JP2001063062A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より簡単な構成により、カラーまたはブラッ
クを含む有色インクと、記録性を向上させるための処理
インクとを被記録媒体上に高精度に着弾させて、それら
のインクの組み合わせにより、耐水性等の記録性を向上
させた高品位高解像度の画像を表現することができるイ
ンクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
を提供すること。 【解決手段】 処理インク吐出用ノズル列３と、ブラッ
クインク吐出用ノズル列４とを並列に設け、処理インク
吐出用ノズル列３の端部に、それと同一列上に位置する
有色インク吐出用のノズル３Ａを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ブラックまたはカ
ラーインクを含む有色インクと、記録性を向上させて高
品位耐水化などを促進させるための処理インクとを吐出
して、画像を記録するインクジェット記録ヘッドおよび
インクジェット記録装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】インクを吐出可能なインクジェット記録
ヘッドを用いたインクジェット記録装置は、ノンインパ
クト記録法であるために記録時における静粛性に優れ、
また、高速記録が可能であり、複数色のインクを使用し
て普通紙に高品位のカラー画像を記録することができ
る。このようなインクジェット記録装置の中でも、熱エ
ネルギーを利用してインクを吐出する記録装置は、コン
パクト化、マルチオリフィス化、高密度ノズル化等が達
成できる。

【０００３】このように熱エネルギーを利用したインク
ジェット記録装置は、多くの利点を有する。さらに、高
品位耐水性のある画像や高速度に画像を記録しようとす
る場合には、複数の記録ヘッドまたは複数ノズル列によ
って、高品位耐水化処理等のための記録性向上処理液
（以下、「処理インク」という）や各種カラーインクを
吐出させて、色調を含む画像情報に基づいて画像を記録
することが望ましい。

【０００４】従来、インクジェット記録装置における文
書文字、ＤＴＰ、カラー高品位画像の表現方法として
は、画像信号の情報に応じて、複数の記録ヘッドにおけ
るノズルの各々から複数種の異なるカラーまたはブラッ
クインクと、高品位耐水化等を促進するための透明な処
理インクとを吐出し、それらのインク滴によって、重複
または接するようにドットを形成して、高品位耐水性画
像及び色調を表現する方法がある。この場合、複数の記
録ヘッドにおけるノズルの各々から吐出される複数種の
異なるカラーまたはブラックインクに関しては、それら
の被記録媒体上における着弾ドットを正確に重複させる
ために、それらのブラックインクとカラーインクの被記
録媒体上における着弾位置を目視により確認しながら、
それらの着弾位置をレジ調整する方法が採られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術において、カラーまたはブラックのイン
クと、透明な処理インクとを被記録媒体上にて組み合わ
せて、耐水性のある高品位高解像度の画像を表現しよう
とした場合には、処理インクが透明であるが故に、その
透明な処理インクと、ブラックまたはカラーの有色イン
クとに関するレジ合わせは、ブラックとカラーインクと
の場合のようなレジ調整、つまり目視によりインクの着
弾位置を確認してレジ調整をすることは不可能であっ
た。

【０００６】本発明の目的は、より簡単な構成により、
カラーまたはブラックを含む有色インクと、記録性を向
上させるための処理インクとを被記録媒体上に高精度に
着弾させて、それらのインクの組み合わせにより、耐水
性等の記録性を向上させた高品位高解像度の画像を表現
することができるインクジェット記録ヘッドおよびイン
クジェット記録装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録ヘッドは、有色インクを吐出可能な有色インク用吐
出口と、記録性を向上させるための処理インクを吐出可
能な処理インク用吐出口とが設けられたインクジェット
記録ヘッドにおいて、前記有色インク用吐出口と前記処
理インク用吐出口との間の位置関係と同一の位置関係を
もって、前記有色インク用吐出口に対して、有色インク
を吐出可能な特定吐出口を設けたことを特徴とする。

【０００８】本発明のインクジェット記録装置は、上記
のインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記
録ヘッドと被記録媒体とを相対移動可能な移動手段とを
備えたことを特徴とする。

【０００９】本発明では、有色インク用吐出口と処理イ
ンク用吐出口との間の位置関係と同一の位置関係をもっ
て、その有色インク用吐出口に対して、有色インクを吐
出可能な特定吐出口を設けたことにより、処理インクの
代りに特定吐出口から有色インクを吐出することによ
り、間接的に、処理インク用吐出口から吐出される処理
インクの着弾位置と、有色インク用吐出口から吐出させ
る有色インクの着弾位置との関係を確認して、それらの
着弾位置の補正データの取得を可能とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。

