JP2001073047A - 低熱膨張銅合金及びこれを用いた半導体装置並びに低熱膨張銅合金の製造方法 - Google Patents

低熱膨張銅合金及びこれを用いた半導体装置並びに低熱膨張銅合金の製造方法

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JP2001073047A
JP2001073047A JP25123099A JP25123099A JP2001073047A JP 2001073047 A JP2001073047 A JP 2001073047A JP 25123099 A JP25123099 A JP 25123099A JP 25123099 A JP25123099 A JP 25123099A JP 2001073047 A JP2001073047 A JP 2001073047A
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copper alloy
thermal expansion
alloy
oxide
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Shingo Kumamoto
晋吾 熊本
Shigemi Hosoda
成己 細田
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合される相手材の熱膨張特性に調整可能で
あり、かつ、優れた放熱特性を有した低熱膨張銅合金及
びこれを用いた半導体装置並びに低熱膨張銅合金の製造
方法を提供する。 【解決手段】 銅と酸化銅からなる二相金属組織を有し
た銅合金の表面に、銅単一の層を有する低熱膨張銅合
金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅と酸化銅からな
る二相金属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を
有することを特徴とする低熱膨張銅合金及びこれを用い
た半導体装置並びに低熱膨張銅合金の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータ−やワークステ
ーション等の大型コンピューターに代表される電子機器
に用いられる半導体装置分野では、半導体素子の動作速
度向上による高消費電力化、および電子機器の小型高性
能化により半導体素子実装の小型高密度化が急速に進む
傾向がある。これに伴い、半導体素子からの発熱量は年
々増大する傾向にあり、半導体装置においては放熱性が
ますます重要視されている。
【0003】このため、半導体装置にはヒートスプレッ
ダー、あるいは単に放熱板と呼ばれる放熱部材が使用さ
れている。例えば、図3に示すP−BGA(Plast
ic−Ball Grid Array)と呼ばれる半
導体パッケージ(素子実装用部品)の場合、銅または銅
合金製のヒートスプレッダー(3)が使用される。ヒー
トスプレッダーとして銅を使用する場合は、高熱伝導率
を有する無酸素銅が一般に使用されている。このヒート
スプレッダー(3)は、一般にインターポーザーと呼ば
れるプリント配線基板(5)に接合されており、プリン
ト配線基板に使用される樹脂を加熱加圧により硬化させ
る際、積層されたヒートスプレッダー(3)とプリント
配線基板(5)も同時に加熱圧着される。半導体素子
(4)は、ヒートスプレッダー(3)と接合され、プリ
ント配線基板(5)とボンディングワイヤー(7)で配
線される。プリント配線基板(5)には、ソルダーボー
ル(6)が配置され、本半導体パッケージを実装する
際、回路基板との接続を担う。また、強度が高いヒート
スプレッダーが必要な場合は、例えばFe=2.1〜
2.6重量%、Pb=0.03重量%、Zn=0.05
〜0.20重量%、P=0.015〜0.15重量%、
Cu=97.0重量%以上の成分を持つ銅合金(C19
400)が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの銅および銅合
金は、高い熱伝導率を有し、放熱性に優れた素材であ
る。しかし、実際にヒートスプレッダーとして使用した
場合、ヒートスプレッダーと接合される部材との熱膨張
または熱収縮量の違いに起因した、半導体パッケージの
反り変形、および接合界面の破壊や信頼性低下などが問
題となっている。
【0005】例えばP−BGAの場合、ヒートスプレッ
ダー(3)として使用される銅および銅合金の熱膨張係
数は約17ppm/℃(100℃)に対し、直接接合さ
れるプリント配線基板(5)に使用されるBTレジンや
ガラスエポキシ等の樹脂は14〜15ppm/℃であ
る。また、図4に示すPGA(Pin Grid Ar
ray)と呼ばれる半導体パッケージのように、アルミ
ナ等のセラミック基板(8)を使用する場合もある。こ
の場合も、半導体素子(4)はヒートスプレッダー
(3)に接合され、セラミック基板(7)とはボンディ
ングワイヤー(7)を介して配線される。セラミック基
板(7)には複数のピン(9)が配置されており、本半
導体パッケージを実装する際、回路基板との接続を担
う。ヒートスプレッダー(3)として使用される銅およ
び銅合金の熱膨張係数は約17ppm/℃(100℃)
に対し、アルミナの熱膨張係数は約6.5ppm/℃で
あり、前述したP−BGAの場合よりもさらに熱膨張係
数の差が大きい。
【0006】ここで、半導体素子(4)はその動作時と
停止時の温度差が大きく、かつ半導体装置の使用環境に
よる温度差も様々であり、熱膨張差が大きい素材間の接
合界面では、膨張量の差による歪が繰り返し発生し、接
合部の破壊につながる。また、半導体パッケージ全体の
反り変形も生じるため、はんだ接合あるいはソルダーボ
