサ1の検出対象領域は運転席及び助手席周辺に設定
されている。また、後席用赤外線センサ2の検出対象領
域は後席の右側席及び左側席周辺に設定されている。
【0021】図3は赤外線センサ1,2の構造を示して
いる。この図3において、ベースホルダ3は取付ステイ
4により車両のルーフに取付けられている。このベース
ホルダ3は断熱部材5を内蔵しており、角度調整ネジ6
により天井に対する取付角度が調整可能となっている。
【0022】断熱部材5には膨出形成された伝熱基板7
が取着されており、その伝熱基板7の裏面にフレキシブ
ルプリント基板8が添着されている。このフレキシブル
プリント基板8には赤外線イメージセンサ9が固定され
ており、その赤外線イメージセンサ9がフレキシブルプ
リント基板8及び伝熱基板7に設けられた窓部10,1
1を通じて外方を臨んでいる。また、フレキシブルプリ
ント配線基板8には電子部品12が搭載されている。
【0023】上記構成の装置にはカバー13が被着され
ている。このカバー13の窓部14には集光レンズ15
が装着されており、この集光レンズ15により赤外線イ
メージセンサ9上に検出対象領域の熱画像が結像するよ
うになっている。この集光レンズ15は高密度ポリエチ
レン、カルコゲンガラス、BaF2 、ZnSなどから成
る赤外線用の集光レンズであり、球面、非球面、或いは
フレネル形状をなしている。
【0024】図4は赤外線センサ1の全体構成を概略的
に示している。この図4において、赤外線イメージセン
サ9は、熱検知素子16が例えば15×10個のように
2次元のマトリクス状に集合した形状をしており、座席
周辺から発せられる赤外線を集光レンズ15で集光して
熱検知素子16上に熱画像として結像する。この場合、
集光レンズ15は、例えば500mmはなれた位置で7
50×500mmの範囲を熱検知素子16全体に集光で
きるように設計されている。従って、赤外線イメージセ
ンサ9の熱検知素子16の個数が15×10個とする
と、1つの熱検知素子16で検出できる範囲(検出分解
能)は50mm四方となる。また、赤外線イメージセン
サ9において熱検知素子16の周辺には、信号発生回路
17及び選択回路18が設置されている。
【0025】熱検知素子16は、図5に示すようにSi
基板9a上にPSG薄膜からなるメンブレン16a、金
属薄膜抵抗部(熱検知部に相当)16b、赤外線吸収膜
16cを形成してから、メンブレン16aの裏面側をエ
ッチングにより除去することによりメンブレン16aが
Si基板9aからエアギャップを存して位置する断熱構
造に形成されている。
【0026】図6は赤外線イメージセンサ9の電気的構
成を概略的に示している。この図6において、赤外線イ
メージセンサ9の熱検知素子16は選択回路18を構成
するXリングカウンタ18a及びYリングカウンタ18
bによりFETを通じて択一的に順番に選択されるよう
になっており、選択された熱検知素子16からの信号を
図4に示す信号検出・処理回路19に順に取込むことに
より、熱検知素子16に設定された検出対象領域の温度
分布を検出することができる。
【0027】即ち、図4において、信号検出・処理回路
19は、信号増幅器20、信号処理回路21、データ送
信回路22から構成されており、信号処理回路21にお
いて赤外線イメージセンサ9が検出した温度分布に基づ
いて熱画像データを作成するようになっている。そし
て、各種システム制御回路23は、信号検出・処理回路
19から与えられる熱画像データに基づいて所定の車両
用システムを制御する。
【0028】尚、上記赤外線イメージセンサ9において
熱検知素子16の抵抗値の変化により絶対温度を得るた
めには、入射した赤外線による温度変化のみを検出する
必要がある。このため、このようなボロメータタイプの
センサでは、熱検知素子16に加えて基板上に図示しな
いリファレンス素子を設けており、熱検知素子16とリ
ファレンス素子との抵抗変化の差をとることにより絶対
値を得ることができるようになっている。
【0029】ところで、上記赤外線イメージセンサ9に
おいては、熱検知素子16に効率よく赤外線を吸収して
温度変化を起こすためには、メンブレン16a上に形成
された高効率の赤外線吸収膜16cとしては、強固な構
造でパターニングが可能であり、且つ高い赤外線吸収能
力を有しながら、メンブレン16a上に制御の容易な工
