JP2001065568A - 流体軸受装置 - Google Patents

流体軸受装置

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JP2001065568A
JP2001065568A JP24642499A JP24642499A JP2001065568A JP 2001065568 A JP2001065568 A JP 2001065568A JP 24642499 A JP24642499 A JP 24642499A JP 24642499 A JP24642499 A JP 24642499A JP 2001065568 A JP2001065568 A JP 2001065568A
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bearing
gap
seal portion
radial
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JP24642499A
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Yukio Higuchi
幸雄 樋口
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】潤滑剤の漏れを容易に検出可能にすることを課
題としている。 【解決手段】注入する潤滑剤として、紫外線照射により
蛍光を発する潤滑剤を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク駆動
装置(HDD)、光ディスク駆動装置、レーザプリンタ
用ポリゴンスキャナ(LBP)、VTRなどの映像・情
報機器や精密機器などで用いられる流体軸受装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ラジアル軸受及びスラスト軸受を持った
動圧流体軸受装置としては、たとえば、特開平8−47
77号公報に記載されているものがある。この流体軸受
装置は、図8に示すように、軸受部材を構成するスリー
ブ3の挿通孔12に、上側から軸部材2が挿入されて構
成される。上記軸部材2の外径面と挿通孔12との間に
ラジアル軸受が形成され、また、軸受部材上端部に固定
されたスラスト板14の上下面と、挿通孔12の大径部
及びスラストカバー15下面とによってスラスト軸受が
形成されている。上記ラジアル軸受及びスラスト軸受の
軸受隙間には、潤滑剤が充填されている。
【0003】充填される潤滑剤は、一般に、潤滑油やグ
リース等の液体が使用される。上記軸受隙間への潤滑剤
の注入作業は、上記特開平8−4777号公報に記載さ
れているように、軸部材2の一部を、上記挿通孔12に
挿入した状態で、挿通孔12の上端部における軸部材2
の周りに潤滑剤を注入した後に、上記軸部材2を挿入し
ていくことで、挿通孔12の内径面と軸部材2の外径面
との間に潤滑剤が徐々に引き込まれてラジアル軸受の隙
間に潤滑剤が十分に行き渡る。さらに、軸部材2の挿入
がほぼ完了すると、挿通孔12の上部にある潤滑剤が、
スラスト軸受の隙間に行き渡って当該軸受隙間に潤滑剤
が充填される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、潤滑剤
はスラスト軸受の隙間に充填され、続いて一部の潤滑剤
は軸部材2の上端部と挿通孔12との隙間32に入り込
む。しかしながら、潤滑剤は薄い膜状になって広がり、
また、上記隙間32は狭いために、適量の潤滑剤が注入
されたかどうかの肉眼での確認が取り難い。
【0005】また、注入時に上記隙間32から潤滑剤が
漏れ出る場合も想定されるが、上述のように潤滑剤は薄
い膜状となっているために目視では潤滑剤の漏れを検出
しにくい。潤滑剤が隙間32から外部に漏れ出ている場
合には、流体軸受装置の使用時において、漏れ出ている
潤滑剤が飛散して周りの部品を汚染するおそれがある。
【0006】また、潤滑剤を着色しておくことも考えら
れるが、膜厚が薄く広がった状態になっているために、
色が薄くなっていて確認しにくい。さらに、軸受隙間へ
の潤滑剤の注入が完了した後や回転検査後に、上記隙間
32などから潤滑剤が漏れていても気がつきにくい。特
に、隙間32を下側にして放置している場合に潤滑剤漏
れが発生しやすい。潤滑剤の漏れの発見が遅れた場合に