ール(6)やピン(9)を介して接合された回路基板と
の接続が破壊される恐れがある。
【0007】また、製造工程中、接合処理を昇温して行
う場合、冷却時の収縮量の差により反り変形や割れなど
の不具合が生じ、製品の歩留まりが低下する問題が発生
する。例えば、銅または銅合金と樹脂を接合する工程の
場合、約200℃に加熱した状態で両者を圧着接合する
が、冷却過程の収縮量の差により、銅または銅合金側に
凹んだ形状で接合される。また、アルミナ等のセラミッ
クとはんだ接合される場合はさらに顕著な反り変形が生
じ、セラミックに割れが発生する。
【0008】本発明の目的は、上述の熱膨張差に起因し
た問題を解決するため、接合される相手材の熱膨張特性
に調整可能であり、かつ、優れた放熱特性を有した低熱
膨張銅合金及びこれを用いた半導体装置並びに低熱膨張
銅合金の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、半導体装置
に放熱部材として用いられる銅または銅合金について、
接合される相手材との熱膨張特性の違いを低減すべく検
討を行った。そして、図2に示す様に、銅の母相中に低
熱膨張特性を有する酸化銅粒子を分散させた二相金属組
織1を形成し、かつ表面に銅単一の層2を形成させるこ
とにより、熱膨張特性が調整可能で加工性にすぐれた低
熱膨張銅合金が作製可能なことを見出した。
【0010】そして、上述の二相金属組織を構成する、
銅の母相と低熱膨張特性を有する酸化銅粒子のうち、酸
化銅の体積率を変化させることにより、熱膨張特性の調
整が可能となることを知見した。ここで、酸化銅の冷間
加工性は非常に悪いため、単純な銅と酸化銅の二相金属
組織では、例えば冷間圧延を実施した場合に、割れや破
断の問題が生じる。また、メッキ等の表面処理を行う場
合、材料表面に露出した酸化銅の部分はメッキが困難で
あったり、酸化銅の脱落などにより、外観上の問題が生
じる。そこで、低熱膨張特性を有する酸化銅粒子を分散
させた二相金属組織の表面に、銅単一の層を形成させる
ことにより、前述の問題を解決し本発明に到達した。
【0011】即ち本発明は、銅と酸化銅からなる二相金
属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を有する低
熱膨張銅合金である。好ましくは、酸化銅はCuOで
ある低熱膨張銅合金である。また本発明は、上記の低熱
膨張銅合金を放熱部材として用いた半導体装置である。
【0012】本発明の製造方法は、銅粉末と酸化銅粉末
からなる混合粉を用いて、還元性雰囲気中で焼結を行う
ことにより、内部は銅と酸化銅からなる二相金属組織を
有した銅合金の表面側に、還元により銅単一の層を形成
する低熱膨張銅合金の製造方法である。または、銅粉末
と酸化銅粉末からなる混合粉を用いて、加圧焼結を行な
うと同時に、前記混合粉全体の外側に配置した銅製板も
しくは銅製容器と混合粉焼結体を接合させることによ
り、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有した銅合金表
面に銅単一の層を形成する低熱膨張銅合金の製造方法で
ある。
【0013】更に本発明は、銅粉末と酸化銅粉末からな
る混合粉を用いて焼結を行い、銅と酸化銅からなる二相
金属組織の銅合金を得た後、前記銅合金の表面側に配し
た銅製板もしくは銅製容器とを熱間加圧接合させること
により、前記銅合金表面に銅単一の層を形成する低熱膨
張銅合金の製造方法である。また、溶融銅中に酸素を溶
解して冷却凝固させ、銅と酸化銅からなる二相金属組織
を有する銅合金を得た後、還元性雰囲気中で加熱するこ
とにより、前記銅合金表面に還元された銅単一の層を形
成する低熱膨張銅合金の製造方法である。
【0014】また本発明は、溶融銅中に酸素を溶解して
冷却凝固させ、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有す
る銅合金を得た後、前記銅合金の表面側に配した銅製板
もしくは銅製容器とを熱間加圧接合させることにより、
前記銅合金表面に銅単一の層を形成する低熱膨張銅合金
の製造方法である。好ましくは、上述の製造方法により
得られた低熱膨張銅合金を、50℃以上300℃未満の
温度で目的の形状に塑性加工する低熱膨張銅合金の製造
方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明の重要な
特徴は、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有した銅合
金の表面に、銅単一の層を形成して低熱膨張銅合金とし
たことにある。以下に詳しく本発明を説明する。先ず、
本発明の低熱膨張銅合金を構成する二相金属組織を有し
た銅合金としての銅は、優れた熱伝導特性の付与のため
用いるものである。そして、他方の酸化銅は、低熱膨張
特性の付与を第一の目的に用いるもので、この酸化銅の
体積率を変化させることにより、所望の熱膨張特性を得
ることが可能であり、接合される相手材と熱膨張特性が
整合した、半導体用放熱板が作製可能となる。
【0016】ここで酸化銅としては、酸化第一銅、ある
いは亜酸化銅とも呼ばれるCuOと、酸化第二銅と呼
ばれるCuOの2種類が挙げられる。常温付近での低温
領域では、CuOよりもCuOの状態が熱力学的には
安定であるが、約375℃で生じるCuOからCuO
への共析反応は起こり難いので、この共析反応温度以上
から冷却された熱履歴を持つ銅中に含まれる酸素は、C
Oの形で存在する。従って、銅母相中に酸化銅粒子
を分散させた組織を形成する場合、CuO粒子がより
安定して得られるため、本発明の低熱膨張銅合金では酸
化銅としてCu Oを有していることが好ましい。
【0017】この酸化銅は、常温付近での低温領域にお