程を用いて歩留まりよく形成する必要がある。
【0030】そこで、本実施の形態では、赤外線吸収膜
16cとして高吸収率が期待できる白金黒を利用し、従
来の問題点である脆弱さを解決するために、電着法を用
いメンブレン16a上のみに強固に白金黒を成膜するよ
うにした。
【0031】図7及び図8は白金黒の成膜工程を示して
おり、以下に説明する。 (a)シリコンウェハに熱酸化膜を形成する。 (b)熱酸化膜をエッチングすることにより犠牲層エリ
アを形成する(図9参照)。 (c)CVDによりポリシリコン犠牲層を形成する。 (d)フォトエッチングによりポリシリコン犠牲層と熱
酸化膜との間にエッチングホールを成形する(図10参
照)。 (e)CVDによりPSG膜を両面に形成する。 (f)スパッタまたは真空蒸着により金属薄膜抵抗部と
なるPt/Ti膜を形成する(アニール処理有り)。
【0032】(g)フォトエッチングにより金属薄膜抵
抗部及び端子を接続するように形成する(図11参
照)。 (h)CVDによりPSG膜を両面に形成してから、端
子にコンタクトホール形成する。 (i)スパッタまたは真空蒸着により白金黒電着用電極
となるPt/Ti膜を形成する。 (j)フォトエッチングによりエッチングホールを形成
する(図12参照)。
【0033】(k)白金黒用レジストをフォトエッチン
グにより形成する(図13参照)。 この場合、白金黒の膜厚5μmよりもレジストが厚くな
るようにする。これは、白金黒の膜厚よりもレジストが
薄い場合には、白金黒がレジストの表面にまで形成され
るようになり、レジストの除去時に白金黒が剥離する虞
があるからである。
【0034】(l)Pt/Ti膜に白金黒を電着する
(図14の斜線領域)。 この場合、赤外線の吸収率を確保するためには白金黒の
膜厚は1〜15μmがよく、特に3〜5μmにすること
により、吸収率95%、熱時定数30msec をともに満
足することができる。この場合の条件としては、電流密
度0.1〜5mA/mm2 がよく、特に0.2〜0.5
μmにすることにより、以下の工程で白金黒の剥離が生
じることを防止できる。このとき、電着時間は10分程
度で膜厚が5μmとなる。尚、このときの電着液にはフ
ロロ白金塩電着液(H2 PtCl 6 in 1mol/l HC
l)100mlに添加剤として(CH3 COO)4 Pb
を0.025g添加したものを用いた。
【0035】(m)アッシャー及び剥離液により白金黒
用レジストを剥離する(図15参照)。 (n)フォトエッチングにより不要部分の白金黒電着用
電極を剥離する。尚、この工程は、予め白金黒吸収膜の
膜厚をエッチングされる分だけ、多めに成膜することに
より省くことができる。 (o)エッチングによりキャビティを形成する。
【0036】以上のような製造方法により、メンブレン
16a上のみに白金黒吸収膜を成膜することにより赤外
線吸収膜16cを形成することができる。そして、上述
のようにして形成された複数の熱検知素子16をチップ
単位にダイシングしてパッケージングすることにより赤
外線イメージセンサ9を製造することができる。
【0037】ところで、本実施の形態では、赤外線吸収
膜16cをなす白金黒吸収膜の成膜工程を工夫すること
により白金黒のクラスタサイズを制御するようにしたこ
とに特徴を有する。
【0038】即ち、白金黒膜は、図16に模式的に示す
ように白金の粒子がtree状に成長したものである。この
場合、クラスタサイズとは、tree状に成長したクラスタ
16xを上面から見たときの見掛け状の大きさの平均値
と定義する。つまり、クラスタ16xを上面から見た図
17に示すようにクラスタ16xの成長が小さいときは
クラスタサイズΦは小さく、図18に示すようにクラス
タ16xが大きく成長したときはクラスタサイズΦは大
きいことになる。
【0039】この場合、白金黒のクラスタサイズは、例
えば電流密度を変化させることにより容易に変えること
ができ、クラスタサイズによって電極との密着性向上、
及び成膜時間の短縮、吸収膜の重量を低減することがで
きる。発明者の実験結果により、白金黒のクラスタサイ
ズが小さい方が電極基板との密着性が高くなり、また、
クラスタサイズが大きい方が膜厚に対する重量が軽くな
り、熱時定数、メンブレンの物理強度の低下(膜厚を薄