は、その潤滑剤による周辺の部品や装置への汚染が上記
遅れた分だけ広がることとなるが、潤滑剤が透明である
場合には、その発見が遅れ、また、汚染状況の把握も手
間取ることとなる。
【0007】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、流体軸受装置からの潤滑剤の漏れを容
易に確認できるようにすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、軸受部材に設けた挿通孔と当該挿通孔に
挿入された軸部材との間に、ラジアル軸受及びスラスト
軸受の少なくとも一方を有する流体軸受装置において、
上記軸受の隙間に充填する潤滑剤として、紫外線照射に
より蛍光を発する潤滑剤を使用したことを特徴とする流
体軸受装置を提供するものである。
【0009】本発明は、蛍光の有無で潤滑剤漏れが判定
できるので分かり易い。つまり、紫外線照射により潤滑
剤の有無が鮮明な明暗で認識できる。したがって、潤滑
剤の膜厚が薄く広がっていても、確実に検出可能とな
る。このことは、潤滑剤の注入後にたとえ潤滑剤が漏れ
ても汚染検出対応が迅速にできる。なお、上記潤滑剤の
注入方法としては、上記挿通孔と軸部材との隙間におけ
る軸方向一端部側に注入口を設け且つ当該軸方向他端部
側に隙間を設けて、注入口から潤滑剤を注入して隙間の
位置まで潤滑剤を行き渡らせる方法が好ましく。上記隙
間に紫外線を照射し、蛍光の有無により隙間の位置まで
潤滑剤を行き渡ったことを検出する。
【0010】この場合、上述のように紫外線のもと蛍光
の明暗が鮮明であるために、受光装置などを使用するこ
とで注入終了の判別が簡易となり注入終了判定の自動化
も容易となる。なお、従来のように、潤滑剤に着色する
方法では色が薄くなっているため、検出が蛍光の発光の
検出に比べて困難である。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る
軸受装置をそなえた磁気ディスク駆動装置のスピンドル
モータを示す図である。本実施形態のスピンドルモータ
は、ベース1に固定されて軸心を上下に向けた軸部材2
が、軸受部材を構成するスリーブ3の挿通孔12に挿入
され、スリーブ3側が回転する構造となっている。
【0012】なお、図1中、符号4はスリーブ3と一体
的になっているハブであって、そのハブ4に固定された
モータのロータ5とベース1に固定されたモータのステ
ータ6とによって、上記スリーブ3は高速で回転駆動さ
れる。上記軸部材2の外径面2aとスリーブ3の内径面
3aとに、軸方向に並ぶ2つのラジアル軸受9が形成さ
れていると共に、軸部材2の先端面と挿通孔12の上端
部に形成された大径部に取り付けられたカバープレート
15下面との間に、スラスト軸受10が形成されてい
る。また、カバープレート15の周面と上記大径部との
一部には空気抜き用の隙間31が設けられている。
【0013】ラジアル軸受9は、上記軸部材2の外径面
に設けられたラジアル受面9aとスリーブ3内径面に設
けられたラジアル軸受面9bとが、所定の軸受隙間を開
けて対向すると共に、当該軸受隙間に潤滑剤が充填され
ている。また、上記ラジアル受面9a若しくはラジアル
軸受面9bのいずれかに動圧発生用の溝が刻設されてい
る。図1では、ラジアル軸受面9bに動圧発生用の溝1
1を設けた場合を例示している。なお、上記溝はへリン
グボーン溝、スパイラル溝、パーシャル溝などが例示で
きる。
【0014】また、スラスト軸受10について説明する
と、軸部材上端面がスラスト受面14aを構成し、カバ
ープレート15の下面がスラスト軸受面15aを構成
し、そのスラスト軸受面15a及びスラスト受面14a
との間に潤滑剤が充填されている。また、スラスト受面
14a及びスラスト軸受面15aの少なくとも一方の面
には動圧発生用の溝(不図示)が形成されている。上記
溝はへリングボーン溝、スパイラル溝、パーシャル溝な
どが例示できる。
【0015】上記充填される潤滑剤は、使用する潤滑剤
(潤滑油やグリース等)に予め蛍光染料を添加し、潤滑
剤が紫外線の照射によって蛍光を発するものを使用す
る。上記添加する蛍光染料としては、現在知られている
蛍光染料であればどれでも適用可能である。例えば、ア
ミン系酸化防止剤であるIRGANOXL06(青色の
蛍光)、ナフタルイミド染料のC.I.Acid Ye
llow7(緑の蛍光)、アントラキノン染料のC.