【００１１】図３は、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドが組み込まれたシリアルスキャンタイプのインクジェ
ット記録装置の要部の斜視図、図４は、そのインクジェ
ット記録ヘッドの下方からの斜視図、図５は、そのイン
クジェット記録ヘッドのノズル部分の断面図である。

【００１２】これらの図において、１，２は、それぞれ
インクジェットヘッド部とインクタンク部とから成るイ
ンクジェット記録ヘッドである。記録ヘッド１，２は、
図３中の矢印Ｓ１，Ｓ２方向に往復移動されるキャリッ
ジＣ上に搭載される。記録ヘッド１は、ブラックインク
を吐出するためのノズル列４と、高画質耐水化を促進す
る透明な処理液（以下、「処理インク」と称す）を吐出
するためのノズル列３を有する。処理インクとしては、
例えば、インクを不溶化または凝集させることによっ
て、記録性を向上させる処理液を含む。記録ヘッド２
は、濃イエロー、濃シアン、濃マゼンタのカラーインク
を吐出するためのノズル列６と、淡イエロー、淡シア
ン、淡マゼンタのカラーインクを吐出するためのノズル
列５を有する。９はキャップであり、記録ヘッド１，２
と当接することによって、記録ヘッド１，２の吸引回復
処理や乾燥防止等のためのキャッピングに用いられる。

【００１３】それぞれのノズル列３，４，５，６におけ
る複数のノズルには、図５のように、吐出口１４に連通
するインク流路１３によって形成されている。それぞれ
のインク流路１３には、ノズル内のインクに熱エネルギ
ーを付与するための電気熱変換素子（以下、「ヒータ
ー」と称す）１１が設けられている。１０は電気配線部
であり、吐出信号手段からの電気信号をヒーター１１に
印加するためのフレキシブルプリント基板（以下、「Ｆ
ＰＣ」と称す）からなる。１２はヒーター１１の電極で
ある。

【００１４】このような記録ヘッド１，２を用いた記録
装置によって画像を記録する場合には、ヒーター１１
に、ＦＰＣ１０から電極１１を通して記録信号、すなわ
ち吐出信号発生手段からの電気信号に印加する。これに
よってヒーター１１は発熱し、その熱エネルギーは、ヒ
ーター１１近傍のインク流路１３内に存在するインクに
対して付与される。

【００１５】このように、インクに対してヒーター１１
から熱エネルギーが付与されることにより、その部分の
インクにおいて、瞬間的に核沸騰が起こって気泡が発生
する。その気泡の発生に伴って、インク流路１３内のイ
ンクは、ヒーター１１よりも上流側と下流側とに分かれ
て押し流され、ヒーター１１よりも下流側に存在するイ
ンクは、吐出口１４からインク滴（液滴）として吐出さ
れる。このインク滴は、記録ヘッド１，２との対向位置
に送られてきた紙等の被記録媒体上に着弾して、所望の
画像を記録する。本例の場合、画像の記録に際しては、
記録ヘッド１，２がインクを吐出しつつ矢印Ｓ１方向に
往動し、それらが矢印Ｓ２方向に復動するときに、被記
録媒体が副走査方向に所定量だけ搬送される。このよう
な記録ヘッド１，２の主走査方向の往復移動と、被記録
媒体の副走査方向の搬送とが繰り返されることによっ
て、つまりシリアルスキャン方式によって、被記録媒体
上に順次画像が記録される。

【００１６】図６は、このようなインクジェット記録装
置の制御系のブロック構成図である。

【００１７】図６において、１５は、図示しないホスト
装置などから記録信号を入力するインタフェイス、１６
はＭＰＵ、１８は、ＭＰＵ２１が実行する制御プログラ
ムを格納するプログラムＲＯＭ、１９は、各種データ
（記録信号や記録ヘッドに供給される記録データ等）を
保存しておくＤＲＡＭである。１７は、記録ヘッド１，
２に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイで
あり、インタフェイス１５、ＭＰＵ１６、ＤＲＡＭ１９
の相互間におけるデータの転送制御も行う。２５は、記
録ヘッド１，２が搭載されたキャリアＣを搬送するため
のキャリアモータ、２３は、記録紙を搬送するための搬
送モータである。２０は、記録ヘッド１，２を駆動する
ためのヘッドドライバ、２２，２４は、それぞれ搬送モ
ータ２３、キャリアモータ２５を駆動するためのモータ
ドライバである。

