JP2001063776A - 恒温ボックス及びこれを用いた物品保存方法 - Google Patents

恒温ボックス及びこれを用いた物品保存方法

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JP2001063776A
JP2001063776A JP24328099A JP24328099A JP2001063776A JP 2001063776 A JP2001063776 A JP 2001063776A JP 24328099 A JP24328099 A JP 24328099A JP 24328099 A JP24328099 A JP 24328099A JP 2001063776 A JP2001063776 A JP 2001063776A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部をほぼ常温での保存に適した温度に保つ
ことができ、しかも構造が簡単で安価な恒温ボックス及
びこれを用いた物品保存方法を提供する。 【解決手段】 蓄熱剤3bに融点が17.4℃の物質を
用い、蓄熱剤3bを凍結または解凍した各蓄熱器3を任
意の物品Aと共に箱体1内に収納することにより、各蓄
熱器3の蓄熱剤3bによって箱体1内が蓄熱剤の融点に
近い温度(ほぼ常温)に維持され、ある種の医薬品や生
体の一部のように、低温や高温ではなくほぼ常温で保存
しなければならない物品を輸送する場合に有利であり、
しかも単一の物質からなる蓄熱剤3bによって箱体1内
を目的の温度に保つことができるので、構造が簡単で安
価に構成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば医薬品や生
体の一部等、低温及び高温での輸送に適さない物品の輸
送に用いる恒温ボックス及びこれを用いた物品保存方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ある種の医薬品や生体の一部のよ
うに、低温や高温ではなくほぼ常温で保存しなければな
らない物品を輸送する場合、外部温度の影響を受けない
ように断熱性の箱等に収容するのが一般的であった。し
かしながら、例えば航空機の荷物室のようにマイナスの
温度になるような輸送状態では、断熱箱に収納しても内
部の物品が低温になり得るし、車両による地上輸送では
気温の高い場合に荷物室が高温になり、内部の物品の温
度が上昇する恐れがある。
【0003】そこで、外部の温度に拘わらず内部の温度
をほぼ所定の温度に保つようにしたものとして、例えば
特開平9−68376号公報に記載された恒温ボックス
が知られている。この恒温ボックスでは、断熱性の箱体
内に互いに蓄熱温度の異なる複数種類の蓄熱剤を収容す
るとともに、外部の温度が高いときは蓄熱温度の低い方
の蓄熱剤を蓄熱温度の高い方の蓄熱剤よりも外側に配置
し、外部の温度が低いときは蓄熱温度の高い方の蓄熱剤
を蓄熱温度の低い方の蓄熱剤よりも外側に配置すること
により、外部の温度条件に応じて内部の温度を所定範囲
内に維持するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記恒
温ボックスでは、複数種類の蓄熱剤を必要とするため、
蓄熱剤の使用量及びコストが増大するとともに、構造の
複雑化及び大型化を来すという問題点があった。また、
外部の温度条件に応じて各蓄熱剤の位置を変更しなけれ
ばならないため、各蓄熱剤の入れ替え作業が面倒である
とともに、各蓄熱剤の配置を誤る恐れもあった。
【0005】本発明は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、内部をほぼ常温での
保存に適した温度に保つことができ、しかも構造が簡単
で安価な恒温ボックス及びこれを用いた物品保存方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、請求項1では、物品出し入れ用の開口部を
有する断熱性の箱体と、箱体の開口部を開閉する断熱性
の開閉部材と、箱体内に配置される蓄熱剤とを備えた恒
温ボックスにおいて、前記蓄熱剤に融点がほぼ10℃乃
至25℃の物質を用いている。これにより、凍結または
解凍した蓄熱剤を任意の物品と共に箱体内に収納するこ
とにより、蓄熱剤によって箱体内が蓄熱剤の融点に近い
温度(ほぼ常温)に維持される。
【0007】また、請求項2では、請求項1記載の恒温
ボックスにおいて、前記蓄熱剤を収容した少なくとも一
つの蓄熱器と、蓄熱器を着脱自在に支持する支持部材と
を備えている。これにより、請求項1の作用に加え、蓄