I. Basic Red1(黄色〜橙色の蛍光)を例
示できる。
【0016】上記構成の軸受装置を備えたスピンドルモ
ータでは、潤滑剤の注入時や、モータ使用時の回転によ
って上記隙間31から潤滑剤が漏れ出ても、紫外線を照
射することで、漏れ出ていることが容易に検出できる。
この結果、早期に潤滑剤の漏れが発見されて、潤滑剤の
汚染を早期に防止することができる。例えば、通常の蛍
光灯の代わりに、ブラックライトなどのように紫外線を
照射するような環境下で潤滑剤注入の作業を行ったり、
当該環境でスピンドルモータを使用すれば、潤滑剤の漏
れ出たところが蛍光を発して早期かつ容易に検出され
る。
【0017】なお、潤滑剤の注入方法は、特に限定され
ない。また、流体軸受装置にしても上記構成に限定され
るものではなく、潤滑剤が漏れ出る可能性のある隙間を
有する流体軸受装置であれば適用される。また、組立完
了後に、潤滑剤が漏れ出る可能性のある隙間が無い場合
であっても、潤滑剤注入時に潤滑剤が漏れ出る可能性が
あれば、本発明は適用できる。
【0018】次に、本発明の第2の実施形態について図
面を参照しつつ説明する。本実施形態も、図2に示すよ
うに、磁気ディスク駆動装置のスピンドルモータで例示
したものである。すなわち、このスピンドルモータで
は、ベース1に固定されて軸心を上下に向けた軸部材2
が、軸受部材を構成するスリーブ3の挿通孔12に挿入
されている。この例ではスリーブ3側が回転する構造と
なる。
【0019】図2中、符号4はスリーブ3と一体的にな
っているハブであって、そのハブ4に固定されたモータ
のロータ5とベース1に固定されたモータのステータ6
とによって、上記スリーブ3は高速で回転駆動される。
なお、この図2は、潤滑剤注入時の姿勢を図示したもの
で、このスピンドルモータでは、使用時には、例えば、
天地を反対にしてつまりベース1側を下にした状態や、
横置きの状態で使用される。また、軸部材2側が回転す
る構造のスピンドルモータもある。また、符号7は、上
記スピンドルモータを支持する取付け治具であって、観
察用の貫通孔8が開口している。その貫通孔8の側壁
は、吸引用管路21を介して吸引装置29に連通し、シ
ール部Sからの吸引を可能としている。
【0020】そして、上記軸部材2の外径面2aとスリ
ーブ3の内径面3aとに、軸方向に並ぶ2つのラジアル
軸受9が形成されていると共に、軸部材2の先端部と挿
通孔12の底部との間にスラスト軸受10が形成されて
いる。なお図2では、下側のラジアル軸受部分にのみ動
圧発生溝を図示している。ラジアル軸受9は、上記軸部
材2の外径面2aに設けられたラジアル受面9aとスリ
ーブ3内径面3aに設けられたラジアル軸受面9bと
が、所定の軸受隙間を開けて対向すると共に、当該軸受
隙間に潤滑剤が介装される。また、上記ラジアル受面9
a若しくはラジアル軸受面9bのいずれかに動圧発生用
の溝が刻設されている。図2では、ラジアル受面9aに
動圧発生用の溝11を設けた場合を例示している。な
お、上記溝はへリングボーン溝、スパイラル溝、パーシ
ャル溝などが例示できる。
【0021】また、スラスト軸受10の構成について説
明すると、上記挿通孔12の底部側内径面3aは大径と
なって大径部13を構成し、その大径部13の空間に対
し、軸部材2に圧入などで同軸に固定された中空円板状
のスラストプレート14が配置されると共に、挿通孔1
2の底面を構成するカバープレート15が、図2におい
てスラストプレート14の下面に対向する状態でスリー
ブ3に取り付けられて構成される。上記スラストプレー
ト14の上面及び下面はスラスト受面14aを構成し、
そのスラストプレート14の上面に所定軸受隙間をあけ
て対向するスリーブ3の内径面位置13a、及びスラス
トプレート14下面に所定軸受隙間をあけて対向するカ
バープレート15の面15aがそれぞれスラスト軸受面
を構成し、当該対向配置される各スラスト受面14aと