いて延性に乏しく、冷間圧延等の塑性加工を行った場
合、酸化銅の割れを起点として破断する場合がある。こ
のような加工では、まず被加工材表面にクラックが多数
発生し、破断に至る場合が多いため、本発明では、この
酸化銅が表面に露出することを避ける必要がある。その
ため、本発明の低熱膨張銅合金では、その表面に形成さ
れた銅単一の層により、表面からのクラック発生を抑制
させ、冷間での加工中に破断する危険性を低減してい
る。
【0018】ここで、表面に形成する銅単一層は、材料
の板厚全体に対して5〜30%程度の厚さで形成するこ
とが望ましい。さらに好ましくは、表裏各面にそれぞれ
同じ厚みで形成させ、各面10%程度が望ましい。この
厚さよりも薄い場合は、内部の酸化銅の割れが表面に転
写される危険性があり、十分な効果が得られない。ま
た、より厚い層を設けた場合、所望の熱膨張係数が得ら
れる酸化銅体積率に調整すると、内部の銅と酸化銅から
なる二相金属組織中の酸化銅体積率が増大し、材料内部
の加工性が低下する。すなわち、材料内部において粗大
な割れが発生する危険性がある。従って、加工中の割れ
発生抑制効果があり、かつ、酸化銅の体積率調整が容易
である理由から、表面に形成する銅単一層の厚さは上述
の5〜30%程度が推奨でき、最も好ましいのは表裏各
面にそれぞれ10%程度である。
【0019】本発明品の表面に形成された銅単一の層
は、上述の加工性向上以外に、材料表面の品位向上の効
果がある。表面に銅単一の層が無く、銅と酸化銅からな
る二相金属組織が露出している場合、加工により酸化銅
に発生した細かな割れが表面欠陥として存在する。これ
は、例えばメッキ等の表面処理を行う場合、メッキ液の
染み込みによりメッキの膨れが生じる原因となる。ま
た、酸化銅上にはメッキがされにくく、メッキが不均一
になる問題が生じる。
【0020】さらに、製造工程中または製品として使用
される際の加熱された状態において、表面の割れに染み
込んだ不純物、例えばメッキ液や洗浄液などがガス化
し、雰囲気を汚染する恐れがある。従って、本発明品で
ある低熱膨張銅合金において、表面に形成された銅単一
の層は、これらの材料表面に関する問題を防止するため
に不可避な要素である。
【0021】放熱部材としての機能面から見ると、本発
明品の表面に形成された銅単一の層により、表面におけ
る平面方向の熱伝導率が向上する。これは、本発明品を
使用した放熱部材に対して、搭載される半導体素子の面
積が小さい場合、半導体素子からの発熱を速やかに放熱
部材全面に広げる効果が得られるため、非常に高い放熱
効果が得られる。
【0022】ここで、本発明品の表面に形成された銅単
一の層について説明する。例えば図1に示すように、本
発明品の断面を光学顕微鏡を用いて観察した場合、材料
の表面近傍には酸化銅が観察されない層が見られる。ま
た、還元性雰囲気中で加熱することにより表面に銅単一
の層を形成した場合、前記酸化銅が観察されない層に
は、材料内部に存在する酸化銅と同じ形態をした痕跡が
残っている。ただし、前記酸化銅が観察されない層につ
いてX線回折により結晶構造を分析すると、Cu2Oも
しくはCuOといった酸化銅のピークは観察されない。
以上に述べたように、本発明品の表面に形成されてい
る、酸化銅が観察されない層を指して、銅単一の層とす
る。
【0023】本発明者は、上述した低熱膨張銅合金を製
造する手法について種々の検討を行い、銅粉末と酸化銅
粉末からなる混合粉を用いて、第一の製造方法として、
還元性雰囲気中で焼結を行うことにより、内部は銅と酸
化銅からなる二相金属組織を有した銅合金の表面側に、
還元により銅単一の層を形成する製造方法を見出した。
以下に詳細を説明する。
【0024】先ず、ここで用いられる銅粉末としては、
本発明品が放熱部材として使用されることを考慮する
と、その熱伝導率は高い方が望ましく、無酸素銅に代表
される高純度の銅を使用するのが好ましい。ただし、銅
の熱伝導率を損なわない程度で、引張強度等の機械的特
性向上のために合金元素を添加した銅合金粉末を使用す
ることも可能である。
【0025】次に、酸化銅粉末としては、CuOまた
はCuOおよびこれらの混合粉を使用することができ
る。原料としてCuO粉を使用した場合、焼結中に以下
の反応が生じるため、より焼結が容易である。 Cu+CuO→CuO CuOの電荷担体の型はCu欠損によるP型であり、
CuO中のCu2+の拡散により反応は進む。従っ
て、CuOを包む形態で生成したCuO中を拡散した
Cu原子とCuOが反応し、CuOへの反応が進行す
ると考えられる。
【0026】上述した銅粉末と酸化銅粉末からなる混合
粉を用いて、還元性雰囲気中で焼結を行う。還元性雰囲
気としては、水素による還元雰囲気が使用可能である。
または、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で、酸
素分圧を低く保持することにより、混合粉に含まれる酸
化銅から酸素を解離させることが可能である。これらの
雰囲気中で焼結を行うことにより、材料内部では銅粉末
と酸化銅粉末の焼結が進行すると同時に、材料表面の酸
化銅は還元されて銅単一の層が形成される。よって、本
製造方法により、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有
した銅合金の表面に、銅単一の層を有する低熱膨張銅合
金が製造される。これが、本発明の製造方法の第一であ
る。
【0027】次に、本発明の銅と酸化銅からなる二相金
属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を有する低
熱膨張銅合金を製造する方法の第二を説明する。本発明
の製造方法の第二としては、表面に銅単一の層を形成す
る方法として、以下に示す製造方法がある。ここで用い
