JP2001073090A - フェライト系耐熱鋼 - Google Patents
フェライト系耐熱鋼Info
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Abstract
優れ、ボイラ鋼管に好適なフェライト系高Cr鋼を得
る。 【解決手段】 重量%で、C:0.07〜0.14、S
i:0〜0.25、Ni:0.8以下、Cr:9.5〜
12.5、Mo:0.1〜0.6、V:0.14〜0.
24、Nb:0.03〜0.08、W:1.0〜2.
0、Co:0.1〜0.6、B:0.002〜0.00
8、N:0.025以下と、REM:0.001〜0.
03、Ca:0.001〜0.03の一種以上を含有す
るフェライト系耐熱鋼。(47×REM(%)+33×Ca(%))/
(1.5×Si(%)+0.9×Mn(%)+8×Al(%))を1.0以上と
する。 【効果】 REM、Caで脱酸、脱硫を行うことに
より、高温クリープ特性、靱性、耐酸化特性がさらに向
上する。
Description
に関するものであり、さらに詳しくは高温におけるクリ
ープ破断特性、靱性ならびに耐水蒸気酸化特性に優れ、
ボイラ鋼管等に好適なフェライト系高Cr鋼に関する。
発電システムのボイラ管のように高温特性が要求される
用途では、比較的安価で高温特性に優れたフェライト系
高Cr鋼が構成材料として多く採用されている。ところ
で、上記システムでは発電効率を向上させるために蒸気
条件の高温化が進められており、例えば630℃あるい
は650℃(すなわち630℃以上)の温度条件が想定
されている。このような動向に伴いボイラ管等に用いら
れる材料には、高温クリープ強度、靱性、および耐水蒸
気酸化特性について一層の改善が要求されている。近
年、上記要求に従って高温強度を向上させるべく、Wあ
るいはB等を添加した耐熱材料が開発されており、例え
ば特開平7−286246号、特開平8−85847号
等には、高温クリープ強度、靱性ならびに耐酸化特性を
向上させた耐熱鋼が提案されている。
温特性は十分といえるものではなく、さらなる改良が望
まれている。本発明は上記事情を背景としてなされたも
のであり、従来材に比べ高温特性、特にクリープ特性、
靱性、耐高温腐食特性、耐水蒸気酸化特性をさらに向上
させたフェライト系耐熱鋼を提供することを目的とす
る。
するため、合金元素の最適化をはかるとともにREM、
Caを積極添加し、さらに脱酸剤、脱硫剤としてのS
i、Mn、Al量を低減することにより、優れた耐酸化
特性を有し、かつ高い高温強度、高靱性を維持した鋼を
得ようとするものである。すなわち、上述の目的を達成
するため、本発明のフェライト系耐熱鋼のうち第1の発
明は、重量%で、C:0.07〜0.14%、Si:0
〜0.25%、Ni:0.8%以下、Cr:9.5〜1
2.5%、Mo:0.1〜0.6%、V:0.14〜
0.24%、Nb:0.03〜0.08%、W:1.0
〜2.0%、Co:0.1〜0.6%、B:0.002
〜0.008%、N:0.025%以下を含有し、さら
に希土類元素:0.001〜0.03%、Ca:0.0
01〜0.03%の一種以上を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなることを特徴とする。
の発明のフェライト系耐熱鋼において、不可避的不純物
のうち、Mn:0.25%以下、Al:0.010%以
下を許容含有量とすることを特徴とする。
または第2の発明のフェライト系耐熱鋼において、不可
避的不純物のうち、S:0.010%以下、O:0.0
050%以下を許容含有量とすることを特徴とする。
〜第3の発明のフェライト系耐熱鋼において、希土類元
素含有量:REM(%)、Ca含有量:Ca(%)、Si含有量:S
i(%)、Mn含有量:Mn(%)、Al含有量:Al(%)が下記関
係式を満たす成分範囲にあることを特徴とする。 (47×REM(%)+33×Ca(%))/(1.5×Si(%)+0.9×Mn
(%)+8×Al(%))≧1.0
る。 C:0.07〜0.14% Cは、炭化物生成元素と結びついて炭化物を形成し、高
温強度を向上させるが0.07%未満であると強度が不
十分であり、一方、0.14%を超えると炭化物が粗大
化し高温性質を低下させるので、その範囲を0.07〜
0.14%とする。なお、同様の理由で下限を0.10
%、上限を0.13%とするのが望ましい。
で、所望により含有させる。ただし、Si含有量が高い
と鋼塊内部の偏析が増加するため、靭性が低下し、さら
に高温長時間保持により炭化物、Laves相の凝集粗
大化を促進させクリープ強度が低下するので、高温クリ
ープ強さを重視する場合には無添加とし、一方、耐水蒸
気酸化特性を重視して積極的に含有させる場合にも含有
量の上限は0.25%とする。なお、同様の理由で上限
を0.15%未満とするのが望ましい。また、上記作用
を確実に得るためにはSiの下限を0.10%とするの
が望ましい。なお、Siを積極的に含有させる場合、耐
水蒸気酸化特性に有効に働くSiが脱酸に使用されない
ように、酸化当量比(後述する)を厳密に管理するのが
望ましい。
成を抑制し、靭性を改善するので含有させるが、過剰に
含有すると高温クリープ強さが低下するので上限を0.