スラスト軸受面13a、15aとによって上側及び下側
のスラスト軸受10が形成されている。また、上記各ス
ラスト軸受10を構成するスラスト受面14a及びスラ
スト軸受面13a、15aにおける、少なくとも一方の
面には動圧発生用の溝(不図示)が形成されている。上
記溝はへリングボーン溝、スパイラル溝、パーシャル溝
などが例示できる。
【0022】また、上記軸部材2の先端2bは、カバー
プレート15中央部の孔部15bに挿入されていて、当
該軸部材2先端2bの外径面と孔部15b内径との間に
所定隙間を有するシール部Sが形成されている。次に、
上記構成の流体軸受への潤滑剤の注入法について説明す
る。本実施形態では、使用する潤滑剤に予め蛍光染料を
添加して、潤滑剤が紫外線の照射によって蛍光を発する
ようにしておく。
【0023】蛍光染料は、現在知られている蛍光染料で
あればどれでも適用可能である。例えば、アミン系酸化
防止剤であるIRGANOXL06(青色の蛍光)、ナ
フタルイミド染料のC.I.Acid Yellow7
(緑の蛍光)、アントラキノン染料のC.I. Bas
ic Red1(黄色〜橙色の蛍光)を例示できる。な
お、図2における軸部材2の上部側には、軸部材2の外
径面2aとスリーブ3との間の空間(隙間)に連通する
連通路16が形成され、その連通路16の上端開口部が
注入口17となっている場合を例に説明する。
【0024】注射器やオイルディスペンサなどの既存の
潤滑剤供給装置(不図示)によって、上記注入口17か
ら潤滑剤が所定量だけ軸部材2外径面2aとスリーブ3
との間の空間に注入する。この注入に合わせて、シール
部Sの隙間から吸引を行い、その吸引圧力で注入した潤
滑剤をシール部Sまで引いて、各軸受隙間に潤滑剤を充
填し、当該シール部Sの位置まで潤滑剤を行き渡らせ
る。
【0025】ここに、潤滑剤は、ラジアル軸受9及びス
ラスト軸受10の軸受隙間の全てに行き渡る必要があ
り、全ての軸受け隙間に潤滑剤が行き渡ったかどうかの
判定は、例えば次のようにして行う。 (1) 上記シール部Sの位置まで吸引された潤滑剤が現れ
たときに、全ての軸受隙間に潤滑剤が充填された状態と
なるので、シール部Sを肉眼で観察して、当該シール部
Sに潤滑剤が確認できた時点で吸引を停止することで潤
滑剤の注入作業を停止する。
【0026】なお、シール部Sにおける符号Aの位置
(図2の姿勢での上側位置)に潤滑剤が見えることを確
認するものであり、符号Bの位置(図2の姿勢での下側
位置)まで潤滑剤が移動していると、潤滑剤漏れの原因
となる。または、(2) 潤滑剤とワークの温度及び吸引圧
力をパラメータとして、吸引時間と潤滑剤の行き渡り状
態との関係を予め実験で求めておき、その求めた値に基
づき、吸引時間の時間管理を行うことで、潤滑剤の注入
量の適正化を図る。なお、潤滑剤は温度を上げると粘度
が小さくなって流動性が向上し、また、ワークの温度を
上げると熱膨張係数の差で潤滑剤が流れる隙間が広がっ
て潤滑剤が隙間内を流れやすくなる。
【0027】上記上記(1) 注入方法を採用した場合に、
潤滑剤は、薄い膜状になって広がり、また、シール部S
の隙間が狭いために、本発明のように蛍光剤が添加され
ていない場合には肉眼での確認が取り難い。このため、
吸引完了のタイミングがずれて潤滑剤がシール部Sから
外部に漏れてしまい、治具7の貫通孔8内に漏れた潤滑
剤が飛散したり、スピンドルモータ使用時に周りの部品
に潤滑剤が飛散して汚染するおそれがある。また、漏れ
ない場合でも注入した潤滑剤の量にばらつきが生じる場
合もある。
【0028】これに対して、本実施形態では、紫外線に
よって蛍光を発するので、ブラックライトなどを使用し
て紫外線をシール部に照射することで、シール部Sに現
れた潤滑剤を容易に検出できるようになる。ここで、シ
ール部Sに現れる潤滑剤の状態について説明すると、初
め図3(a)に示すように、平面視リング状のシール部