る粉末は上述の銅粉末、酸化銅粉末と同様である。銅粉
末と酸化銅粉末の混合粉を準備し、この混合粉を金属製
ケースに充填する。ここで用いるケースの材質として
は、後に行う加圧焼結工程の温度において、変形が容易
である材質であれば良く、具体的には軟鋼を使用する。
そして、ケースの壁面には、銅製板をセットする。
【0028】次に、ケースを密封して加圧焼結を行うこ
とにより、内部では銅と酸化銅の焼結が進行し、この焼
結体と銅製板は拡散接合され、銅と酸化銅からなる二相
金属組織を有した銅合金の表面に銅単一層を同時に形成
できる。ここで、ケースを密封する際は、焼結体内部に
空洞を残さないようにするため、ケース内部を減圧した
状態で封止するのが望ましい。焼結後、ケースを除去
し、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有した銅合金の
表面に、銅単一の層を有する低熱膨張銅合金が得られ
る。ここで用いるケースとして、銅製容器を使用した場
合は、焼結後にケースを除去する必要がなく、そのまま
使用可能であり好ましい。これが、本発明の製造方法の
第二である。
【0029】次に、本発明の銅と酸化銅からなる二相金
属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を有する低
熱膨張銅合金を製造する方法の第三を説明する。本発明
の製造方法の第三としては、表面に銅単一の層を形成す
る方法として、銅と酸化銅からなる二相金属組織と銅単
一の層を別工程で製造することも可能である。ここで用
いる粉末は上述の銅粉末、酸化銅粉末と同様である。先
ず、銅粉末と酸化銅粉末からなる混合粉を用いて焼結を
行い、銅と酸化銅からなる二相金属組織の銅合金を得
る。次に、前記銅合金の表面に銅製板を配置する。好ま
しくは、表面に配置した銅製板と銅合金は、側面周囲を
溶接等により仮止めし、容易に外れない状態にする。
【0030】この銅製板と銅合金を重ねあわせた状態
で、熱間圧延等により熱間加圧接合を行う。熱間圧延の
場合、圧延により銅製板と銅合金の界面では塑性流動が
生じて、両者の活性な新生面同士で接合する。なお、前
記焼結体を銅製容器に充填し、熱間圧延等により熱間加
圧接合を行うことも可能である。この場合、容器内部を
減圧した状態で密封することにより、接合面に空気が残
存して未接合となる不具合を大幅に低減することが可能
であり、好ましい。圧延以外の加工法、例えば熱間プレ
ス、熱間鍛造(スエージング加工など)、熱間押出しま
たは引き抜きなどの加工により、銅と酸化銅からなる二
相金属組織の銅合金と、その表面に配置した銅製板もし
くは銅製容器を接合させることが可能である。これが、
本発明の製造方法の第三である。
【0031】次に、本発明の銅と酸化銅からなる二相金
属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を有する低
熱膨張銅合金を製造する方法の第四を説明する。本発明
の製造方法の第四としては、銅と酸化銅からなる二相金
属組織を形成する方法として、上記の銅粉末と酸化銅粉
末の焼結による方法以外に、溶製法による手法がある。
具体的には、溶融した銅中に酸素を溶解後、冷却凝固さ
せることで酸化銅を晶出させ、銅と酸化銅の二相金属組
織が得られる。酸素を溶解させる方法としては、溶融銅
に酸化銅を添加して溶解させることにより、約3重量%
までの酸素が容易に溶解可能である。この場合、溶融銅
に添加する酸化銅としてCuOまたはCuOおよびそ
の混合粉が用いられる。また、溶融銅中に酸素ガスを吹
きこむ手法でも、酸素を溶解させることが可能である
が、酸素量の制御が困難である。
【0032】ここで、前述した通り、約375℃で生じ
るCuOからCuOへの共析反応は起こり難いので、
得られた酸化銅はCuOの形で存在する。以上の方法
で得られた銅と酸化銅からなる二相金属組織を有する銅
合金を、前述の還元性雰囲気中で加熱することにより、
表面に還元された銅単一の層を形成し、本発明品である
低熱膨張銅合金を製造可能である。これが、本発明の製
造方法の第四である。
【0033】また、上述の溶製用で得られる二相金属組
織を有した銅合金の表面に銅単一の層を形成する別方法
としては、本発明の製造方法の第五がある。これは、前
述した熱間加圧接合を利用する方法もある。すなわち、
溶融銅に酸素を溶解させ、冷却凝固により銅と酸化銅の
二相金属組織を有する銅合金を得た後、この銅合金の表
面に銅製板を配置または銅製容器に充填して、熱間圧延
等により銅合金と銅製板または銅製容器の熱間加圧接合
を行い、表面に銅単一の層を形成させ、本発明品である
低熱膨張銅合金が得られる。これが、本発明の製造方法
の第五である。
【0034】上述した各製造方法で得られた低熱膨張銅
合金を、所定の製品寸法に加工する場合は、加熱した状
態で加工することが望ましい。600℃以上の温度で
は、銅の変形抵抗が低く、酸化銅は銅中を流動する形態
で、割れが発生せずに変形可能である。また、酸化銅も
加工方向に沿って変形している。しかし、このような高
温では、熱間加工機の精度、加工温度からの冷却による
収縮量により、寸法精度の高い加工を行うことは非常に
困難である。そこで、より所定寸法に精度良く加工する
ためには、50℃以上300℃未満の温度で加工を行う
のが望ましい。
【0035】ここで、50℃未満の温度では、銅の変形
抵抗が高く、酸化銅にも大きな変形応力が生じ、酸化銅
の割れが生じやすい。また、300℃以上に加熱した場
合、酸化銅の割れは確実に軽減されるが、銅の変形抵抗
が低いため形状が安定せず、高い寸法精度を得ることは
困難である。また、高温になるほど表面に生成する酸化
層が増大するため、最終製品寸法に加工する仕上げ加工
では、極力酸化層を生成させない低温での加工が必要で