8%とする。なお、上記作用を確実に得るためには、
0.20%以上含有させるのが望ましい。上記と同様の
理由で、下限を0.45%、上限を0.65%とするの
が望ましい。
本合金成分であるが、過剰に含有させるとδフェライト
が晶出し、また、粗大なLaves相の析出を助長して
高温性質および靭性を劣化させる。これらの観点から、
下限を9.5%、上限を12.5%とする。望ましくは
下限を10.5%、上限を12.0%とする。
ために0.1%以上の含有が必要であるが、0.6%を
超えて含有させても、それ以上の効果は期待できず、ま
た有害なδフェライトが生成されてクリープ破断強度が
低下するため、含有量を0.1〜0.6%の範囲に限定
した。なお、同様の理由で下限を0.2%、上限を0.
4%とするのが望ましい。
せる作用を有しており、これら作用を得るため0.14
%以上含有させる。一方、過剰に含有させると延靭性が
低下するので上限を0.24%とする。なお、同様の理
由で下限を0.16%、上限を0.2%とするのが望ま
しい。
せ、さらに、Bと複合添加させることにより、一層クリ
ープ強度を向上させるので含有させる。ただし、0.0
3%未満の含有では効果はなく、一方、0.08%を越
えて含有させると炭窒化物が増大して延靭性を低下させ
るので、その範囲を0.03〜0.08%とする。
s相の形態で析出して、高温強度の向上に寄与する。さ
らに、Bと複合添加することにより、高温クリープ強度
を向上させる。しかし、過剰に含有させると偏析傾向が
増大するとともに延靭性を低下させる。上記作用を考慮
した上で、下限を1.0%、上限を2.0%とし、さら
に望ましくは下限を1.5%、上限を1.8%とする。
向上させ、またクリープ破断強度を向上させるために含
有させる。上記作用を得るためには0.1%以上の含有
が必要である。一方、0.6%を越えて含有させても効
果は飽和するので上限を0.6%とする。なお、同様の
理由で下限を0.3%、上限を0.5%とするのが望ま
しい。
るとともに粒界および粒内の炭化物の析出凝集を抑え、
高温クリープ強さを高める。さらに、適量のNb、W、
Nと複合添加することにより、高温クリープ強さの向上
に寄与する。しかし、0.002%未満の含有では上記
効果が不十分である。また、0.008%を越えて含有
すると高温クリープ延性を低下させ、さらに溶接性を悪
化させるためその含有量を0.002〜0.008%に
限定した。なお、同様の理由で下限を0.004%、上
限を0.006%とするのが望ましい。
化物を形成し、また、Bとの複合添加効果によりクリー
プ強度の向上に有効に作用する。ただし、過剰に含有す
ると粗大な窒化物を形成して、延靱性、及び高温クリー
プ強度が低下するので、その上限を0.025%とす
る。なお、同様の理由で上限を0.021%とするのが
望ましい。また、上記作用を確実に得るためには0.0
14%以上含有させるのが望ましい。
作用を有し、金属溶湯に単独あるいは複合添加すること
により、鋼に内在する非金属介在物の低減、微細化、均
一分散化を図ることができることから、靱性の向上およ
び高温長時間でのクリープ延性の向上に寄与する。さら
に、粒界の優先酸化、及び粒内への酸素の拡散を抑制
し、高温で安定な酸化皮膜の形成を促進して耐高温腐食
特性、及び耐水蒸気酸化特性の向上に寄与する。上記効
果を得るためには、各元素で0.001%以上の添加が
必要であるが、0.03%を越えて含有させると酸化物
が過剰に生成されてかえって靱性が低下するため、RE
MおよびCaの含有量を上記範囲に限定した。なお、同
様の理由でそれぞれ下限を0.003%、上限を0.0
25%とするのが望ましく、さらに下限を0.01%、
上限を0.015%とするのが一層望ましい。
用されるが、MnはSと結合し粗大な非金属介在物を形
成して靱性を低下させるとともに、靱性の経時劣化を助
長させ、さらにクリープ強度を低下させるため、本願発
明では積極的には添加せず、不純物として取り扱う。し
たがって、その含有量を極力低減するのが望ましいが、
精錬技術の限界を考慮して、上限を0.25%に定める
のが望ましい。より好ましくは、0.10%未満に限定
する。