Sの一部に潤滑剤30が現れ、徐々にシール部Sの全域
に渡って存在する(図3(b)の状態)。このため、例
えば、全域にシール部Sが現れた潤滑剤が所定量だけ現
れたときに、吸引停止つまり潤滑剤注入の停止タイミン
グと判断すればよい。
【0029】上記のように、本実施形態では、蛍光の発
光有無つまり鮮明な明暗によって潤滑剤の有無を確認し
ているので、潤滑剤が薄膜状に広がっていて且つシール
部Sの上部のように狭い部分であっても、鮮明且つ確実
に検出できる。したがって、シール部Sからの潤滑剤漏
れを確実に防止でき且つ、流体軸受装置内に注入する潤
滑剤の量のばらつきを抑えることもできる結果、潤滑剤
注入時の貫通孔8等の汚染や潤滑剤注入後の潤滑剤漏れ
も低減可能となる。
【0030】また、潤滑剤の注入中や注入後の軸受内か
ら潤滑剤が漏れても、紫外線照射を行うことで、漏れた
潤滑剤による汚染状況の確認が容易となる。また、シー
ル部Sつまり、カバープレート15の孔部15bの内径
面及びその孔部15bに対向する軸受先端部外径面2a
の少なくとも一方に撥油剤を塗布しておくことが好まし
い。
【0031】軸部材2と挿通孔12の位置は、組立時に
は軸受隙間分だけ一方による可能性がある。一方に寄っ
ている場合には、潤滑剤は、隙間が大きい側に流れやす
くなり、図3(b)のようにシール部Sの上部で全周且
つ均一に潤滑剤が行き渡る前に、一部の位置からシール
部Sの下方に潤滑剤が漏れやすくなる。これに対して撥
油剤が塗布してあると、そのシール効果によって、上述
のように一方に偏りがあってもシール部S全周に潤滑剤
が行き渡る前にシール部Sからの潤滑剤の漏れが防止で
きる。なお、潤滑剤の流れ易さの不均一原因は、上記偏
心ばかりでなく、軸部材2に対するスラストプレート1
4のわずかな直角度のずれや動圧発生用の溝の加工公差
のばらつきなどによっても発生する。
【0032】なお、吸引の停止が遅れた場合には、図4
に示すように、シール部Sの下部まで潤滑剤30が下降
しさらに潤滑剤30の一部が外部に漏れて付着した状態
となる。この状態でスリーブ3を回転させると図5のよ
うに潤滑剤30が径方向外方に飛び去り、さらに潤滑剤
30による汚染が広がる。ここで、上記実施形態では、
吸引を行う場合を例示しているが、潤滑剤の自重や毛細
管現象だけで、潤滑剤を下方に流動させるようにしても
良い。但し、吸引を行った方が、注入作業時間が短く且
つ確実に軸受隙間に潤滑剤を注入可能となる。
【0033】次に、本発明の第3実施形態について図面
を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態の部品等と
同様な部品等については同一の符号を付して説明する。
なお、本実施形態でも、上記実施形態と同じスピンドル
モータ構造の流体軸受に潤滑剤を注入する場合を例に挙
げて説明する。本実施形態でも、使用する潤滑剤に予め
蛍光染料を添加して、潤滑剤が紫外線の照射によって蛍
光を発するようにしておく。
【0034】蛍光染料は、現在知られている蛍光染料で
あればどれでも適用可能である。例えば、アミン系酸化
防止剤であるIRGANOXL06(青色の蛍光)、ナ
フタルイミド染料のC.I.Acid Yellow7
(緑の蛍光)、アントラキノン染料のC.I. Bas
ic Red1(黄色〜橙色の蛍光)を例示できる。図
6は、本実施形態に係る注入法に使用する装置の構成を
示す図であり、符号20は、ワークとしての流体軸受を
備えたスピンドルモータを示し、第2実施形態と同様
に、取付け用治具7に取り付けられている。その治具7
に設けられた観測用の貫通穴8の側壁に吸引用管路21
が連通し、その吸引用管路21は真空ポンプなどからな
る吸引装置29に接続している。
【0035】また、上記貫通穴8の下方には、シール部
S(隙間)に向けて紫外線を照射する紫外線照射器22
が設定されている。紫外線照射器22としては、蛍光ラ