【００１８】このような制御系において、インタフェイ
ス１５に入った記録信号は、ゲートアレイ１７とＭＰＵ
１６との間にてプリント用の記録データに変換される。
そして、モータドライバ２２，２４が駆動されると共
に、ヘッドドライバ２０に送られた記録データにしたが
って記録ヘッド１，２が駆動されることにより、印字等
の記録が行われる。

【００１９】図２は、インクジェット記録ヘッド１，２
を図４中の矢印Ａ方向から、つまりインク吐出方向側か
ら視た吐出口部分の拡大図である。インクジェット記録
ヘッド１，２には、図２のように、主走査方向に対して
ほぼ直交するノズル列３，４，５，６が並列に配置され
ている。前述したように、３は処理インク吐出用のノズ
ル列、４はブラックインク（以下、「Ｂｋインク」と称
す）吐出用のノズル列である。６は濃カラーインク吐出
用のノズルであり、濃イエローインク用のノズル６Ｙ、
濃マゼンタインク用のノズル６Ｍ、濃シアンインク用の
ノズル６Ｃによって形成されている。５は淡カラーイン
ク吐出用のノズルであり、淡イエローインク用のノズル
５Ｙ、淡マゼンタインク用のノズル５Ｍ、淡シアンイン
ク用のノズル５Ｃによって形成されている。

【００２０】各ノズル列３，４，５，６内のノズルは、
４２．５μｍのノズル間隔で加工されている。処理イン
ク吐出用のノズル列３とＢｋインク吐出用のノズル列４
との間隔Ｌ１は１５．２５ｍｍ、濃カラーインク吐出用
のノズル列６と淡カラーインク吐出用のノズル列５との
間隔Ｌ２も同様に１５．２５ｍｍである。また、Ｂｋイ
ンク吐出用のノズル列４と淡カラーインク吐出用のノズ
ル列５との間隔Ｌ３は３０．５ｍｍである。Ｂｋインク
用のノズルからは１吐出あたり３０ｎｇのＢｋインク滴
が吐出され、処理インク用のノズル、濃カラーインク用
のノズル、淡カラーインク用のノズルのそれぞれから
は、１吐出あたり１７．５ｎｇのインク滴が吐出され
る。処理インクは、被記録媒体上の同一位置に着弾され
たＢｋインク、濃カラーインク、または淡カラーインク
との化学反応により、高画質耐水性を促進する透明な液
体である。

【００２１】本例の場合、処理インク用ノズル列３にお
いて、第２８５セグメント〜第３０４セグメント（以
下、「ｓｅｇ」と称す）のノズル３Ａから吐出されるイ
ンクは有色インクであり、第１ｓｅｇ〜第２８４ｓｅｇ
のノズル３Ｂから吐出されるインクは処理インクであ
る。その処理インクは、被記録媒体上において、ブラッ
クインクまたはカラーインクと化学反応して、高品位耐
水性を促進させるための透明なインクである。このノズ
ル３Ａは、有色インクを吐出する特定吐出口を成すもの
である。ノズル３Ａから吐出される有色インクは、例え
ば、ノズル３Ｂから吐出される透明な処理インクに、カ
チオン染料であるカチオンシアンＣ．Ｉ．ベーシックブ
ルー１００を３％入れたものである。この有色インク
は、処理インクとは、前述した高品位耐水性を促進させ
る化学反応は起こさない。

【００２２】有色インク用ノズル３Ａの第３０４ｓｅ
ｇ、第３０３ｓｅｇ、第３０２ｓｅｇ、…、第２８９ｓ
ｅｇに対応するＢｋインク用ノズルは、ノズル列４上の
第１ｓｅｇ、第２ｓｅｇ、第３ｓｅｇ、…、第１６ｓｅ
ｇである。また、処理インク用ノズル３Ｂの第２８８ｓ
ｅｇ、第２８７ｓｅｇ、第２８６ｓｅｇ、…、第１ｓｅ
ｇに対応するＢｋインク用ノズルは、ノズル列４上の第
１７ｓｅｇ、第１８ｓｅｇ、第１９ｓｅｇ、…、第３０
４ｓｅｇである。