く出来る)に有利であることが判明した。そこで、これ
らの双方の利点を持たせるために、以下の方法を行っ
た。
【0040】フロロ白金塩電着液(H2 PtCl6 in
1mol/l HCl)100mlに添加剤として(CH3
COO)4 Pbを0.025g添加したものを、電着液
として使用した場合について示す。
【0041】図19は電流密度と白金黒のクラスタサイ
ズとの関係を示している。この図19から分るように、
電流密度を小さくすることによりクラスタサイズが小さ
くなり、また、電流密度を大きくすることによりクラス
タサイズが大きくなる。
【0042】そこで、電着の初期に0.2mA/mm2
で電着(約1分程度)することによりクラスタサイズを
0.5μm以下とし、電極との密着性を向上させ、その
後、0.4mA/mm2 でクラスタサイズを4μmに
し、電着(約9分程度)することにより、均一なクラス
タサイズの場合に比べ重量が低減でき、その後のフォト
リソグラフィ工程、キャビティエッチング工程で剥離の
ない白金黒吸収膜を成膜することができた。また、その
後に、0.2mA/mm2 で電着(約1分程度)するこ
とにより、白金黒吸収膜の構造をさらに強固にすること
ができると共に表面の平滑化を図ることができる(図1
参照)。但し、電着密度、電流密度は電極の構造、電着
液の種類により変わる。
【0043】ところで、白金黒電着用電極はメンブレン
16aの重量軽減のために極めて薄く形成されているこ
とから、白金黒電着用電極の抵抗値がウェハの場所によ
りばらついている。このため、電界メッキ法により白金
黒吸収膜をウェハに成膜する際、ウェハの場所により白
金黒膜厚の膜厚、密度がばらついてしまって、熱検知素
子16毎に赤外線吸収率、構造強度などに差を生じるこ
とが判明した。
【0044】この場合、白金黒電着用電極の抵抗値を下
げるために白金黒電着用電極の膜厚を厚くするとメンブ
レン16aの重量が増加し、また、残留応力も増加して
しまう。このため、上述した方法によりメンブレン16
a上のみPt/Ti膜を薄く(0.1μm)形成しなが
ら、電界メッキ時の電流密度がウェハ内でばらついてし
まうことを防止するようにした。
【0045】即ち、ウェハを示す図20及び図21にお
いて、白金黒電着用電極をウェハ24に成膜した際に、
ウェハ24に形成された複数の熱検知素子16からなる
チップ26の外周に位置する白金黒電着用電極に高導電
率のAl膜25を厚く形成し、その上にエッチング液に
溶解しない金属、例えばPt/Tiを薄く蒸着により形
成した。
【0046】この結果、白金黒電着用電極全体の抵抗を
大幅に低減することができ、ウェハ24内における抵抗
値のばらつきを低減して、白金黒膜厚をウェハ24全体
に均一に形成することができるようになった。
【0047】本実施の形態によれば、熱検知素子16を
構成するメンブレン16aに赤外線吸収膜16cとして
白金黒吸収膜を形成する構成において、白金黒吸収膜
は、メンブレン16a側の下部側領域における白金黒の
クラスタサイズが上部側領域における白金黒のクラスタ
サイズよりも小さく形成するようにしたので、白金黒吸
収膜をメンブレン16aに強固に密着させながら、金黒
吸収膜の重量の抑制を図ることができ、赤外線吸収率を
高めて所望の赤外線センサの特性を得ることができる。
従って、白金黒吸収膜をメンブレン上に単に形成したも
のと違って、白金黒吸収膜が後工程においてメンブレン
16aから剥離してしまうことを防止できる。
【0048】また、白金黒吸収膜の上部側領域の表面に
おける白金黒のクラスタサイズを内部に比較して小さく
形成するようにしたので、白金黒吸収膜の表面の密度を
高めることより白金黒吸収膜の強度を高めることができ
る。
【0049】また、製造工程において不要な白金黒電着
用電極を除去するようにしたので、メンブレン16aか
ら白金黒電着用電極を通じた熱逃げがなくなり、白金黒
電着用電極が取残されている従来例のものに比較して、
赤外線センサの感度を高めることができる。
【0050】さらに、白金黒吸収膜における白金黒のク
ラスタサイズを電着時に通電流の調整により制御するよ
うにしたので、特別な手段を新規に設けることなく白金
黒のクラスタサイズを精度よく制御することができる。
【0051】加えて、ウェハ24に形成された白金黒電
着用電極に白金黒を電着する際に、白金黒電着用電極の