性を低下させ、さらに窒素と結合して高温強化に寄与す
るVならびにNb炭窒化物を減少させてクリープ強度を
低下させるので、本願発明では積極的には添加せず、不
純物として取り扱う。したがってその含有量は極力低減
するのが望ましいが、精錬技術の限界を考慮して、0.
010%以下に制限するのを望ましいものとした。より
好ましくは、0.005%以下に限定する。
b、V等と硫化物を形成して靱性を劣化させるものであ
り、また脱硫に必要なREM、Caの含有を過剰にしな
いという点からS含有量は極力低減させるのが好まし
い。ただし、精錬技術の限界を考慮して、許容含有量と
して0.010%以下を望ましいものとした。
化させるものであり、また脱酸に必要なREM、Caの
含有を過剰にしないという点からO含有量は極力低減さ
せることが好ましい。ただし精錬技術の限界を考慮し
て、その許容含有量として0.0050%以下を望まし
いものとした。より好ましくは、0.0030%以下で
ある。
ず、REM、Caで行うことに特徴がある。その脱酸、
脱硫効果は、酸化当量比が1.0未満になるとSi、M
n、Alによる脱酸、脱硫効果が相対的に大きくなり、
Si、Mn、Alによる上記弊害が生じるとともにRE
M、Caによる上記効果が得られなくなる。また、RE
M、Caは、Si等よりも優先的に脱酸、脱硫に寄与す
る性質があるので、REM、Caの相対量を多くするこ
とによりSi等の上記弊害の発生を抑制する作用があ
る。このため上記比が1.0以上になるように上記成分
の含有量を調整するのが望ましい。なお、上記比は大き
いほどREM、Caの作用が相対的に大きくなるので、
さらに2.0以上が望ましく、さらには3.0以上が一
層望ましく、5.0以上がより一層望ましい。ただし、
酸化当量比は、(47×REM(%)+33×Ca(%))/(1.5×Si
(%)+0.9×Mn(%)+8×Al(%))で示されるものとする。
溶解、精錬、鋳込み等が行われるが、精錬に際しては、
脱酸、脱硫をSi、Mn、Alを用いず、REM、Ca
で行う。その他工程においては常法を採用することがで
きる。鋳込まれた鋼には、熱間鍛錬あるいは圧延により
所望の形状に加工した後、適宜の熱処理が施される。例
えば、1000〜1150℃で焼鈍し、1000〜12
00℃に加熱し強制冷却する焼準を行い、その後700
〜800℃で焼戻を行う。なお、焼鈍および焼準温度
は、炭窒化物の固溶およびδフェライトの分解を行うた
めに1000℃以上とするのが望ましい。この温度が高
すぎると結晶粒の粗大化やδフェライトへの再変態が起
きるので上限温度1150℃或いは1200℃とする。
また焼戻により、均一な焼戻しマルテンサイト組織が得
られ、さらに炭窒化物を微細析出させクリープ破断強度
を向上させることができる。
必要に応じて溶接を行うことができ、例えば、上記した
一連の熱処理後、溶接を行い、その後、650℃〜76
0℃の応力除去焼鈍を行う。得られた耐熱鋼は、高温ク
リープ破断特性、靱性、耐高温腐食特性ならびに耐水蒸
気酸化特性に優れており、例えば火力発電システムのボ
イラ管に好適な材料としてに使用することができる。な
お、本発明鋼は、上記したように高温蒸気に晒されるボ
イラ管用の材料に好適であるが、本発明の適用がこの用
途に限定されるものではなく、上記特性が全てまたは一
部要求される各種の用途に適用することができ、該用途
に従って上記の優れた特性が顕著なものとして得られ
る。
を有する合金(実施例および比較例)を用意した。これ
らの合金は溶解炉にて溶解後、REM、Ca(実施例ま
たは比較例)またはSi、Mn、Al(比較例)を用い
て脱酸、脱硫を行い、その後、溶湯を型に鋳込んでそれ
ぞれ25kg鋼塊を試験材として用意した。これらの試
験材に熱間鍛造および所定の熱処理を施した。なお、熱
処理は、1070℃で20時間保持後炉冷の焼鈍を行
い、1070℃で10時間保持後強制冷却の焼準を行
い、さらに焼戻として740℃で16時間保持後炉冷し
た。
び高温クリープ強度を評価し、その結果を表2に示し
た。なお、クリープ特性試験は、630℃、167MP
aの条件で行った。
クリープ特性および靱性がバランスよく、いずれも優れ