【００２３】濃淡カラーインク用ノズルとＢｋインク用
ノズルと処理インク用ノズルとの関係は、濃シアンイン
ク用ノズル６Ａの第１ｓｅｇ、…、第８０ｓｅｇに対し
て、淡イエローインク用ノズル５Ｙの第２４０ｓｅｇ、
…、第１６１ｓｅｇと、Ｂｋインク用ノズルの第１７ｓ
ｅｇ、…、第９６ｓｅｇと、処理インク用ノズルの第２
８８ｓｅｇ、…、第２０９ｓｅｇが対応する。同様に、
濃マゼンタインク用ノズル６Ｍの第８１ｓｅｇ、…、第
１６０ｓｅｇに対して、淡マゼンタインク用ノズル５Ｍ
の第１６０ｓｅｇ、…、第８１ｓｅｇと、Ｂｋインク用
ノズルの第１１３ｓｅｇ、…、第１９２ｓｅｇと、処理
インク用ノズルの第１９２ｓｅｇ、…、第１１３ｓｅｇ
が対応する。さらに、濃イエローインク用ノズル６Ｙの
第１６１ｓｅｇ、…、第２４０ｓｅｇに対して、淡シア
ンインク用ノズル５Ｃの第８０ｓｅｇ、…、第１ｓｅｇ
と、Ｂｋインク用ノズルの第２０９ｓｅｇ、…、第２８
８ｓｅｇと、処理インク用ノズルの第９６ｓｅｇ、…、
第１７ｓｅｇが対応する。

【００２４】画像記録用としては、濃淡カラーインク用
ノズルの第１ｓｅｇ〜第２４０ｓｅｇ、Ｂｋインク用の
ノズルの第１７〜第３０４ｓｅｇ、処理インク用ノズル
３Ｂの第１〜２８８ｓｅｇが使用される。有色インク用
ノズル３Ａの第３０４ｓｅｇ〜第２８９ｓｅｇと、Ｂｋ
インク用ノズルの第１ｓｅｇ〜第１６ｓｅｇは、処理イ
ンクとＢｋインクとの記録位置のレジ合わせ用としての
み使用される。

【００２５】次に、本例のインクジェット記録ヘッドに
おける処理インクとＢｋインクの着弾位置のレジ合わせ
方法について説明する。

【００２６】記録ヘッド１，２は、駆動周波数９．６Ｋ
Ｈｚで駆動されて、それぞれのインクの吐出速度が１１
ｍ／ｓであり、吐出口先端のオリフィスからの距離１．
５ｍｍ離れた被記録媒体上に、画像解像度６００ｄｐｉ
で画像を記録する。処理インクとＢｋインクの着弾位置
のレジ調整に際しては、記録ヘッド１，２が主走査方向
に走査され、ヘッドドライバ２０からの信号に基づい
て、処理インク用のノズル列３における第３０４ｓｅｇ
〜第２８９ｓｅｇのノズル３Ａから、有色インクを１吐
出ずつ同時に吐出し、かつ、その有色インク用ノズル３
Ａに対応するＢｋインク用ノズルの第１ｓｅｇ〜第１６
ｓｅｇから、有色インクの吐出タイミングよりも０．０
３７２５２ｓｅｃ遅れてＢｋインクを吐出する。このタ
イミングを基準とし、同様に、有色インクの吐出タイミ
ングに対するＢｋインクの吐出タイミングの遅れ時間を
０．０３７４５ｓｅｃ、０．０３７４７５ｓｅｃ、０．
０３７５０ｓｅｃ、０．０３７５５ｓｅｃ、０．０３７
５７５ｓｅｃ、０．０３７６０ｓｅｃとして、有色イン
クとＢｋインクを吐出する。

【００２７】図７（ａ）〜（ｇ）は、インクの吐出条件
として、このように吐出タイミングを制御したときに形
成されるインクドットの具体的な説明図である。これら
の図において、２６は、Ｂｋインクの着弾により記録媒
体上に形成されたＢｋインクドットであり、また２７
は、有色インクの着弾により被記録媒体上に形成された
有色インクドットである。