ある。従って、前述した50℃以上300℃未満の温度
で加工を行うのが望ましい。
【0036】上述のようにして得られた低熱膨張銅合金
をヒートスプレッダー(放熱板)として用いることがで
きる。本発明の低熱膨張銅合金をヒートスプレッダー
(放熱板)として用いれば、反り変形、および接合界面
の破壊や信頼性低下の問題を解決可能な半導体パッケー
ジが製造可能である。具体的な一例として、図3に示し
たプラスチックパッケージの製造方法を示す。先ず、ヒ
ートスプレッダー(3)となる本発明の低熱膨張銅合金
製板を用意し、インターポーザーと呼ばれるプリント配
線基板(5)と接合される面側について粗化処理を行
う。プリント配線基板(5)は、基材としてガラス布を
使用し、これにエポキシまたはBTレジン等の樹脂を含
浸させ、配線となる銅箔と共に積層し、加熱加圧により
各層を接合、かつ、樹脂を硬化させて得られる。加熱加
圧前の未硬化の状態をプリプレグと呼ぶ。ここで粗化処
理とは、材料表面に突起状で粗いメッキを形成させる処
理である。この処理により、プリプレグと圧着接合する
際、形成した突起状のメッキが樹脂に埋まり、樹脂との
接着力が高められる。
【0037】低熱膨張銅合金製板の粗化処理面をプリプ
レグと重ねて積層し、積層プレスで加熱加圧することに
より、プリプレグの硬化と同時に低熱膨張銅合金製板と
プリプレグの接合が可能である。低熱膨張銅合金製ヒー
トスプレッダーが接合したプリント配線基板は、最終製
品の形状に合わせてプレス打ち抜き、または切断され、
プラスチックパッケージに分割される。以上に述べたよ
うに、低熱膨張銅合金製ヒートスプレッダーとプリント
配線基板が接合したプラスチックパッケージが製造可能
である。このようにして製造されたプラスチックパッケ
ージは、ヒートスプレッダーとプリント基板の熱膨張特
性が非常に良く整合しており、熱による反り変形、接合
界面の破壊等の問題が大幅に改善される。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 (実施例1)水アトマイズ銅粉末(平均粒径20μm)
およびCuO粉末(平均粒径10μm)の粉末を準備
し、CuOの割合が10.2重量%、14.8重量%、
19.7重量%になるようV型ブレンダーを用いて混合
した。CuOを混合した割合によって試料名をNo.
1、2、3とする。これらの混合粉を用いて、プレス成
形装置により成形圧力200MPaで厚さ3.0mm×
幅30mm×長さ40mmの圧粉体を成形した。成形し
た圧粉体は、窒素雰囲気中で1000℃×3時間の焼結
を行った。得られた焼結体サイズは、厚さ約2.5mm
×幅25mm×長さ35mmであった。焼結体の断面ミ
クロ組織を確認したところ、焼結体表面に厚さ約230
μmの還元層が形成されていた。この試料の断面のミク
ロ組織を観察したところ、銅と酸化銅からなる二相金属
組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層が形成されて
いた。また、X線回折により結晶構造を分析し、酸化銅
はCuOであることを確認した。
【0039】(実施例2)水アトマイズ銅粉末(平均粒
径20μm)およびCuO粉末(平均粒径10μm)の
粉末を準備し、CuOの割合が10.2重量%、14.
8重量%、19.7重量%になるようV型ブレンダーを
用いて混合した。CuOを混合した割合によって試料名
をNo.4、5、6とする。これらの混合粉を、それぞ
れ厚さ48mm×幅250mm×長さ250mmの軟鋼
製容器に充填した。充填する際、厚さ3.0mm×幅2
50mm×長さ250mmの無酸素銅板を混合粉と容器
の間に挿入した。比較例として、試料No.4について
は無酸素銅板を挿入せず、混合粉のみを充填した試料を
作製した。この試料をNo.7とする。次に、充填した
容器を0.1Paよりも減圧としてから溶接により封止
した。封止した容器は、熱間静水圧プレス装置を用いて
温度950℃、圧力100MPa、保持1時間の条件で
処理し、混合粉の加圧焼結を行い、No.4、5、6は
加圧焼結を行うと同時に、混合粉と無酸素銅板の接合を
終えた。
【0040】加圧焼結後、軟鋼製容器を研削により解体
し、表面に無酸素銅板が接合された前混合粉の焼結体を
得た。得られた焼結体のサイズは厚さ約30mm×幅2
00mm×長さ200mmであった。この焼結体を、加
熱温度900℃で熱間圧延し、厚さ2mmの板に加工し
た。圧延材表面のスケールを除去した後、加熱温度20
0℃の温間圧延により厚さ1mmの板に加工した。圧延
終了温度は約60℃であった。比較例として、No.4
の試料については冷間圧延を行った試料を作製した。こ
の試料をNo.8とする。
【0041】無酸素銅板を挿入せず、混合粉のみを充填
し加圧焼結を行ったNo.7の試料については、加圧焼
結および軟鋼製容器を研削により解体した後、厚さ約2
8mm×幅200mm×長さ200mmの焼結体を得
た。本試料についても、上述したNo.4〜6の試料と
同様に、加熱温度900℃で熱間圧延を行い、加熱温度
200℃の温間圧延により厚さ1mmの板に加工した。
【0042】また、No.7の試料で得られた厚さ約2
8mm×幅200mm×長さ200mmの焼結体を用意
し、その上下面に厚さ3.5mm×幅200mm×長さ
200mmの無酸素銅板を配置して軟鋼製容器内にセッ
トし、容器内を0.1Paよりも減圧としてから溶接に
より封止した。封止された容器を加熱温度900℃で熱
間圧延した後、容器を研削により解体し、表面に無酸素
銅板が接合された厚さ2mmの熱間圧延材を得た。本試
料をNo.9とする。本試料についても、加熱温度20
0℃の温間圧延により厚さ1mmの板に加工した。圧延
終了温度は約60℃であった。
【0043】試料No.4〜9について、断面のミクロ