熱器が支持部材に着脱自在に支持されていることから、
蓄熱器を容易に取外すことができる。
【0008】また、請求項3では、請求項1または2記
載の恒温ボックスにおいて、前記支持部材を、蓄熱器を
支持する蓄熱器支持部と、箱体内の物品を支持する物品
支持部とから形成し、物品支持部を箱体の開口部側に配
置している。これにより、請求項1または2記載の作用
に加え、箱体内の物品及び蓄熱器が支持部材によって支
持されることから、輸送中の振動や衝撃が加わった場合
でも箱体内で姿勢が乱れることがない。この場合、物品
支持部が箱体の開口部側に配置されていることから、物
品の収納及び取出しが容易である。
【0009】また、請求項4では、物品出し入れ用の開
口部を有する断熱性の箱体と、箱体の開口部を開閉する
断熱性の開閉部材と、融点がほぼ10℃乃至25℃の蓄
熱剤とを備えた恒温ボックスに任意の物品を収納して保
存する物品保存方法であって、外部の温度が前記蓄熱剤
の融点よりも高いときは予め凍結させた蓄熱剤を保存す
べき物品と共に前記恒温ボックスに収納し、外部の温度
が蓄熱剤の融点よりも低いときは予め解凍させた蓄熱剤
を保存すべき物品と共に恒温ボックスに収納するように
している。これにより、外部の温度が蓄熱剤の融点より
も高いときは、蓄熱剤が解凍するまで蓄熱剤の融点に近
い温度(ほぼ常温)が維持され、外部の温度が蓄熱剤の
融点よりも低いときは、蓄熱剤が凍結するまで蓄熱剤の
融点に近い温度が維持される。
【0010】
【発明の実施の形態】図1乃至図6は本発明の一実施形
態を示すもので、図1は恒温ボックスの全体斜視図、図
2はその正面断面図、図3は蓄熱器の側面断面図、図4
は蓄熱器及び支持部材の斜視図、図5及び図6は蓄熱剤
及び収納物品の温度変化を示すグラフである。
【0011】この恒温ボックスは、上面に開口部を有す
る断熱性の箱体1と、箱体1の上面開口部を開閉する断
熱性の蓋2と、箱体1内に配置される複数の蓄熱器3
と、箱体1内の物品及び各蓄熱器3を支持する支持部材
4とから構成されている。
【0012】箱体1は持ち運び用の把持部1aを有し、
把持部1aは両端を箱体1の側面に回動自在に連結され
ている。
【0013】蓋2は後端側を箱体1に回動自在に連結さ
れ、その前端側には箱体1側に着脱自在に結合する結合
部2aが設けられている。
【0014】各蓄熱器3は、合成樹脂からなる容器3a
と、容器3a内に収容された蓄熱剤3bとからなる。容
器3aの一端には蓄熱剤3bを流入または流出する開口
部3cが設けられ、開口部3cには着脱自在な栓3dが
取付られている。また、蓄熱剤3bには、例えば融点が
17.4℃のパラフィンワックスが用いられる。
【0015】支持部材4は多数のワイヤ4aを接合して
なり、箱体1内に出し入れ自在に収容されている。支持
部材4の上部には物品支持部4bが設けられ、物品支持
部4bには箱体1内に収納された物品Aが載置されるよ
うになっている。また、支持部材4の下部には各蓄熱器
3を着脱自在に支持する蓄熱器支持部4cが設けられ、
蓄熱器支持部4cは各蓄熱器3を互いに幅方向に配置す
るとともに、各蓄熱器3を前後方向に抜き差し可能に形
成されている。
【0016】以上のように構成された恒温ボックスにお
いては、凍結または解凍した各蓄熱器3を任意の物品A
と共に箱体1内に収納することにより、各蓄熱器3の蓄
熱剤3bによって箱体1内が蓄熱剤の融点に近い温度
(ほぼ常温)に維持される。
【0017】このように、本実施形態の恒温ボックスに
よれば、蓄熱剤3bに融点が17.4℃の物質を用いた
ので、ある種の医薬品や生体の一部のように、低温や高
温ではなくほぼ常温で保存しなければならない物品を輸
送する場合に有利であり、しかも単一の物質からなる蓄
熱剤3bによって箱体1内を目的の温度に保つことがで
きるので、構造が簡単で安価に構成することができる。
【0018】また、箱体1内の物品A及び各蓄熱器3は
支持部材4によって支持されることから、輸送中の振動
や衝撃が加わった場合でも箱体1内で姿勢が乱れること
がなく、物品Aの損傷等を確実に防止することができ
る。この場合、支持部材4の物品支持部4bは支持部材
4の上部、即ち箱体1の開口部側に配置されているの
で、物品Aの収納及び取出しを容易に行うことができ、
取扱性の向上を図ることができる。また、各蓄熱器3は
支持部材4に着脱自在に支持されているので、各蓄熱器
3を箱体1から容易に取出すことができ、各蓄熱器3の
蓄熱剤3bを外部で凍結または解凍する場合に有利であ
る。
【0019】前記恒温ボックスを用いて物品を保存する
場合、外部の温度が蓄熱剤3bの融点よりも高いとき
は、蓄熱剤3bを予め凍結させて恒温ボックスに収納す
ることにより、蓄熱剤3bが解凍するまで所定の温度が