外周縁部にAl電極25を形成することにより白金黒電
着用電極の抵抗値がウェハの場所によりばらついてしま
うことを防止するようにしたので、白金黒膜厚をウェハ
24全体で均一に形成することができ、熱検知素子16
の特性のばらつきを防止することができる。
【0052】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を図22を参照して説明する。この第2の
実施の形態は白金黒の吸収特性等の変化を抑制したこと
に特徴を有する。メンブレン16a上の白金黒吸収膜か
らなる赤外線吸収膜16cを模式的に示す図22におい
て、白金黒吸収膜上に、例えばSiO2 (PSG)、S
3 4等のコーティング膜16dが成膜されている。
【0053】このような第2の実施の形態によれば、赤
外線収集膜16cをなす白金黒吸収膜上にコーティング
膜16dを成膜するようにしたので、白金黒吸収膜への
気体や液体の侵入を阻止することができ、赤外線センサ
の特性が悪化してしまうことを防止できる。
【0054】本発明は、上記実施例にのみ限定されるも
のではなく、次のように変形または拡張できる。図23
乃至図25に示すようにウェハ24におけるチップ26
の周囲に格子状に高導電率のAl膜25を厚く形成し、
その上にエッチング液に溶解しない金属膜を薄く蒸着し
て形成するようにしてもよい。
【0055】また、図26乃至図28に示すようにウェ
ハ24における熱検知素子16の周囲に高導電率のAl
膜25を厚く形成し、その上にエッチング液に溶解しな
い金属膜を蒸着するようにしてもよい。
【0056】金属黒電着用電極に金属黒膜を成膜するの
に代えて、ウェハに成膜された白金黒用電極において外
周縁部を厚肉に形成するようにしてもよいし、図23乃
至図25或いは図26乃至図28に示した金属膜形成部
位を厚肉に形成するようにしてもよい。白金黒吸収膜に
おいて白金黒の粒子をメンブレン側から徐々に大きくす
るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における要部を拡大
して示す模式的断面図
【図2】赤外線センサの配置位置及び検出対象領域を示
す車室内の斜視図
【図3】赤外線センサの断面図
【図4】全体構成を示す概略図
【図5】赤外線イメージセンサの構造を示す模式図
【図6】赤外線イメージセンサの電気的構成を示す概略
【図7】製造方法を示すウェハの模式的断面図(その
1)
【図8】製造方法を示すウェハの模式的断面図(その
2)
【図9】犠牲層エリアを示すウェハの模式的斜視図
【図10】エッチングホールを示すウェハの模式的斜視
【図11】金属薄膜抵抗部を示すウェハの模式的斜視図
【図12】エッチングホールを示すウェハの模式的斜視
【図13】レジストを示すウェハの模式的斜視図
【図14】白金黒を示すウェハの模式的斜視図
【図15】レジストを剥離して示すウェハの模式的斜視
【図16】クラスタの模式的側面図
【図17】クラスタサイズが小のものを示す模式的平面
【図18】クラスタサイズが大のものを示す模式的平面
【図19】電流密度とクラスタサイズとの関係を示す図
【図20】Al電極の形成部位を示すウェハの正面図
【図21】ウェハの模式図断面図
【図22】本発明の第2の実施の形態を示す図1相当図
【図23】その他の実施の形態を示す図17相当図
【図24】図18相当図
【図25】ウェハを拡大して示す模式的断面図
【図26】その他の実施の形態を示す図17相当図
【図27】図18相当図
【図28】ウェハを拡大して示す模式的断面図
【符号の説明】
1,2は赤外線センサ、9は赤外線イメージセンサ、1
5は集光レンズ、16は熱検知素子、16aはメンブレ
ン、16bは金属薄膜抵抗部(熱検知部)、16cは赤
外線吸収膜、16dはコーティング膜、16xはクラス
タ、25はウェハ、26はチップである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 剛 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 大塚 雅史 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 2G065 AA04 AB02 BA12 BA14 BA34 BB08 BB24 BC05 CA21 DA18 DA20 2G066 AC13 BA09 BB11 CA02 CA08 CA20 4M118 AA08 AA10 AB01 AB10 BA14 CA14 CA32 CA35 CB14 EA01 GA10 GD09 HA20 HA22 HA23 HA27