た特性を有している。一方、比較鋼は、高温クリープ特
性と靱性とのバランスが悪く、いずれか一方において明
らかに劣っている。
イト系耐熱鋼は、重量%で、C:0.07〜0.14
%、Si:0〜0.25%、Ni:0.8%以下、C
r:9.5〜12.5%、Mo:0.1〜0.6%、
V:0.14〜0.24%、Nb:0.03〜0.08
%、W:1.0〜2.0%、Co:0.1〜0.6%、
B:0.002〜0.008%、N:0.025%以下
を含有し、さらに希土類元素:0.001〜0.03
%、Ca:0.001〜0.03%の一種以上を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるので、高
温クリープ特性および靱性においてバランスよく優れた
特性が得られるとともに高温腐食特性および水蒸気酸化
特性においても優れた特性が得られ、より優れた高温特
性が要求される火力発電システム等に好適な材料として
提供することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.07〜0.14%、
Si:0〜0.25%、Ni:0.8%以下、Cr:
9.5〜12.5%、Mo:0.1〜0.6%、V:
0.14〜0.24%、Nb:0.03〜0.08%、
W:1.0〜2.0%、Co:0.1〜0.6%、B:
0.002〜0.008%、N:0.025%以下を含
有し、さらに希土類元素:0.001〜0.03%、C
a:0.001〜0.03%の一種以上を含有し、残部
がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
フェライト系耐熱鋼 - 【請求項2】 不可避的不純物のうち、Mn:0.25
%以下、Al:0.010%以下を許容含有量とするこ
とを特徴とする請求項1記載のフェライト系耐熱鋼 - 【請求項3】 不可避的不純物のうち、S:0.010
%以下、O:0.0050%以下を許容含有量とするこ
とを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト系
耐熱鋼 - 【請求項4】 希土類元素含有量:REM(%)、Ca含有
量:Ca(%)、Si含有量:Si(%)、Mn含有量:Mn(%)、
Al含有量:Al(%)が下記関係式を満たす成分範囲にあ
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフ
ェライト系耐熱鋼 (47×REM(%)+33×Ca(%))/(1.5×Si(%)+0.9×Mn
(%)+8×Al(%))≧1.0
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24795299A JP4271310B2 (ja) | 1999-09-01 | 1999-09-01 | フェライト系耐熱鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24795299A JP4271310B2 (ja) | 1999-09-01 | 1999-09-01 | フェライト系耐熱鋼 |
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JP4271310B2 JP4271310B2 (ja) | 2009-06-03 |
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ID=17171001
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24795299A Expired - Fee Related JP4271310B2 (ja) | 1999-09-01 | 1999-09-01 | フェライト系耐熱鋼 |
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JP (1) | JP4271310B2 (ja) |
-
1999
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