組織を確認した。試料No.4〜6、No.9について
は、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有した銅合金の
表面の無酸素銅は片側約90〜100μmの厚さで残存
しており、板厚全体の約9〜10%の割合で銅単一の層
が形成されていた。また、X線回折により結晶構造を分
析し、酸化銅はCuOであることを確認した。圧延材
表面にクラック等の欠陥は見られなかった。内部のCu
O部では、圧延方向と直角に破断した様子が観察され
るが、連続したクラックや空洞等の欠陥は観察されなか
った。
【0044】表面に銅単一の層を形成していない試料N
o.7は、厚さ1mmまで破断せず圧延可能であった
が、厚さ1.2mmまで圧延した時に圧延方向と直角方
向のひび割れが圧延面で散見された。圧延材断面のミク
ロ組織観察から、圧延面のひび割れは表面近傍のCu
Oにクラックが生じたものであることが分かった。冷間
圧延材No.8は、圧延中に材料側面に細かな割れが観
察された。圧延材断面のミクロ組織を確認したところ、
CuO部で直径100μm以上の大きな割れが散見さ
れた。
【0045】(実施例3)溶解母材として無酸素銅ブロ
ックを用意し、アルミナ製坩堝内にセットし、高周波誘
導加熱炉を用いて溶解した。溶解後、溶湯温度を約13
00℃まで昇温し、CuOの割合が10.2重量%とな
るようCuO粉末を溶湯中に追装した。CuO粉末が溶
けたことを確認してから鋳型内に出湯し、冷却凝固させ
てインゴットを作製した。インゴットサイズは80mm
×80mm×高さ180mmである。
【0046】作製したインゴットは、熱間鍛造により厚
さ20mm×幅100mm×長さ300mmに鍛造後、
熱間圧延により厚さ2mmに加工した。熱間鍛造温度お
よび熱間圧延温度ともに900℃加熱である。熱間圧延
後の試料は、表面のスケールを除去した後、水素雰囲気
中で400℃×2時間保持の還元熱処理を行った。この
還元処理により、表面に銅単一の層を形成させた試料を
No.10とする。
【0047】一方、前述した厚さ20mmの熱間鍛造試
料上下面に、厚さ2.5mmの無酸素銅板を配置して軟
鋼製容器内にセットし、容器内を0.1Paよりも減圧
としてから溶接により封止した。次に、封止された容器
を加熱温度900℃で熱間圧延した後、容器を研削によ
り解体し、表面に無酸素銅板が接合された厚さ2mmの
熱間圧延材を得た。この熱間圧延接合により、表面に銅
単一の層を形成させた試料をNo.11とする。
【0048】上記試料No.10およびNo.11は、
加熱温度200℃の温間圧延を行い、厚さ1mmの薄板
に加工した。これらの温間圧延材No.10およびN
o.11について、断面ミクロ組織を観察した。試料N
o.10では、表面に形成された銅単一の層厚さは、場
所によるばらつきが生じており、80μm〜110μm
の層が形成されていた。試料No.11は、No.10
と比較すると均一な厚さで銅単一の層が得られており、
その厚さは約90μmであった。
【0049】上述した試料No.1〜11について、そ
れぞれの酸素量を分析し、酸化物であるCuOの体積
率を算出した。結果を表1に示す。また、熱伝導率およ
び熱膨張係数の測定を行った。熱伝導率は、直径10m
mの測定試料形状に加工し、レーザーフラッシュ法によ
り測定した。本方法では、試料全面にレーザ−を照射し
て加熱させ、照射面とは裏面の温度上昇および時間を測
定することにより、試料板厚方向の熱伝導率が測定可能
である。板材の平面方向の熱伝導率については、25m
m×25mm以上の形状に加工した測定試料を準備し、
レーザー照射による熱源と、熱源と反対面に位置する温
度上昇観察位置を5mmずらすことにより、平面方向の
熱伝導率を測定した。熱膨張係数は、長さ20mmの測
定試料を作製し、SiOの標準試料との比較測定を行
う示差膨張測定方式により、30℃基準、100℃およ
び200℃の平均熱膨張係数を測定した。これらの測定
値を、まとめて表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表1に示したように、焼結で作製したN
o.1〜3の試料と、加圧焼結+圧延により作製したN
o.4〜6の試料は、製法に関係無く、添加したCuO
量に応じて同程度のCuO体積率が得られた。また、
表面銅単一層の厚さは、試料板厚に対して9〜10%で
形成されていた。溶解+圧延により作製したNo.10
および11の試料は、No.1および4の試料と比較す
ると、添加したCuO量および表面銅層の厚さはほぼ同
じであるが、CuO体積率は4〜5vol%多い値と
なった。これは、大気中で溶解を行ったため、溶融した
銅中に加えたCuOの他に大気からも酸素が溶解し、酸
素量が増えたためと思われる。
【0053】特性については表2に示したように、Cu
O体積率が増加するに伴い、熱伝導率および熱膨張係
数は共に低下した。製造工程中、圧延加工を行ったN
o.4〜11の試料では熱伝導率に異方性が生じ、平面
方向の熱伝導率は板厚方向と比較して約1.7倍大きな
値となった。これは、圧延によりCuOが圧延方向に
伸ばされた繊維状の分散状態となるため、板厚方向の熱
流が悪くなり、逆に平面方向の熱流は良くなったためと
思われる。
【0054】一方、No.1〜3の焼結品の熱伝導率は
等方的であり、同じCuO体積率で比較した場合、圧
延品の平面方向と板厚方向の熱伝導率の平均値と近い値
となる傾向がある。冷間圧延を行ったNo.8の試料
は、同じCuO体積率を持つNo.4と比較すると、
熱伝導率が低い。これは、冷間圧延中に破断したCu
O部で生じた空洞により、熱伝導率が低下したと考えら
れる。
【0055】表2に参考値として示した無酸素銅および
銅合金(C19400)と比較すると、本発明例はすべ
て、熱膨張係数が低減されている。例えばガラス・エポ