維持される。例えば一つに350gの蓄熱剤3bを収容
した計10個の蓄熱器3を用いた場合、図5に示すよう
に物品の温度が約20時間に亘って17℃前後に維持さ
れることが実験によって確認された。また、外部の温度
が蓄熱剤3bの融点よりも低いときは、蓄熱剤3bを予
め解凍して恒温ボックスに収納することにより、蓄熱剤
3bが凍結するまで所定の温度が維持される。例えば前
述と同様の蓄熱器3を用いた場合、図6に示すように物
品の温度が約20時間に亘って12℃前後に維持される
ことが実験によって確認された。
【0020】即ち、前記物品保存方法によれば、外部の
温度が高い場合または低い場合の何れにおいても箱体1
内をほぼ常温に維持することができるので、例えば低温
や高温ではなくほぼ常温で保存しなければならない物品
を輸送する場合、常に適正な温度で輸送することができ
る。
【0021】尚、前記実施形態では蓄熱剤3bに融点が
17.4℃のパラフィンワックスを用いた例を示した
が、融点がほぼ10℃乃至25℃であれば、他の同等の
物質を用いることも可能である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の恒温ボ
ックスによれば、ある種の医薬品や生体の一部のように
低温や高温ではなくほぼ常温で保存しなければならない
物品を収納する場合に有利であり、しかも単一の物質か
らなる蓄熱剤によって目的の温度に保つことができるの
で、構造が簡単で安価に構成することができる。
【0023】また、請求項2の恒温ボックスによれば、
請求項1の効果に加え、蓄熱器を箱体から容易に取出す
ことができ、蓄熱器の蓄熱剤を外部で凍結または解凍す
る場合に有利である。
【0024】また、請求項3の恒温ボックスによれば、
請求項1または2の効果に加え、輸送中の振動や衝撃が
加わった場合でも、物品及び蓄熱器の姿勢が乱れること
がないので、物品の損傷等を確実に防止することができ
る。また、物品の収納及び取出しを容易に行うことがで
きるので、取扱性の向上を図ることができる。
【0025】また、請求項4の物品保存方法によれば、
外部の温度が高い場合または低い場合の何れにおいても
恒温ボックス内をほぼ常温に維持することができるの
で、例えば低温や高温ではなくほぼ常温で保存しなけれ
ばならない物品を恒温ボックスに収納して輸送する場
合、常に適正な温度で輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す恒温ボックスの全体
斜視図
【図2】恒温ボックスの正面断面図
【図3】蓄熱器の側面断面図
【図4】蓄熱器及び支持部材の斜視図
【図5】外部の温度が蓄熱剤の融点よりも高い場合の蓄
熱剤及び収納物品の温度変化を示すグラフ
【図6】外部の温度が蓄熱剤の融点よりも低い場合の蓄
熱剤及び収納物品の温度変化を示すグラフ
【符号の説明】
1…箱体、2…蓋、3…蓄熱器、3a…容器、3b…蓄
熱剤、4…支持部材、4b…物品支持部、4c…蓄熱器
支持部、A…物品。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物品出し入れ用の開口部を有する断熱性
    の箱体と、箱体の開口部を開閉する断熱性の開閉部材
    と、箱体内に配置される蓄熱剤とを備えた恒温ボックス
    において、 前記蓄熱剤に融点がほぼ10℃乃至25℃の物質を用い
    たことを特徴とする恒温ボックス。
  2. 【請求項2】 前記蓄熱剤を収容した少なくとも一つの
    蓄熱器と、 蓄熱器を着脱自在に支持する支持部材とを備えたことを
    特徴とする請求項1記載の恒温ボックス。
  3. 【請求項3】 前記支持部材を、蓄熱器を支持する蓄熱
    器支持部と、箱体内の物品を支持する物品支持部とから
    形成し、 物品支持部を箱体の開口部側に配置したことを特徴とす
    る請求項1または2記載の恒温ボックス。
  4. 【請求項4】 物品出し入れ用の開口部を有する断熱性
    の箱体と、箱体の開口部を開閉する断熱性の開閉部材
    と、融点がほぼ10℃乃至25℃の蓄熱剤とを備えた恒
    温ボックスに任意の物品を収納して保存する物品保存方
    法であって、 外部の温度が前記蓄熱剤の融点よりも高いときは予め凍
    結させた蓄熱剤を保存すべき物品と共に前記恒温ボック
    スに収納し、 外部の温度が蓄熱剤の融点よりも低いときは予め解凍さ
    せた蓄熱剤を保存すべき物品と共に恒温ボックスに収納
    することを特徴とする物品輸送方法。
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