ンプが例示できる。なお、蛍光色が青色であれば、波長
300〜400nmの光が、ピンクであれば波長370nm
程度の光が好ましい。この紫外線照射器22の発光部
は、リング状となっていて、その中央部の空間を通じて
下方からシール部Sが観察可能となっている。
【0036】また、上記紫外線照射器22の下方には、
蛍光検出手段が配置されている。本実施形態の蛍光検出
手段は、受光素子23a(CCD)を有するCCDビデ
オカメラ23から構成され、その受光部24には、集光
用のレンズ24a及びノイズカット用の赤外線カットフ
ィルタ24bが装着されている。また、受光部24及び
紫外線照射器22の周りは、遮光部材25で覆われてい
る。上記ビデオカメラ23は画像処理装置26に接続
し、受光した画像信号を当該画像処理装置26に供給可
能となっている。画像処理装置26は、入力した画像信
号に基づきシール部Sにおける潤滑剤の状態を判断す
る。
【0037】例えば、画像処理装置26では、ウインド
ウ処理でシール部S位置の画像信号に画像処理部分を限
定した後に、シール部Sの画像について2値化処理を行
う。2値化処理を行うことで、最初、黒色(蛍光を発し
ていない状態)の状態であったものが、潤滑剤が現れる
と、蛍光を発する部分つまり潤滑剤の有る部分だけが白
色に変わるため潤滑剤の行き渡りが認識される。その白
色に変わったシール部Sの割合つまり面積率から潤滑剤
の行き渡り状態が判定可能となる。
【0038】上記画像処理装置26は、ディスプレイ等
の表示装置に上記画像を供給可能となっていると共に、
上記シール部Sにおける潤滑剤を検出する面積率が目標
量となった時点で吸引装置29に停止信号を供給する。
上記構成の装置を使用した潤滑剤の注入について次に説
明する。既存の潤滑剤注入装置28によって、注入口1
7から上記蛍光を発生する潤滑剤を所定量だけ注入す
る。また注入と共に吸引装置29を作動させ、その吸引
圧力によって注入した潤滑剤をシール部Sに向けて引
く。
【0039】注入口17から注入された潤滑剤は、連通
路16を通じて、軸部材2の外径面2aと挿通孔12内
径面3aとの間の隙間に流れ込み、そのまま自重や毛細
管現象によって下方に流動する。軸受隙間においては、
動圧発生用の隙間を通って下方に行き渡る。本実施形態
では、上述のように動圧発生溝を持った流体軸受であっ
ても、上記吸引圧力によって下方に強制吸引しているの
で、短時間で且つ確実に動圧発生溝の隙間を通って潤滑
剤を下方に行き渡らせることができる。
【0040】このとき、潤滑剤が通過した位置には潤滑
剤の薄膜が形成されると共に、不図示の潤滑剤溜まりに
潤滑剤が充填される。そして、注入口17とは軸方向反
対面に位置するシール部Sまで潤滑剤が移動していれ
ば、その間の全軸受隙間に潤滑剤が充填されたこととな
る。上記のように潤滑剤の注入に併せて、紫外線照射器
22を作動してシール部Sに紫外線を連続照射すると共
に、画像入力装置であるビデオカメラ23が入力したシ
ール部Sの画像信号を画像処理装置26で処理する。
【0041】画像処理装置26では、図7に示すよう
に、画像を入力し(ステップ1)、シール部Sの画像に
ついて2値化処理を行い(ステップ2)、白色となって
いる部分の面積率、つまり潤滑剤の見えている面積率を
求めて(ステップ3)、当該面積率から潤滑剤が十分に
行き渡ったかどうか判定する(ステップ4)。目標とす
る面積率になっていなければ上記ステップ1に戻り画像
の再入力を行う。また、面積率が目標面積率以上となり
潤滑剤が十分に行き渡ったと判定した場合には、吸引装
置29に停止信号を供給する(ステップ5)。
【0042】停止信号が供給された吸引装置29は作動
を停止し、潤滑剤の注入作業をやめる。なお、画像処理
装置26は、2値化した画像を表示手段27にも供給し
ているので、作業員が、その画像をみて、手動で吸引装
置29の停止を行うこともできる。ここで、上述の図3