キシ樹脂と接合する場合、CuO体積率が20vol
%の本発明例を使用すると、両者の熱膨張係数差が小さ
くでき、無酸素銅や銅合金(C19400)と比較し、
より信頼性の高い接合が可能である。また、熱伝導率は
銅合金よりも高く、優れた放熱性も得られる。
【0056】本発明例であるNo.1、4の試料および
比較例としてNo.7の試料について、Niメッキを行
い、その表面を観察した。結果、表面に銅単一の層が形
成されているNo.1および4の試料については、メッ
キの膨れまたは剥離等の異常は認められなかった。N
o.7の試料は、直径150μm程度の微小な膨れが観
察された。内部は空洞であり、酸化銅が脱落した部分を
覆う形でメッキされたため、膨れとして観察されたと思
われる。よって、本発明品である低熱膨張銅合金におい
ては、無酸素銅または一般的な銅合金と同じく、メッキ
等の表面処理が可能であると思われる。
【0057】上述のように、本発明の低熱膨張銅合金
は、酸化銅の体積率を変化させることにより、接合され
る相手材の熱膨張係数に調整可能である。また、熱伝導
率については銅合金よりも高い値が得られており、放熱
性に優れる。さらに、表面は銅単一の層であり、メッキ
等の表面処理が欠陥なく可能である。従って、例えば図
3に示すP−BGAや、図4に示すPGA等のヒートス
プレッダー(放熱板)として用いれば、熱膨張の違いに
起因した反り変形、および接合界面の破壊や信頼性低下
の問題を解決可能な半導体パッケージが製造可能であ
る。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、銅と酸化銅からなる二
相金属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を形成
させることにより、接合される相手材の熱膨張特性に調
整可能であり、かつ塑性加工が可能でメッキ等の表面処
理性にも優れた低熱膨張銅合金が得られる。本発明品で
ある低熱膨張銅合金を半導体装置に放熱部材として使用
することにより、放熱性に優れかつ接合信頼性にも優れ
た半導体装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低熱膨張銅合金の断面の顕微鏡写真で
ある。
【図2】本発明の低熱膨張銅合金の内部組織を示す模式
図である。
【図3】半導体パッケージの一例を示す模式図である。
【図4】半導体パッケージの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1.二相金属組織、2.銅単一の層、3.ヒートスプレ
ッダー、4.半導体素子、5.プリント配線基板、6.
ソルダーボール、7.ボンディングワイヤー、8.セラ
ミック基板、9.ピン
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月30日(2000.3.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】このため、半導体装置にはヒートスプレッ
ダー、あるいは単に放熱板と呼ばれる放熱部材が使用さ
れている。例えば、図3に示すP−BGA(Plast
ic−Ball Grid Array)と呼ばれる半
導体パッケージ(素子実装用部品)の場合、銅または銅
合金製のヒートスプレッダー(3)が使用される。ヒー
トスプレッダーとして銅を使用する場合は、高熱伝導率
を有する無酸素銅が一般に使用されている。このヒート
スプレッダー(3)は、一般にインターポーザーと呼ば
れるプリント配線基板(5)に接合されており、プリン
ト配線基板に使用される樹脂を加熱加圧により硬化させ
る際、積層されたヒートスプレッダー(3)とプリント
配線基板(5)も同時に加熱圧着される。半導体素子
(4)は、ヒートスプレッダー(3)と接合され、プリ
ント配線基板(5)とボンディングワイヤー(7)で配
線される。プリント配線基板(5)には、ソルダーボー
ル(6)が配置され、本半導体パッケージを実装する
際、回路基板との接続を担う。また、強度が高いヒート
スプレッダーが必要な場合は、例えばFe=2.1〜
2.6量%、Pb=0.03量%、Zn=0.05
〜0.20量%、P=0.015〜0.15量%、
Cu=97.0量%以上の成分を持つ銅合金(C19
400)が用いられている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】次に、本発明の銅と酸化銅からなる二相金
属組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層を有する低
熱膨張銅合金を製造する方法の第四を説明する。本発明
の製造方法の第四としては、銅と酸化銅からなる二相金
属組織を形成する方法として、上記の銅粉末と酸化銅粉
末の焼結による方法以外に、溶製法による手法がある。
具体的には、溶融した銅中に酸素を溶解後、冷却凝固さ
せることで酸化銅を晶出させ、銅と酸化銅の二相金属組
織が得られる。酸素を溶解させる方法としては、溶融銅
に酸化銅を添加して溶解させることにより、約3量%
までの酸素が容易に溶解可能である。この場合、溶融銅
に添加する酸化銅としてCuOまたはCuOおよびそ
の混合粉が用いられる。また、溶融銅中に酸素ガスを吹
きこむ手法でも、酸素を溶解させることが可能である
が、酸素量の制御が困難である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 (実施例1)水アトマイズ銅粉末(平均粒径20μm)
およびCuO粉末(平均粒径10μm)の粉末を準備
し、CuOの割合が10.2量%、14.8量%、
19.7量%になるようV型ブレンダーを用いて混合
した。CuOを混合した割合によって試料名をNo.