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に断熱構造で支持された薄膜からな
    るメンブレン上に熱検知部を形成し、その熱検知部上に
    赤外線吸収用の金属黒吸収膜が形成された熱検知素子を
    複数組合わせてなる赤外線センサにおいて、 前記金属黒吸収膜は、金属黒のクラスタサイズが膜厚方
    向に変化するように積層されて形成されていることを特
    徴とする赤外線センサ。
  2. 【請求項2】 前記金属黒吸収膜は、前記メンブレン側
    に位置する下部側領域における金属黒のクラスタサイズ
    が表面側に位置する上部側領域における金属黒のクラス
    タサイズよりも小さく形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の赤外線センサ。
  3. 【請求項3】 前記金属黒吸収膜は、前記上部側領域の
    表面における金属黒のクラスタサイズが表面内部におけ
    る金属黒のクラスタサイズに比較して小さく形成されて
    いることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサ。
  4. 【請求項4】 前記金属黒吸収膜上にコーティング膜を
    成膜したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記
    載の赤外線センサ。
  5. 【請求項5】 前記金属黒吸収膜の金属黒のクラスタサ
    イズは、前記下部側領域は0.5μm以下、前記上部側
    領域は4μm以下であることを特徴とする請求項2乃至
    4の何れかに記載の赤外線センサ。
  6. 【請求項6】 前記金属黒吸収膜は、半導体基板に対す
    る電着により形成されていることを特徴とする請求項1
    乃至5の何れかに記載の赤外線センサの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金属黒吸収膜の金属黒のクラスタサ
    イズは、電着時における電流密度の調整により制御され
    ていることを特徴とする請求項6記載の赤外線センサの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記半導体基板にキャビティ形成用の犠
    牲層を形成する工程と、 前記犠牲層の上方に前記熱検知部を形成する工程と、 前記半導体基板全体に金属黒電着用電極を形成する工程
    と、 前記金属黒電着用電極において前記メンブレン上に前記
    金属黒吸収膜を電着により形成する工程と、 前記金属黒電着用電極の不要部分を除去する工程と、 前記メンブレンの下方に位置する前記犠牲層を含む領域
    にキャビティを形成する工程とを実行することを特徴と
    する請求項6または7記載の赤外線センサの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記金属黒電着用電極の導電率を高める
    工程を実行するようにしたことを特徴とする請求項6乃
    至8の何れかに記載の赤外線センサの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記金属黒電着用電極の導電率を高め
    る工程とは、金属黒電着用電極における所定部位に高導
    電率の導電性膜を形成したことであることを特徴とする
    請求項9記載の赤外線センサの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記金属黒電着用電極の導電率を高め
    る工程とは、金属黒電着用電極における所定部位の膜厚
    を高めたことであることを特徴とする請求項9記載の赤
    外線センサの製造方法。
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