【００２８】図７（ａ）〜（ｇ）のそれぞれにおいて、
有色インクドット２７は、計１６（第３０４ｓｅｇ〜第
２８９ｓｅｇ）の有色インク用ノズル３Ａから１つずつ
吐出されることによって、同図中の上下方向に１６個並
ぶように形成され、Ｂｋインクドット２６は、計１６
（第１ｓｅｇ〜第１６ｓｅｇ）のＢｋインク用ノズルか
ら１つずつ吐出されることによって、同図中の上下方向
に１６個並ぶように形成される。これらの有色インクと
Ｂｋインクの吐出タイミングを上述したようにずらすこ
とにより、図７（ａ）〜（ｇ）のように、ドット２６，
２７の位置関係が目視により確認できる。この図７
（ａ）〜（ｂ）においては、（ｄ）のようにドット２
６，２７の中心がほぼ一致する位置関係を標準の「０」
とし、それらのドット２６，２７のずれ方向とずれ量に
応じて、（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｅ），（ｆ），
（ｇ）のそれぞれを「−３」，「−２」，「−１」，
「１」，「２」，「３」として評価する。

【００２９】したがって、この図７（ａ）〜（ｇ）のよ
うなドット２６，２７の形成パターンに基づいて、記録
装置本体に備わる吐出タイミング補正手段により、有色
インクに対するＢｋインクの吐出タイミングを補正する
ことができる。このことは、間接的に、処理インクとＢ
ｋインクの着弾位置が調整されることになる。このよう
な処理インクとＢｋインクのレジ調整と同様に、Ｂｋイ
ンクと濃淡カラーインクのレジ調整できる。その場合に
は、それらのＢｋインクおよび濃淡カラーインクの吐出
用の互いに対応するノズルを用いて、インクを吐出すれ
ばよい。

【００３０】以上のようなレジ調整により、記録ヘッド
１，２は、透明な処理インクと、Ｂｋインクおよび濃淡
カラーインクとを被記録媒体に高精度に着弾させること
ができる。そして、それらのインクの組み合わせによ
り、耐水性等の記録性が向上された高品位の画像を表現
することができる。

【００３１】なお、図７（ａ）〜（ｇ）のように、吐出
タイミングを変化させることによって形成されるドット
２６，２７のパターンは、同一の被記録媒体上に連続的
に形成することができる。また、有色インクとＢｋイン
クの吐出順序は、記録装置の記録方式等に応じて、逆に
してもよい。その場合には、記録ヘッドを矢印Ｓ２方向
に走査させつつ、先にＢｋインクを吐出してから、有色
インクを吐出すればよい。

【００３２】（その他）なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
（例えば電気熱変換体やレーザ光等）を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化，高精細化が
達成できるからである。

【００３３】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書，同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型，
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体（インク）
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長，収縮により吐出用開口を介して液体（インク）を吐
出させて、少なくとも１つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体（インク）の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第４４６３３５９号明細書，同第
４３４５２６２号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第４３１３１２４号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。

【００３４】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口，液路，電気熱変換体
の組合せ構成（直線状液流路または直角液流路）の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第４５５８３３３号明細書，米国特許第４４
５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭５９−１２３６７０号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭５９−１３８４６１号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。

【００３５】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された１個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。

【００３６】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００３７】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。

【００３８】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して１個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。

【００３９】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭５４−５６８４７号公報あるいは特開昭６０−７
１２６０号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。

【００４０】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、有色イ
ンク用吐出口と処理インク用吐出口との間の位置関係と
同一の位置関係をもって、その有色インク用吐出口に対
して、有色インクを吐出可能な特定吐出口を設けたこと
により、処理インクの代りに特定吐出口から有色インク
を吐出して、間接的に、処理インク用吐出口から吐出さ
れる処理インクの着弾位置と、有色インク用吐出口から
吐出される有色インクの着弾位置との関係を確認して、
それらの着弾位置の補正データを取得することができ
る。

【００４２】したがって、処理インクの着弾位置は、そ
れが透明であっても目視等によって容易に確認すること
ができる。

【００４３】また、特定吐出口は、複数の処理インク用
吐出口が並ぶ列上に設けたり、その列の端部に設けるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態としてのインクジェット記
録ヘッドをインク吐出口側から視た平面図である。

【図２】図１のインクジェット記録ヘッドにおけるイン
ク吐出口の位置関係の説明図である。

【図３】本発明の一実施形態としてのインクジェット記
録装置の要部の斜視図である。

【図４】図３におけるインクジェット記録ヘッドの外観
斜視図である。

【図５】図３におけるインクジェット記録ヘッドのノズ
ル部分の断面図である。

【図６】図３のインクジェット記録装置における制御系
のブロック構成図である。

【図７】（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ），（ｅ），
（ｆ），（ｇ）は、インクの着弾位置の異なる例の説明
図である。