1、2、3とする。これらの混合粉を用いて、プレス成
形装置により成形圧力200MPaで厚さ3.0mm×
幅30mm×長さ40mmの圧粉体を成形した。成形し
た圧粉体は、窒素雰囲気中で1000℃×3時間の焼結
を行った。得られた焼結体サイズは、厚さ約2.5mm
×幅25mm×長さ35mmであった。焼結体の断面ミ
クロ組織を確認したところ、焼結体表面に厚さ約230
μmの還元層が形成されていた。この試料の断面のミク
ロ組織を観察したところ、銅と酸化銅からなる二相金属
組織を有した銅合金の表面に、銅単一の層が形成されて
いた。また、X線回折により結晶構造を分析し、酸化銅
はCuOであることを確認した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】(実施例2)水アトマイズ銅粉末(平均粒
径20μm)およびCuO粉末(平均粒径10μm)の
粉末を準備し、CuOの割合が10.2量%、14.
量%、19.7量%になるようV型ブレンダーを
用いて混合した。CuOを混合した割合によって試料名
をNo.4、5、6とする。これらの混合粉を、それぞ
れ厚さ48mm×幅250mm×長さ250mmの軟鋼
製容器に充填した。充填する際、厚さ3.0mm×幅2
50mm×長さ250mmの無酸素銅板を混合粉と容器
の間に挿入した。比較例として、試料No.4について
は無酸素銅板を挿入せず、混合粉のみを充填した試料を
作製した。この試料をNo.7とする。次に、充填した
容器を0.1Paよりも減圧としてから溶接により封止
した。封止した容器は、熱間静水圧プレス装置を用いて
温度950℃、圧力100MPa、保持1時間の条件で
処理し、混合粉の加圧焼結を行い、No.4、5、6は
加圧焼結を行うと同時に、混合粉と無酸素銅板の接合を
終えた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】(実施例3)溶解母材として無酸素銅ブロ
ックを用意し、アルミナ製坩堝内にセットし、高周波誘
導加熱炉を用いて溶解した。溶解後、溶湯温度を約13
00℃まで昇温し、CuOの割合が10.2量%とな
るようCuO粉末を溶湯中に追装した。CuO粉末が溶
けたことを確認してから鋳型内に出湯し、冷却凝固させ
てインゴットを作製した。インゴットサイズは80mm
×80mm×高さ180mmである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E067 AA07 BB02 EA05 4F100 AA17A AA17K AB17A AB17B AB31A BA02 EC01 EJ14 EJ48 GB41 JA02 JJ01 4K018 AA04 AB01 AC01 BA02 DA14 DA31 EA06 EA44 JA29 JA34 KA32

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅と酸化銅からなる二相金属組織を有し
    た銅合金の表面に、銅単一の層を有することを特徴とす
    る低熱膨張銅合金。
  2. 【請求項2】 酸化銅はCuOであることを特徴とす
    る請求項1に記載の低熱膨張銅合金。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の低熱膨張銅合
    金を放熱部材として用いたことを特徴とする半導体装
    置。
  4. 【請求項4】 銅粉末と酸化銅粉末からなる混合粉を用
    いて、還元性雰囲気中で焼結を行うことにより、内部は
    銅と酸化銅からなる二相金属組織を有した銅合金の表面
    側に、還元により銅単一の層を形成することを特徴とす
    る低熱膨張銅合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 銅粉末と酸化銅粉末からなる混合粉を用
    いて、加圧焼結を行なうと同時に、前記混合粉全体の外
    側に配置した銅製板もしくは銅製容器と混合粉焼結体を
    接合させることにより、銅と酸化銅からなる二相金属組
    織を有した銅合金表面に銅単一の層を形成することを特
    徴とする低熱膨張銅合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 銅粉末と酸化銅粉末からなる混合粉を用
    いて焼結を行い、銅と酸化銅からなる二相金属組織の銅
    合金を得た後、前記銅合金の表面側に配した銅製板もし
    くは銅製容器とを熱間加圧接合させることにより、前記
    銅合金表面に銅単一の層を形成することを特徴とする低
    熱膨張銅合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 溶融銅中に酸素を溶解して冷却凝固さ
    せ、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有する銅合金を
    得た後、還元性雰囲気中で加熱することにより、前記銅
    合金表面に還元された銅単一の層を形成することを特徴
    とする低熱膨張銅合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 溶融銅中に酸素を溶解して冷却凝固さ
    せ、銅と酸化銅からなる二相金属組織を有する銅合金を
    得た後、前記銅合金の表面側に配した銅製板もしくは銅
    製容器とを熱間加圧接合させることにより、前記銅合金
    表面に銅単一の層を形成することを特徴とする低熱膨張
    銅合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項4乃至8の何れかに記載の製造方
    法により得られた低熱膨張銅合金を、50℃以上300
    ℃未満の温度で目的の形状に塑性加工することを特徴と
    する低熱膨張銅合金の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012002417A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Mitsubishi Electric Corp ヒートパイプ
CN113365763A (zh) * 2019-03-11 2021-09-07 三菱综合材料株式会社 含金属铜-氧化铜的粉末、含金属铜-氧化铜的粉末的制造方法及溅射靶材、溅射靶材的制造方法

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