のように、シール部Sに現れる潤滑剤が所定の面積率と
なったと判定したら吸引停止つまり潤滑剤注入の停止タ
イミングと判断すればよい。もっとも、遅れ時間を考慮
して上記面積率よりも若干小さな値に設定しておいても
良い。
【0043】上記のように、本実施形態では、蛍光の発
光有無つまり鮮明な明暗によって潤滑剤の有無を確認し
ているので、潤滑剤が薄膜状に広がっていて且つシール
部Sの上部のように狭い部分であっても、鮮明且つ確実
に検出できる。したがって、シール部Sからの潤滑剤漏
れを確実に防止でき且つ、流体軸受内に注入する潤滑剤
の量のばらつきを抑えることもできる結果、潤滑剤注入
時の貫通孔8等の汚染や潤滑剤注入後の潤滑剤漏れも低
減可能となる。
【0044】また、本実施形態では、注入の完了判定及
び注入作業が自動化されているので、製品製造の流れ作
業の一環として潤滑剤の注入作業ができるので、流体軸
受を組み込んだ装置の製造の量産性向上にもなる。ま
た、潤滑剤の注入中や注入後に軸受内から潤滑剤が漏れ
ても、紫外線照射を行うことで、容易に漏れた潤滑剤に
よる汚染及びその状況の確認を行うことができる。
【0045】また、シール部Sつまり、カバープレート
15の孔部15bの内径面及びその孔部15bに対向す
る軸受先端部の外径面2aの少なくとも一方に撥油剤を
塗布しておくことが好ましい。効果は、上記第2実施形
態と同様である。なお、本実施例はいずれもラジアル軸
受とスラスト軸受の両方を有する流体軸受装置を例に挙
げているが、少なくとも一方の軸受を有する流体軸受装
置であれば本発明は適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の流体
軸受装置を採用すると、簡易且つ確実に潤滑剤の漏れを
検出できるので、早期に潤滑剤による汚染を防止できる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1実施形態に係る流体軸受装
置を説明するための断面図である。
【図2】本発明に基づく第2実施形態に係る流体軸受装
置、及び潤滑剤注入方法を示す図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係るシール部での潤
滑剤の現れを示す平面図であり、(a)は現れ始めた状
態を、(b)はシール部全域に潤滑剤が現れた状態を示
している。
【図4】シール部から潤滑剤が漏れた状態を示す平面図
である。
【図5】シール部から漏れた潤滑剤による汚染拡大を示
す図である。
【図6】本発明に基づく第3実施形態に係る流体軸受装
置、及び潤滑剤注入で使用される潤滑剤検出装置を示す
構成図である。
【図7】第3実施形態における画像処理装置の処理フロ
ーを示す図である。
【図8】従来の軸受装置を示す図である。
【符号の説明】
2 軸部材 2a 外径面 3 スリーブ(軸受部材) 3a 内径面 7 治具 8 観察用の貫通孔 9 ラジアル軸受 9a ラジアル受面 9b ラジアル軸受面 10 スラスト軸受 13 大径部 13a スラスト軸受面 14 スラストプレート 14a スラスト受面 15 カバープレート 15a スラスト軸受面 17 注入口 20 スピンドルモータ 22 紫外線照射器 23 CCDビデオカメラ 26 画像処理装置 29 吸引装置 30 潤滑剤 S シール部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受部材に設けた挿通孔と当該挿通孔に
    挿入された軸部材との間に、ラジアル軸受及びスラスト
    軸受の少なくとも一方を有する流体軸受装置において、 上記軸受の隙間に充填する潤滑剤として、紫外線照射に
    より蛍光を発する潤滑剤を使用したことを特徴とする流
    体軸受装置。
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