【符号の説明】

１，２ インクジェット記録ヘッド ３ 処理インク吐出用ノズル列 ３Ａ 有色インクノズル ３Ｂ 処理インク吐出用ノズル ４ ブラックインク吐出用ノズル列 ５ 淡カラーインク吐出用ノズル列 ６ 濃カラーインク吐出用ノズル列 ９ キャップ １０ フレキシブルプリント基板 １１ 電気熱変換素子（ヒーター） １２ 電極 １３ ノズル １４ 吐出口 １５ インターフェース １６ ＭＰＵ １７ ゲートアレイ １８ ＲＯＭ １９ ＤＲＡＭ ２０ ヘッドドライバ ２１ 記録ヘッド ２２ モータドライバ ２３ 搬送モータ ２４ モータドライバ ２５ キャリアモータ ２６，２７ 着弾位置

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有色インクを吐出可能な有色インク用吐
   出口と、記録性を向上させるための処理インクを吐出可
   能な処理インク用吐出口とが設けられたインクジェット
   記録ヘッドにおいて、 前記有色インク用吐出口と前記処理インク用吐出口との
   間の位置関係と同一の位置関係をもって、前記有色イン
   ク用吐出口に対して、有色インクを吐出可能な特定吐出
   口を設けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッ
   ド。
2. 【請求項２】 前記有色インク用吐出口と前記処理イン
   ク用吐出口のそれぞれは、互いに平行な列状を成すよう
   に複数ずつ設けられ、 前記特定吐出口は、前記複数の処理インク用吐出口と同
   一の列上に設けられることを特徴とする請求項１に記載
   のインクジェット記録ヘッド。
3. 【請求項３】 前記特定吐出口は、前記複数の処理イン
   ク用吐出口の列の端部に設けることを特徴とする請求項
   ２に記載のインクジェット記録ヘッド。
4. 【請求項４】 前記特定吐出口は、前記有色インク用吐
   出口から吐出されるインクの着弾位置と、前記処理イン
   ク用吐出口から吐出される処理インクの着弾位置との位
   置関係を認識するための有色インクを吐出することを特
   徴とする請求項１から３のいずれかに記載のインクジェ
   ット記録ヘッド。
5. 【請求項５】 前記処理インク用吐出口は、透明の処理
   インクを吐出することを特徴とする請求項１から４のい
   ずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
6. 【請求項６】 前記特定吐出口は、前記処理インク用吐
   出口から吐出される処理インクにカチオン染料を含有し
   た有色インクを吐出することを特徴とする請求項１から
   ５のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
7. 【請求項７】 前記有色インク用吐出口、前記処理イン
   ク用吐出口、および前記特定吐出口のそれぞれからイン
   クを吐出させる吐出エネルギーとして熱エネルギーを発
   生する電気熱変換体を有することを特徴とする請求項１
   から６のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
8. 【請求項８】 請求項１から７のいずれかに記載のイン
   クジェット記録ヘッドと、 前記インクジェット記録ヘッドと被記録媒体とを相対移
   動可能な移動手段とを備えたことを特徴とするインクジ
   ェット記録装置。
9. 【請求項９】 前記移動手段は、前記インクジェット記
   録ヘッドを主走査方向に移動させる第１移動手段と、 前記被記録媒体を前記主走査方向と交差する副走査方向
   に搬送する第２移動手段とを備えたことを特徴とする請
   求項８に記載のインクジェット記録装置。
10. 【請求項１０】 前記有色インク用吐出口と前記特定吐
    出口とにおけるインクの吐出条件の少なくとも一方を制
    御可能な制御手段を備えたことを特徴とする請求項８ま
    たは９に記載のインクジェット記録装置。
11. 【請求項１１】 前記有色インク用吐出口と前記処理イ
    ンク用吐出口とにおけるインクの吐出条件の少なくとも
    一方を制御可能な制御手段を備えたことを特徴とする請
    求項８から１０のいずれかに記載のインクジェット記録
    装置。
12. 【請求項１２】 前記制御手段は、インクの吐出条件と
    してインクの吐出タイミングを制御することを特徴とす
    る請求項１０または１１に記載のインクジェット記録装
    置。